第6回
数日後、明梨からメールが届いた。モーニング娘。は現在ツアー中、恵里菜はツアーに向けての打ち合わせやイベントが入っておりなかなかオフの日が重なることがなかったが、
1週間後に衣梨奈と亀井さん、そして恵里菜の3人を集めてくれるということだった。
恵里菜が持っていた写真が"入れ替わり"の謎を解くカギを握っているかもしれないことは本人には伏せておいてもらうように明梨と亀井さんたちには頼んであった。
心優しい彼女は、たとえ自分に責任がないと頭で分かっても、自分の持っていた写真が先輩と新しい後輩の運命を左右したかもしれないと知れば気に病んでしまうだろう。
せめて、私の口から伝えることで彼女が受ける衝撃をやわらげたかった。
1週間後に衣梨奈と亀井さん、そして恵里菜の3人を集めてくれるということだった。
恵里菜が持っていた写真が"入れ替わり"の謎を解くカギを握っているかもしれないことは本人には伏せておいてもらうように明梨と亀井さんたちには頼んであった。
心優しい彼女は、たとえ自分に責任がないと頭で分かっても、自分の持っていた写真が先輩と新しい後輩の運命を左右したかもしれないと知れば気に病んでしまうだろう。
せめて、私の口から伝えることで彼女が受ける衝撃をやわらげたかった。
亀井さんたち、そして恵里菜の気持ちを思うとそんなことは言っていられないのだけど、久し振りの恵里菜との再会にやはり心は躍った。
彼女に会ったら何と言おう、そしてどう話そう。あれこれ考えているうち、私はいつの間にか恵里菜と最後に会ったあの日に思いを馳せていた。
彼女に会ったら何と言おう、そしてどう話そう。あれこれ考えているうち、私はいつの間にか恵里菜と最後に会ったあの日に思いを馳せていた。
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「お待たせ!」
ぼんやりと窓の外を眺めていた私は、声のした方を振り向いた。
「リンリン、何見てたの?」
テーブルの横に立った恵里菜が私に笑いかけた。
「リンリン、何見てたの?」
テーブルの横に立った恵里菜が私に笑いかけた。
「あ、いや、何でもないデス、ハイハイ」
いつもながらに可愛い恵里菜についつい見とれ、かしこまった口調になってしまった。
「もう、またカタい口調になってる」
すかさずつっこまれ、苦笑して頭をかいた。
いつもながらに可愛い恵里菜についつい見とれ、かしこまった口調になってしまった。
「もう、またカタい口調になってる」
すかさずつっこまれ、苦笑して頭をかいた。
ハロプロエッグとして一緒に活動した期間は短かったけれど、同年代で初ステージもほぼ同時期だった恵里菜とは共通点も多く、いつしか親友になっていた。
ずっと以前から「二人でご飯行こうね」と約束していたものの、いつでも行けると思っているうちに私が帰国する直前のこの時期まで延び延びになってしまった。
でもぎりぎりだけど間に合ってよかった。
ずっと以前から「二人でご飯行こうね」と約束していたものの、いつでも行けると思っているうちに私が帰国する直前のこの時期まで延び延びになってしまった。
でもぎりぎりだけど間に合ってよかった。
「二人でご飯、やっと実現したね」
向かい合って座るなりそう言う恵里菜に、笑顔がこぼれた。恵里菜も同じ気持ちでいてくれたことが嬉しかった。
それから私たちは今までの分を取り戻すかのように色々なことを話した。
出会ってすぐに仲良くなったこと、初ステージ、一緒に出た新人公演、お互いのデビューが決まった日のこと…。
デビューしてからはモーニング娘。とソロに分かれたことでなかなか会えなかったが、ハローのライブの時はよく一緒にご飯を食べておしゃべりしていたことも。
向かい合って座るなりそう言う恵里菜に、笑顔がこぼれた。恵里菜も同じ気持ちでいてくれたことが嬉しかった。
それから私たちは今までの分を取り戻すかのように色々なことを話した。
出会ってすぐに仲良くなったこと、初ステージ、一緒に出た新人公演、お互いのデビューが決まった日のこと…。
デビューしてからはモーニング娘。とソロに分かれたことでなかなか会えなかったが、ハローのライブの時はよく一緒にご飯を食べておしゃべりしていたことも。
話が途切れた時、私はバッグを開けて数枚の写真を出して恵里菜に渡した。
「渡良瀬橋だよ。恵里菜に、見せたかったんだ」
そう言った時、恵里菜はぱぁっという音が聞こえそうなほどすごく嬉しそうな、素敵な笑顔を見せてくれた。大切なものを扱うように、1枚1枚写真を見ていく恵里菜。
今度は恵里菜と一緒にあの場所に行けたらいいなと心から思った。
「渡良瀬橋だよ。恵里菜に、見せたかったんだ」
そう言った時、恵里菜はぱぁっという音が聞こえそうなほどすごく嬉しそうな、素敵な笑顔を見せてくれた。大切なものを扱うように、1枚1枚写真を見ていく恵里菜。
今度は恵里菜と一緒にあの場所に行けたらいいなと心から思った。
それからはまた途切れることなくおしゃべりした。
時間が止まればいいのに。そう思った。けれど、帰らなきゃいけない時間は近づいていて。
時間が止まればいいのに。そう思った。けれど、帰らなきゃいけない時間は近づいていて。
「寂しい…」
思わず零れ落ちた言葉に慌てて笑顔を作った。恵里菜は今にも泣きそうになったけれど、それも一瞬ですぐに笑顔を見せてくれた。
今、私たち同じような顔してる…。
店を出て別れる時。お互い見えなくなるまで手を振った。あの時の恵里菜の顔が忘れられない。
今、私たち同じような顔してる…。
店を出て別れる時。お互い見えなくなるまで手を振った。あの時の恵里菜の顔が忘れられない。
家に着いて一人になった時、それまで張りつめていたものがぷつんと切れた。
泣いた。涙はとめどなく溢れ、どうやって止めたらいいのか分からなかった。
ただ、溢れ出す感情に身をゆだねた。
泣いた。涙はとめどなく溢れ、どうやって止めたらいいのか分からなかった。
ただ、溢れ出す感情に身をゆだねた。
朝起きて、恵里菜のツイッターのつぶやきを読んだ。嬉しかった。けれどもう、涙は出なかった。私も、私の名前が日本の恵里菜に届くように頑張らなきゃ。
そう、強く決意した。
そう、強く決意した。
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あの日のことは大切な宝物としてずっと心の中にある。
1年という時がたって、私は恵里菜と胸を張って向き合える自分になれただろうか?
ただ、自分の信じる道を進んできたことは自信を持って言える。
1年という時がたって、私は恵里菜と胸を張って向き合える自分になれただろうか?
ただ、自分の信じる道を進んできたことは自信を持って言える。
1週間後。亀井さんたちと恵里菜とともにあの地を訪れて、何が起こるのかはまだ分からない。
いや、起こるのではない。亀井さんたち、そして私と恵里菜の心の力を合わせて何かを起こすのだ。
亀井さんと衣梨奈と私、そして恵里菜と私。写真の中の笑顔たちを見つめながら、心に誓った。
いや、起こるのではない。亀井さんたち、そして私と恵里菜の心の力を合わせて何かを起こすのだ。
亀井さんと衣梨奈と私、そして恵里菜と私。写真の中の笑顔たちを見つめながら、心に誓った。
強く、強く。