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梨木香歩

からくりからくさ


 「裏庭」より更に難しかったです。よく分からなかったというのが本音。
 妙齢の女性達がある古い一軒家で生活するお話です。彼女達は一様に草木染や織物など、伝統芸能のような生業を持っています。何より普通でないのは「りかさん」というお人形さんがいること。家主であり持ち主である女性曰く「このお人形は昔は生きていて今は眠っている。そういうのを受け入れてもらわなくてはいいけど、私がこのお人形を人間のように扱うのを止めないで欲しい」
 自分でもこのお話がよく分かっていないので、あらすじを説明するのは難しいです。淡々とした生活描写かと思えばアクシデントがあったりで、掴み所がありません。しかーし!なんかやっぱり「良い」のです、雰囲気が。空気が。また草木染の知識や織物やら、「西の魔女が死んだ」のおばあちゃんの生活の知恵を楽しんだ人なら、楽しめるはず。
 正直、アウトラインだけを描くことによって女性のどろどろした部分を表しているようで、見つめたくないものもありました。納得したくないところもありました。あとよくわからないところも。お勧め度で言うと「西の魔女~」「裏庭」「からくり~」の順ですが、大人の女性がじっくり読む分にはこれも面白いと思います。
(2007/06/06)

裏庭


 「西の魔女が死んだ」が大当たりだったので、続けて購入。これも大当たりでした。長編なので読み応えはこっちの方があると思います。小さい頃に読みたかったとは思いますが、児童文学なのに難しい…!もちろん子供が読んでも面白いだろうし、大人でも充分読み応えあります。「秘密の花園」にわくわくした人や、映画「ネバーエンディングストーリー」好きな人や、ハリーポッターの舞台設定にドキドキする人は、きっと面白いと思います。願わくば、小さい時に読んで、んで大人になってから再読して、感想を比較してみたい!
 読み終わった後はとてもほんわかした気持ちになりました。暖かい薄い黄緑のイメージ。表紙まんまです。
 照美という女の子が主役です。彼女は共働きの忙しい両親と3人家族。本当は純という双子の男の子がいましたが、小さい時に照美の目の前で池に落ち、それが原因で亡くなってしまいます。普段は一人が多い照美は、友達のおじいちゃんとひょんなことから仲良くなり、そのおじいちゃんから聞かされたバーンズ邸の庭に忍び込みます。おじいちゃんのお話では、普通の庭の他に、入るのにちょっとした工夫がいる裏庭があるらしいのです。
 照美はその裏庭に入って、そこから冒険に出ることになります。ここからファンタジーになるのですが、同時にそのバーンズ邸の主や照美の両親のお話が並列して進みます。この現実(大人の話)とファンタジー(照美の冒険)が入り混じって時々素に引き戻されるのですが、読んでいくうちに気にならなくなってました。あまりストーリーを語らない方がよいと思うので、この辺で終わり。

 ここから先はネタバレです。
 このお話ほんっとに難しい!照美の冒険が何を目的としていたのか、純は結局なんだったのか、裏庭とはその時々で姿を変えるのか、銀の手は結局先生だったのか、比喩に満ち満ちたお話で多分私は2割も分かっていないと思います。でも、このわくわくする気持ち、いいものを読んだーって気持ちは本物だ!
 これはもう一度読み直したいです。ゆっくり時間をかけて、お昼に家で読みたいなぁ。
 なんだかよく分からないけど、印象に残ったシーンは、
 ・テナシが銀の手になったところ。泣きそうになりました。職業がその生き物そのものを指すところで、すごく大事なことを言われているような気がしましたが、掴まえ損ねてしまいました。
 ・スナッフが、純を殺したのは自分だと告白した時の、照美の感情とその後。結局あの服はなんだったんだろう。というかあの世界で服はどういう役割を果たしているのだろう?
 ・「じゃあ私はどうしたらいいの」という口癖が出なくなった照美。彼女は何を見つけたのでしょうか。自分?でも自分探しの旅って感じでもない。自分発見の旅?うーん。
 ・さっちゃんが不器用すぎて、頑な過ぎて、大団円にならない。
 ・お父さん(名前忘れちゃった)が「純よう」って泣くところ。
 ・友達が照美の悪口を言っている幻を見た後、「それでも私は○○ちゃんを許そう」って悟るところ。
 ・最後までついてまわった臭い醜悪な生き物は何?照美自身?よくわからなかった。
 ・ハシヒメって、竜の骨って、クロウプって結局なんじゃい。
 ・さっちゃんのお母さん(妙さん?)はバーンズ家の妹さんと仲良かったから、「Tell me」の名をつけて欲しいと娘さんに願ったのかな?何を期待して?
 至るところにヒントが散りばめられているのに、それを掴まえて飲み込んで消化することができず、手の中からするっと逃げられる感覚をずっと味わっている時間でした。噛んでいるうちに味が変わるのに、変わる前に飲み込んでしまったような。だからすごーく面白いのに、とても物足りない気持ちなのです。
(2007/04/17)

