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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part706【TSトレ】
≫27二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 15:04:03
「なあ…、女の子ってみんなこういう、その…」
「いや侘助さん、普段使いのやつとかそれ以外のやつとか色々あるからね」
「じゃあ姉貴は今何つけてんだよ?教えてくれ」
「……」
「?」
「……えっち」
「……え、えっち!!?今えっちなの俺!!?」
「はあ……。そういうのセクハラだからね侘助さん。デリカシーがないとドーベルちゃんにも嫌われちゃうよ〜?」
「いやごめん!!!ほんっとにごめん!!」
「これ、ドーベルちゃんに話したらどうなるかな〜?」
「あわわ……!!ま、間違いなく口聞いてくれなくなる……!!な、なんでもする!!なんでもするから!!あとそのことは俺から言うから!!姉貴が言うとややこしくなるからぁ!!!」
「そ、れ、じゃ、これ着けて。侘助さん」
「」
「なんでもするって約束でしょう?」
「っ……////」
「ほらほら早くしないと〜」
「ぜったい、お、おぼえてろよ……!!」
こんな感じですか
≫89二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 19:29:29
「パチ!おいパチ!返事しろよ!」
「黒か…無事でよかった…」
腹から血を流すパチは、黒のその手を握る。その力は余りにも弱くて。脆くて。
「なんで…なんでぇ…」
「小も…よかった…」
必死に傷を塞ごうと、裂傷を押さえる小。しかしそれは止まらず、まるで砂時計のように溢れていく。
「い、今治療を…」
「待って…くれ。俺は…もう助からない…。だから…俺が足止めするから…小を担いで…逃げろ…」
小の手を優しく退かせ、二人を震える腕で抱きしめる。
「小…お前は…自分がやったこと…ちゃんと償えよ…」
「や…嫌…いかないで…」
「黒…こいつと…タマを頼むぞ…」
「そんな…じゃあパチは…」
二人を離すと、震える脚で必死に立ち上がり、強がるように笑う。
「こん中で一番しっかりしてんのは俺だからよぉ…ここで意地張らないでどうすんだよ…?ほれ…走れ、振り返るな」
最後に彼はポッケから何かを二人に託すように押し付ける。
「……ッッ!小、いくぞ」
「いや!!嫌だ!!」
暴れる小を担ぎ、涙を強引に拭って黒は走り出す。
「ふう…これでもう邪魔は無くなったな…こうでもしねえと行ってくれねえからな」
腹から血糊の入った破けた袋を取り出し、捨てる。傷は実際は無く、二人を逃すためだ。
「やっと、一対一だな」
「そうですね〜。さあ、コレを、受け入れてもらいますよ…」
薙刀を構えるグラトレ。ポケットからコンバットナイフとパチンコ玉を取り出し、構えるパチ。
「行きますよ…」
「おう…さあ、俺とやろうや!!」
その華を散らすように、地を蹴り弾丸のように飛び出すパチ。
仲間を守るため、加速する世界の中で最後の礼を告げる。
そうして彼の最後の闘いは今、始まるのだった。
≫112二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 22:19:30
桃太郎
こうして、ブルトレ(猿役)を仲間にした桃太郎一行。
尚も川下に向かって歩いていくと……
「おや~?」
「お嬢……」
「……役のようになろうという努力を感じますね、私達なんてほぼそのままなのに……」
(仕方がないんじゃないかなぁ……衣装類置かれてなかったし)
そこにいたのは、緑色の帽子をかぶってなんとなく雉に扮したウオシスでした。
「桃太郎さん桃太郎さん、お腰につけたカマライゴンボール、1つ私に下さいな」
そう言いながら尻尾を振るウオシスに、思わず三人の頬が緩みつつもグラトレは本筋に戻る。
「わかりました。これを受け取れば最後、鬼ヶ島まで来てもらうことになります。それでもいいのですね?」
「はい!勿論です!」
「……なんだか、俺達よりすんなりいったな」
「まあ、桃太郎には沿ってますし……」
こうして、お供を揃えた桃太郎一行は、途中何故か突然増えたセイトレを連れて、ケツ上(今度はシュモクザメに頬張られていた)に乗って鬼ヶ島へと辿り着きました。
113二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 22:21:08
「なんというか……随分長い旅でしたね~」
「ああ……だが、鬼を倒せばこの旅も終わる……」
「少し寂しいですね……」
「怖いけど……頑張りましょう!」
「ところで、何故呼ばれたんです……?」
(さあ……)
そんな話をしていると、鬼達が近づいてきました。
「何故こういう役回りなのかしら……まあ、頼まれたからにはやるけれども……」
「ぐるるるるるー!で、いいのかな?フウに聞いておけばよかったかも……」
「……あの、帰っていいですか?」
「……これは」
「……ボウズ、大丈夫かこれ」
そこに居たのは虎柄ビキニのキタトレ、フウトレ、シビトレ。どうやって集めたのかは至極単純に魔ルドが連れてきたのだろう。
兎に角、グラトレと船のケツ上、そして武器の黒タマ、あとウオシスとセイトレ、ブルトレとは決定的な差がそこに存在した。
ギムレットは冷めた目で見たが、ウオトレはダウンした。
「……後で脚本は腹を切らせます。皆、かかりましょう」
「応!」
「はい!」
「ふぁいっ!」
「ルドトレ……コロス……」
「待ってくれ黒カフェさん脚本は私じゃな」
こうして、尊い黒ルドがケツ上に襲い掛かられる不憫な事故がありつつも、鬼を容赦なく襲い、セイブルコンボからのブルトレパンチを飛ばし、柵折を喰らわせ、ウオシスが応援し、ケツ上が黒タマを振り回し蹂躙する死闘が始まった。
そうして、尊い黒ルド(最初にケツ上に殴られてノックアウト、そのまま魔ルドの膝枕で寝かされ、二日の休暇とルドルフとのショッピングの予定を得た)の犠牲の果てに鬼を打ち取った桃太郎一行は、無事農作物やら賠償金を手に入れ、被害者に分配したのちおじいさんおばあさんと楽しく暮らしましたとさ。
うまぴょいうまぴょい
≫119◇あいむたいやーど22/03/11(金) 22:39:47
『助けてネイチャ。来て』
まさかまさかの二回目じゃなかろうな……? とアタシが思うのも無理はないと思う。実際今週のトレーナーさんはかなりお疲れの様子だった。とくに昨日と今日。
……いや、マジに二回目じゃないよね???
シラナイシラナイと細かく首を振りまくってるカマライゴンを横目に、トレーナー室で待ってるというから来てみれば。そこにはソファに沈んでいるトレーナーさんがいた。すっかり定位置感ありますね。
「つかれた」
うん……とりあえず赤いネグリジェで寝っ転がってなくてひと安心です。でもスーツのまんま横になるのもどうかと思いますよ、シワになっちゃうんで。
「さんがつはね……いろんな、いろんなしごとがあるの……ちかれた」
聞いちゃいないっていうね? いや、まだ向こうのしゃべるターンだった感じかなこりゃ。ふとゴミ箱に目を向けると、ロイヤルでグリーンなドリンクと甘ーいカップケーキの残骸たち。……さては極悪コンボ覚えましたね?
