シームレス戦闘ver1.10
シームレス戦闘は、夜明けの時代TRPGを
タクティカルコンバットゲーム的に遊ぶための拡張ルールである。
もともとはミドルフェイズで探索と戦闘を並行して行うために整備したルールである。
GMは、シームレス戦闘を使用するセッションでは事前にこのルールブックをPLに配布し
具体的にどの部分までをセッションに適用するかを説明しておくと良い。
このルールは通常の探索や戦闘よりも
複雑な宣言と思考をプレイヤーに要求するため、処理が重くなる。
よって、登場PCが4人以下のシーンにて適用することを推奨する。
この拡張ルールはメイトが原案を個人的に製作し、
梅酒・ばいすらとともに修正改良を行ったものである。
夜明けの時代公式ルールブックとは無関係の二次創作物であることに注意すること。
間違ってもガリさんにこのルールについて聞いたりしないでくださいね!!
また、このルールは二次利用・改変フリーである。
夜明けの時代2での運用を想定しているが、細部の改変で
それ以外のバージョンでも使用することが可能になるだろう。
■ベーシックルール
ここでは、シームレス戦闘を運用する上で最低限必要なルールをまとめる。
とはいえ、この項目だけでも十分に複雑なので、
GMとPLは慣れるまでベーシックルールのみを適用すると良いだろう。
●基本処理
エネミーがシーンに登場するなどして、
GMがシームレス戦闘の開始を宣言した時点でシームレス戦闘は開始される。
シームレス戦闘中、各キャラクターのコマは
メインプロセスでアクションを消費しない限り動かせなくなる。
シームレス戦闘が行われる可能性のあるセッションでは、
GMは各PCのコマの位置をそれぞれのPLが常に自分自身で管理するよう
事前にPLへと促しておくと良いだろう。
ラウンドはプレイヤーラウンドとエネミーラウンドの2つにより構成される。
シームレス戦闘はプレイヤーラウンドから開始される。
プレイヤーラウンドではPC全員に、エネミーラウンドではエネミー全員に、
それぞれ1回分のメインプロセスが与えられる。
キャラクターの行動順にイニシアチブは関係なく、宣言の早かった順で処理される。
相談の上で順番を決めても良いし、早く動きたいPCが勝手に宣言を行っても良い。
PC全員がメインプロセスを完了したらプレイヤーラウンドは終了し、
エネミーラウンドに移る。エネミーラウンド終了後も同様に繰り返す。
シームレス戦闘は、シーン内のエネミーが全滅するか、
シーンが切り替わるまで継続される。
●メインプロセス
各タイミングで可能なアクションをまとめる。
▼ムーブ
▼マイナー
▼メジャー
- メジャーアクション
- 罠探知、探索、アイテム鑑定などの各種能動判定
- コマを1~2マス移動させる
- その他、PCがその場で起こしたいと思った行動
●斜めへの移動
コマを斜めに移動させるには2マス分の移動を必要とする。
1マス分で移動できるのは縦と横のみである。
●コマの重複
コマを移動させる際、味方のコマは通過できるが敵のコマは通過できない。
また、味方とコマが重なっている状態ではメジャーで移動しか行えない。
これはそのキャラクターが[飛行状態]であっても同様である。
●射程の扱い
▼射程0
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▼射程1
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▼射程2
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▼射程3
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●対象[範囲・シーン]
シームレス戦闘中の対象[範囲(選択)]の効果は、
射程内から起点をひとつ設定し、下記のような範囲を対象にできるものとする。
対象[シーン(選択)]の場合は、そこから更に1マス先を巻き込むことができる。
なお、自分自身を起点として設定することはできない。
▼範囲攻撃
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▼シーン攻撃
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●射程視界
