第2回
「何度も言ってるように、ここはファンは入れないんだよ!まったく近頃の中学生は…」
「ですから!私はここの事務所のタレントで、佐保明梨です!それに中学生じゃなくて高校生です!」
かれこれ30分近く、明梨は警備員と押し問答していた。
リンリンとの電話の翌日。早速絵里(見た目は生田衣梨奈)に会って今後について話し合うために会社に来たのはよかったが、通用口で警備員に呼び止められた。
また、その警備員が入りたてでまだ明梨の顔と名前までは覚えておらず、ファンと間違えられて足止めされているというわけである。
「ですから!私はここの事務所のタレントで、佐保明梨です!それに中学生じゃなくて高校生です!」
かれこれ30分近く、明梨は警備員と押し問答していた。
リンリンとの電話の翌日。早速絵里(見た目は生田衣梨奈)に会って今後について話し合うために会社に来たのはよかったが、通用口で警備員に呼び止められた。
また、その警備員が入りたてでまだ明梨の顔と名前までは覚えておらず、ファンと間違えられて足止めされているというわけである。
「ほら、帰った帰った」
「もー!分からない人ですねー!」
こうなったら正拳突きで強行突破するしか…。明梨がそれこそ二度と出入りできなくなりそうな選択をしかけた時、救いの神が現れた。
「あれ?佐保ちゃん?」
「あ!新垣さん!お久し振りです!」
現在のモーニング娘。のリーダー新垣里沙だった。明梨にとっては大先輩である。
そこへやり取りを見ていた警備員が口を挟んだ。
「新垣さん、この子のことご存知なんですか?」
すかさず明梨が里沙に泣きつく。
「警備員さんが通してくれないんですよぉ」
里沙は笑いながら警備員に説明した。
「もー!分からない人ですねー!」
こうなったら正拳突きで強行突破するしか…。明梨がそれこそ二度と出入りできなくなりそうな選択をしかけた時、救いの神が現れた。
「あれ?佐保ちゃん?」
「あ!新垣さん!お久し振りです!」
現在のモーニング娘。のリーダー新垣里沙だった。明梨にとっては大先輩である。
そこへやり取りを見ていた警備員が口を挟んだ。
「新垣さん、この子のことご存知なんですか?」
すかさず明梨が里沙に泣きつく。
「警備員さんが通してくれないんですよぉ」
里沙は笑いながら警備員に説明した。
「この子はうちの事務所のタレントで佐保明梨ちゃんです。だから通してあげて下さい」
「なんだ、本当だったのか。分かりました。佐保さん、すみませんでした。通っていただいて結構です」
「なんだ、本当だったのか。分かりました。佐保さん、すみませんでした。通っていただいて結構です」
明梨はほっと息をついて里沙に礼を言った。
「新垣さん、ありがとうございます。助かりました」
「いいのよ。ところで今日はどうしたの?」
里沙と一緒に会社の中を歩きながら、明梨は説明した。
「生田さんに会いに来たんですよ。ちょっと約束があって」
「生田、佐保ちゃんとも交流あったんだ?」
里沙が意外な組み合わせに驚いている。そりゃそうだろうな、と明梨は思う。
何しろ生田衣梨奈とは昨年の冬ハローで顔は合っているものの、片や加入直後、明梨はハロプロエッグ選抜ということで接点はないに等しかったのだから。
今回リンリンから頼まれた件がなければ、果たして話すことさえあったかどうか分からない。もっとも、今は亀井絵里と入れ替わっているのだが。
「新垣さん、ありがとうございます。助かりました」
「いいのよ。ところで今日はどうしたの?」
里沙と一緒に会社の中を歩きながら、明梨は説明した。
「生田さんに会いに来たんですよ。ちょっと約束があって」
「生田、佐保ちゃんとも交流あったんだ?」
里沙が意外な組み合わせに驚いている。そりゃそうだろうな、と明梨は思う。
何しろ生田衣梨奈とは昨年の冬ハローで顔は合っているものの、片や加入直後、明梨はハロプロエッグ選抜ということで接点はないに等しかったのだから。