「ネイチャーーー……つかれたよぉぉーー〜〜ぉ〜〜〜…………」
うーむ、恐ろしくへたっている。他所のトレーナーさんに比べて情けないところが表に出やすい人だけど、人並みにいいカッコしいなとこもあるだけにこれ程クタクタでヘロヘロなのはかなりレアだ。……いやまあ見覚えがないでもないですが。
まあ、こういう弱みを曝け出してくれる辺りにちょいとした安心感を覚えちゃうわけで。よしよしと頭を撫でながら白い髪を手で梳いてあげる。はー。相変わらず指通りのいい髪だこと。
「なでて……ほめて……」
ん、褒めてつかわそう。なんたってトレーナーさんはえらい。そりゃもうえらいです。アタシのために、あとアタシ以外のためにも今週も一週間よーくお仕事頑張りました。……ア、アタシでできることならなんだってしてあげますよー、なーんて……。
「ネイチャが作ってくれたチャーハンが食べたいぃぃ……」
即答ですか。……そんなんでいいんならいつでも、いくらでも作ってあげますよ。んじゃ、早速行ってきますね。
……あの、服の袖つまむのやめてくれません?パパッと作って戻ってくるんで。ちょっと、トレーナーさん? ……おーい笑ってないで離しなさいってー。
(終)
≫128二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 22:53:41
「「「「「「「…」」」」」」」
机を挟みトランプを手に持つキタサン、ダイヤ、ファインの三人。その後ろには彼女らの担当トレーナーの姿もあった。
さて、彼女らが今やっているのはポーカー、賭け金…ではなく賭けてるのは一口サイズのチョコレートである。
───ただし、一つ最低百円以上はする高級品ではあるが。ちなみにギャンブルだがお金ではないのでセーフと保証されていた。
「でも、ダイヤちゃん強いね〜。ここまでギャンブルに適性があるなんて、私知らなかったよ!」
「ダイヤちゃんは昔からこういうことに強かったんですファインさん!」
「えへへ、そこまででもないですファインさん。」
一方で、それを見守る大人達ことトレーナー組はファイトレ男がサトトレに小さく聞いていた。
「えっ、彼女ギャンブラーなの?」
「あー…、まあ…うん。そうなんだよ…」
「はぇ〜…」
いつもとは若干違う反応を見せるサトトレに、ファイ男は怪しみながらも一応納得する。しかし、ここで投入される爆弾。
「…あ、この賭けですけど…私、持ってるの全部賭けちゃいますね!後、今持ってるお金の分のチョコも追加で!」
「「「「「「!?」」」」」」
ダイヤを除く全員がピシッと硬直して顔を向ける。何を言ってるのだこのジンクスブレイカーは。
そしてそのトレーナーことサトトレは視線を横にそらしながらいつもの彼女らしいと再確認しつつ、いくつかのチョコを手渡した()
「…私、ダイヤちゃんのこと見誤ってたかもしれない。本物のギャンブラーだよ貴方…!なら、その敬意を称して私も全賭けするね!」
ナチュラルクレイジーダイヤモンドの所業に乗っかっちゃうのはラーメン大好きファインさま。ここで全BETを迷わず選択。
つよつよパワー系お姫様の遠慮なしのチョコ追加に、お祭り娘も思わずドン引きである。
…さて、それを見ていたトレーナー陣はといえば、ファイ女がたらたらと冷や汗を流して天を仰ぎ、ファイ男は頭を抱えた。
サトトレは視線がどこか彼方の方を向いており、キタトレはそんな三人にいつもなら中々見せない困惑の表情が見え隠れする。
129二次元好きの匿名さん22/03/11(金) 22:54:09
「…ちょっと、これ大丈夫かしら貴方達の担当…いくらなんでもリスキーすぎない?」
「私が聞きたいよキタトレ…」
「殿下って、あの担当トレーナーをモルモット呼びする科学者娘の薬を当然のように飲み干すタイプだから…」
「…最近僕のお嬢様もノータイムで飲み干して髪色が真っ白になったりしてたなぁ…。まあ、なんとかなるでしょ…多分、きっと…」
トレーナー達がそうやって話しあいながら互いに苦心しているのを余所に、キタサンは考えこんでいた。
「なんで二人共当然のように賭けてるの!?」
(ど、どうしよう…二人共全部賭けるなんておかしいことだろうけど、もしかして私も賭けた方がいいの…?)
「大丈夫だよキタちゃん。ギャンブルの一番は賭けられる物は全部賭けることだよ?」
「そうそう、こういうことは一気にいかないとね!」
「うぅ〜!分かった!私も全部出すよ!!!」
まあ、結局駄目だった。キタトレは乗ったこの場におけるツッコミ役を見ながらため息を一つ。そして…
「「「…はい!」」」
───結局、勝者だけでは多かったので負けた二人にもチョコを渡して皆で食べることになったらしい。
短文失礼しました
入ってくるイベとかの情報から思いついたファイキタサトでギャンブル。サトちゃんが掟破り系天然狂人だなんて…しゅき!!!
ファイサトとかいう天然入りのやべーお嬢様(お姫様)。キタちゃんが順調にツッコミ胃痛枠へと成長してる…
≫175流石に誤字がな……22/03/12(土) 10:50:29
「…………なあボノトレ、カレトレ。戦闘能力ってどう思う?」
「どうした急にって思う」
「なに、マヤノお姉ちゃんのパパお兄ちゃん関係……?」
「回りくどいなその言い方……。いやさ、なんかこう……トレーニング中にテロリストが来ても撃退出来るくらいの強さがほしいなって……」
「それマヤトレが言うとなんか中学生並みの妄想の一言で済ませられなくなるから止めてくれない?」
「というかそれはトレーナーがどうこうする問題かなぁ……」
「まあ今のは冗談としても、担当ウマ娘を守れるくらいの強さは欲しいなぁって」
「あー…………」
「うん…………」
「なにその反応…………。まあ急場にどうこうっていうのは難しいだろうけど」
「ボーノを守れるくらいかぁ……」
「お姉ちゃんと今は身体能力も同じ……。技術を学べばなんとか……?」
「…………ごめん」
「まあ、ボクらはともかく有事の手札は多い方がいいんじゃない?」
「いくら剣道部員だの柔道部員だのがいたところで、暴漢を生徒に投げる教師はいないもんね。まあ私達は……適切な対処が出来るように勤めた方がいいんじゃないかなって」
「そうだなぁ…………」
このあとボノトレとカレトレは無事聞き付けたパパノトップガンに拉致られるマヤトレを笑顔で見送っていましたとさ
そしてお兄ちゃんはカレンチャンが合気道有段者なのにまだ気付いていない
うまぴょいうまぴょい
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part707【TSトレ】
≫72二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 20:49:57
Fake unlimited impact
『阪神芝2000m。GⅢ毎日杯の日がやってまいりました。前日の雨もあってか重バ場の発表となっております。さて、今回注目のウマ娘は…』
『やはりオグリキャップでしょう。ここまで無敗、すでに何度も重賞で結果を出していますからね。実力、距離、コンディション、何をとっても問題ありません。文句なしの圧倒的一番人気です』
『次点で気になるのはヤエノムテキですね。今日が初重賞となる彼女ですが、ここまでの二戦はどちらも後続に大差をつけて勝利しています。好走が期待できるでしょう。オグリキャップ相手にどれだけ食い下がれるか注目したいですね』
『私個人としては ― も気になる所です。先日行われたメイクデビューで見せた走りは記憶に新しい方も多いのではないでしょうか。全くの無名だった彼女ですが、間をほとんど開けずにこの毎日杯にも乗り込んできました。今日の走りで、彼女の真の実力も判明するでしょう。いい走りを期待したいですね』
『なるほど。ありがとうございます。各ウマ娘、ゲートインが完了しました。出走はもう間もなくです』
『芦毛の怪物がその実力を示すのか!はたまた怪物を超えるのは無敵の挑戦者か、無名の刺客か!』
『さあ、スタートですっ!』
73二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 20:50:41
時はヤエノムテキのトレーナーがメイクデビューに出る前に遡る―
「―ってことなんだが。…ええと、どう思う?」
「どう思うも何も、突拍子のない話が続きすぎて理解が追い付かないといいますか…」
「だよなぁ。正直俺も、こうなるだろうっていう感覚でしかないからな…」
「仮に、今話してくれたことを信じるとして…。そこまで逸る理由は一体何ですか?」
「…」
「貴方の走りに対する思いの強さは知っています。でもそれは、何かを犠牲にしてまで手にしなくてはいけないものなのですか。もっと身体を大切にするべきではないのですか?」
「…まあその通りなんだけどさ。理由なんて俺の我儘以上の何でもないから。でも、俺が走るのはいつかじゃダメなんだ。一人じゃダメなんだ。今じゃないと、俺に走ることの本当の意味を教えてくれた、他でもないヤエと一緒じゃないと、ダメなんだ。せっかく来たこの可能性を俺は逃したくない。後悔だけは、したく、ないんだ」
「…一つ、約束できますか」
「絶対に守る」
「では、必ず戻ってくると、約束してください。何も起こらず杞憂に終わればそれで良し。もしあなたの身に何かが起こったとしても、絶対に、私の所に、帰ってきてください」
「ああ、もちろんだ。ヤエを一人残すなんてことは絶対にしない」
「なんたって俺は、ヤエノムテキのトレーナーだからな!」
74二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 20:51:26
奇策も例外もなく、レースはいたって普通に進行している。
逃げの作戦を取った2人のウマ娘がペースを作り、そこから少し後方に私は位置取る。
オグリさんはそのさらに後方。唯一予想外だったのはトレーナーが私よりも前に位置取ったことだろうか。
視界に入らなくともオグリさんの気配は恐ろしいほど強い。少しでも油断をすれば一瞬で差し切られ、追いすがることも許されない。そんな獲物を狩る怪物がすぐ後ろで気を窺がっている。私は自分がいつでも抜け出せる位置を必死で維持しながら、オグリさんを好きにさせないよう警戒を続けるしかない。
少し前にはトレーナーがいる。同じウマ娘として一緒に、同じレースという場で。
当たり前のことではあるが、やはり不思議な感覚だ。
トレーナー。貴方は今、何を考えて走っているのですか。
今しか見ることのできない景色があると、トレーナーは言った。
今しかたどり着けない場所があると、トレーナーは言った。
隣に私がいないと意味がないと、そう言い切った。
そしてそれは、未来を犠牲にしてまでする価値があるのだと。
曇りが晴れたあとのその迷いなき後ろ姿は、私にとっても少しだけ眩しい。
最終コーナーが近づいてくる。先団の動きに大きな変化はなく、私自身の位置も問題ない。あとは逃げている二人が失速したタイミングを見計らってスパートをかけ仕掛ける。そこからが勝負だ。後は実力と気力で先頭を獲るだけ。
そのはずだった。
75二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 20:52:03
急に前を走っていたトレーナーが失速する。否、失速するというレベルを超えている。あれはほぼ立ち止まったに等しい。あっという間に遥か後方へと沈んでいく。スタミナ切れ?いやそんな素振りは全くなかった。そもそもトレーナーの実力は私が一番よく知っている。この程度で崩れるような鍛錬を私たちは積んでいない。では何故?何が起きている?
