夜桜クロエ

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夜桜クロエ - (2017/03/21 (火) 06:42:32) の編集履歴(バックアップ)


「そ:空一面の雄大な景色!
ら:ライバルだらけののフロンティア!
じ:じ、じ……じめん、タイプの技が効きませんっ!
ま:ま、ま、ま……? ま、まぁ……一度は訪れて損はございませんYO!」


槇島クロエ(まきしま -/Kuroe Makishima)

性別:女 種族:ホムンクルス/超人 身長:159cm 体重:50kg
クラス:覚醒者/マグス/探偵/ほか 
イメージアイコン:玉藻の前(Fate/Extra) イメージCV:新井里美 イメージカラー:
所属:夜明け2016卓/空島 PL:メイト

「わたくしは何一つ消し去れてなどいなかったのかもしれません。
今は増えるものを感じるばかりで……いやはや、幸福とは恵みでございますね」


外見
 桃髪金眼、半狐半人の美女。普段の表情と振る舞いがコミカルで色っぽさはあまりない。
 表情が多面的に変わりがちで、気さくに微笑んだ時など幼い少女のよう。
 一方で、一人の妻としての自覚を持ってからは包み込むような柔和さも見せるようになった。

人格
 慇懃で陽気な剽軽者。場の空気を乱す滑稽な発言ばかりを好む。
 根底の人格は善良かつ誠実で忍耐強く、内面ではいつでも他人を気にかけている。
 善性の目的に悪性の手段を用いるこをに躊躇わないが、非情になりきることはできない。

来歴
 ランデル勤務の夫を支える主婦。第一線を退いた元夜桜探偵事務所所長。

 クロエは外見から性質、そして創造目的まで何もかもが異端のホムンクルスだった。
 創造主を喪った事件を一人の少女の心を守るために自分の犯行だと偽証したことで、
 彼女に備わっていた探偵としての素質が顕在化することとなった。
 数々の事件の真相を闇へと葬り去る彼女は”迷宮探偵”の二つ名を得、
 哀しく破滅的な願いを願望器たる”炉”に叶えさせるべく空島へと向かった。

 空の果てでのクロエの変化は端的に表せられないほど絶大だった。
 彼女は、自分の生きる価値を自分で認められるようになったのだ。

 結果として、クロエは空島の神話にもっとも近づいた碩学者のひとりとなった。
 彼女の経験はいかなる価値をもつけられないほど貴重なものかもしれない。
 だからこそ、彼女は空島で得た情報こそ他の何よりも慎重に扱っている。

 地上に降りたクロエが願うのは、人としてありふれた幸せだった。
 彼女は探偵事務所の所長のポストを部下へと譲り渡し、
 他の探偵事務所や情報屋との顔役としての仕事だけを受け持つようになった。
 始まったのは、慎ましくそれでいて刺激に溢れる家庭を受け持つ女の毎日だ。

 クロエに課せられた探偵とは職業や生き方ではなく、生まれ持った運命である。
 どれだけ彼女が平穏を望もうとも否応なしに巻き込まれる事件からは逃れられない。
 しかし、クロエは案じない。彼女には帰る場所があり、また彼女が帰る場所なのだから。




能力

属性 闇・秩序・悪
起源 抹消
 夜桜クロエは今も裏で様々な情報を操っている。
 戦いのために行使しなくなった異能はより探偵としての能力に先鋭化されていく。
 いざ探偵として動き出した彼女は紛れもない人外であり、事件解決の概念そのものだ。





+ 過去ページ

「迷宮探偵」夜桜クロエ(よざくら -/Kuroe Yozakura)

年齢:26歳(ホムンクルスとしての肉体・精神年齢は32歳前後)
性別:女 種族:ホムンクルス/超人 身長:159cm 体重:49kg
クラス:異能者/なし/探偵/マグス/魔道士/覚醒者 タグ:碩学者
イメージアイコン:玉藻の前(Fate/Extra)
イメージCV:新井里美 イメージカラー:
所属:夜明け2016卓/空島 PL:メイト


「まだ事件の香りは感じられません。故に、わたくしはただの下働きでございます!
ささ、お手伝いできることがもしございましたら、
何なりとこの『迷宮探偵』へとお申し付けください!」


外見
 桃髪金眼。蒼の露出度が高い着物を見に纏った半狐半人の妖艶なる美女。
 ……なのだが、普段の表情と振る舞いがコミカルで見た目よりは色っぽく感じられない。

 楽しげな軽妙さ、嗜虐的な嘲笑、真摯で実直な視線など、表情が多面的に変わりがち。
 実年齢よりも幼げな顔つきと合わせて、気さくに微笑んだ姿は少女のようでもある。

人格
 普段は慇懃で陽気な剽軽者で、場の空気を乱す滑稽な発言ばかり。
 シビアな局面では冷酷なリアリストとして立ち振る舞う一方で、常に他人を深く慮る。
 総じてちぐはぐで捉えどころがないが、根底の人格は極めて善良かつ真面目そのもので、
 忍耐と誠実さをもって社会と個人に尽くすことを良しとしている。

 対象と程度こそ選ぶものの、善性の目的に悪性の手段を用いることに躊躇いがない。
 かつては自分を犠牲にすることを厭わなかったが、
 現在の彼女は無謀な行動を可能な限り控えるようになっている。

+ クロエの名乗りについて
 クロエの本名は『夜桜黒江(よざくら くろえ)』。
 だが、様々な理由から彼女は黒江(くろえ↑)ではなくクロエ(くろえ↓)と
 自分の名前を発音・表記していて、夜桜黒江という名前自体は肯定する。

能力
 『迷宮探偵』を自称する探偵。捜査能力に観察眼、推理などどれを取っても超一級品。
 探偵としての実力を応用した探索能力も高く、彼女一人でたいていの問題を解決できる。
 荒事では覚醒者として多種多様なトリックで敵対者を妨害する。

来歴
 錬金術士の夜桜灰釉(よざくら かいゆう)によって創造されたホムンクルス。
 創造された頃よりちょっとした事件に巻き込まれることが多く、
 その度に持ち前の聡明さと創造主からの教えを活かした推理で問題を解決してきた。


 飛び級で大学を卒業後もクロエは灰釉の元での暮らしを続けていたが、
 5年前に灰釉の殺人容疑で逮捕され、懲役2年6ヵ月・執行猶予3年の有罪判決を受ける。
 (この事実はあらゆるPCとNPCが事前に知っていてもよいものとする)

+ 起訴概略 ※一般人でも簡単に知ることのできる情報
 夜桜黒江(当時21)は5年前に殺人罪および余罪で××地方裁判所にて
 懲役2年6か月・執行猶予3年の有罪判決を受けている(控訴無し)。
 殺されたのは夜桜黒江の創造主である夜桜灰釉(享年35)。

 夜桜灰釉は以前よりアルツハイマー病の進行が著しかった。
 夜桜灰釉の遺書と現場状況に基づき警察は介護殺人と断定、夜桜黒江も自供。

 当時の夜桜黒江は魔法使いではない一般人だったことと
 創造主の命に背き難いホムンクルスという彼女の立場を踏まえ、検察も情状を酌量。
 「ホムンクルスによる哀しきマスター殺し」として当時の一部のメディアを賑わせた。

+ 事件詳細
 黒で書かれた内容は一般人でも当時のメディアやネットをくまなく調査するなどして整理できる公開情報、
 で書かれた内容は当時の報道では伏せられていた「事実」
 で書かれた内容は未明透子の『事件再現』によって導かれた「推理」
 で書かれた内容は当時の捜査では浮かび上がらなかった「真実」である。

+ 事件内容
▽事件発覚
 事件は7月13日の午後19時20分、少女A(当時17)の警察への通報によって発覚した。

 初期通報の内容は概して
 「倒れている灰釉さんを、黒江さんが刃物で刺しているのを見て、怖くて逃げた。
  床に血が広がっていた。悪夢か何かだと思う。助けてほしい」
 というものだった。

