呼吸をする度に彼女の香りが体中に染み込む。心臓が張り裂けそうなほど鼓動が鳴り響いているのが、悟られていないか不安になった。
ボタンを外す手が、震えているのも。息が止まりそうなほど緊張しているのも。
自分が、あなたが望む相手じゃないということも。
全部全部、知られちゃいけない。
ボタンを外す手が、震えているのも。息が止まりそうなほど緊張しているのも。
自分が、あなたが望む相手じゃないということも。
全部全部、知られちゃいけない。
「カメ・・・」
細い指が、衣梨奈の髪を撫でた。とてもいとおしそうに触れているのに、その指先は衣梨奈の心を抉る。
触れてほしくない。あなたが触れているのは私じゃないから。
叫びたいほど苦しいのに、衣梨奈は唇を噛んで堪えるしかなかった。
触れてほしくない。あなたが触れているのは私じゃないから。
叫びたいほど苦しいのに、衣梨奈は唇を噛んで堪えるしかなかった。
体に触れる度に漏れる里沙の声が、衣梨奈の体を熱くした。感じたことのない感覚だが、戸惑いを感じる余裕は少しもなかった。
ただ、自分が思うままに動いた。正解など知るはずもない。全てが、初めてなのだから。
それが、たとえ自分の体で無かったとしても、相手が里沙で良かったと思う。
そんな自分に、衣梨奈は心底情けなくなった。
ただ、自分が思うままに動いた。正解など知るはずもない。全てが、初めてなのだから。
それが、たとえ自分の体で無かったとしても、相手が里沙で良かったと思う。
そんな自分に、衣梨奈は心底情けなくなった。
腕を伸ばし枕元に置いた携帯を手にとる。待受画面を見ると、深夜2時だった。
普段は起きていることの無い時間だ。学校だけでなく朝からの仕事があり、元々よく寝る性格のため早く寝ることが多いからである。
でも、今夜は眠れそうになかった。
普段は起きていることの無い時間だ。学校だけでなく朝からの仕事があり、元々よく寝る性格のため早く寝ることが多いからである。
でも、今夜は眠れそうになかった。
今までも、里沙は絵里と寝たことがあるのか。そもそも、二人は付き合っているのか。
絵里は里沙のことをどう思っているのか。
いくつかの疑問が浮かぶと同時に、罪悪感と自己嫌悪が衣梨奈の心を黒く染めていく。
絵里は里沙のことをどう思っているのか。
いくつかの疑問が浮かぶと同時に、罪悪感と自己嫌悪が衣梨奈の心を黒く染めていく。
ふと隣を見ると、年上だとは思えないような幼い寝顔がそこにあった。衣梨奈は溢れてくる涙を堪えきれなかった。
自分は何てことをしたんだろう。こんなに大切な人に嘘をついて、自分まで傷ついて。誰も幸せにならない。
自分は何てことをしたんだろう。こんなに大切な人に嘘をついて、自分まで傷ついて。誰も幸せにならない。
「好き・・・なんです」
誰よりも、あなたのことが。
あなたの視線が捉える相手が、私じゃなくても良いと思えるほどに。
告白は、誰の耳にも届かないまま静寂に溶けていった。
あなたの視線が捉える相手が、私じゃなくても良いと思えるほどに。
告白は、誰の耳にも届かないまま静寂に溶けていった。