瞬間、本能が悟った。このままではまずい、と。確信は無かったが、その感覚を信じた。
常策のままでは飲まれる。そう察するのと同時に昨日のトレーナーの言葉を思い出す。あれはきっと、こういう意味だ。ならばあとはこの己の感覚を信じるしかない。
「…行くしかありませんッ!」
普段よりも早い段階でのスパート。自信のスタミナを無視した無茶な加速は諸刃の剣だ。だが、この時だけは、ヤエノムテキのその判断は間違っていなかった。
奇策はあったのだ。
「…鶴瓶縄井桁を断ち、雨垂れ石を穿つ。例え紛い物の力だとしても、鍛錬を積んだこの脚に乗り越えられぬ障害無し。この勝負、獲らせてもらうッ!」
レースは最終局面へと向かう。
76二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 20:52:37
毎日杯を迎える数日前―
「やっぱり気になるか?オグリキャップ」
「ええ、そうですね。オグリさんの実力は同世代でも頭一つ抜けている。それは認めざるを得ない事実です。純粋な実力勝負は私には分が悪い。何か対策を練らないと…」
「…対策なら考えるだけ無駄だと思うぞ」
「それは、何故?」
「オグリキャップの実力をよく知ってるなら分かるんじゃないか。対策くらいで勝てるような優しい相手じゃないから怪物なんだ。意にも介さず打ち破ってくるだろうさ。だったら自分の走りと作戦を信じた方が勝率は高い。それに、ヤエの走りだってオグリキャップには負けてない」
「そう、でしょうか…?」
「ああ。俺が言うんだから信じろ。俺は誰よりもヤエノムテキの走りを見てきて、それに惚れて、憧れたんだ。だから、もっと自分を信じろ。そうすればきっと自ずと勝ちは見える。それに…」
「…?」
「毎日杯は俺も走るだろ?もしどうしていいか分からなくなったら俺を見ろ。俺を見て、俺を追い越すようにして走れ。もちろん手加減もわざと抜かされてやるようなこともしてやらないが。でもきっと、ヤエはオグリキャップには負けない。俺たちの鍛錬を信じろって!」
77二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 20:53:23
とあるウマ娘は特定の条件下でより一層強い力を発揮することができる。
ある人はそれを『固有』と。またある人はそれを『領域』と。そんな呼び方がされることもある。
では、ヤエノムテキのトレーナーにとって、そのトリガーは。
それは静止にも見間違えられるほどの力強い踏み込みだった。
順位が下がった彼女の視界には追い越すべき者が増える。すなわち、自身を『追い越した者たち』の姿だ。
彼女が力を発揮するのはそのまさに瞬間。自身が追い抜かれた時、そして自身が追い越した時。理論上そのほぼ最大値が引き出される状況が、今まさに作り出されている。
だがそれはあくまでも理論上での話。そんなことをすれば間違いなく先に脚が負荷に耐え切れずに壊れるはずなのだが。それを彼女は耐えきっている。
なれば達人の一閃が如き鋭さで、彼女は瞬く間に先頭へと躍り出た。
78二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 20:54:00
「ッ!?」
「いつも差し切る側故、仕掛けられるのは慣れていなさそうだな、オグリキャップ!ここは俺が貰うぞッ!」
ヤエノムテキのトレーナーが踏み込んだ時にレースは動いた。いち早く察知したヤエノムテキは作戦を変更、早めのスパートをかけ最前列へ立つことで彼女の条件外へ逃れることに成功し、一度は抜き去られたオグリキャップもまたヤエノムテキのトレーナーに追従するように加速を始め、不意を突かれ開いた差を縮めていく。勝負はこの三人の競り合いとなった。
「くっ…!」
トレーナーの奇策でオグリさんのペースは少し揺さぶられている。それでも崩れず追従してくるあたり怪物の名は誇張なんかじゃない。今はまだこちらに優位があるがそれもいつなくなるか分からない!特に最後の200m、オグリさんはそこでさらに加速してくる傾向がある!これ以上詰めさせるわけにはいかないッ!
「ハァ、ハァ…!」
未来をかけてこの場に挑んだ。その上で、これだけの全身全霊をかけても振り切れない相手がいる。勝ちたい。それは疑いようのない本心。でもこの状況が何よりも楽しい。ライバルとの競い合い。意思と意思がぶつかり合う場。この感覚が、痛みも限界も忘れるほどに心地いい。
ああ。この時間がずっと続けばいいのに。
ゴールは目前。三人の位置にほぼ差はない。
「―負けないッ!」
「上等ッ!ついてこれるか!」
「超えて見せます!絶対にッ!」
それはまるで三人だけの世界。
勢いを増し続け、三人はほぼ同時にゴールへとなだれ込んだ。
79二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 20:54:31
傷を痛がって投げ出す程度の思いじゃない。
今を全霊で行きたいよ。未完成な私で。
胸を張っていこう。これが選びたい進化論。
「…か…っ…た…」
ぼやけていく視界でも見える。電光掲示板に光る自分の番号が。
感情や思考が浮かんでくるよりも前に、意識が薄れていく。
もう全身に力は残されていなかった。崩れるようにして俺は倒れる。
「トレーナーっ!大丈夫ですかっ!?」
咄嗟に身体を支えてくれたのはヤエノムテキだった。
「ははっ…ちょっ…と、げん、かい、かも…。だいじょう、ぶ。ちょっと、やす、む、だけだ。あ、でも、らいぶがあるん、だっけ…?」
「…無理に話さなくて大丈夫です。休んでください。私が説明をしますから」
「あり、がとう、やえ」
それがその日の最後の記憶だった。
一着 ヤエノムテキのトレーナー
二着 ヤエノムテキ(クビ差)
三着 オグリキャップ(アタマ差)
80二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 20:55:01
…
「ヤエノの友達か?仲がいいんだな」
「…オグリさん。あっ!えっと、これは…何と言いますか…」
「今日は負けたよ。君にも、そこで寝てしまった彼女にも。きっと何度繰り返しても、今日の君たちには勝てないだろうな」
「…」
「だからこそ、かな。このまま負けたままでは悔しいんだ。次は『皐月賞』か?」
「はい」
「次は私が挑戦者だ。そこで君たちにリベンジするよ。起きたら彼女にも伝えておいてくれ。君の走りには驚かされたって。次は負けないって」
「分かりました。でも、私も負けません。次の一着は私が取ります」
「ああ。また一緒に走ろう」
最後の舞台は『皐月賞』へ―
続く
≫91二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 21:33:25
『オベトレの災難』
「遅いな…トレーナー…」
昼休み、トレーナー室でオベイは1人、ソファに沈んでいた。ウマホに送ったメールには未だ返信が来ない。
「失礼します…って、あれ、オベイユアマスターさん?」
「たづなさん、ハロー」
何やら封筒を持って現れた彼女に手を振る。
「私のトレーナー見なかった?」
「今日は休ませてくださいといったメールが朝方送られてきましたが…」
「…そ。サンキュー」
封筒を受け取り、再度メールチェックをする。既読、無し。
「Nnnnnn…仕方ない」
そう言って鞄を持ち、トレーナー室を出る。
目指すはトレーナー宅だった。
「トレーナー?いるのー?」
扉をノックするも、声をかけるも返事がない。
「開けるからねー?」
合鍵を使って扉を開け、家の中に入る。
「どこいるのー?かくれんぼなら降参だよー?」
トイレ、リビング、キッチン、押し入れ。くまなく探すが一向に見つからない。
「残るは…」
トレーナー自身の部屋だった。目に入った時はオベイの部屋の数倍は紙やノートやレース映像にまみれていたそこは、オベイでも立ち入りを躊躇うほどだった。
「…ふぅ…」
短く息を整え、扉をガチャと開ける。
「Hello…Obey……」
トレーナーはベッドの上でくたばっていた。うつ伏せでスプリングに沈み込んでいる。
「よかった…もう心配で心配で仮病で抜けてきちゃった。トレーナー、何があったの?」
「痛いんだ………」
92二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 21:34:30
そう呻くオベトレの声は苦しそうだ。今も目を凝らせば微かに震えている。
「大丈夫?救急車呼ぼうか?」
「違うんだ…ベイ…」
オベトレはプルプルとその手をオベイに重ねて言う。
「関節痛がやばい」
「多分ウマソウル関係なんだろうな……若干胸のあたりがざわつくんだよ」
「でもさ、トレーナーは私達で言えば本格化も終わってる。なのに今成長するかな…?」
トレーナーを仰向けに寝かせ、膝枕をしながら髪を手櫛でときながら問う。彼の耳はくすぐったそうにぴくぴくとしながらパウチのみかんゼリーを食べていた。行儀はこの際気にしない。
「私にもさっぱりさ…ベイ。早く治ってくれればいいが…」
そう言いながら苦笑するオベトレ。一方でウマソウル…ウマソウル…と先程からうんうん言っていた。
「ベイ?」
