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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part766【TSトレ】
≫26二次元好きの匿名さん22/05/28(土) 23:04:30
「…二人揃って小さくなったのか。そしてお嬢様言葉が外れなくなったと。」
「ええ…そうなんですわ」
「しかも服も隣に置かれていたこれしかありません…」
少し面倒そうな雰囲気を見せるファイトレ(女)の目の前に立つ、ロリお嬢様になったドベトレとウオシスの二人。
…ドベトレは白をベースにした服にマックに近い喋り方、ウオシスは黒基調の服にダイヤみたいな話し方になっていた。
「はぁ…全く、ここはいつも理解の範疇を飛び越えてくるな。ああ二人のせいじゃない、だからそんな顔をしないでくれ…」
「ファイトレ(女)が困っているような姿でしたので…」
「迷惑でしたか…?」
「それは別にいいんだ。…私がこうなるのは御免被るって話さ。私はお嬢様より今みたいに仕えているほうが性に合うからな。」
首を振り、僅かに下がった瞼と視線を抑えながら話すファイトレ(女)に、二人は近寄るとポンポンと叩く。
…両腕で二人を抱き締めると、少ししてから離していつも通りの顔をする。調子はすっかり戻ってきたらしい。
「…さて、こうしてはいられないだろう。何か必要な事があるんじゃないか?」
「その…服を用意する必要があるのですわ」
「でも、あんまりこの姿では出歩けません…外出したくても、慣れない体でこの滑る路面を歩くのは…」
…季節外れの雪、足元を絶妙にぬかるませ、しかも二人は慣れない服装に体である。下手に歩けばどうなるかは自明の理だった。
「ふむ…なら私がついて行こう。私の手を握っていればこけることはないはずだ。それにあの手の人よけにもなる。」
「…ファイトレ(女)さんはそれでよろしくて?」
「構わん、どうせ誰かに頼むだろう?だったら適任が引き受けるべきというだけだ。…これが私の仕事だからな。」
「ありがとうございます…!」
───その後、お嬢様を二人連れた背の高い女の姿が暫く話題になったとか。凄くほのぼのとしていたらしい。
短文失礼しました
お嬢様ネタよりドベトレとウオシスになってもらい、ファイトレ(女)が一時的に付き人になる構図です。実際付き人ではある。
…何?ファイトレ(女)のロリお嬢様姿だって?残念だけど、間違いなくトラウマ直撃するので大変面倒なことになります。
≫31二次元好きの匿名さん22/05/29(日) 00:18:20
『天の獣たち』
誰しも、運命というものがある。
誰がどこで何をする、誰が誰と出会う、そして誰によって何をされる。それぞれの判断によってその幾重もの運命が重なり、世界に事実となって現れる。
運命があるから現象が起きるのか、現象が運命を生み出すのか。それは誰にもわからない。
否、ただ一握りの種族はそれを読むことができる。
天狐、それが彼らの宿命ならば。
「……お前はそいつについていかないほうがいいな」
「それは、どうしてでしょうか?」
街より遠く神秘の森、暗き帷の向こう側、橙色の毛並みを持つ九尾の天狐が鋭い目を客である人間へと向ける。ここは迷い人に運命の一端を伝える、占術師である九尾天狐の社。
手元の水晶玉へと手をかざし、その奥に映り込む神秘を引き出して占いを行う。それがこの天狐の占いの儀式。最も、別の方式を使えないのかと言われれば否であるが。
今回の客は、同業者の冒険者から新天地での稼ぎに誘われたのだが、果たしてそれについて行っていいのか?という不安を感じたがために、この占術師のもとへ足を運んだようだ。
「水晶玉は未来を映す……とはよく言うが、厳密には定まった何かを映し出すわけではない。これを言語化したところで、俺以外には早々わからんだろうから簡潔に言葉にしただけだ。若しもついて行ってお前の不利益になっても俺は知らん、とだけは言っておく」
「……わかりました。重々考えてから行動に移すことにします」
「……だが折角来た客が野垂れ死にを起こされても敵わんからな……序でだ、これを持って行っておけ」
そう言うと、天狐は坐する占い舞台の後ろのほうから、ちまっとした人形のようなものを客へと渡した。
「これを持っていれば、何かあったときに反応するだろう。最後にモノを言うのはお前の判断だ」
客が手に取れば、その人形はほんのりとした温かみをその手に伝える。客は大事そうにその御守りを懐へとしまうと、代金と共に礼を返しその場を後にした。
ふぅ、と溜息をつく天狐。今日は何の定めか、客が多かった故にそれなりに力を使ってきたので疲労がたまってきていた。
「……フクはまだ帰ってこねえのか」
そう呟き、占い道具を大切に仕舞い込む。九つの尻尾がふわりと揺らめき、全身に纏い続けていた純粋な魔力のようなものを霧散させ、ようやく仕事は仕舞いとなった。
32二次元好きの匿名さん22/05/29(日) 00:18:30
天狐は運命を読むことができる、というのは正しくもあり、間違いでもある。
多くの存在は運命を持ち合わせているが、天にほど近い種族になればなるほど、その運命はより希薄に、より不明瞭なものへとなっていき、そういった存在の運命は彼らをもってしても読むことはできなくなる。それらは天使、仙人、天狗、天狐……
「うぉーい、天数師はいるかぁー」
そして、天狼である。
「なんだ白天狼、今日はもう店仕舞いだぞ」
白天狼と呼ばれたものが、大きな風呂敷を背負いながら社の入り口に現れた。
「まあまあ、美味い酒が仕事ヅテで手に入ったもんだからお裾分けと……」
「ハイッ!ただいま戻りました御師匠様!」
「……迷子の送還?」
白天狼は苦笑いしながら、自身の後ろにぴょこぴょことついてきていたまだ未熟な天狐を親指にて指す。
「おいこらフク、また寄り道しただろ」
「ち、違います!買出しに行った後すぐに戻ろうとしたらなんか変な光がぽわーんって飛んで行ってたから気になってちょっと追いかけてみたんですよぁだだだだだだだ顔はやめてください顔は!」
九尾天狐が幼天狐の顔面をがっちりとその手でホールドし、圧を掛けていく。そこそこ痛そうな音が、ギリギリと鳴り響く。
「いやー君らホント仲いいわな」
「……まあそこを否定する気にはならんが」
「おっと、もしかして照れてあだだだだだ」
「で、結局酒を届けに来ただけなのか?白天狼」
アイアンクローを続けながらも九尾天狐は白天狼へと質問を返す。それににやにやとした表情をしながら、白天狼はまた風呂敷の中から何やら札のようなものを取り出した。
「まぁそれも半分、あとはこれかな」
「……勝負札か、久しいな」
「このあたりだとうちの黒天狼以外じゃお前とあと山の天狗、あとあのハーフのダンピールくらいしかまともな勝負にならんからなぁ。酒でも飲みながら遊ぼうぜって話だよ」
天狼もそれなりに運命を読むことはできるが、当然天狐の運命を読むには至らないし、力も天狐の足元にも及ばない。だが、天狐も天狼たち天に近しき種族の運命を読むことはできない。
故に、勝負事は何方にも読めぬ面白いものとなる。
33二次元好きの匿名さん22/05/29(日) 00:18:41
「今日こそ圧倒的大勝で白黒つけてやろう、白天狼」
「抜かせぇ、勝負は最後まで分からんもんだぜ」
何方も譲らぬ拮抗勝負、勝ち負けを繰り返して同じくらいの勝敗数を維持し続けている二人。
バチバチと対抗意識を発露させる二人の天の種族、そしてその間でぽけーっとする幼天狐。
「あのー、私何かやることあります?」
「……迷って疲れただろ、今日はゆっくり休んでろ。明日にみっちり修行をつけてやる」
ふん、という表情をしながらも、尻尾と耳が揺れ動く。
「ありがとうございます御師匠様!」
その反応に気づいてか知らずか、幼天狐は笑顔で自分の部屋へと戻っていった。
「やっぱ甘いよなー」
「その舌引っこ抜いてやろうか」
「冗談冗談! さて、仕合おうじゃあねえか」
そうして始まる札勝負は、天も知らない運命の糸で織りなされた勝負となる。
今宵の勝利がどちらの手にわたるかは、御天道様も知りはすまい。
「勝負中関係ない話なんだけど、そういえば何でアイツの運命は読めねえんだ?」
「あいつというとダンピールのか。……わからん、たまに人間でも読めないやつはいるからな」
「そういうもんかぁ」
そういうもんである。うまぴょいうまぴょい。
≫38二次元好きの匿名さん22/05/29(日) 05:53:55
方向性を決めるのは、サキュバス二人を偉大な先輩に会わせてからでも遅くない、ということでとりあえず連れ帰ってきた後。
ネイトレもウオシスも、メイド服を着て家事をやってる魔性のそれを見て困惑と畏怖の二つを抱いてたっぽいけど、まずは事情を話す。
「かくかくしかじか、と、言うわけでこの子らに合ったやり方を考えたいんだけど……」
「成程、なら別に愛され系でもいけると思うよ?」
「……マジ?」
飲み込みが早いのか、或いはサキュバスとしての才覚か、即座に答えを出してくるあたりやはりこいつを一回とっちめておいて正解だったようだ。
……放置しておいた場合の被害がどうなってたかは考えたくないが。
「本当だよ?少なくとも、新天地の開拓は"アリ"だと思うし……何より、男の人の視線が怖いってなるなら、別に服を着たっていいとも思う」
「……それ、サキュバスなの?」
「精を吸えなくて弱いままよりはいいと思う。ただ服を着るのも、普通の女の子に化けるのもあまり変わらない、でしょ?」
「まーそれはそうだけどねぇ」
クレバーというか、柔軟というか。サキュバスという上位の魔物のくせしてその気になればプライドを捨てられるあたり……と思ったが、私との戦いではプライド据え置きだったなこいつ。さては相手を選んでるのか?
