清水寺、八坂神社を参拝した後は祇園の街を散策。先斗町で京懐石に舌鼓を打ち、二人は三条大橋を臨む鴨川の河原に並んで座りぼーっとしていた。
モーニング娘。のメンバーとしての慌しい日常とは別世界に来たような、ゆっくりと流れる時間。
「ねぇ、え…」
ついうっかりと絵里、と呼びそうになった時にタイミングよくさゆみの携帯がメールの着信を知らせた。
「道重さん、里保の着ボイス設定してるってどれだけ里保のこと好きなんですか」
呆れるように言う衣梨奈(絵里)を無視してメールを開く。
モーニング娘。のメンバーとしての慌しい日常とは別世界に来たような、ゆっくりと流れる時間。
「ねぇ、え…」
ついうっかりと絵里、と呼びそうになった時にタイミングよくさゆみの携帯がメールの着信を知らせた。
「道重さん、里保の着ボイス設定してるってどれだけ里保のこと好きなんですか」
呆れるように言う衣梨奈(絵里)を無視してメールを開く。
メールは"ある人物"からだった。
『道重さーん、OKです♪ていうか、もうお二人の近くにいますよぉ!』
そっと左右に目をやってみるとほんの数十メートル離れた場所に"ある人物"、譜久村聖が満面の笑みで手を振っていた。
あっちへ行け、と必死でジェスチャーで合図を送って座りなおすと、不思議そうに顔を覗き込む衣梨奈と目が合った。
「道重さん、何してるんですか?」
「な、何でもないよ」
さゆみは何とか笑顔を作って答えながら、そっと冷や汗を拭った。
『道重さーん、OKです♪ていうか、もうお二人の近くにいますよぉ!』
そっと左右に目をやってみるとほんの数十メートル離れた場所に"ある人物"、譜久村聖が満面の笑みで手を振っていた。
あっちへ行け、と必死でジェスチャーで合図を送って座りなおすと、不思議そうに顔を覗き込む衣梨奈と目が合った。
「道重さん、何してるんですか?」
「な、何でもないよ」
さゆみは何とか笑顔を作って答えながら、そっと冷や汗を拭った。
その夜。
さゆみはホテルの部屋をそっと抜け出し、ロビーで聖と落ち合った。
「フクちゃん早すぎ。何であんなに早く京都に来れたの?」
作戦会議の前にさゆみが気になっていた疑問をぶつけると、聖はこともなげに答えた。
「ああ、譜久村家の自家用リニア『譜久ノ内線』なら1時間もあれば京都に着きますよ。道重さんのお家にはないんですか?」
「いやいやいや。ていうか、どんだけお金持ちのお嬢様なの?それにさゆみたちの居場所もなぜか知ってるし」
「あれは自家用衛星で道重さんの携帯のGPS情報をキャッチしたんです」
さゆみは頭痛がしてきたので本題に移ることにした。
さゆみはホテルの部屋をそっと抜け出し、ロビーで聖と落ち合った。
「フクちゃん早すぎ。何であんなに早く京都に来れたの?」
作戦会議の前にさゆみが気になっていた疑問をぶつけると、聖はこともなげに答えた。
「ああ、譜久村家の自家用リニア『譜久ノ内線』なら1時間もあれば京都に着きますよ。道重さんのお家にはないんですか?」
「いやいやいや。ていうか、どんだけお金持ちのお嬢様なの?それにさゆみたちの居場所もなぜか知ってるし」
「あれは自家用衛星で道重さんの携帯のGPS情報をキャッチしたんです」
さゆみは頭痛がしてきたので本題に移ることにした。
「生田衣梨奈と亀井絵里の心が入れ替わってるのはほぼ間違いないと思うの。ここまでは前にちょっと話したよね」
さゆみの言葉に聖は肯く。
「道重さんの話が最初は信じられなかったんですけど、そう言われて見てみるとふとした仕草が亀井さんっぽいんですよね」
「さすが絵里ヲタ!まあいいや。で、いくらメンバーを混乱させないためとは言っても隠してるなんて水臭いじゃない。…って、何で泣いてんの?」
「だって、亀井さんのやさしさに感動しちゃって…」
面倒くさいなぁ、と内心ちらっと思ったさゆみだったが、構わず話を続けた。
「ストレートにぶつかっても絵里は本当のことを言わないだろうから、ちょっと強引だけどひと芝居して驚かしてボロを出すように持って行くの」
二人での綿密な打ち合わせを終えると、ちらりと時計を見てさゆみは立ち上がった。
「そろそろ戻らないと怪しまれるから戻るね。じゃ、メールで合図したら打ち合わせ通りお願い」
「分かりました!」
さゆみは聖と別れて衣梨奈、いや絵里の待つ部屋へと急いで戻った。
さゆみの言葉に聖は肯く。
「道重さんの話が最初は信じられなかったんですけど、そう言われて見てみるとふとした仕草が亀井さんっぽいんですよね」
「さすが絵里ヲタ!まあいいや。で、いくらメンバーを混乱させないためとは言っても隠してるなんて水臭いじゃない。…って、何で泣いてんの?」
「だって、亀井さんのやさしさに感動しちゃって…」
面倒くさいなぁ、と内心ちらっと思ったさゆみだったが、構わず話を続けた。
「ストレートにぶつかっても絵里は本当のことを言わないだろうから、ちょっと強引だけどひと芝居して驚かしてボロを出すように持って行くの」
二人での綿密な打ち合わせを終えると、ちらりと時計を見てさゆみは立ち上がった。
「そろそろ戻らないと怪しまれるから戻るね。じゃ、メールで合図したら打ち合わせ通りお願い」
「分かりました!」
さゆみは聖と別れて衣梨奈、いや絵里の待つ部屋へと急いで戻った。