「ああ、いやいや。トレセンにウマソウル鑑定できる人が居たけど、どうトレーナーを連れていこうかなって」
「どうするんだ?普通に歩くのキツいし、一筋縄じゃいかないと思うぞ」
そう言うとならさ、とトレーナーを見下ろす。
「おぶっていくよ」
「ベイ…ゆらさないで…痛い…」
「Sorry!でももう少しの辛抱だから!」
トレセンに戻ってきた彼女は、迷わずトレーナー室の一角にたどり着く。
「すみませーん」
「は〜い…ってええっっ!?」
扉から出てきたのは私よりも一回り体の大きい、オッドアイをたたえたウマ娘だった。
「Wow!」
「あ、えっと、すいませんっす。えっと…ご用件は…」
「ん〜と、ギムレットさん、ている?」
「ちょっと待ってっす。親父さ〜ん」
部屋の奥に消えたかと思えばオベイより2回り小さいウマ娘が出てきた。
93二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 21:35:50
「あー、俺がギムレットだが…どうしたんだ?」
「ちょーっと、ミーのトレーナーのウマソウルの鑑定、頼める?」
「そういうことなら了解だ。入ってくれ」
扉に入ると広い部屋が広がっていた。
「ウオ…デッカ…」
「わあぁ…」
薄いパープルの芦毛のウマ娘と真っ黒な髪のウマ娘も驚いたように見てくる。ま、当然か。
「トレーナー、おろすよ?」
「オベイまって!Wait!Nonononミ゜」
「あじゃぱ〜…ごめんネ?」
「それより…いいか?」
遠慮がちにギムレットが言ってくるのを見て謝罪をする。
「ん〜…なるほどな。コイツは面白い」
「だ、誰、なんです?」
満身創痍でそう言うトレーナーが面白くてついつついてしまう。壊れたくるみ割り人形みたいだ。
「えっとな…ふざけて言ってるわけじゃない。1人はばんバの方のウマ娘だな。オレノココロ、っていう名前だ」
「オレ…?」
「参上!」
「V、今はやめてくれ。あと1人のは…言うのはヤボだな」
そう言って私の方を見てくる。
「まさか…?」
「そういうこった。あとばんバの方が活性化しつつあるから保健室のタキオンのに行った方がいいぞ」
「なるほど、ありがとうございます。ギムレットさん。このお礼はいつか」
「じゃあ、データ解析のコツとニンジンで頼む」
「前者の方は企業秘密以外なら喜んで」
94二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 21:39:05
その後礼を言い、保健室に向かう道中でのこと。
「ご機嫌だね、ベイ」
「でしょ〜?」
「うん。これからは相棒って呼ぼうか?」
「今ので十分。それより身長、伸びちゃうの?」
「わからないね…」
「そのminimum bodyがなくなったら私は何を抱き枕にして寝れば…あ、暫く動けないだろうから、治るまでトレーナーの家泊まるね」
「お前…学園はOKしたのか?」
「もっちろん。さ、保健室にlet's go!」
「お手柔らかにね」
おしまい
以上、ウマソウル編でした。
さあこの後オベトレはどうなるのか、乞うご期待!
この後彼はしばらくおぶられて生活することになるとかならぬとか。彼自身がウェイトになる事だ(といってもウマ娘の力だとそこまで負荷でもない気がする)
あとオベイはオベトレ宅に泊まることになるのでそっちのSSも描きたい予定。
≫108二次元好きの匿名さん22/03/12(土) 22:15:34
こんにちは!私、ナリタトリエステです!さて、今私は何をしているかというと…
(あの子、トレセンの生徒なんだろうけど…誰か待ってるのかな?というかあんな子いたっけ?)
…物陰からそっと顔を覗かせて、私は奥でキョロキョロと周りに視線を向けているトレセンの制服を着た娘を見ていました。
栗毛の目が隠れる長さの前髪と地面にこそついていないもののとても長い後ろ髪、高い訳でもないが低い訳でもない身長。
(そして制服越しですら明らかに分かる胸の膨らみ、ウオデッカ…じゃなくて、凄い発育の良い娘だね…)
少しおどおどしてるように見える彼女、どこか落ち着かなさそうな感じも見せており、流石に気になってきた。
(多分最近新しく入ってきた娘でしょう、ここは私が先輩らしく振る舞ってあげなければ)
「…あの、何かお困りですか?」
「…?」
振り向いてきた彼女の瞳はメカクレ故に分からず。しかし、どこか困惑気味の反応を見せるメカクレ巨乳少女。
「もしかして、迷ったとかかな?」
「いや、そういう訳ではないけど…」
(あれ?何か反応がおかしいような…?)
そしてナトリがそれに違和感を覚え、質問しようとした所で掛けられる声。
「あっ、いましたねトレーナーさん…と、ナトリさんですか?」
「あっ、ダイヤ…」
さてもうお分かりであろう。その栗毛の少女は、サトトレである。またいつもの体型変化により、ダイヤと同じ体型なのだ。
そしてそのサトトレは、ダイヤに前からハグされて慌てている。潰れる二人の双峰、広がる混ざった匂い。
そしてそんなものを目の前で見せられたナトリは───耐えられなかった。顔を赤くしながらクラクラするナトリ
「おわっ…だ、大丈夫かな?」
サトトレがナトリを支える形になり、その主張の強い双丘に頭を乗せる。視界の下からはダイヤ、上からはサトトレ。
───ナリタトリエステは今度こそ意識を飛ばした。二人に挟まれた事でオーバーヒートしてしまったのだ。
…彼女が次に目覚めて事の顛末を聞いた時、ナトリの頭からはポンッという音すら聞こえたそうな。
短文失礼しました
ナリタトリエステちゃんを使って前出た体型変化サトトレで書いて見ました。メカクレ小動物系巨乳美少女とかいう属性過多。
ちなみにサトトレが着ている服は、このシーンが変化した当日であることを考慮すると、自ずと分かるはずです()
≫121二次元好きの匿名さん22/03/13(日) 07:33:33
「おはよう、ルドルフ」
「……ああ。おはよう、トレーナー君」
なにも変わらない日常。されど、唯一違うのは彼女が必死に隠そうとしている、バズーカのようなものくらいだろう。
だが、私はそれに気がつかないふりをする。彼女の優しさを無下にするには、些かこれは残酷だ。
「……では、行こうかトレーナー君」
「だね!それはそれとして……誕生日おめでとうルドルフ!」
彼女が、すっ、と自然に取り出したバズーカ型クラッカーの引き金を引くと破裂音と共に、紙吹雪やテープが飛び出る。
「……祝ってくれてありがとう。トレーナー君」
「えへへ~サプライズ成功!あ、ルドルフのために色々なところからお祝いのメッセージを集めた色紙とか用意したんだ!」
「ほう?是非とも見せてくれないか?」
「うん!……あれ、この鞄にないってことは……生徒会室かな……?ごめんルドルフ、生徒会室に二人で行こうか」
「全く、君は仕方ないな……」
そうして歩む二人の尾が、またしても絡んでいることは、この後テイオーに指摘されるまで誰も気がつくことはなかった。
≫135二次元好きの匿名さん22/03/13(日) 11:03:25
『誕生日を迎えるボク!そしてそんなボクを祝う大観衆の皆!ああ、今日このレースは世紀末覇王譚における伝説の一幕になるだろう!』
「……とかなんとか言って呼び出されたんだけど、どういう状況なの?これ」
「あのぉ~そのぉ~……オペラオーさんが……」
「折角誕生日なのだから、ボクらでレースをしようじゃないか!といった具合に呼び出されましたね!」
「あうぅ、トップロードさん……ありがとうございますぅ~」
「……巻き込まれるほうの身にもなってほしいわね」
「しかし、学園での模擬レースとはいえ観客は多いようです。なんだかんだでこの4人で走るというのも大規模なレース以外ではそうそうありませんから」
「前回は……有馬だったかしら」
「そうですねぇ~……あの時はしてやられちゃいましたぁ」
「ですが、私たちもただ過ごしていただけではありません。オペラオーさんの胸を借りるつもりでいい勝負にしましょう!」
「……そうね、ただやられっぱなしというのも癪だし、オペラオーだって私たちをただの引き立て役に連れてきたわけじゃないわ。本気の勝負をしてこそ、呼ばれた甲斐があるってものよ」
「その意気です!えーっと……ぎゃふんといわせてやりましょう!」
「ぎゃ、ぎゃふん」
「ドトウ……貴女が言ってどうするの」
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part708【TSトレ】
≫4二次元好きの匿名さん22/03/13(日) 19:19:39
パレヱドが行く。パレヱドが行く。
私の夢を、テイエムオペラオーを乗せて。
「トレーナー君!」
「どうぞ」
「ありがとう!」
今日はテイエムオペラオーの誕生日。
「世界にボクが生まれた祝祭日さ!」ということで、私ことテイエムオペラオー担当トレーナーは、ささやかながらテイエムオペラオー生誕パレードを企画させてもらった。
水を渡しながら、準備に三ヶ月を要した魔改造トレーラーを見やる。鼓笛隊にダンサーも合わせて“そこそこ”したが、まあ誕生日祝いなのだからいいだろう。
金に明かせた自分はといえば、踊り狂うオペラオーの傍で、甲斐甲斐しくお世話をさせて頂いている。
