「鈴木愛理さん、お願いします!飯窪さんもスタンバイお願いします」
スタッフの声に愛理と春菜は「はい!」と返事をして立ち上がった。
スタッフの声に愛理と春菜は「はい!」と返事をして立ち上がった。
「鈴木さん」
待機位置へ向かいながら、春菜が話しかけた。
「ん?」
「鈴木さん、私負けるつもりありませんから」
愛理は同い年の後輩の思いがけない強い言葉に内心驚きながらも、そのまっすぐな眼差しを受け止めた。
「どんどん参りましょう!続いてAブロック第二試合、鈴木愛理から!」
まことのアナウンスが愛理の出番を告げる。愛理はステージへ出て行こうとしたが、思い直して春菜の方に向き直った。
「私も、お客さんとして参加してるつもりないから。負けないよ」
春菜と視線が再びぶつかる。自分もハロプロキッズの頃、こういう目をしていたのだろうか。
「お互いベストを尽くそうね!」
愛理はふっと肩の力を抜いて笑顔を見せると、ステージへと出て行った。
待機位置へ向かいながら、春菜が話しかけた。
「ん?」
「鈴木さん、私負けるつもりありませんから」
愛理は同い年の後輩の思いがけない強い言葉に内心驚きながらも、そのまっすぐな眼差しを受け止めた。
「どんどん参りましょう!続いてAブロック第二試合、鈴木愛理から!」
まことのアナウンスが愛理の出番を告げる。愛理はステージへ出て行こうとしたが、思い直して春菜の方に向き直った。
「私も、お客さんとして参加してるつもりないから。負けないよ」
春菜と視線が再びぶつかる。自分もハロプロキッズの頃、こういう目をしていたのだろうか。
「お互いベストを尽くそうね!」
愛理はふっと肩の力を抜いて笑顔を見せると、ステージへと出て行った。
愛理が1曲目に選んだのはモーニング娘。の『この地球の平和を本気で願ってるんだよ!』。
尊敬する先輩・高橋愛の卒業シングルでもあるこの曲を、愛理は℃-uteの時ともBuono!の時とも違う歌い方で歌い上げた。
高橋愛を尊敬してはいるが、フォロワーとしてではなく新しい鈴木愛理をこの勝ち抜きバトルのステージで見せたかった。
会場のファンもいつもとは違う愛理の歌に最初は戸惑っていたが、すぐに順応していつも以上の盛り上がりを見せる。
会場のボルテージが上がって来たところで2曲目に選曲したのが後藤真希の『抱いてよ!PLEASE GO ON』。
時を経ても名曲として歌い継がれているこの曲のイントロが流れた瞬間、会場は大きくどよめいた。
そして、愛理が見せる圧巻のパフォーマンスに会場全体が息をのみ、そして熱狂した。
最後のダンス課題曲は『What's Up?愛はどうなのよ~』を選曲。あえて℃-ute曲ではなくモーニング娘。曲を選んで短期間でマスターすることで、この勝ち抜きバトルへの本気度を示したかった。
愛理は短期間で独学で覚えたとは思えないダンスのキレに愛理らしい表現を加え、踊りきった。
尊敬する先輩・高橋愛の卒業シングルでもあるこの曲を、愛理は℃-uteの時ともBuono!の時とも違う歌い方で歌い上げた。
高橋愛を尊敬してはいるが、フォロワーとしてではなく新しい鈴木愛理をこの勝ち抜きバトルのステージで見せたかった。
会場のファンもいつもとは違う愛理の歌に最初は戸惑っていたが、すぐに順応していつも以上の盛り上がりを見せる。
会場のボルテージが上がって来たところで2曲目に選曲したのが後藤真希の『抱いてよ!PLEASE GO ON』。
時を経ても名曲として歌い継がれているこの曲のイントロが流れた瞬間、会場は大きくどよめいた。
そして、愛理が見せる圧巻のパフォーマンスに会場全体が息をのみ、そして熱狂した。
最後のダンス課題曲は『What's Up?愛はどうなのよ~』を選曲。あえて℃-ute曲ではなくモーニング娘。曲を選んで短期間でマスターすることで、この勝ち抜きバトルへの本気度を示したかった。
愛理は短期間で独学で覚えたとは思えないダンスのキレに愛理らしい表現を加え、踊りきった。
「鈴木さん、ありがとうございました!続いては飯窪春菜です。よろしくお願いします!」
愛理と入れ替わりで登場した春菜の顔は緊張で強張っていた。ステージ袖で目の当たりにした愛理の圧倒的なパフォーマンス。改めて見せつけられた実力差。
愛理に宣戦布告した時の勢いを、春菜は失いかけていた。
その時、春菜の脳裏に先輩であり親友でもある"彼女"の顔が浮かんだ。
愛理と入れ替わりで登場した春菜の顔は緊張で強張っていた。ステージ袖で目の当たりにした愛理の圧倒的なパフォーマンス。改めて見せつけられた実力差。
愛理に宣戦布告した時の勢いを、春菜は失いかけていた。
その時、春菜の脳裏に先輩であり親友でもある"彼女"の顔が浮かんだ。
そうだ。彼女と約束したんだ。自分の今の本気を見せるって。
瞳に力がこもり、緊張が解けていくのを感じる。よし、いける!
