夜公演後に亀井さんからメールで指定された中野サンプラザ内の使われていない部屋に入ると、もう二人ともすでに揃っていた。
「来たね。それじゃ約束通り全部リンリンに話すよ」
亀井さんがそう言うと、生田ちゃんは不安そうに亀井さんを見た。
見た目も声も亀井さんと生田ちゃんそのものなのに、話していることは逆。やっぱり二人は入れ替わっちゃったんだ…。
「大丈夫だよ、えりぽん。リンリンは信頼できるから。じゃあ、最初から話すね」
亀井さんがそう言うと、生田ちゃんは不安そうに亀井さんを見た。
見た目も声も亀井さんと生田ちゃんそのものなのに、話していることは逆。やっぱり二人は入れ替わっちゃったんだ…。
「大丈夫だよ、えりぽん。リンリンは信頼できるから。じゃあ、最初から話すね」
それから亀井さんは階段から落ちて二人が入れ替わったこと、周りの人には明かさずにお互いとして過ごしてきたこと、
色々試したり調べたりしたけれど元に戻らなかったこと、全てのことを話してくれた。
「…こういうわけなの」
亀井さんは長い話を終え、そう締めくくった。
色々試したり調べたりしたけれど元に戻らなかったこと、全てのことを話してくれた。
「…こういうわけなの」
亀井さんは長い話を終え、そう締めくくった。
私はふーっと大きく息をついた。
「シンジラレナイ。いや、信じてますけど。ほんとにアニメみたいな話ですね」
「うん、そう思うよね普通。でもこれが現実」
亀井さんの言葉に生田ちゃんもうんうんとうなずいている。
「二人はこれからどうするんですか?」
「亀井絵里は生田衣梨奈として、生田衣梨奈は亀井絵里としてこれからも生きていくつもり。二人で話し合って決めたの」
「…諦めるんですか?」
私が亀井さんを見つめてそう言うと、亀井さんはゆっくりと首を振った。
「そうじゃないよ。諦めじゃなくて覚悟、かな」
「覚悟?」
「うん。だってえりぽんはモーニング娘。の現役メンバーなんだよ?時間はどんどん流れてく。私がえりぽんとしてやってきた仕事やレッスンを全部完璧にえりぽんに伝えるのは現実的に無理。いつ戻っても支障が出ないように最低限のことを伝える
しかない。でも、お互いのことを伝え合うだけっていうのは違うと思うんだ。」
生田ちゃんもうなずいて、
「そうなんです。私と亀井さんで何度も話し合いました。それで決めたんです。ただお互いばれないようにやり過ごすんじゃなくて、
いつ元に戻っても胸を張れるようにお互いの人生を精一杯生きようって。そうすることで戻れるきっかけも見つかるんじゃないかって」
二人の目に迷いは見られなかった。
「シンジラレナイ。いや、信じてますけど。ほんとにアニメみたいな話ですね」
「うん、そう思うよね普通。でもこれが現実」
亀井さんの言葉に生田ちゃんもうんうんとうなずいている。
「二人はこれからどうするんですか?」
「亀井絵里は生田衣梨奈として、生田衣梨奈は亀井絵里としてこれからも生きていくつもり。二人で話し合って決めたの」
「…諦めるんですか?」
私が亀井さんを見つめてそう言うと、亀井さんはゆっくりと首を振った。
「そうじゃないよ。諦めじゃなくて覚悟、かな」
「覚悟?」
「うん。だってえりぽんはモーニング娘。の現役メンバーなんだよ?時間はどんどん流れてく。私がえりぽんとしてやってきた仕事やレッスンを全部完璧にえりぽんに伝えるのは現実的に無理。いつ戻っても支障が出ないように最低限のことを伝える
しかない。でも、お互いのことを伝え合うだけっていうのは違うと思うんだ。」
生田ちゃんもうなずいて、
「そうなんです。私と亀井さんで何度も話し合いました。それで決めたんです。ただお互いばれないようにやり過ごすんじゃなくて、
いつ元に戻っても胸を張れるようにお互いの人生を精一杯生きようって。そうすることで戻れるきっかけも見つかるんじゃないかって」
二人の目に迷いは見られなかった。
私はふっと微笑みながら言った。
「何だか安心しました。私はまた中国に帰っちゃうから近くで助けることはできないけど…。でも、覚えてますか?亀井さん」
「え?」
「リンリンがモーニング娘。を卒業する時に言った言葉です。"同じ空の下が繋いでる"って」
「リンリン…」
亀井さんも生田ちゃんも泣いていた。
「亀井さんも生田ちゃんも私の家族です。何かあったらいつでも連絡して下さい。それと…」
私は立ち上がって、
「これは、私から亀井さんと生田ちゃんへのプレゼントです」
そう言って私は目を閉じて、大きく息を吸った。
「何だか安心しました。私はまた中国に帰っちゃうから近くで助けることはできないけど…。でも、覚えてますか?亀井さん」
「え?」
「リンリンがモーニング娘。を卒業する時に言った言葉です。"同じ空の下が繋いでる"って」
「リンリン…」
亀井さんも生田ちゃんも泣いていた。
「亀井さんも生田ちゃんも私の家族です。何かあったらいつでも連絡して下さい。それと…」
私は立ち上がって、
「これは、私から亀井さんと生田ちゃんへのプレゼントです」
そう言って私は目を閉じて、大きく息を吸った。
『心をつないで 叶えようよ 小さなことでもいいさ…』
亀井さんと生田ちゃんの未来が笑顔でいっぱいになりますように。そう強く祈りながら、私は歌い始めた。
リンリン編・完