
エンジェル(天使)は善の来訪者セレスチャルの一種族の一種である。善属性の特性を持つ外方次元界を出身とする。
エンジェルはいずれの善属性でもあり得る。秩序属性のエンジェルは天上界
ヘヴンの、中立属性のエンジェルは涅槃界
ニルヴァーナの、混沌属性のエンジェルは浄土界
エリュシオンの出身である。だが、大多数の者はいずれかの神格に仕え、仕える神格の神域を故郷と呼ぶ。大抵の定命のものは、エンジェルは決して嘘をついたり、相手を騙したり、盗みを働いたりすることはなく、他者との交流において一分の隙もなく高潔であり、全セレスチャルの中で最も信頼に足り外交手腕に優れている、と決め込んでいる。これは普通は真実なのだが、例外も存在する――特に善属性のトリックスターの神や混沌属性の存在に仕えるエンジェルの一部に。
原種にして最も強力なるエンジェルは定命の種族より先に生まれ出た。かの者らは善属性の神々の最初の創造時に生まれ、今日まで生き延びた者たちは多元宇宙における神ならざる強力な存在の1つに数えられる。新たなエンジェルも神々の手で依然定期的に生み出されてはいるが、近年のエンジェルは大抵がひとたび善属性の定命のものとして生き、出身次元界において目的を遂げた際にその魂がより偉大なる何かへと変じた者たちだ。大抵、エンジェルの真の姿は定命の頃の姿をしのばせるもので、より背が高く、より光り輝き、そしてより力強いというだけである。善属性の定命のものの魂とエンジェルに関係があることは一般的な知識で、定命のものの宗教の多くは、すべての信仰篤きメンバーは、死後、いずれかの種類のエンジェルになる、としている。その他の宗教は、(聖人や殉教者などの)名高き定命のものと既に存在する名前の似たエンジェルを一緒くたにしたり、エンジェルが人間の姿をとり定命のものとして大いなる行ないをなし、つとめを果たし終えると天上界へ帰還するとほのめかしたりすることによる問題に戸惑いを隠していない。
エンジェルはみな見目麗しいことこの上ないが、容姿そのものは千差万別である。生来の変身能力を持つということは、個人的嗜好や神格の意向次第で、エンジェルが男性もしくは女性の定命のものの姿をとることもありうる、ということである。別のクリーチャーとして生まれた肉体を持つクリーチャーではなく、物理的なかたちを与えられた霊的なクリーチャーであるエンジェルの性別は、可変である。エンジェルの中には、常に男性の姿を用いる者もいれば、厳として女性の姿を用いる者もいるし、さらには双方いずれでも用いる者、両性具有体や無性体を好む者までいる。
ゲーム上、“エンジェル”という言葉は、ソーラー、プラネター、デーヴァ(アストラル・デーヴァが最も一般的ではあるが、他の種類の者も同様に存在する)といった数種類ある人型のエンジェルを指しているが、定命のものの多くはこの用語をあいまいに用いており、エンジェル、ガーディアン・
アルコンの一種、フェイのような
アザータ、獣のようなアガシオン、善属性の特性を持つ次元界のその他のクリーチャーのいずれであろうと、あらゆるセレスチャルに適用している。エンジェルには定命のものの命名法よりも重要な対処すべきことがらがあるため、これを侮辱と受けとることはない。
エンジェルは天上語、地獄語、竜語を話す。しかし、真言能力のおかげでほぼどんなクリーチャーとでも会話できる。エンジェルはみないくつかの類似する特徴を有している。大抵のエンジェルはこういった特徴以外にも、神格が任ずる役割に応じた追加のパワーを持っている。例えば、火山の守護天使は(火)の副種別を有していてもよいし、水没都市の守護者が(水棲)と水陸両生を持ち、翼を用いて泳ぐことができてもよい。
堕天使
多くの宗教には、創造主に反逆したエンジェルや、堕落し悪に染まったエンジェルの話が盛り込まれている。悲しむべきことに、これは確かにあり得ることなのだ。ただ、ありがたいことに稀ではある。そして、高慢極まりなきエンジェルや意志の弱すぎるエンジェルがこの運命に屈する。堕天使は善属性の特性を持つ領域からの追放者であり、かつての同胞に狩られ、また同様にフィーンドにとっても手頃な標的である。堕天使は汚れなき親族の持つ優雅さと光輝をいくぶんか失うが、それでも多くの者は凄惨ながらも美しいままであるという。稀ではあるがそれでも生き残った堕天使は地獄界ヘルの軍団に加われるほどに強くて抜け目なく、そうした者はしばしばいずれかの種類のデヴィルへと変貌する。あるいは、奈落界アビスのデーモンと化して、この身の毛もよだつ領域で自分にふさわしき場所を切り取ってみせる者もいれば、上級デーモンに仕えだす者もいる。 |