「まあ、それはそれとして……早速軽くレクチャーしていくね!」
「おお、仕事が早い」
と、いうことで早速つよつよサキュバスによるよわよわサキュバスへのレクチャーが始まるらしいので後ろで見ることにする。
「と、いうことで二人とも。飢えたくないかー!」
「……え、あ、はい」
「お、おー」
なんか始まったし、何より二人ともガチガチだ。まあそりゃあ大先輩の教えを直接……なんてなったら当然か。
39二次元好きの匿名さん22/05/29(日) 05:54:58
「よーし、飢えたくないのはわかったよ!ということで今回は簡単に、褒め方を覚えてみよー!」
「……褒め方、ですか?」
「愛され系と何の因果が……」
「んー、単純に愛されるなら愛嬌がいるでしょ?まあそこはサキュバスだから見た目はクリアしてるでしょ?なら、二人に不足してるのは対人経験値だから、そこを重点的に鍛えて愛され系サキュバスになってもらおうかなー、って」
「「おおー」」
めんどくさがって廃城を拠点にしてた割に、真面目に物事考えてるらしい。いやまあ、噂が流布されてたりと案外理屈屋なのかもしれない。感覚派っぽい言動なだけで。
「だからまずは男女両方に使える褒め方から!それを覚えたら男の人……といきたいけど、さすがに練習用を捕まえてくるのは……ねぇ……」
「じゃあ、どうすれば……」
「とまあ、ちゃんとそこは考えてありますとも!とりあえず女の子だけ狙おう!街中に忍び込み、女の子に愛されて女の子の精を貪る、時々相手できそうな男性も挑戦、それでいいかなー、って」
「「男性……」」
「……あー、ごめんね。大丈夫、好きにすればいいから……」
一瞬戸惑うと即軌道修正するのもなかなか手早いのか、あるいは飢えたる仲間への手伝いという題目に忠実なのか……
そうして、基本的な誉め殺しの手段と依存へ向かわせる手段、更にはそんなことしなくても誘ったり等色々と教え……ってか、そんな色々知ってたのか、こいつ。
なにも考えてないようで無数に考えてる、まさしく厄介で魔性だろう。
「……と、いうことでこれで授業はおしまい!といっても、多分言葉だけじゃ身に付かないから……ねぇ?」
そう魔ルドトレが言うと、鍛えられたサキュバスの『チャーム』が飛ぶ。
まあ、見切ってしまったけど。
40二次元好きの匿名さん22/05/29(日) 05:55:45
「……今、何飛ばした?」
「……うっ、魅了の目……」
「……何してんの?」
「いやぁ、その、実践相手が欲しいなー、って」
「……ふーん」
そう言うと、相手の虚を突いて縛り上げる。こいつ、色々吸って物理も魔法もまあまあこなれているが、明らかに一瞬の隙があったりなかったりする。
突けるのは剣豪か何かだろうけど。
そうして、縛り上げられた教官を見てきょとんとする二人にこう告げる。
「と、いうことで。尊敬する魔ルドトレさんが実験台になってくれるらしいよ」
「……えっ?」
「あっ、ふぁい!」
「ま、待っ、むぐう!?」
「はいはい、実験台は静かにするの」
「んー!んー!」
「そ、それじゃあ……『大先輩は綺麗な鹿毛の髪をしてますよね。流星とも相まって、なんか……』」
「あっ、『大先輩のボディラインは芸術的でっ!』」
こうして、褒め言葉を必死で考える二人をさんざん見せられた魔ルドトレは、しばらく大人しくなっていたけど……まあ、自分のせいじゃないよね。
耐性を持ってたはずなのに受けちゃったあっちが悪い。
……さて、そろそろ次の仕事に行きますか────
≫86二次元好きの匿名さん22/05/29(日) 19:04:47
「…どこ、だろうか?」
…パチパチと隣から焚き火の音がする。木々の隙間から見上げた星空は相変わらず、周りに気配は…一つだけ。
(確か俺はここで…大量のモンスターに数で押されてやられたと思ったはず、一体誰があの量をさばいてここに…?)
「…起きたか」
「!?…誰ですか」
覗き込んでくるフードを被った誰か。声色も体つきも平坦かつ中性的で、何を考えているか分からない“彼?”。
「…私か、そうだな…一介の旅人だよ。やられる寸前の君を見掛けてね、回収して軽く手当させてもらった。」
「…助けてくださり、ありがとうございます。でも、只者ではないですよね。」
「それは…こちらのセリフだとも。その武具を扱えるレベルにまで達した君が、あの程度の精彩の欠いた動きである訳が無い。」
…この武具、腕のある者でなければ使わない代物で、であるならばあの程度倒すか、せめて離脱くらい出来るはずなのだ。
(仕方ない、あんまりするべきではないけど原因を明かすか。)
「…実は、とある遺跡で拾ったこのペンダントのせいで、こんな女性の体になってしまって…しかも外せないし…」
「…」
「どうしましたか?」
「彼女の…いや、古い知り合いのものだ…君が見つけたのか、恐らくここから東の遺跡でだろう?」
やけに食いついてくる彼?、ファイトレ(男)はその彼の事も知りたいと思いここぞとばかりに問いかける。
「あの、どうしてこのペンダントにこだわるんです?」
「…」
「古い知り合い…きっと貴方は只人じゃないんですよね。」
「はぁ…そうだな、私が聞くだけでは等価交換ではないか。私の秘密…見てもらった方が早いだろう。」
彼?は被っていたフード付きのコートを外す。整った顔立ちに、自己主張する胸。そして黒色の対の翼。
「私は堕天使ってやつなんだ。だから本来白い天使の翼はこうして真っ黒で、天使特有の能力も使えん。」
87二次元好きの匿名さん22/05/29(日) 19:05:14
「なんで堕天使に?」
「…嫌気が差したんだ。カミサマは人を本気で救おうとしない。世界には不幸なんて当然のように転がっているのに。」
『…貴方は世界の全てが見えているはず、なのに何故何百年と動かない。貴方が動けばより救うことが出来るというのに!』
「私は人形ではなく自由意志がある天使で、だから天から地上に降りてきた。その時にこの翼は黒くなったんだ。」
…黒い翼はそれでも手触りは良さそうに見える。パサパサと軽く動かし目を閉じた彼女はそっと自嘲するように
「そうして降りてきたが、私にはただ力しかなかった。誰かを治してやることも、諍いを解決するためのものもない」わ
「…それでも何か出来るだろうと思って、私は世界を旅しているんだよ。宛もなく…ずっと彷徨っているんだ。」
「貴方のいう彼女って?」
「彼女は…私の正体を知ってなお優しくしてくれた人でね。かつて存在した国の王女様だったんだ。…今の君にそっくりな。」
懐かしむようなその瞳は、あまり変わらない表情の代わりとばかりに彼女の心情を表しているように見える。
「私ではその呪いをどうにかすることはできない。そもそもそれは呪いってものでもないのかもしれない。…すまない」
「いや、いいんだよ。それで、このあとはどうするつもりなんだ?」
「…明日の朝にはお別れだ。君が何処へ行くんじゃないつもりかは知らないが、私の事は別に心配しなくても…」
「なら、俺は貴方についていく」
ピタリと彼女の動きが止まる。驚いてるような視線でファイトレ(男)を見つめると、そのまま問うた。
「お前…正気なのか?私みたいなひとでなしの旅に付き合うだと?そんな義理も必要もないのにわざわざ…」
「一人じゃ出来ることも少ないし、何より寂しいだろ。…俺は、全て承知の上でついていくつもりだよ。」
「…全くもって度し難い。けれど…お前の好きにしたらいいさ。…良かったのか、これで。」
「勿論。それと…同じ旅の仲間だからな、自己紹介しよう。俺はファイトレ(男)、よろしく頼む。」
差し出された手を彼女はそっと握り、少しだけ口元を緩めるとこう語った。
「私はファイトレ(女)だ。…よろしく」
「これで成立だな。…早速だけど、明日はどこへ向かうんだ…」
…その後、各地で長身の女性と気品ある少女らしきペアが目撃されるようになったとか。
≫166二次元好きの匿名さん22/05/30(月) 18:09:56
今年もミューズが微笑む季節がやってきた。
この時期になると、トレセン学園の裏方達もにわかに忙しくなる。
何せビューティー安心沢の主催するオーディションはイベント性に富んだものとなり、そこに参加するウマ娘の安全と楽しみの為に、数多くの発注が飛び交うのだ。
そしてイクトレもまた、オペトレから臨時で請けた発注――金属部品の量産――を黙々と、自宅の工房でこなしていた。
「……よちよち」
生産ノルマを達成し、イクトレは満足気に頷く。
ミリ単位のズレも許されない鍛造を、イクトレは苦もなく熟していた。
今年のミューズは「知性」が求められるとのことで、合格者のものとなる一対以外はすべて記念品、あるいはゴミとなってしまうが、それもまた一興とイクトレは頷く。
「ちせぇ、ちせぇか」
知性、それは謎を解き明かす閃きだけを指す言葉ではない。
時に人を慮り、時に人を助くのもまた、知性のあらわれたる所作に他ならないとイクトレは信じていた。
そして……それを今回参加する担当ウマ娘、イクノディクタスは持っている。それを確信している。
「がんばぇ、いくの」
果たしてどの部品がイクノディクタスの手に渡るのか。それが彼女を勝利へ導くのか。それはわからない。
だが、どれかひとつでもその勝利の鍵となるならば……ミクロン単位の誤差さえも、イクトレには許しがたい罪のように思えた。
今宵も、工房は鳴り止まない。
うまぴょいうまぴょい
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part767【TSトレ】
≫30二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 16:28:23
「なあ…ファイトレ(男)」
「ん?どうしたファイトレ(女)」
ふと立ち止まった彼女に、彼は振り向くと不思議そうな顔をする。相変わらずの殿下そっくりな顔。
「…良かったのか、子供達相手とはいえ素顔を見せて、しかも自分のことをもう一人のファインだと言い切ったのは。」
「ああ、いいよ。それくらいなら安い話さ、それにファインがいいって言ってくれたからね。」
…それは、つい先程ミューズのメンバーでボランティアとして小児病棟へと訪れた時の話で、ある少女の問いかけが理由だった。
『…あの、後ろのファイトレ(男)おねえちゃんは顔を見せてくれないの?』
『…ファインさん、どうしますか。』
『心配してくれてありがとうカレンちゃん。…トレーナー、見せてあげられる?大丈夫、私は構わないから』
『うん、分かった。』
後ろを向くと変装を手早く外し、最後にお揃いの耳飾りを右耳につけてくるりと振り向く。その姿の少女は驚いた表情で
『ファインおねえちゃんとそっくり…?!』
『そうなんだよ。私は…もう一人のファインなんだよ、二人でファインお姉ちゃんなの。…そうだよねファイン』
『うん!私と同じ、妖精の国から来てるんだよ!』
───そういう訳で、少なくとも彼等にはバラした訳だが。ファイトレ(女)はどこか考えているような瞳の色をしていた。
「ファイトレ(女)、何か考え事でも?」
「ああ…いや、大した事ではないよ。それより、妖精の国から来たといってたようなものだが君は日本人だろう?」
「…?」
「はぁ…アイルランド国籍でもないのにそうだと言えば、暗に自分はあちらの人間になりますと言っているようなものだぞ。」
ようやく言いたい事が把握出来たのか、微妙な顔をするファイトレ(男)。
「ええ…?流石にそれはな……いやあるかも…」
「ははっ、まあ頑張るんだな。何、仮に妖精の国に引き込まれたら生活くらいは助けてやろう…もう一人のティターニア。」
短文失礼しました
ウェディングドレス殿下育成の勝負服イベより、ここのファイトレ'sがついていったらこうなってんだろうなぁと。
殿下が二人いると覚えちゃった少女は今後皆に二人いるんだよ!って言ってそうである。影武者みたいなもんといえばそうだが。
≫34二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 17:40:01
「んー☆」
「やっぱりこの体だと高いところは届きませんわね……そうだマヤトレ様少ししゃがんでくださるかしら?」
「いいけど何をするんだ?」
「マーベラスな考えがまだわからないよわよわなマヤトレは一番下になってもらうよー★よいしょー☆」
「うわっ」
「あら、マベトレさんも参加する気でしたの。まあいいですわマヤトレ様少し失礼しますわね」
「ロレトレのセット完了ー☆ 後はマヤトレが立ち上がるだけだよーはやくー★ペシペシ」
「いいけどロレトレ高いところとか大丈夫か」
「なにをおっしゃってますのこれくらい平気ですわ」
