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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part151【TSトレ】
≫59シチトレ幻覚マン21/10/05(火) 16:51:41
駄文長文失礼します。
「_の唄」
ファインの告白から、私たちの生活は大きく・・・・変わることはなかった。
いつもと変わらずに、日々が流れていった。ただ、いつもと変わったところがあるとすれば・・・・
「ただいま。」「おかえり。」
彼女が、しばらくの間、私と共に生活しているということだった。今回の出来事に配慮したトレセンが、一時的にだがともに生活することを許してくれた。
それに伴ってか、彼女のスキンシップの数が増えた。家に帰れば必ずハグをし、共に同じベットで寝る。その他にも多数あるが、枚挙に暇がないので割愛する。
あまりにも増えたので、最初は一種の不安障害─ブランケット症候群のような─と思っていた。しかし、調べていくと、どうやらそうではないみたいで、私が離れても彼女の振る舞いに大きな変化は見られないことは、発信機からわかったことだった。
これらの行動の理由はよくわからないが、ただ一つ共通している点がある。それは、私の左腕に対してだった。彼女は毎回、私の左腕に接触する時、通常よりも強い力を込めていた。
一度もこの腕に不調が出ているわけではないことから、故意だろう。
だが、気づいてしまってはもう無視は出来ない。私らしくない好奇心に吸い寄せられ、私は、直接彼女に聞いてみることにした。
「ねぇ、ファイン。」「何?」
「最近、スキンシップが増えて、気になることが・・・・」
「左腕のこと?」・・・・察しが良すぎる。やはり意識してのものか。
「うん、まあそうなんだけど・・・・」「嫉妬だよ。」「へ?」
「だから、嫉妬。」本当に予想外の答えが返ってきた。
61シチトレ幻覚マン21/10/05(火) 16:52:07
「なんで・・・・?」「私、あの時、貴方に言ったように、貴女の役に立ちたいんだ。けど、今貴女にしてあげられることがそれしかない。」
「それも、私の力じゃなくて私の家の力。」「だから、その・・・・」
何だ、そういうことだったのか。それなら合点がいく。
けれど、それはそうとして私にとってはもう一つの疑問が深まるばかりだった。
何故、この子はそうまでして私の役に立ちたがるのか。
幾ら先日あのような告白があったからといって、氷解するような疑問ではない。
疑問が際限なく膨らみ、再度聞きこうとした時、彼女は口を開いた。
「おかしいでしょ?義腕に嫉妬なんて。 けどね、本気なんだ。」
「私を、染め上げて。あなたのものにして欲しいの。」
どうやら、その一言は彼女の核心で、私をくるわせるのに充分だった。
「それって・・・・どういう」「そのままの意味だよ。多分、今貴女が思っているのと同じ。」
「私、ずるくて仕方ないから、貴女に染められて、求められたいんだ。」
「貴女の左腕になって、貴女を私のものにしたいんだ。」
そういや、冷静に考えてみれば、私も彼女に干渉することが増えていたか。彼女が大人しく従っていたから気付かなかっただけで。知らぬ間に彼女を目で追って、ここまで頭の中を満たしている。なら、私も同じ穴のムジナか。
それなら、ふたりで浸る、この甘露な欲求は、一体どんな名前だったろうか。
以上です。ありがとうございます。
≫70二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 17:03:24
ある日。私が校門の前で一分程待っていると声が聞こえる。
「ルドルフー!待ったー!?」
そう可愛らしい軽自動車(値段をこの前調べたら全然可愛らしくはなかったが)に乗ったトレーナー君が声をかけてくる。
「トレーナー君。全然待ってないのだが……五分前だな、と」
「……まあ、渋滞してたら困るし早い方がいいかなー、って」
「だな。さてトレーナー君。本日の運転も任せた」
「はーい!」
そう言いながら、二人を乗せた軽自動車は走り出す。
────この後、ルドルフはエスコートされた。
≫73二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 17:04:40
ねえねえトレーナー!ドクターフィッシュだって!一緒に行ってみない?
「懐かしい響きだなー……よし、やるかテイオー」
にっしっし。そうこなくっちゃねー!
「(めっちゃくすぐったかった気がするけど大丈夫か……?)」
いくぞー……えいっ!わ、すぐ来た……わ、わ、わーっ!?なにこれー!?
あ、ふふふっ!あははは!くすぐったいぞよー!ねえトレー……ナー……?
「んっ……ふ、うぅっ……はぁ、はぁ、ぁんんっ」
ちょっとトレーナー!?口抑えたりして大丈夫!?顔真っ赤だよー!?
「はぁ、はぁ、だいぃっ、じょう、ぶぅ……だぞぉ……く、ふうぅ」
全然大丈夫に見えないよー!ほら拭くから足上げて!あっちで休憩するよ!
「ふーっ、ふーっ、ご、ごめんテイオー……ふぅ……」
「……」
「あれ?ルドルフ、どうかした?」
「……いや、何でもない。行こう、トレーナー君」
「んー?まあルドルフがいいならいいや」
≫88二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 17:21:04
グラトレとグラスのお出掛け
今日はトレーナーさんと日光の方までドライブと観光に行きます
ですので前日からトレーナーさんのお宅でお泊りをして日が登る前に出発です
「出発するけどグラスは忘れ物とか大丈夫?」
「トレーナーさんが大丈夫なら大丈夫ですよ〜」
そう言いながらシートベルトをしっかりと締めたのを指差喚呼で確認します……私は慣れてしまいましたが、トレーナーさんの運転は危ないですからね……
こうして全ての準備が整ったので、まだ暗い中目的地へと出発するのでした
案の定トレーナーさんと日光に辿り着いたのは昼前の事でした……
≫116二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 17:43:27
作者として書かぬは恥…
ということでクオリティ低いですがどうぞ
ある休日にて、私はファインを連れてショッピングモールに来ていた。
「トレーナーさん、どうですかこの服。」
「綺麗ねファイン、とっても素敵だよ」
「えへへ、良かった。これ買ってくるね」
そう言ってレジに向かう彼女を見つつ、私はふと考えた。
(あの服ならあの海岸がいいかな、今度連れていこう)
いつものように黒色のカードで支払う彼女を眺めつつ、私はどう撮ればいいか悩んでいた。
程なくして戻ってきた彼女に声を掛ける
「そろそろ昼食をとろうかな、ファインはどうしたい?」
「なら、最近出来た二階のラーメン屋でいいですか」「構わないよ、ならいこっか。」
二階のラーメン屋で、私達は次郎系ラーメンを食べていた。
「ん〜美味しい!」
「えぇ、程よい濃さとボリュームがあっていいね。」
「…トレーナーさん、あ~ん」
「!…ん、美味しいね。なら私からも。」
「んっ、美味しいです。」
「ふふっ、いい笑顔。来た甲斐があるかな。」
そして二人で平らげた後、会計でファインがカードを出そうとするのを止めて、私が支払った。
「良かったんですかトレーナーさん、私が支払ったのに」
「ううん、いいの。たまには支払わせてちょうだい。…私は大人だからね。」
「トレーナーさん…大好きです」
そういって腕に抱きつく彼女を腕ごと寄せて、
私達は久しぶりの買い物を楽しんだ。
≫157二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 18:15:35
では失礼して
小ネタ
キタトレとキタサン初めてのタンデム
久しぶりにバイクを持ち出した彼は目を輝かせるキタに聞いた。
「キタ、後ろ乗りたいか?」
「…うん!」
「そっか、なら掴まってくれ」
キタの手を引きバイクの後ろに乗せる、
高さ等を調節したシートに座らせ声を掛けた。
「いいか、走ってる時は俺の体を掴むんだ」
「分かった、こう?」ムニッ
育ちざかりの彼女の大きな乳が押し当てられる
キタトレはーーー
ーーー耐えた
以上です、低クオリティなssでした
≫169二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 18:31:40
ドクターフィッシュネタ テイトレとテイオー
「やだなぁ群がられたら…ひゃぁん!」
「ど、どうしたのトレーナー!?」
「ちょっ…ちょっとびっくりしただけだからっ…」
「本当?それならいいけど…」
「だぃ、大丈夫…ぅ…だから…」
どう見ても大丈夫じゃない。けれどトレーナーが言うならと様子を伺うことにしてみたけれどその間もずっと彼は悩ましげに声を出している。
「ふーっ…ふーっ…んぅ…あっ…!」
とうとう口を抑えて俯いてしまった。ぎゅうと強く抑えているのにも関わらず悩ましげに声は漏れ、時折びくりと身体を震わせている。
「んっく…うぅ…は、あっ…!」
