そんなことはあり得んはずやとに
ちらつくその一瞬の姿に胸がときめいたのは
へたれを通り越してアホやと思って苦笑した
ちらつくその一瞬の姿に胸がときめいたのは
へたれを通り越してアホやと思って苦笑した
自分の想いひとつもうまく伝えられんくせに、無意識にその姿を重ね合わせることは、情けなくて寂しくて胸が痛かった。
だけど やっぱり
何処か 似ていた
何処か 似ていた
似ているだけのはずやったのに、一瞬だけその姿がよぎるから、どうして良いのか分からなくなる。
なんでよぎるのかも、分からない。
違和感という言葉は仰々しく、不自然という言葉では足りないような、そんな微妙なものなんやけど
「アホらし…」
気にならない訳じゃない。後輩の向こう側に、彼女の姿が見えることが。
ただ、それは偶然や勘違いで片付けるのが普通だし、深く考えないのが吉だとも分かっていた。
だいたい、生田の様子がおかしいとしても、それと彼女となんの関係がある?
生田がモーニング娘。に加入したのは、彼女がモーニング娘。を卒業したあとのことだ。
ふたりに接点はないし、初対面は9月の高橋愛ちゃんの卒業コンサート。
その時のふたりは、挨拶を交わし、少しだけ会話した程度だった。
生田がモーニング娘。に加入したのは、彼女がモーニング娘。を卒業したあとのことだ。
ふたりに接点はないし、初対面は9月の高橋愛ちゃんの卒業コンサート。
その時のふたりは、挨拶を交わし、少しだけ会話した程度だった。
それなのに、なんでや?
なんで、生田衣梨奈と亀井絵里が重なるとや?
れいなははぁと溜め息をついて天井を見上げた。
なにをガラにもなく真面目に考えているのだろうとベッドに背中からダイブした。
真っ白い天井が迫ってくるような重圧感を覚える。
なにも分かっていない自分を嘲笑うようにも見えて、れいなは目を閉じた。
なにをガラにもなく真面目に考えているのだろうとベッドに背中からダイブした。
真っ白い天井が迫ってくるような重圧感を覚える。
なにも分かっていない自分を嘲笑うようにも見えて、れいなは目を閉じた。
メールしてみようか?と思い付くが、特に意味もなくメールなんて、それこそガラじゃない。
そもそも、この「勘違い」は、だれも知らないのだろうか?
メンバーはだれも、彼女に違和感を覚えていないのだろうか?
そもそも、この「勘違い」は、だれも知らないのだろうか?
メンバーはだれも、彼女に違和感を覚えていないのだろうか?
「…そらそうやろね」
れいなは自分の考えに思わず苦笑した。
だってこれは「勘違い」なのだから。
だってこれは「勘違い」なのだから。
実際、確認するような度胸もない。
絵里にメールしたところで、バカにされるのは目に見えている。
絵里にメールしたところで、バカにされるのは目に見えている。
「へたれ…やなぁ…」
絵里が卒業して以来、遊びに行こうとも誘えない自分に嫌気がさす。
普段からさゆのようにくだらないメールをしていればこんなに悩まないのだろうになと、いまさら思った。
普段からさゆのようにくだらないメールをしていればこんなに悩まないのだろうになと、いまさら思った。
れいなは携帯電話に手を伸ばし、アドレス帳を開いたところで再び閉じた。
想いは勘違いだと目を伏せて―――