エンジェルの聖歌隊
他のすべての善なる種族には邪悪で残酷なる対応種族が存在するのだが、フィーンドの軍団には明白にエンジェル種族に対応する相似種はいない。多くの学者が、善と悪の来訪者間の対称性におけるこの奇妙な欠落の理由を論じてきたが、大抵の者は、これは単にみなの恩恵のためとあらば特定属性を超越してのける善属性特有の善き意欲の一例にすぎない、と信じ込むに至っている。しかし、正確な理由はいまだ判っていない。
いずれの善属性でもあり得るだけあって、エンジェルは善属性の主要3来訪者種族すべての求めと望みを象徴する。エンジェルの中にはその情熱を3つすべての種族に捧げる者もいるが、大抵の者は属性が自分固有のものと一致する種族の中に特に気に入っている種族がある。その真の姿が属性の違いによって大幅に異なることは決してないが、エンジェルはしばしばその変身能力を用いて、状況とエンジェル自身の個性の求めるところに従い、アルコンやアガシオンやアザータによく似た姿をとる。
エンジェルはさらに、「エンジェル聖歌隊三和音」として知られる、種族固有の階級構造で細分化される。エンジェル種族の大多数はデーヴァで構成される。デーヴァは最も一般的なエンジェルであり、異なる特性を持つ種が無数に存在し、本項に挙げたアストラル・デーヴァは単に最もよく知られているにすぎない。第三和音聖歌隊のデーヴァは2枚の翼を持つ。第2和音聖歌隊は4枚の翼を持つプラネターだけで構成され、一方、エンジェル種族の統治者は6枚の翼を持つソーラーである。ソーラーはすべてのエンジェルの中で最も強大で、その中でも最も力ある者は必要とあらば半神の意向にすら真っ向から対抗しうる。
この背の高い人間に似たクリーチャーは羽根のある長い翼を持ち、温和な内なる輝きはこの者を直視しがたくしている。
アストラル・デーヴァ 脅威度14 Astral Deva
防御
AC 29、接触14、立ちすくみ25(+4【敏】、+15外皮;悪に対して+4反発ボーナス)
hp 172(15d10+90)
頑健 +16、
反応 +13、
意志 +11;毒に対して+4ボーナス、悪に対して+4抵抗ボーナス
防御能力 直感回避;
DR 10/悪;
完全耐性 [酸], [冷気], 石化;
抵抗 [電気] 10, [火] 10;
SR 25
攻撃
移動速度 50フィート、
飛行100フィート(良好)
近接 +2ディスラプティング・ウォーハンマー=+26/+21/+16(1d8+14/×3、加えて“朦朧化”)または
叩きつけ=+23(1d8+12)
擬似呪文能力 (術者レベル13)
一般データ
生態
出現環境 気候問わず/善属性の次元界
編成 単体、2体、戦隊(3~6)
宝物 ×2(
+2ディスラプティング・ウォーハンマー(訳注:
ディスラプション?))
特殊能力
朦朧化(超常)/Stun アストラル・デーヴァが1ラウンドに同じ相手に対して2回、ウォーハンマーで打撃を加えたなら、そのクリーチャーはDC25の頑健セーヴに成功しなければ1d6ラウンドの間、
朦朧状態となる。このセーヴDCは【筋力】修正値に基づいて算出されている。
直感回避(変則)/Uncanny Dodge この能力はローグの能力とまったく同様に働く。アストラル・デーヴァがクラス・レベルによって“直感回避”を得たら、代わりに“直感回避強化”を得る。
アストラル・デーヴァは善属性の神々の使者である。アストラル・デーヴァは次元間旅行者を見守り、強力な定命のものを後援し、その者たちが善の大義につとめるよう後押しする。典型的なアストラル・デーヴァはその翼以外は人間のようだが、中には他の人型生物種族のように見える者もいれば、もっと珍しい姿を持つ者もごく稀にいる。アストラル・デーヴァの身長は7.5フィート(約2.3m)、体重は250ポンド(約110kg)である。
アストラル・デーヴァは普通、神々の手により善属性の定命のものの魂から作られる。だが、中には神格の介在がなくとも自発的にアストラル・デーヴァへと変ずる魂もいる。その技能と能力により、アストラル・デーヴァはセレスチャルの軍勢における優秀な斥候にして精鋭の間者となり得る。アストラル・デーヴァはしばしば、神々の言伝や裁定を書き記した長くゆるやかに垂れる巻物を運搬している。アストラル・デーヴァの巻物には、しばしばいまだ起こっていない予言や重大な出来事の暗示が込められている。そのため、そういったデーヴァはこの巻物の中身を猛然と守り抜き、誰にも、別のアストラル・デーヴァにも読ませることはない。