春菜は1曲目に選曲したモーニング娘。の『Hey!未来』を元気いっぱいに歌い始めた。
単独ツアーでも久しく披露されていない、意外過ぎる楽曲に会場が驚きに包まれる。
これも「まず1曲目のインパクトでつんく♂さんや審査員の注目を引こう」という、彼女と考えた作戦。
春菜は自分を見るつんく♂をはじめとする審査員とファンの様子に手応えを感じた。
2曲目にはピーベリーの『キャベツ白書』を選曲。難易度の高いこの曲も彼女、スマイレージの和田彩花と話し合い選んだ。
仕事の合間やプライベートの時間を割いてまで春菜の練習に付き合ってくれた彩花。
その彩花の想いと期待に応えるため、そして何より自分が変わるきっかけをつかむために春菜はこの勝ち抜きバトルに賭けていた。
技術面での上乗せは1ヶ月ではあまりできなかったものの、彩花と何度も話し合って理解し作り上げたこの曲の世界観を春菜はステージで見事に表現した。
春菜は1曲目に選曲したモーニング娘。の『Hey!未来』を元気いっぱいに歌い始めた。
単独ツアーでも久しく披露されていない、意外過ぎる楽曲に会場が驚きに包まれる。
これも「まず1曲目のインパクトでつんく♂さんや審査員の注目を引こう」という、彼女と考えた作戦。
春菜は自分を見るつんく♂をはじめとする審査員とファンの様子に手応えを感じた。
2曲目にはピーベリーの『キャベツ白書』を選曲。難易度の高いこの曲も彼女、スマイレージの和田彩花と話し合い選んだ。
仕事の合間やプライベートの時間を割いてまで春菜の練習に付き合ってくれた彩花。
その彩花の想いと期待に応えるため、そして何より自分が変わるきっかけをつかむために春菜はこの勝ち抜きバトルに賭けていた。
技術面での上乗せは1ヶ月ではあまりできなかったものの、彩花と何度も話し合って理解し作り上げたこの曲の世界観を春菜はステージで見事に表現した。
最後はダンス課題曲。春菜はスマイレージの『有頂天LOVE』を選択した。ダンスが得意とは言えない春菜にとっては無謀な選曲とも言えたが、彩花の強力なサポートのもと敢えてチャレンジすることを決めた。
Aメロ、Bメロとノーミスで踊り続ける春菜に会場がどよめく。
しかし、曲がサビに差しかかった時、春菜は足がもつれて転倒してしまった。
ダンスを止めてはいけない。頭で分かってはいても、ショックて立ち上がれない。
もうだめ。思わず手で顔を覆ったその時だった。
Aメロ、Bメロとノーミスで踊り続ける春菜に会場がどよめく。
しかし、曲がサビに差しかかった時、春菜は足がもつれて転倒してしまった。
ダンスを止めてはいけない。頭で分かってはいても、ショックて立ち上がれない。
もうだめ。思わず手で顔を覆ったその時だった。
「はるなん!」
会場の歓声に負けない大きな声がステージ袖から聞こえてきた。
彩花だった。翌日の仕事の前乗り移動でいないはずの彼女が現れたことに春菜は驚き、大きく目を見開いた。
彩花だった。翌日の仕事の前乗り移動でいないはずの彼女が現れたことに春菜は驚き、大きく目を見開いた。
「はるなん、しょぼい!はるなん、しょぼい!」
春菜のことを熟知した彩花の励ましに、春菜は再び立ち上がりダンスを再開した。
すでに曲は半分以上過ぎてしまっていたが、春菜は最後まで全力でパフォーマンスした。
春菜のことを熟知した彩花の励ましに、春菜は再び立ち上がりダンスを再開した。
すでに曲は半分以上過ぎてしまっていたが、春菜は最後まで全力でパフォーマンスした。
愛理と春菜のステージが終わり、つんく♂たち審査員は審査に入った。
審査はやや難航し時間がかかっていたが、つんく♂が司会進行のまことにOKのサインを送る。
「さあ!結果が出たようです。つんく♂さん、お願いします!」
つんく♂はマイクを握り、審査結果を読み上げた。
「まず鈴木愛理の得点は、歌唱9ポイント、ダンス8ポイント、表現力9ポイント。合計26ポイント!」
愛理、春菜、そしてステージ袖の彩花も祈っていた。つんく♂は続いて春菜の審査結果を読み上げた。
「飯窪の得点は、歌唱5ポイント、ダンス4ポイント、表現力7ポイント。合計16ポイント!よって、勝者鈴木愛理!」
