CERO

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CERO - (2022/07/15 (金) 01:03:00) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2017/11/14 Tue 11:42:53
更新日:2024/04/23 Tue 15:46:38
所要時間:約 33 分で読めます





CERO(セロ)とは、日本のNPO法人・コンピューターエンターテインメントレーティング機構(Computer Entertainment Rating Organization)の略である。
主に日本のコンシューマーゲームを対象に、表現の倫理規定の策定や審査を行っている。

2000年代以降、日本産の全てのゲームソフトのパッケージには、この機関の審査を受けた事を証明するマークが付加されている。
ゲームの内容や描写等によって、「この部分は対象年齢が○歳以上。」等を意味している。
尚、レーティングの策定には、既にアメリカで設立されていた審査機関「ESRB」
(エンターテインメントソフトウェアレイティング委員会、Entertainment Software Rating Board)を参考にしている。
ただのNPOが定めた基準で法的拘束力はない…と思うなかれ。
CEROは長年かけて国や自治体と協議を重ねており、
自治体が有害図書を定める際にゲームについてはCEROレーティングを参考にするようになってきており
東京都やほとんどの県ではCERO Zのゲームは有害図書に準じた取り扱いをするように指導したり
愛知県秋田県など一部の県ではCEROがZに指定すると 自動的にその県の有害図書に指定する ように条例を整備しているところもある。


◆経緯

2002年6月、社会法人コンピューターエンターテインメント協会(CESA)の関連団体として設立。
同年10月、審査開始。
2003年12月、東京都より特定非営利活動法人として認証。
ゲームの内容や描写等を観察し、「この表現は○歳以上向けだな。」等と考え、それらを元に最終的に対象年齢を決める。
また、CEROは会員制度を取っており、CEROの目的に賛同した個人や団体等を正会員としている。


◆レーティングマーク

◇○歳以上対象

恐らく一番目立つのはこのマークだと思われる。
発足当時は『全年齢』『12』『15』『18』と表記されていたが、後に以下のように『A』『B』『C』『D』『Z』の五種類に区分された。


これとは別途に、任天堂ソフトのうちニンテンドー3DSWiiでは通常白パッケージのところ、
C区分以上では黒パッケージに、Wii Uでは水色のところを同じくC区分以上でダークブルーに変更している。
また、パッケージの背表紙部分にあるCERO表記の部分の色はこの表の色に準ずる。


◇コンテンツディスクリプターアイコン

レーティングB以上のパッケージの裏に表示されている以下の画像のマーク。単にコンテンツアイコンとも。
どのような内容が理由で判定されたかを示すもので、内容によっては3〜4個付くこともよくある。実際にプレイしてみると首を傾げたくなるような付き方も割とよくある。
記載順は以下の通りになっていることが多いが、パッケージを作るのはメーカー側であることもあってか、必ずしも厳密に守られている訳でもなく、たまに入れ替わる。


ハートマーク…恋愛

異性愛・同性愛を問わず、恋愛表現・恋愛関係となる内容が含まれている場合。
当然のことながら『ときめきメモリアル』シリーズ、『ラブプラス』シリーズなどビジュアルノベルや恋愛ゲームにつく他、
RPGなどのストーリーで恋愛要素がある場合にも付けられることがある。
一方で、恋愛要素があれば何でも付けられる訳ではなく、例えば『トモダチコレクション』には付いていない。『ドラクエ5』や『ドラクエ8』も付いていない。
恋愛表現があっさりしているのがボーダーラインだろうか。


♂♀…セクシャル

男女を問わず、キャラクターが露出度の多いコスチュームや水着・下着・半裸になるシーンが含まれている場合やキスなどのスキンシップがある場合につく。
適用範囲は幅広く、アイマスから無双シリーズまで、美男美女が登場するゲームではほとんど付く。
スーパーマリオ オデッセイ』がCERO:Bになったのはこれが原因(マリオの水着コスチュームがある)というジョークが飛び交ったが、実際は後述の暴力・犯罪が原因。
ちなみに水着に関してはプールやといった自然な服装と言える場所での表現ならばセーフらしい。
このため、着せ替え要素のあるゲームでキャラクターに水着を着させると強制的にステージが海岸に指定されるシステムが実装されているケースもある。


