アットウィキロゴ

嶽本野ばら

下妻物語


 すっっっごく面白かったです。活字で笑えるなんて久しぶりでした。万人にお勧めします。作者さんは割とエキセントリックで思春期乙女御用達ってな感じでちょっと敬遠してたんですけど、危なかったー!読んでよかったー!
 これは映画化されていて、評判が良かったのでDVDで見ました。映画もすごく面白かったんです。主人公のロリータ少女モモコを深田恭子、友人のヤンキーイチゴを土屋アンナが演じています。配役も絶妙、すごくハマってました。それで本も読んでみる気になったのです。文庫本の表紙にも二人の写真が載っています。なので読み始めからキャラはこの二人のイメージでした。
 お話はモモコの語り口調で進みます。もうね、最初っから面白すぎ!脳内でナレーションが深田恭子ヴォイスで響いています。映画よりも面白かった!いやでも映画も面白いし、どっちに軍配があがるんだろう。映画はかなり原作に忠実に作られていました。時間内に収まらないからか削ったエピソードはありましたけど、大事なところは取りこぼし無し!原作を越えたかなと思えるのは、モモコの駄目親父を雨上がり決死隊の宮迫が演じているのですが、これは映画の方が笑えました。間の抜けた駄目男役「ピアノが~」うますぎです。それからモモコの母親役の篠原涼子。これもコテコテの大阪弁でもうやりすぎな位で良かった。「さんじゅうさんさい」という発音がネイティブもびっくりです。て映画の話はこのくらいにして。
 モモコはすごく冷めた子で、「ロリータを愛する」ただ一点にのみ情熱を注ぎます。自分が非情であることを自覚し、正当化もしていません。その上でイチゴへ友情のような感情を抱きます。この性格で友情を絡めて、またそれが成立するところが絶妙のさじ加減だと思いました。モモコみたいな子がいきなり熱い友情に目覚めるのは、無理があると思うのです。それに矛盾を感じさせずに持っていくところが難しかったのではないかな。
 イチゴのキャラも強烈です。センスという点において、まるで両極端の二人。かたやロリータファッション、かたやヤンキーファッション。それぞれが確固たる意志でそれを好きでいるところは、無難なファッションを好み人目を気にする私にとっては羨ましくもあり、いやそうでもなかったり。特効服は嫌だ。
 何より面白かったのが、モモコの言い回し。リズムが良いというかテンポ良く読めるんです。駄目親父を指して「目の付け所が人間とカエルほど違う」という表現は、満員電車の中ではきつかった。他にも尼崎の表現が秀逸。尼崎の人に怒られそうですが、少なくとも私には(神戸生まれ)そういうイメージあるんですよねぇ。全員が全員じゃないんですけど、そうやってネタにできる程度には。実際住んでる人が聞いたら「その通り!」て思うんかな、どうなんやろ。少なくとも私にはヒットしました。関東の土地事情は知りませんが、下妻近辺の人がこのお話読んだらそれも面白いのかしら。
 ただこれを若い子が読んで、モモコの真似をする子が出てきたら嫌だな~とは思いました。「モモコのように生きる」ではなく「モモコの真似をする」。モモコは主義を貫くためには負の面(白い目で見られたり、虐められたり)を受ける覚悟があってそうしているけど、「自分らしくあるためには何をしてもいい」と勘違いされそう。「ママチャリを漕ぐのはロリータに反するから、歩く」のがモモコであって、「ママチャリを漕ぐのはロリータに反するから、誰かに送らせる」になってはならないと思います。
 まーそんなこと考えないで、ただ笑えば良いですね。笑いだけではなく、ホロリとするところもあります。読後感さわやかで、非常に綺麗にまとまった一作です。他の本も読んでみようかな。
(2006/11/23)

[カウンタ: - ]
最終更新:2007年04月02日 23:47
ツールボックス

下から選んでください:

新しいページを作成する
ヘルプ / FAQ もご覧ください。