テイエムオペラオー2号となることも考えていたが、大掛かりなイベントともなると色々と手回しが必要で、オペラオーの素振りが抜けないまま指示を出すことになりかねない。そうするとまるで、オペラオーがひとりで始めたように見えてしまうので、それは避けることにした。
「素晴らしいパレヱドだった! さあ、トレーナー君? 次は何を用意してくれたのかな?」
「記念としてドトウさん達と模擬レースの後、各界の有力者との祝宴だね。その後、うちに帰ってホームパーティーとなる」
「盛り沢山じゃないか! 内外共に、ボクの生まれた喜びを知らしめるとしよう!」
その後、オペラオーは常人なら疲れ果てるイベントの数々を平らげ、快哉を叫んで演り通した。
今日は彼女にとって、楽しい1日となっただろう……後は、締めの演目次第だ。
5二次元好きの匿名さん22/03/13(日) 19:20:35
「すまないね、夜ふかしをさせて」
「構わないよトレーナー君。覇王は夜であっても燦然と輝くものだ」
スイトレとふたりで作ったささやかなホームパーティーは、覇王馴染みのウマ娘達とそのトレーナー達にもよく楽しんでもらえたようだ。
そんなパーティーの後で、私はオペラオーを縁側へと呼び出した。
3月の中旬は、冷え症の我が身には少し冷えるが、隣に座る覇王の温もりを感じるにはちょうどいい。
「……大したものじゃないけど、受け取ってくれるかい」
「勿論さ。……開けても?」
「どうぞ」
少し大きいリングケースに入れたのは、懐中時計……ではない。
リングウォッチという、指輪型の金時計だ。
裏側には「親愛なる覇王へ、貴方の影より」と彫られている……どうか今だけは気づかないでくれと願いながら、沈黙の中、私は細々と口を開いた。
「思い出にしてほしかったんだ」
「君を? それとも、この瞬間を?」
「どちらも、等しく」
すい、と彼女の細い指先に……右手の薬指に、その金時計を通す。
右のアニバーサリーリングに希うものは心の安寧。これからの彼女の人生の支えを願ってのものだ。
「左手じゃないのかい」
「婚約指輪じゃないからね」
「……へえ、そうかい」
いつか洛陽の日が来るとしても、君は変わらずテイエムオペラオーだろう。新たな夢と共に、新たな舞台へ飛んでいく。
その時、私は老いて使い物にならなくなっているかもしれない。だから想いだけを連れて、がらくたは此処に置き去りにしてほしい……そう言えないのは、まだまだ隣に立ちたい、私の我儘なのだろう。
そう思っていると……オペラオーは不意に、私の左手を手に取り……口に含んだ。
6二次元好きの匿名さん22/03/13(日) 19:21:43
鈍い痛みが走る。
痛みがあったのは左手の薬指。日々の書類作業でできたペンだこを潰すように、赤い噛み跡が残っていた。
「置き去りにはしないよ」
「……っ」
「覇王と共演する役者は代えがたく、そして数多。しかし君は、ボクだけの影、ボクを支える黒衣なんだから」
だからその職分を忘れないように、跡を残す。
お互いに、なんともいじらしい話だ。快晴のように光り輝く君は、私と語らう時だけ、ほんの少し陽を覆う。影がより濃くなるように。
その格別な扱いに、酔い痴れているのは他ならぬ我が身なれど……気恥ずかしくて仕方がない。
「わかったよ、オペラオー。私は……」
「……むにゃ」
「……おっと。もう22時か」
おねむモードの覇王に半纏を被せ、しばしその肩に頭を委ねる。
ウマ娘特有の暖かな熱が、私の骨身に染みる……息遣いと強い鼓動が、私の肉を揺らす。
「……私も君の時間に、もう少しだけ居させてもらうよ」
覇王が風邪をひかぬようこの身を寄せて、ふたりして縁側で眠りにつく。
薬指が妙に熱くて、なかなか眠れなかった。
うまぴょいうまぴょい
≫24二次元好きの匿名さん22/03/13(日) 21:05:16
『マーベラス☆クリエイターズ』
「はぁ……」
――俺はしがない漫画家只今絶賛スランプ中
こうして気分転換になればと散歩に来たわけだが、これと言ってアイデアが思い浮かばず、公園のベンチでうなだれている
そんなところ二人のウマ娘が声をかけてきた。
「ねーおにいちゃん。こんなところでなにしてるのー?」
「お悩み?マーベラス不足?顔を上げて何でも聞いて☆」」
俺に話しかけてきた二人のウマ娘たちは顔立ちや姿立ちがどことなく似ている。おそらく姉妹だろう
髪をツインテにした背の大きいお姉さんの方、あれはこの近所にあるトレセン学園の制服かなきっと優秀なんだろう
もう片方のポニテをしてなお地面につくほど長い髪をまとった背の小さい妹さんの方は、派手に着崩した露出が大きい服装をしている。今時の小学生はませてるな
話したところで何も解決しないが、別に減るものではないと思い目の前のウマ娘の姉妹に抱えている悩みついて相談する。
「――実は漫画の展開に詰まっていて、いいアイデアが浮かばず……」
「へーおにいちゃん漫画家なんだー☆どおりで色白かと思ったー★」
「漫画家さんなの!すっごいマーベラス☆みんなに夢と希望を届けられる立派な職業★
アタシもねこの前読んだ『王様の喜び』って漫画がねとってもマーベラスだったの★☆あなたもそんな漫画を描いているの?☆」
妹さんに煽られ、お姉さんに褒められてるが勘違いをしてるようなので訂正しておく
「いや、俺が描いてる漫画はそこまでのものじゃないんだ」
「「そうなの?」」
「俺が描いているのこのしがないWEB漫画さ。それで今詰まってるのがこの主人公達のこの後の動機がわからなくて」
25二次元好きの匿名さん22/03/13(日) 21:05:31
「ねー☆マベこんなときはあれだよねー★」
「トレーナー★キラッキラなマーベラス見せてあげよう☆」」
何か話し合った後、姉妹が俺の顔数十センチまで近づき目を近づけた。
彼女たちのキラキラとした瞳を見ているとなにか吸い込まれるような感覚がし、一瞬視界が暗転した。
そうして気づくとあたり一面の草原のよう場所へ来ていた。
「あれ?ここは??さっきまで公園だったはずなのに!?」
「「ここはマーベラス空間★☆思いが形になる場所☆★☆」」
俺が不思議に思ってると姉妹が手を合わせながらようこそとのポーズをとっていた。一体どんな手品をつかったんだ。
驚きながら俺は周りを見渡す。
すると草原だった風景がみるみるうちに変わっていき、見知ってる景色が現れた。
「え!?これは俺の漫画の世界!?そして向こうに見えるのは主人公たち!?」
「ほら☆さあ行って彼らが何をしたいのか聞きに行こう★」
「ほらー☆おにいちゃん恥ずかしがってないでー★こういうのは直接聞いたほうが早いんだよー☆★」
姉妹に言われるがままに俺はその世界を渡り歩いた。
まるで夢みたいだった。
なにせ自分の理想の創作と話し合えるなんて!!
「「どうだった☆マーベラスな道は開けた?」」
「マーベラス☆すごいのぉぉぉぉおぉっ!!」
――こうしてまた世界にマーベラスが増えたのであった。
≫117二次元好きの匿名さん22/03/14(月) 20:30:38
ホワイトデーのグラスとグラトレ(独)
今日は3月14日ホワイトデー……の前日の3月13日。
トレーナーさんにお呼ばれした私は、トレーナーさんのお宅にお邪魔していました。
「さて、ホワイトデーのお返しとして大福を作ります」
「はい、トレーナーさん♪」
「沢山作る事になりますからお手伝いお願いするね」
「私も友人達の分を作らせて貰いますね~」
……という訳で、明日のホワイトデーに向けてのお返しを二人で作る事にしたのです。
私は友人達の分、トレーナーさんは同僚の方の分。
お互いにそれなりの数を作らないといけませんからね。
「……ですが、今日のお手伝いは建前ですよね?」
「…………何の話かな、グラス?」
「私を泊まらせて明日誰よりも早く私とお返しを交換する為ですよね?」
「…………」
私が指摘したらトレーナーさんは、バツが悪そうに顔をそっぽ向けました。
先月のバレンタインでは、私がトレーナーさんとチョコを交換する前に同部屋のエルとチョコを交換してしまっていました。
誰よりも早く交換しようと考えていたトレーナーさんは大変落胆していまして……
どうやら、エルに先を越された事を未だ少し根に持たれているみたいです。
118二次元好きの匿名さん22/03/14(月) 20:30:58
「ふふっ、トレーナーさんは可愛らしいですね〜」
「!?」
私を泊まらせようとする理由と指摘されてそっぽを向く姿が少々子供っぽくて、思わず口からそんな言葉が出てしまいました。
それを聞いたトレーナーさんはショックを受けた様で、ムスっと少々不機嫌そうです。
ですがその姿も何だか可愛らしくて、私は笑みが収まりそうにありませんでした。
うまぴょいうまぴょい
了です
ホワイトデー……の前の日のお話ですね
バレンタインの反省を生かして前日からグラスを捕まえに掛かってます
羊羹や煎餅みたいな日持ちする物ではなく大福なのは前日用意する名目でグラスを家に呼ぶ為ですね、グラスにはバレバレでしたが
以上で後書きも終わりです
今日に間に合わせる為に粗い物となりましたが生暖かい目で許してくださいな
≫144二次元好きの匿名さん22/03/14(月) 22:34:58
(ちょっと早かったかな…?)
