第8回 飯窪春菜
またこの夢だ…。最近何度も見る夢。
見覚えのない建物の裏口。夜の屋外。街灯に照らされた道。靄がかかっていた視界は夢を見るごとに徐々にクリアになってきていた。
しかし、この日は夢に新たな変化が現れた。建物の裏口から一人の人物が出てきたのだ。長い髪とシルエットから見てどうやら女性らしい。
その女性が大きく伸びをしているのが見える。と、そこで視界がズームアウトし小さな女の子の後ろ姿が見えた。
また場面が切り替わり、女の子と先ほどの女性が何か話をしている。女性の顔はぼやけていて見えなかった。徐々に話し声が聞こえるようになってきた。
もう少し、もう少し…。
見覚えのない建物の裏口。夜の屋外。街灯に照らされた道。靄がかかっていた視界は夢を見るごとに徐々にクリアになってきていた。
しかし、この日は夢に新たな変化が現れた。建物の裏口から一人の人物が出てきたのだ。長い髪とシルエットから見てどうやら女性らしい。
その女性が大きく伸びをしているのが見える。と、そこで視界がズームアウトし小さな女の子の後ろ姿が見えた。
また場面が切り替わり、女の子と先ほどの女性が何か話をしている。女性の顔はぼやけていて見えなかった。徐々に話し声が聞こえるようになってきた。
もう少し、もう少し…。
「…りな、衣梨奈、起きなさい」
重い瞼を何とかこじ開けると、衣梨奈の母親の顔が見えた。
「そろそろ起きんと遅刻するっちゃよ」
衣梨奈の母親はちょっと笑って部屋を出て行った。
重い瞼を何とかこじ開けると、衣梨奈の母親の顔が見えた。
「そろそろ起きんと遅刻するっちゃよ」
衣梨奈の母親はちょっと笑って部屋を出て行った。
「もう少しだったのにぃ…」
そういえばえりぽんもよく同じ夢を見るって言ってたな。今度どんな夢か聞いてみよ。
少しの間ぼんやりとそんなことを考えていたが、気合いを入れて起き上がり身支度をした。
そういえばえりぽんもよく同じ夢を見るって言ってたな。今度どんな夢か聞いてみよ。
少しの間ぼんやりとそんなことを考えていたが、気合いを入れて起き上がり身支度をした。
放課後。レッスンスタジオの控室に入って行くと、10期メンバーのはるなんこと飯窪春菜の声が聞こえてきた。
「まぁちゃん、また寝てる~」
近寄ってみると机に突っ伏して眠っているまぁちゃんとその傍らに立つはるなんが見えた。
「はるなんおはよ!どうしたと?」
「あ、生田さん。おはようございます!まぁちゃんがまた寝てるんですよ」
はるなんが呆れたようにまぁちゃんを見ながら笑った。
「そういえばまぁちゃんが寝てるのはよく見る気がするけど…。10期だけの時も?」
「ええ。最近は特に。気が付いたら寝てるんですよ」
はるなんが少し心配そうな顔をしたので、私は安心させるように笑って言った。
「大丈夫。寝る子は育つって言うけん」
「そうですね」
はるなんも少し笑った。
「まぁちゃん、また寝てる~」
近寄ってみると机に突っ伏して眠っているまぁちゃんとその傍らに立つはるなんが見えた。
「はるなんおはよ!どうしたと?」
「あ、生田さん。おはようございます!まぁちゃんがまた寝てるんですよ」
はるなんが呆れたようにまぁちゃんを見ながら笑った。
「そういえばまぁちゃんが寝てるのはよく見る気がするけど…。10期だけの時も?」
「ええ。最近は特に。気が付いたら寝てるんですよ」
はるなんが少し心配そうな顔をしたので、私は安心させるように笑って言った。
「大丈夫。寝る子は育つって言うけん」
「そうですね」
はるなんも少し笑った。
「はるなんって9期と10期の中では最年長だけど、年下の先輩ってやりにくくないのかなっていつも思うんよね。もうだいぶたつけど」
6期は年齢が近かったし、5期の先輩も同い年とか少し年上だったしで、今のはるなんの心境は想像がつかない。
「全然気にならないですよ。同期は妹に思える時もあるけどそれぞれ尊敬できる部分がありますし、9期の先輩も。年上だからって気兼ねなく接してもらえるのがありがたいですね」
大きな目をきらきらさせながら話すはるなんの表情は無理しているようには見えなかった。
ほんとにピュアでいい子。そして人間関係においてもうまくバランスをとってる。
「10期はくどぅーとだーいしがまとめようと頑張ってるけど、実ははるなんがいいお姉さんとしてまとめてるよね」
「そんなことないですよ」
はるなんは照れたように笑った。
6期は年齢が近かったし、5期の先輩も同い年とか少し年上だったしで、今のはるなんの心境は想像がつかない。
「全然気にならないですよ。同期は妹に思える時もあるけどそれぞれ尊敬できる部分がありますし、9期の先輩も。年上だからって気兼ねなく接してもらえるのがありがたいですね」
大きな目をきらきらさせながら話すはるなんの表情は無理しているようには見えなかった。
ほんとにピュアでいい子。そして人間関係においてもうまくバランスをとってる。
「10期はくどぅーとだーいしがまとめようと頑張ってるけど、実ははるなんがいいお姉さんとしてまとめてるよね」
「そんなことないですよ」
はるなんは照れたように笑った。
その時まぁちゃんがいきなりガバッと起き上がった。
「え?え?まぁちゃん寝てた?」
まぁちゃんはきょろきょろと周囲を見回している。
「まぁちゃん、よだれよだれ」
私が笑いながら口元を指差して言うと、まぁちゃんが慌ててよだれを拭いながら今初めて気付いたように私の方を見た。
「あ、かめたさん」
「誰だよ!」
間髪を入れず私とはるなんがつっこんだ。
「えへへ。寝ぼけて間違えちゃった。生田さんと飯窪さんだ」
まぁちゃんはポリポリと頭をかいた。
「もう。しょうがないなぁ、まぁちゃんは」
そう言いながらもはるなんは妹を見るようなやさしい目をしていた。
「え?え?まぁちゃん寝てた?」
まぁちゃんはきょろきょろと周囲を見回している。
「まぁちゃん、よだれよだれ」
私が笑いながら口元を指差して言うと、まぁちゃんが慌ててよだれを拭いながら今初めて気付いたように私の方を見た。
「あ、かめたさん」
「誰だよ!」
間髪を入れず私とはるなんがつっこんだ。
「えへへ。寝ぼけて間違えちゃった。生田さんと飯窪さんだ」
まぁちゃんはポリポリと頭をかいた。
「もう。しょうがないなぁ、まぁちゃんは」
そう言いながらもはるなんは妹を見るようなやさしい目をしていた。
「さ。そろそろみんな来るだろうし、準備しよ!」
私は手をポンと叩いて二人に言った。
「はい!」
私は手をポンと叩いて二人に言った。
「はい!」
なんでつんくさんが一人だけ年上のはるなんを選んだか分かるような気がする。
私も準備を始めながら、まぁちゃんの世話を焼いているはるなんを横目に見てそう思った。
私も準備を始めながら、まぁちゃんの世話を焼いているはるなんを横目に見てそう思った。