シュヴァルツシルト家
シュヴァルツシルト家は、ノン・キングダムハイランド地方に領地を置く貴族の家系のひとつ。爵位は伯爵。
現在の領主はドロマー・ハイランド=シュヴァルツシルト。
シュヴァルツシルト伝記
スクエア大陸の開拓を進めていた頃、深い霧に包まれた巨大な山が作業の進行を著しく妨げていた。
その山は未開拓故に大量の魔物が次々と生まれるうえに、麓に住む原住民や調査隊によってその霧の中には巨大な魔竜が潜んでいるのを何度か目撃されていた。
霧に潜む魔物たちと暴力的な強さを誇る魔竜に対する畏怖の念は次第に山そのものへと移り、その黒い岩肌から山はいつしか魔の黒き壁と呼ばれた。
周辺貴族が手を焼いていたある時、全身を漆黒の甲冑で隠した巨躯の男が現れる。
男は宣言した。『どうか月が七つ沈むだけの時間を頂きたい。八つ目の朝日が顔を出す迄に魔竜を下し、この山をヒトの元へと明け渡させましょう。何、貴殿らの大切な私兵は借り受けません。わたくし一人で片を付けます』
近隣貴族達は皆男の言葉を鼻で笑う。その様子を見た男は、賭けを提案した。
『ならば、わたくしめがこの山を統べた暁には貴殿らに我等が王へと斡旋を頼みたい。不可能を可能に成し得るほどに女神の恩寵を得た男が、この山と国を護りたがっている』と。
豪胆な言葉に誰しもが腹を抱えて笑う。ついには誰かは『女神に愛された貴族たる我等に敵わぬ相手を一人で下せるなど有り得ない、もし万が一生きて帰ろうものならばこんな魔の山、何処までもくれてやろう』と口にした。
そして、男は独り山へと上がる。次第に地の底から響くような魔物たちの鳴き声が山を覆い始め、月が四度沈む頃には、背筋を凍らせるような禍々しい雄叫びが山のみならず周辺を震え上がらせたという。
──果たして、八つ目の朝日を背に受けながら、男は帰還した。魔竜のものか己のものか最早わからぬほどの血で身体を濡らし、砕けた冑と魔竜の首を掲げて。
目を見開き呆けたような顔を晒す貴族たちに、男は血まみれになって尚輝く美貌を以て笑いかける。
そうして男は、異例の経緯からキングダムの貴族の名簿へと名を連ねるに至った。
……という逸話が今世まで一部で語り継がれている。
立地上スクエア大陸に攻め込む上で最初の関門となるその姿から、黒き壁は
黒き盾へと名前を変え男の呼称へと、そして今は貴族としての名に転じた。
そうして代々王都を護る要として忠誠を誓い続けていたが、今代当主は前国王ではなく種族の融和を掲げ革命に出た
アズラエルを支持。
ノン・キングダムへの改革に対して特に強く荷担したとされる。
ハイランド地方
シュヴァルツシルトの山、その山頂に座するハイランド村を中心とした高山地帯。冬の冷え込みが極めて厳しく、漆黒の岩肌は冬場には純白に染め上げられる。
標高が高く険しい山故に植物が育ちにくく、農業よりも牧畜が主流。
シュヴァルツシルト初代領主の時点で、魔物が湧きすぎて王都に雪崩れ込まない程度には人が住める領域は確保されているが、未だ手付かずの自然も多く残る。
伝記に語られるような未開拓の頃とは比べて随分とマシにはなったものの、元々土地そのものの環境が過酷である故に、住むところを追われたような亜人種や、捨て子や忌み子が隠れるように住んでいると言われている。
魔竜が討伐された今も、多少交易に行き来する人間が増えたくらいで人の生息分布はあまり変わっておらず、村の住人は彼らやその子孫などが多数である。
そのため一部貴族からは殆ど寄り付かれず、村人たちもまた余所者への警戒心が異様に強い。
また、そのような経緯からアーランの支配の強い一部からは半獣の山や魔子棄て山などと呼ばれている。
