スタジオのドアが開く音に気付き、視線を向けた絵里は目を大きく見開いた。
「えりぽん!どうして…」
絵里はそこまで言いかけて、衣梨奈に続いてさゆみが姿を現したのを見て息をのんだ。
香音もダンスを中断してしまっている。
さゆみは手振りで香音に続けるように促し、香音はダンスレッスンを再開した。
やがて曲が終わり、さゆみと衣梨奈が絵里と香音の元へ歩み寄った。
「何でさゆ…じゃなくて道重さんが?」
言い直す絵里にさゆみはくすっと笑った。
「絵里、もう隠さなくてもいいよ。絵里と生田が入れ替わってることはずっと前から気付いてたから」
絵里は焦って何かを言いかけ、諦めたように笑った。
そうだった。この子は絵里のことを本当によく理解していて、昔から何でもお見通しだった。
「えりぽん!どうして…」
絵里はそこまで言いかけて、衣梨奈に続いてさゆみが姿を現したのを見て息をのんだ。
香音もダンスを中断してしまっている。
さゆみは手振りで香音に続けるように促し、香音はダンスレッスンを再開した。
やがて曲が終わり、さゆみと衣梨奈が絵里と香音の元へ歩み寄った。
「何でさゆ…じゃなくて道重さんが?」
言い直す絵里にさゆみはくすっと笑った。
「絵里、もう隠さなくてもいいよ。絵里と生田が入れ替わってることはずっと前から気付いてたから」
絵里は焦って何かを言いかけ、諦めたように笑った。
そうだった。この子は絵里のことを本当によく理解していて、昔から何でもお見通しだった。
「で?何でさゆがえりぽんと一緒にここに来たの?」
絵里の問いかけに衣梨奈が代わって答えた。
「衣梨奈は…。最近亀井さんとしての毎日に慣れて流されそうになってた自分と今の入れ替わったままの状況を変えたくて。
亀井さんが香音ちゃんと秘密でレッスンしてるって聞いて、二人の姿から何かのきっかけが見つかるかもと思ったんです。道重さんは衣梨奈を心配して来てくれたんです」
さゆみが後を引き取って続ける。
「心配だっただけじゃないけどね。生田にしても鈴木にしても、"変わりたい""成長したい"って思ってくれたのがさゆみは嬉しかったの。後輩がそう思ってくれてるなら、
リーダーとしてというよりも同じメンバーとしてさゆみも力になろうと思ってね」
「さゆ…」
抱きつこうとする絵里をさゆみは「ちょっと待った」と制した。
「実は特別コーチも呼んであるの。入って来ていいよー!」
「失礼しまーす!」とドアを開けて入って来たのは℃-uteの鈴木愛理だった。意外な人物の登場にさゆみ以外の三人はすぐには言葉も出ないという様子。
三人は説明を求めるようにさゆみを見た。
さゆみは愛理の隣に立ち、肩に手を置いて説明し始めた。
絵里の問いかけに衣梨奈が代わって答えた。
「衣梨奈は…。最近亀井さんとしての毎日に慣れて流されそうになってた自分と今の入れ替わったままの状況を変えたくて。
亀井さんが香音ちゃんと秘密でレッスンしてるって聞いて、二人の姿から何かのきっかけが見つかるかもと思ったんです。道重さんは衣梨奈を心配して来てくれたんです」
さゆみが後を引き取って続ける。
「心配だっただけじゃないけどね。生田にしても鈴木にしても、"変わりたい""成長したい"って思ってくれたのがさゆみは嬉しかったの。後輩がそう思ってくれてるなら、
リーダーとしてというよりも同じメンバーとしてさゆみも力になろうと思ってね」
「さゆ…」
抱きつこうとする絵里をさゆみは「ちょっと待った」と制した。
「実は特別コーチも呼んであるの。入って来ていいよー!」
「失礼しまーす!」とドアを開けて入って来たのは℃-uteの鈴木愛理だった。意外な人物の登場にさゆみ以外の三人はすぐには言葉も出ないという様子。
三人は説明を求めるようにさゆみを見た。
さゆみは愛理の隣に立ち、肩に手を置いて説明し始めた。
「絵里が鈴木と秘密で特訓してるって気付いてからこっそり探ってたんだけど、ダンスとかばっかりで肝心の歌の部分の強化をしてないでしょ。
そこで、この愛理ちゃんに歌の技術的なこととか感情の込め方とかをアドバイスしてもらおうと思ってさゆみが頼んだの」
愛理はさゆみを見てひとつ頷いて絵里、衣梨奈、香音を順に見て口を開いた。
「道重さんから話を聞いて私で力になれるのならと引き受けさせてもらいました。亀井さんとえりぽんのことも聞いてます。信じられなかったけど、さっきまで外で話を聞いてて本当なんだと分かりました。
どこまで力になれるか分からないけど、できるだけのことはしますのでよろしくお願いします!」