「大丈夫!?トレーナー!」
もしかして気分が悪くなったのかもしれない。不安と緊張が占めた心で彼の肩を掴み無理矢理顔を覗き、どくんと心臓が跳ねた。
トレーナーの綺麗な瞳が潤み、頬が赤らみ、か弱げに肩を震わせてボクを見上げていたから。
「…テ、イオぉ…」
──ねだる様に、縋る様に呟いた溶ける様なその声に背筋が、震えた。
だめだ、駄目だ。これは、駄目だ。
「っ…!あ、上がろうトレーナー!」
「う…あっ…うん…」
反射的にトレーナーを支えてその場から立ち去るその間際、水面に写ったボクの顔は。
会長とよく似ていた。
「ってことがあってさー…反省」
「…テイオー?私だって傷付く時もあるんだよ?」
「だって本当に似てたんだもん!トレーナーに変なことしてる時の会長と!」
「トレーナー君!テイオーがルナのこといじめる!!」
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part152【TSトレ】
≫45二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 19:01:32
「サザエですよー」「サザエだぞー」
「いやお前いつ取ってきたんだそんなの」
「オグトレさんとちょっと潜ってきた」「楽しかったですよ」
「おーサザエかあ、食べよう食べよう!」
「まだ焼いてもいませんわよテイトレ」
「で、幾つくらいあるんだ」
「「…………」」(目をそらす料理人組)
「おい、何個とった!」
「ちょ、ちょっと楽しくなりすぎて、半分くらい戻してくるから……」
「半分でも20個残るってどういうことなんだこのアホは……」
≫51二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 19:05:12
「キタちゃん、オイル塗ってあげるね」
「わぁ、ありがとダイヤちゃん!」
チラッ
「それじゃ、私がオイル塗るからじっとしててね」
「ん、お願い」
「……」
「あれ?どうしたのダイヤちゃん」
「ごめんねキタちゃん、やっぱりキタトレさんにお願いしてくれる?」
「?うん、いいよー」
だめだどうやってもサトトレよりダイヤが掛かる
≫60二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 19:15:17
「トレーナー、オイル塗ってくれへん?」
「おお、いいぞ」ヌリヌリ
「……って何もないんかい!改めてみると綺麗な背中だな、とかあるやろ!」
「おい待てタマ、動くとオイルが塗れないぞ」
「やかましいわ!」
「トレーナーさ~ん、オイル塗ってくれませんか~?」
「わかった!」「うん、いいよ」
「姉さんは背中お願いしますね!」「了解です、足はお任せしますよ」
「あ、ふふふっ!くすぐったいです~!」
「トレーナー、私がオイルを塗るぞ」
「お、じゃあお願いしようかな」
「任せてくれ。タマに褒められたこともあるんだ」
「へえ、そうなんだ」
「ああ。お好み焼きにソースを……冗談だトレーナー。逃げないでくれ」
≫61二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 19:16:41
「ルドルフー!日焼け止め塗ってー!」
そう呼びかけてくるトレーナー君はある意味見馴れてしまったために掛かりにくくなってきた私がいることを自覚し、今日も己の未熟さや反省点を並べていく。多分明日には忘れてるだろうけれども。
「ああ。大丈夫だ」
「ありがとう、それじゃよろしくね」
といって、仰向けに寝るトレーナー君。私自ら育てた豊満なそれが形を変えているが、去年の私はこのくらいで掛かってたのかとふと気が付き悲しくなる。
そう思いつつ手に適量の日焼け止めを取り、それをトレーナー君の肌に丁寧に塗っていく。
途中、トレーナー君がやらしい声をあげるが無視する。今回は変な手をしてないぞ、ルナ嘘つかない(※ついてません)
そうして、塗り終わると
「ありがとう、前は自分で出来るかな」
とトレーナー君が起き上がろうとしたのを咄嗟にねじ伏せる。
「ひゃあっ!?」
「……私としたことが、まさか君のビキニのひもを縛り忘れるとは……」
「せめて、先に言ってよー……」
「すまない……なにか埋め合わせはするから許してくれ……」
「……じゃあ、夜ここで待ち合わせ、しよっか♡」
そう言いながら舌をちろりと出すトレーナー君。
……こんな悪女が産まれた件についてはルナわるくないもん。
────翌朝、艶々したルドトレと少し元気のないルドルフがいた。
≫73二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 19:20:55
サトトレと水着
サトノ家のプライベートビーチにて
「ねぇダイヤ…」
「何ですかトレーナーさん。」
「その…この水着恥ずかしい…」
フリル付きの上下で分かれたそれ。
ダイヤがチョイスしたこの水着だが、一言で言うなら
(露出がすごい…)
「大丈夫ですよトレーナーさん、ここはプライベートビーチです。誰かに見られたりはしません。」
「それでも…」
「悩んでちゃ駄目ですよ、さぁいきましょう」
僕の手を引いてダイヤはビーチに駆け出した。
ある程度遊んでから日傘の下で休む。
「たのしいなぁ…」
「ふふ、そうですねトレーナーさん」
「…えっと…その……」
「どうしました?」
「今日は…ありがとうダイヤ、久しぶりに海で遊べて…嬉しいから」
「…」
「だから…その…」
「…かわいい」
「ふえっ!?」
「トレーナーさんかわいい…食べちゃいたいくらいに」
「ま、待ってダイヤ、ここ外だから!」
「大丈夫ですよトレーナーさん、誰も見てませんから。それに…」
「トレーナーさんも期待してますよね?」
「あっ…」
「ではいただきますね」
ーーーうまぴょいうまぴょい
≫95二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 19:32:46
タマ「海やで!トレーナー!」
タマトレ「あー...タマ、俺は荷物の番してるからオグリ達と楽しんで来なさい」
タマ「なにを言っとんねん!せっかく水着買ったんやから!泳がな損やで!」
タマトレ「いや...だがな...」
タマ「ははぁん?トレーナー、水着が恥ずかしいんか?」
タマトレ「当たり前だ、男としてこのような格好は屈辱以外の何者でもない!」
タマ「何が男としてやねん!今は立派なウマ娘なんやから堪忍して水着にならんかい!おーい!そこの!トレーナーの服剥がすの手伝ってくれ!」
マクトレ「復讐ですわ!こないだの訓練の時は良くもですわ!」
ルドトレ「大丈夫ですよ!直ぐ慣れますから」
パラシン「何ですか?この透き通るような瑞々しい肌は!これで男は無理ですよ!大人しく剥かれてください!」
────────
タマトレ「恥ずい」👙
タマ「ように合っとるで!トレーナー!選んだかいがあったで!」
結局10分もしたら気にならなくなった
うまぴょいうまぴょい
≫121二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 19:47:55
ヨッ!トレーナー!このゴルシ様にオイル塗ってくれよ、このままじゃ日を浴びすぎてシャイニングゴルシちゃんに変わっちまう!
しっかたね〜な〜!良いぜ見せてやるよ、たこ焼きソース作って三千年の俺のハケ捌き!隅々まで塗ってやるぜぇ!
きゃっ!ゴルシちゃんも乙女なんだぞ? 優しくしてくれないと砂浜で犬神家だぞ?
任せなぁ!お姫様みたいに優しくこのドラム缶に投げ入れてやるよ!
何入れてんの? このドラム缶?
菜種油
ひゅ〜っ、カリッカリになるねえ〜 どうだいゴルシちゃんと混浴の権利あげるぜ?
や〜っだ♡ ダッシュ-
ははっ、待て待て〜♡ オイカケェ-
…………一応頑張ったんスッよ……ゴルシとゴルトレのエミュ
≫147二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 19:53:01
「兄さん!前のほう前のほう!」
「あー騙されちゃいけないドーベさん!左左!」
「どいつもこいつも嘘ついてますわ!上空に決まってますわ!」
「地中に埋まってるぞードベトレ!掘り返せ!」
「ああああああてめえらもうちょっと統一しろや!それにタイトレェ!地中にあるわけねえだろ!」「やっぱ騙せんかったか!」
「兄さん!私を信じて兄さん!」
「騙されるんじゃあないですわ!私の夜の牛肉がかかっているのですわ!」(ドーベルとマクトレのどっちの言うこと聞くか勝負)
「お前の指示聞く気一切なくなったわ!ええいここだあああああ」
スカッ ドテッ
「あああああだから上空にあるって言ったじゃありませんこと!」
「うわっマジで上にあった!誰だスイカを吊り下げたバカ野郎は!」
「俺だぁァァァァ!」
「一遍パンチ食らってみるかブラトレェェェェェ!」
「勘弁だぜぇぇぇぇい!」スタコラサッサー
≫163二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 20:02:36
こんにちは!かしこかわいいパラシンちゃんです!