そのため、度々亜人種を対象とした『半獣』狩りに来た団体などと交戦し戦地となっているという。
関連NPC
■ドロマー・ハイランド=シュヴァルツシルト マナカラー:白青黒 IC:トリスタン(FGO)
「きっと、今こそ我等は己が罪を総て精算すべき時なのです」
シュヴァルツシルト現領主。彼もまたPT能力者で元『次元旅団』在籍。
深紅の髪を携え、情勢を嘆くように薄く閉じられた瞳が一際目を引くが口を開けば
息子よりも酷い女好きが口をついて飛び出し始める。
聡明で理知的、常に民と領地の益を計算しながら振る舞う男は近隣貴族から食えない男として一定の評価と警戒を持たれている。
かつては、ずっと長らく続いてきた差別意識を領民たちのためにもなんとか取り払いたいと思い水面下で活動していた。
しかし聡明な男は自分一人では何も変えられないと理解できてしまい、アズラエルの作り出す新たな国を強く望み、彼に己の理想を託すことを誓っている。
■グリクシス・ハイランド=シュヴァルツシルト マナカラー:赤青黒 IC:コルネリア(FE風花雪月)
「近寄らないで、獣の臭いが移るわ」
シュヴァルツシルト家の正室である女性。非PT能力者で故人。
ドロマーとは政略結婚で結婚。彼女らの父親による取り決めであり、二人の婚姻は極めて事務的だったと語られている。
慈愛に満ち溢れ、常に人々の為の世を祈り積極的に慈善活動を企画して笑う姿は『聖女』と呼ばれていた。
しかし貴族らしく獣嫌いであり、アーラン寄りの思想の家系だったために嫁ぎ先の領地の獣の多さに嫌気が差し婚姻数ヵ月で離れに別荘を用意させ、往年はそこで過ごしていた。
娘を溺愛していたが、8年前に別荘にいるところ賊の手によると見られる火災が発生。娘共々命を落とす。
■リーリエ・ハイランド=シュヴァルツシルト マナカラー:赤赤白 IC:エルザ・スカーレット(フェアリーテイル)
「皆で手を取り合えば、きっとどんな険しい冬でも乗り越えられる。少なくとも、私はそう信じているよ」
シュヴァルツシルト家長女。享年19歳。
深紅の髪を携えた高潔な騎士然とした女で、父を越える長身から振るわれる剣や斧術の腕前は男にも負けず圧倒するほど。
常に優しく暖かな笑顔を浮かべ、冷たい目で見られながらも民のすべてに手を伸ばして回るのを欠かさなかったと語られる。
また、とてもマイペースだったことでも知られ、よく弟や使用人にあだ名をつけたり時折草むらで花と話すなど、ひとりでぼんやりしている姿が多く見られる程度にはおっとりとしていた。
8年前、母や弟と共に別荘にいるところを賊に襲撃されたとされ命を落とす。遺体は館もろとも焼失してしまい現存していない。
■マレフィセント マナカラー:赤緑青 IC:エルモート(グランブルーファンタジー)
「用件があれば、どうぞ何なりと御申し付けください。それが僕の役割ですから」
ファーフルフトに宛がわれている亜人の奴隷。傷んだ赤い髪と切れ長の琥珀の瞳、そして大きな犬のような耳が特徴的。
目付きは悪く見えるが基本的に腰が低く従順で真っ直ぐな性格。一人称は僕。
奴隷、という名目ではあるが一般的な貴族の奴隷の中でも随分とマシでありほぼ従者と遜色ない待遇を受けている。
キングダム内では常にファーフルフトの後方に控えており、雑務やボディガードを勤めている。
幼い頃から共に過ごした為かファーフルフトからの信頼は厚く、出会った記念日には短剣を贈られていたり、彼の趣味である料理の際も唯一立ち会いを許す程度には仲がいいようだ。
最終更新:2019年11月18日 15:04