12月△日
それから数日はれいなとは会えない日が続いた。
私は2011年加入メンバーのオープニングダンスや9期メンバーで歌う曲のリハーサルで、れいなたち他のハローのメンバーとは別行動だった。
しかし今日、数日振りに9期、10期、スマイレージ新メンバーも合流しての合同リハーサル。その合間のDVD MAGAZINEの撮影でれいなとこの日初めてまともに顔を合わせた。
私は2011年加入メンバーのオープニングダンスや9期メンバーで歌う曲のリハーサルで、れいなたち他のハローのメンバーとは別行動だった。
しかし今日、数日振りに9期、10期、スマイレージ新メンバーも合流しての合同リハーサル。その合間のDVD MAGAZINEの撮影でれいなとこの日初めてまともに顔を合わせた。
「田中さん、よろしくお願いします!」
私はこの間のお弁当の一件があったから少し緊張気味に挨拶したが、れいなは普段と変わらず「うん、よろしく」と返してくれた。
れいな、やっぱり大人になったな。それとも後輩だから、なのかな。
撮影は何事もなく終わり、またリハーサルに戻ろうとしているとれいなに呼び止められた。
私はこの間のお弁当の一件があったから少し緊張気味に挨拶したが、れいなは普段と変わらず「うん、よろしく」と返してくれた。
れいな、やっぱり大人になったな。それとも後輩だから、なのかな。
撮影は何事もなく終わり、またリハーサルに戻ろうとしているとれいなに呼び止められた。
「生田、リハ終わった後何か予定ある?」
「いえ、何もありませんけど」
「もつ鍋食べに行かん?生田と話したいこともあるし」
「えっ?」
メンバーとはあまりプライベートで会わないれいなが後輩を誘うなんて。それもつい最近あんなことがあったのに。
「あ、嫌ならいいとよ」
驚いて答えられないでいると、勘違いしたのかれいなが慌てるように言い足した。
二人っきりだと色々とリスクはあるけど…いいよね?
「あ、いえ。そんなことないです。ぜひ行きたいです」
「じゃ、リハが終わったら一緒に行こ。れいなが知っとぉ店があるけん」
「あ、はい…」
「そんな緊張せんでええよ。おいしいもつ鍋食べに行くと思って気楽にしたらいいったい。さ、戻ろ」
れいなは笑って私の肩をぽんぽんとたたいて、先にスタジオに向かって歩き出した。
たぶんこの間の件で話があるんだろうな。でも今から気にしてても仕方ないし。ちょっと首を振って、私もれいなを追ってスタジオに向かった。
「いえ、何もありませんけど」
「もつ鍋食べに行かん?生田と話したいこともあるし」
「えっ?」
メンバーとはあまりプライベートで会わないれいなが後輩を誘うなんて。それもつい最近あんなことがあったのに。
「あ、嫌ならいいとよ」
驚いて答えられないでいると、勘違いしたのかれいなが慌てるように言い足した。
二人っきりだと色々とリスクはあるけど…いいよね?
「あ、いえ。そんなことないです。ぜひ行きたいです」
「じゃ、リハが終わったら一緒に行こ。れいなが知っとぉ店があるけん」
「あ、はい…」
「そんな緊張せんでええよ。おいしいもつ鍋食べに行くと思って気楽にしたらいいったい。さ、戻ろ」
れいなは笑って私の肩をぽんぽんとたたいて、先にスタジオに向かって歩き出した。
たぶんこの間の件で話があるんだろうな。でも今から気にしてても仕方ないし。ちょっと首を振って、私もれいなを追ってスタジオに向かった。
リハーサルが終わった後、れいなに連れられて銀座のもつ鍋屋さんに行った。
今日こそはこの間のこと謝らなきゃ。個室に通されて店の人が下がっていくと、私は勢いよく頭を下げた。
「この間はごめんなさい!」
「この前はごめん!」
予期せず声が重なり、驚いて顔を見合わせた。
「生田は何?先に言ってええよ」
「いえ、田中さんから」
「いいから。生田からで」
少し押し問答したけど、結局私から話した。
「田中さん、この間は先輩なのにあんな口のきき方してすみませんでした!」
深々と頭を下げる私にれいなは笑って言った。
「あれはちょっとびっくりしたけど、もう気にしとらんけん」
てっきりあの件でお説教だと思ってたのに。それじゃ、何の話?