手にナイフ…暴力

武器・銃器・兵器、拳等で攻撃を加える表現等がある場合。
ボクシングやプロレス等、スポーツとしてルールに則って行われる格闘技も含まれる。
出血や欠損、死体などが登場する場合にも付けられることがある。
こちらもアクション・格闘ゲーム・FPSなどなど適用範囲が幅広い。


お化け…恐怖

アイコン通り幽霊や異形の怪物などが登場する場合にも付くが、過度の出血や死体などが描写されている場合にも付く。
ただ、これに引っかかるのは大概サバイバルホラー系が多く、その場合は「暴力」アイコンに一括して認定されることも多く、
このアイコン単体で適用されるケースは正真正銘の「ホラーゲーム」のみである。


ワイングラス…飲酒・喫煙

未成年のキャラクターがゲーム内で飲酒・喫煙をする表現がある場合。
ケースが比較的限られるため、ほとんどの場合は適用されない。
一方で、『大正野球娘。』のように舞台が現代でなく、作中の時代では未成年の飲酒が可能だった場合でもこの基準は適用される。
飲酒がテーマである『ドリームクラブ』でさえ適用されていないことを見ても分かる通り、成人が飲酒していても一切抵触はしない。
同作にはどう見ても成人に見えない合法ロリ的なキャラクターも登場するが、成人なので適用されていない。まさに合法ロリ。
ただし、CEROには関係ないが、このような作品では別途作中で「お酒は20歳になってから。」の表記が行われることが多い。
また、海外(も意識した作品)では「例え成人済みのキャラクターであっても飲酒や喫煙の描写が見られます」「当作品は飲酒や喫煙を推奨する物ではございません」といった旨の注意が促される事もある。


貨幣袋…ギャンブル

ゲーム内で現金を賭けたギャンブルなどがある場合。
あくまでCEROではリアルな現実でも容易に再現可能かつ違法な賭博のみ適用とされるため、『龍が如く』での丁半賭博等が引っかかる一方、
お遊びとしてドラゴンクエストなどのゲーム内通貨を賭ける様なものや、「パチンコシミュレーターソフト」などは該当しない。
海外の審査機関ではこの分野の規制が日本より厳しい事で有名。


銃…犯罪

ゲーム内で犯罪行為を行えたり、奨励する表現がある場合。作中では合法あるいは通常の行為としてみなされても現実では違法な場合は適用される。
主人公からして犯罪組織に関与している『龍が如く』シリーズ、『グランドセフトオート』シリーズはもちろんのことだが、
地味に『クレイジータクシー』シリーズ(現実の道交法違反どころのレベルではないため)『ゼルダの伝説 夢をみる島』(ゲーム内で万引きが出来るため)も入っている。
前述の『スーパーマリオ オデッセイ』が引っ掛かったのは「暴力」とこれだが、恐らくニュードンクシティ内部の描写が問題だと思われる。
ファンタジー要素の薄い等身大の人間が闊歩するリアルな大都会を、マリオが持ち前の自由度の高いアクションで駆け巡る様は非常に爽快なのだが、あまりにも自由にやれ過ぎるのが問題。
道路を走るタクシーの進路を妨害したり、はたまたタクシー自体を踏み台にして高らかにジャンプしたり、マリオが自身が信号をガン無視しながらスクーターで好き放題走ったりと、どう見ても犯罪な行動をやりたい放題できてしまうのである。
既存シリーズのようなファンタジー感溢れる街並みならいくらキノピオを踏みつけようが問題はなかったものの、リアル系な世界観で同じような表現をすると「犯罪」に繋がってしまうのである。