 以下は、後日の少女Aの証言から推察される発覚までの経緯である。

 少女Aは夜桜灰釉(当時35)・夜桜黒江(当時21)と懇意にしており、
 親が家を空けることの多い少女Aを夜桜灰釉と夜桜黒江は家族同然に迎え入れ、
 2人の研究施設兼自宅であるサクラ研究所の合鍵まで渡していた。

 その日の少女Aは学校行事で現地解散となった際の帰り道で、
 自分の家よりも近いサクラ研究所を訪れることにした。
 研究所の玄関の扉を開くと、研究所第一ルームにて仰向けに倒れる被害者と
 被害者の腹部に刺さった凶器を持ったまま座り込む夜桜黒江の姿があった。

 倒れている被害者は朝見白楽。
 朝見白楽は夜桜黒江にOナイフで襲い掛かり、Oナイフのセーフティロックによって自らを刺し貫かれた。

 被害者は自分の腹部に突き刺さった凶器(オポジッションナイフ、後述)を握り締め、
 夜桜黒江もその上からさらに凶器を押し込むように握り締めていたという。

 実際には、夜桜黒江は朝見白楽の懐にひとりでに刺さったOナイフを
 なんとか朝見白楽の命を奪わないように対処できないものかと試みていた。

 扉を開けた少女Aと夜桜黒江は視線を合わせ、夜桜黒江はその場で硬直。
 錯乱した少女Aは現場を後にし、およそ5分後に研究所から離れた道端で通報した。

 7月13日の午後19時45分、警察がサクラ研究所へと到着。
 発見時点で被害者は大量出血により死亡しており、
 第1ルームの隅で蹲っていた夜桜黒江を参考人として身柄確保。
 同日深夜、現場状況から夜桜黒江が夜桜灰釉殺人事件の被疑者として緊急逮捕された。

 発見された被害者の遺体は朝見白楽。
 本物の夜桜灰釉は7月12日の0時頃にくろえに殺害され、
 夜桜黒江の手で遺体を解体されていた。

▽捜査状況
 逮捕後の取り調べで被疑者はすぐに被害者の殺害を自供。
 夜桜灰釉は以前よりアルツハイマー病の進行が著しく、
 被疑者は夜桜灰釉から以前より繰り返し自身を介護殺人するよう
 要求されていたことを取り調べの中で自供した。

 被疑者の自供内容には不明瞭な点が多かったものの、
 捜査開始から被疑者の犯行を裏付ける証拠が次々と見つかった。

 遺体の死亡推定時刻は19時20分前後、少女Aの目撃情報と照らし合わせると即死となる。
 (死因から数分以内に死亡することをここでは即死と定義する)
 遺体は腹部を刃渡りの長い刃物で三箇所刺されており、すべてが致命傷。
 傷の形状はいずれも被害者と被疑者が握り締めていた凶器と一致した。

  凶器はオポジッションナイフ(以下、Oナイフ)と呼ばれるマジックアイテムで、
  夜桜灰釉自身が1週間前に何らかの伝手で入手したとされる。

  Oナイフは非魔法使いが使用しても魔法使いの空想結界を
  貫通することができる極めて特殊な刃物で、
  恐らくは非合法の刀匠が打った特注品である。

  Oナイフには魔力情報を利用したセーフティロックがかけられている。
  「夜桜黒江⇔夜桜黒江」「夜桜灰釉⇔夜桜灰釉」「夜桜灰釉⇒夜桜黒江」
  の3パターンの攻撃情報を禁止するよう入手時点で夜桜灰釉が設定しており、
  該当パターンでは自動的に刀身に障壁が張られるようになっていた。

 現場のとなった第一ルームに残っていた血痕や
 研究所内の生活物から得られたDNAも遺体のものと一致した。

 遺体は朝見白楽であり、生活物には朝見白楽のDNAも付着していた。
 朝見白楽は以前から夜桜灰釉と入れ替わりながらサクラ研究所内で生活していた。

 犯行前に夜桜灰釉から内容を見せつけられたと被疑者が主張する遺書にも、
 現場と同じ状況で夜桜灰釉を殺すよう被疑者に要求している文面が確認された。
 字体は酷く乱雑なものの、筆跡鑑定も被害者のものと一致した。

 捜査当時に発見された遺書は1枚だけだったが、実際には2枚目の遺書が存在した。
 この2枚目の遺書は警察の捜査では発見されておらず、
 朝見透子に事件現場を目撃されてから夜桜黒江が処分した。
 事件全体を偽証し、朝見透子に対して真実を覆い隠すのが遺書処分の目的だった。

 また、事件前日(12日)~事件当日(13日)までの現場周辺の聞き込み調査においても
 夜桜研究所を出入りした人間は夜桜灰釉のみであるという確度の高い情報が得られた。

 以上の捜査状況より、検察は被疑者である夜桜黒江を
 夜桜灰釉を介護殺人した容疑で起訴。●●地方裁判所にて、
 夜桜黒江には「懲役2年6ヵ月・執行猶予3年」の有罪判決が言い渡された。

▽事件背景
 夜桜灰釉は当代で完成した早熟の錬金術士である。
 とりわけ、元となる物体を部分要素のみを変えそれ以外を
 ほぼ同一の物体として完成させる「相似錬金」の分野において大きな功績を遺した。

 一方でその人物的背景においては未だ謎が多く、
 本事件の過程で警察が調査しても具体的な情報を得ることはできなかったという。
 この点においては夜桜黒江も「灰釉は自分のことをよく話さなかった」と供述している。

 夜桜灰釉は朝見白楽の体細胞クローンである。
 朝見白楽は道楽の実験として夜桜灰釉を創り出し、夜桜灰釉を完全なる支配下に置いた。

 遺伝子工学の権威であり冒険者としても名を馳せる朝見白楽によって
 夜桜灰釉はその才能を拾い上げられ、朝見白楽をパトロンとして研究を進めていく。

 また、この頃に狐変化のくろえと出会い恋に落ちていたが、
 朝見白楽は後に自分の分身となる夜桜灰釉が
 人間ではない男性相手と恋愛関係となることを認めなかった。

 くろえは夜桜灰釉の元を去らなければならず、
 5年前の事件の直前まで夜桜灰釉と夜桜黒江のことを知らずに過ごすことになる。

 しかし、若干14歳にしてホムンクルス・夜桜黒江を誕生させたことを切欠に、
 夜桜灰釉は研究者としての第一線を引き、◎◎市にて半隠遁の生活を送るようになる。

 夜桜黒江は、人間女性としてのあらゆる機能を備えた完全な肉体に、
 飾りとしての狐耳と狐尾を付与されていることが逮捕時の検査にて判明している。
 完全なる人間を目指すにしてはいささか矛盾した外形のホムンクルスは、
 公式な発表において夜桜灰釉が創った最初で最後の一体となった。

 夜桜黒江の外見は、女性であることを除きくろえと瓜二つである。
 夜桜灰釉は朝見白楽が認める形での自分が求める伴侶の理想像として
 夜桜黒江を生み出したが、とうとう最後まで彼女を妻として愛することはできなかった。

 その後、夜桜灰釉は◎◎市の郊外の研究室にて夜桜黒江と共に20年以上を過ごす。
 近郊の人々の語る創造主とホムンクルスの関係は口を揃えて「非常に良好」で、
 警察の聞き込み時に彼らの関係を夫婦関係と表現する住民もいた。

 あくまで一般人として外界で社交し飛び級で大学も卒業した夜桜黒江に対して、
 夜桜灰釉は日銭を稼ぐ程度の仕事を「町の錬金術士さん」としてこなす一方、
 ホムンクルスだけでなく人造人間さえも部分研究を続けていた。
 実際に人造人間用の素体を収める容器がサクラ研究所内の地下ルームで見つかっている。