今回リンリンから頼まれた件がなければ、果たして話すことさえあったかどうか分からない。もっとも、今は亀井絵里と入れ替わっているのだが。
「生田かぁ。探してきてあげるよ。って、そこにいるじゃん!」
大げさにずっこける里沙。リアクションが昭和だなぁ、とはさすがに口に出せなかった明梨だった。
「まだ娘。の打ち合わせにはだいぶ時間があるから、生田とどこかで話しておいで。生田!佐保ちゃんが会いに来たよ!」
里沙はやさしい笑顔を見せて、マネージャーのいる方へ歩いて行った。
大げさにずっこける里沙。リアクションが昭和だなぁ、とはさすがに口に出せなかった明梨だった。
「まだ娘。の打ち合わせにはだいぶ時間があるから、生田とどこかで話しておいで。生田!佐保ちゃんが会いに来たよ!」
里沙はやさしい笑顔を見せて、マネージャーのいる方へ歩いて行った。
「あ、佐保ちゃん。じゃ、人に聞かれたくないし、空いてる会議室にでも」
「こ、こんにちは。あの、本当に?」
明梨はこのどう見ても生田衣梨奈の姿をしている女の子が亀井絵里だということがまだ半信半疑だった。
「うん。そのことも二人だけになってから説明する」
「こ、こんにちは。あの、本当に?」
明梨はこのどう見ても生田衣梨奈の姿をしている女の子が亀井絵里だということがまだ半信半疑だった。
「うん。そのことも二人だけになってから説明する」
「さて、と。リンリンから聞いてると思うけど、私、亀井絵里なんだ。えりぽんと入れ替わっちゃったの」
空いている会議室に入り、二人きりになると絵里は改めて打ち明けた。
「ほんとに亀井さんなんですね…」
どうやら本当らしいと分かり、明梨は呆然としていた。まさかこんなSFかアニメみたいなことが実際にあるなんて。
何とか気持ちを整理し、明梨は本題に入った。
「それで、これからどうやって元に戻る方法を調べていくかなんですけど…」
「うん。絵里もえりぽんももう散々調べたんだけど分からないんだよね。当事者だからこそ視野が狭くなってるのかも。
だから第三者の佐保ちゃんが新しい目で見て気付いたことを私たちやリンリンに教えてほしいんだ」
空いている会議室に入り、二人きりになると絵里は改めて打ち明けた。
「ほんとに亀井さんなんですね…」
どうやら本当らしいと分かり、明梨は呆然としていた。まさかこんなSFかアニメみたいなことが実際にあるなんて。
何とか気持ちを整理し、明梨は本題に入った。
「それで、これからどうやって元に戻る方法を調べていくかなんですけど…」
「うん。絵里もえりぽんももう散々調べたんだけど分からないんだよね。当事者だからこそ視野が狭くなってるのかも。
だから第三者の佐保ちゃんが新しい目で見て気付いたことを私たちやリンリンに教えてほしいんだ」
それから絵里は二人が入れ替わった経緯など今までに分かっていることを明梨に伝えた。
明梨はノートにメモを取り終えると、絵里に言った。
「それじゃ、亀井さんの方の情報はだいたい分かりましたので、あと生田さんの話も聞いて考えてみますね」
「ありがと。面倒なこと頼んでごめんね」
「いいんです。亀井さんや生田さんの力になれれば嬉しいですから」
明梨はノートにメモを取り終えると、絵里に言った。
「それじゃ、亀井さんの方の情報はだいたい分かりましたので、あと生田さんの話も聞いて考えてみますね」
「ありがと。面倒なこと頼んでごめんね」
「いいんです。亀井さんや生田さんの力になれれば嬉しいですから」
その後少し雑談して、明梨は絵里と別れ、会社を出て近くの喫茶店でノートを見返した。
「ん?もしかして…。これは調べてみる価値あるかも」
明梨はリンリンに報告と相談をするべく、携帯を取り出した。
「ん?もしかして…。これは調べてみる価値あるかも」
明梨はリンリンに報告と相談をするべく、携帯を取り出した。