小笠原慧

DZ


 なんちゃら賞を取ったと解説で審査員のコメントが抜粋されていましたが、絶賛されているようでしたね。宮部みゆきのコメントはなんか機械的でしたけど。
内容は科学系ミステリって感じ。遺伝子が絡む、というかメインのお話で最近よくこういうのを見かける気がします。解説にもありましたが、パラサイトイブ(瀬名秀明、私は未読)が好きな人は面白いんじゃないでしょうか。
 色々なエピソードから中心人物を浮かび上がらせるストーリーで、(これまた解説では宮部みゆきの火車、東野圭吾の白夜行をあげてました。納得)関係なさげなお話が最後には絡み合い、元のある事件、一人の人物へ辿り着きます。話運びは無駄がないように思うし、なんというか欠点は見当たりません。
ただ、この口調が物語ってるかもしれませんが、私はあまり面白いとは思いませんでした。これはもう私の好みとしか言いようがありません。医学的な知識があれば面白いのかなぁと思うけど、難しいの嫌いなので理論の説明箇所はすっ飛ばしてしまいました。染色体がどうとか、それは物語にとって重要ではあるのだろうけど、細かい説明が果たして必要なのか私には分かりません。風味付け程度に随所に挟んでる位なら気にならなかったのですが、私には多すぎ。読み返そうとは思わないなぁというのが本音です。

 DZとは双生児のことらしいですね。知っている人はそんなにいないと思うので、解説で説明された時は成る程と思いました。
 そういうお話かもしれませんが、グエンが躊躇なく殺人を重ねるところは読んでいて気分のいいものではありませんでした。登場人物を全員好きになれなかったのが、読後感が悪い一因かもしれません。私には魅力的ではなかった。まだましなのがスネルでしょうか。グエンや沙耶や涼子の、悲哀のようなものが感じられなかった。ストーリー重視だったのですかね。
 伏線を張っていてきちんと回収しているように見えますが、その伏線は果たして必要だったのか、というところも疑問が残ります。最後の涼子自身の伏線は割とびっくりしたんですが、後は正直今ひとつ。伏線を張って回収することを、目的としているように思えました。
 もう一度書きますが、このお話を好きになれないのは私の個人的な趣向だと思います。面白い人には本当に面白いと思いますよ。実際私の母は絶賛していましたし。他の人に感想を伺ってみたいです。
(2006/03/27)

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最終更新:2009年06月07日 17:30
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