聖は絵里の言葉に息をのんだ。
「どうして…」
「気付いてるの知ってるかって?分かるよ。だってフクちゃん、この間から絵里のことずっとちらちら見てるし、目が同期を見る目じゃないし」
自分で思っている以上に絵里のことを目で追っていたようだ。
「で?絵里だって気付いたから最近ずっと避けてたの?」
逃げちゃだめ。亀井さんに自分の気持ちを伝える。支えになりたいって伝えるって決めたじゃない。
自分に言い聞かせて、聖は絵里の目を真っ直ぐに見つめた。
「聖、ずっと亀井さんが憧れでした。同期のえりぽんたちに亀井さんの話をよくしてて。
だから、えりぽんの中に亀井さんがいるって気付いた時はすごくびっくりしたし、恥ずかしかったです。
本人に向かって何を言ってたんだろうって。同時に、憧れの人の近くにいられることに幸せを感じました。
それから亀井さんの姿を目で追うようになって気付いたんです。憧れが"好き"に変わっていることに。
聖、亀井さんが好きです。亀井さんの支えに、聖じゃなれませんか?」
「どうして…」
「気付いてるの知ってるかって?分かるよ。だってフクちゃん、この間から絵里のことずっとちらちら見てるし、目が同期を見る目じゃないし」
自分で思っている以上に絵里のことを目で追っていたようだ。
「で?絵里だって気付いたから最近ずっと避けてたの?」
逃げちゃだめ。亀井さんに自分の気持ちを伝える。支えになりたいって伝えるって決めたじゃない。
自分に言い聞かせて、聖は絵里の目を真っ直ぐに見つめた。
「聖、ずっと亀井さんが憧れでした。同期のえりぽんたちに亀井さんの話をよくしてて。
だから、えりぽんの中に亀井さんがいるって気付いた時はすごくびっくりしたし、恥ずかしかったです。
本人に向かって何を言ってたんだろうって。同時に、憧れの人の近くにいられることに幸せを感じました。
それから亀井さんの姿を目で追うようになって気付いたんです。憧れが"好き"に変わっていることに。
聖、亀井さんが好きです。亀井さんの支えに、聖じゃなれませんか?」
絵里は聖のまっすぐな告白に驚いていたが、やがてやさしく微笑んだ。
「ありがと、フクちゃん。フクちゃんの気持ちは嬉しいよ。でもね、絵里はれいなじゃなきゃだめなんだ」
聖はこぼれそうになる涙をこらえ、笑顔を作った。
「…分かってました。振られるだろうなって。でも、ちゃんと聞いてくれて、そしてちゃんと振ってくれてありがとうございます」
「フクちゃん…」
「亀井さん。ひとりに…してくれませんか」
絵里は何かを言おうとして思い直し、静かに屋上から立ち去った。
「ありがと、フクちゃん。フクちゃんの気持ちは嬉しいよ。でもね、絵里はれいなじゃなきゃだめなんだ」
聖はこぼれそうになる涙をこらえ、笑顔を作った。
「…分かってました。振られるだろうなって。でも、ちゃんと聞いてくれて、そしてちゃんと振ってくれてありがとうございます」
「フクちゃん…」
「亀井さん。ひとりに…してくれませんか」
絵里は何かを言おうとして思い直し、静かに屋上から立ち去った。
扉が閉まる音を聞き、聖は張りつめていたものが切れたようにその場に崩れ落ち号泣した。
短い恋だった。けれど、精一杯の恋だった。
泣き続ける聖の心の中で、もう一人の自分の声がした。
短い恋だった。けれど、精一杯の恋だった。
泣き続ける聖の心の中で、もう一人の自分の声がした。
"よく泣くなぁ。たった一度恋に破れただけじゃん"
だって真剣な、すべてをかけた恋だったんだもん。
"どこにでもある失恋だよ、きっと"
そうかもしれないけど…。
"今日が最後だよ。これを乗り越えたら、明日からは新しい自分になれるから"
うん…。
だって真剣な、すべてをかけた恋だったんだもん。
"どこにでもある失恋だよ、きっと"
そうかもしれないけど…。
"今日が最後だよ。これを乗り越えたら、明日からは新しい自分になれるから"
うん…。
しゃくり上げながら聖は空を見上げた。
オレンジ色の、きれいな夕焼け空。
「あ…。亀井さんの色」
空を眺めているうち、いつしか聖は笑顔を浮かべていた。
この失恋を乗り越えた時、自分はひとつ大人になっているだろう。
もっともっと素敵な女の子になって、亀井さんに後悔させちゃうんだから。
オレンジ色の、きれいな夕焼け空。
「あ…。亀井さんの色」
空を眺めているうち、いつしか聖は笑顔を浮かべていた。
この失恋を乗り越えた時、自分はひとつ大人になっているだろう。
もっともっと素敵な女の子になって、亀井さんに後悔させちゃうんだから。
空を見上げる聖の目には、もう涙はなかった。
『フクちゃん編』・完