射程視界のアクションは、
対象が遮蔽物に隠れている可能性が存在する状況ではその使用を認めないものとする。
具体的には、キャラクターの中心点と対象の中心点までを直線で結び、
その途中に遮蔽物が存在している場合、射程視界の行動を行うことはできない。
なお、キャラクターなどのコマは遮蔽物として扱わない。
●非攻撃スキルの射程延長
シームレス戦闘中は、非攻撃スキルの射程を+1する。
●判定の射程
各種能動判定の射程は、その対象やPCが置かれた状況によって変化する。
たとえばシーン全体を観察する形での探索なら射程は視界だろうし、
扉に対して罠探知を行うなら射程は0~1となる。
メジャーで判定を行う予定のPCから事前に判定の射程を聞かれたGMは、
具体的な数値でPLに回答しなければならない。
●シーン持続効果の処理
非シームレス戦闘時に使用したシーン持続スキルの効果は、
シームレス戦闘に突入した瞬間に消滅する。
●ラウンド持続・クリンナップ消滅効果の処理
1ラウンド持続効果とクリンナップ時消滅効果、
具体的には[ブレス]や[放心]などについては、
その効果が発生したラウンドから数えて一巡で消滅する。
つまり、とあるプレイヤーラウンドで使用した[ブレス]の効果は
直後のエネミーラウンドまで持続し、次のプレイヤーラウンドに入る瞬間に消滅する。
●例外処理
▼[毒]
[毒]を受けたキャラクターは、メインプロセスを行う瞬間に規定ダメージを受ける。
▼[麻痺]
[麻痺]状態のキャラクターは移動を行えない。
特別な効果がない限り、ムーブアクションで解除することができる。
▼[束縛]
[束縛]状態のキャラクターはマイナーアクションを行えない。
マイナータイミングでの移動は可能である。
メジャーアクションで解除することができる。
▼[飛行状態]
[飛行状態]のキャラクターは、
メジャー終了後にコマを1マス移動させることができる。
ただし、メジャーで移動を行った場合はこの効果で追加で移動することができない。
▼[戦闘不能状態]
[戦闘不能状態]のキャラクターはあらゆるアクションを行うことができない。
また、[戦闘不能状態]のキャラクターの上は誰でも通過することができる。
▼[死亡状態]
[死亡状態]のキャラクターのコマはマップ上から除外される。
それがPCであるなら、暫定的にマップ上の移動不能エリアに置くといいだろう。
▼[マナ吸収]
[マナ吸収]の発動タイミングはシームレス戦闘中には存在しない。
▼ムーブ移動スキル
[突撃]などのムーブ時に移動を行いつつ効果を発動するスキルは、
コマを1マス移動させながら効果を発動するものとする。
また、ムーブで該当のスキルを使用した場合、マイナーやメジャーで
ムーブで移動したのと同じ方向にしか移動できなくなる。
▼スキル効果による移動制限
[ニーズショット]などの効果を受けたキャラクターは、
メジャーで移動が行えなくなる。
▼[カバーリング]
シームレス戦闘中の[カバーリング]の射程は2とする。
▼[強制転移]
[強制転移]を使用した場合、対象を隣接した1マスに移動させる。
このとき、対象は移動を阻害する要素を無視できる。
▼[独妙閃光]
[独妙閃光]の射程は以下の通りである。
同列に存在するエネミーを最大2体まで対象にする。
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■エキストラルール
ここから先に書かれているルールは、
さらにこのシステムを無駄なく運用するために必要なものであるが、
ぶっちゃけこの段階で十分すぎるほどめんどいので、
使うかどうかはGMとPLの余力次第となる。
●[不意打ち]
GMは、PCたちがエネミーからの[不意打ち]を受けたという形で
シームレス戦闘をエネミーラウンドから開始しても良い。
●[魔法攻撃]時の移動制限
メジャーで魔法攻撃を行うキャラクターは
メインプロセス全体で移動を合計1マスまでしか行うことができない、としても良い。
これは[飛行状態]でも適用され、ムーブやマイナーで移動を行った場合
メジャー終了後の移動は行えない。
●[移動妨害]
射程0を通るキャラクターに対し、[移動妨害]を宣言できるようにしても良い。
[移動妨害]を宣言されたキャラクターはそこで移動を停止しなくてはならない。
移動妨害を受けているキャラクターを飛び越して移動することはできない。