「じゃあいくぞー」
「肩車サクラマーベラストップガン★☆★」
「合体は男の子のロマンですわね」
「まぁ私とロレトレは身も心もウマ娘の女の子なんだけどねー★」
「わたくしはまだ殿方のつもりですわー!」
「ほらガキンチョ共上で喧嘩しないでさっさと掃除を終わらせるぞ」
「「マヤトレのくせになまいきー★(ですわ)」」
以上昨日お出しできなかった大掃除アホSSです
≫44二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 19:27:07
●the end…?●
「トレーナー、起きてる?」
朝食のサンドイッチを作り終えたオベイが部屋の扉をノックする。
現在時刻は土曜日、朝の7時。いつもなら中から声が聞こえてきて、開けると成長痛に悩まされる彼の声が聞こえてくるのだが、今日は一向にその気配がない。
「入るよ?」
資料の山を崩すという先日にような失態を回避すべく、そっと扉を開ける。お陰で今回はそれを回避できた。
そして、彼女は息を飲んだ。
部屋の真ん中に、1人のウマ娘が立って、ステップを踏んでいた。まるでジャパンCの時のオベイのように。
身長は180センチほど。体つきは華奢というより古木のような、どっしり構えつつも落ち着いた存在に感じる。
髪はカーテンから注ぐ朝日を透かして、麦畑のように金色に靡いており、毛先の青が抜ける空のようだ。
美しいデコルテかちらりと覗く豊満な谷間に、きゅっと引き締まった筋肉質なウエスト。ヒップも太ももも同じく脂肪の少ない、きゅっと筋肉の詰まった下半身だ。
「Who……?」
「Good morning Obey.」
オベイに気付くと、そのウマ娘は改めて伸びをして彼女に向き直る。
「おはよう、オベイ。びっくりした?」
「ええ……生まれて初めてレースを知った時以来。本当にトレーナー?」
「もちろんよ。それよりまずは朝食にしましょ。胃袋が縮まりすぎて無くなりそう」
キッチンまで久しぶりに2人で歩いて、2人で準備をして、食事をとる。
その間、オベイはどこか落ち着かない様子だ。
「ベイ、どうかしたの?」
45二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 19:27:59
食事を終え、ソファに座るオベトレは彼女に語りかける。
すると彼女は隣に来て、目を正面から見る。
「あなたは、本当にトレーナー?」
「どうしたの、急に」
「私のトレーナーはそんなんじゃなかった。そんな喋り方じゃなかったし、声も違う。仕草も目も、全部違う」
顔を不安に染めて、捲し立てるように言う。ガラリと変わってしまった彼を、確かめるように。
「ねえ、答えてよ。あなたは、誰なの?」
「………ごめんね。私は、ちゃんと私。オベイユアマスターのトレーナーよ。何があっても、それだけは変わらないわ」
「本当…?」
「ええ。ウマ娘になっても、姿が変わっても、私は私。ほら、おいで?」
そう言って手を伸ばすオベトレ。それに体を預け、腕を互いに回す。
「ね。ここは何も変わらないでしょ?」
「……怖かった。いつかトレーナーがどこか、手の届かない場所に行ってしまうかもって。私の仮面みたいな、全くの別物になっちゃうんじゃないかって」
「大丈夫。ベイの仮面は、ベイと地続きだから。今の私もそう」
その声は、自分の半身を確かめるようで。
「私の怪我の分を勝手に背負って、それでヒトじゃなくなって」
「それはごめん。私がきちんと説明すべきだったわ。でもそうしたらベイに、心配かけちゃうんじゃないかって」
その声は、自分の相棒を叱責するようで。
「毎日、変わっていくトレーナーを見て、すごく怖かった。毎朝起きたら、横から消えてるんじゃないかと思った」
「ベイを残して消えるなんてできないわ。だって私は、あなたの相棒なんだから」
その声は、自分を安堵させるかのようで。
「ずっと……怖かった……」
その声は、まるで縋り付くようで。
46二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 19:28:34
「…私も、すごく怖かったわ。でも、あなたが居てくれたから大丈夫だった。あなたは私にとっての星だったのよ。どんな暗闇でも変わらない、私にとっての光」
ぽん、と最後に背中をさすると、その涙まみれのオベイの顔を拭く。
目に星のない、本当の彼女。
「ありがとう、オベイ。そんなに大切にしてくれるあなたが居て、私はとても幸せ者よ。だからこそ、あなたを1人になんてさせないわ。女神様に誓って」
「…その三女神様、本当に信用できる?」
「こっちの、じゃなくて向こうの方よ」
2人で見つめあって、また少し笑い合う。
「さ、服を新調しにいかなきゃ。師匠にも伝えなきゃだし、色んな人にも言わなきゃ」
「…そう、ね。大丈夫。これからもずっと、隣に居てね」
「もちろん。何があってもあなたの隣を離れないわ」
ほら、目を閉じて、とオベイの瞼の上に手を当てる。その手をずらすと、ベイの目の中には星が一つ、輝いていた。
「あなたの目には星が一つ。私の目には、オベイの星と、私の星がある。何を見るのもあなたがい居るし、私の半分はあなたよ。ね!」
「そうね。………さ、行きましょ!やる事は沢山あるわ!」
涙を拭ったオベイは、トレーナーに手のひらを差し出す。
その手の内を掴むと立ち上がり、彼女をもう一度強く抱きしめる。
そこの暖かさは、やっぱり全く変わっていなかった。あの頃と同じ、懐かしい暖かさ。
47二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 19:28:54
●おまけ
「トレーナーって北の方のウマ娘の因子が半分入ってるんだよね?」
「そうね。まだ体を使った事はないけど、力とかすごく強くなってると思うわ。あ、洗剤取って」
「でも私を抱く力は強かったけどそんなに苦しくはなかったよ?」
「力加減はきちんとしていたし、何より私はあなたが大好きだから。強くなっちゃうのは仕方ないのよ」
「そう…me tooよ」
「ふふっ、やっぱりオベイは可愛いわね。あ、そうだ、今度「ダストレくん人形」とやらを投げてみようと思うの。202さんが前投げてたわ」
「いいね!それと、にんじん多めに買うよ?」
「ええ。ギムレットさんにあげないとね」
「そういえば師匠、驚いた顔してたね」
「師匠といえど、まさか信じて送り出した教え子がこんなウマ娘になるなんて思わないでしょう?」
「それもそうだね。こっちに来たら挟んでみる?」
「あの大きいソリにのせてあげましょ。私が走って師匠は…」
「まるでジェットコースターね」
おしまい
≫68二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 20:29:27
「何をカタログジロジロと見てるんだダストレ」
「おわぁ!? ブラトレびっくりさせないでくれよ!」
「……ダストレ君人形ってあのあれか」
「うん、アレ……なんかいつの間にか商品化されてた……」
「いい……のかぁ……?」
「い、一応まあ……? 別に俺そのものって感じのデザインじゃないし、これ見る限りいくらでも変更できるから別人に仕立て上げられるでしょ」
「まあんーそうだろうが……」
「それに売れると版権料じゃないけど……ちょっと貰えるから」
「……ちょろい……おいダストレ」
「うぇ?」
「……理想の自分とか言って1体買ってないだろうな」
「そそそそーんなことあるわけないだろ!?」
≫71二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 20:45:10
「そういやオペトレさん、身長は盛れないんですねコレ……」
「ああ、あくまで等身大なのと、各パーツを換装・組み立てることを前提に生産してるからね。身長を伸ばすのはオーダーメイド案件だよ」
「そっかぁ……」
「……ところでダストレ君。この事業、けっこうご盛況なので見積もり依頼が多くてね。数値をいじって値段とイメージを自動で作るネットカタログを作ろうと思うんだが」
「とりあえずオプション全盛り数値全盛りでモデルが破綻しないような感じが大前提で、ポーズ変更とスクショ機能あると嬉しいです」
「君に聞いて正解だったよ」
≫90二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 21:49:47
「オペトレさん、オペトレさん、私も等身大のダストレ人形を発注しても宜しいでしょうか~」
「ああ、大丈夫だよグラトレさん。どの様なオプションを着けるか言ってくれれば細かい所まで弄れるよ」
「いえいえ~、そのままで良いですよ~」
「え? ……あ~、君の担当そっくりにも出来るけど良いのかい?」
「ええ、大丈夫ですよ~……もし私以外に、グラスそっくりの人形を欲している輩が居れば教えてくださいね? オペトレさん?」
「あ、ああ……君との仲だ守秘義務は無視するよ……」
「ありがとうございます~、それとオプションの方ですが一点だけお願いが有りました~」
「ああ良いとも、それで何を着けるんだい?」
「とっても頑丈に出来ますでしょうか~」
「頑丈にかい?」
「ええ~、やはり甲冑を着せるならばそれなりに頑丈さが要りますからね~」
「……甲冑? 甲冑をダストレ人形にかい?」
「ええ、ええ、普通に置くのも味気無いですので~、身長も近いダストレ人形にでも着せようかと~」
「ふふっ……なるほど、マネキンの様な需要も有るのか」
「それで、作れますでしょうか~」
「素体は規格が決まっているから補強していくしかないね……最悪鉄の棒を挿すけど良いかい?」
「ええ~、宜しくお願いしますね~」
「期待に添える様頑張らせて貰うよ」
その後、ダストレ人形に甲冑を着せて色々なポーズを取らせて楽しんでいるグラトレが居たとか何とか
≫96笑顔の練習22/05/31(火) 22:07:21
顔の表情が変わらない、というのは中々な奇異に映るものだ。
『アンタ表情変わらないわねぇ…話し方もそんなだしいい相手見つかるか心配だわぁ…』
母親にウマ娘になったとビデオ通話で連絡した娘への反応がこれである。いつもの母と変わらない対応だ。まあ中を使われるよりはいいけれど。
「えぇー…もうちょっと悲しんだりしてもいいんじゃないのー?」
『悲しんでも元に戻るわけじゃないでしょ。元気そうだし十分。さっさと慣れなさい』
抗議しようにも出力される言葉は妙に気が抜けた口調なので多分勝てない。悲しみ。
「むー…私だって笑顔くらいできるよー」
『じゃあ今度見せてみなさいな。』
「えー…」
そんな訳で私は今、洗面所の前にいる。
母に言われたのもあるけど、パーマーと笑えるようになりたいし。
鏡の前に立ち、とりあえず笑顔の練習から。
「にこー」
怒り顔。
「むかー」
悲しむ顔。
「ぴえーん」
いろんな表情をしてみたが、鏡の中のウマ娘の顔は変わらなかった。難しいなあ。
時間がある時にトレーニングするかあ…
97笑顔の練習22/05/31(火) 22:07:56
ある日、トレーナー室に入った私の目に飛び込んだのは、鏡を見つめるトレーナーだった。
「うぇーい!おはようトレーナー!何してるの?」
「うぇーい、おはよー。これはねー…」
「笑顔の練習?」
「そー。やっぱり全く表情変わらないのはまずいかなーってねー」
全く変わらないかなあ?段々耳とか尻尾とかわかってきたけど…
「あ、じゃあさじゃあさ、私やズッ友に見せてみてくれないかな?私だけだとみんな判断できるか怪しいしさ!」
「いいよー。二人で表情が変わってるか見てみてー」
という事でズッ友のヘリオスとトレーナーさんの練習に付き合う事にした。
「ウェェェイ!!パマちんのトレちん笑顔の練習してるんだってな!成果ウチらに見せてみ☆」
「わかったよー。はい笑顔ー」
そう言ってトレーナーは色んな表情を試していく。でも、表情は変わらない。
「うーん…いつものトレーナーの顔かなあ…でもまだ練習始めたばっかりだし、これから良くなっていくっしょ!」
「それな!ウチもいつでも付き合うし♪」
「ありがとー2人共ー。頑張るよー」
「あれ?トレーナーちょっと笑った?」
「えー?そーかなー?」
「いやぁ、ウチはわかんなかったし☆
流石パマちんだな!」
あれ?確かに微笑んだんだけどな…
その後は全然成功しなかったけど…確かに確かに覚えてる。
練習上手くいったら私以外にもあの顔を見せるのかな…なんか、イヤだな…なーんて…
いやいや!トレーナーがしたい事だし!こんな考えパリピじゃないっしょ!やめやめ!