注射…麻薬等、薬物

ゲーム内で薬物を使用する表現がある場合。こちらも『グランドセフトオート』に適用されていないなど該当例は少ないが、『「ロマンシング サ・ガ2』はボクオーン関連のイベントの影響でこれが適用されている。
また、『研修医 天堂独太』などといった、医療を題材にしたゲームにも適用される(手術シーン等で麻酔薬の注射を使うため)。


吹き出し…言葉、その他

過激な発言や人種などの差別用語などがゲーム内で出る場合。
意外にも適用例があり、『SIREN:New Translation』や『FINAL FANTASY ⅩⅢ』でも適用されている。


◇暴力シーンの注意書き

「このゲームには暴力シーンやグロテスクな表現が含まれています」という注意書き。
所謂残酷ゲームにあたるもので、CERO発足よりこちらの方が若干登場が早かった。
大抵の場合、後述のC区分〜Z区分のゲームのパッケージに付加されている。


◆審査の手順


1.審査の対象となるゲームの映像と、希望する年齢区分を表記した問診票、世界観の資料、そして審査依頼票をCEROに送付する。
2.それらの情報を、審査基準に基づいて作成されたマニュアルに従い、三人の審査員が対象年齢を決める。
3.審査結果をメーカーに返送。此処でメーカーがOKすれば審査終了。但し、NGの場合は再審査。
4.ゲームソフト完成後、保存用にソフト1本をCEROに納品する

大体こんな感じ。
なお、ゲームソフトの審査を依頼する側は審査料金を払う必要がある。
一応、非会員であっても審査の依頼は出来るが、その場合、費用は正会員の約三倍も掛かってしまう。
なので、依頼するなら普通に会員になった方がお得である。


◆○区分(○歳以上対象)のソフト一覧(一部列挙。)







近年ではバイオハザード7バイオハザードRE:2バイオハザードRE:3のように「CERO:D版」と「CERO:Z版」の二種類のバージョンを発売する例も見られている。
「CERO:D版」ではグロテスクな表現が一部修正されてマイルドな描写となっている一方、「CERO:Z版」ではその手の規制が解除されている。

複数のソフトを収録した復刻版ミニゲーム機にもこの基準は適用される。この場合は個別のソフトではなく本体ごと一括で判定される為、収録ソフトの中で最も高いレーティングに区分される。(一つでもCERO:Cの作品があればゲーム機そのものがCERO:C判定となる)


◆課題・問題点

実はA区分からD区分までのゲームに関しては対象年齢に満たなくても購入し、遊ぶ事ができる
例えば、B区分のゲームは12歳以上に満たなくても購入は可能。これはCERO自身はあくまで「Z以外は購入時の参考程度の区分しかしていない」と公表してる為。
つまり、レーティングはあくまで目安としており、A区分からD区分までは例え小さな子供が購入・プレイしても問題は無い。
対象年齢以下の児童がショックを受ける可能性のある「ちょっと刺激の強い描写がありますよ」程度に見ていた方が無難と思われる。


念を押すがZ区分に関しては18歳未満に販売禁止するという絶対に守らなければならない規制であり、仮に小売店が年齢確認をせずに18歳未満の人間に販売した場合、ゲームの出荷停止といった罰則もありうる厳重な規制となっている。
店によってはそもそもZ区分のゲームを取り扱わない、取り扱う場合は18禁アダルトゲームと同じ扱いにする、子供の手が届きにくい場所に陳列するというスタンスを取っているところもある。

また、海外では審査が日本と比較してみるとやや厳しく、日本ではA区分に分類されたゲームが北米でローカライズ販売された際、ESRB:T(13歳以上推奨。CEROで言う所のB区分)に引き上げられる事もしばしば。
メタルスラッグアドバンス、スマッシュブラザーズシリーズ、カプコンクラシックスコレクション(日本PSP版)、カードファイターズDS等が主な例。