今日は先輩方と海に来ました!見渡す限り美女ばかりです!信じられますか?これ半分は男なんですよ?
ワタシハシンジタクアリマセン
あっ!先輩!スイカ割りですか!私も混ぜてくアッ
ズルッ,ガッ,ズリ
イタタタ転んじゃいました(泣)その拍子に何か掴んで...布です...上を見上げると赤面してフリーズしてるボノトレさんが...(布とボノトレの胸を交互に見る
テヘッ☆
─────────
🕳今回は悲しい事故だと思うんですけど、温情とか無いんですか?
ボノトレ「無いよ」
終われ
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part153【TSトレ】
≫32二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 20:17:46
「フジさんフジさん、大丈夫ですか?」
「おやブラトレさんにルドトレさん、どうかしましたか?僕は健康そのものになってパーフェクトウマ娘ですよ?」
「はしゃぎすぎてだいぶ言動がおかしくなってらっしゃる。いやその、言いにくいけど…下のほうの紐がほどけかけてますよ」
「えっあっ!?」ガバッ
「……ちょっとその恥じらい方は破壊力がありますね…?」
「ルドトレもだいぶヤバい動き方することあるけどね」
「えっ……?」
「…………無自覚かぁぁぁ……」
≫41ガンギマリ頭スズトレ21/10/05(火) 20:19:11
「ふむ、聴力の限界の調査ですか。」
「うん。ウマ娘になってから私の耳、他の人よりも結構いいらしくて。」
なるほど…と、目の前のシャカトレが言う。
ウマ娘化してから身体面の変化として特に分かりやすかった私の聴力。今まではずっと具体的な調査をせずに放置していたけど、そろそろ調べたい。
そんな時にフクトレから聞いたのがウマ娘化現象を調べているというシャカトレの話だった。
「あくまで個体差程度だろうけどデータにはなるかな、と。」
「確かに、スズトレさんはマクトレさんほどではないですが担当ウマ娘に似ていますし、ウマ娘の身体になった事で五感の一つが飛び抜けてよくなった例も今のところ聞いていません。やってみる価値はあると思います。」
自身もまたウマ娘化現象に巻き込まれ、黒髪の小柄なウマ娘となった彼は冷静にそう分析する。
「…ありがとう!」
「いえ、こちらこそ私を選んでくれてありがとうございます。日時や場所は追って連絡しますね。」
「うん、分かった。あ、あとこれ差し入れ代わりに作ってきたプリン、シャカールと一緒に食べて。」
そう言いながらプリンの入った箱をシャカトレに手渡し、部屋を後にした。
「今日は来てくださってありがとうございます。」
「いえ、頼んだのはこちらなので。」
スズトレが礼をする。
ここはシャカトレの知人の研究所にある防音室、より精密な調査をするにはこちらの意図しない音は遮断する必要があるため事情を話し用意してもらった。
シャカトレも一連の流れを説明し終えれば退出し、別室から指示を出すつもりである。
42ガンギマリ頭スズトレ21/10/05(火) 20:20:11
「とりあえず今日は3つほど、実験を行う予定です。
まず音階や音量を変えた音を出し、それを聞き取れるかどうか。
続いて無音から少しずつ音量を大きくし、どこから聞き取れるか。
最後に、大量の音を流し、そこから指定された音を聞き分けられるかどうか。」
最初ので大まかな限界を、次で音量の限界を、最後ので音の聞き分けの限界を調べる。
もちろんスズトレが反対することはなく、準備は整った。別室に移動し、順に音を出してスズトレの反応を待つ作業を繰り返す。
「…全部聞こえる、と…」
音を流す度にすぐに付く"聞こえた"というサインのランプを見て呟く。予め自分で行った時は聞こえなかった音を3つほど混ぜたのだが、それでも問題なく聞き取れるようだ。
「…とりあえずこれで最初の実験は終わりです。次行ってもよろしいでしょうか?よければスイッチを押してください。」
ランプが点る。なら早速やってしまおう、と2回目用の音を入れる。
これで無音からほんの少しずつ音量が上がっていく。そして、聞こえると確信してできたタイミングでスイッチを押し、ランプを点してもらう。あとはシャカトレがその時のタイムを記録し、他のデータと比べるだけだ。
「…6.4秒…早い。」
タイマーを止めてシャカトレは呟く。
確か平均が10秒、高い聴力を持つウマ娘でも8秒前後にまとまっていることが多い。
それを1秒半近く早く聞き取れるスズトレの聴力は極めて高い。イレギュラーレベルと言っていいレベルだ。
「これで2つ目も完了です。最後の実験に移るのでOKであればスイッチを押してください。」
即座にランプが点る。スズトレもやる気は十分のようだ。
「では次の実験では具体的な話を聞くのでマイクONにしてください。今からレース場を模した立体音響を再生します。そこで歓声以外に聞き取れた事があれば内容を教えてください。」
分かりました、とマイク越しにスズトレが返答。それを聞き届けてから立体音響のスイッチを入れる。
43ガンギマリ頭スズトレ21/10/05(火) 20:21:03
『…ファンファーレが聞こえますね。』
まずはひとつ、いちばん簡単なものだ。
『泣いている声。感動泣きでしょうか?』
二つ目、これも泣き声が比較的大きく設定されておりわかりやすい。
『遠くから屋台の声も聞こえてきます。』
三つ目、少し難しいけど彼女にとっては楽勝だろう。
『あとは…レースを終えたウマ娘達の足音、でしょうか?』
四つ目、最後にして1番難しいものだが、やはりこれもスズトレの耳には届いているようだ。
「…はい、それで全────」
シャカトレがそう告げようとした時だった。
『多分すでにゴールインした娘が私も含めて12人、今も走ってるのが6人…?あ、今全員ゴールした。あ、あと今誰か物落としたかな…?』
「…スズトレさん、それで全部です。今そちらに向かうので待っててください。」
『うん、分かった。』
シャカトレは頭の中で伝える内容を軽くまとめ、防音室へと戻る。
「スズトレさんの聴覚は「耳がいい」のレベルを超えた規格外です。」
小さなテラスに案内され、2人が座った後にシャカトレさんはそう言った。
「特に物音を聞き分ける事に優れているようです。最後の実験を覚えていますか?」
「ええ、歓声以外を聞き分けるやつでしょ?」
「あの実験でスズトレさんはウマ娘の足音を数まで具体的に聞き取っていました。さらには物を落としたという音まで。
あの歓声の中、そこまで詳しく音を聞き分けられるウマ娘は滅多にいません。」
特に、物を落としたという音は今まで確認されていなかった第五の音だ、とシャカトレが言う。
確かにホントに微かに聞こえただけだったけれど、そこまで小さい音だったのか…と少し驚く。
「…ちなみに私だけこんなにいい理由って分かったりは…?」
44ガンギマリ頭スズトレ21/10/05(火) 20:21:26
「スズトレさんが持つサイレンススズカ以外の因子が影響してるかと。マクトレさんとテイトレさんは分かりますね?」
「2人とも親交はあるから分かるよ。」
「マクトレさんはメジロマックイーンの因子が強く出ているのが明らかですが、それでもスリーサイズや流星など差異が存在する。そしてテイトレさんの因子はシンボリルドルフとオグリキャップと2つが確定しています。マクトレさんがメジロマックイーンと微妙に異なるのはもうひとつの因子の影響でしょう。」
ほえぇー…という言葉しか出てこない。確かにスリーサイズはともかく流星がマクトレに入ってるのはなんでなんだろうと考えていたけど、そういう事だったんだ…
…まさか?