≫103二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 22:20:43
「……あ、オペトレさん!ちょっと、気になることがあって……」
「どうしたんだい?ルドトレさん」
ある日、休憩を取っていた私を見上げる形で、魔性とも呼ばれる彼女が話しかけてくる。私は、それに簡素に返して返答を待った。
そうして語られた用件は、至極単純なものであった。
「ダストレ君人形って、流星をつけたりとかは……」
「流星自体はオプションの一つに入っている。だが……君や、皇帝陛下の流星を再現するのであればパーツは別途見積りとなるね」
「ふむふむ……じゃあ、胴体部分は予めネットカタログで触って、頭の部分だけオペトレさんのところに指定したものを頼めばいいんですね?」
「ああ。……換装前提で頭部パーツを二種類用立てるのもどうだろうか?流石に、首のない人形というものはなかなか見ていて堪えるものがあるだろうから」
「……確かに!」
成程、確かに翁の言った通り彼女は抜けたところがある。しかし、それが彼女の強みでブレーキでもある、とは誰の弁だったか。
「成程、納得してくれたようだ。では、交換用パーツとしての頭部と取り替えに際する説明書を用意しておこう」
「はーい、後は~」
そうして、重なっていく彼女の要望の果てに辿り着いたのは……
「……完全に私の人形だね、これ」
「……途中からこちらも薄々気がついていたとはいえ、完全な特注品だ。出来れば大事にしてくれると……」
そう語る、二人の目の前にあるのは無自覚天然傾国魔性人形(1:1、胸の触り心地から髪質、匂いに流星も完全再現、まさしく魔性の雰囲気)であった……
「……あの、オペトレさん」
「……どうしたんだい?」
「……なんか。ごめんなさい……」
「いや、気にすることはない。ただ……これは少し一般販売するには厳しいな……」
こうして、無自覚天然傾国魔性人形(とてもえっち)は人知れずルドトレが借りた貸倉庫に葬られることになるのであった。
≫109二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 22:34:24
「あー、オペトレさん」
「おや、誰かと思えばフジトレ君か、どうしたんだい?」
「ダストレ君人形発注させてくれませんか?」
「……?」
「どうしました?珍しく鳩が豆鉄砲食らったような顔してますが」
「いや、旧知の仲としては意外というか予想外というかなんというか……」
「あー、その僕が欲しいわけじゃないんですよ」
「?というと?」
「カムちゃんがCM見て気に入っちゃったらしくて……」
「……」
「さらに凄い顔になってますが」
「フジトレ君」
「はい」
「君のところのムカデは一体全体何者だい?」
「そんなことを言われましても……」
なお後日、フジトレの部屋に届いたダストレ人形はカムちゃんをはじめ、フジトレの飼っている蝶やカブトムシやらにまとわりつかれることになるのであった
≫111二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 22:44:30
「オペトレさん。私も等身大ダストレさん人形を注文しても良いですか?」
「おや、タキトレさんも注文するのかい?」
「ええ、少しばかり考えがありまして。たしか色々とオプションを付けれると聞いたのですが」
「体の各部の大きさからスリーサイズ、顔だちや髪の色まで好きに決めれるよ。ただし、身長は変えられないからそこは留意しておいてくれ」
「そうですか…ではできる限り特定の誰かに似せないようにして2体ほどお願いします」
「それは構わないけど…何も2体も頼む必要はあるのかい?タキオンさんの実験に使うからその予備も含めてという感じかな?」
「? ああ! すいません、これは授業やトレーナーさんの実習に使う用の人形です。救急処置や移動をさせる実習なら体重含めて再現できるこちらの方が良いと思いましたので。勘違いさせてしまったようで申し訳ありません」
「なるほど……では、領収書は秋山理事長宛てでも良いかい?」
「ええ、すでに許可は取ってあります。そうだ、オペトレさん」
「ん?どうしたんだいタキトレさん」
「ついでにこの人形を使ってサボりに来た学生を追い返そうと思っているのですが、これ領収書で落とせますかね?」
「……ちゃんと管理して実習に使っていれば問題ないんじゃないかな」
数週間後、届けられた人形は保健室の空きベッドに時々安置されて仮病でサボろうとした生徒を追い返す口実に使用されたそうな
≫112二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 22:46:30
「うぉっ……」
「おや?どうしましたトレーナーさん?」
「いや部屋に入っていきなり目に飛び込んできたのが数珠とお守りにまみれた人形だったら呻き声の一つも出したくなるわ」
「失礼な!!ありがたーいラッキーアイテムの権化ですよ!?この場は今このお方に守られているといっても過言ではありません!!」
「雰囲気はこれ以上なく乱してるんだよな……ところでフク」
「ほぇ?」
「つまりこれはお前が頼んだものということで間違いないんだな?」
「……ピョペペ、これはですね違いますまず話を聞いてくださいいだだだだだおがじいでず間近にラッキーアイテムがあるのにぎぎぎぎ」
「……人形とはいえ間近でガン見されてるとやりづらさはあるな」ギリリリリ
「その割には普段と遜色ががががあががが」
≫114【にんぎょう/ひとがた】22/05/31(火) 22:55:41
「……あんたダストレ人形って聞こえる度に目付き悪くするのやめなさいよ」
「うるっ、んん!仕方ないじゃないですか、分かってても反応してしまうのですよ」
「似ても似つかない容姿してるんだから大丈夫じゃない?」
「言葉が問題なのですよ、私を欲しがるような人は絶対にいないと断言できますが単語で聞くと驚いてしまうのです」
「そう言うものかしら?」
「ぱかぷちが発売されている貴女とは気の持ちようが違うのですよ、そういう貴女は買わないんですか?ダストレさん人形」
「どうしようかしらね?アタシは本人がいるけどそれはそれとして欲しい気持ちも……」
「ハイハイ、ごちそうさまでした喉が渇いたので飲み物買ってきますっ」
「あ、ちょっと!アタシの分もー!………聞こえたかしら?」
≫115ダスー・トッレーと秘密の倉庫22/05/31(火) 22:59:45
「ウワーッ!!! シンプルにホラー!!!」
「ウワーッ!!! シンプルにホラー!!!」
「ウワーッ!!! シンプルにホラー!!!」
「ウワーッ!!! シンプルにドスケベ!!!」
(メンテナンスの為に集まった大量のダストレくん人形達)
「みんな注文の用途にクセがある!!!」
「トレーナーの皆から、こんなに注文されるとは……愛されてるねぇ」
「歪んだ愛を感じる!!!」
「ちなみに気になる価格設定ですが」
「かんたんプラ製が2万から、マネキンタイプが5万から、シリコンタイプが20万からとなっているね」
「シリコンタイプでも充分安い方ですけど、オプションがパーツごとに+2千ってすげえ良心的じゃないですか?」
「町工場をより良く動かす為の投資事業だからね。赤字分はあぶみ本舗で請け負って、町工場には技術力を高めてもらうのが狙いなんだ。そうして高めた技術力を、スポーツ医学に還元してもらうまでが狙いだよ」
「へぇ〜……ダストレくん人形で世界がより良くなるんですね……」
「……まあ君みたいに高級志向の人形を買うユーザーも増えつつあるので、実はだいぶ黒字なのだが」
「ダストレくん人形で世界がよりスケベになってるぅ……」
ご愛顧ありがとうございます。どっとはらい
≫123二次元好きの匿名さん22/05/31(火) 23:18:53
「オペトレせんぱーい!ダストレ人形三丁お願いしゃす!!」
「フウトレ君か、承ったよ。三体となるとオプション付きかな?」
「はい!ほら、全員違う方が戦わせた時映えそうじゃないですか。」
「……」
「……ってのはまあ冗談で、ホントのとこは家具作りの指標にしたいなーと。想定してる使用者と同じサイズの人形があればいささかやりやすくなるので。」
「なるほど、確かにそれはそうだ。ということはオプションは体型で差分をつける感じでいいかい?」
「正にそんなイメージでした。あ、でも顔は全部同じというかそのまんまで。そっちの方がダストレの反応おもろそうだし。」
「悪戯心漏れ出てるよ。」
≫143二次元好きの匿名さん22/06/01(水) 01:29:59
『スゴイオトモダチ』
「おーマヤトレ……おい如何した、そんな顔面真っ青にして」
「あぁブラトレ……うん……」
「何時ものイケメンオーラすら吹っ飛んでる……聞いてやるから何があったか言ってみろ」
「いやほら……ちょっと前にゴルシがマヤノ誘ってウマスタとウマチューブに動画上げてただろ? あの有名な洋楽の」
「あー、ハーイウェーイトゥーザーデンジャゾーンってやつだろ? 意外とよくできてたじゃないかあれ」
「いやそれはいいんだよ、出来栄え自体はよかったんだよ……そこじゃないんだよ……」
「うーむ、それによって何が起きた……?」
「……マヤノのお父さんいるじゃん」
「おう」
「あれってお父さんが出た映画の主題歌だろ?」
「おう。……おう、まさか」
「……主題歌の歌手が……マヤノにメッセージ送ってきた……」
「おぉ……凄いけど胃痛がヤバいな……」
「ファンタスティックだってさ……ぜひとも一緒に歌いたいんだってさ……ハハッ、俺の胃の中も今はファンタスティックなデュエット中なんだろうな……」
「今日の夜は奢るから気を強く持て……別に取って食われたりはしねえんだからさ……」
「いっそ怒られたほうがまだマシだったかもしれないよなぁー……でもメッセに付け加えられてた個人メール見るにめっちゃくちゃいい人なんだよなぁー……」
「何にせよまぁ……悪いことにはならんだろうからさ……」
この後マヤトレは直接のビデオ通話で甚く気に入られてしまい、胃薬の量が増えたという噂があるが定かではない。
≫171二次元好きの匿名さん22/06/01(水) 15:15:12
チュンチュン
「ん……ふわぁ…」
…鳴き声とともに目が覚める。暖かな日差しがカーテンの隙間から差し込む中で、テイトレは目をこすりながら起き上がる。
未だに残る眠気と格闘しつつ、昨日ははて何をしていたかと思い出そうとしながら横に目を向けた途端、思考が停止した。
「…え」
「…」
…そこには隣で眠るキタトレの姿が。纏めている髪を下ろし、トレードマークのモノクルも外した寝顔はとても綺麗で…
(違うそうじゃない!は…えっ?待ってなんでキタトレが俺の横で…というかここ俺の部屋じゃない…?!)