…早朝、ジャージ姿でランニングを行うのはチームプロキオンに所属するとあるウマ娘。朝早くから自主練をしていた。
「…チームの皆、特に私と同じくらいに入ってきたあいつには負けられない!そのためにも鍛えなきゃ!」
声に出して気合を入れて走る彼女。メラメラと闘志を燃やして足を動かし、中々早いペースを維持して走り込む。
毎日こんな感じで自主練をし、元気もある彼女だが、今日はたまたま空回ってしまったのが運の尽きだった。
「…あっ!」
踏み込んだ際にバランスを崩し転倒する彼女、数秒後に顔を地面に叩きつけられる事を予想して目を瞑る。
「…大丈夫?」
…予想していたよりも痛くない衝撃と掛けられた声に疑問を覚え目を開く。目を開いた途端、ある人物の顔がアップでうつる。
「良かった、怪我はなさそうね」
「…えっ、トレーナー?」
何処からか現れたキタトレ、彼女を両腕で倒れないように支えながらいつも以上に真剣な顔で見ていた。
「わ、私は大丈夫です。そ、その…怒ったりしてますか…?」
「そんな訳ないわよ。そう、貴方が無事なら良かったわ。たまたま私が近くにいたから間に合ったけれど…」
…彼女はふと支えているキタトレの手を見ると、いつもつけているその手袋は少し破けて僅かに血が滲んているのが見えた。
「…ああ、気にしなくていいわ。大して痛みもないしこの程度ならすぐに綺麗になるわよ。それに、手袋も替えはあるし」
先読みして言ってくるキタトレ。それでも、迷惑をかけたのは事実であり落ち込む彼女に、キタトレはバッグから
「そうね、これを食べて元気を出すといいわ」
取り出したのは一口サイズのバームクーヘン、袋に入ったそれを開けると彼女の口にほりこんであげる。
「ふふっ、今日はホワイトデーだし皆にあげるつもりで用意してきたのだけど、貴方には一足先にあげちゃうわね。」
「!…ん…美味しいです、トレーナー!ありがとうございます」
「もう戻ったわね。それと、一旦寮に戻って用意しましょう。今日の自主練分はトレーニングを増やしてあげるわ。」
そう言うや否や彼女を両腕で抱えると寮へ向かって歩き始める。お姫様抱っこの姿勢で連れてかれる彼女は
「ちょっ…恥ずかしいです…!」
「あら、私を心配させた罰よ。大人しく抱かれてなさいな」
近くにあるキタトレの顔を見ながら、彼女は酷く赤面したらしい。
≫152二次元好きの匿名さん22/03/14(月) 22:56:46
「それでは勝負スタート!」
「「タイマンだ!」」
我らが寮長ヒシアマ姐さんとそのトレーナーさんの声がカフェテリアに響いた。
今日はホワイトデー。バレンタインのお返しが行きかう日だ。
どうやら姐さんたちもバレンタインに送り合っていたらしいのだが、どういうわけかお菓子作り対決となり、私たち美浦寮のウマ娘が審判をすることになった。
2人の皿が机に並ぶ。姐さんはマカロンを作り、ヒシトレさんはアップルパイを作ったようだ。
まずはアップルパイを口に運ぶ。
「……うまっ」
次にマカロンを口に放り込む。
「…………うーん、こっちもおいしい」
今回も勝敗を決めるのが難しそうだ。
審判による勝敗を決める話し合いが行われている中、ふと横を見ると姐さんたちが互いの作ったお菓子を食べて笑いあっている姿が目に入った。
勝負が終わり、寮へと向かう帰り道。同じく審判をした友人たちが話しかけてきた。
「姐さんたちって、ホワイトデーのお返しの意味を知ってたと思う?」
「いやー、知らないんじゃないかな。知ってたら、もっと態度に出てそうじゃない?」
「……確かに」
「そういえば、姐さんたちが相手に食べてもらったときの顔を見た?『美味しい』って言われた途端、ホッとしたような表情浮かべてたよ」
「いつもの姐さんなら『どんどん食いな』って感じだよね」
「ヒシトレさんも尻尾と耳の動きで喜んでるのまるわかりだったし。……そういう関係じゃなかったよね」
「そのはず」
「でも姐さんといるときヒシトレさんは、あんな感じで尻尾と耳がぴょこぴょこ動いてること多いし、いつも通りじゃない?」
「それって好きってことじゃん」
「2人にお返しの意味伝える?」
「…………もうちょっと見守っていようよ」
≫158二次元好きの匿名さん22/03/14(月) 23:25:18
◆色々謂れはあるようですが
「美味しいものが食べられるんならなんでもいいかなって」マシュマロモグモグ
「精神がハムスターのそれなんですよトレーナーさんは。はい、あーん」
「あーんっ。……ほんなに雑食系? でもネイチャがくれるならなんでも美味しいと思う」
「そりゃまあ、アタシの目が黒い内は変なの食べさせて体調崩させるわけにはいきませんからねぇ……と言っても自作したりはできなかったので今回は普通に既製品ですが」
「でもお得用デカマシュマロをドドーーンといっぱいもらえたのは嬉しかったよ?」
「トレーナーさんはそういうの喜ぶだろうなって思ったので。実際目ぇキラキラさせてましたし。はい、あーーん」
「あーーんっ。よふ分はってふれてて満足。……そんなネイチャへのホワイトデーのお返しは、これ!」
「……うん? 何やらちょっと大きめの箱?」
「えぇーっと……、『フルーツティーとハーブティーの詰め合わせ。色んなドライフルーツも込み込みのバラエティ豊かな一品となっています!』ってやつ」
「……想定外に女子力が高い!」
「想定外!?」
「いや、でもよく考えると、精一杯背伸びしてる感じがすごくトレーナーさんっぽいかも」
「泣いちゃうよ? あのね、カタログ見てたらなんとなく気になっちゃって……。ネイチャはイメージだけなら緑茶だったけど、こういうのもアリかなって」
「たしかに緑茶とコーヒーと紅茶があったら緑茶取りますけど……はえー、なにやらオシャレ感がすご、アタシなんかが飲んでいいのか躊躇っちゃいそうですね」
「ふふ、じゃあここで一つ淹れてみよっか?」
「いいんですか? じゃあお茶請けは、備え付けのドライフルーツで」
「あとデカマシュマロだね」
「ちなみに、こんな洒落たもの載ってるカタログはどこから調達したんですか? 普段のトレーナーさんの守備範囲になさそうだなって」
「…………。
わ、侘助さんから……」
「メジロ御用達……!? あれ、じゃあもしかしてお値段……」
「……白状します。ものすごく背伸びしました」
「……大事に飲むね。あーん」
「あーん。……そうひてくれると嬉ひい」
(終)
≫164クリトレ(小)・ホワイトデイ22/03/14(月) 23:54:35
「トレーナーさ~ん。はい、あ~ん」
「あー……んっ。んー! 美味しい!」
「あら~! それは良かったです~! もう一つどうぞ。はい、お口を開けて~……」
「うん、あー……んむ! むむむ、こっちは抹茶味だね」
ホワイトデー、トレセン学園全体で様々な情念が(一月ぶりに)渦巻く日。
ある者はマシュマロのように甘いひと時を、またある者は焦げたカラメルのようにほろ苦いひと時を。
トレーナー室でいちゃついているクリトレ(小)とスーパークリークは、前者の側であった。
「今年はチョコクッキーをい~っぱい作って、た~っくさんの方に配れましたね~」
「うん。クリークが手伝ってくれたおかげで、何とか上手くいったよ。ありがとう」
「いいえ~! トレーナーさんが頑張ったからですよ~!」
「ふふ、ありがとう! でも、クリークの頑張りあっての結果なのも違いないんだ。だから、ほら。あーん」
「あらあら~! ふふふ、あ~……ん。う~ん! すっごくおいしいです~!」
「でしょ? 皆とっても嬉しそうだったし、今年のホワイトデーは大成功、かな」
文字通り山ほどのチョコクッキーを作った彼女たちは、普段から付き合いのある同僚や友人をはじめ、
実に様々な相手へ──普段関わりのない人々やバレンタインに贈り物をしていない者へも区別なく──配り歩いたのだった。
到底一人ではこなせない量だったが、二人で協力することでなんとか配り終えることが出来た。
「サクサクで甘いクッキーをた~っくさん作って~……ふふふ、頑張った甲斐がありましたね~」
「ね! それにしても、あんなにいっぱい作ったのに、これだけしか残らないなんて。ちょっとビックリだよ」
「でも、それだけ皆を笑顔にできた、という証ですよ~!」
「そうだね! ……さて、と」
口元のクッキー片を拭うと、クリトレ(小)はおもむろに立ち上がり、そのまま机の方へ。
それを見たクリークも、ゆっくり立ち上がって戸棚の方へ。
そして二人はそれぞれ、同じ千代紙で包まれ、同じリボンで結ばれた小箱を取り出した。
165クリトレ(小)・ホワイトデイ22/03/14(月) 23:54:50
「皆にあげたものと同じおやつ。違うのは、混ぜた願いだけ」
「皆に配ったものと同じお菓子。違うのは、籠めた祈りだけ」
願いを籠めて結んだリボン、するりと解き指へ巻く。
