「そっか、かみさまだ!」
絵里はそう言うと、ガバッと上体を起こした。
世紀の大発見をした科学者よろしく、絵里は興奮気味に衣梨奈に話しかけた。
世紀の大発見をした科学者よろしく、絵里は興奮気味に衣梨奈に話しかけた。
「かみさまと話せばいいんだよ!」
……新垣さん、亀井さんはぽけぽけぷぅではありません。
ただのバカです。
ただのバカです。
そう言おうものなら烈火のごとく怒られそうだったので、衣梨奈は冷静に「話すって……?」と返した。
「ほら、みっつぃーがいるじゃん」
えーっと全く意味がわかりません…とは言わず、衣梨奈は曖昧に「はぁ」と言う。
「お父さんがお寺の人だしさ、なんか分かるかも知んないじゃん!あわよくば降臨とかしてもらってかみさまと対話できるかもじゃん!」
興奮していますぐにでも光井愛佳のもとに行かんと走ろうとする絵里を衣梨奈はぽかんと見つめる。
愛佳の父がお寺の人、つまり住職だという話は衣梨奈も知っている。
だが、それと「かみさま」との対話を結びつけてしまうところはどうなのだろうと疑問に思う。
そもそも、入れ替わったことを愛佳に内緒にしたまま「かみさまと対話したいんです」なんて言ってもバカにされるのが関の山だろう。
「降臨」と言うのは、恐らく「霊媒」のことだろうけど、それは住職の仕事じゃないし。
いや、まずは言うべきことがあると衣梨奈は絵里に言った。
愛佳の父がお寺の人、つまり住職だという話は衣梨奈も知っている。
だが、それと「かみさま」との対話を結びつけてしまうところはどうなのだろうと疑問に思う。
そもそも、入れ替わったことを愛佳に内緒にしたまま「かみさまと対話したいんです」なんて言ってもバカにされるのが関の山だろう。
「降臨」と言うのは、恐らく「霊媒」のことだろうけど、それは住職の仕事じゃないし。
いや、まずは言うべきことがあると衣梨奈は絵里に言った。
「光井さんのお父さんってお寺の方ですよね」
「そうそう」
「お寺は仏教だから仏さまですよ」
「そうそう」
「お寺は仏教だから仏さまですよ」
衣梨奈の説明に絵里はきょとんとする。
いまさらながら、この自分の表情にイラッとしたが、衣梨奈は話を進める。
いまさらながら、この自分の表情にイラッとしたが、衣梨奈は話を進める。
「お寺は仏教で仏様を祀ってるんです。かみさまはたぶん神社ですよ」
「……お寺と神社って違うの?」
「違います」
「……お寺と神社って違うの?」
「違います」
衣梨奈はハッキリそう言ったが、実際、彼女もその事実を知ったのは最近だ。
クラスメートのひとりが歴史の授業中に「お寺と神社って違うんですか?」と質問したのがきっかけだった。
歴史の教師は呆れた顔をしながらも、噛み砕いて説明してくれたので、衣梨奈も理解することが出来た。
その説明をそのまま絵里にしたところ、絵里は愕然としている。
クラスメートのひとりが歴史の授業中に「お寺と神社って違うんですか?」と質問したのがきっかけだった。
歴史の教師は呆れた顔をしながらも、噛み砕いて説明してくれたので、衣梨奈も理解することが出来た。
その説明をそのまま絵里にしたところ、絵里は愕然としている。
「うえー…そんなの詐欺だよ」
いや、詐欺じゃないと思いますよと言おうとしたが、衣梨奈はやめた。
どうしよう、本当にだいじょうぶだろうかといまさら不安になるが、この人しか頼れないのだからどうしようもない。
衣梨奈がなにか良い案はないかと考えていると、隣の絵里はまだ諦めきれないのか、なにかブツブツ言っている。
どうしよう、本当にだいじょうぶだろうかといまさら不安になるが、この人しか頼れないのだからどうしようもない。
衣梨奈がなにか良い案はないかと考えていると、隣の絵里はまだ諦めきれないのか、なにかブツブツ言っている。
「でもさぁ、かみさまも仏様も似たようなもんだしさぁ。どうせ絵里たちだけで考えたって意味ないし…」
神と仏が似たようなものか否かは別にしても、彼女の言葉に、衣梨奈はなんとなく納得する。
彼女の話を信じ得る限り、メンバーにはそこそこ怪しまれている。その上に、ふたりだけで考えても未だに解決策は浮かんでいない。
こうなった以上、新しい風を入れるという意味で、光井愛佳に話を持ちかけるというのは悪くない。
もちろん、「入れ替わりました」なんて話す気はふたりともないが、彼女になんらかの知恵は与えてもらえるかもしれない。
彼女の話を信じ得る限り、メンバーにはそこそこ怪しまれている。その上に、ふたりだけで考えても未だに解決策は浮かんでいない。
こうなった以上、新しい風を入れるという意味で、光井愛佳に話を持ちかけるというのは悪くない。
もちろん、「入れ替わりました」なんて話す気はふたりともないが、彼女になんらかの知恵は与えてもらえるかもしれない。
「じゃあ、私、光井さんにメールしてみます」
衣梨奈はそう言うと、本来は絵里のものである携帯電話を取り出しメールを作成し始めた。
「…だいじょうぶ?」
「9期の衣梨奈が会うよりも、亀井さんが会った方がたぶん不自然じゃないと思います」
「9期の衣梨奈が会うよりも、亀井さんが会った方がたぶん不自然じゃないと思います」
そうして衣梨奈が笑うと、絵里も納得し、画面を見つめる。
バレるかバレないか、この作戦が吉と出るか凶と出るか、ふたりにもまだ分からない。
だが、もう止まることなどできない。
燻っていたところで、なにも始まらないのだから―――
バレるかバレないか、この作戦が吉と出るか凶と出るか、ふたりにもまだ分からない。
だが、もう止まることなどできない。
燻っていたところで、なにも始まらないのだから―――
愛佳から嬉しそうな返信があったのは、その10分後のことだった。