 サクラ研究所内の研究設備は小規模ながら最先端そのものであり、
 第一線から遠ざかってからも朝見白楽とのパトロン関係は続いていたという見方が強い。

 実際の朝見白楽と夜桜灰釉の関係はパトロンではなく
 遺伝子工学者とそれが創ったクローンという創造主・被造物の関係だった。

 このように事件発生前から不穏な噂も少なくはなかったものの
 隠遁生活を送った地元においては住民達から愛されていた夜桜灰釉と夜桜黒江。
 だが、事件のあった年の1月に夜桜灰釉が倒れてからは状況が一変する。

 意識を取り戻してからの夜桜灰釉は、本来ならば長期間をかけて進行するはずの
 アルツハイマー病の中度症状に差し掛かっていた。
 やがて生活不全をきたす日が増え、外見も初老のように枯れていった。

 体細胞クローンの寿命は通常の生命体よりも短くなるとされている。
 夜桜灰釉の身体に起こっていた異変もクローンであるが故だった。

 周囲から心配されながら気丈に振舞っていた夜桜黒江も、
 7月に入り思いつめた表情を見せることが多くなり、
 時に近隣住民に涙を見せ痛切な心境を吐露することもあったようだ。

 事件の一週間前から、夜桜黒江はサクラ研究所から外に出なくなった。
 夜桜黒江の供述によれば、それからは介護殺害を求める夜桜灰釉を
 ただひたすら説得し続ける憔悴の日々が続いたという。

 くろえは夜桜灰釉の容態を聞きつけ◎◎市に向かい、
 そこで自分の代わりとして夜桜灰釉から愛されていた夜桜黒江の姿を見かける。

 激高したくろえは7月12日の0時前にサクラ研究所の煙突より第2ルーム内に侵入。
 夜桜灰釉を絞殺し、自分の存在を夜桜黒江に知らしめた上で逃走。

 夜桜黒江は失意のままに佇んでいたが、
 7月12日の朝方に夜桜灰釉の遺した遺言に従える範囲で行動を開始。
 解体機を使用して夜桜灰釉の遺体を解体し、人造人間素体として保存した。
 まだ未使用だったOナイフも洗浄。この際にOナイフの夜桜灰釉の指紋も消えた。

 7月13日の19時頃に朝見白楽がサクラ研究所に到着。
 事情を説明した夜桜黒江をOナイフで殺害しようとしたところ、
 Oナイフのセーフティロックの反射機能で朝見白楽が死亡する。

 そして7月13日の19時15分、夜桜黒江は朝見透子に現場を目撃された。
 朝見透子が事件現場から離脱した後、夜桜黒江は遺書の2枚目を処分することで
 自らが罪を被り朝見透子に対して事件の真相を隠蔽することを思いつき、これを実行。
 事件当時重い精神病を患っていた朝見透子にこれ以上のショックを与えないことがその動機だった。

 執行猶予を終えた夜桜黒江は、中に多く残る遺品ごとサクラ研究所を解体処分した。
 その後、彼女は猶予期間の間に培った経験と目覚めた異能の力により
 『迷宮探偵』の名で様々な難事件に挑んでいくこととなる。

+ 人物
▼夜桜灰釉(よざくら かいゆう)
年齢:35(当時) 性別:男 種族:人間 クラス:魔道士/錬金術士

 「相似錬金」の理論を確立した希代の錬金術士。

 経歴および人物的背景については不明な点が多い。
 児童養護施設に預けられていた頃から類稀なる才覚を発揮。
 若干9歳にして錬金術士として多様な研究を手掛ける。

 夜桜灰釉は朝見白楽の体細胞クローンである。
 彼の出自背景などもすべて朝見白楽によってコントロールされたものだった。

 また、この頃から狐変化のくろえと出会い恋に落ちていたが、
 朝見白楽は後に自分の分身となる夜桜灰釉が
 人間ではない男性相手と恋愛関係となることを認めなかった。
 夜桜灰釉は朝見白楽が認める形での自分が求める伴侶の理想像として
 夜桜黒江を生み出したが、とうとう最後まで彼女を妻として愛することはできなかった。

 朝見白楽をパトロンとしてからは研究が飛躍的に進歩し、
 14歳にしてホムンクルス「夜桜黒江」を想像する。
 しかし、これを機に錬金術士としての公の場での活動を辞め、
 ◎◎市にて半隠遁の生活を夜桜黒江と共に送るようになる。

 事件が起きた年の1月に倒れ、主治医よりアルツハイマー病と診断される。
 倒れた際も、その後も、病院に入院することは一切せず、
 夜桜黒江の介護の元でサクラ研究所での生活を続けていた。

 5年前に夜桜黒江によって介護殺害され、その人生を終える。

 実際に彼を殺したのは煙突からサクラ研究所に侵入したくろえである。
 絞殺したくろえが現場から立ち去った後、彼の遺言に従った夜桜黒江によって
 夜桜灰釉の遺体は解体素体化されたため、警察の捜査で発見されることはなかった。

 あらゆる社会規範や一般常識に忠実かつ常に公明正大で慈愛にも溢れる、
 ある種の理想像的な人格者として◎◎市の人々からも慕われていた。
 一方で事件後に地下で人造人間の研究に携わっていたことが明らかになるなど、
 現在でもその短い生涯は多くの謎に包まれている。

 理想的人格者としての夜桜灰釉は彼が表向き演じていた立場であり、
 夜桜灰釉は朝見白楽によりそのような立ち振る舞いを命じられていた。

 夜桜灰釉の老化が進んだ晩年は、朝見白楽が夜桜灰釉になりすまし
 サクラ研究所に夜桜灰釉として立ち寄り生活をすることがあった。

 「夜桜灰釉殺人事件」で発見された遺体は朝見白楽であり、
 夜桜灰釉本人は7月12日の0時頃にくろえに殺害され、
 夜桜黒江の手で遺体を解体されていた。

▼夜桜黒江(よざくら くろえ)
年齢:21(当時) 性別:女 種族:ホムンクルス クラス:非魔法使い(当時)

 夜桜灰釉が創造した最初で最後のホムンクルス。

 少女相当の外見と知識を得た状態で夜桜灰釉によって生み出されて以来、
 彼に真摯に付き従うホムンクルスとして生涯を共にした。

 ホムンクルスは創造主の考える「完全な人間」において不要な機能は
 排除されることも多いが、夜桜黒江は人間女性としてのあらゆる機能を備えた上で
 本来の機能が失われた飾りとしての狐耳と狐尾を付与された形で創られている。

 夜桜黒江は、くろえとの交際関係を朝見白楽に立ち切られた夜桜灰釉が
 「朝見白楽に認められる形での理想像としての妻」として創られた。
 このため、女型であるという点を除きくろえと夜桜黒江の外見は瓜二つである。

 それ以外の面はごく一般的なホムンクルスと言ってよく、
 知性や運動能力は相応に高いが極端な調整が施されている訳でもない。

 仕事以外で表に出ることの少ない灰釉に代わって外界で社交し、
 大学卒業までの学歴を飛び級で修めるからはサクラ研究所の唯一の研究員として活動。
 夜桜灰釉が倒れてからも献身的な介護を続けていたが、
 やがて夜桜灰釉から介護殺害を依頼され、説得と苦悩の末に実行し殺人罪で逮捕される。

 この夜桜黒江殺人事件で発見された遺体は朝見白楽であり、
 本当の夜桜灰釉は1日前に絞殺され、夜桜黒江の手によって解体素体化された。
 ただし、どちらの殺人にも夜桜黒江は関わっておらず、
 夜桜黒江は警察の捜査と裁判において自分が夜桜灰釉殺しの犯人であると偽証した。

