私には魔法の才能があるらしい
お父さんとお母さんはすごく喜んだって今でもその話はよく聞かされる
私の家はお父さんもお母さんも七級の魔法使い、鳶が鷹を生んだような話だから尚更だ
私がちっちゃい頃からお父さんもお母さんも英才教育とまではいかないまでもそれぞれの技術と知識を熱心に私へと注いでくれた
その事には感謝してるし、魔法を覚えるのも楽しかった
中学校にあがったくらいからかな？私はよく体調を崩すようになった
体調を崩すのは決まって魔法を使った後、お父さんとお母さんもすごく心配して一度お医者様に診てもらったらどうかと私に言ってくれた
仕事が忙しくて付き添えなくてごめんね、ってお母さんは言ってくれたけどやっぱり一人での診察は心細かったな
お医者様が言うには私にはもう一つ魔法の才能があったらしい
「空想術」現実にはありえない事象、起き得ない可能性を召喚する者
その魔法は最も古く、最も根源に近い魔法。この魔法を扱うには特別な才能が必要になるだろうってお医者様は説明してくれた
空想術の事は知っていたし、私にまだ他の才能があるんだって事がその時は素直に嬉しかった
またお父さんやお母さんに喜んでもらえるって
けど、お医者様は続けて私にこう告げた
体調を崩す理由、それは空想術が原因だと。
私はお医者様に空想術は扱ったことがない、名前だけは知っていたけどそもそも術式すら解らないって説明もした
お医者様が言うには空想の力が強すぎて元々の魔法の才能と干渉、それで体内のマナのバランスが狂い
空想と現実の境界がものすごくあやふやになっているらしい
一人できてよかった……と思うと同時、お医者様に恐る恐る私は聞いてみた
「治りますか？」とだけ
お医者様は難しい顔をしながら私にとっては死刑宣告にも等しい言葉を投げかけた
「このまま魔法を使い続けると体調を崩すだけでなく、空想と現実の境界が今以上にズレてしまい最悪、消滅する。」と
紋章の黒き輝きが脈動している……
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