西の魔女が死んだ


 読み始めてすぐ「あ、これはやばい」と思いました。何がやばいかって言うと、読み始めたのが行きの電車だったから。そして結構な遠出で、かつ本がかなり薄く、すぐに読めちゃいそうな勢いだったから。そしてこの本は家で一人で読むべきだと思ったから。
 予感は当たりました。すごくいい本でした。童話のようなお話。表紙の薄い黄色は、そのまま本のイメージに繋がります。金木犀とか、たくさんのカスミソウとか、ふんわりした暖かいイメージ。読みながら、眉をしかめて口をきゅっと結んで「困ったなぁ泣きそうだなぁ」ってつぶやきたい感じ。
 読もうと思っている人は、できればここから先を読まず、先入観無しで読んでみてほしいなぁと思います。

 主人公は「まい」という中学生の女の子。身体はなんとも無いのに学校へ行けなくなって、母方のおばあちゃんの家に預けられます。物語はまいの一人称、まだ子供で、傷つきやすくてもろくて、おばあちゃんが大好きな素直な子です。
 おばあちゃんとまいの日常はとても気持ちがいいです。電化製品や化学薬品に頼らず、手間はかかるけど生活を楽しんでいる感じ。よくある田舎農家の日常にならないのは、やはりハーブやらミントやら、そしておばあちゃんが外国人であるということから来るのかな。「畑から大根を抜いて鍋に」ではなく「畑からハーブを取ってきてサンドウィッチ」なところが、なんとも別世界観です。大きな盥で洗濯物を足踏みでしたり、作物の虫除けにミントを煮出したもの。憧れます。
 子供の頃の小さなこだわりのようなものを、再び自分の腕に抱え込んだような、そんな気持ちがしました。私も近所の空き地や、山や、公園の崖が大好きだった。花を摘んだり、バッタを捕まえたり、虫や自然が汚いなんて全然思わなかった。今ならわずらわしいと思うような水遣りや料理や洗濯すら素敵なイベントに見えて、是非私はこんなおばあちゃんになりたいと思いました。

 ここから先はネタバレです。
 魔女修行の「自分で決めること」もとてもよい。自分で決めて実行することは、とても大事なことだけど、それを「魔女修行」と言ってしまうおばあちゃんが素敵だと思いました。登校拒否になって田舎に行く子供の話はありがちといえばありがちで、かつ私はその系統が大好きなんですが、このお話は特に好きかもしれません。きっと皆それぞれに「おばあちゃん」とそのお家を思い浮かべるのだと思います。
 ゲンジさんは結局いい人だったのか悪い人だったのかよくわかりませんが、そういうぼかし方も素敵だなぁと思います。そこはあまり重要じゃなかったでしょうし。
 まいのお母さんが爆発するように泣いたところで、読み始めた時の予感通りぐっときました。「ニシノマジョカラヒガシノマジョヘ オバアチャンノタマシイダッシュツセイコウ」でぐわぁっと来て、辛うじて耐えたと思ったところで「アイ ノウ」でノックアウト。立派な不審者の出来上がりです。やっぱり家で読めばよかった。
 「凝ってる」「うまい」「やられた」とか、そういう感想を持てるような本が好きですが、この本は直球でしみじみしました。
(2007/04/10)

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最終更新:2007年06月07日 02:14
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