第9回 光井愛佳
「私がよく見る夢はこんな感じ。最近は毎日見てて、少しずつ変化していってる。えりぽんは?」
「へ?あ、はい!」
私に話を振られて、半ば呆然としていたえりぽんがようやく我に返った。
「実は…私が見てるのも亀井さんと全く同じなんです。見覚えがない建物から女性が出てきて、小さな女の子と話す場面が出てくるようになったのも一緒です」
私とえりぽんは顔を見合わせた。
「どういうことなんだろ?入れ替わってる私たちが同じ夢を見るなんて何か意味がありそうだけど…」
「そうですね…」
うーん、と二人で考え込むがいくら考えても分からないものは分からない。
「へ?あ、はい!」
私に話を振られて、半ば呆然としていたえりぽんがようやく我に返った。
「実は…私が見てるのも亀井さんと全く同じなんです。見覚えがない建物から女性が出てきて、小さな女の子と話す場面が出てくるようになったのも一緒です」
私とえりぽんは顔を見合わせた。
「どういうことなんだろ?入れ替わってる私たちが同じ夢を見るなんて何か意味がありそうだけど…」
「そうですね…」
うーん、と二人で考え込むがいくら考えても分からないものは分からない。
「そうだ!私たちの事情を打ち明けてる人に相談してみるっていうのはどうでしょう?」
えりぽんがこれぞ名案とばかりに提案した。
「誰に?ガキさんか安倍さん?言っちゃなんだけどガキさんより絵里の方が頭いいと思うんだ。安倍さんもそういう方面は…」
「いや、亀井さんよりは…。あ、すみません」
えりぽんの中で私はどんな評価なんだ。少々むくれ気味に聞き返す。
「じゃあえりぽんは誰に相談したらいいと思うの?」
「光井さんがいいんじゃないかと思います。冷静で的確な判断をしてくれそうですし」
「愛佳かぁ。確かにいいかもしれない」
愛佳、しっかりしてるからなぁ。私はえりぽんの言葉に肯いた。
えりぽんがこれぞ名案とばかりに提案した。
「誰に?ガキさんか安倍さん?言っちゃなんだけどガキさんより絵里の方が頭いいと思うんだ。安倍さんもそういう方面は…」
「いや、亀井さんよりは…。あ、すみません」
えりぽんの中で私はどんな評価なんだ。少々むくれ気味に聞き返す。
「じゃあえりぽんは誰に相談したらいいと思うの?」
「光井さんがいいんじゃないかと思います。冷静で的確な判断をしてくれそうですし」
「愛佳かぁ。確かにいいかもしれない」
愛佳、しっかりしてるからなぁ。私はえりぽんの言葉に肯いた。
早速愛佳に今夜えりぽんと家に遊びに行っていいかメールしてみると、数分後OKの返信が来た。
そしてその夜。私とえりぽんは愛佳の家に向かった。
インターホンを鳴らすとすぐに愛佳が出迎えてくれた。
「亀井さんいらっしゃい。生田も」
「ごめんね愛佳。急にお邪魔して」
「すみません光井さん」
「全然大丈夫ですよ。二人ともどうぞ♪」
愛佳に促されてえりぽんと家にあがり、三人で愛佳の部屋に向かった。
そしてその夜。私とえりぽんは愛佳の家に向かった。
インターホンを鳴らすとすぐに愛佳が出迎えてくれた。
「亀井さんいらっしゃい。生田も」
「ごめんね愛佳。急にお邪魔して」
「すみません光井さん」
「全然大丈夫ですよ。二人ともどうぞ♪」
愛佳に促されてえりぽんと家にあがり、三人で愛佳の部屋に向かった。
出されたお茶を飲み、落ち着いたところで私は切り出した。
「今日急にお邪魔したのはちょっと愛佳に聞いてもらって意見を聞かせてほしいことがあるからなんだけど…」
「はい。私でお役に立つなら」
それから私は少し前から私とえりぽんが同じ夢を続けて見るようになったことについて分かっている範囲で詳しく話した。
愛佳は最初は驚いたような顔をしていたが、次第に真剣な表情になって話を聞いていた。
「と、こんなところなんだけど、どう思う?やっぱり何か意味があるのかな?」
「今日急にお邪魔したのはちょっと愛佳に聞いてもらって意見を聞かせてほしいことがあるからなんだけど…」
「はい。私でお役に立つなら」
それから私は少し前から私とえりぽんが同じ夢を続けて見るようになったことについて分かっている範囲で詳しく話した。
愛佳は最初は驚いたような顔をしていたが、次第に真剣な表情になって話を聞いていた。
「と、こんなところなんだけど、どう思う?やっぱり何か意味があるのかな?」
私が話し終えると愛佳は考えをまとめているようだったが、やがてえりぽんに質問した。
「生田が見た夢も亀井さんの話と全く同じ?どんな細かいとこでもいいから違うところはない?」
えりぽんはそう聞かれてしばらく考え込んだ。
「そうですね…。亀井さんと全く同じです」
えりぽんの答えに愛佳は肯いた。
「これは私の意見なんですけど…」
