「…りぽん!えりぽん!大丈夫?」
誰かに名前を呼ばれ、衣梨奈はゆっくりと目を開いた。真っ白になっていた視界が少しずつはっきりとしてくる。
まず視界に入って来たのは心配そうに覗き込んでいる聖の顔だった。
誰かに名前を呼ばれ、衣梨奈はゆっくりと目を開いた。真っ白になっていた視界が少しずつはっきりとしてくる。
まず視界に入って来たのは心配そうに覗き込んでいる聖の顔だった。
「モニター見てたらガンッ!って大きな音がして振り返ったらえりぽんがメイク台に突っ伏して寝てるんだもん。思い切りおでこぶつけたみたいだけど大丈夫?」
聖はくすっと笑って「ほら、少し赤くなってる」と衣梨奈の額を撫でた。
「いったぁ…」
額をさすりながら衣梨奈は考えた。
あれ?今何しようとしてたんだっけ?モニターって?
部屋の中を見回してモニターを見つけると、ステージで『春 ビューティフルエブリディ』を歌う亀井絵里の姿が目に飛び込んできた。
絵里の歌声と会場の歓声を聴いて、一瞬で自分が置かれていた状況を思い出す。
そうだ、今は勝ち抜きバトルの最中で、これから衣梨奈の出番で…。でも、なんかおかしいな。
聖はくすっと笑って「ほら、少し赤くなってる」と衣梨奈の額を撫でた。
「いったぁ…」
額をさすりながら衣梨奈は考えた。
あれ?今何しようとしてたんだっけ?モニターって?
部屋の中を見回してモニターを見つけると、ステージで『春 ビューティフルエブリディ』を歌う亀井絵里の姿が目に飛び込んできた。
絵里の歌声と会場の歓声を聴いて、一瞬で自分が置かれていた状況を思い出す。
そうだ、今は勝ち抜きバトルの最中で、これから衣梨奈の出番で…。でも、なんかおかしいな。
「え?亀井さん?」
自分は絵里と心が入れ替わっていたはず。でも絵里の姿がステージにあってそれを自分がここで見ているということは…。
慌てて鏡を振り返ると、そこに映っていたのは生田衣梨奈の姿だった。
「嘘ー?!」
思わず大きな声が出てしまった。
聖は「本当に嘘みたいだよね。こうして亀井さんとまた同じステージに立てるなんて」などとうっとりとしているが、衣梨奈はそれどころではない。
自分は絵里と心が入れ替わっていたはず。でも絵里の姿がステージにあってそれを自分がここで見ているということは…。
慌てて鏡を振り返ると、そこに映っていたのは生田衣梨奈の姿だった。
「嘘ー?!」
思わず大きな声が出てしまった。
聖は「本当に嘘みたいだよね。こうして亀井さんとまた同じステージに立てるなんて」などとうっとりとしているが、衣梨奈はそれどころではない。
元に戻ってる。でもいつ?
衣梨奈は意識を失う前のことを必死に思い出した。
まことさんに名前をアナウンスされてステージに出ようと袖から歩き出して…。そう、その時に急に目の前が真っ白になったんだ。
この時に絵里と衣梨奈の心が元に戻ったとしたら、絵里は気が付いたらいきなりステージ上にいたことになる。
亀井さん、大丈夫かな。そんな衣梨奈の心配をよそに、絵里は1曲目を何事もなく歌い終えた。
衣梨奈は意識を失う前のことを必死に思い出した。
まことさんに名前をアナウンスされてステージに出ようと袖から歩き出して…。そう、その時に急に目の前が真っ白になったんだ。
この時に絵里と衣梨奈の心が元に戻ったとしたら、絵里は気が付いたらいきなりステージ上にいたことになる。
亀井さん、大丈夫かな。そんな衣梨奈の心配をよそに、絵里は1曲目を何事もなく歌い終えた。
さすが亀井さん。でも、里保と勝負したかったな。衣梨奈がそう思った時だった。
視界が真っ白になり、衣梨奈は一瞬意識を失った。
視界が真っ白になり、衣梨奈は一瞬意識を失った。
次の瞬間、衣梨奈はステージで観客の声援を一身に受けていた。