◆CEROに対する製作サイドの配慮


対象年齢を設けることにより、メーカーが製作面で色々苦労するケースもある。

例えば桜井氏は『スマブラ3DS/WiiU』製作段階において、CEROの審査から「女性キャラのスカートの中が見えて破廉恥だ」と指摘され、何回も作り直したうえ、
「海外の審査で銃火器類はNGというのは理解出来る。しかし、日本の審査では下着が見える見えない位で神経質になるなんて、余りにも低レベルだ」
と、愚痴を溢していた。

その他、Z区分を受けた外国産のゲームにおいても日本でローカライズされた際は欠損表現が修正されたりするケースもあり、
「Z指定のゲームに幾ら何でもそこまでは……」と不満に思うユーザーも多い。

近い例を挙げると、前述した通り『バイオハザードRE:2』はCERO:D版とCERO:Z版の二種類のバージョンで販売している。
だが、CERO:Z版にも実際は日本独自の表現規制が入っており、海外版と比較して損壊表現が無い上に血しぶきの飛び散り方も控えめになっている。
単に表現の問題だけでなく「血しぶきの量が減ったせいで敵が完全に死んだかどうか判別にくくなった」「イベントで登場する上半身だけの這いずりソンビが普通のゾンビになったので実質的に強化されている」などゲームバランスにも影響を与えてしまっている。
ホラーゲーに関しては悩みの種と言える問題でありバイオハザード4でも海外版では特定の技で敵を倒すと頭が吹っ飛ぶためにとどめを刺したことがわかりやすいのだが、国内版では頭が残る為、音で確認するか、死体を見て確認するかで倒したかどうかを確認する必要がある為、規制によって難しくなっていると言える。

かの有名な『モータルコンバット』シリーズが「4」以降、日本でローカライズされなくなったのもこの様な事が起因しているのかも知れない。
『ミッドウェイアーケードトレジャーズ』が日本のPS2でローカライズされた際、やはりというべきか、原版には収録されていた『モータルコンバット』3作は未収録となっている。
その為、レーティングはB区分となっているが、仮に『モーコン』を収録した場合、間違いなくZ区分は確実になっていただろう。
シリーズ5作目に当たる『モータルコンバット デッドリーアライアンス』は当初、コーエーがローカライズした上で日本でも発売が予定されていたが、結局は発売中止になってしまった。
この事からZ区分は「上限知らずではない」という事が窺える。

他にも『処女はお姉さまに恋してる~2人のエルダー~』ではPC版(18歳以上対象だがこれはCEROによる規制ではない)が PSPに移植された際に元々メインヒロインだった神近香織理と哘雅楽乃がサブヒロインに降格し、元々サブだった二人のヒロインが入れ替わる形でメインに昇格している。
香織理の降格に関してはシナリオライターがTwitterで「一般ゲームの倫理基準では出せない」とコメントしているが、これは香織理の出自が不倫によって産まれたという背景があり、彼女のルートもそれを軸としたものとなっているのだが、CEROの規定に「不倫を肯定する表現はNG」とある為表現が難しかったと思われる。

3年B組金八先生 伝説の教壇に立て!』では通常版では全年齢対象だが、二つのシナリオが追加された完全版ではC区分に引き上げられている。
これは追加シナリオがいじめや教師と生徒の恋愛といった非常に重い内容を扱う為。言い換えれば審査を考慮して通常版ではシナリオを没にして、完全版で復活させたと製作者が言及している。