ムーブアクションでの移動に対し、移動妨害を宣言することはできない。
●使用タイミングの存在しないスキルのメジャー使用
GMは、セットアップ・イニシアチブ・クリンナップなどの
シームレス戦闘中に使用タイミングが存在しないスキルを
メジャーで使用することを認めても良い。
シームレス戦闘に不適切なスキルの効果はシームレス戦闘用に変換適用すること。
(例:[瞬間移動]をメジャーで使用し、障害物を無視して2マス移動する)
この処理を利用して各種スキルをメジャーで使用する場合、
そのスキルに使用回数の制限が存在しないなら、
変換効果はその他のメジャーアクションを逸脱しない範囲であることが望ましい。
例に挙げた[瞬間移動]の移動距離を2としているのはそのためである。
▼ムーブ+マイナー消費でのセットアップスキル使用
GMはさらに、ムーブとマイナーを両方消費することで
セットアップスキルを使用することを認めても良い。
▼[地動説]
[地動説]を使用した場合、
自身ともっとも近い対象を対象と自身との距離が
もっとも縮まるように1マス移動させた後、
残りの対象もすべて同じ方向に1マス移動させる。
●オブジェクトの牽引
大きなキーアイテムや、[戦闘不能状態]のキャラクターなど、
射程0に存在する自力で移動できないオブジェクトを移動させたい場合、
メインプロセスでオブジェクトの牽引を宣言することができる。
ムーブとマイナーで自身が移動した後、
メジャーで対象のオブジェクトを自身の射程0の中で
対象の移動距離がもっとも短くなる位置のうちのひとつに移動させる。
■Q&A
準備中!
■GMガイド
●戦闘状態に至るまで
シームレス戦闘が発生する可能性のあるシーンでは、
発生するまでの間はPLに移動可能な範囲でコマを自由に動かさせつつ
通常の探索シーンにマップがついたものとして処理すると良いだろう。
非戦闘時までカッチリとメインプロセスや移動距離などを管理する必要はない。
●イベントフラグの明示
具体的にどこで何が起きるのかというイベントフラグを明示するために
イベントスポットをコマで配置するのも良いだろう。
時間経過により発生するイベントが存在する場合も、
あらかじめそれを宣言しておくのが望ましい。
●移動処理の簡略化
シームレス戦闘は、非常に処理が煩雑なシステムなので、
省略できる部分は可能な限り省略して処理していくべきである。
エネミーが何処に動いたかなどはどどんとふのマップを見れば一目瞭然なので、
プレイヤーにそれをテキストで説明する必要性はほとんどない。
特に交戦前の陣取り合戦の段階では、エネミーラウンド開始を宣言すると同時に
エネミーをささっと無言で動かしてしまい、プレイヤーラウンドに移るのも手だ。
●エネミーラウンド処理の高速化
エネミーラウンドでの各種アクションの処理も迅速に行おう。
先に処理を済ませてしまい、描写はPCが行動を考えている間に行うと良い。
●戦闘配置
このルールでは、長射程どうしの撃ち合いが起こりにくく、
互いの前衛を潰しあう戦闘になりやすい。
撃破順の関係上、敵陣最奥に先に撃破しなければならないエネミーを配置するのは避けよう。
仮に配置するなら、PC側の対処方法をセットで用意するのが望ましい。
●エニーセブン
GMはさらなる処理の高速化のために、
2dの期待値である7に固定値を足したものを、
ダイスを振らずに一部のエネミーの達成値として固定公開しても良い。
命中や回避などの試行回数が特に多くなる判定に対してこの処理を適用する。
エニーセブン下のエネミーの多くは、スキル宣言と対象決定のみを行うことになる。
●エネミーデータの自動公開
プレイヤーの意思決定時間を短縮するために、
GMはエネミーが登場した時点でエネミーデータの一部を自動で公開しても良い。
具体的には、HPや物理防御・魔法防御・結界強度などの
耐久面のデータを開示することで、プレイヤーはエネミーに
攻撃するかどうかの判断をスムーズに下せるようになるだろう。
●探索時のアイテム発見
射程延長を駆使する場合、シームレス戦闘はPCに大きなコストの消費を強いる。
このため、GMはシームレス戦闘中の適切な探索判定に対して
魔石などのリソース回復アイテムを用意してあげると良いだろう。
もちろん、不適切な探索に対しては罠発動などのデメリットを与えても良い。
最終更新:2014年02月23日 01:08