祈りを籠めて包んだ千代紙、ぱさりと開き折り畳む。
「特別なものでなくても、いいんです。籠めた想いが特別なら」
「普通のものでもいい。ちょっとでも、相手を想った品だから」
箱の中身はチョコクッキー。皆を笑顔にしたのと同じ。
けれども形がハートを象り、皆に配ったものとは違う。
「義理で贈るものじゃありません。贈りたいから贈るんです。笑顔を想って、こころを籠めて」
「本命なんて言葉も似合わないね。僕らの駆ける道行きには、競う相手も焦る必要もないもの」
指で抓んで、相手の口へ。首から下げた対のリングが、キラリと夕日に輝いた。
口に咥えて、一口かじる。甘く広がるチョコの風味が、ふわりと心を和ませる。
「うふふ」
「えへへ」
大切なあなたへ。
大好きなきみへ。
「「ハッピー・ホワイトデイ!」」
「です~、うふふ!」
「だよ! えへへ!」
(了)
≫172ホワイトデーなフェストレさん122/03/15(火) 00:38:04
「今年も大変だったな」
「そうだな……」
ホワイトデー、俺とフェスタは今年のバレンタインの事を二人で思い出していた。
自慢だが俺達は毎年女性から多くのチョコレートを貰っている。そしてそのウマ娘の胃の許容量を軽く超えるチョコレートの山を食べきるのにかなりの労力を費やしていた。
人間だった頃は俺が50近くなってからは少しずつ量が減っていたのだが、ウマ娘の身体になってからはまた戻ったどころか以前の倍になった。
フェスタは同室のシリウスシンボリの物と合わせて部屋がほぼチョコレートで埋まるらしい。本人は「慣れた」と遠い目で言っていた。
「フェスタはお返しはどうした?」
「抽選で直筆のサインを送っておいた。流石に全員には返せないから」
俺の方も大体のお返しは終えて、残すは後一つ。さて、どこで渡そうかなと思っていると、フェスタが机の上に正方形の紙で出来た箱を置いた。
「バレンタインがなかなか高価だったからな、選ぶの大変だったんだぞ」
フェスタが箱を空けると、出て来たのはシンプルな作りだが高そうなバウムクーヘン。
ブラウンの生地が甘い香りを漂わせ、食欲がそそられる。
「また高そうなの持って来たな。値段は大丈夫だったか?」
「……言っただろ?大変だったって」
少し不機嫌。否、不満そうな表情をするフェスタ。しかしそれは金の事を聞かれたからの様には見えない。
平静を装っているが、密かにバームクーヘンそのものに不満げな視線を送っている。
……さて、俺も早いとこ渡してしまおうか。
「バウムクーヘンありがとうな。……でも、本当はもっと別の物を渡したかったんじゃないのか?」
「……何がだよ」
173ホワイトデーなフェストレさん222/03/15(火) 00:40:38
今度は普通に俺に向って不機嫌な顔を向けるフェスタ。刺さる視線を受け止めながら机の下にあった箱を取り出す。中身は高級スイーツ店から取り寄せたマロングラッセ。
それを見たフェスタが動揺したかの様に眉を動かす。
「……おいおいトレーナー、なんでまた俺がコレを渡したかったって事になるんだよ」
「あれ、違ったか?もしかしてこっちだったかな」
そう言いながら用意していたもう一つの箱を机の上に置く。フェスタに箱を開ける様に促すと、中にはマドレーヌが入っている。今度は、ハッキリとフェスタのポーカーフェイスが崩れた。やはり読み通りだったな。
「この二つのどちらかを選ぶのに迷った結果、どちらとも選ばずにバウムクーヘンにしたって所かな。違うか?」
「……いや、ドンピシャだよ。なんで迷ってた事まで分かるんだこえーよ」
「これが大人の余裕ってやつさ」
「あんたみたいな平然と心を読んでくる大人がそこらにいてたまるか」
賭けに負けたかの様な表情をするフェスタ。それを見た俺は悪戯が成功した子供の様に笑みを零すが、まだ終わってはいない。
「で、フェスタは本当はどっちが欲しかったんだ?マロングラッセか、マドレーヌか」
そう問いかけると、勝負事で追い詰められた時と同じ表情で二つのスイーツに視線を送るフェスタ。
数秒の間考え込んだ後、「ほんと性格悪いよなアンタ」と言いながら両方を手に取り同時に口に入れた。
「それがフェスタの答えか。想いはしっかり伝わったよ」
「うっせ。あー甘い……」
天井を見上げながらスイーツ二つ分の甘みを味わうフェスタ。
俺もまた、フェスタから送られたバームクーヘンの一切れをフォークで口に運び、その甘さと幸福を堪能するのだった。
≫177二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 01:34:43
『白き日よ、君へ感謝を告げる日よ』
先に言っておくが、ファンへのチョコレートのお返しはない。仕方がないというかそもそもそういうものだからだ。
ある意味ではレースで活躍する姿を見せることがお返しになるようなものなのだが。
となれば、ブラトレが用意するべきお返しは三つの分類に分かれる。一つはチームへのお返し、二つは知り合いのトレーナーたちやウマ娘からもらった分のお返し、そして三つめはブライアンへのお返し。
その三種類、全部合わせて数人分ほどのお菓子作りが始まった。
周知の事実になりつつあるが、ブラトレはお菓子作りは上手ではない。なので今回もお菓子作りの得意なトレーナーに手伝ってもらい、それなりのものを自作することにした。
「今回はマカロンを作ってみようか。比較的生地の安定するイタリアンメレンゲを使ったものにしよう」
「材料は……まあこんなもんか。にんじんって使えるか……?」
「ジャムにして挟んでしまうという手もあるね。他にはパウダーがあればコック……上下の挟む部分に混ぜ込むこともできるけど」
「んーじゃあパウダーは今回ないからジャムのほうで行くか」
「了解、じゃあ一緒に作っていこうか」
ブラトレ、フラトレ、ライトレのウマ娘になったトレーナー三人が、一人暮らしの少々狭いキッチンに並んで手を動かし、口を動かしお菓子を作る。背中越しに見る者はいずともその背筋は正しく伸ばされ、手先から心を込めて準備を進めていく。
「再三言わせてもらうが助かる……自分一人で作ると何とも言えない菓子ばかり出来上がっていくからな」
「料理自体は絶品といっても良いくらいなのに不思議なものだね……レシピ通りに作らないことが多い、というのが原因なのかな?」
「あー、作りながら味を調整したりすることが多いからなあ、味の保証はできても細かい分量の保証はできないんだよな毎回」
言い方を悪くすればおおざっぱ、綺麗に言うならば臨機応変な料理の作り方。必要に応じて細かい調整を繰り返していくのがブラトレの料理のスタイルなのだ。
故にお菓子作りのような最初から分量や焼き加減をきっちりと決めて行うものに対して苦手意識がある、という具合なのだろう。
178二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 01:35:31
練り上げ、形を整え、乾かした生地をオーブンに入れて数分焼く。
焼き上がりを3人で待ちながら紅茶を楽しんでいると、ブラトレがふと思い出したかのように尋ねる。
「そういえば意味に関して何にも考えてなかったな、マカロンってどんな意味だっけ」
「『あなたは私にとって特別な存在』……かな?」
それにライトレが答える。彼女の口からそんな甘い言葉が紡がれると、ブラトレの口は縫い合わされたように苦い表情になってしまった。
「……これを不特定多数に渡すのはよろしくねえな」
もともとテストとして少量作ったわけなので問題はないのだが、当初の予定としてはマカロンを皆に配るつもりだったのでブラトレは閉口してしまった。そこにフラトレがフォローを入れる。
「まああくまでも意味としてそういうものがある、というだけで渡してはならないというわけではないよ」
「だからってなーうーん、とりあえずこれはブライアン用にしておくか。幸いにんじんは普通に食べられるしな」
「前から思っていたのだけど、ブライアンはどれくらい野菜が食べられるんだい?」
時折食堂での食事の光景を見ることがあるライトレが訪ねる。ブラトレは少々天を仰ぎながら、悩ましさに溢れる呻き声を漏らす。
「うーん、うぅーん……出会った当初から比べれば圧倒的に食べられるようになったとだけ言っておこう」
「あれで、かい……?」
「あれで、なんだな……」
フラトレが思い出したのは、本当に付け合わせレベルの野菜。
ブラトレが肯定したのも、本当に付け合わせレベルの野菜。
これでも野菜スープ以外も食べられるようになっているので、進歩しているのである。
「まあそのあたりはおいおいね……おっと、ちょうどタイマーが鳴ったぞ」
「じゃあ出来上がりを確認してみよう」
ピピピピと鳴り響く無機質なアラームが、マカロン生地の完成を告げた。