「れいなの方もその話と関係あるっちゃあるんやけど、その前に。生田、この前はごめん!言葉はあれやったけど、生田がれいなのこと心配して言ってくれたのにあんな態度とって」
れいなが後輩にこんなに素直に謝るなんて。愛ちゃんやガキさんも言ってたけど、れいなって9期や10期が入ってほんとに変わったな。
驚きが顔に出ていたのか、れいなは私を見てちょっと笑った。
今日こそはこの間のこと謝らなきゃ。個室に通されて店の人が下がっていくと、私は勢いよく頭を下げた。
「この間はごめんなさい!」
「この前はごめん!」
予期せず声が重なり、驚いて顔を見合わせた。
「生田は何?先に言ってええよ」
「いえ、田中さんから」
「いいから。生田からで」
少し押し問答したけど、結局私から話した。
「田中さん、この間は先輩なのにあんな口のきき方してすみませんでした!」
深々と頭を下げる私にれいなは笑って言った。
「あれはちょっとびっくりしたけど、もう気にしとらんけん」
てっきりあの件でお説教だと思ってたのに。それじゃ、何の話?
「れいなの方もその話と関係あるっちゃあるんやけど、その前に。生田、この前はごめん!言葉はあれやったけど、生田がれいなのこと心配して言ってくれたのにあんな態度とって」
れいなが後輩にこんなに素直に謝るなんて。愛ちゃんやガキさんも言ってたけど、れいなって9期や10期が入ってほんとに変わったな。
驚きが顔に出ていたのか、れいなは私を見てちょっと笑った。
鍋の具材が運ばれて来て、もつ鍋ができるまでの間は冬ハローの話など当たり障りのない話をした。
やがて鍋ができて食べ始め、あらかた食べ終わった頃。
「それにしても、さ」
れいなは烏龍茶の喉を潤してから私の方に向き直った。
「話を蒸し返すみたいっちゃけど、あの時の生田の剣幕すごかった。まるで…絵里みたいやった」
思いがけず飛び出した自分の名前にどきりとする。
「亀井さん、ですか?」
動揺を隠し、れいなの表情を伺う。
れいなは迷うようにグラスを弄んでいたが、うん、とひとつ頷いて話し始めた。
「ちょっと前から思っとったけど、生田って急にキャラというか人が変わったみたいに感じる。急に大人っぽくなって10期の面倒もよく見とぉし。
それだけやったら生田が成長したってことだけど、でも…」
れいなは烏龍茶をぐいと飲み干した。
「れいなの前で泣いた時の泣き方、それにこの前れいなに怒った時の目。それがどうしてもれいなのよく知ってるあの子と被るっちゃ。
ありえんことやし、まだ半信半疑やけど…」
まさか…。私は嫌な予感を感じながられいなの言葉を待った。
やがて鍋ができて食べ始め、あらかた食べ終わった頃。
「それにしても、さ」
れいなは烏龍茶の喉を潤してから私の方に向き直った。
「話を蒸し返すみたいっちゃけど、あの時の生田の剣幕すごかった。まるで…絵里みたいやった」
思いがけず飛び出した自分の名前にどきりとする。
「亀井さん、ですか?」
動揺を隠し、れいなの表情を伺う。
れいなは迷うようにグラスを弄んでいたが、うん、とひとつ頷いて話し始めた。
「ちょっと前から思っとったけど、生田って急にキャラというか人が変わったみたいに感じる。急に大人っぽくなって10期の面倒もよく見とぉし。
それだけやったら生田が成長したってことだけど、でも…」
れいなは烏龍茶をぐいと飲み干した。
「れいなの前で泣いた時の泣き方、それにこの前れいなに怒った時の目。それがどうしてもれいなのよく知ってるあの子と被るっちゃ。
ありえんことやし、まだ半信半疑やけど…」
まさか…。私は嫌な予感を感じながられいなの言葉を待った。
「絵里、やろ?」
私はどう答えるべきか決断を迫られた。
『Rへの手紙編』作者です
いよいよ最終回となるんですが本作では2パターンのエンディングになります