大乱闘スマッシュブラザーズ SPECIAL』でテリー・ボガードが配信された時、彼のステージには沢山の餓狼キャラやKOFキャラが姿を見せる中、不知火舞が不在という自体に陥った。桜井氏曰く、「良い子のCERO-Aなので、出せませんでした」との事。カードファイターズDS…。
他のゲームのセクシー系女性キャラについては衣装デザインを変更したり、演出を変えるなどして参加した者も多いのだが、舞はその余地すらなく出演見送りになっている。
これについてファンの間では「下手に衣装に手を加えると舞じゃなくなるから」という事情が推測されている。
舞に関しては本家餓狼伝説シリーズ中でも若干肌色面積が少なめ(それでも相当の露出)の衣装に変更されたことがあったのだが、その際のファンの評判が非常に芳しくなかったため、結局すぐに戻された。
CARO-Aのゲームに出られるような舞はもはや不知火舞ではないのである。
また、この件については「お色気キャラとして箔がついた」「貫禄を見せた」と、好意的に解釈される向きもある。
これは上記の「セクシュアル」に引っかかるのが原因だと明らかに見てとれる。「水着などを理由に脱ぐ場合」も理由として該当するのだが、上半裸のカラーバリエーションがあるシュルクセフィロスカズヤは許されていたりする。
またセフィロスの次に参戦したホムラとヒカリ任天堂でも異例のセクシュアルのみでC判定を食らった作品のメインヒロインであり、そのままではとてもとてもA判定にお出しできるようなビジュアルではなかったためかなり露出度が抑えられている。特にヒカリ。
……が、抑えられているのは露出度くらいで、一挙手一投足ごとにぷるんぷるん揺れる突き出たバストはほぼ原作のデカさのまま。ただ単に胸が大きいだけなら別にセクシュアルと見なされるわけではないらしい。

他にも『モンスターハンター』からリオレウスがボスキャラとして参戦した際、原作には存在していた尻尾切断描写はカットされ、頭部や翼等の部位破壊に留まるのみとなった。

『pop'n music 15 adventure』をベースにPSP向けに発売された『ポップンミュージックポータブル』では、15の新曲の中で「ウォートラントルーパーズ/ウォートランメインテーマ」が未収録になってしまったのは、ハーネマンの頭にナイフが突き刺さってしまうBADアクションが「良い子のA区分のポップンシリーズに相応しくないと判断された為」とも言われている。

ドラゴンボール』を原作にしたゲームで未来の孫悟飯が登場した際、原作では片腕だったが、ゲーム版では両腕に修正されているのを「過剰な自主規制だ」との意見も多い(ゲーム内ではほとんど片腕しか使わないので、原作を無視しているわけではない)。

『マンハント』が未だにローカライズされないのは、修正不可能な位、残虐描写が多い為とされている。

これらもCEROの弊害といえば弊害なのかも知れない。


そして何より、明らかに審査怠慢をしたのではないかと思われるゲームもある。


他、『メルルのアトリエ』のようなCERO改訂例もある等々、上記の理由からCEROの存在を疑問視するユーザーは多い。


一方で仕事したと言える例も勿論ある。
例を挙げると、PCゲーム『てぃんくる☆クルセイダース』(元々は18禁アダルトゲーム、その為CEROではなくソフ輪が審査している)がPSPに移植された際には、元々C区分の15才以上対象になる予定だったのだが、D区分(17歳以上対象)に引き上げられている。
これは原作CGを一切修正しなかった結果、CEROから下着のしわの書き込みがリアル過ぎるという指摘を受けた為
(ちなみに『CROSS†CHANNEL』がPS2及びPSPに移植された際には元々下着が見えていたCGが見えないように修正されており、そのシーンで主人公の太一も遠回しなメタ発言をしている。

『beat mania ⅡDX GOLD』がPS2に移植される際、とある楽曲のムービーにてボディコン女性が躍り狂うムービーがあったため、該当部分を別の物に差し替えることでA区分に漕ぎ着けることが出来た。

その他、『テイルズ オブ シンフォニア』は旧版ではA区分であったが、過激な言葉遣いや暴力シーン、犯罪描写や濃い恋愛描写等が多々見られた為、新版ではB区分に引き上げられた(コンテンツアイコンに恋愛、暴力、犯罪、言葉・その他が付加された)。


◆そもそも何故、CEROが発足したのか?