 また、夜桜黒江は精神病を患っていた朝見透子のカウンセラーだった。
 重い精神病を患っていた朝見透子が事件現場を発見してしまい、
 ただでさえ著しいショックを受けた上に事件関係者を巡る真実の数々を透子が知った場合
 透子の精神が取り返しのつかない異常をきたす可能性を危惧し、夜桜黒江は事件の真相の隠蔽を図った。

 持ち前の利発や聡明さをひけらかすことをよしとしない、
 明るく剽軽で親しげな人物として夜桜灰釉と共に人々から慕われていた。
 夜桜灰釉のことは、さながら愛する夫のように語っていたという。
 小規模な事件に巻き込まれることも多々あり、その度に探偵然とした推理を披露していた。

 夜桜灰釉と夜桜黒江に実際に夫婦関係は存在せず、
 夜桜黒江は夜桜灰釉に従う形で彼との愛情を外部の人々へアピールしていた。

 そんな夜桜黒江も、夜桜灰釉が倒れてから事件までの期間は
 苦々しく思いつめた様子を伺わせることが増えたという。

 そして5年前、夜桜灰釉を介護殺人した罪で逮捕。
 懲役2年6ヵ月・執行猶予3年の有罪判決が言い渡された。

 事件後の執行猶予期間中は旧知の仲だった暮沼真水に身元を預け、
 のちに探偵として活動するための様々な知識と経験を蓄積していく。
 また、第1回公判後しばらくして異能者としての力と探偵としての資質が顕現した。

 2年前に正式に探偵活動を開始し、
 現在は空島に「夜桜探偵事務所」を設立している。

▼少女A(しょうじょ -)
年齢:17(当時) 性別:女 種族:人間 クラス:非魔法使い(当時)

 夜桜灰釉殺人事件の通報者であり、第一目撃者。

 本名は「朝見透子(あさみ とうこ)」。
 世間的には朝見白楽の遠縁ということになっているが、実際は白楽と血の繋がった娘。

 親が家を空けることの多い少女Aと夜桜灰釉・夜桜黒江は事件前から懇意にしており、
 3人が会った時は家族同然のやり取りをしていたことを地元住民達も証言している。

 朝見透子は事件当時家庭問題で重い精神病を患っており。
 夜桜黒江からカウンセリングを受けていた。

 通報時や事件直後の事情聴取では警察に対して
 夜桜黒江の犯行であると消極的に認める姿勢を取っていたものの、
 第1回公判で検察側の証人として証言台に立った際は
 「自分が目撃したものは夜桜黒江の犯行の瞬間ではない以上、
  彼女が夜桜灰釉殺害の犯人であることの補強にはなり得ない」
 と、一貫して夜桜黒江の無実を主張し続けた。

 当時の報道はもちろん、警察の内部資料でさえ彼女の名が伏せられていたのも
 精神病患者である彼女の心身を守るために情報規制が敷かれたからだった。
 朝見透子の精神病が事件の影響で変質したものが、彼女の空想術の”事件再現”である。

 地方裁で夜桜黒江に有罪判決が下ると、高校卒業後に失踪。
 再び世間に姿を現した頃には「未明透子(みめい とうこ)」と改名しており、
 数々の未解決事件を解決する『再現探偵』としてその名が知られるようになった。

▼朝見白楽(あさみ はくらく)
年齢:55(当時) 性別:男 種族:人間 クラス:非魔法使い

 遺伝工学者兼冒険者。

 朝見家は代々続いて生物学者を輩出し続けた家系で、
 朝見白楽は幼少期より遺伝工学者の彼芝潤の元で師事した。

 15歳の時に失踪。不通の間冒険者として世界を巡り、
 20歳で日本へと帰国。以後、およそ5年の区切りで公の舞台から姿を消すようになる。

 継続的に学会で発表を行わないため研究者としての正式な資格は取得していないが、
 世間に現れるたびに爆弾のような研究成果を併せて発表する。
 冒険者としての活動も精力的で、いくつかの自著も出版している。

 豪放磊落な性格で、会見での発言が物議をかもしたこともある。
 一般人の前に姿を現す際は常にサングラスに帽子をかぶり髪形や髭まで毎回変わるため、
 朝見白楽の素顔を見たことがある者は誰もいないとまで噂されている。

 朝見白楽は自身の体細胞クローンとして夜桜灰釉を創り出しており
 特に夜桜灰釉の老化が進んだ晩年は外見が瓜二つとなっていた。
 朝見白楽は夜桜灰釉を創り出した時から晩年に彼と成り代わる計画を立てていた。

 5年前に空島が発見されるや否や、空島への冒険計画を立案して消息を絶つ。
 以来、朝見白楽の消息を伝える明確な発表はなされていない。

 朝見白楽は夜桜灰釉の症状が悪化して以降
 サクラ研究所に夜桜灰釉としてなりすまし生活するようになる。

 『5年前の事件』にて、夜桜黒江をOナイフで襲ったことで
 Oナイフのセキュリティロックにより自ら命を落とす。
 彼の遺体を警察は夜桜灰釉のものであると誤認した。

▼くろえ(-)
年齢:34(当時) 性別:男: 種族:幻想種(変化) クラス:戦士/探索者

 桃色の毛並みを持つ美しい狐変化。
 人前では狐の姿でいることを好み、人型を見せるのは本当に気を許した相手だけだった。

 少年時代の夜桜灰釉と交際関係にあったが、
 それを認めない朝見白楽によって夜桜灰釉との関係を切り離されてからは、
 一匹の狐として人界から離れて暮らすようになった。

 だが、偶然に夜桜灰釉の容態の悪化を聞きつけ◎◎市へとくろえが向かうと、
 夜桜黒江と夫婦関係を結んでいる夜桜灰釉を目撃する。
 くろえは7月13日の0時前にサクラ研究所へと煙突から侵入し夜桜灰釉を殺害。
 夜桜黒江に対して彼女が創造された理由を叩き付け、逃走した。

 『5年前の事件』以降の彼は何者も自分自身も信じられない正確へと変わり果て、
 やがて変化の寿命として老化が進み、1年前に某市の病院内にて死に至る。
 入院後も、今際の時さえも、誰も見舞いに来ることのない孤独な最期を迎えた。

+ 時系列
※事件1週間前~事件発生までの時系列は夜桜黒江の供述に基づいたもの

▼事件から35年前
 夜桜灰釉誕生
 朝見白楽の体細胞クローンとして夜桜灰釉は生を受ける

▼事件から20年前
 夜桜灰釉、若干9歳にして錬金術士として高い才能を示す
 朝見白楽、夜桜灰釉の才能に目をつけて後援を開始
 これらのシナリオは朝見白楽によってコントロールされたものだった

▼事件から23年前
 夜桜灰釉、「相似錬金理論」を発表
 この時期から夜桜灰釉とくろえが交際を開始するも、
 朝見白楽が夜桜灰釉とくろえの関係を強制的に解消させる
 くろえは人界を離れて一匹の狐として暮らすようになり、
 夜桜灰釉はくろえに代わる理想像の妻として夜桜黒江の計画を開始した

▼事件から21年前
 夜桜灰釉、自身初のホムンクルスである「夜桜黒江」を創造
 同時に錬金術研究の第一線を引き、◎◎市にて半隠遁の生活を送るようになる

▼事件から20年前
 夜桜灰釉と夜桜黒江、◎◎市にて「サクラ研究所」を設立
 以後20年間を◎◎市にて過ごす

▼20XX年1月
 夜桜灰釉がサクラ研究所内にて倒れる
 主治医によってアルツハイマー病の中度症状と診断される

▼20XX年2月~6月
 夜桜灰釉の病状が徐々に進行
 肉体的な老化現象も観察される
 この時期から、朝見白楽がもうひとりの夜桜灰釉としてサクラ研究所内で生活するようになる

