ダークナイト

ダークナイト






 バットマンビギンズの続編に当たる。その名の通りダークな、すごい映画でした。「すごいもん見た」としか言えなかった。感想が言いづらいのは、きっと「面白かった」と言うのがはばかられるような内容だったからだと思う。
 昼間はセレブ(実業家?)のブルース、夜は悪と戦うヒーロー、バットマン。超法規的な方法で悪をやっつける彼は、「自警市民」と言われ一般人の評価も真っ二つ。まぁ、その辺のジレンマはアメリカンヒーローにはお約束ですな。とにかく治安が悪いゴッサムシティだが、検事デントが赴任してくると希望の光が見えてくる。正義感溢れる熱血漢なデントは、バットマンのやっていることを認め、その上でゴッサムシティを変えようと奮闘する。これで自分の役目は終わりかと思うバットマンだが、彼等の前には悪の化身の男、ジョーカーが立ちふさがる。
 このジョーカーがとにかくすごかった。人物設定も脚本もそしてそれに応える演技も全て、私は完璧だと思った。「悪」っていう言葉が可愛く思える程の、純粋な悪人。私からするとこの映画はジョーカーが主役ですわ。座っているだけでも、その呼吸の仕方すら気持ち悪い。立ち上がった時の仕草も、歩き方も、指についたメイクの汚れも、笑い方も、その目も、声も、全てが得体の知れない男。
 勧善懲悪映画ではなく、正義側の良心が引っ張られるところに焦点をあてている、深いテーマの映画だった。面白いと言うには暗く重く絶望を感じるだけに、そう言うと不謹慎に思える。でも間違いなく傑作。見て損は無かった。割と長めの映画なのと、内容が濃いので途中しんどくなったけど、それは「まだ終わらんのか」じゃなくて「もうおなか一杯です」て感じ。なのに見終わって直ぐに「もう一回見たい」と思った。お勧めですよ。
 「ジョーカーすげぇ」と思いながらエンドロールを見て、役者が亡くなったヒース・レジャーであることを知った。「ジョーカーすごかった!他の出演作を見たい」と思っていた矢先だけに、とても残念でならない。
 他にもモーガンフリーマンやゴードン警部をしたゲイリーオールドマンや執事、味のある脇役は流石で光ってた。特にゴードン警部かっこよすぎる。なにあの髭素敵。逆に主人公とヒロインは影が薄かったなぁ。あとヒロインはキルスティンダンストに見えた。なんでもてるのか今イチよくわからんかった。スパイダーマン観た時も思ったけど、思わせぶりなこと言ったりやったりしといて、他に恋人作るのが私には意味不明だ。文化の違いなんでしょーかね。
 いやーでも見ごたえある映画でしたよ。DVD欲しいと思ったのは久々です。

 ここから先はネタバレです。
 偏見なんだけど、アメリカンヒーロー映画のとってつけたような深刻さが嫌いだった。いや深読みすればあるのかもしれないけど、ジレンマ抱えとったらええっちゅーもんちゃうぞ、とか思ってました。嫌だったらやめたらええやん、決めたならとことんやれと。だけど今回は終始重苦しい。あまりすかっとしなくて、そこがまた良いとか思っちゃう。ヒロインとデントが、両方どないかして救出されて終わりなんかな~と思ってた。ヒロイン死んでからもどっかで助かってるんちゃうか、と思ってた。ヒロインは終わりでしたけど。正直なんでデントがダークサイドに落ちたのか、いや落ちるのはわかるけどなんで司法側に向いちゃうの?ってとこは納得行かない。その辺は分かりにくいけど、もうこの頃には圧倒されていたので、三竦みでそれすらも面白かった。
 デントが爆発に巻き込まれた後の顔CGはちょっと違和感あった。なんか取ってつけたみたい。ハムナプトラのミイラ思い出した。
 警部だけは「実は生きてました」がめっちゃ嬉しい。続きあんのかな。でももうジョーカーはいないんよね。ゴードン警部楽しみにしとこう。
 それにしても主人公の印象がうっすいなぁ。
(2008/11/06)

  • 同じく自分もデントがなんで怒りの矛先を司法に向けたのかいまいち理解してなかったんですが、なんとなく分かった気がするんでコメします。分かったと言ってもシンプルに劇中で本人が言っていることなんですが。
    あれは別に怒りが司法に限って向いたんじゃなくて、デントは事件関係者全員を憎んでいて、矛先は関係者全員に向かっていたってコトです。
    たまたま最後にゴードンの所に行きましたが、ジョーカーやマフィアの人も殺そうとしてます。
    レイチェルを連れ去ったのが一般人だったら一般人を、マフィアだったらマフィアを、それがあの時には警察関係者も含まれていただけです。
    つーか尊敬してたバットマンのことも殺そうとしてますよね。心底復讐鬼モードです。
    ちなみに個人的にデントが裁きのトリガーとして法律や自信の気持ちといったものを置かずに、誰にでも平等な「運」を据える事こそが正しいと結論付け、絶望の果てにねじれた正義に行き着いたのはキャラとして面白いなぁと思いましたね。
    しかしダークナイト面白いなぁ。
    バットマンの生き様カッケェ!とかバカな事言いながらDVD繰り返し見てます(笑) -- 通りすがりですが (2008-12-12 04:42:00)
  • 今更コメントいただいていたことに気付きました。もう見られていないかもしれませんが、コメントありがとうございます。
    デントが「運」に裁きを任せた、という点は観ていた時は気づきませんでしたが面白いですね。「ねじれた正義」に納得です。
    結局私はDVDも買わずあれ以来観ていませんが、友人への布教には役立ったかもしれません。
    登場人物ではやはりゴードン警部が好きです。一番理解できないのはジョーカーよりヒロインだったりします。 -- May (2009-02-04 00:09:33)
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最終更新:2010年08月30日 01:23
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