1992年。
アメリカでは『モータルコンバット』の記念すべき一作目が稼働。
そのゲーム内でサブゼロが脊髄ぶっこ抜きというトドメ演出を披露してしまい、人権保護団体から苦情が殺到してしまった。
この煽りを受け、アメリカでは日本よりもいち早くレーティング機構ESRBを設立し、ゲームの対象年齢を決める制度を取り入れた。
それから月日は流れ、日本国内産国外産問わず、ゲームのグラフィック等が綺麗になって行き、ゲームと現実の区別がつかないユーザーが現れる様になった。
実際、20代の男性がゲームの影響で人を撃った事件が起こってしまった他、アメリカのルイジアナ州にて僅か8歳の少年が「射殺してポイントを稼ぐゲーム」の影響を受けて祖母を射殺する事件が起きてしまった。
この様な事件が二度と起きない為、ゲームと現実の区別をつけさせる為、日本でもレーティング機構としてCEROが発足したとも言われている。
早い話、ゲームと現実の区別をつける為にもCEROは必要であるとも言える。
とはいえ、
「Z指定のゲームにまで修正措置をするのはやり過ぎ」
「下着が見える見えない程度の性描写で目くじらを立て過ぎ」
「規制すればする程、演出が面白くない物になってしまう」
等、否定的な意見も少なくない。
最終的には保護者が子供にきちんとゲーム(非現実)と現実の区別をつける様に躾をする事が大事であると言える。
また、B区分以上のゲームに関しては、「その年齢に満たない子供にとっては大抵の場合、操作性や難易度が難しいから」という理由もあるからという意見もある。

もう一つの理由として、CERO設立前の家庭用ゲーム機では当然だがゲームハードメーカーが似たような審査を行っていた。
例えばスーファミや64では任天堂、サターンはセガ、PS1はSCEが直接チェックしていたので
それらのメーカーも負担が大きい上に、もし問題が起こった場合は審査した側も責任を問われる。

例を挙げるとセガサターンでは昔は乳首まで見えているエッチなゲームがリリースされていて、
あれらのソフトはセガが直接審査して「全年齢指定」「18歳以上推奨」「18歳以上指定(X指定)」のレーティングが貼られていた。
もし「サターンの〇〇というソフトが卑猥すぎてけしからん!」とマスコミに叩かれたとする。
ソフトのメーカーと審査してOKを出したセガも責任を問われて非難されてしまう。
ハードメーカーとしてはそういう責任面での重圧や、リリースされるソフトを審査する作業自体が負担になっていたので
「そういうのは外部団体に委託しよう」という考えが生まれてくるのである。
もちろんソフトをリリースするサードにとっても
「同じソフトをサターンとPS1で出すのに審査先が違うし基準も違うから大変」となるのは面倒なのだ。
このために「ゲームの表現を審査してくれる一括した団体」として求められたのがCEROである。

ちなみに前述した通り審査が始まったのは2003年。ハードで説明するとゲームキューブ初期のソフトが審査を受けずに発売されているといったところ。

◆余談

2017年10月、フォーオナー(Z区分)の大会で15歳の少年が優勝するという出来事が起こった。
フォーオナーは18歳以上のみ対象のゲ-ムである為当然問題視され、大会主催者が謝罪する形となった。
そして再発防止策として「18歳未満のプレイヤーは出場禁止」等のルールを新たに制定する事となった。
Z区分のゲームでも保護者同伴ならば購入は可能であり、保護者が買って子に渡す等の抜け道がある為、やはり大会主催者のチェックが甘かったという意見が多い。

ファイアーエムブレム Echoes もうひとりの英雄王』(B区分)は、前作であるファイアーエムブレムif(C区分)の映像が収録されている限定版のみC区分に引き上げられている。これにより、「if」のコンテンツアイコンは「セクシャル」のみという事実と収録映像を照らし合わせることでifがC区分となった原因の一つが明確になった。スマブラSPでも同じ箇所が引っかかった。