▼20XX年7月6日
 夜桜灰釉がOナイフを入手、3種のセーフティパターンを設定
 夜桜灰釉が夜桜黒江へ自身の介護殺害を依頼し始める
 夜桜灰釉の容態について聞きつけたくろえが夜桜黒江の存在と2人の関係を知る

▼20XX年7月12日0時00分
 排気中の煙突からくろえがサクラ研究所内に侵入し、夜桜灰釉を絞殺
 その際にくろえは第2ルームの硝子棚に夜桜黒江を叩き付け、
 夜桜黒江に彼女が創造された理由を言い捨て、そのまま逃走

▼20XX年7月13日6時56分
 夜桜黒江が遺言に従い、解体機で夜桜灰釉の遺体を解体後、保管容器にて素体化させる
 その後Oナイフを洗浄し、寝室へと戻す

▼20XX年7月13日18時53分
 朝見白楽がサクラ研究所に到着

▼20XX年7月13日19時15分
 夜桜黒江、サクラ研究所第1ルームにて被害者への殺害を実行
 実際に殺害を図ったのは夜桜灰釉に扮した朝見白楽であり、
 殺されそうになったのは夜桜黒江の方である
 朝見白楽はOナイフのセーフティロックの反撃により命を落とした

▼20XX年7月13日19時20分
 少女Aが犯行現場を目撃、錯乱のまま少女Aは現場から退避

▼20XX年7月13日19時25分
 少女Aが警察に通報

▼20XX年7月13日19時39分
 夜桜黒江が一時的に異能に目覚め、
 遺言の2枚目をパイロキネシスで焼却

▼20XX年7月13日19時45分
 警察がサクラ研究所へと到着、被害者の死亡を確認
 夜桜黒江を参考人として身柄確保

▼20XX年7月13日深夜
 警察、夜桜黒江を夜桜灰釉殺人事件の被疑者として緊急逮捕

▼20XX年7月14日
 夜桜黒江、取り調べにて夜桜灰釉の殺害を自供

▼20XX年7月23日
 検察、夜桜黒江を夜桜灰釉殺人事件の被疑者として起訴

▼20XX年9月XX日
 夜桜灰釉殺人事件の第1回公判が●●地方裁判所にて行われる
 判決は「懲役2年6ヵ月・執行猶予3年」の有罪判決
 夜桜黒江は控訴せず、有罪が確定

▼事件から3年後
 夜桜黒江の執行猶予期間が終了する
 夜桜黒江、サクラ研究所を解体処分

+ 現場
▼サクラ研究所
 ◎◎市の郊外に存在した研究所。
 研究所と言っても、実験気体廃棄用の煙突以外の外観は一般住宅とそう変わりない。

 この実験気体排気用煙突は第2ルームの排気口へと繋がっている。
 煙突の内部は狭く入り組んでおり人間が通り抜けるのは不可能。

 狐変化など、人間より小さく柔軟な生物はこの煙突を通り抜けることができる。
 実際にくろえはこの排気口から出入りし夜桜灰釉を絞殺した。

 一階に玄関、第1ルーム、第2ルーム、夜桜灰釉の私室、夜桜黒江の私室、
 他トイレや洗面室や浴室、キッチンなどの各種生活空間が存在し、
 第2ルームに存在する隠し階段から地下ルームへ降りることができる。

 執行猶予期間が終わった直後、夜桜黒江はサクラ研究所を解体処分した。現在は更地。

▼第1ルーム
 サクラ研究所の玄関から入って最初の部屋であり、夜桜灰釉殺人事件の犯行現場。

 大きな洋室で、部屋の隅に実験設備がまとめられているものの、
 実質的に実験室ではなく、リビングルームとして使われていた。

 第1ルームと第2ルームは来客に対してサクラ研究所が
 一応は研究施設であることの体裁を示す場所であり、
 本格的な研究は第1ルームや第2ルームではなく地下ルームにて行われていた。

▼第2ルーム
 サクラ研究所の第1ルームから続く部屋。

 こちらも大きな洋室で、実質的なダイニング。隠し階段から地下ルームに、
 対角に配置された扉から夜桜灰釉と夜桜黒江それぞれの私室へと繋がっている。

 第2ルームの排気口は排気用煙突から外へと繋がっている。
 煙突の内部は狭く入り組んでおり人間が通り抜けるのは不可能。

 狐変化など、人間より小さく柔軟な生物はこの煙突を通り抜けることができる。
 実際にくろえはこの排気口から出入りし夜桜灰釉を絞殺した。

 夜桜灰釉と夜桜黒江は地元の人々を研究所に招くことも少なくなく、
 中には自分達の寝室に誰かを泊めてしまうこともあったという。
 そのため、「地下の研究室」の存在自体は知れ渡っていたが、
 実際に地下でどのような研究が行われているかを知る地元住民はいなかった。

▼地下ルーム
 第2ルームの隠し階段から降りることのできる、サクラ研究所の主要研究室。

 夜桜灰釉の当時の収入では維持できないと思われる最先端設備が整えられている。
 実験内容は錬金術・ホムンクルス・人造人間についてが中心。

 事件後の調査にて、法的処理から逃れた違法使いの死体等を
 夜桜灰釉が裏で買い取り実験を行っていたことが明らかになった。
 一個人の魔法使いの活動としては限りなく黒に近いグレーを渡っていたようだ。

 夜桜灰釉が絞殺された後、夜桜黒江は遺言の一部に従い
 夜桜灰釉の遺体を解体、素体化保存した。

▼夜桜灰釉の寝室
 夜桜灰釉の私室も兼ねた寝室。
 発見当初は荒れに荒れ果てていた。

▼夜桜黒江の寝室
 夜桜黒江の私室も兼ねた寝室。
 発見当初は荒れに荒れ果てていた。

+ 物証
▼被害者の遺体
 サクラ研究所・第1ルームにて発見された遺体。

 死亡推定時刻は19時20分前後、死因は大量出血による失血死。
 致命傷は腹部の三箇所の刺傷ですべてが致命傷。
 1カ所にはOナイフが突き刺さったままで、
 ナイフが抜かれた2カ所から流れ出た血が死を招いたとされる。

 傷跡の形状はOナイフのものと完全に一致しており、自殺による躊躇い傷ではない。
 遺体の表情は死の驚愕が色濃く残る凄惨なものだった。

 この遺体は朝見白楽である。
 2箇所の刺傷はいずれも朝見白楽が夜桜黒江を襲おうとした結果
 Oナイフのセーフティロックによって自ら貫かれた傷である。

▼遺体のDNA鑑定
 遺体のDNA情報は、殺害現場に広がっていた血痕や
 ダイニングにあった食器、寝室のシーツなどから採取したDNA情報と一致した。

 これらの検出されたDNA情報は朝見白楽のものであり、
 鑑定結果が一致した遺体も朝見白楽である。

 DNAは個人個人によって完全に情報であり、
 DNAがまったく同じ別人はいかなる方法においてもこの世に存在しないとされている。
 鑑定自体の精度も極めて高く、科学捜査技術として信頼されている。

▼殺害現場の状況
 遺体は第1ルームの中央に仰向けに横たわっており、
 腹部からの大量の出血が第1ルームに広がっていた。
 遺体の腹部には警察の発見段階でもOナイフが突き刺さったままだった。
 また、テーブルの一部などOナイフによってつけられたとされる傷が散見された。

▼オポジッションナイフ(Oナイフ)
 被害者自身が事件の1週間前に何らかの伝手で入手したとされるマジックアイテム。
 被害者と夜桜黒江の両者の指紋が付着している。

 7月13日の7時頃にナイフは夜桜黒江によって完全に洗浄されており、
 それから朝見白楽が触れるまで一切の指紋が付着していなかった。

 刃渡りの非常に長い鋭利なナイフで、柄から先は電子制御ウィンドウが表示されている。
 普段は専用のケースによって保管されており、そちらは夜桜灰釉の寝室で見つかった。