「…私のスズカ以外の因子が、って事?」
「はい、芦毛で卓越して耳がよかったウマ娘がどこかにいてその因子を色濃く受け継いだ結果、スズトレさんの聴覚は高い能力を有する事になった。僕はそう考えます、個人差と考えるには優れすぎてますので。」
「なるほどぉ…納得…」
というかここまで順序立てて説明されたら納得しかできない。さすがシャカトレ、説得力の鬼。
私の反応を一通り見た後、再びシャカトレが口を開く。
「一応他の可能性も追求するので必要があればまた連絡しますが、とりあえず今日できることはここまでですね。」
「分かった。ホントにありがとう。」
「いえいえ、身体検査も受けてくれましたし助かりました。…あと前のプリン、とても美味しかったです。」
「ならよかった…また作ってこようか?」
「お願いします。…今度はスズトレさんやサイレンススズカも加えて4人で食べましょう。」
「了解!」
そんなささやかな約束を交わし、その日は互いに笑顔で別れた2人だった。
≫65二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 20:30:34
『祝詞』
その日、マベトレは資料室にいた。
小さな身体を必死に伸ばし上段にある本を取ろうと必死になっていた。
「競技場における芝の生育の違い」という本に手をかかり取れたと思い手を緩めたとき勢いよく棚板に手をぶつけた。
本棚に並べてあった本たちがガラガラと音を立て崩れ落ちる。
本雪崩の下敷きになったマベトレはなんとか脱出するとやってしまったという顔をする。
その後、脚立を別の場所から持ってきて、散らばってしまった本の片付けを始めた。
目当ての本達を床に置き、粗方片付けを終えたとき、一冊の古びた冊子を見つけた。
糸で紡がれたその本は色はくすんでおり、表題は年月のせいかほとんどかすれている。
ふとした興味で中身をパラパラとめくる、中身も字がかすれたように読めないものだった。
ところが、ある1ページだけかすれも字体の違いもなく読めた部分があった。
そこには筆文字でこう書かれていた。
1/3
66二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 20:30:54
黎明と黄昏は反転し、白陽は黒陰に
陰る朝日、晴らる夕日、月に恋し、日に別れを
原野を駆けりしに者に祝宴を
造土を駆けりしに者に祝盃を
淵源たる神は悠久たる憧憬を獲たり
其の宿願を以て凡てを吾に差出したる
夜の帳が下り深淵が汝を包容す
朝の小鳥は黙し黎光は汝を拒絶す
其の瞳に魂を授け
其の魂に瞳を宿す
奇跡を以て総ての"ウマ娘"に加護と祝福と栄光を―――
2/3
68二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 20:31:14
マベトレは怪訝な顔で、それを見終える。
見たことのない言葉の羅列、まるで何かの呪文か、あるいは祝詞のような一文
しかし、どこかでそれを聞いたことがあるような……と記憶の糸をたどり始めた瞬間、
マベトレは突然強烈な寒気とともに、誰かの視線を感じた。
資料室に、誰か入ってきたのかと後ろを振り向くが誰もおらず、廊下側を覗いても誰もいなかった。
ウマ娘の聴覚のおかげか忍び足で隠れたことや、急いでどこかへ逃げたということもないこともわかった。
ならば外かと思い小さな体を窓枠に乗せ、外を見るとそこには正門とそこから続く長い道が見えた。
普段はベンチや脇の草むらで数人のウマ娘たちが談笑してるのだが、今はウマっ子一人いない。
気味が悪くなったマベトレは古びた冊子を本棚に戻し、目当ての本を抱え資料室を後にした。
――――正門で微笑む三女神に見守られながら
3/3
≫133二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 20:52:00
「海かぁ〜」
「BBQのお時間ですわ!」
「まだ真昼間だろ夕方まで待てよ」
「流石に冗談ですわ…」
「兄貴オレが止めないと高確率でほんとにやり出すだろ」
「そんなことありませんわ、常に渦巻くわたくしの中の思いの殆どは内に留めていますわ」
「留めてない部分をほとんどやってるって言ってんだよ…」
「アハ!」
「やめろ…てかなんだその袋」
「わたくしが今から使うものですわ」カンカン
「未開封の缶みたいな音するけど!?」
「お気になさらず。というかあなたさっさと泳ぎに行きませんの?背中隠すために競泳水着にしたのは分かりますがそれ着るなら少しくらい泳いでは?」
「なんだよその理論…いや泳ぐけどさ。ま、そろそろ行くか。兄貴酒飲んでから海入ったりするなよ?」
「そんなの常識でしょう」
「それならいーんだが。さて準備う」
「スキありですわ!」
「ひゃっ!?」
「あはは!いい音がなりましたわ!水着の上からでも敏感とか目の前の海に失礼ですわ!」
「クソ兄貴ィィ!」
「ここは逃げの一手ですわ〜」
「あれなに?」
「理不尽とアホですわ」
「どっちがどっちで…うお…」
≫
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part154【TSトレ】
≫16二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 21:14:47
「つまりのう、ちょいと面倒事を頼みたいのじゃ」
そう言って、我が恩師ダイタクヘリオス女史のトレーナーはゆるりと頭を下げた。
トレセン学園が興る前、教育というのは暴力が普通に存在し、課程に組み込まれていた。
それを決して行わず、のびのびと。弟子やウマ娘の成長を言葉や振る舞いで促す教え。これを広めたのが目の前の御大である。
昔は「女子供に頭を下げる、軟弱なフジモト一門」などと嘯かれていたものが、今ではトレセン学園流として中央のスタンダードになっていることを考えるとその功績は推して知るべしといったところだろう。
直弟子たる私こと、テイエムオペラオーのトレーナーに、その恩師の頼みを断る文句はない。
「ただ、本当に面倒事だと思いますので、きちんと御説明頂けますか」
「わかっとるわい。煙に撒くのが趣味のジジイと思ってくれるな」
げんなりと眉を垂らす恩師の姿に、思わず嬉しく笑みが溢れる。
本音を晒してくださるということは、私も少しは成長しているようだ。
17二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 21:15:32
「ははぁ。マスコミ対策ですか」
「左様。どうにも最近は、奇異の目で見られている気がしてのう」
依頼の内容はこうだ。
昨今トレセン学園を賑わす集団ウマ娘化事件。
それを嗅ぎ付けたマスメディアがウマ娘化トレーナー達の生活、ひいては担当ウマ娘の活躍を脚引きしないよう、マスメディアにつけた首輪を嵌め直してこい。
なかなかどうして無茶振りだが、確かに必要性は高いだろうと得心がいく。
「儂が表に出ても、どうにも格好がつかなくなってしまったからのう。同窓会に出るとメイヂちゃん、メイヂちゃんと涙を流されるほどモテモテなんじゃが」
「奥さんの人気で頂戴する涙の味はどうです」
「あまりのしょっぱさに思わず医者を呼んだわ」
ダハハと笑う、元年寄りのトレーナーがふたり。
しかし、確かに今迄は老翁の一喝でマスメディアも気を引き締めていたのだが、最近はどうにも浮ついた空気がある。
ではどう対策するべきか。それを考えるべく、私は首に提げたパイプへ手を伸ばした。
18二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 21:16:38
「成程。それでお声掛け頂けたのは、僕にとっても本当に嬉しいことです」
「これでも私は、貴方の評価を相応に高く見ているのですよ」
後日、私は個人執務室へサクラバクシンオーのトレーナーさんをお招きしていた。
蛇の道は蛇。元は同門であり、今はこちら側であれば考えも異なってくるだろうと思ってのことだ。
「無断で入られぬよう、ある程度制御下に置きたい。ですので、バクトレさんの御知恵を拝借したいのです」
「そうですね……」
パラパラと女史が手帳を捲る様を、私はちらりと盗み見る。
悪質報道社に要注意記者。見応えのある名前が羅列されており、私は即座にそれを頭に叩き込んだ。
バクトレ女史は糸目の奥でいくらかの勘案をした後、真摯な表情で私と向き合う。
「記者の本分と致しましては、隠すより表す方が被害も薄く、制御もしやすいかと」
「ほほう」
「彼らも餌がなければあちらこちらを啄きますが、餌が豊富なら雛のように口を開ければよいだけです。勿論、フンの片付けはあるでしょうが……」
他にもバクトレ女史はSNSをはじめとした、情報伝播に際するリスクなどを私へ語ってくれた。
実に真摯な表情であり、とても他者の情報を食い物にできる方ではないだろう。
安心を抱くと同時に、悪意ヘの対策に、もう二、三は策を練らねばならないと確信を抱いた。
19二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 21:17:23
「えっと……ネット広報、ですかっ?」
「そうとも。新しい知識は、若い子から仕入れたく思ってね」