このように限定版の同梱品もCEROの審査対象となる一方で、「店舗別予約特典」のようなゲームとは別で配布されるアイテムに関してはCEROの手が及んでいないため、ゲーム本編で使われているものより攻めたイラストが描き下ろされることも多い。

例を挙げると、『アマガミ』や『キミキス』の一部の予約特典では「これ大丈夫なの?」と思えるほどに過激なイラストが使用されている。

やり過ぎた例もあり、『ラングリッサー トリビュート』ではとある店舗の予約特典ポスターは内容が明らかにR-18のシロモノとなってしまったため、店舗側の判断によって未成年者には特典を渡さないという措置が取られてしまった。

星のカービィ ウルトラスーパーデラックス』が発売された際、シミラの顔にCERO:Aのアイコンが覆い被さったため、「シミラは犠牲になったのだ」とちょっとしたお祭り騒ぎになった事もある。

2017年よりマイクロソフト社が展開した『X-BOX GAME PASS』の関連サービスが約3年程の遅れを取ってしまったのは、マイクロソフトジャパン曰く「CEROが原因」との事。


海外の例

◇IARC(国際年齢評価連合)

こちらはCEROではない海外のレーティングシステムだが、参考として記載する。
International Age Rating Coalition(国際年齢評価連合、以降は略したIARCで表記)は
2013年頃にゲームレーティング手続きの簡略化、グローバル化を狙って作られた組織で、
IARCもレーティングを付与している。

CEROのような従来のレーティング機関は、ゲームメーカーが各種ゲーム資料を提出して
場合によっては追加の調査をした上で「このゲームのレーティングは全年齢である」などと決定するが、

IARCの審査はメーカーがアンケート調査のような設問に答えてIARCに提出し、
その内容によって「このゲームは7歳以上からだね」とIARCレーティングを付与する。
そしてIARCは北米のレーティング機関のESRBや、欧州のPEGI*1と連携しており
IARCで「7歳以上」と付与されると、自動的に北米のESRBや欧州のPEGIではそれに相応するレーティングが取れる
従来なら北米で売るならESRB、欧州ならPEGIにいちいち料金払って審査をする必要があるのだが、
IARCの審査を受ければそれらが自動で取れるのだ。しかもIARCの審査料はほぼ無料
アンケートをメールで送るだけなのでかなり手続きも早く済む。
中小ゲームメーカーにとってはすごくありがたいレーティング機関である。

日本のCEROは2020年現在ではIARCとの連携をしていないので上記のようなことはできず
日本国内でゲームを流通させるにはCERO審査を受けるしかない。IARCだけを取ってもダメ。
CEROも検討や意見交換はしているため将来は不明だが今は国内でのゲーム審査はCEROを通すことになるだろう。

日本のハードメーカーは日本国内でのゲームの審査にIARCのみでの販売は腰が重かったが、
マイクロソフトは2020年初頭に、任天堂は同年10月以降は徐々にIARCでのレーティングを付けたゲームを販売しているようだ。

すごく便利そうなのになぜ二の足を踏んでいるのかというと、
たとえば日本はエロに甘くグロに厳しいと(海外では逆とも)言われていて、文化なんて国や地域で受け取り方ががらりと変わってしまう。
それでちょちょいとアンケートに入力しただけの審査で複数の国にまたがって販売を許可を出すと
日本では15歳以上のレーティングで問題なく販売してたゲームが、欧米では「これが15!?18歳以上じゃなきゃダメだろ!」とか揉めることもありうる。
簡単に審査できるということは、ミスや抜けも簡単に起きうるのだ
この辺が解決するかどうかを時間をかけて見定めていると思われる。将来に期待だ。
前述のIARCを国内で認めているメーカーもまだ実験段階ということなのか
IARCのレーティングは事後に変わる可能性があることを注意書きに入れたり
IARCでも対象年齢が高くなるソフトは許諾していない模様。
ちなみにIARCはデジタル配信専用のゲームしか対応していないので
パッケージ版も併売するつもりなら使えない。


追記・修正はゲームを審査してからお願いします。

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