吉村達也

ダイヤモンド殺人事件


 短編集でした。なんか読んでいくうちに眉間に皺が寄っていくのがわかりました。脱力感を感じる本でしたね。あまり良くない感想なので、ファンの人は見ないでください。気を悪くさせてしまうかもしれません。

 内容は短編がいくつかで、ミステリのようなホラーのような、なんかようわからん感じ。割と出版数が多い人で、昔ホラー系を何冊か読んだんですが、ここまでうんざりしなかったような気がするんですけど、なぜこれはこんなに嫌なんだろう。
 短編一つ一つの前に、著者から前書きのようなものがありました。それがねー、言い訳とか、いかにして自分がこの話を思いついたかを延々と語っているのです。なんか自画自賛入っているように感じるんですよ。「よくこんな題名の本があるけど、内容は似たり寄ったり。自分だったらどう描くか、と思ってできた本がこれです。」せめて後書きやらエッセイやらでそういう話はしてよ、黙って本編で語ってくれと思いました。私はこの作者に興味はないので、著者にこんこんと解説されても嬉しくないのです。それも本編前に。
 「我ながら良いでき」と聞かされて読んだら、期待するじゃないですか。だから余計に拍子抜けしたのかもしれません。こういった「本編前に著者説明」が功を奏する本もあるかもしれませんが、ことこの本に関しては裏目に出ているように思います。
 それから「オチ」に酔って、それ以外のところが付け足しのように感じました。「オチ」に持っていくまでに綺麗に持って行ってこそ結末が映えるのに、無理やり感がある。「ナルシストが鏡を見てうっとりしているところを見ている」のは楽しくても、「ナルシストに自分の写真を次々見せられて感想を求められる」のは鬱陶しいのです。

 ここから先はネタバレ及び愚痴になります。
 双子が殺しに来ても「だから何よ」って思っちゃいました。
 一重を二重にしたくらいで、別人にそっくりな顔になるんか。鼻と口と輪郭は別人なんやろ。
 昔の悪事で脅されてあたふたするような成功者なんて説得力ないんじゃ。男ならどーんと「証拠はあるのかね」くらい言え。百歩譲って脅されたいなら、そりゃしょうがないよねと思えるような描写をしてくれ。
 犯した殺人にビクビクして更に罪を重ねるなら、もっと狂気じみた描写でもしてくれんことには納得できへんわい。
 つまり先にネタありき、トリックありき、オチありきではなくて、犯罪がおきてもおかしくない土台作りに力を入れてください。って感じかな。少なくとも私はそう思いました。感想長すぎたか。
(2007/08/05)

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最終更新:2007年08月06日 00:23
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