あたふたと慌てるテイトレ。昨日何したのかを思い出せない事が余計に混乱の拍車をかけていた。
…ふと動かした手が、その柔らかな双丘に当たる。薄いとはいえ服越しでも分かる弾力で、感触にテイトレは若干顔を紅く染め…
「…あら、起きてたかしら。」
「!」
起きてきたキタトレと目が合う。相変わらずの優しげな、しかし妖しさのある笑みでテイトレに声をかけた。
「キタトレ…」
「ん?…その調子だと昨日の夜の事は覚えてないのね。まあ無理もないかしら…」
まさかやっちまったのか。…そう考えていてもたってもいられなくなるテイトレを両手で抑えたキタトレは…
「貴方、昨日は飲み会の二次会で潰れて寝る羽目になったのよ?しかも運んだ私を離してくれなかったのよね」
「…あ。」
「私の家で二次会をして、テイトレの家まで連れ帰ろうかと思ったのだけど、あんまり動かすと良くなさそうだったのよ」
「そうだったのか…」
危惧したことはなく、一息ついたテイトレ。とはいえ同じ部屋、隣で寝たことには変わりなく
「…」
「ふふっ、私は別にいいのよ、だから気にしないでちょうだい。それより、軽めの朝食を用意してあげるわ…」
そっぽを向いたテイトレと気にしなくていいと笑うキタトレ。昨夜のアルコール大量摂取に対処するため用意した朝食…味噌汁やら卵焼きやらだったりときっちりしたそれを美味しそうに食べるテイトレに、キタトレは嬉しそうに笑いながら思った。
(まあ、忘れてるならそれでもいいわ。…最後に残った貴方は、一人じゃとても寂しそうだったもの。)
短文失礼しました
朝チュンとのことなので、テイトレにキタトレの家でしてもらいました。バレたら色々噂になりそう。
一人じゃ寂しいから、たまには隣に人がいる状態で寝るのもいいですね。言わないのはキタトレの優しさ
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part768【TSトレ】
≫59二次元好きの匿名さん22/06/01(水) 22:37:44元祖?
「……ねえボノトレ、ちっトレ入れば?」
「急にぶっ飛んだ提案してくるじゃんフウトレ。割といつものことだけど。」
「いやーふと思ったのよ……ボノトレの身長と見た目なら別に混じっても違和感なくない?と……」
「違和感はなくても問題はあるんだよ?最近ビーチとかにも行ってるんだからサトトレ達。」
「え、でもボノトレ水着もおんn」
「アケボノの料理のおすそ分けしばらく止めようかな……」
「すみませんそれだけは許してください!」
「だけど正直な話、始祖なり元祖なりくらいは名乗ってもよくない?わたし達。」
「言わんとすることは分かるけど人数が足りないよ人数が。」
「うーんやっぱり?」
「部活さえ怪しい人数じゃ流石にね。」
「そうかあ……その場の閃きにしてはいいアイデアだと思ったんだけどなあ。」
「いや、そこまで……」
「……あれ?思ったよりガチめにひいてないかしら!?なんで!?」
「なんでも何も……いいフウトレ、冷静に考えて?」
「うん。」
「ウマ娘化でなったあっちと違って、成長しなかっただけのボク達がちっトレ名乗ってもただ虚しいだけだよ?」
「…………なかった事にするわね、この話。」
≫81二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 05:45:54
ある朝、目が覚めると隣に魔ルドトレが、下着で寝ていた。というか、こっちも下着だ。
まさかと思い、何があったか思い出そうと記憶の海に飛び込む、が……
「……ダメ。頭ガンガンする……ハイペースで飲みすぎたかな……これじゃ、シチーに怒られるかも……」
そう呟いても、隣の彼女は寝息を立て、こちらに無警戒な顔を向けている。
そんな彼女の艶やかだが、今は癖のついた毛を優しく手ですく。
「相変わらず、手入れはちゃんとしてるよね」
そう呟くと、彼女の瞳はゆっくり開いた。
「……おはよう、かな?シチトレちゃん」
「魔ルドトレ、一応、昨日何があったか覚えてたら教えてくれるかな」
「……普通に飲んで、普通に危ういから、ってホテルに入って……」
「……それで?」
「二人とも酔ってたのかわかんないけど、服のシワの話になって。それで脱いで……そのまま寝ちゃったのかなぁ……」
申し訳なさそうに揺れる彼女の尻尾と、倒れる彼女の耳。
82二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 05:46:21
私は、魔ルドトレの頭をそっと撫でる。
「……ん、ゆぅ……」
「あんまり気にしないの。限界近くまで飲みすぎちゃった私も悪いんだから……あっ」
彼女の頭を撫でると、あることを考えてしまう。
それを確認し出すと、魔ルドトレもそれを行い、同じような反応を返す。
「……あっ?……あっ!」
「「ルドルフ/シチーからの連絡が……!」」
そう、担当からの鬼電。
ホテルの中、下着姿の美女二人。さて、どう言い訳したものかと、私達は二日酔いの重い頭を悩ませるのだった────
≫92二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 08:24:39
『言葉足らずのコーディネイト』
「おい」
「んえ? 何用なんだブライアン?」
「あんたは、スーツだ。……タキシードでも構わん」
「……? ん? ま、まあそれがいいってんならそうするけど……何の話?」
「……以上だ」
「おーい? おーいブライアーン? 行っちまったよ、何の話だったんだ……?」
「……ってなことがあったんだけどさ、ドベ助にドーベル、なんか知らない?」
「それ俺に聞く?」
「まあぶっちゃけドベ助には期待してないよね……ドーベルならなんか知ってるんじゃねって思ったけど」
「ひ、ひでぇ!」
「う、うーん? よくわからないんですけど……ブライアンさんがブラトレさんにスーツの方を着て欲しい、というのは確かなんですよね?」
「ん、多分そういうニュアンスだったと思う」
「……いや、まさかね……いえ、ちょっとわからないです、ごめんなさい」
「んーそっかー。まあドーベルがわからないなら仕方ないわな……そのパフェは奢りでいいから二人でゆっくり食べてくれ」
「おーお疲れー。……で、ドーベル。なんか気がついてたのか?」
「いや、多分私の勘違いだと思うから気にしないで」
「一応聞かせてくれよ」
「……うーん、ほら、今の時期ってさ、ジューンブライドじゃない?」
「あーそういう広告結構あったなあ……え? まさか」
「いや、多分違うと思うから……もしそうだったらブライアン先輩って意外と……?」
結局真相は、誰にもわからなかった。うまぴょいうまぴょい。
≫97二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 13:57:36
「伸びませんね…」
「まあ、そうだよね」
トテトテと小さな歩幅で歩く少女達、サトトレとブルトレは先程測った何も変わらない身長に声を漏らした。
「この身長だと車もまともに動かせないし、他にも制約が多くて大変なんだよね。…レースで走る分にはいいけどさ。」
「サトトレさんの能力で体躯が大きかったら、脚部不安が出来そうですしね。…大きくても頑丈なら大丈夫でしょうけど」
…178cmの身長とここでも随一のBサイズを誇る重量級ステイヤー、そのくせして頑丈な彼の事を思い出しつつサトトレは
(まあ、あれも担当譲りの特徴なんだろうなぁ。あれでも男性の頃からあまり小さくなってない分楽に見えるし)
「そういえばサトトレさん、牛乳って飲んでますか?」
「ん、僕は…飲むけど頻度は高くないかな。どうせ飲んだ所で伸びないし、何なら僕、縦にも横にも大きくならない…」
太りもしないし伸びもしない。新陳代謝が高すぎるのも一苦労とサトトレは思っていた。…最も、だから体が頑丈なのだが。
「…車、私は仮に大きくなっても運転出来ないのが…」
「ああ…その体質はね…機械は基本駄目って呪いもいいとこだよね、特に現代社会じゃ。」
「ゲームとかも触れないので、配信でも実況に回らざるを得ないのは少し…最近やってるレーシングゲームとか気になるのですが…」
「ニュルブルクリンク?あれの北コースは確かにやりがいがあるよね。ゲームで走らせてるだけでも中々大変だし…」
一瞬、何か見られてるような嫌な予感して振り向くサトトレ。しかし、誰もおらず気の所為だと前を向いた。
「…集中力いるのはそうなんですが、サトトレさんはその…感度が高すぎるのでは?前に触った時は大分振り回されたんですけど…」
「ほら、高い方が急旋回出来るからね。そうじゃない?…まあでもいつか、実際に行ってみたいよニュル。」
──その後、ダイヤからちっトレグループでのドイツ行き旅行券を貰う羽目になるとは、予想だにしなかった二人だった。
短文失礼しました
ちっトレで体とレースの話。現実と同様に体が大きいと脚に負荷がかかるからステイヤーに大きな人はあまりいないとかありそう。
サトトレは手が器用な分コントローラーの感度はめっちゃ高くする人種です。ブルトレと二人でニュル耐久を実際に走ってほしい。
≫112二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 19:02:16
「✖」
「驚愕ッ! まさか断られるとは!」
『🦾:⭕ 🏭:⭕ ⛑:✖』
「疑問ッ! これは以前依頼した芝整備マシーンより小型のはず。技術力も設備もあるのに、何故小型車両の方が安全性に不安があるのか!?」
『👁❔+🚗=🤕』
「盲点ッ! 確かに見えづらく素早い乗り物は、ウマ娘との衝突事故に繋がりやすい!」
『⭕』
「理解ッ! イクトレ殿が速度が出ない乗用ラジコンカーに乗るのも、偏に安全の為なのだな!」
「……提案っ。なら、爆音を鳴らして注意喚起しては」
『✖』
※イクトレはウマ娘の安全性を一番大事に考えます。なくそう、交通事故!※
≫114二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 19:10:04
「おい」
「はい?」
「肉がこんなに届いた。焼くぞ」
「はい(ブラトレに連絡)」
「おい、なんで連絡するんだ」
「はい(電話を渡す)」
「ブライアン野菜もちゃんと食えよ!!」
「…もちろんだ。おい」
「はい…(野菜を出す)」
「おい!!」
「はい…?(か弱い目付き)」
「騙されんぞ。……玉ねぎ1切れ位は食ってやる」
「はい!(玉ねぎをデカく切る)」
「おい」
「はい!(反対の声は聞かない)」
≫128二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 20:07:01
『自分の5分の1がここにあると思うと感慨深いね』
「トレーナーさんは15kgしかありませんからね」
『世のお母さんが聞いたら羨みそうなパワーをイクノから感じる』
「ウマ娘ですから」クイッ