そう前置きして愛佳は話し始めた。
「夢には色んなパターンがあります。自分の心のストレスなんかを取り除くために無意識が作り出した気晴らしの映像、病気や事故の警告、人生のヒント…。ここまではいいですか?」
私もえりぽんも肯いた。それを確認して愛佳はさらに続けた。
「お二人が見た夢の舞台が全く知らない場所というのが気になりますね。忘れているだけかもしれないし、誰かから聞いた話を想像で補ってるのかもしれませんけど。
それにしても二人全く同じっていうのも不思議です。そこでポイントになりそうなのが登場人物です。建物から出てきた女性と小さな女の子が誰なのか。知っている人物なのか。
それが分かれば何かが見えてくるかもしれません」
愛佳の話が終わると、私とえりぽんはほっと息をついた。二人とも無意識に息を詰めて聞いていたみたいだ。
「ありがと愛佳。参考になったよ」
「私も専門家じゃないので的確な意見かは分かりませんけど。これからはもし同じ夢を見たら起きてから気付いたことをメモしておいた方がいいかもしれませんね」
「うん、そうする」
「分かりました」
それから少し三人で雑談して、時間も遅くなったので帰ることにした。
「生田が見た夢も亀井さんの話と全く同じ?どんな細かいとこでもいいから違うところはない?」
えりぽんはそう聞かれてしばらく考え込んだ。
「そうですね…。亀井さんと全く同じです」
えりぽんの答えに愛佳は肯いた。
「これは私の意見なんですけど…」
そう前置きして愛佳は話し始めた。
「夢には色んなパターンがあります。自分の心のストレスなんかを取り除くために無意識が作り出した気晴らしの映像、病気や事故の警告、人生のヒント…。ここまではいいですか?」
私もえりぽんも肯いた。それを確認して愛佳はさらに続けた。
「お二人が見た夢の舞台が全く知らない場所というのが気になりますね。忘れているだけかもしれないし、誰かから聞いた話を想像で補ってるのかもしれませんけど。
それにしても二人全く同じっていうのも不思議です。そこでポイントになりそうなのが登場人物です。建物から出てきた女性と小さな女の子が誰なのか。知っている人物なのか。
それが分かれば何かが見えてくるかもしれません」
愛佳の話が終わると、私とえりぽんはほっと息をついた。二人とも無意識に息を詰めて聞いていたみたいだ。
「ありがと愛佳。参考になったよ」
「私も専門家じゃないので的確な意見かは分かりませんけど。これからはもし同じ夢を見たら起きてから気付いたことをメモしておいた方がいいかもしれませんね」
「うん、そうする」
「分かりました」
それから少し三人で雑談して、時間も遅くなったので帰ることにした。
-同じ夜-
私はまたあの夢を見ていた。
見覚えのない建物から女性が出てきて女の子と話すところまでは同じだったが、その後に変化が現れた。女性の話し声が次第にはっきりと聞こえるようになってきたのだ。
「…いてあげたいけど、お姉ちゃんすぐに行かなきゃいけないの。ママの近くに行っておいで」
ん?なんかこの声、聞き覚えがあるような…。私は夢の中で思い出そうと必死に考えていたが、次に女の子が言った言葉は衝撃的なものだった。
私はまたあの夢を見ていた。
見覚えのない建物から女性が出てきて女の子と話すところまでは同じだったが、その後に変化が現れた。女性の話し声が次第にはっきりと聞こえるようになってきたのだ。
「…いてあげたいけど、お姉ちゃんすぐに行かなきゃいけないの。ママの近くに行っておいで」
ん?なんかこの声、聞き覚えがあるような…。私は夢の中で思い出そうと必死に考えていたが、次に女の子が言った言葉は衝撃的なものだった。
「うん。ね、お姉ちゃん新垣里沙ちゃんでしょ?」
えっ?その瞬間、ぼやけていた女性の顔が急に鮮明に見えた。それは今よりも少し幼さは残っていたが、間違いなく新垣里沙その人だった。
「ガキさん!!」
思わず叫んだところで目が覚めた。
私はベッドの上で大きく息をついた。
なんでガキさんが…。いや、もう安倍さんと入れ替わった後?しばらく考えていたが、私はとにかく夢の内容をノートにメモした。
「えりぽんも同じ夢見たのかな?それに、ガキさんと安倍さんにも何か覚えがないか聞いてみなきゃ」
私はそう呟いて、まずはえりぽんへの確認のメールを打ち始めた。
思わず叫んだところで目が覚めた。
私はベッドの上で大きく息をついた。
なんでガキさんが…。いや、もう安倍さんと入れ替わった後?しばらく考えていたが、私はとにかく夢の内容をノートにメモした。
「えりぽんも同じ夢見たのかな?それに、ガキさんと安倍さんにも何か覚えがないか聞いてみなきゃ」
私はそう呟いて、まずはえりぽんへの確認のメールを打ち始めた。