そう言って私が茶を勧めたのは、ダイタクヘリオス女史のサブトレーナーである。
ウマ娘化したトレーナーの中でも新卒の若手であり、SNSなどの情報文化をトレーニングに取り入れているのも彼女だ。
以前は私もオペラオーの相方と掛け持ちでサブトレーナーを務めていた為、私も弟弟子のように可愛がっている。
「そういうことでしたら……やっぱり昨今は、ウマトックやウマッターから情報を仕入れるマスコミさんも多いですねっ」
「ほうほう。やはり記者から取材を持ちかけられるのかな」
「いえっ、面白い動画や呟きの転載許可を取る為にDMを送るんですっ。あまり信用はされていませんが……」
「それはそうだ。丁寧な仕事とは言えないだろうね」
およそ若手の野良仕事であろう仕草は、上層部がインターネットの情報を重要視していないということだ。
飛ばし記事を書く分には検索できる情報で充分だが、名記事は足で稼がねばならない、ということだろう。
「あの、お役に立てたでしょうか……っ?」
「勿論。とても助かったよ」
ターゲット層を頭の中で考えつつ、さてどう広めるのが一番戸口を開けられるかを考える。
入られやすく、制御しやすい……もう少し情報の扱いに詳しい者からも意見を聞くべきだろうと、私は手帳の連絡先に目を通した。
20二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 21:18:22
「なるほどぉ……それでお兄ちゃんは、私に声をかけてくれたんだねっ?」
「それはそうなのだが、四十路のおじんを捕まえて兄呼ばわりは流石にどうなんだね」
「カレトレちゃんはみんなの妹なので!」
そういっておどけるのはカレンチャン女史のトレーナーだ。
如何なる事情あってか「カレンチャンの妹」を自称するこの元男性トレーナーは、カレンチャン女史に鍛え上げられたSNS運用技術を遺憾なく発揮していると評判である。
にしても些か無理がある、という言葉をぐっと堪えて、私は彼女の話に耳を傾けた。
「うーん……でも、ちょっと勿体ないよね」
「勿体ない?」
「そう。SNSを使うのは大事な広報になってきているけど、それって新聞が無意味になった訳じゃないから」
確かに、と私は肯く。
拭く紙になる、という話ではなく、新聞・テレビニュースもSNSで寄せられるものと同じ、目撃情報という一次情報を抽出し広報する二次情報源だ。
しかも匿名性の保持されるSNSと違い、記者という社会的立場と責任が保証される。彼らの発信する情報は、ある程度信用できると証明し得るのだ。
それ故の慢心で信用を失ったという事情こそあれ、その地位がそのまま崩落するのは、確かに勿体ない。
「SNSから記者さんを引き込むのは難しいから、溝ができるばっかりになっちゃうよ。みんなお姉ちゃんのカワイイを知って、幸せになれればいいのにね」
「……成程。中々の金言だ」
失言でその姉直々にイジられるカレトレ女史を捨て置き、頭の中で算盤を弾く。
難しいが、なんとかやってみせよう。
21二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 21:19:04
「それで、信頼を担保にした公開取材ツアーですか」
「ええ。私達は取材にお越しになる記者の皆様とトレーナー・ウマ娘の交流を配信し、皆様は我々の試みを深く取材する。一挙両得の旅路です」
月刊トゥインクルの記者、乙名史悦子女史の言葉に、私は頷きながら報道陣に説明する。
これは所謂、信頼の再生法である。
記者達が我々を報道し、我々が記者達を報道する。絶対的な評価が放送を見守る観客に委ねられることで、我々はお互いに誠実なやり取りを心掛けねばならなくなるのだ。
苦境に立たされた昨今の記者達には少し歯がゆい思いだろうが、誠実な対応を心掛ければ社会的評価を取り戻せるのだ。悪い話ばかりではあるまい。
「確かに、我々記者の活動を知らせる、というのは盲点でした。医者の不養生のような気分です」
「今は情報が溢れているようで、本当の内面を包み隠された時代ですからね。相応の努力が必要ということでしょう」
今回は乙名史女史の他、信用の置ける報道陣を集めている。
初回の成功に釣られたどじょう掬いが失敗すれば、どのようにすれば信用を得られるか記者も学び直すことだろう。
すべては積み重ねによって成るのだ。成功も失敗も、存分に糧としてもらおう。
22二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 21:20:15
「緻密なお心遣い、感服致しました……!
それにしても、まだ年若いにも関わらず素晴らしい先見の明ですが、どのようにお考えになられたのですか?」
「いや、何。簡単な話です」
とても若者とはいえない我が身を褒められ、私は苦笑交じりに振り返る。
「頼まれごととは、相手を慮ってはじめて成功するものですから」
私は世紀末覇王の黒子なのだ。
丹念な思いやりという分野において、私の右に出るものは覇王以外に置く気がないのである。
うまぴょいうまぴょい
作者コメント:久し振りにオペトレが活躍しましたわ
え、オペトレの活躍も一週間前?
おほほ御冗談を……。
基本的にオペトレはこのように準備をして、無茶振りを実現可能な範囲に持ち込むエキスパートですわ。
所謂ダストレの完全上位互換なので目立たなさに拍車がかかっていますわ。
寧ろ目立たないことを誇ってすらいますわねこのおじん。
メディア関係に強いトレーナーも幾人かいらっしゃるので、こうしてシナリオフックにすると捗りますわね。
以上ですわ。
たのしかったですわ! たのしかったですわ!
≫39二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 21:26:14
「なんかさー最近ブラトレさん、アタシのトレーナーさんと距離近くなーい?」
「おっとどうしたネイチャ、そんなに拗ねちゃってまあ」
「拗ねてないし……トレーナーさんが楽しそうなのは邪魔したくないしー……」
「でも一緒にいたいんだろー?ほれほれ、今日は海なんだから自由に過ごしなさいよ、イカ焼き二つあげるから」
「なんで二つ?」
「一緒に食べな、おいしいイカ焼きは一緒に食べるともっとおいしくなるぞ」
「んー…分かった、ありがと」
「……あっこれブライアンの分だった。また買ってこよ」
「思いっきりが良すぎるのも考え物だぁ……」
≫110二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 21:49:59
こんにちは!新人トレーナーです!
昨日は結局2人に断られただけでしたね…
でもここまで来たら諦めずにやるしかありません!頑張るぞ私!
そしてすぐにウマ娘を発見しました…が
(なんだろうあのサングラス………)ま、まぁこれくらいならまだ大丈夫です。すっかり慣れました。それよりも気になるのがウエストが細過ぎません…?身長は私と同じくらいなのに服の上から見た感じあれは5cm以上細いのでは…ってまた話が逸れそうになってる!スカウトスカウト!
よし、行こう!
「す、すみません!」
ビクゥ!「……俺に何か用ですか?」
「あっビックリさせちゃってすみません…私こういう者でして…(名刺渡し)」
「なるほど新人さんでしたか…はじめまして」
「それでですね…担当ウマ娘のスカウトを行っておりまして…よろしければ今お話し大丈夫でしょうか?」
「………すみません、俺トレーナーなんです…(名刺渡し)」
「……………分かりました、はい。申し訳ありませんでした…」
「いえこちらこそややこしい体になっちゃって…」
なんか最近普通に断られるだけならマシなんじゃないかと思ってしまう私がいます…だいぶ末期では…
112二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 21:50:52
「では私はこれで…って…ん?」
「え?」
その時私達が見たのはとんでもない勢いで走って来るゾンビでした…遂に幻覚が見えるほど疲れたのか私…って!?
「おーーーい!!!!マルゼンさんのトレーナーさーん!!!!!」(ハロウィンでゴルシ仕込みのゾンビ化粧をしたチケゾー)
「き゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ゾ゛ン゛ビ゛だ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!!」
「!?!?!?」
「ええええええええ!?!?どこにゾンビがいるのおおお!?!?!?」(自分のコスをど忘れ)
「!?!?!!?!?」
「こ゛わ゛い゛よ゛お゛お゛お゛!!!まるぜんしゅきーと゛こ゛ぉ゛!!!う゛え゛ぇ゛ぇ゛ん゛!!!」
「ト゛レ゛ー゛ナ゛ー゛さ゛ん゛な゛か゛な゛い゛で゛よ゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!」
「」バタリ
「「あ゛」」
そして私が保健室で目覚めた時には1日が終わっていたのでした…耳潰れる…
2人はまた泣きながら謝罪してくれました…耳潰れる…
夜は焼肉でも食べて元気出そ…
明日は…明日こそは成功させてみせる!
