「香音ちゃん。明日のオフ、予定がないなら衣梨奈の家に遊びに来ない?」
イベントが終わった後、控室に戻るなり絵里は香音に声をかけた。
今日は全員でのイベントだったので当然控室には他のメンバーもいる。香音は慌ててメンバーの様子を確認した。
イベントが終わった後、控室に戻るなり絵里は香音に声をかけた。
今日は全員でのイベントだったので当然控室には他のメンバーもいる。香音は慌ててメンバーの様子を確認した。
10期4人と里保、聖はいつものようにおしゃべりしたりじゃれ合ったり。その様子を「かわい~!」を連発しながら激写するさゆみ。
れいなは少し離れたところでブログの記事作成に集中しているようだった。
新垣里沙と光井愛佳が卒業して1ヶ月半余り。新体制となったモーニング娘。に香音もようやく慣れつつあった。
れいなは少し離れたところでブログの記事作成に集中しているようだった。
新垣里沙と光井愛佳が卒業して1ヶ月半余り。新体制となったモーニング娘。に香音もようやく慣れつつあった。
誰も聞いていなかったのを確認してほっとした香音は絵里の方に向き直った。
「家に行くのはいいですけど、何もみんながいるところで言わなくなくてもいいじゃないですか。特に里保ちゃんに聞かれたらどうするんですか」
小声で必死に訴える香音に絵里は首を傾げた。
「何で?別に里保ちゃんに聞かれてもいいじゃん」
香音はため息をついた。そうか、亀井さんは里保ちゃんがどれだけ嫉妬深いか知らないんだ。
「まあいいです。ともかく明日家に行きますね」
「家に行くのはいいですけど、何もみんながいるところで言わなくなくてもいいじゃないですか。特に里保ちゃんに聞かれたらどうするんですか」
小声で必死に訴える香音に絵里は首を傾げた。
「何で?別に里保ちゃんに聞かれてもいいじゃん」
香音はため息をついた。そうか、亀井さんは里保ちゃんがどれだけ嫉妬深いか知らないんだ。
「まあいいです。ともかく明日家に行きますね」
そして翌日。香音は生田家にやって来た。
部屋に通されて、「さて」と絵里が話し始めようとしたところで香音の携帯が鳴った。
「すみません」と絵里に断わって電話に出る。
部屋に通されて、「さて」と絵里が話し始めようとしたところで香音の携帯が鳴った。
「すみません」と絵里に断わって電話に出る。
「もしもし?」
『あ、香音ちゃん?里保だけど』
「あ~、里保ちゃん。どうしたの?」
『今日えりぽんの家に行ってるんでしょ?うちを誘わないで』
「え、昨日あの状態で聞いてたの?どれだけ地獄耳なのよ」
『うちも行っていい?』
「いや、ダメだから。今日はえりぽんと大事な話があるから。また今度遊ぼ、ね?」
『ふーん。まあいいけど、絶対だよ?』
「うん。じゃあまたね!」
電話を切り「はぁ…」とため息をついていると、絵里にポンポンと肩を叩かれ「ドンマイ」と励まされた。
『あ、香音ちゃん?里保だけど』
「あ~、里保ちゃん。どうしたの?」
『今日えりぽんの家に行ってるんでしょ?うちを誘わないで』
「え、昨日あの状態で聞いてたの?どれだけ地獄耳なのよ」
『うちも行っていい?』
「いや、ダメだから。今日はえりぽんと大事な話があるから。また今度遊ぼ、ね?」
『ふーん。まあいいけど、絶対だよ?』
「うん。じゃあまたね!」
電話を切り「はぁ…」とため息をついていると、絵里にポンポンと肩を叩かれ「ドンマイ」と励まされた。
気を取り直したところで、絵里は話し始めた。
「ちょっと間があいちゃったけど、今日は亀井流センター講座のその二!"まず自分を知ろう"」
絵里は大げさにポーズを決めてそう言うと、用意しておいたDVDなどの資料の山を香音の前に置いた。
「センターに立てるくらいに成長するには自分の長所と短所を知ることが大切。基本的なことだけど分かってるようで分かってないこともあるから、過去の資料や自分のいないところでの評価を聞いて分析するの」
なるほど、と香音は思った。自分でたまに過去の映像を見たりはするけれど、そこまで深く考えて見たことはあまりにいし他人からの評価をすべて知っているわけでもない。
「ちょっと間があいちゃったけど、今日は亀井流センター講座のその二!"まず自分を知ろう"」
絵里は大げさにポーズを決めてそう言うと、用意しておいたDVDなどの資料の山を香音の前に置いた。
「センターに立てるくらいに成長するには自分の長所と短所を知ることが大切。基本的なことだけど分かってるようで分かってないこともあるから、過去の資料や自分のいないところでの評価を聞いて分析するの」
なるほど、と香音は思った。自分でたまに過去の映像を見たりはするけれど、そこまで深く考えて見たことはあまりにいし他人からの評価をすべて知っているわけでもない。
「まずはこれ。さゆがリーダーになったばかりの頃にゲスト出演したラジオ番組の録音」
絵里は起動しておいたパソコンにメディアをセットし再生した。
『鈴木はすごいいい子なんですよ。だからお客さんのちょっとした反応とかもすごい気にしちゃうし…。そこがさゆみとしてはちょっと心配なんですけど』
道重さんって私のことをこんな風に見てるんだ。パフォーマンスに直接関係する部分ではなかったけれど、先輩が見てくれているというのは嬉しかったし心強かった。
絵里は起動しておいたパソコンにメディアをセットし再生した。
『鈴木はすごいいい子なんですよ。だからお客さんのちょっとした反応とかもすごい気にしちゃうし…。そこがさゆみとしてはちょっと心配なんですけど』
道重さんって私のことをこんな風に見てるんだ。パフォーマンスに直接関係する部分ではなかったけれど、先輩が見てくれているというのは嬉しかったし心強かった。
他にもいくつか過去の映像を流した後、絵里は香音にアドバイスした。
「…今日はここまで。こうやって自分を客観的に見るのが大事。失敗した時も次に活かすことを考えて、ね」
亀井さんも見えないところで努力を重ねていたんだろうな。そんな重みを感じさせる言葉だった。
「ありがとうございます。私の為にこんなに資料まで集めていただいて…。自分でも見て研究してみます」
「うん。自分で気付ける力っていうのも大事だからね。絵里も気付いたところは教えるからさ」
亀井さんや先輩の期待に応えるために、娘。と自分のために成長しなきゃ。
香音は決意を新たにしたのだった。
「…今日はここまで。こうやって自分を客観的に見るのが大事。失敗した時も次に活かすことを考えて、ね」
亀井さんも見えないところで努力を重ねていたんだろうな。そんな重みを感じさせる言葉だった。
「ありがとうございます。私の為にこんなに資料まで集めていただいて…。自分でも見て研究してみます」
「うん。自分で気付ける力っていうのも大事だからね。絵里も気付いたところは教えるからさ」
亀井さんや先輩の期待に応えるために、娘。と自分のために成長しなきゃ。
香音は決意を新たにしたのだった。