「えーっと、えりぽん?それは新しいギャグなのかな?」
しばらく沈黙した後、香音はとりあえず確認してみた。
「ギャグじゃないから!何ならテストしてくれてもいいよ」
必死に言い張る絵里を香音はまだ疑いの目で見ていたが…。
「じゃあ、質問するよ?まず、生年月日は?」
「1988年12月23日」
「『ハロー!モーニング』のリリース商品紹介コーナーの名前はエリック亀造の?」
「毎度ありぃ!」
「藤本美貴さんと二人で担当していたコーナーでのキャラ名は?」
「エリザベスキャメイ」
「亀井さんの名言。"そうなんだよ"の続きは?」
「亀井なんだよ!」
「亀井さん!」
「2問目以降おかいでしょ!ファンかよ!」
抱きつく香音を引き剥がしながら、絵里がツッコむ。
「すみません。最初に打ち明けて下さった時点で信じてたんですけど、だんだん面白くなってきちゃって。亀井さんのことは聖ちゃんから散々DVDとか色々見せられて知識はありました」
ぽりぽりと頭をかきながら笑う香音を見て絵里も仕方なく笑っていたが、やがて表情を改めた。
しばらく沈黙した後、香音はとりあえず確認してみた。
「ギャグじゃないから!何ならテストしてくれてもいいよ」
必死に言い張る絵里を香音はまだ疑いの目で見ていたが…。
「じゃあ、質問するよ?まず、生年月日は?」
「1988年12月23日」
「『ハロー!モーニング』のリリース商品紹介コーナーの名前はエリック亀造の?」
「毎度ありぃ!」
「藤本美貴さんと二人で担当していたコーナーでのキャラ名は?」
「エリザベスキャメイ」
「亀井さんの名言。"そうなんだよ"の続きは?」
「亀井なんだよ!」
「亀井さん!」
「2問目以降おかいでしょ!ファンかよ!」
抱きつく香音を引き剥がしながら、絵里がツッコむ。
「すみません。最初に打ち明けて下さった時点で信じてたんですけど、だんだん面白くなってきちゃって。亀井さんのことは聖ちゃんから散々DVDとか色々見せられて知識はありました」
ぽりぽりと頭をかきながら笑う香音を見て絵里も仕方なく笑っていたが、やがて表情を改めた。
「絵里はちゃんと打ち明けたよ。次は香音ちゃんの番」
「え?」
「香音ちゃんが最近いらいらしてるのは絵里が隠し事してたことだけが原因じゃないでしょ?」
絵里の言葉に香音は俯いて沈黙していたが、やがて思い切ったように顔を上げた。
「亀井さん!私を弟子にして下さい!」
唐突過ぎる申し出に絵里はしばし呆気にとられていたが、やさしく「どういうこと?」と訊き返した。
「実は…」
それから香音はモーニング娘。のセンターへの思いと進展しない現状についての悩みを絵里に打ち明けた。
香音の告白を、絵里はひと言も口を挟まずに真剣な表情で聞いていた。
「え?」
「香音ちゃんが最近いらいらしてるのは絵里が隠し事してたことだけが原因じゃないでしょ?」
絵里の言葉に香音は俯いて沈黙していたが、やがて思い切ったように顔を上げた。
「亀井さん!私を弟子にして下さい!」
唐突過ぎる申し出に絵里はしばし呆気にとられていたが、やさしく「どういうこと?」と訊き返した。
「実は…」
それから香音はモーニング娘。のセンターへの思いと進展しない現状についての悩みを絵里に打ち明けた。
香音の告白を、絵里はひと言も口を挟まずに真剣な表情で聞いていた。
話を聞き終えて絵里は考えた。
この相談は本来はさゆみやれいなにするべき内容。絵里の今の社会的立場は同期・生田衣梨奈でありライバル。そう言って突っぱねるのは簡単かもしれない。
でも、それでいいの?この香音の真っ直ぐな思いを受け止めた先輩・亀井絵里としては。
そこまで考えて、絵里は苦笑した。考えるまでもなく最初から答えは出てるじゃない。
黙り込んでいる絵里を不安そうに見ている香音の頭を、絵里は軽くぽんぽんと叩いた。
「分かったよ。絵里もセンターにいたわけじゃないからどこまで参考になるか分からないけど、香音ちゃんが変わるきっかけを見つける手助けなら喜んでするよ」
