あの日最後にすると誓ったはずなのに、今夜も来てしまった。
何も生み出さないと、それどころか少しずつ何かを失っていくと分かっているはずなのに。
あの優しい手のひらに、すぐ消えてしまいそうな温もりに触れたくて。
扉に近づくにつれ胸が高鳴る。一つ息をして、インターフォンを鳴らした。
彼女が出てくるまでの短い間に、うつむいて、帽子を深く被った。
何も生み出さないと、それどころか少しずつ何かを失っていくと分かっているはずなのに。
あの優しい手のひらに、すぐ消えてしまいそうな温もりに触れたくて。
扉に近づくにつれ胸が高鳴る。一つ息をして、インターフォンを鳴らした。
彼女が出てくるまでの短い間に、うつむいて、帽子を深く被った。
出てほしくないなあ。心の中でそう呟く。
そんなこと、これっぽっちも思っていないのに。
そんなこと、これっぽっちも思っていないのに。
パタパタという足音の後、扉が開いた。目が合うと、嬉しそうに微笑む。
胸がチクリと痛んだ。どうしてだろう。あなたが笑うと私は泣きたくなる。
部屋に入ると同時に、里沙の背中を壁に押し付けた。驚いて少し開いた唇に、強引に口付ける。
小さな手が衣梨奈の肩を掴んだ瞬間、また衣梨奈の胸は強く軋んだ。
胸がチクリと痛んだ。どうしてだろう。あなたが笑うと私は泣きたくなる。
部屋に入ると同時に、里沙の背中を壁に押し付けた。驚いて少し開いた唇に、強引に口付ける。
小さな手が衣梨奈の肩を掴んだ瞬間、また衣梨奈の胸は強く軋んだ。
細い首筋に口付ける。乱れた呼吸だけが部屋中に響いて、まるでこの広い世界の中、二人きりになったような気持ちになった。
このまま独り占めできたらいいのに。誰にもその笑顔を、その声を見せてほしくない。
いつから自分はこんな風になってしまったんだろう。
優しく頭を撫でてもらうだけで、これ以上無いってほど幸せだったのに。
「カメ、もうっ・・・」
このまま独り占めできたらいいのに。誰にもその笑顔を、その声を見せてほしくない。
いつから自分はこんな風になってしまったんだろう。
優しく頭を撫でてもらうだけで、これ以上無いってほど幸せだったのに。
「カメ、もうっ・・・」
上ずった声で限界を伝える里沙の声を聞いて、衣梨奈は手の動きを速めた。
果てる瞬間、里沙は衣梨奈の左手を掴んだ。離れないでと言うように、強く強くその手を握った。
私が亀井さんなら、絶対にこの手を離さないのに。
そう思いながら、衣梨奈はそっとその手をほどいて里沙に口付けた。
あなたが望むものも、全部与えるのに。そんな、悲しそうな表情で笑わせたりしないのに。
果てる瞬間、里沙は衣梨奈の左手を掴んだ。離れないでと言うように、強く強くその手を握った。
私が亀井さんなら、絶対にこの手を離さないのに。
そう思いながら、衣梨奈はそっとその手をほどいて里沙に口付けた。
あなたが望むものも、全部与えるのに。そんな、悲しそうな表情で笑わせたりしないのに。
寝息が規則的になり、里沙が眠ったのを確認してから、衣梨奈はベッドを出た。
床に散らばった自分の服を手に取り身につける。里沙の肩に布団をかけ直し、その寝顔を盗み見る。
良い夢を、見てください。
そっと髪を撫で、深く帽子を被り部屋を出た。
床に散らばった自分の服を手に取り身につける。里沙の肩に布団をかけ直し、その寝顔を盗み見る。
良い夢を、見てください。
そっと髪を撫で、深く帽子を被り部屋を出た。