≫141マルゼンスキーと並走21/10/05(火) 22:00:18
同じくウマ娘になったトレーナー達と話してて思うことがある。みんな結構走りたがりなのだ。ブラトレや、スズトレ、テイトレが顕著な気がする。テイトレに至ってはそれに抵抗する為大怪我をしたほどの、ウマ娘としての衝動、心のうちから湧き上がる本能。それが俺には無い。人だった頃より足が速いのは確かに楽しい。でも走りたいとはならない。以前の3200m走でもなんか幻覚が見える位は頑張ったが、それはトレーナーとして催し物を頑張っただけでウマ娘としての本能は関係ない。
「マルゼンスキー」
「どうしたの?」
水分補給をしているマルゼンスキーに寄って行き、クーラーボックスにタブレットと上着を脱いで畳んでおく。ちょっと試してみたかった。だって性欲でムラムラ我慢してるのはまぁわかるが性欲が全くないはやばい感じがするではないか。それはウマ娘化した身としてはだいぶ不健全という危機感を感じた。
「ちょっと隣走ってみていいか?マルゼンスキーはそのまま練習続けてていいから」
「ええ、いいわよ。さ、レディ、ゴー!」
革靴を履いている、と言うのもあるがスタートは出遅れるしすぐさまマルゼンスキーに置いていかれる。頑張って追いかけようとした時、バチリ、と足で火花が散ったような気がした。手を振るマルゼンスキーに笑顔で手を振りかえしながら、トレーニングの邪魔にならないよう脇にそれて、クーラーボックス脇に戻ってきて倒れ込む。火花が散った気はしたが違和感はない。足に異常があるようには感じられなかった。空は遠く青く、青い芝はひんやりとしていて少し熱った体に涼をもたらしていた。心地よくて眠くなる────。
142マルゼンスキーと並走21/10/05(火) 22:00:45
ふと、気がつくと、芝生の上を走っていた。先ほどのへなちょこな走りではない。しっかりと大地を踏み締め、突き進む正しくウマ娘の走り方。ああ、こんなふうに走れるなら、ウマ娘がみんな走るのが大好きなのも頷け────。
ガキン、と足の方から金属が破裂でもしたような音が全身に響いた。線のようになっていた視界が急に地面に向け運動を変え、叩きつけられたと思えば、放り出されるような感覚とともに体の自由が戻った。痛みはない。振り向けば、そこに居たのはマルゼンスキーだ。助け起こして抑えを見れば、膝の骨が折れている。本業でないし目測だが、最低でも三ヶ月以上は完治にかかる大怪我だ。"皐月賞は無理だろう"と、なぜか理解できた。そうして走れないと言う絶望が、抱えたマルゼンスキーが崩れ自分に流れ込んでくる。きたる有マ記念、待ち受けるはアマノガール、スターレイス、ジェーンアサシンの古バ三強。マルゼンスキーは四番人気。しかし、マルゼンスキーは走れなくなった。足が曲がらない。動かせば激痛がもたらされる。
ウマ娘にとっての不治の病。屈腱炎。走ることが楽しいマルゼンスキーにとって、死刑宣告にも等しい。それに被るように、誰かわからないもう一人、ライバルとともに屈腱炎を発症し走れなくなった、姿もわからない朧げなウマ娘。二人の悲しみが、俺の頬をつたって溢れ出す。夜の帳が下りるように、あたりが暗くなる。
走りたい。走りたい。走りたい。
もっと、もっともっともっと、走りたかった。まるで足に縋りつかれるような錯覚を覚える中、突然歓声が響き渡り、暗闇が砕け散った。
景色が一変する。そこにいるのは、マルゼンスキーだ。
「トレーナー君!ピース!楽しかったわよ!!」
朝日杯を勝った時のマルゼンスキー。
皐月賞を勝った時のマルゼンスキー。
ダービーを勝った時のマルゼンスキー。
菊花賞を勝った時のマルゼンスキー。
有マ記念を勝った時のマルゼンスキー。
『トレーナーちゃん!ありがとう!!私、とっても楽しく走ることができてるの!!チョベリグよ〜〜!!』
"ああ、あんなに楽しそうに走ってくれているなら────私の走りたい気持ちは、要らない。私が、私の夢を叶えてくれているから"
気がついて振り向けば、光の先へ歩いていく、マルゼンスキーと誰かが、優しくこちらに振り向いた気がした。
143マルゼンスキーと並走21/10/05(火) 22:01:20
目が覚める。空は少し赤みを増していた。かざりと音がして顔を横に向ける。
「ふふ、おはようトレーナーちゃん♪」
「……悪いマルゼンスキー、どれくらい寝てた?」
隣の芝でマルゼンスキーも寝転がってこちらを眺めていた。
「ほんの一時間くらいよ。休憩がてら私もトレーナーちゃんのシエスタにご同伴〜てね」
「ふふ、ありがとう。マルゼンスキー」
「どういしまして、じゃ、残りのメニューもやっちゃいましょう!」
「ウッドチップ、目に入らないように気をつけてな」
「お任せ!」
マルゼンスキーが楽しそうに駆けていく。起き上がって芝を払って、上着を着ながらその様子を眺める。走りたいという本能と衝動は今も変わらずない。マルゼンスキーは元から走るのが大好きで、楽しそうだった。俺の本能と衝動は、今も昔も、俺がウマ娘になってからずっと、マルゼンスキーと一緒に楽しく並走しているのだろう。
おしまい
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part155【TSトレ】
≫107二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 22:43:08
きっと天罰なんだ。
身の程をわきまえず、うすっぺらな覚悟を謳った私に神様が罰を与えたんだと思った。
……光の向こう、朧げな何かが首を振る幻影が見える。それは知らん、関係ない、本当に大丈夫ですか?と。……いいんです偽らなくても。この地獄の苦しみの中にあっては神さまの罪すら些細なものと赦せてしまう。
……下腹を鈍く刺激し続けている痛痒感が生きてきた中で一番辛い。いくら自分で慰めてもまるで疼きは治まらない。甘ったるい全身の倦怠感も日に日に強くなっていく。昨日からはシャワーのお湯が肌を流れる感覚に、明確に痺れるような胸の高鳴りを覚えるようになった。……こんなのはもう暴力だ。
……事態の全容を教えてくれたブラトレさん、ありがとうございます。とても話しづらい情報だったろうに、それでも慎重に慎重に言葉を選んでくれたこと、感謝します。……それでも、私にはあの子を巻き込めなかった。あろうことか自分の力を過信した。……でも今こうして頼ろうとしている。己の意気地のなさにまた涙が出てくる。
……頭に浮かぶのは流行りのイケメン俳優ではなく、昔夢中になっていた男性アイドルでもなく、あの子との思い出。
卑屈に肩をすくめてみせて、揶揄われては怒って、涙でその目を潤ませて、はにかみ照れて、二人して腹を抱えて大笑いして……ダメな私を包んでくれた、小さな愛しい子。……涙で思い出がにじんでいく。私が見てきた色んなあの子が脳内を駆け巡って、それがさらに身体を苛むのに、とても抑えられない。
トレーナーとしての再起を誓ったあの日。あの日を忘れてしまったのかと、おのれを叱咤する気力だけは残ってるのに。
もうすでに呼んでしまった。そしてきっと来てくれるだろう。私のために。……洗い直した枕を燃えるように熱い涙がまた濡らしていく。でも顔を流れるそれに身体は震えてしまって……ああ。
私はもう戻れないのかもしれない。
108二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 22:43:22
────────────────────────────────
振り返ればトレーナーさんがおかしかったのは週の初めからだったと思う。
月曜日。挨拶をしたとき、耳も尻尾も逆立てて悲鳴を上げて驚いていた。そんな大声じゃなかったのに。
火曜日。ツッコミが鈍かった。ネイチャポイントが史上初めて減ってしまった。
水曜日。久しぶりのタイム短縮だったのに、ハイタッチを避けられた。まだまだいけるよ!と言われれば納得するしかなかった。
木曜日。トレーナー室で一人息を切らしているのを見た。誤魔化してたけど、あの時声をかければよかったのかな。
金曜日。トレーナーさんが午後から仕事を休んだ。「ちょっと風邪みたい。移したくないからね、ごめん!」と電話越しで明るく返してしてくれた。
土曜日。一緒に買い物にいく約束はダメになった。「こじらせてるのかも。ごめんね……」と申し訳なさそうにしていた。
……そして今日は日曜日。
【たすけてへやにきて】
朝早くに届いたトレーナーさんからのメッセージによって、あたしはトレーナーさんが住むマンションにやってきていた。
109二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 22:43:34
呼び出しのベルを鳴らすとトレーナーさんからの反応はなく、ただオートロックのドアが自動で開いた。不気味に思ったけど、そのまま進んでエレベーターに乗って、目標階を目指す。
……以前住んでいたアパートはウマ娘になってからしばらくしたのちに引き払ってしまったらしい。学園の補助もあって大きなトラブルはなかったとトレーナーさんは言うし、事実なかったんだと思う。それでも、トレーナーさんはそういう生活の肝心な部分でも、変わることを余儀なくされていた。
エレベーターはトレーナーさんの部屋のある階で動きを止めた。
エレベーターを降りてすぐ、トレーナーさんが教えてくれた部屋の前であたしは一度だけ深呼吸をした。
扉を挟んだ部屋のさらに向こう側には、見知った川べりがある。
……あの河原の草むらで倒れていたトレーナーさんを思い出す。
生気はなく、音もなく、静かに消えていく途中にあったトレーナーさんを見つけられたこと、声を荒げずにいられたことは多分ファインプレーだった。
……だからあれだね、助けてって言えるだけマシになったんじゃないの?未だに何起きてるかわかんないけどね!そんなわけでナイスネイチャ探検隊はその謎を解き明かすべく!トレーナーさんの部屋に以下省ー略!!(ピンポーン)
……なしのつぶてってやつ?折角テンション上げたのにそりゃないよ。
「トレーナーさーん?あなたのナイスネイチャが来ましたよー、なんて……」
やっぱり返事がない。反応が期待できないのにおどけるんじゃなかったと後悔した。
……ふとドアノブに手をかけて押してみる。玄関ドアはあっさりと開いた。……ねぇ、防犯意識って知ってる?
