なんだこの状況。
新垣家の広いリビングのソファに腰かけて、衣梨奈は考える。
たまたま家族は出掛けているらしく、家には里沙と衣梨奈の二人しかいない。
里沙は隣で「こっちかこっちなんだよね。でも今の気分だとやっぱり・・・」
などと言いながら、左右の手に持ったDVDを難しい顔で交互に眺めている。
たまたま家族は出掛けているらしく、家には里沙と衣梨奈の二人しかいない。
里沙は隣で「こっちかこっちなんだよね。でも今の気分だとやっぱり・・・」
などと言いながら、左右の手に持ったDVDを難しい顔で交互に眺めている。
事の発端は道重さゆみだ。久しぶりにガキさんと絵里と三人で会いたい、と言い出したのだ。
新垣家で映画を観ようということになったのだが、言い出しっぺのさゆみが急な仕事で来られなくなった。
と、なると絵里と里沙だけということになるのだが、現在亀井絵里の中身は生田衣梨奈。
里沙と思いがけず二人きりになった衣梨奈は、さっきから落ち着かない。
新垣家で映画を観ようということになったのだが、言い出しっぺのさゆみが急な仕事で来られなくなった。
と、なると絵里と里沙だけということになるのだが、現在亀井絵里の中身は生田衣梨奈。
里沙と思いがけず二人きりになった衣梨奈は、さっきから落ち着かない。
「ね!カメはどっちがいいと思う?」
衣梨奈にとっては眩しいほどの笑顔で、里沙が聞いてくる。
それどころじゃないんです、と言いたいところだがそんなわけにもいかない。
それどころじゃないんです、と言いたいところだがそんなわけにもいかない。
「絵里はどっちでも・・・ガキさんが決めてよ。」
それに対し、「もー。決まんないから聞いてんのにぃ~」と口を尖らせながら里沙が言った。
「もういいや。こっち!」
さっきまでの時間はなんだったのか、あっさり決めて里沙が立ち上がり、DVDをセットする。
再生が始まったのはディズニー映画だ。
再生が始まったのはディズニー映画だ。
あ、これ観たかったやつやん。
そう思って衣梨奈は画面を眺めるが、全く頭に入ってこない。
画面の映像よりも、隣の里沙の笑い声、仕草、飲み物を飲む音にまで神経が集中してしまう。
画面の映像よりも、隣の里沙の笑い声、仕草、飲み物を飲む音にまで神経が集中してしまう。
しばらく経って、やけに静かだなと思い隣を見ると、何度も観た映画だからか、里沙が静かに寝息を立てていた。
そういえば、せっかく近くにいるのに今日はあんまり新垣さんの顔見てないな。
そう思いながら、寝顔を見つめる。盗み見をしているみたいで余計にドキドキする。
そういえば、せっかく近くにいるのに今日はあんまり新垣さんの顔見てないな。
そう思いながら、寝顔を見つめる。盗み見をしているみたいで余計にドキドキする。
「好きです・・・。」
消え入りそうな声で、呟いてみた。
起きないでほしい。でもほんのちょっとだけ伝わってほしい。
相対する感情に、衣梨奈はどうしたらいいのかわからなくなる。
起きないでほしい。でもほんのちょっとだけ伝わってほしい。
相対する感情に、衣梨奈はどうしたらいいのかわからなくなる。
「好きなんです、新垣さん。」
聞かれては困るのに、聞かれてなかったら意味がないのに、なぜか言葉が止まらない。
この抑えきれない気持ちに、いよいよ涙まで出そうになってしまう。
この抑えきれない気持ちに、いよいよ涙まで出そうになってしまう。
「私も好きだよ・・・カメ。」
心臓が止まった。ような気がした。
里沙は相変わらず寝息を立てている。
里沙は相変わらず寝息を立てている。
「・・・あれ。私寝ちゃってた?」
自分の寝言で目が覚めたのか、目をこすりながら里沙が衣梨奈に問いかける。
衣梨奈はそれに対し「ちょっとね」と答えて微笑んでみせた。
衣梨奈はそれに対し「ちょっとね」と答えて微笑んでみせた。
「うわー、マジかぁ。ごめんね。てか、カメさっき何か言わなかった?夢かな?」
そう言う里沙の瞳に映る自分の姿を確認してから、衣梨奈は口を開く。
「・・・この映画面白いねって言ったんだよ。」
精一杯微笑んで返した。
泣くのは、帰ってから。