少女漫画ですが、主人公は男の子です。なんというか少女漫画でした。少しほろっとさせられたりしますが、じっくり読めば突っ込みたいところ満載。あまり力を入れて読むと、損します。いいお話なので力を抜いて。
大学生の幸太は母が亡くなってから折り合いの悪い父の元を離れていました。ところが父が突然亡くなり葬儀で家へ戻ると、そこには「まるいち」というお手伝いロボットが。このまるいちは人の行動をトレースすることができ、父は販売前テストユーザーになっていたのです。テスト条件を変えたくないとメーカーの美月さんに頼まれた幸太は、美月さんの外見が好みだったことと謝礼目当てでテスト継続をOKしてしまう。そのまるいちとレギュラー陣とで、まぁ事件みたいなものに係っていくのですが…。というのがストーリー。
まるいちというロボットを間において、人間同士のすれ違いを浮き彫りにしたい、とか、想いを込めればそれは物ではなくなるというのが、コンセプトだと思います。例えば幸太と父のいざこざは、父があまりにも感情を表すのに不器用だった為ということが、まるいちに登録されていた行動が元で幸太に伝わります。ここはちょっとほろっとしてしまいました。ベタベタなんですがね。結局この一件が元になったのと美月さんに惚れてしまった幸太は、まるいちの研究開発会社にバイトに行くことになりました。
まるいちは二足歩行で小さい子供のような形をしています。無表情なんですが、その無表情が可愛く思えてきました。そのへんもあざとい!と思ってしまうひねくれ者なんですがね。ちなみに友人の飼っていた犬がまるいちという名前で、それを聞くたびにこの漫画を思い出していました。随分昔に読んだ本なのですが、ふと思い出して買ってしまったのは、その犬のお陰かもしれません。
突っ込みたいところっていうのが、感情のすれ違いというのがあまりにもベタというか、それぐらい気付けよ!って思ってしまうところでしょうか。父の愛情表現が下手で子供に伝わらないなんて、もうベタ過ぎて突っ込む気力も出ません。それが父の死後分かるってとこももう…。感動した自分は置いといて、そういうことを考えてしまうのです。これは受け取り手の問題か。それとか、そのすれ違いとか問題提起をする為のエピソードが微妙に納得いかないとか。自分に関心がない(と思ってる)両親を困らせたいばかりに、既に販売されていたまるいちを大量に盗んで登録された内容を全て初期化して犯罪に使う、とか。盛り上げる為の無理してる感があるんですよねぇ。幸太のまるいちも初期化されてしまい、でも帽子の日焼け跡で「これが俺のまるいちだ」って分かるところが感動ポイントなのかもしれませんが、私はこの回好きになれませんでした。父が登録していた内容は結局消えてしまったのだから。父がまるいちに込めた想いはもう戻ってきませんよ。甘甘な結末に腹が立ちます。
あともうそれは重要なところじゃないと分かってはいるのですが。100台のまるいちに登録された動作を探そうとするところ。登録ワードを口にしないと見つけられないというエピソード。二足歩行のロボット作るような技術があるくせに、そんなあほなことあるかーい!音声認識しとるんやったら、データ抜いて確認できるやろー!それから、「子供にまるいち盗まれて全部初期化されちゃったからもう戻せないのここにあるまるいちはどれでも一緒だから持って帰ってそんな私は竜ちゃん(ある子がつけた名前)じゃないと嫌だほらこの子竜ちゃんだよ私がつけた傷があるもの竜ちゃん一緒にお家に帰ろうね嬉しい皆まるいちをちゃんと一個の個体として可愛がってくれていたのねただの物じゃないんだわ涙」のシーン!バックアップ位取れるやろー!その程度の機能つけとけやー!
機械を扱った作品としてみると、ちょっと疲れてしまうので「ロボット的な物」だと思っておけばよいのでしょうね。昔読んだ時には素直に感動したのに、読むタイミングが変わると、感想も変わりますね。でもフォローするわけじゃないですが、力が抜ける良いお話だと思いますよ。出てくる人は全部良い人なので。
(2006/05/07)
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最終更新:2009年06月07日 17:37