眠い、眠すぎる。中学生なんて一番寝ないといけない時期なんだよ。こんな早起きさせるのはよくないよ。
文句を堪えながらマネージャーの運転するタクシーに揺られる。
バトンは昨晩えりぽんに教えてもらった。以前は視聴者にバトンの技を教えるコーナーがあったが、
今は新曲に合わせてちょこっとだけ踊るだけらしい。とりあえずはなんとかなりそうだ。
文句を堪えながらマネージャーの運転するタクシーに揺られる。
バトンは昨晩えりぽんに教えてもらった。以前は視聴者にバトンの技を教えるコーナーがあったが、
今は新曲に合わせてちょこっとだけ踊るだけらしい。とりあえずはなんとかなりそうだ。
今日は小島よしおと一緒の日らしい。生オッパッピーが見れるとかテンション上がるぜ。
リハーサルも無事終わり、本番が始まった。天気予報は噛まずに言えたし、バトンも上手く回せた。何もかもが上手くいったはずだった。
「ねええりぽん、特技のアレやってよ、ハンドスプリング!」
え、何それ。ハンドスプリング?そんなのリハーサルでやってないじゃん!
特技らしいからハンドスプリングって何ですか?なんて聞けない。
ハンドがスプリングするんでしょ。よし。多分これで良いだろう。
特技らしいからハンドスプリングって何ですか?なんて聞けない。
ハンドがスプリングするんでしょ。よし。多分これで良いだろう。
「ばいーん!ばいーん!」
手のひらをリズミカルに叩き合わせながら踊ってみた。
でもこんなのを特技って言うなんてえりぽんふざけてるよ。
一回転したところでスタジオを見回すと明らかに空気が凍りついている。
え?なんで?
でもこんなのを特技って言うなんてえりぽんふざけてるよ。
一回転したところでスタジオを見回すと明らかに空気が凍りついている。
え?なんで?
「あは、あはは。えりぽんおもしろいなー」
おい、よしお。やらせといてその反応はなんだ。絵里がすべったみたいじゃん。
「はい、じゃあ今日もがんばって、いってらっしゃーい!」
山ちゃんが絵里のことは無視して強引に終わらせた。
何だろうこの空気。昔はこの凍りついた雰囲気が好きだったはずなのに今はとても息苦しい。
何だろうこの空気。昔はこの凍りついた雰囲気が好きだったはずなのに今はとても息苦しい。
「なんでさっきふざけたの?」
楽屋に戻るまでの道中、よしおが尋ねてきた。ふざけてないし、真剣だし。
「あー・・・えっと、たまにはこういうのも良いかなって」
結局その後、よしお以外にはスタッフにもマネージャーにもさっきの出来事には全く触れられなかった。
「なにこれ」
亀井さんは、テレビの中で不思議な舞をしている。
もしかしてハンドスプリング知らなかったのかなあ。今日会うとき教えてあげよう。
もしかしてハンドスプリング知らなかったのかなあ。今日会うとき教えてあげよう。
「いや、無理無理!絶対無理!」
宿題を届けてくれた亀井さんとハンドスプリングの練習をしに公園に行った。
手を地面について逆立ちの状態になり、足から地面に戻る。自分の体じゃないから少しやりにくかった。
手を地面について逆立ちの状態になり、足から地面に戻る。自分の体じゃないから少しやりにくかった。
「簡単ですよ」
「いや、それは出来るからでしょ」
「側転は出来ます?」
「いや、それは出来るからでしょ」
「側転は出来ます?」
まあそれなら・・・と一回転。悪くないけどもう少し綺麗に回れるはずだ。
「腕をこうもっとまっすぐに・・・」
「ちょっと待って。何で絵里側転練習してんの」
「じゃあまたあの変な踊りするつもりですか?」
「ちょっと待って。何で絵里側転練習してんの」
「じゃあまたあの変な踊りするつもりですか?」
亀井さんは黙ったまま決まりの悪そうな表情をした。
ハンドスプリングが何か知った今は、自分がしたことがすごく恥ずかしいらしい。
ハンドスプリングが何か知った今は、自分がしたことがすごく恥ずかしいらしい。
「あと、モーニングチャンスで側転やるところがあるんです」
「え?」
「おはスタってたまにイベントやるんですよ。そのときに披露するかも・・・」
「え?」
「おはスタってたまにイベントやるんですよ。そのときに披露するかも・・・」
覚えてもらうことが多すぎて申し訳なくなる。衣梨奈は亀井さんが代わりにやってくれたことを
教えてもらう以外には何もすることが無い。
まだ二日しか経っていないのに、そわそわして仕方がなかった。
お母さんに会いたい。学校に行きたい。ダンスと歌の練習がしたい。モーニング娘。のみんなに、会いたい。
教えてもらう以外には何もすることが無い。
まだ二日しか経っていないのに、そわそわして仕方がなかった。
お母さんに会いたい。学校に行きたい。ダンスと歌の練習がしたい。モーニング娘。のみんなに、会いたい。
「亀井さん」
「ん?」
「また、頭強くぶつけたらいれかわりませんかね?」
「ん?」
「また、頭強くぶつけたらいれかわりませんかね?」
それ良いじゃん!なんで思いつかなかったんだろう!
亀井さんはそう言いながら後ろに下がる。
衣梨奈も何歩か後ろに下がって、亀井さんと距離を取った。
亀井さんはそう言いながら後ろに下がる。
衣梨奈も何歩か後ろに下がって、亀井さんと距離を取った。
「じゃあ、いくよ?」
「「いったあーーーー!!!!!」」
頭に激痛が走り、目の前が真っ白になる。ガンガンと頭がうるさく鳴った。
ゆっくりと目を開く。目の前にいたのは・・・
入れ替わったままの、お互いの姿だった。
ゆっくりと目を開く。目の前にいたのは・・・
入れ替わったままの、お互いの姿だった。