愛理が深々と頭を下げる。一方で突きつけられた圧倒的な差に、春菜は項垂れた。
つんく♂はそのままこの対戦の総評に移った。
「愛理は実力的に高い評価になるのは勝ち抜きバトルの前から予想されていたことではあるんですけど、今回新たな愛理を見せてくれたことがこの評価につながりました。
次もまた僕らをびっくりさせてくれるんやないかなと期待してます。飯窪は歌唱の技術面がまだまだ。ただ、ダンスと表現力の成長には目を見張るものがありました。
今回のダンスでの減点は転倒した時にすぐに立ち上がらずにダンスを止めてしまった点。厳しいようやけど、お客さんに披露する上で絶対やってはいけないこと。
反省するところは反省して、伸び代も十分に感じたので今後につなげて下さい」
審査はやや難航し時間がかかっていたが、つんく♂が司会進行のまことにOKのサインを送る。
「さあ!結果が出たようです。つんく♂さん、お願いします!」
つんく♂はマイクを握り、審査結果を読み上げた。
「まず鈴木愛理の得点は、歌唱9ポイント、ダンス8ポイント、表現力9ポイント。合計26ポイント!」
愛理、春菜、そしてステージ袖の彩花も祈っていた。つんく♂は続いて春菜の審査結果を読み上げた。
「飯窪の得点は、歌唱5ポイント、ダンス4ポイント、表現力7ポイント。合計16ポイント!よって、勝者鈴木愛理!」
愛理が深々と頭を下げる。一方で突きつけられた圧倒的な差に、春菜は項垂れた。
つんく♂はそのままこの対戦の総評に移った。
「愛理は実力的に高い評価になるのは勝ち抜きバトルの前から予想されていたことではあるんですけど、今回新たな愛理を見せてくれたことがこの評価につながりました。
次もまた僕らをびっくりさせてくれるんやないかなと期待してます。飯窪は歌唱の技術面がまだまだ。ただ、ダンスと表現力の成長には目を見張るものがありました。
今回のダンスでの減点は転倒した時にすぐに立ち上がらずにダンスを止めてしまった点。厳しいようやけど、お客さんに披露する上で絶対やってはいけないこと。
反省するところは反省して、伸び代も十分に感じたので今後につなげて下さい」
「飯窪ちゃん、よかったよ。私も飯窪ちゃんから今回で色々学ぶところがあったよ」
春菜と一緒ににステージ袖にはけた愛理は、春菜に声をかけた。そして、目に涙をためながら春菜を見つめている彩花に目をやる。
「ほら、和田ちゃんが待ってるよ」
愛理は春菜の肩をぽんぽんとたたいて、そして控室へと戻っていった。
春菜と一緒ににステージ袖にはけた愛理は、春菜に声をかけた。そして、目に涙をためながら春菜を見つめている彩花に目をやる。
「ほら、和田ちゃんが待ってるよ」
愛理は春菜の肩をぽんぽんとたたいて、そして控室へと戻っていった。
「ごめんなさい。勝てませんでした…。あんなに助けてもらったのに」
彩花の元へ駆け寄った春菜は頭を下げた。そんな春菜に彩花は首を振った。
「ううん。鈴木さんには勝てなかったけど、この一ヶ月で成長したはるなんを見せることができたじゃん。これで終わったわけじゃないんだから、これからまた頑張ろ!」
「ありがとうございます。…彩ちゃん」
「はるなん!今、"彩ちゃん"って…」
彩花の驚いたような声に春菜もはっとした。
「あ…。全然意識してませんでした。この一ヶ月で彩ちゃんとの距離がさらに近くなったのは感じてて、だから自然に呼べたんだと思います」
「じゃあ、今度は二人でいる時は敬語もやめようね」
彩花は笑って春菜の肩を抱き、二人で控室へと歩いていった。
彩花の元へ駆け寄った春菜は頭を下げた。そんな春菜に彩花は首を振った。
「ううん。鈴木さんには勝てなかったけど、この一ヶ月で成長したはるなんを見せることができたじゃん。これで終わったわけじゃないんだから、これからまた頑張ろ!」
「ありがとうございます。…彩ちゃん」
「はるなん!今、"彩ちゃん"って…」
彩花の驚いたような声に春菜もはっとした。
「あ…。全然意識してませんでした。この一ヶ月で彩ちゃんとの距離がさらに近くなったのは感じてて、だから自然に呼べたんだと思います」
「じゃあ、今度は二人でいる時は敬語もやめようね」
彩花は笑って春菜の肩を抱き、二人で控室へと歩いていった。