ベッドに背中を預け、天井を見上げる。ため息が自然と漏れた。
どうしてこんなことになったんだろう。今考えるべきはどうすれば元に戻れるかということだとは分かっている。
普段は明るく振る舞っていても肝心なときにネガティブになってしまうのが、衣梨奈の性格だった。
どうしてこんなことになったんだろう。今考えるべきはどうすれば元に戻れるかということだとは分かっている。
普段は明るく振る舞っていても肝心なときにネガティブになってしまうのが、衣梨奈の性格だった。
「お腹空いたなあ・・・」
気付けばお昼どきだった。いつもはめまぐるしく過ぎていく一日が、今日はとても穏やかだ。
ゆっくり休めて嬉しいはずなのに、何故かそわそわする。
亀井さんはこんな毎日を過ごす中で、何を思うんだろう。
ゆっくり休めて嬉しいはずなのに、何故かそわそわする。
亀井さんはこんな毎日を過ごす中で、何を思うんだろう。
誰もいないリビングに降りて、テーブルへと向かった。亀井さんが出かける前にお昼ご飯を作ってくれたのだ。
ラップを外し、サンドイッチを手にする。
ラップを外し、サンドイッチを手にする。
「うわ・・・」
パンの間に挟まっていたのはハムと、レタス、トマト。
しかし、大嫌いな野菜だからと言って、食べないわけにはいかない。
しかし、大嫌いな野菜だからと言って、食べないわけにはいかない。
「失礼しまーす」
冷蔵庫を開け、牛乳をコップに注いだ。勢いよくサンドイッチを口につっこみ、牛乳で流し込んだ。
「あれ?えりぽん・・・どしたの?」
「何が?」
「何が?」
ダンスレッスンが終わり、お昼休憩。お弁当を食べたら、次は撮影がある。
撮影前の食事嫌なんだよね。お腹出ないようにしなきゃであんまり食べられないから。
でも久しぶりに食べるお弁当屋さんのご飯は美味しくて、ついつい完食してしまった。
撮影前の食事嫌なんだよね。お腹出ないようにしなきゃであんまり食べられないから。
でも久しぶりに食べるお弁当屋さんのご飯は美味しくて、ついつい完食してしまった。
聖ちゃんは空っぽのお弁当を見ながら不思議そうな顔をしている。
「だって、野菜嫌いじゃん」
お弁当には千切りキャベツとトマトとさくらんぼが入っていた。
ん?トマト・・・あ、今日サンドイッチに入れちゃったよ。ちゃんと食べられたかな。
でも野菜はちゃんと食べなきゃ。れいなもそうだけど博多っ子はなぜこうも偏食なのか。
ん?トマト・・・あ、今日サンドイッチに入れちゃったよ。ちゃんと食べられたかな。
でも野菜はちゃんと食べなきゃ。れいなもそうだけど博多っ子はなぜこうも偏食なのか。
「ちょっとチャレンジしてみようかなって」
「へえ・・・あ、新垣さん、これ」
「んー?」
「へえ・・・あ、新垣さん、これ」
「んー?」
呼ばれて近づいてくるガキさん。あんまりガキさんとか六期とは喋りたくないんだよなあ。バレそうだし。
「えりぽん野菜食べたんですよ!」
「なにいくた、どういう風の吹きまわしー?」
「ガ、新垣さんに誉めてほしくて」
「なにいくた、どういう風の吹きまわしー?」
「ガ、新垣さんに誉めてほしくて」
危ない、ガキさんって呼ぶとこだった。でも、ガだけならバレてないだろう。
「偉いじゃーん」
言いながら頭をくしゃくしゃ撫でられる。やばい、照れる。ていうかなんかこしょばい。
良い年した大人が良い年した大人に頭撫でられるってどうなの。
良い年した大人が良い年した大人に頭撫でられるってどうなの。
「今日光井がいたら誉めてもらえたのにね」
今日の練習に愛佳はいなかった。早く復帰しないとって焦ってるんだろうな。早く遅れた分取り返さないとって。
後輩の面倒見ないとって。
絵里がいた頃は末っ子だったのに今はすっかり先輩なんだもんなあ。
えりぽんの体になってモーニング娘。として過ごしていると、こんな風にすぐ寂しくなってしまう。
自分が望んだことだし、後悔もしていないのに。なんだかやっぱり複雑な気持ち。
後輩の面倒見ないとって。
絵里がいた頃は末っ子だったのに今はすっかり先輩なんだもんなあ。
えりぽんの体になってモーニング娘。として過ごしていると、こんな風にすぐ寂しくなってしまう。
自分が望んだことだし、後悔もしていないのに。なんだかやっぱり複雑な気持ち。
「生田、ちょっと」
マネージャーさんに呼ばれて、一旦楽屋を出る。石川さんのマネージャーだった人だよね、この人。
「分かってると思うけど明日おはスタだから。朝4時に迎えに行くからね」
「あ、はい」
「あ、はい」
朝4時!?何それ、てかえりぽんおはスタやってんの?
驚きが顔に出ないよう必死に表情を作る。
驚きが顔に出ないよう必死に表情を作る。
「で、これ明日の台本」
「ありがとうございます」
「ありがとうございます」
用件はそれだけらしく、マネージャーは楽屋に入り、次の撮影の集合をかけた。
台本をめくり、目を通す。これくらいなら大丈夫そうだ――
台本をめくり、目を通す。これくらいなら大丈夫そうだ――
「え?」
『(生田、ここでモニターを背に流れる曲に合わせてバトンを回す。)』
バトンってあのバトン?くるくる回すやつ?無理無理、そんなの回したことないし。
「早く元に戻して、神様・・・」
「呼んだ?」
「呼んだ?」
お祈りしていると、後ろから香音ちゃんが現れる。どうやら彼女は神様のようだ。
もうこの際香音ちゃんでもいいから、早く元の体に戻してください。まじで。
もうこの際香音ちゃんでもいいから、早く元の体に戻してください。まじで。