二ノ宮知子

のだめカンタービレ






 久々にどストライク。千秋先輩…!私も変態の森へ連れてって!
 今更感ありありな、言わずと知れたクラシック漫画。最初漫画喫茶で10巻位まで読んで、「面白いけど買う程じゃないわぁ」なんて思ってた私の馬鹿馬鹿!10巻から19巻まで悶え転がりながら読みました。お腹を壊したムッシュ長田のように。借りてよかった!のだめ…恐ろしい子!
 音大生の野田恵こと「のだめ」(ピアノ)と千秋真一(ピアノもヴァイオリンも指揮もやっちゃう才色兼備)が、共に音楽に向かって突っ走るお話。それから、のだめは千秋が好きでそれはもう変態的に一直線。嫌よ嫌よも好きのうちで、千秋がのだめを突き放せないお話。はしょってるけど、大まかにはこんな感じ。
 音の出ない、漫画という媒体でクラシックをやろうとしたことが、そもそもすごいと思う。私ですら作中で使われている曲を聞きたくなりましたもの。紙を飛び出してアニメにドラマにCDになったのも頷ける。というか、私はドラマの再放送で千秋先輩にやられ、また漫画に手を出した口です。玉木宏かっこよすぎ。
 絵は割とあっさりしていて、少女漫画とすると物足りないくらい。でもそんなの関係ないね!ちゃんと千秋はかっこいいからね!画面は書き込みとか、心情の説明がかなり少ないと思う。あえて省いてんのかな~と思う。でも目を皿のようにして見れば、ところどころにヒントは残されているような。なので、何度も読み返したくなった。なったっていうか、した。
 で、何で私がハマったかと言うと、千秋とのだめの恋模様なんですけどね。まー結局そこに落ち着く訳ですわ。そもそもクラシックそんな好きな訳でもないし。でもお話自体は恋愛メインじゃないのですよ。音楽7割、人間関係2割、ギャグ1割ってとこ?それ位のさじ加減が絶妙。分かってらっしゃる(偉そう)。寝ても冷めても「好いた惚れた」じゃ飽きちゃうのです。所々で出てくるラブ風景の、その隙間を埋めるのに妄想力が発揮されるのです。その妄想力を刺激するお話が好きなのです。楽しみ方としては邪道なのか、もう自分では分かりません。と書き進めたところで、実は自分も生粋の変態の森住人かもしれないことに気づいた。えっか。楽しいから。
 そんな風でなくても老若男女楽しめる漫画だと思います。お勧め!超お勧め!

 ここから先はネタバレです。
 どこがツボだったかを、今後の為(?)に残しておこうと思う。ぶっちゃけ「千秋先輩とのだめはいつ相思相愛に?」って疑問に思ったところでスイッチ入っちゃいました。
 1回目一気に読んで満足した後、すぐ再読。19巻まで読んでも、何故か二人がくっついてないって思ってた。さらっと流し読みしすぎた。そんで、千秋がのだめのサロンコンサートに行く途中、ヴィエラ先生に会ってコンサートをすっぽかしたことを謝るシーンで「あれ?」。なんでそんな気安くお腹に触っちゃってんの?え?同じベッドで寝るの?え?と(遅!)、超光速で巻き戻し。
 コンサート成功して「と同時に 変態の森へ」。演奏旅行から帰って来て痴話げんか。のだめの初リサイタルで同じ部屋。…。できてんじゃん!どっぷり恋人やん!気づけよ私!ていうか千秋ははっきり恋人って言ってるやん。「自分で選んだの変態だけですから」って言うてるやん。あーあーあー迂闊ー!
 自分でもなんで気づかなかったのかわからないのですが、ずっと「憎からず」で終わってるのだと思ってました。それはそれで好きなので無問題だったのですが。というか恋人直前状態大好きなので、ずっとそれでもいい…!で、も。でーもー。読者に見えないところで愛を語り合っているのなら、それはそれで楽しいのー!勝手に脳内補完するからいいのー!アハハー!
 あー楽しい。
 そんでそういう視点で読み出すとね、コンサートの楽屋でウェルカム変態の森の千秋~気絶するのだめの間に何があったの?とか。その後長田に「彼女に余計なことを教えるな」と言われて考え込んでたのはなんで?ちょっと気にしてる?とか。「発情期」ってタイトルはどういう意味?とか。「ユンロンって誰?」って妬いてる?とか。演奏旅行出発前にのだめに毒づいていたのは寂しかったから?黒木君がいなかったらチューしてたの?とか。ノエルにお土産のワインで乾杯したかったのに自分を待ってないから拗ねちゃった?とか。ネックレスはどうやって渡したんですか?とか。オケのオーディションに黒木とポールを誘おうとしたのに「ポールはいいか」ってなったのは、のだめと仲よさげなのが気に触ったから?とか。「今日のオレは最後まで生き地獄」ってどどどどーゆー意味ですか?とか。松田が家に来てバスルームでのだめと争った時に松田にバケツをかぶせて止めたのは、のだめの裸を見られたくなかったから?とか。のだめが真一君って言うのはどんな時?とか。映画館でお茶を用意したりご飯奢ったり「危ないぞ」って言ったりして、なんだかんだでジェントルマンやん!とか。アパルトマンを出て行く千秋の言葉に納得して涙ぐむのだめと見詰め合うシーン~「帰っていいから」まで何が繰り広げられたの?なんで千秋のシャツはボタンが一つ外れていて裾はパンツから出てるの?とか。変態の森シックってすっかりのだめの虜ですね!とか。「明日はのだめと会うから」って照れてんじゃないわよ(嬉しい)!とか。ただでさえ無駄に豊かな妄想力が、ますます暴走するわけですよ!
 とこんな調子で、シーンとシーンの間を埋めるのが楽しい。クールな千秋が変わっていくのを見ているのが楽しい。別に自分がのだめや千秋になりたいわけじゃないんだけど、しいて言えば空気になって二人にまとわりついて見届けたいような、そんな感じ。えーまぁ二次元の、紙に描かれたインクの集合体ってのはわかっとるんですけどね、楽しいなぁ。私、本当生きてて幸せです。
 あーちょっとひいた。自分でも。文字にして冷静に見ると流石にひける。
 なんでこんなに楽しいのかなぁと、のだめ以外の他のお話も含めてちょっと考えてみる。ラブラブしそうにない人が誰かを好きになる描写が好きなのかもしれない。今回は千秋がずっとのだめを嫌がっていたじゃないですか。それが自分でも一コマずつ変態の森へ近づいて行って、とうとう住人になったわけですよ。しかも自ら。そのギャップが面白いのかな、と。そんで普段はそんなことないのに、ところどころ片鱗を覗かせる演出がまた憎いね。前面に押し出されたら面白くない、隠されてこそ燃える!というチラリズムなわけです。普段コンタクトな人が眼鏡かけてきたらちょっとドキッとするような、裏の顔を見せてー!とかそんな心理。
 続き楽しみだなぁ。
(2008/05/05)

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最終更新:2008年05月06日 02:01
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