絵里の答えを聞いて香音は「やったあ!」と飛び上がった。そして深々と頭を下げた。
「よろしくお願いします、師匠」
途端に絵里はうへへえ、とだらしない笑顔になった。
「もう一回師匠って呼んで」
「師匠!」
「もう一回」
「師匠!」
「もう…」
「亀井さん?」
白けた表情の香音を見て、絵里は慌てて表情を引き締める。
「じゃあ、亀井流センター講座。今日は最初だから基本から」
この相談は本来はさゆみやれいなにするべき内容。絵里の今の社会的立場は同期・生田衣梨奈でありライバル。そう言って突っぱねるのは簡単かもしれない。
でも、それでいいの?この香音の真っ直ぐな思いを受け止めた先輩・亀井絵里としては。
そこまで考えて、絵里は苦笑した。考えるまでもなく最初から答えは出てるじゃない。
黙り込んでいる絵里を不安そうに見ている香音の頭を、絵里は軽くぽんぽんと叩いた。
「分かったよ。絵里もセンターにいたわけじゃないからどこまで参考になるか分からないけど、香音ちゃんが変わるきっかけを見つける手助けなら喜んでするよ」
絵里の答えを聞いて香音は「やったあ!」と飛び上がった。そして深々と頭を下げた。
「よろしくお願いします、師匠」
途端に絵里はうへへえ、とだらしない笑顔になった。
「もう一回師匠って呼んで」
「師匠!」
「もう一回」
「師匠!」
「もう…」
「亀井さん?」
白けた表情の香音を見て、絵里は慌てて表情を引き締める。
「じゃあ、亀井流センター講座。今日は最初だから基本から」
「その一!『バラエティ番組出演時は隙を見つけて前に出て、スベる時も全力で』」
決まった、とばかりにドヤ顔の絵里を香音はポカンとして見ていた。
「あのお、それと娘。のセンターと何の関係が…」
疑いの目を向ける香音に「分かってないなぁ」とばかりに首を振りながら、絵里は答えた。
「香音ちゃんはまず目立ってつんく♂さんや会社の上の人の見る目を変えるところから始めなきゃ。そうして目に止めてもらえるようになって、そこから成長を見てもらうチャンスを作るの」
「な、何となく説得力ありますね」
香音の言葉に満足して、絵里はさらに続けた。
「そのきっかけを掴むためには一発ギャグ的な持ちネタが必要。絵里のとっておきのをあげるよ。これやって目立てば香音ちゃんへの注目度が上がること間違いなし!」
「えっ、いやあの」
「耳をこうやって…"ギョウザ!"あれ、いまいち?じゃあこれだな」
「いや、いい…」
「"チョヌン!"はい、やってみて」
「ちょ、ちょぬん」
「キレが甘~い!」
「チョヌン!」
「もう一度!」
「チョヌン!」
全力で練習を繰り返しながら、本当にこの人の弟子になってよかったんだろうかと早くも不安になり始めた香音だった。
決まった、とばかりにドヤ顔の絵里を香音はポカンとして見ていた。
「あのお、それと娘。のセンターと何の関係が…」
疑いの目を向ける香音に「分かってないなぁ」とばかりに首を振りながら、絵里は答えた。
「香音ちゃんはまず目立ってつんく♂さんや会社の上の人の見る目を変えるところから始めなきゃ。そうして目に止めてもらえるようになって、そこから成長を見てもらうチャンスを作るの」
「な、何となく説得力ありますね」
香音の言葉に満足して、絵里はさらに続けた。
「そのきっかけを掴むためには一発ギャグ的な持ちネタが必要。絵里のとっておきのをあげるよ。これやって目立てば香音ちゃんへの注目度が上がること間違いなし!」
「えっ、いやあの」
「耳をこうやって…"ギョウザ!"あれ、いまいち?じゃあこれだな」
「いや、いい…」
「"チョヌン!"はい、やってみて」
「ちょ、ちょぬん」
「キレが甘~い!」
「チョヌン!」
「もう一度!」
「チョヌン!」
全力で練習を繰り返しながら、本当にこの人の弟子になってよかったんだろうかと早くも不安になり始めた香音だった。