 非魔法使いが使用しても魔法使いの空想結界を貫通することができる反面、
 非魔法使いが別の非魔法使いを攻撃しようとすると
 疑似的な空想結界を認識して弾かれてしまうあべこべの剣。
 恐らくは非合法の刀匠が打った特注品と考えられる。
 夜桜灰釉は夜桜黒江に自身を殺させることを目的でこの凶器を準備したとされる。

 Oナイフには魔力情報を利用したセーフティロックがかけられている。
 「夜桜黒江⇔夜桜黒江」「夜桜灰釉⇔夜桜灰釉」「夜桜灰釉⇒夜桜黒江」
 の3パターンの攻撃情報を禁止するよう入手時点で被害者が設定しており、
 該当パターンでは自動的に刀身に障壁が張られるようになっていた。

 また、これらのセーフティロックに加えて
 攻撃不能対象自体に「夜桜黒江」が設定されていた。
 夜桜灰釉自身が万が一夜桜黒江を傷つけることがないようにと設定した機能。
 攻撃不能対象へ攻撃した場合は、逆にナイフの所持者へとナイフ自体が反撃する。

 この反撃機能により、夜桜黒江を襲おうとした朝見白楽は命を落とすことになった。

 製造者が不明であり発見段階でナイフの魔力残量がかなり少なかったことから、
 各機能の具体的な挙動は捜査段階で解明されておらず、
 夜桜黒江もごく断片的にしか教えられていなかったと供述している。

▼痛んだ棚
 第二ルームに存在するガラスが割れ血痕の付着した棚。
 こちらの血痕はDNA鑑定の結果夜桜黒江のものと判明した。
 血痕は完全に乾ききっており、棚の状態などと合わせて
 少なくとも事件前日よりも前に何らかの出来事で破損したものと見られる。

 7月13日の0時前に夜桜黒江はこの棚に後頭部を激突させている。
 夜桜灰釉を絞殺中だったくろえに突き飛ばされたことがその原因。

▼確保当時の夜桜黒江の身体状態
 参考人として確保当時、夜桜黒江は後頭部に裂傷を負っていた。
 事件より以前に夜桜灰釉によって突き飛ばされ、
 第2ルームの棚に頭を叩きつけられたことで負った怪我と夜桜黒江は供述している。

 また、それ以外にも夜桜黒江は顔などにいくつか殴られた痕を負っていた。
 こちらも介護殺害の命令を無視し続けた結果
 夜桜灰釉によって与えられた傷だと夜桜黒江は供述している。

 実際に夜桜黒江を突き飛ばし傷つけたのは夜桜灰釉ではなく、くろえである。

▼研究設備
 地下ルームに存在する最先端研究設備。

 特に人造人間についての研究は地下ルーム奥の特別区画にて行われており、
 入手した死体を素材(ここでは、死体の一部)それぞれ別のサイズに解体する設備や、
 素材をパーツ分けして容器内に保存する設備までもが存在する。
 容器に保存した素材は1日ほどで状態が均一・最適化される。

 病状が悪化してからも夜桜灰釉は実験を続けていたと夜桜黒江は供述しており、
 実際にOナイフが届き事件が起きるまでの1週間に限っても
 この地下ルームの各種設備が使用された形跡が残されていた。

 7月12日の6時56分に
 夜桜黒江によって解体機が使用され、夜桜灰釉の遺体が解体されている。
 解体した遺体は『保管容器』に保存され、素体として均一化された。

▼夜桜灰釉の遺書
 夜桜灰釉の寝室から発見された遺書。
 1枚のルーズリーフにボールペンで罫線を無視して書き殴られており、
 筆跡鑑定が夜桜灰釉本人のものと一致した。

 『ぼくはきみにころされないといけないんだよ
  さいごまでだめだったぼくをゆるしておくれ くろえ
  ぼくのおなかにナイフをつきたてて そうだ』

 この遺書には当時の捜査では発見されなかった2枚目が存在した。

 『ぼくのからだをばらばらにのそたいにして
  ナイフはきれいにしてもとにもどしておいて
  ごめんね、黒江 ごめんね、くろえ』

 この2枚目の遺書は7月13日の19時39分に
 夜桜黒江の手によって処分されている。

+ 証言
▼夜桜黒江の供述概要
 「事件の1週間前から夜桜灰釉が私にOナイフを見せ、
  私への介護殺人をたびたび要求するようになりました。
  私は必死に彼への説得を続けましたが聞き入れてもらえず、
  次第に彼は私に対して殴る、蹴る、突き飛ばすなどの暴行も加えるようになりました。

  事件当日、特に事件の起きた瞬間のことはよく覚えていません。
  ただ、彼からナイフを受け取ったその場で彼の腹を突き刺し、
  倒れた彼からナイフを引き抜き、さらに二度突き刺しましたことは分かります。

  少女Aが入ってきて目が合った時に、私はようやく自分のしたことを理解しました」

 夜桜黒江は被害者をOナイフで刺していない。
 夜桜黒江の供述は偽証である。

▼少女Aの通報概要
 「倒れている灰釉さんを、黒江さんが刃物で刺しているのを見て、怖くて逃げた。
  床に血が広がっていた。悪夢か何かだと思う。助けてほしい」

▼夜桜灰釉の担当医の証言
 「1月某日に夜桜黒江からの連絡を受け、サクラ研究所にて夜桜灰釉を診察した。
  夜桜黒江に尋ねる限りではアルツハイマー病の初期症状は見られなかったらしく、
  かと言って中度症状が唐突に起きるというケースも類を見なかったため、
  一度大きな病院に入院してきちんとした検査を受けることを強く勧めた。
  夜桜黒江も私に同調していたが、夜桜灰釉本人は断固として入院を拒否した」

  夜桜灰釉が医療機関での検査を拒否したのは
  自身が朝見白楽のクローンであることの発覚を防ぐためだった。
  また、このため夜桜灰釉のDNA情報はあらゆる公的機関に保存されていなかった。

▼地元住民達への聞き込み調査
 ・夜桜灰釉の病状は日によって大きくムラがあるようだった。
  夜桜黒江の介護なしには満足に外を歩けそうにない日から、
  一人でそれまでのように歩く姿までばらつきがあったらしい。

  夜桜灰釉の老化が進んでからは、
  サクラ研究所では夜桜灰釉と夜桜灰釉に成りすます朝見白楽が生活をしていた。
  病状のムラはそもそも日によって『夜桜灰釉』が別人だったことに起因する。

 ・事件1週間前~事件当日にかけて、外出・帰宅する夜桜灰釉以外に
  サクラ研究所に出入りする人間は見られなかった。
  目撃された夜桜灰釉はいずれも大きな手荷物など持たない
  手ぶらに近い格好の徒歩で出歩いていたという。

  最後に夜桜灰釉が目撃されたのは事件当日の19時頃。
  一人で出歩きからサクラ研究所へと戻って来ていた。
  また、サクラ研究所近辺を一人で歩く夜桜灰釉の姿が目撃されたのは
  事件1週間前~事件当日まででこの1度だけである。

  この地元住民達から目撃された人物は夜桜灰釉になりすましていた朝見白楽である。
  朝見白楽は以前より夜桜灰釉になりすましサクラ研究所で生活していたが、
  少なくとも事件前一週間からサクラ研究所を開けており、事件当日に帰ってきた。


 裁判後、クロエは探偵として活動するための準備を進め、
 執行猶予期間を終えたところで『迷宮探偵』としての本格的な活動を開始。

 空島にて「夜桜探偵事務所」を設立後は己の信念に基づいた探偵活動を続けていたが、
 個人的に追っていたフリッツ・ウェーバー=アイゼンエルツとの戦闘をきっかけに
 能力と行動において厄介な人物として空島の違法使い達から悪い注目を集めてしまい、
 「夜桜探偵事務所」を閉所し調査員2人を避難させ、宿を点々とする生活を送っていた。