筋肉質で、頭髪がなく、背の高いこの人型をしたクリーチャーは、エメラルド色の肌と二対の輝く白い羽毛の翼を持つ。
プラネター 脅威度16 Planetar
防御
AC 32、接触13、立ちすくみ28(+4【敏】、+19外皮、-1サイズ;悪に対して+4反発ボーナス)
hp 229(17d10+136);
再生10(悪属性の武器と[悪]の効果)
頑健 +19、
反応 +11、
意志 +19;毒に対して+4ボーナス、悪に対して+4抵抗ボーナス
DR 10/悪;
完全耐性 [酸]、[冷気]、石化;
抵抗 [電気]10、[火]10;
SR 27
攻撃
移動速度 30フィート、
飛行90フィート(良好)
近接 +3ホーリィ・グレートソード=+27/+22/+17(3d6+15/19~20)または
叩きつけ=+24(2d8+12)
接敵面 10フィート;
間合い 10フィート
擬似呪文能力 (術者レベル16)
準備済みの呪文(術者レベル16)
一般データ
生態
出現環境 気候問わず/善属性の次元界
編成 単体、2体
宝物 ×2(
+3ホーリィ・グレートソード)
特殊能力
呪文 プラネターは16レベルのクレリックとして信仰呪文を発動することができる。プラネターは領域などのクレリック能力を使用することはできない。
プラネターはセレスチャルの軍勢の将軍である。典型的なプラネターの身長は9フィート(約2.7m)、体重は500ポンド(約230kg)である。プラネターは戦闘と邪悪の撃滅に力を注いでいる。交渉というものを理解してはいるが、プラネターは和平交渉よりフィーンドの軍勢に対する攻撃の先頭に立ちたがる。
この見上げるほどに背の高い人型をしたクリーチャーは、輝くトパーズ色の目、金属的な肌、3対の白い翼を持つ。
ソーラー 脅威度23 Solar
防御
AC 44、接触11、立ちすくみ42(+14鎧、+1【敏】、+1回避、+19外皮、-1サイズ;悪に対して+4反発ボーナス)
hp 363(22d10+242);
再生15([悪]のアーティファクト、効果、呪文)
頑健 +25、
反応 +14、
意志 +23;毒に対して+4ボーナス、悪に対して+4抵抗ボーナス
DR 15/エピックおよび悪;
完全耐性 [酸]、[冷気]、石化;
抵抗 [電気]10、[火]10;
SR 34
攻撃
移動速度 50フィート、
飛行150フィート(良好);鎧装備時 35フィート、
飛行100フィート(良好)
近接 +5ダンシング・グレートソード=+35/+30/+25/+20(3d6+18)または
叩きつけ=+30(2d8+13)
遠隔 +5コンポジット・ロングボウ(+9【筋力】ボーナス)=+31/+26/+21/+16(2d6+14、加えて
スレイング・アロー)
接敵面 10フィート;
間合い 10フィート
擬似呪文能力 (術者レベル20)
準備済みの呪文(術者レベル20)
一般データ
生態
出現環境 気候問わず/善属性の次元界
編成 単体、2体
宝物 ×2(
+5フル・プレート、
+5ダンシング・グレートソード、
+5コンポジット・ロングボウ[+9【筋】ボーナス])
特殊能力
呪文 ソーラーは20レベルのクレリックとして信仰呪文を発動することができる。ソーラーは領域などのクレリック能力を使用することはできない。
スレイング・アロー(超常)/Slaying Arrow ソーラーのボウは矢弾を必要とせず、引き絞るたびにソーラーの望む
スレイング・アローを自動的に作り出す。
ソーラーはエンジェルで最も偉大な種であり、通常は神格の右腕として仕えるか、全世界あるいは全次元界に恩恵をもたらす大義を擁護している。典型的なソーラーはおおまかに人間のような見かけをしているが、中には他の人型生物種族と見かけが似ている者もいれば、もっと珍しい姿をとる者もごく稀にはいる。ソーラーは聞き流すことなどできぬ力強く威厳のある声を持っており、身長は9フィート(2.7m)ほど、体重はおよそ500ポンド(230kg)である。大抵は銀色か金色の肌を持つ。
数多の魔法のパワーと最も強力な