ざわざわし続ける内心をよそに私は部屋に入る。
「失礼しまーす。拙者ナイスネイチャ侍ー、義により助太刀に──」
早速寝室と目される部屋からアタックしたあたしは少しばかり言葉を失った。
トレーナーさんの、といえばそうなんだけど、それをギュッとしたような強い匂い。
泣きはらした顔、横に流れた涙跡。
規則正しく胸を上下にさせている呼吸は、でもそれだけに集中しているようで。
何より、トレーナーさんがベッドの上で赤いキャミソール姿のまま横たわっているのが異様だった。
110二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 22:43:51
「……ごめんねネイチャ。こんな格好で」
何でもないような振りをしてトレーナーさんは応じる。いやほんと、そんな恰好とは。
「先に言うね。119も、110も、いらない」
言葉を区切りながら念を押してくる。もう119まで入力は済んでたから本当に危なかった。
「……トレーナーさんの言葉を信じるし、それでいいんなら通報しないけど。もはや普通じゃないところを探す方が難しいレベルだよ?」
「……そうかな」
「そうだよどう見ても」
見るとトレーナーさんは両手で強く握りこぶしを作っている。しかも震えている。
「もしかして、どこか痛いの?我慢してる?」
「……」
返事がない。ただのえっちな美人のようだ。
……おかしい。あたしは緊急の救助要請を受けてここに来たはずなのに、なんでこんなじっくり待ちの姿勢をしなきゃダメなんだろ。
「……スマホ」
長い沈黙のあと、唐突にトレーナーさんが口を開いた。消え入りそうな声が続く。
「ブラトレさんとの、メッセ」
あたしは承認解除をしてもらったトレーナーさんのスマホを確認させてもらった。
……かくかくしかじかなるほどそういう?
「……つまり、お腹撫でれば解決しそうなの?」
すごーく遠回しな文章が続くけど、意味はそのように読み取れる。そして見るからに敏感になったらしいトレーナーさんは、その大役をあたしに任せようとしてくれてるらしい。こいつは光栄……なのかね?
あたしの質問に小さくうなづくトレーナーさん。よっしゃやったね!!……でもなんか、ちょっとだけおかしい。
「スパッと元気になった方がいいじゃん。なんで今まで黙ってたの?」
「……ネイチャに、そんなの、カッコ悪い……っ」
「……む??」
トレーナーさんは涙をこらえながら、何やら拗ねたような回答を返してきた。
111二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 22:44:01
「いやいや。みっともないところなら前にもたくさん見てきたし今更だよ」
「それだけじゃない」
フォローになってないフォローにツッコミが入るよりも先に、トレーナーさんが続けた。
「ずっと、月曜から我慢してた」
「うん。今から考えるとそうだと思う」
「……我慢してたかった」
まぁ、滅茶苦茶恥ずかしいだろうしそこの気持ちはわかる。
「他の人はしっかりしてて、だからあたしも絶対ちゃんとしなきゃって」
……情報量が多い。他の人と、なんて?
「でもネイチャにだけは……だめ。やっぱり、ネイチャ……」
そう言いながらトレーナーさんは少しずつ、でも苦しそうに身を丸めていく。
「助けて……見ないで……」
嗚咽が聞こえる。顔は見えないのに、悔し涙だっていうのがなぜか伝わってきた。
……多分だけど、トレーナーさんは周りのトレーナーさんたちと自分を比べちゃって、それでそんな必要ないのに、必要以上に頑張っちゃった。……掛かっちゃったんだ。それであたしには……カッコつけたかった??助けてほしいのに??……なるほど??
あたしはトレーナーさんの顔が見えるように回り込んでベッドの縁に座った。そしてなるべく優しい声色で話しかけた。
「……トレーナーさん」
「……」
「……意地っ張り」「うぅぅっ」
「独り善がり」「あぁぁっっ」
「結局失敗しちゃう凡人」
あたしの言葉のナイフの連撃にすっかり打ちのめされるトレーナーさん。うん、ちょっとだけスッキリした。
……でも、今言ったの全部あたしのことなんだ。ずっと抱えてきた、今も抱えてるあたしの悪い部分なんだ。
ごめんね。きっと一緒にいすぎてあたしが移っちゃったんだ。知らないうちに色々分け合ってたんだ。
だから、今ぐちゃぐちゃになってるトレーナーさんに対してあたしは。トレーナーさんがずっとあたしにそうしてくれたように。誤魔化したりとかおどけたりとかじゃなくて。あたしの心をちゃんとぶつけなきゃいけないんだって分かった。
「……あたしね、トレーナーさんにそんなに期待してないんだ」
「……」
ハラハラとまた涙を流し始めてる。まったく、涙だけなら他のだれよりも流せてるよ、多分。
112二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 22:44:11
「強い覚悟とかいらない。見上げた根性もいらない。意地を貫き通すとかもうぜーんぜんいらない」
「そんなの、やだ……」
「そうだね。覚悟しなきゃってトレーナーさん言ってたしね。でもなくていいよ」
「……」
「いつまで経ってもヘロヘロなトロフィーしか作れないようなトレーナーさん。笑わせようとして、シチーさんとあたしにすごい変顔見せちゃうようなトレーナーさん。あたしのトレーナーさんなんてさ、そんなんでいいんだよ」
「でも」
「そんなんじゃなきゃやだよ」
「……」
「……別にさ、どれだけカッコよくなってもいいよ?誰より強くなってもいいし。誰より速くなってもいいし。クレオパトラなんか目じゃない美人になっても……いいよ。あたしが許したげる」
「……」
「でも中身がトレーナーさんじゃなきゃやだ」
「……」
「何よりあたしを見てくれるトレーナーさんじゃなきゃやだ」
いつのまにか解けていた握りこぶしに指を絡める。ビクリと身体が震えたみたいだけど、最後まで伝えたい。
「……ね?他の誰かじゃなくて、あたしを見て」
ふるふると揺れる長いまつ毛を、艶やかな黒い瞳をしばらく見ながら。あたしは静かにトレーナーさんと唇を重ねた。
唇と唇が触れるだけのチープなキス。……ちょっと向きが合わなかったかも。少しずれてる。
少ししてから離れると過去最高に赤くなっているトレーナーさんが目の前にいた。過去最高に綺麗でかわいい。
「……背伸びしないでよねトレーナーさん。あたしの方が背低いんだからさ」
「……いいこと言うね。顔は真っ赤だけど」
「じ、自分の顔見てから言ってくんないかなー!」
力なく、でも優しそうに笑うトレーナーさんから少しだけ緊張と震えが解けたのを感じた。
「……ま、お互い様だよね」
早速リベンジをした。多分、今度は完璧。
113二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 22:44:23
「……ネイチャ、やっぱりはずかしい」
「……大丈夫。ほら」
まだまだ往生際の悪いトレーナーさんの手を握ったまま自分の胸に当てさせる。正直恥ずかしいけど、今は抱きしめてやれないんだから仕方がない。……今更だけど、恥ずかしい。
「……ネイチャ、冷静?」
「トレーナーさんは……ふふ、早い、早いって」
早鐘をうつっていうのかな、手首から脈を診ると驚くほど速い。対してあたしは冷静らしい。
「あたしも弱いんだよ?今の状況、全然受け入れらんなくて、どこか夢のように思っている」
「……そうなんだ」
「うん。……だから、いつもよりちょっとだけ強いよ」
「え?や!待ってっ」
