




全巻一気読み。久しぶりの達成感です。ありがとう見知らぬ妹の友人。
漫画自体はちょっとコメディチックなゴリゴリの少女漫画。全巻通してベタすぎるエピソードのオンパレード。一気に読んだらそれなりに面白かったけど、リアルタイムでちょっとずつ読んでたらどうだったのかなー。
帰国子女の芦屋瑞稀は高飛び選手の佐野泉に憧れて単身帰国し、女であることを隠して全寮制の男子高校に入学します。寮の部屋までうまいこと(うますぎるっちゅーねん)佐野と同室になり、ドッキドキの学園生活を送ることになりました。最初佐野は高飛びをやめていたり、女であることを隠しきれなかったりとか、いろんなハプニングが起こりますよというお話です。
女であることを隠して男の園に潜り込むというシチュエーション、そこで愛されキャラになることと、なぜかバレないことと、仲間との恋愛ネタ、全てがベタでした。少女漫画の王道なんだろうなぁ。王道の教科書読んでるみたいだった。ベタはベタなりに面白いものもあるので一概には言えないのですが、瑞稀が全寮制の男子高校に忍び込もうとした動機が「佐野の傍にいたかったから」という時点で感情移入できず、最初から否定的に見てしまいました。佐野は早い段階で瑞稀が女であることに気付いていたのがまだ救われたけど、私が逆のこと(女だと思っていたら男が女装していました)されたらごっついショックやろうと思うと、ヘラヘラ笑っている瑞稀が好きになれなかったというか。お前もうちょっと罪悪感感じろよ、と。ええ、漫画なんですけどね、知ってますけどね、そんな真剣に考えるなやって自分でも思いますけど。
男性が読んだらきっと「なんじゃこれ」って思うような気がするけど、私が読んでも「なんじゃこれ」って思うってことは、これを読んで喜ぶターゲット層ってどこなんだろう。瑞稀に自分を投影できたら楽しいんだろうな。私は瑞稀がなんにでもでしゃばって電話を盗み聞きしたり、訳ありそうに見えたら尾行して立ち聞きして「ごめん、だって心配だったから…!」「心配かけてごめん、お前優しいな」的展開でお咎め無しだったり、正体を隠さなきゃならないのに無頓着で「お前無防備すぎ」とか佐野に思われてるのに「でもそこがいい!」的な展開とか、「にぶい」を免罪符に色々引っ掻き回したり、もう皆に愛されちゃってお姫様みたいな扱いとか。なんかもうこんなに熱く語っている自分がキモいと思えるほどに納得がいかないのでした。私ならこんな奴男でも女でも嫌だ。
ただ主人公は苦手だけれども、その他の登場人物は皆個性的でドタバタラブコメディって感じです。特に中津が良いです、不憫な意味で。いい男ばかりという設定みたいなので、これが感情移入できたらどんなに楽しかったことか…と口惜しいことこの上ない。絵も上手だと思います。特に表紙は全部綺麗だったなぁ。キャラの外見も性格もよく分かったし、登場人物多いのによくできるなぁと思いました。保健の先生とか、中津のおばちゃんとか、大人もよかったです。
「性別を偽る」という設定は昔からあるのですが、それが嫌いなんじゃないと思います。多分。石渡治「LOVE」は別に嫌いじゃなかったし。でも「Wジュリエット」は逆バージョンで嫌いだったなぁ。結局書く人によるのかもしれません。それがやむを得ない選択であるかが重要なポイントなんだと思います。「傍にいたい」ってなんじゃそれ、と最初に思ってしまったので入り込めなかった。誰だって同性だから言えるってことあるでしょうに、それで嘘つかれてちゃかなわん。
それにしてもベタなこと多かったです。以下ちょっとネタバレ。
・お酒に酔うとチュー魔になるとか。
・お風呂に鍵をかけ忘れていて、開けられて「びっくりしたぁ」とか。
・色んな事情があって同じベッドで寝るとか。そんで男の方はどきどきしてるのに、女はぐっすりとか。
・文化祭で女装した瑞稀に、周りは皆ドッキドキ。女の子より可愛いじゃん…!とか。
・お約束のようにダンスを踊ったりとか。
・気絶して抱きかかえられるとか。
・そもそも高校生の男の子は、あんなにスキンシップするもんか。
・そもそも女であることがばれないってことがあるのか。
・女ってばれたくなかったら丸坊主にするとかすればいいのに、なんだその可愛らしい格好は。
・女にしか見えない男子高校生(not瑞稀)は存在するのか
何が嫌って漫画なのに、それもシリアス漫画じゃないのに、ここまで文句を言ってしまう私が嫌です。笑って読んどきゃええやないかー。でも久しぶりに漫画三昧だったので幸せでした。
(2007/08/20)
[カウンタ: - ]
最終更新:2007年08月21日 00:55