「……………えっ?!」
真っ直ぐに、ただ真っ直ぐに絵里をみつめてたその眼は点となった。
「えりぽんが…亀井さん?」
「そう、私は亀井絵里。さっき香音ちゃんが見た亀井さんの中にいるのがえりぽん。」
さすがに理解出来なかったのか、まるで頭の上に『?』を浮かべてるような鈴木を相手に絵里はここまでのいきさつを全て話した。まずは理解させるより、わかってもらうことが先。
「そんなことって…あるんだね」
それは沈黙を、絵里の心の中の暗闇を照らすまぶしい笑顔だった。
「大丈夫!えりぽんなら、あっ、今は亀井さんなのか?わかんないや。とにかく亀井さんとえりぽんならなんとかなりますよ!私も協力しますし、わからないことあったら聞いてください。」
「…………香音ちゃん……」
えりぽんになって数日間、この子と過ごして、何でこの子がモーニング娘。に合格したのかわかった。ダンスも歌も素人だけど、この子には持ち前の明るさ、人を救える笑顔がある。
「……リンリンみたい………」
「えっ、何かいいました?!」
「あ、え、ううん。なんでもないよ。香音ちゃん、、気付いてたの?」
「うーん、どうなんだろね?いつものえりぽんじゃないとは思ってたけど、ほんとにえりぽんじゃなかったとは思わなかったよ。明日のお泊まり会はどうするの?」
「もちろん行くよ。なんとかボロ出さないようにしのぐつもり。」
「そっか。私に出来ることあったら何でも言ってくださいね!」
「ありがと、香音ちゃん。明日…よろしくね。」
遂に明かした秘密。
そして迎える問題の日。
そして迎える問題の日。
大丈夫、絵里ならできる。香音ちゃんだっている。私自身のためにもえりぽんのためにも絵里がやらなきゃダメなんだ。
そう思いながらも、初めて打ち明けたからかこの日の晩はいつもより早く眠りにつけた。