クレリックに比する呪文発動能力に恵まれたソーラーは、強大な悪を独力で打倒し得る強力な対抗者である。ソーラーはセレスチャルの中で最も優れた追跡者であり、最も腕の立つ者なら何日も前にアストラル界を飛び去ったピット・フィーンドの痕跡をたどることもできると言われている。中には怪物退治家の任を受け、
ディヴァウラーや
ナイト・ハグ、
ナイト・シェイド、
ピット・フィーンドなどの強力なフィーンドやアンデッドを狩り出し、さらには悪属性の特性を持つ次元界や負のエネルギー界に襲撃をかけて、こういったクリーチャーが定命のものに害を及ぼす前にその発生源にてこれらを殲滅することすらある。少数の非常に高齢なソーラーがこの任務に成功しており、かのソーラーの手によっていまや絶滅した恐るべきクリーチャーの名を冠する「~~殺し」の二つ名を得ている。
ソーラーは通常は根本的で超常的な概念、もしくは極めて重要性が高い物品ないしクリーチャーの守護者の役割を引き受ける。ある世界では、ソーラーのグループが太陽のエネルギー導管を巡視し、
ドラウなどの悪属性の種族による、光をかき消して常闇をもたらさんとするあらゆる試みに警鐘を鳴らす。別の世界では、7体のソーラーが牢獄亜次元界に悪属性の神々を繋ぎ止めておく7本の神秘的な鎖を見張り続けている。さらに別の世界では、炎の剣を持つソーラーが、いかなるクリーチャーも入り込まぬように定命のものの楽園のその原型を見守り続けている。
神々が物理的な姿をとることができぬ世界では、神々は(しばしば定命のものになりすました)ソーラーを遣わして、己が予言者や導師となし、一大宗教へと育ちゆくカルトの基盤を固めさせる。同様に、悪によって抑圧されている世界では、ソーラーは虐げられし者たちに希望をもたらす秘密の神官でもある。場合によっては、その聖なる精髄が地にあまねく散らばって偉大なる英雄たり得る者たちの心の内にて育まれるよう、自ら殉教者となることもある。
神格でこそないが、ソーラーの力は半神のそれに匹敵し、しばしば若き神々や弱き神々の顧問の役割を担う。多神教的信仰の中には、真の神々のアスペクトもしくはほとんど同格の従者として1体以上のソーラーを崇めているものもある。あるいは、名のあるソーラーは真の神々の子孫、僚友、恋人、配偶者(この内のどれであるかはその神格による)であると見なしている。
他のエンジェルと異なり、ほとんどのソーラーは神々に直接仕えさせるために善なる魂たちと素の信仰のエネルギーの混合物から作り出される。しかし、この強力なエンジェルの内、かなりの数の者は、プラネターやデーヴァなどの下位のクリーチャーからソーラーたる存在へと“昇進”したのだ。ごく少数の力ある善なる魂は直接ソーラーの位に登りつめている。最古参のソーラーは死すべき運命に先立って生まれた、神々の最初の創造物の1つである。この人知れぬソーラーはエンジェルの理想像たる者であり、定命のものと直接触れ合うことはほとんどなく、重力や暗黒物質やエントロピーや原初の悪などの抽象的な概念の守護ないし撲滅に力を注いでいる。
物質界で長く過ごしたソーラー、特に定命のものを装った者が、時として定命のものの一族に流れる
ハーフセレスチャルや
アアシマールの血筋の起源となることもある。それはロマンチックなたわむれからであることもあれば、ただ単にその定命のものにセレスチャルのエネルギーに対する親和性があったためであることもある。実際に子ができることは稀で、妊娠する時は、常に定命の母親の側が子を孕む。ソーラーはどちらの性別にでもなれるが、神々は妊娠したり母性を抱くような能力をソーラーに与えなかった。いかにも、この根本的な事実こそが、しばしばソーラーに定命の恋人を求めさせるものである。定命のものに子供を産ませることは一般に他のソーラーがいい顔をしないため、自分自身や自分の職責に恥じぬよう、ソーラーの父親はめったなことでは自分の恋人や子供の運命に直接干渉しようとはしない。それでもやはり、そうしたソーラーは遠くから自分の子孫を見守っており、危険の迫る時には、危地にある子供の1人に手を貸してくれるようとりなすべく動いてくれたりもするやもしれない。とはいえ、巧妙かつ不可解な形で、ではあるが。
すべてのエンジェルはソーラーの力と英知に敬意を払っている。だが、エンジェルの中で最も強いソーラーは通常は単独で事に当たり、時おりプラネターに率いられた複数の軍勢に指示を下し、地獄界ヘルの軍団や奈落界アビスの大群による大規模な侵攻に対する軍総司令を務める。
最終更新:2016年10月30日 04:37