「それでこのお肉は、どうしましょうか。他のトレーナーさん達にも行き渡っているようですが」
『食べきれたもんじゃないね。冷蔵庫にも入らないからすぐ食べるのは無謀だ』
「トレーナーさん……」
『ところで昔、燻製にハマっててね。ちょうど工房に林檎のウッドチップと燻製機があるんだが』
「トレーナーさん!」
≫153二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 21:32:17
「無茶だろう……」
「無茶だねえ……」
「どうしようかスイトレ。君でも食べ切れないだろ?」
「二人揃ってドクターストップかかりそうだねえオペトレ……」
「……あっ、そうだぁ。ドトトレちゃんとかぁ、ベガトレちゃんとかぁ、トプトレちゃんとかぁ……みんな呼んで……」
「おそらくそれぞれに届いた肉が、合わせて15kgだね」
「ひぃん……」
「……あー、そうだな。行きつけの店に渡して、調理してもらおうか。余った分は引き取ってもらって」
「そうしよぉ! わたしこの量は焼けないからねぇ! みんなと担当のウマ娘ちゃん呼んで、プロのコックさんに料理してもらっちゃおうねぇ!」
「……そういえば先生は勿論、ウラトレも呼ぶことになりそうだが」
「ひぃん!!!」
≫155二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 21:36:25
フジトレ「健康にはなったけどそこまで健啖家にはなってないんだよね……」
フジトレ「最初は料理して皆にふるまおうと思ったけど皆貰ってるし」
フジトレ「フジもそこまで大食いのタイプじゃあないからなあ……」
フジトレ「あ、そうだ」
お肉は無事ハムとチャーシューになりましたとさ
≫159二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 21:55:41
「なあ、後輩」
「どうしたんすかセンパイ」
「今日ほど自分の所のチームが大人数になったのを後悔した日は無いわ」
「流石にこれは…何キロあるんすか?初めて見たっすよこういうの」
「額面通りだと12キロだってよ…どうする?」
「学園の厨房用の冷凍庫借りれないか聞いてくるっす。流石に理事長も無策ではないと思いたいっす」
「俺はイクトレさんあたりに何かないか聞いてくるわ。これが、人数増えて最近楽をしていたツケか」
「地獄への道が善意で舗装されているのを始めてみたっすね…」
この後イクトレのところで燻製パーティーしたり、皆で料理をしてみたりした結果なんだかんだ完食は出来たのだが…──ウオトレたちは『太り気味』になってしまった…
≫160二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 22:02:50
『この世は焼肉定食』
「入ってるやつは雑多だな……鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉、おまけに猪肉と熊肉まで入ってら」
「まだ前4つはわかるんですけど後者2つは割とゲテモノの部類なんじゃないんですか?」
「まあちゃんと料理方法はあるから。……あるけどしばらくは冷凍保存かなー」
「え、今すぐ食べないとダメなんじゃないですか?」
「まあうん、下処理を多少しておけば冷凍保存自体は可能だからな。それにリボンカロル……」
「……今日から昼は毎日バーベキューでいいか?」
「胃もたれするので勘弁してください!」
「よろしい」
「まあチームで食えばあっという間だろうがな」
「おーブライアン、ブラサブはどうした?」
「他のメンバーを呼んでいる。まあ問題ないだろう」
「……あれ、これトレーナー一人につき3Kg程度送られてるんですよね」
「あぁそうだけど?」
「……多人数トレーナーさんのところって大変なことになってるのでは?」
「……俺らの分食い終わったら多少は手伝ってやりに行くか……」
「私は肉を食えればそれでいい」
「野菜も食べなさいよブライアン」
≫166二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 22:21:15
グラ(卒)「合計6Kg…1人辺り2Kgって所か」
グラ(独)「いずれは食べ切れるでしょうが~」
グラス 「食べ切る迄の保管場所が無いですね……」
グラ(卒)「どうにかして早く食べ切らないといけないなぁ……」
グラ(独)「……それなら~、皆を集めて焼肉をするのは如何でしょうか~」
グラス 「皆……ですか?」
グラ(卒)「あ〜、黄金世代全員とそのトレーナー達か」
グラ(独)「ええ、ええ、皆で食べればきっと食べ切れるでしょう~」
グラス 「そうですね、それでは皆に連絡を取りましょうか」
グラ(独)「お願いしますね~」
グラ(卒)(皆で食べればという名目でスペトレペアに回す気かな?)
グラ(独)(ええ、スペシャルウィークさんに大半を食べて貰いましょうか~)
グラス 「連絡取れましたよ、参加するとの事です」
グラ(卒)「ありがとうグラス」
グラ(独)「それでは焼肉親睦会といきましょうかね~」
その後、食べ切れない肉は沢山食べたい人に食べて貰おう計画……もとい焼肉親睦会は執り行われ。
無事に大半の肉をスペトレペアに食べて貰い消費する事が出来たとさ。
うまぴょいうまぴょい
≫173二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 22:42:38
まともトリオwithタイキトレと肉の山
「いや各々に3kgは多い……多くない……?」
「俺たちがウマ娘であることを加味しても多すぎんだろ……」
「でも実際届いてるからね〜……丁寧に3kgずつ分けられた状態で。」
「太っ腹よねー。感謝感謝。」
「……で、どうする。全員もらってる以上他巻き込んで数でなんとかすることはできねえが。」
「うーん……食堂に一部あげるのは?」
「それはみんな考えると思うし、食堂にもすでに3kg来てるから効果薄いと思うよ?」
「一人一人の量もそうだけど合計もヤバくない……?」
「ふっふっふ……我に秘策あり。」
「BBQか?」
「いぇーあ。よくわかったねフクトレさん。」
「タイキいるから誰でも分かるんじゃないかなぁ……」
「まーアレよ、みんなでガヤガヤやってればいつの間にか解決ってスンポーよ。タイキも喜ぶし。」
「いやそれにしたってキツくない?この4人だけでも12キロあるからね?」
「けどスズトレさんや、BBQなら野菜もたくさん食べれますぞ?」
「ごめん三人とも、野菜買ってくるから準備任せた。」
「いってらー。」
「いってらーじゃないよ!?」
「やめろこれ以上食べる量を増やすな!!」
≫181二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 23:03:11
🍖BBQ🍖
「シャト〜そっちの肉取って!」
「Hey pass!」
「Nice control!」
「オベトレさんや、燻製の方はどうかね」
「いい感じよ。あと桜のチップが切れそうかしら」
突如としてトレーナーに1人3キロほど送られてきた肉。肉。酒池肉林ならぬ肉池肉林。
悪くなるのも怖いので知り合いを誘ってBBQパーティーしようとタイキコンビに誘われたオベイコンビも乗っかり、最初はスズカコンビにフクトレコンビetc……と気がついたら結構デカめなパーティーになった。
「や〜、結構いるね。それより酒が飲めないのが悔やまれる」
「あら、お酒ダメなの?」
「昔は永遠を誓った友だったけどね…古傷をほじくり返すのはやめよう」
「おーおーやってるやってる。俺たちも参加いいか?」
「あら、親父さん。…って、とっても送られてきましたね」
「お陰でトレーナー室の机が一時使えなかったぞ。誰がこんなのを…」
「少しですがお手伝いさせていただきます!」
「あら、ウオシスちゃんだったかしら。それは助かるわ。これで髪纏めたら野菜の方手伝ってくれるかしら?」
「了解です!」
「親父さん、モンエナ取ってくるっす」
「monsterならそこでキンキンに冷えてるわ」
「本当っすか?ありがとうございますっす」
ウオトレたちの持ってきた荷物を確認する。猪肉や熊肉も入っていた。
猪はいいとして熊は流石に手に負えない。
「ベイ、これ食堂のおばちゃんに一旦預けてもらえるかしら?いざという時のために許可は貰ってるわ」
「I copy!」
「Thank you so much.今度マーヴェリック見に行きましょうね」
182二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 23:03:32
オベイがはそれを運んでいくのを確認して肉が焼けたことを伝える。真っ先にブライアンとブラサブが飛んできた。
「とにかく肉肉しいのをくれ。野菜はいらん」
「はい(野菜を乗せてくれのジェスチャー)」
「おい…今野菜を乗せろと伝えなかったか?」
「はい?(明後日を向く)」
「ふふっ、仲睦まじいわね。他のメンバーの子たちは?」
「フン…向こうで仲良く食事中だ。全く…肉を食うのはスポーツだと言うのに…」
「……はぃ……(野菜をこっそり乗せる)」
「じゃあ、私はいくぞ…だから野菜を乗せるな。ウマ娘強度が下がる」
「はい…(ボンドを取り出す)」
そうこうするうちに燻製も出来上がり、それを並べながら塩胡椒を強めに効かせた鳥モモ肉を網に乗せる。野菜の網もウオシスが拵えてくれたものを乗せ、テキパキと焼いていく。
「やっとんなあ!ウチらも参加ええか?」
「お、タマモちゃん。もちろんだけど無理はしちゃダメよ?これで体を壊したら申し訳がないわ」
「んなヤワな体しとらん。トレーナーが持ってきてくれとる分使ってくれてええで」
「ありがとう。あのちっちゃい子たちの分は?」
「しっかり分けたで」
183二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 23:04:03
「…‥ねえ、タマモちゃん。なんで黒タマさんは運搬用のトレーラーのなってるのかしら?」
「まあそう言うこともある…あるわけないやろ!ウチが逆に知りたいわ!」
「俺が、俺自身が、黒タマcarだ!!」
「た、たま、も、もってき、たよ?」
「あんがとな。大丈夫か?」
「な、な、と、か」
「ふぃ〜…ちょっと疲れたぜ」
「突っ込んだら負けやからな。ウチは突っ込まんからな」
その後、向こうから引きずられてくるタバコや不タキを連れてケツ上や養タキ、その他数多くのトレーナーやウマ娘の参加でBBQは大いに盛り上がったそう。
つづかない
最後書く元気と行数がありませんでした。腹を切ります!書く体力をもっと付けたい…
いいですよねお肉。サンチュに巻いてもっしゃもっしゃしたい。
明日の晩御飯は味噌漬けホルモン焼肉にします。
…書いておなかすいたよ。カップ麺、おめえの出番だ!