 現在は身の安全の確保のために、特務三佐・槇島亮治の管轄で
 自身と調査員の身柄をランデル機構に一時的に預け、ゴライアス内で寝泊まりしている。
 フリッツの死後も空島で続く異変が終わるまでの間は島とランデルに残ることを決めた。
 すべての決着が着いた後も、亮治の伴侶として終生を共にしようと考えている。

+ 関連NPC

未明透子(みめい とうこ)

年齢:22 性別:女 種族:人間 クラス:魔道士/魔道博士/空想術士/探索者
イメージアイコン:霧切響子(ダンガンロンパ3 The End of 希望ヶ峰学園)
イメージCV:大本眞基子

「必ず真相を解明する。私は、そのために探偵になったのだから」


 『再現探偵』の異名を取る探偵。

 未明透子は事件の因果に巻き込まれてしまった探偵ではなく、
 探偵という役割をあえて選んでいる空想術士である。
 探偵としての能力は特に推理に長け、わずかな情報からでも真実への足掛かりを掴む。

 また、透子の最大の特徴は異名が語る「事件再現」である。
 過去の事件の起きた状況を異界によって再現する、反則級の探偵劇場。

 ただし、「事件再現」はあくまで彼女の創り出した空想の産物でしかないため、
 実際に効力が存在する証拠物として扱われることはない。
 知られていない様々な発動条件やデメリットなども存在するらしい。

 彼女はこの「事件再現」を捜査の足掛かりにするほか、
 自分が興味を持った未解決事件や時効事件などを解き明かす手段としても用いている。

+ 『事件再現』について
 透子の『事件再現』には【3つのルール】と《2つの制限》が存在する。

【ルール1:『事件再現』を行うには、事件関係者から一定の感情を寄せられている第三者をワトソンに指名しなければならない】
【ルール2:『事件再現』中、探偵は『安楽椅子』の上に座り魔力を供給し続けなければならない】
【ルール3:『事件再現』に携わることができるのは、探偵とワトソンだけである】
《制限1:事件を完全に解明しない限り、『事件再現』中は登場人物やそれに直接付随する証拠の再現は行えない》
《制限2:『事件再現』において、時系列は0時と12時の『12時間おき』にしか動かすことができない》

 ルール1補足:『5年前の事件』において、「事件関係者」とは「夜桜クロエ」を、
       「一定の感情を寄せられている第三者」とは
       「夜桜クロエから[好奇心][期待]以外の好意的感情を持たれているPC」を指す。

 ルール2補足:『安楽椅子』とは、彼女がディメンションラックに入れて携帯している
        個人用礼装・マジックアイテムである。見た目は変哲のない古めかしい椅子。

        『事件再現』で展開する異界の維持には膨大な魔力と体力が必要となるので、
        1日に『事件再現』が可能な時間は極めて短く、連続使用もできない。

 ルール3補足:ルール2と併せ、『事件再現』された異界内を捜査できるのはワトソンだけ。
        『安楽椅子』に座り続る透子は推理に徹することとなる。

 制限1補足:つまり、事件の決定的瞬間を目撃することはできない、ということである。
      直接付随する証拠とは、例を挙げれば犯人が所持している凶器など。

 制限2補足:メタ的には、『5年前の事件』において調査すべき時間軸は
      ■7/12 0:00■7/12 12:00■7/13 0:00■7/13 12:00の4つである。

 これまでの捜査内容は未明透子を通して彼女と邂逅する全PCと共有される。

 『事件再現』過去ログ:「Ⅰ」 「幕間」 「Ⅱ」 「Ⅲ」 「Ⅳ」

東雲清香(しののめ きよか)

年齢:23 性別:女 種族:人間 クラス:戦士/探索者/探偵
イメージアイコン:朝日奈葵(ダンガンロンパ3 The End of 希望ヶ峰学園)
イメージCV:内山夕実

「現場の調査ならあたしにまっかせて! 砂粒一つだって残さないんだから!」


 『再現探偵』未明透子の助手(ワトソン)。

 推理を中心に行う未明透子に対して、現場や近辺を走り回っての調査活動を得意とする。
 と言ってもガサツな体力派ではなく探偵助手として適切な観察眼も併せ持っている。
 空島で活動を始めた透子を見送り、清香は地上に残って透子のために情報を集めている。

+ 夜桜探偵事務所
 『迷宮探偵』夜桜クロエが所長を務める空島中層の探偵事務所。

 一般の興信所のような「行動調査」にはじまり、
 「行方調査・信用調査・身辺調査・保険調査・情報調査・法人調査」に加え、
 クロエが専門としている「犯罪調査」など、ありとあらゆる調査活動を行っている。

 事務所の場所と所長であるクロエの身分までは公開されているが、
 調査員の人数などのその他の情報は一切開示されていない。
 その実態は、所長のクロエに調査員の暮沼真水・宵奈良無地乃、
 新米調査員の蘭野貞介・竹谷あき・菊池りえ、事務員の梅庭計一、
 計7人体制でやりくりしている小規模探偵事務所である。

暮沼真水(くれぬま しんすい)

年齢:40代 性別:男 種族:人間 クラス:なし(非魔法使い)
イメージアイコン:黄桜公一(ダンガンロンパ3 The End of 希望ヶ峰学園)

「なんでもかんでもおじさんに押し付けられちゃ困っちゃうよ。最近は張り込みも腰にキッツいんだ」


 夜桜探偵事務所の所属調査員。気だるげだが抜け目のない中年。
 主に下見調査に貼り込み、尾行などの内偵を担当する。

 夜桜クロエとは彼女が幼少の頃に出会い、かれこれ20年来の付き合い。
 元から各地で探偵活動を行っていた真水だったが、
 夜桜灰釉殺人事件の裁判後はクロエの身元引受人となり、
 彼女が執行猶予を終えて探偵活動を開始するまでを支えた。

 現在もクロエの右腕として彼女の元で調査員を務めている。
 内偵は何よりも長年の経験がものを言う仕事であるため、クロエよりも秀でている。
 真水はクロエのことを実の娘のように想っているが口に出すことはない。

宵奈良無地乃(よいなら むじの)

年齢:20 性別:女 種族:人間 クラス:マグス/学徒/探索者/探偵
イメージアイコン:雪染ちさ(ダンガンロンパ3 The End of 希望ヶ峰学園)

「あまりに由々しき事態ですね……だからこそ、燃えてきましたよっ!」


 夜桜探偵事務所の所属調査員。いつもやる気満々な倹約家。
 スイッチが入った時の集中力は凄まじく、あらゆる作業を高速かつ精密にこなしていく。

 2年前、クロエが探偵活動を開始して早々に巡り合った事件にて、
 当時高校3年生だった無地乃は無実の罪で起訴されそうになっていた。
 彼女の冤罪を証明する糸口となる証拠をクロエが掴んだため、無地乃は無事釈放される。
 この事件をきっかけに無地乃はクロエに憧れ、とうとう空島までついてきてしまった。

 地上にクロエが下りた暁には探偵事務所を引き継ぎあらたに所長を務める予定。
 さらに新米探偵たちの教育までも一任されているためてんやわんやの毎日。
 これだけの仕事を押し付けられようとも、当人はクロエからの信頼の証とポジティブ。

蘭野貞介(らんの ていすけ)

年齢:16 性別:男 種族:忍者 クラス:戦士/探索者/探偵
イメージアイコン:九頭龍冬彦(スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園)

「……チッ。ジロジロ見てんじゃねえよ」


 夜桜探偵事務所の所属新米調査員。主に内偵と護衛を担当。

 常に他人と距離を置こうとする不良調査員。背が低いのを気にしている。
 夜桜探偵事務所への所属のきっかけは真水に憧れたからで、
 それ故にか真水に対してだけは一定の信頼を置いている。

