「ふぇ…えりなだぁー」
寝ぼけているのか、生田ちゃんは目をこすりながら、私、見た目は生田ちゃんの中身は絵里である私を見る。
私の目の前に居るのは、私。見た目が絵里で中身が生田ちゃんの私。
もうダメ、ややこしくて頭痛くなる。
私の目の前に居るのは、私。見た目が絵里で中身が生田ちゃんの私。
もうダメ、ややこしくて頭痛くなる。
「生田ちゃん、とりあえずだいじょうぶ?」
「んー…? なんで衣梨菜がおると?」
「んー…? なんで衣梨菜がおると?」
ああ、彼女も寝ぼけているのか、状況を把握できていない…
自分の顔がこんなにも間抜けで腹立たしいと思ったことは今日が初めてだった。
絵里はとりあえず生田ちゃんの肩をがっと掴んで言い聞かせる。
自分の顔がこんなにも間抜けで腹立たしいと思ったことは今日が初めてだった。
絵里はとりあえず生田ちゃんの肩をがっと掴んで言い聞かせる。
「落ち着いて聞いて。いま、あなたの目の前に居るのは絵里なの。亀井絵里なの」
「………衣梨菜が標準語喋っとぉ…」
「………衣梨菜が標準語喋っとぉ…」
めげない、挫けない。とにかく話そう、うん。推測でも良いからとにかく言おう。
「あなたは中身は生田衣梨菜だけど、見た目は私、亀井絵里なの。鏡見て」
そうして絵里は立ち上がって、未だに焦点が合わずにボーっとしている衣梨菜を見つめる。
いまにも眠りそうなその瞳が怖い。此処で眠られてはまた話がややこしくなるのは目に見えている。
先手必勝、とにかく此処は現状を把握させようと鏡を渡した。
いまにも眠りそうなその瞳が怖い。此処で眠られてはまた話がややこしくなるのは目に見えている。
先手必勝、とにかく此処は現状を把握させようと鏡を渡した。
衣梨菜は状況が分かっていないながらも、目をこすって鏡を受け取って覗く。
彼女は「んー?」と声を出したあと、眉間にしわを寄せて「ん?」と鏡を二度見する。
彼女は「んー?」と声を出したあと、眉間にしわを寄せて「ん?」と鏡を二度見する。
「亀井さん…ですよね?」
鏡の中の自分に話しかけるその姿はちょっと面白いのだけれど、笑える状況ではない。
「亀井さん…亀井さん……え、え、え?!」
衣梨菜はそうして鏡から視線を外し、絵里を見つめる。
視線が一瞬交差し、衣梨菜は再び鏡を見る。そしてまた絵里を見る。それを繰り返して最後に彼女は叫んだ。
視線が一瞬交差し、衣梨菜は再び鏡を見る。そしてまた絵里を見る。それを繰り返して最後に彼女は叫んだ。
「うぇええええええええ!!!」
そうして私たちは、お互いの置かれている微妙な状況を漸く把握し始めた。