「愛理ちゃん、よろしく頼むね」と、絵里が愛理に握手を求めようとした時、再びドアが開き誰かが入って来た。
そこで、この愛理ちゃんに歌の技術的なこととか感情の込め方とかをアドバイスしてもらおうと思ってさゆみが頼んだの」
愛理はさゆみを見てひとつ頷いて絵里、衣梨奈、香音を順に見て口を開いた。
「道重さんから話を聞いて私で力になれるのならと引き受けさせてもらいました。亀井さんとえりぽんのことも聞いてます。信じられなかったけど、さっきまで外で話を聞いてて本当なんだと分かりました。
どこまで力になれるか分からないけど、できるだけのことはしますのでよろしくお願いします!」
「愛理ちゃん、よろしく頼むね」と、絵里が愛理に握手を求めようとした時、再びドアが開き誰かが入って来た。
「つんく♂さん!」
その場にいた全員が同時に声を上げた。つんく♂は片手をあげて制して、一同の前に来ると立ち止まった。
絵里はさゆみを振り返って目が問いかけるが、さゆみも強く首を振って否定する。
「全部聞かせてもらったけど、成長してなおかつセンター獲りたいんやったらもっと効果的な方法閃いたで」
そこでつんく♂は言葉を切りにやりと笑った。
「次のシングルのセンターを賭けて勝ち抜きバトルを開催する。評価ポイントは歌とダンスと表現力。参加者はモーニングのメンバー10人。それと…」
つんく♂はちらっと愛理を見て、「鈴木愛理」と付け加えた。
つんく♂の言葉に一同は仰天した。
「私、℃-uteのメンバーなんですけど。それにもし仮に私が優勝したらどうするんですか?」
愛理が慌ててつんく♂に質問するが、つんく♂は動じない。
「そしたら次のモーニングのシングルリリースとPR期間の間だけレンタル移籍の形をとったらええやん。愛理、一皮むけるチャンスかもしれんぞ」
愛理は呆然としていたが、つんく♂の最後の一言に真剣な表情になり、頷いた。
その場にいた全員が同時に声を上げた。つんく♂は片手をあげて制して、一同の前に来ると立ち止まった。
絵里はさゆみを振り返って目が問いかけるが、さゆみも強く首を振って否定する。
「全部聞かせてもらったけど、成長してなおかつセンター獲りたいんやったらもっと効果的な方法閃いたで」
そこでつんく♂は言葉を切りにやりと笑った。
「次のシングルのセンターを賭けて勝ち抜きバトルを開催する。評価ポイントは歌とダンスと表現力。参加者はモーニングのメンバー10人。それと…」
つんく♂はちらっと愛理を見て、「鈴木愛理」と付け加えた。
つんく♂の言葉に一同は仰天した。
「私、℃-uteのメンバーなんですけど。それにもし仮に私が優勝したらどうするんですか?」
愛理が慌ててつんく♂に質問するが、つんく♂は動じない。
「そしたら次のモーニングのシングルリリースとPR期間の間だけレンタル移籍の形をとったらええやん。愛理、一皮むけるチャンスかもしれんぞ」
愛理は呆然としていたが、つんく♂の最後の一言に真剣な表情になり、頷いた。
「あと問題は亀井と生田やけど…」
つんく♂は少しの間考えていたが、やがて何かを思い付いてにやりとした。
「よし。亀井というか生田か。も、出とくか?生田が勝っても世間的には亀井やから亀井復帰ってことになるけど」
「ええーっ!!」
絵里と衣梨奈が同時に叫んでのけ反る。
「何驚いてるねん。その方がおもろいやん」
絵里は思わず「軽っ」と言いそうになるのを何とかこらえ、衣梨奈とともに「分かりました、出ます」と答えた。
つんく♂は少しの間考えていたが、やがて何かを思い付いてにやりとした。
「よし。亀井というか生田か。も、出とくか?生田が勝っても世間的には亀井やから亀井復帰ってことになるけど」
「ええーっ!!」
絵里と衣梨奈が同時に叫んでのけ反る。
「何驚いてるねん。その方がおもろいやん」
絵里は思わず「軽っ」と言いそうになるのを何とかこらえ、衣梨奈とともに「分かりました、出ます」と答えた。
「計算外なの。愛理ちゃんに歌を任せて、さゆみはダンス指導と称して絵里の体に触り放題だと思ってたのに…」
さゆみは一歩ひいた位置でぶつぶつと呟いていたが、「道重もええな?」というつんく♂の声に「はい!」と返事した。
さゆみは一歩ひいた位置でぶつぶつと呟いていたが、「道重もええな?」というつんく♂の声に「はい!」と返事した。
「詳しいことは追って連絡する」と告げてつんく♂が出て行った後、一同はとんでもないことになったと顔を見合わせた。