トレーナーさんのおへそよりもう少しだけ下のところに手を当てる。手のすぐ下でビクビクと震えているものがあるのがはっきりと分かる。
「待ってっ、いきなり、こわい、こわいっ」
期待してる顔じゃない、本当におびえてる顔だった。白い髪を振り乱しながらいやいやと懇願するトレーナーさん。縋るような目をしても、今回ばかりは止まってあげない。
「手をしっかり握って。ちゃんとここにいるから」
「ホントにっ?ホントにっ?」
「うん。……大好きだよ。トレーナーさん」
少し押し込むように下へ撫ぜる。
「んっ!!っっっ!!ーーーーーーーー~~~~~~~~っっ!!!」
そのたった一撫でで、溜まり切っていたそれをせき止めていたダムは、一気に崩壊したらしかった。
……艶めかしいというか…………とにかくすごい声だった。
呆けて上気した顔の口の端にうすく涎が垂れていて……それでも綺麗なんだからこの人はずるい。
「……肩で息をしてるところ悪いけどさ」
「…………なに……?」
「……まだ止まってないみたいだから……それがなくなるまで続けるね?」
ごめんねトレーナーさん。そして、色々とがんばれ。夢の中のあたし。
114二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 22:44:33
「……なっっっっっっがい夢だったなぁー……」
そんな現実逃避をしながらトレーナーさんの部屋を出ると、すでに空は赤くなっていた。カラスも鳴いてる。もう夕暮れじゃん。
……あれから腕をさすって、お腹をいっぱいさすって、耳をこねくり回して……。そのたびにトレーナーさんは声を上げて跳ねていた。……えっちだった。 てか何が「ちょっとだけ強いよ」だ。どこかに入れるぐらいちょうどいい穴は落ちてないの?
堤防沿いの道を帰りながら、今日のトレーナーさんを振り返ってしまう。
明日からどんな顔して会えばいいんだろう……10回や20回じゃきかない勢いだったなぁ、あれが大人か……母乳絞ったときのようになんで胸触らなかったんだろ……帰るときにはちゃんと立って動けるようになってたけど、大丈夫だったかな……帰らされるの、嫌がった方がよかったかな……というか、本当に私でよかったのかな……でも私を選んでくれたんだよな……。
部屋にいたときよりもずっと、あたしの心のドキドキが膨れていくのがわかる。だからか、あたしは自然と川の方へむけて歩き始めた。なるべく人に見つからないように、今にも爆発する気持ちを吐き出してもいいように。
115二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 22:44:45
「……大好き」
言っちゃった。トレーナーさんに言っちゃった。勢いだけで言っちゃった。
次第に走りながら、笑いながら、夕陽のせいで滲んできた涙といっしょに、思わずトレーナーさんに伝えてしまった心の声がどんどんこぼれてくる。
「……大好き。大好き」
「……大好き!!大好き!!!」
「……大好きぃぃぃーーーーーー~~~~~~~ぃぃぃぃいいっっっ!!!!!!」
最後は息の続く限りのやけくそだった。
──私もーー!!
……どこか高いところから応える声がした。でもそれに顔を向けることなく私は一目散に寮へと走った。
……だって、恥ずかしいし。滅茶苦茶恥ずかしいし。誰が言ったかなんて分かるし。もう見なくたって分かるし。……賭けたっていい。本気だよ。
トレーナーさんは絶対、あたしの大好きな笑顔で叫んでたよ。
(終)
≫143二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 22:57:39
最後にスッキリ後日談
■袖の下
「無事回復しました」ペコリ
「はいトレーナーさん。リハビリは必要ですか?」
「必要ありません!見ての通り、服着て学園に来れました!」
「子供か!うん、でもよかった……下着でやってきたら泣くわ」
「それは私も泣くかも」
「耳も……大丈夫そうだね」ツンツン
「ちょっとくすぐったいけどね。それでね、実は斯様な袖の下が」
「なんだなんだー?今回は本当に大変だったし、期待しちゃうよ?」
「今回は手作りトロフィーとかじゃなくて、既製品の……」
「既製品の?」
「こちらになります」
カマキリライオンドラゴンぬいぐるみ「ヤァ」
※出典:127スレ58
145二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 22:57:58
「か!」
「……か?」
「カ ワ イ イ !!」
「……よかった」
「なにこれ~!なになに、『カマキリライオンドラゴン』?あははっ!なんでカマキリなんだお前~?」
「朝に購買寄ったらお詫び?の少数限定販売しててね。きっと好きだろうと思ったの」
「さっすがトレーナーさん!いやーいい面してるよこの子~。お、真正面から見たら意外とブサカワ系か?いいぞいいぞ~!」
「テレルゼ」
「……」
「……ええ!?なんで泣いてんの!?」
「笑ってるネイチャが傍にいて嬉しいぃ……」
「うえぇぇ!?わかったわかった!ずっとそばにいてあげるから!いーっぱい笑ってあげるから!」
「ありがとぉ……ありがとぉー……」
「だぁーーーもう!!情緒不安定か!!」
情緒と涙腺が安定するまでさらに二日かかったとさ。
うまぴょいうまぴょい
≫160二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 23:02:50
ほいならいきます
私、サクラチヨノオーはトレーナー室で拍子抜けしていた
というのも、先日自分のトレーナーさんがウマ娘になったと聞かされていたからだ
さぞや混乱しているだろうなと心配していたのだが
「という訳でウマ娘になってしまいましたが、これからもよろしくお願いします」
ウマ娘化して初めての顔合わせでの第一声がこれである
確かにトレーナーのウマ娘化事例は増えてきている
トレーナーさんも同じウマ娘になった他の方々に話を聞いてもいるらしい
何というか、反応が淡白というか
もうちょっと困惑したりしても良いのではないだろうか?
何時までも後ろを向いてはいられないというのが本人の弁だが、それ以上の含みがあるように聞こえるのだ
それをトレーナーに問うと、今後試せることが増えると理由を話してくれた
「私がウマ娘であれば、チヨノオーさんのトレーニングを同じ目線で考えられるんです」
曰く、人とウマ娘は別個の生き物であり、どうしても認識のずれは生まれてしまうのだという
しかし、同じウマ娘ならば、データだけではなく疲労など言葉にしずらい感覚も理解できる
すなわち、自分のデータを参考にトレーニングを組み立てられるのだ―――
そう嬉しそうに話す彼(彼女?)を見ていると、一抹の不安がよぎるのだ
以前から、トレーナーさんは担当ウマ娘のことを重視する一方、自分の事はおざなりにしている傾向がある
ウマ娘や他の人間には病的なまでに無茶をすることを止めるのにだ
今回もデータ収集と称して自分の体を酷使してぶっ倒れはしないかとひやひやしている
それに、今だって―――
161二次元好きの匿名さん21/10/05(火) 23:03:12
「…何ですかその服装は」
「何って、ジャージですが…」
身の丈に合わないダボダボのジャージを着て私の前に姿をさらしている
以前から服装に関して意識が向いていないと思っていたがこれほどとは…
「トレーナーさん、今度お洋服を買いに行きましょう!私もつきあうので」
「でも、トレーニングが」
「でももだってもないです!!」
「アッハイ」
この調子だと先も思いやられるな
私は思わずため息をついた