れいなのまっすぐな目には、どんな誤魔化しも通用しないように思えた。真実を打ち明けてしまいたい誘惑に駆られる。
でも待って。今私の心が宿っているのはえりぽんの体。大切な後輩の体でれいなと以前と同じ深い関係になるわけにはいかない。
それにえりぽんの気持ちはどうなるの?自分の気持ちだけ考えてない?
でも待って。今私の心が宿っているのはえりぽんの体。大切な後輩の体でれいなと以前と同じ深い関係になるわけにはいかない。
それにえりぽんの気持ちはどうなるの?自分の気持ちだけ考えてない?
やっぱり認めるわけにはいかないな…。
あまり沈黙が長いと疑われる。短い時間で自問自答した私は、れいなの目をまっすぐに見返して答えた。
「何言ってるんですかぁ、田中さん。衣梨奈は衣梨奈ですよぉ!」
えりぽんっぽく笑いながられいなの反応を見る。れいなはじっと私を見ていたが、やがてれいなの目に落胆の色が見えた、気がした。
「そりゃそうっちゃね。ごめん、変なこと言って」
れいなも笑って、その後は話題は別のことに移った。
「何言ってるんですかぁ、田中さん。衣梨奈は衣梨奈ですよぉ!」
えりぽんっぽく笑いながられいなの反応を見る。れいなはじっと私を見ていたが、やがてれいなの目に落胆の色が見えた、気がした。
「そりゃそうっちゃね。ごめん、変なこと言って」
れいなも笑って、その後は話題は別のことに移った。
この一件があってからもれいなの私に対する態度は変わらなかった。けれど、れいなはたぶん私の言葉をそのまま信じてはいなかったんじゃないかな。
決して亀井絵里だと認めることはないっていう私の意思を察してくれたように思う。長い付き合いだもんね。
決して亀井絵里だと認めることはないっていう私の意思を察してくれたように思う。長い付き合いだもんね。
元に戻ることを諦めたわけじゃない。でももし仮にずっとこのままだとしても、今後も私はれいなに真実を打ち明けるつもりはない。
KYなように見えて、実は周りへの気配りができるえりぽん。この愛すべき、大切な後輩を守るためなら、この恋は封印しよう。
二人が元に戻るその日まで。
KYなように見えて、実は周りへの気配りができるえりぽん。この愛すべき、大切な後輩を守るためなら、この恋は封印しよう。
二人が元に戻るその日まで。
☆★☆
衣梨奈は溢れる涙を拭い、ノートを閉じた。一緒に活動したこともないのに、自分をここまで大切に思ってくれる絵里の気持ちが嬉しかった。
同時に、ノートの文章から伝わってくる絵里のれいなへの思いを考えると胸が痛んだ。
「私は、どうしたらいいんだろう…」
ぽつりと呟いた時、絵里が「ただいまぁ!」と帰ってきた。
同時に、ノートの文章から伝わってくる絵里のれいなへの思いを考えると胸が痛んだ。
「私は、どうしたらいいんだろう…」
ぽつりと呟いた時、絵里が「ただいまぁ!」と帰ってきた。
「ごめんね、待たせちゃって。あれ、そのノート…読んじゃった?えりぽんもしかして泣いてる?」
衣梨奈は慌てて目をこすった。
「すみません、読んじゃいました。亀井さん、田中さんのこと…」
衣梨奈がそう言いかけると、絵里はゆっくりと首を振った。
「いいの。可愛い後輩のえりぽんの体で恋するわけにもいかないしね」
絵里の優しい言葉に衣梨奈は顔を覆って泣き始めた。
「ちょっ。えりぽん、そんなに泣くこと…」
絵里が驚いて衣梨奈の頭に手を置くと、衣梨奈は俯いたまま首を振った。
「違うんです。亀井さんが田中さんへの思いを封印してまで私を大切にしてくれてるのに、私ったら新垣さんに毎日メールしたりして…」
「えっ?まさかガキさんに変なメール送ったりしてないよね?」
衣梨奈は顔を上げて、頬を涙で濡らしたままいたずらっぽく笑った。
「大丈夫です。"愛してます"って2回に1回書いてるだけですから」
「いやいやいや!絵里、元に戻った時ガキさんにどんな顔して会えばいいのさ?!」
「…冗談です」
一瞬の間があった後、二人は爆笑した。絵里は笑いながら、この子のためにも早く元に戻れるといいな、いや戻らなきゃいけないと思ったのだった。
衣梨奈は慌てて目をこすった。
「すみません、読んじゃいました。亀井さん、田中さんのこと…」
衣梨奈がそう言いかけると、絵里はゆっくりと首を振った。
「いいの。可愛い後輩のえりぽんの体で恋するわけにもいかないしね」
絵里の優しい言葉に衣梨奈は顔を覆って泣き始めた。
「ちょっ。えりぽん、そんなに泣くこと…」
絵里が驚いて衣梨奈の頭に手を置くと、衣梨奈は俯いたまま首を振った。
「違うんです。亀井さんが田中さんへの思いを封印してまで私を大切にしてくれてるのに、私ったら新垣さんに毎日メールしたりして…」
「えっ?まさかガキさんに変なメール送ったりしてないよね?」
衣梨奈は顔を上げて、頬を涙で濡らしたままいたずらっぽく笑った。
「大丈夫です。"愛してます"って2回に1回書いてるだけですから」
「いやいやいや!絵里、元に戻った時ガキさんにどんな顔して会えばいいのさ?!」
「…冗談です」
一瞬の間があった後、二人は爆笑した。絵里は笑いながら、この子のためにも早く元に戻れるといいな、いや戻らなきゃいけないと思ったのだった。
『Rへの手紙編』最終回B・完