衣梨奈の中の絵里の存在に気付いてしまったあの日から、聖は無意識のうちに衣梨奈(絵里)の姿を目で追うことが多くなっていた。
聖が気付いていることは絵里にはまだ知られていない、と思う。ただ、日に日に大きくなっていく絵里への想いをいつまで隠しておけるだろうか。
すでに様子がおかしいと怪しまれてはいないだろうか。聖には自信がなかった。
聖が気付いていることは絵里にはまだ知られていない、と思う。ただ、日に日に大きくなっていく絵里への想いをいつまで隠しておけるだろうか。
すでに様子がおかしいと怪しまれてはいないだろうか。聖には自信がなかった。
「聖、どうかしたと?」
少し物思いに耽りすぎていたらしい。気が付くと絵里が不思議そうに聖の顔を覗き込んでいた。
「う、ううん。何でもないよ、えりぽん」
聖が慌ててごまかした、ちょうどその時だった。楽屋の入口のドアが勢いよく開いて、れいなが入って来た。
絵里がはっとしてれいなの方を振り向いたのを聖は見逃さなかった。
少し物思いに耽りすぎていたらしい。気が付くと絵里が不思議そうに聖の顔を覗き込んでいた。
「う、ううん。何でもないよ、えりぽん」
聖が慌ててごまかした、ちょうどその時だった。楽屋の入口のドアが勢いよく開いて、れいなが入って来た。
絵里がはっとしてれいなの方を振り向いたのを聖は見逃さなかった。
「おはよう!9期と10期、ちょっと集まって~!」
れいなは何やら大きな荷物を置き、9期メンバーと10期メンバーに集合をかけた。
「何ですかぁ?田中さん」
真っ先にれいなに駆け寄ったまぁちゃんこと佐藤優樹がれいなにキスしそうなほど顔を近づけながら尋ねた。
「近い近い」とれいなは優樹を引きはがしてから荷物を解き始めた。
れいなは何やら大きな荷物を置き、9期メンバーと10期メンバーに集合をかけた。
「何ですかぁ?田中さん」
真っ先にれいなに駆け寄ったまぁちゃんこと佐藤優樹がれいなにキスしそうなほど顔を近づけながら尋ねた。
「近い近い」とれいなは優樹を引きはがしてから荷物を解き始めた。
「れいなのお下がりやけど、よかったらみんな好きなの持ってって」
途端に洋服の山に群がる9期と10期たち。
聖も遅れて加わりながら、ちらっと絵里の方を見た。
絵里は遠慮がちに洋服を物色しながらも、視線はふざけ合う優樹とれいなをちらちらと追っていた。
聖も遅れて加わりながら、ちらっと絵里の方を見た。
絵里は遠慮がちに洋服を物色しながらも、視線はふざけ合う優樹とれいなをちらちらと追っていた。
なんて切なそうな目をしているんだろう。亀井さんと田中さんが付き合ってるって噂、本当なのかな。
だとしたら、この恋は叶わない恋なの?
聖がじっと見つめていると、視線に気付いた絵里は一瞬聖を見て、ぱっと目をそらして再び洋服を選び始めた。
だとしたら、この恋は叶わない恋なの?
聖がじっと見つめていると、視線に気付いた絵里は一瞬聖を見て、ぱっと目をそらして再び洋服を選び始めた。
一心に洋服を選ぶ絵里の背中から、絵里の抱える痛みが聖には伝わってきた。
愛する人の近くにいながら、それを告げることができない辛さ。それは聖にも通じるものだった。
他のメンバーに怪しまれないように洋服を選びながら、聖は決意していた。
叶わない恋なのかもしれない。でも、あなたの痛みを理解している者がここにいますよ、と絵里に伝えよう。
気取らず、飾らず、溢れ出る想いのままに絵里にぶつかってみよう、と。
愛する人の近くにいながら、それを告げることができない辛さ。それは聖にも通じるものだった。
他のメンバーに怪しまれないように洋服を選びながら、聖は決意していた。
叶わない恋なのかもしれない。でも、あなたの痛みを理解している者がここにいますよ、と絵里に伝えよう。
気取らず、飾らず、溢れ出る想いのままに絵里にぶつかってみよう、と。