≫189二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 23:12:10
「……スカイ、3kgのお肉って食べ切れる?」
「やだなぁ、これはトレーナーさん達に配られたものじゃん。セイちゃんこんなに食べきれませんって」
「そうだよなー…」
「気が重そうだねー、実は苦手なの?」
「……逆、大好き。ちょっと食べたら自制が苦しい位には」
「あのー、思ったよりキツそうです?」
「……うん。七輪使っての炭焼き大好き、普段控えてる分食欲もあって結構堪えてる」ハァア
「おおぅ、いっその事食べちゃえば?」
「やめてくれ。部屋の冷蔵庫小さいし、多分途中で止まれないし下手したら生の食べかねない」
「そんなに?うーん、困りましたね。……いっその事爺ちゃんにも少し分ける?」
「……有り、なのか?お肉いっぱい食べれる人?」
「いっぱいってほどじゃないですけど食べてましたよー、メールするね」
──数刻後
「あ、メール帰ってきてますよ。どれどれ……ぅえっ!?」
「え、どうした?」
「い、いやー……取り敢えず家族分に少し引き取ってくれるって」
「家族分って渡して冷凍してもらえば1kg、500g位渡せる?……少し減ったな」
「にゃははー……でもね、お礼に採れた野菜送ってくれるって」
「えっ」
「ウマ娘化の噂も聞いてるからたくさん送ってくれるって、にゃははー、はは~……」
「……えぇ、と。どの位来る?」
「この写真と、もうちょっと?」 野菜ドサァ
「ンェッ、アッ?……増えたぁああああああ!!?」
でBBQオチを貰えたので野菜追加オチ
食べきれないけど出来るだけ食べ物無駄にはしたくないのでセイトレはほんとに頭抱えたと思います
実は炭焼の肉と魚が好きな七輪持ちだけど自制出来なくなるので我慢です、我慢
頑張れスペチャン&スペトレ、君等が希望だ
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part769【TSトレ】
≫9二次元好きの匿名さん22/06/02(木) 23:25:40
「しかし…変わったなオベトレ。ここでも中々少ないレベルのガタイじゃないか、いい体つきをしている。」
「ありがとうファイトレ(女)、あなたもその細い体型にしては力のあるほうね。相当鍛えているの?」
「ああ、私の仕事には身体能力が不可欠だからな。ここに来てから一日たりとも手を抜いたことはないさ。」
「ふぅむ…中々追い込むわねあなた。」
二人で並び、トレセン学園内を歩くファイトレ(女)とオベトレ。170cmと185cmという体躯は、見た人のサイズ感を狂わせる。
分かりやすく筋肉質なオベトレ、一見すると細見だが必要な筋肉はつけてるファイトレという違いが、ガタイにも表れていた。
「あ〜!」
「やっちゃった…」
そんな時、二人の視界の上の方をボールが飛んでいき、きれいにトレセン校舎の壁とパイプの隙間に挟まる。
2階から3階の間、近くの窓からでは絶妙な位置に挟まっちまったそれに、足を止めたファイトレ(女)はオベトレへ問うた。
「…オベトレ、私レベルの重量を上へとほり投げられるか?」
「いきなりだねファイトレさん。でも、それくらいならいけるよ。」
「なら…そこで構えてくれ。」
ボールの下の方へと移動し、手を組んで丁度踏み切れるようにする。ファイトレ(女)の方を向くとサムズアップした。
「スリーカウントで踏み切るから合わせてくれ。…3,2,1,ふっ!」
…オベトレのばんえいソウルの力を生かした強烈な振り上げで、空高く飛び上がるファイトレ(女)。ボールの近くで外壁を掴むと右腕一本で体を支えながら、もう片方の腕で挟まってるボールを落とした。ボールを回収し使っていたウマ娘達に渡すオベトレ。
「降りれるかい」
「問題ない。生憎そこそこの高さから飛び降りるような経験はしててな、この程度なら無傷でいけるさ。」
一度二階の外壁で止まりながら、手を離すと低く見積もっても3M以上の高さから飛び降り華麗な五点着地で降り立った。
「あなた、曲芸師みたいね。」
「何、昔取った杵柄というものだ。それより手伝ってくれて助かったよ、感謝する。」
軽くハグして感謝の意を示すファイトレ(女)、オベトレも抱き返す姿は流石外人…と一部始終を見ていたウマ娘達は思った。
≫43二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 17:25:01
ある日のこと。魔ルドとトプトレが二人で芝生でうとうとしていると、キャタピラの音が大地に響く。
そうして、二人が音の方向を見ると……
「……ゴルトレちゃん?」
「……ゴルトレさん?」
「ウッホ」
そこには、白いゴリラ(下半身がキャタピラ)がいた。
「……なんか……いつもと雰囲気が大分異なるような……」
「……でも、ゴルトレちゃんだし……」
「ウッホ……」
呆れるゴリラと、勘違いしたままの天然二人。
一見、ゴリラとウマ娘の微笑ましい交流だが、実態はカオスである。
「……ところで、ムントレちゃんは?」
「さあ?チェムさん、覚えてます?」
(さあ……?)
「ウッホ……」
そういえば、とムントレの話題に移る三人とゴリラをよそに、ある人物が駆け寄ってくる。
44二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 17:26:07
「……何してるんだ、魔ルドトレ、トプトレ……」
「あっ!ブラトレちゃん!」
「ブラトレさん!実は……!」
「……ウホウホ」
「……待て、後ろのそれは何だ」
「「ゴルトレちゃん/さんでしょう?」」
「……待て!なんでそうなった!?どう見ても魔改造されたゴリラだろ!?」
「ウホ!」
流れるように巻き込まれるブラトレと、ブラトレに同意するゴリラ。
「「えっ?」」
(ゴリラ……?)
「あっダメだこいつら……」
「……君……ゴリラなの……?」
「ウホ……」
「そんな……ただのゴリラだなんて……」
「ウッホ……」
(もっと……遊びたかったのに……)
「待て待て待て待て、お別れの雰囲気にするんじゃない」
「ウホ」
そんなことをやっていると、また影が二つ。
「……何やってるんだお前ら……」
「おや、三人とも。こんなところで何を……」
「あっ!ゴルトレ!このゴリラお前のものだろ!?」
「ウホ!ウホホ!」
45二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 17:26:46
「あー、ブラトレ。何か勘違いしてるようだがソイツは俺の親戚のおばさんでも、ムントレの祖父でもないぞ?」
「ああ。実際、はじめてお目にかかったね」
「「「……じゃあ、このゴリラは……?」」」
三人の疑問に、ゴルトレはあっけなく返す。
「野生のゴリラだな……」
「……なんで?」
「さあ?しかし、下半身がキャタピラなのは可哀想だ。ここはイクトレさんのところに運んで、下半身を元に戻してあげるべきだろうね」
「確かにそうですね!ところで、イクトレさんの工廠って……」
「ここから、結構距離あるな……」
この後、ゴリラはブルトレとイクトレのオペ(4時間)により下半身を復活させられ、オペトレの手配で無事北欧のブーベ島まで帰れたそうな。
めでたしめでたし。
46二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 17:33:57
おまけ
「……ところでよ、二人とも。なんで俺とゴリラ間違えたんだ?」
「……だって……白くて、大きかったし……」
「セグウェイに乗ってることもあるので、ゴリラとなって下半身キャタピラくらいは普通かと……」
「お前らなぁ……」
「まあ、責めても仕方ないだろう。今は無事だったことを喜ぼう」
「……ムントレちゃん……」
「ムントレさん……!」
「……よし、行くか!群馬の山奥!」
「わーい!」
「よし行こう!」
「チェムさん!遠征の時間ですよ?」
(そう!群馬って素敵なところなのよね!楽しみ!)