竹谷あき(たけや -)

年齢:17 性別:女 種族:人間 クラス:聖職者/狩人/探偵
イメージアイコン:小泉真昼(スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園)

「ほらほら、もたもたしてないでテキパキ動く!」


 夜桜探偵事務所の所属新米調査員。主に鑑定と現場撮影を担当。

 人当たりがよい優等生タイプ。反面、身内には若干キツいところがある。
 新米4人組の中では常識人であり、リーダー格として他の3人を引っ張ることが多い。
 ただし、稀に持ち前の盗撮癖が暴走してトラブルを引き起こすことがある。

菊池理恵(きくち りえ)

年齢:18 性別:女 種族:混血 クラス:魔道士/魔道博士/探偵
イメージアイコン:罪木蜜柑(スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園)

「ゆ、ゆゆ、許しでぐだざぁいっ!!!!」


 夜桜探偵事務所の所属新米調査員。主に現場捜査と推理を担当。

 にわかには信じがたいレベルのおっちょこちょいで、訳の分からないドジを連発する。
 とにかくネガティブで自己評価も低く、夜桜探偵事務所の厄介の種。
 一方で探偵としての潜在能力は非常に高く、時に無地乃さえも舌を巻く推理を披露する。

梅庭計一(うめにわ けいいち)

年齢:17 性別:男 種族:人間 クラス:なし(非魔法使い)
イメージアイコン:左右田和一(スーパーダンガンロンパ2 さよなら絶望学園)

「こんな状況でも動じない無地乃さん流石っす!!」


 夜桜探偵事務所の所属事務員。事務専門であり、調査員としての活動は行っていない。

 無地乃やクロエによく色目を使い、そのたびにあきから窘められている。
 事務員としては割と有能なのだが、態度が災いして事務所内でのカーストは一番下。
 調査員の大半が出払った際にはわたわたと指揮を担当することもある。



Pick Up

「之より『探偵劇場』の幕開けでございます!
事件あるところに探偵あり。真実を余さず解明いたしましょう!」


 夜桜クロエは不確定要素を消し去り真実を導き出す探偵である。

 探偵の創り出した最終章の中では、犯人の都合は一切合切認められない。
 足を折られ腕を潰されるかのように犯人は自由を失っていき、
 迷宮の最奥へと追い詰められ、あらゆる選択肢を奪われた絶望の淵へ叩き落とされる。

 一方で、事件時以外の普段のクロエは従順な仕え人である。
 下調べから情報整理、結末を導く推理に至るまでの頭脳労働を一手に引き受ける。

属性 闇・秩序・悪
起源 抹消

+ データ的には?
  • 1行で
 知力系を中心に道中貢献し、戦闘では敵への妨害を駆使する前衛支援ビルド。

  • 詳しく解説
 「異能者特有の様々な便利スキルを積んだ支援役」。
 異能者らしい補助行動でパーティーの足りない要素を補ってくれる。
 もちろん探索用スキルや便利スキルなども完備。総合的な探索能力は平均よりもかなり高い。

 とりわけクロエが得意するのは、ホムンクルスの優れた基礎能力と
 [有限の全知]に基づく驚異的な固定値の知力系判定だ。

 セットアップは1R目に[原罪の戒め]、2R目に[探偵劇場]を構えるのが基本。
 必要に応じてこれを入れ替えたり、[碩学者]タグから[高速思考]を行ったりする。
 後述するようにクロエは敵の妨害に特化したビルドなので、
 [原罪の戒め]から各種判定妨害を重ねれば敵は身動きが取れなくなってしまうだろう。

 その中でも[専門技能<検死>]を活かした「死体を対象としたアイテム鑑定」の期待値は
 空島全PCと比較しても群を抜いており、凄惨な現場で探偵らしく活躍することだろう。

 プリプレイでの[甘い生活]と[誰かの為の勇者]で判定とMPの支援も可能。
 彼女は自然とパーティー内のデータバランスを取り持ってくれる。

 大半のスキルの射程が「2」であるため、クロエの隊列は基本的に前衛だ。
 [パイロキネシス]は[推理放棄]と組み合わせてそれなりの打点を期待できる。
 [ギアス]でそこそこの耐久値は発揮できるが、MPの関係上連発できないので過信は禁物。
 メジャーで仕事がない時も[サイコアーマー]でPT耐久に貢献できる。

 [イクイップメント]と[パイロキネシス]や[アイスブリッド]を組み合わせて
 敵の属性を塗り替え、後続の魔法アタッカーの火力を引き上げることもできる。

 そして、クロエの戦闘時の真の役割は敵の妨害である。
 [パーフェクトプラン][エクスキュージョン][ラファーガ]で行動そのものを打ち消し、
 リアクション不能のパイロから入る[デフレクション]で回避を削り、
 高達成値やクリティカルを[ヴォルテックス]で崩壊させる。

 派手さには欠けるが理詰めの一手一手で戦況を次第にコントロールしていく、
 カードゲームで言えばパーミッションタイプのビルドと言える。

魔攻 魔法 射程 物耐 魔耐
C A 2 B B
判支 行支 防衛 判妨 行妨 行動 燃費
C B B A A A C
便利 罠探 罠解 探索 情報 危機 鑑定 識別
A

+ 能力表の見方

能力表について

 正確なデータではなく、PL視点でそのPCをどのように認識しているかを
 他のPLに向けて発信するために表で示したもの。

 各能力はすべて卓内での相対評価をイメージしたものとする。

各能力の判断基準

物攻
 物理ダメージを与える能力。瞬発火力、継戦火力、攻撃範囲、攻撃回数などの総合。
命中
 命中判定。これらを増加させることのできるスキルなども含む。
魔攻
 魔法ダメージを与える能力。ほかは物攻に準ずる。
魔法
 魔法判定。ほかは命中に準ずる。
射程
 攻撃の射程。基本的に、普段よく使うスキル・メインウェポンの射程を記入。
物耐
 物理耐久力。HP・物理防御・結界強度・防御用スキルなどの総合。
魔耐
 魔法耐久力。ほかは物耐に準ずる。
回避
 回避判定。ほかは命中に準ずる。
火支
 火力支援。味方の物攻、魔攻、与えるダメージを増加させるスキルなどの総合。
判支
 判定支援。味方の各種判定を増加させるスキルなどの総合。
行支
 火力判定支援以外の支援。味方行動値の上昇や[高速思考]、[ティワズ・ルーン]など。
防衛
 味方へのダメージを減らせるスキルや回復スキル、[カバー]を行えるスキルなどの総合。
判妨
 判定妨害。[放心]や[恐怖]付与、敵の判定を直接減少させるスキルなど。
行妨
 行動妨害。[束縛]や[麻痺]付与、LPダメ、対抗やリアクションによるキャンセルなど。
行動
 自身の行動値の高さやそれの上昇スキル、タイミング:イニシアチブのスキルなど。
燃費
 MPとLPの量とコストに基づいた燃費の良さ。燃費が悪いと性能のすべてを発揮できない。
便利
 他項目に当てはまらない便利なスキルの数。[ロック]や[サイコメトリー]、金策系など。
罠探・罠解・探索・情報・危機・識別・鑑定
 各種特殊判定に向いているか・対応スキルを持っているかどうか。
 ○:対応スキルを所持しているか、所持していなくとも十分な水準である。
 △:対応スキルを所持していないが、能力値的には可能な水準である
 ×:対応スキルを所持しておらず、能力値的にも可能な水準でない。
   罠探知・罠解除・鑑定については、対応スキルを持っていない限り自動的に×。

「最期まで考え続けましょう。
それこそがわたくしという碩学者の……探偵の、務めでございますから」