数日後、群馬の山奥にあった伝説の遺跡を踏破した一行は、10gくらいの黄金と大量の塩を持って帰ってきたのだった……
≫83二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 22:38:11
くぁ、とあくびを一つ。
寝ぼけ眼を擦りながら家を出る準備を整える。
「今日は坂路を重点的にやって…ああでもテイオーの体調次第か」
のそのそと鈍い動きで寝巻きを脱ぐ。仕方ないじゃない、眠いんだもの。
それを見越して昨日のうちに衣替えをしておいた俺はえらい。賢さ1200はある。
用意周到な自分が恐ろしいぜ…なんて思いながらズボンを履いた時、異変に気がついた。
あれ?きつ…いや多少、ほんのちょっとだけきついような…気がしないこともないような?
ちらりと自分の下半身を見る…こんなに身体のラインにフィットしてたっけ…太ももとか…お、お尻強調するタイプのズボンだったかな。
「…せ、洗濯して縮んだんだな!うん!そう!きっとそう!」
シャツもまぁ普通に着れたし気のせいだろう。でもまぁ、一応念のため、勘違いだとは思うけど他の人にも聞いてみることにする。
──
「いやあなた肉つきましたわよ」
「健康的な身体つきになってきてる」
「…パンツみっちみちだな」
「嘘だどんどこどーん!!」
さらっと聞きたくないことを告げるアホ共に思わずオンドゥル語が飛び出る。嘘だ、えまじ?
「え…ふと、太ったってことか」
「太ったというか」
「俺達もこの前肉山ほど食ったからそれもあるんじゃねぇか?」
「太ったってことじゃねぇかぁ!うあーんバカー!!」
「あっ逃げた」
「…まぁ実際あいつがあの身体になった時に比べれば太ったと言えるけどさ」
「あの時は摂食障害の方と同じ位には酷い身体でしたものね」
「あれでやっと普通くらいだな…まぁそれはそれとして」
「「「面白いことになりそうだから黙ってよう」」」
「なぁモブトレぇ…俺太ったかなぁ…ほら触ってもいいから…」
「なんで俺にこんな展開があんだよ教えはどうなってんだ教えはお前ら禁じられた概念を平気で使ってんじゃねえかわかってんのか!?「むっちりテイトレ」が生まれたのは人間が機械に甘えたせいだろうが金取らねぇのかよ!?クソッタレ!」
≫105二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 23:37:04
「ねぇキミ、私に耳かきをしてくださらない?」
「…はい」
──トレーナー室、いい笑顔で聞いてくるファインにファイトレ(男)は一瞬視線を逸らした後、首を縦にふる。
いつも通りトレーニングし、今日のメニューを終わらせた所でこの部屋に戻ってきた矢先の話であった。
「ファイン、少し用意するものがあるからちょっと座って待っててね。」
「ふふっ、は〜い」
さて、ファインへの耳かきという常人なら重責に動けなくなりそうな仕事。しかしそこはガンギマリというか、気合を入れて現実を直視しつつ逃げ出さないファイトレ(男)。梵天付きの耳かきとお湯で濡らしたタオル、綿棒とハッカ油を用意すると戻ってきた。
「トレーナー、凄く手が込んでるね。耳かきだけで良かったんだよ?」
「まあ、やるならしっかりしてあげたいからね。…耳、揉み込んでいくよ」
彼女の頭に手をのばすと、ハッカ油を微量混ぜたお湯につけていた濡れタオルで、ファインの耳周りを揉む。
モミモミ、モミモミと耳をもみ、耳の内側に沿わせてタオルを動かせば、ファインは気持ち良さげな顔をする。
「じゃあ、耳かきするから横になって…ってファイン?」
「えへへ、折角丁度良さそうな枕があるから使わせてもらうね」
ファイトレ(男)の膝を枕に、ソファの上で横になる殿下。ファイトレ(男)は膝からの感触に耐えながらも耳かきを手に取った。
下手なことをして耳を傷つけたら…という想像が一瞬よぎったが、すぐ振り払うとゆっくり耳かきを差し込んでいく。
カリカリ、スリスリ。耳の中で回しながらついている耳垢をこすり取る。時折、梵天を入れては残った耳垢を取り除く。
「…どうかな」
「うん、気持ちいい…」
耳かきのへらの部分で軽く押し込むと、良さそうな反応をしてくれる。梵天のふわふわの感触も楽しんでくれてるみたいだ。
片耳を終えてもう片方へ。少し周りより大きい耳垢を見つけると、ファイトレ(男)は手を止めて考えた。
「…どうしたの?」
「ああいや、ちょっとどうやって取ろうか考えてたんだ。くっついている少し大きめのを見つけてね」
…ファインは体の力を抜くと、目で訴えかけてくる。任せると言ってるのだと理解したファイトレ(男)は気合いを入れた。
106二次元好きの匿名さん22/06/03(金) 23:37:31
丁寧な手付きで差し込み、周りから順に取っていく。大体取れて良い頃合いを見計らうと、その耳垢をコリコリと取りに行く。
ペリペリとゆっくり剥がす音だけが聞こえる中、僅かに身を捩ろうとする殿下を彼は片手で抑えてやる
「…擽ったいな」
「ごめん、もうすぐ取れるから…よし、取れた。」
周りより一回り大きいサイズの耳垢を隣のティッシュに落とすと、仕上げとばかりに中でくるくると回して取る。
…本来ならこれで終わりなのだが、折角気持ち良さそうにする彼女が見れるのだ。彼は続行することにした。
といっても、やることはへらの部分で軽く押してあげたり、表面を優しくかいてあげるだけである。
時々梵天で中をさわさわしたり、ぬるくなったタオルで耳を揉んでやったりしていると、気づけば彼女は
「…zzz」
「…寝ちゃったな。まだやることはあるにはあるけど…まあ、後回しでいいか。」
寝顔に少しくらりと来つつも、かわいいとおもいながら身を任していればやがて自分も夢の世界へと誘われる。
…双子のような二人は、静かなトレーナー室で満足した睡眠が出来たらしい。
短文失礼しました
耳かきネタ、されるのではなくしてあげるファイトレ(男)です。万が一を考えるとプレッシャーがヤバい。
ファイトレ(男)の因子はまあ想像の通りファイン由来ですね。特に変哲もない?因子継承(例の姉ソウルは入ってないです)
余談ですが、ファイトレ(女)の方は以前内面がファインだと言ってくれてるんですけど、あれは元々そういう性格です。ファインから因子継承をした訳でもないけどあの性格でIFみたいな√辿っているのでそういう運命なんですよね。育ちの良さ由来の気品さも残ってます
≫129二次元好きの匿名さん22/06/04(土) 12:36:40
『ななひかり』
ほんのりと違和感はあったのだ。
昼食を取りに、いつもの四人組でカフェテリアにいたときだ。何故か突然シンコウウインディがわたわたしながらこちらに突っ込んできたタイミングで、何かやらかしているということに気が付くべきであった。
その時一瞬でも、あぁ本当に一瞬でもだ。俺とマクトレとフクトレがそちらに注意を引かれた瞬間に、俺の飲み物に変なものを突っ込まれているという可能性を疑わなかったことが悪かったのだ。
代償は、いろんな意味でデカかった。
テイトレは爆笑しながら床を転げまわり、マクトレは紅茶を噴出した口元を抑えながらフルフルと震え、フクトレは限界ギリギリまで顔を歪ませながら決壊に耐えている。
そう、なんか俺の顔が光り輝いている。しかも虹色に。ゲーム実況はたまにやってるが、俺自身がゲーミングになるとは思わなかった。
親の七光りとは言うが、物理的に光る奴はいない。ついでに言うと、俺の親はウマ娘競争の業界に一切関わりはない。
つまるところ、別の用途として処方(そもそも処方と言っていいのだろうか)されていたものを俺が飲まされたというわけだろう。タキオンはまあおいておくとして、おのれウインディ。おのれたぶん実行犯のテイトレ。
カフェテリアはいろんな意味で大惨事になっている。突如謎の光が降臨したせいで、天地がひっくり返ったような大騒ぎだ。皿をひっくり返したりビビり散らかしたり、大爆笑したりしているウマ娘たちのなんと多いことか。
あと隅っこのほうで「こんなことになるなんて思っていなかったのだ」みたいな顔してるんじゃあないよウインディ。お前がやらかした物語だろうが。前もそのノリで大迷惑かけたのを忘れたらしい。
その日の昼休み、トレセン各所で逃げ回るウインディを追い掛け回す怪ウマ娘レインボーフラッシュがいたとかいう噂が飛んだ。
なお、テイトレはマクトレとフクトレによって折檻されたようだ。是非も無し。
後日、シントレさんとタキオンからお詫びとして甘味を奢ってもらえたことだけがプラスだったといえよう。
タキオンは今回特に悪いことをしたわけではないのだが……まあ、今度はもうちょっと光量を抑えてほしいところである。
≫172二次元好きの匿名さん22/06/04(土) 21:14:42
●その腕の中●
「こっちはここに置いていいのかしら?」
「🫂👍」
「了解。これで終わりかしら?」
「⭕️」
ここはイクトレの工房。きっちりと整頓され埃ひとつない小綺麗なそこにいくつもの大きな箱が搬入されていた。
蹄鉄の材料や重たい工具、その他諸々。普通に考えれば運搬用の機械を使うであろうそれをオベトレは軽々と持ち上げ、ここまで運び込んだ。イクトレは大層驚いていた。
『とても助かった。機械を出す手間を省けたのは大きい』
「それならこっちも嬉しいわ。結構ずっしりしてて運んでてとっても楽しかったもの」
まだ少し血管の浮かぶ腕を力こぶを作るようにして応える。
「😲」
「どうしたの?イクトレさん」
「💪💢💢」
「ねー、すごいでしょう?物を運んだり筋トレしたりがとっても楽しいのよ」
この前は溝にはまった軽トラを一人で助けちゃった、というオベトレに何度目かの驚きをもたらされたイクトレは頷くと、大きなあくびをした。
食後、幼児の身体、加えて少しの運動の後。となれば眠くなるのも無理はない。
「あら、おねむかしら?」
「🛏」
「んー…一人で寝かすのは少し怖いわねえ。あ、少しいいかしら?」
「😶」
イクトレがキョトンとして頷くと、失礼するわねと脇の下から持ち上げられる。そのまま赤子のように抱っこをされると、背中をぽんぽんされる。
「向こうではよくこうやってたのよ。結構な評判だったわね」
「んぅ……」
「あら、もうおねむになってきたのね。Have a nice time」
あっという間に安心感とその心臓の大きな鼓動に包まれ眠ってしまうイクトレ。その後トレセンでは赤子を抱えた大きなウマ娘の目撃事例が何件かあったとか。
そんな事もつゆ知らず、「Country rode〜 take me home〜」と子守唄を歌いながら中庭の芝の上に座ってイクトレを眠らせるオベトレだった。
おしまい