179二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 01:36:21
「うん、コックは綺麗に焼き上がっているね。このまま完成させよう」
「オッケー」
すりおろしたにんじんその他の材料を鍋に入れてぐつぐつと煮て、さらに生クリームとホワイトチョコを混ぜたものと組み合わせてアパレイユを作り上げる。
その後コックに挟み込むと、少々不揃いながらも立派なマカロンが出来上がった。
「あー出来上がった。本当に感謝するよ二人とも……俺一人じゃ何ともならんかっただろうな」
「こちらこそ、美味しい紅茶にマカロンをありがとう」
「僕も教えながら楽しめたよ。お菓子作りは皆でやっても楽しいものだからね」
役に立てて何より、といった具合に二人は笑う。
「皆に配る分はまた後日、クッキーでも用意しようかなと思ってる。とりあえずクッキーは以前ライトレに教わった分のメモが残ってるからそっちで何とかしてみるわ。なんともならなかったらヘルプコールを入れるかもしれないが……」
「きっと大丈夫だよ、お菓子作りは何度もやっていくうちに慣れていくものだからね」
ライトレの後押しに、ブラトレは笑顔で返した。
そしてホワイトデー当日。
「手作りクッキーありがとうございまっす!」
「全員分あるからちゃんと分けて食べろよー」
「はーい!」
丁度チョコを渡してきたフラハラウに朝から遭遇したので、クッキーを包んだ紙袋をぽんと渡しておいた。フラハラウはあの時と同じようにすたこらと教室へ向かっていった。
「さーてあとこれを何人分かな……数気にしないで作ったから大変なことになってそうだわ」
バッグの中には小さいけれども相応の量の紙袋が大量に入っている。出会う度にお菓子を配る姿は季節外れのサンタとも、ハロウィンでお菓子を配る魔女とも見えた。
尤も、コスプレなどはしていないが。
「ほいムントレ、クッキーあげる」
「ありがとうブラトレさん。そういえば、あれは受け取っていたのかい?」
「あれ?あー……あの封印指定になった映像の。あれはもらってないがバレンタインの時に手伝ってもらったからな、感謝の気持ちよ」
「成程、思いを伝えるという意味合いでは感謝を伝えるのもまた正しいだろうね。本命へも、無事に渡せることを祈っているよ」
まぶしいほどの微笑みを受け、少々目が焼ける思いをするブラトレ。
「本命……まあ本命か。応援ありがとな」
まだまだ歩き回り、渡す。紙袋一つ一つが消え、誰かの笑顔になる。
180二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 01:37:22
しばらく歩いたのち、トレーナー室の入口でブラトレはブライアンと出会った。
「おはようブライアン」
「ああ」
二人は静かにトレーナー室へと入る。
春先にもなり、だいぶ暖かくなってきた時期なのもあるので、今日はアイスコーヒーを入れることにした。
「あんた、今日は随分と忙しそうだったな」
ふっと笑いながらブラトレに話しかけるブライアン。
「見てたのかブライアン。まあ……もらった者のなすべきことをなしていただけだよ」
コトンと置かれるグラスに手を伸ばし、喉を潤すブライアン。それを見ながらブラトレは手荷物をガサゴソと混ぜ返し始める。
「態々言い方に格好つけなくても良い。あんたならそれくらいするだろうと思っていたからな」
「じゃあ、俺が今からやることも察しはついてるんだろ?」
そうして取り出された、ほかのものよりも丁寧に包装された箱。リボンの巻かれたそれを見ると、ブライアンはまた笑う。
「……ふっ、今度は何を用意したんだ?」
「まあそりゃ開けてみてのお楽しみってやつだな」
少々恥ずかしがるような顔を見せながらも、すっと箱をブライアンに差し出す。
ブライアンが手に取り箱を開けてみると、マカロンが数個と、『特別なあなたへ感謝を込めて』といった具合に書かれたメッセージカード。
「……まあ少々気取りすぎたかとは思わんでもないがね、俺の気持ちを詰め込んである。ハッピーホワイトデー……だな」
照れるブラトレを尻目に箱の中をしっかりと見て、その色鮮やかなマカロンを見ながら呟く。
「別に私はあんた好みの反応を返せるわけじゃないし、気のいい返事を返せるわけでもない。だが……あんたがくれたものは私にとって、大切なものだと伝えるだけでも十分なんだろうな」
そう言いながらひとつマカロンをつまみ上げると、口の中に放り込む。サクッといった音とともに優しい味が口の中に広がっていく。
「……まあ、十分に及第点だな。またよろしく頼む」
「おう、また食べたくなったら言ってくれよ」
「そうはいってないが……」
そうぶっきらぼうに言いつつも、頬が緩むブライアンを見て、ブラトレは幸せな気持ちに包まれた。
食べた物の味がひと時で消え、浮かべた笑顔が残らぬように、しかしそれらがはっきりと記憶の中に残るように。
そこには白き日に一瞬だけ、しかしはっきりと二人にとっての大切な時間が流れていた。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part709【TSトレ】
≫47二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 15:19:45
(私は…何を、やっているんだろう…)
一人香水を右手で吊るし、その中の液体を覗きながらファイトレ(女)はふと思った。左腕はメンテのために外している。
───今日はホワイトデー、別にお返しをする必要なんてないが、それでもファイトレが選んでしまったのはその香水である。
(ファインに似合うだろうと思って買った、別に出費なんて大した額でもない……だが衝動的に、あげたくなってしまった…)
…ホワイトデーに香水を贈る意味なんてファイトレは勿論知っている。多分ファインも知っているだろう。
「そう、駄目なはずなんだ。…それは、分かっているのに…」
(私が、彼女を縛る鎖になってはいけない…。これ以上は…使命に生きようとする彼女の重荷になるわけには…)
かつてシャカールがファインに対して言った言葉『オレの神にでもなってくれるのか』…今のファイトレには酷く心に突き刺さる。例えファインから甘えろと言われても、ファイトレにはこれ以上彼女に頼って負担になることは自らが許せないのだ。
(それに…これ以上晒してしまえば、ファインを傷つけてしまいかねない。そうなれば私は…)
むき出しのファイトレの心、或いはその貪欲で獰猛な獣じみた本能は、それを彼女に晒すことを当然許せる訳がなかった。
「トレーナー!…って、片腕だけの姿は珍しいね。それに…持ってるのは香水かな?」
「ああ、ホワイトデーだし貴方に贈ろうと思ってね。郷に入ったなら郷に従えとは言うだろう?」
いつものように返すファイトレ。意識せずとも整えた外面を見せるように染み付いた習慣は、まったくもって正しく仕事していた。
「ありがとうトレーナー!…お礼にハグしてあげよう♪」
「そっか、それは良かった…」
…ファインからハグされる中で少しだけ満たされる独占欲。まだ足りないと叫ぶ欲望を抑えつつ彼女の優しさに心を安らげる。
(温かい……手放したくない………私の…)
ひび割れた心の隙間を彼女からので埋めながら、ファイトレは片腕だけで強くファインを抱き締めかえした。
短文失礼しました
ホワイトデーでビターなネタを一つ。美人が精神的に苦しむ姿からしか得られない栄養素は存在する。(それが愛ならなお良し)
育成ストのシャカールの発言がもろで刺さるファイ女。想うが故に負担になりたくない人なのでほっておくと悪化する罠。
≫138二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 21:51:17
『ホワイトデーとふたり』
「ベイ、今日はホワイトデーらしいな」
トレーナー室で2人は駄弁る。先に昼飯を食い終えたオベイは膝に乗せたオベトレの腹に腕を回し、頭を撫でている。
「ホワイトデー……?」
「どうやら、プレゼントを貰った男性がお返しをする日らしいぞ」
おう言うと「へぇ〜」なんか言いながら耳の中を擦る。
「初めて知ったなあ。てっきりバレンタインで終わりかと」
「フラトレさん曰く、こっちではバレンタインが女性から送る日らしい。不思議だな」
「Yes.向こうとは全く違うね。面白いよ」
一般的にアメリカの方ではバレンタインは大切な家族や恋人などにプレゼントを渡し、共に過ごす日だ。だが…
「なんか変わらないな」
「いつも同じ過ごし方だからね。まあ無理もないよ」
ふと、オベトレの腰に目がいく。
「やっぱりトレーナーの腰細いね」
「ああ。こうなってから背も縮んだし、胸と尻はやたら大きくなったし…あ、そう言えば、ベルト、使わせてもらってるぞ」
オベイからバレンタインに贈られたプレゼントはベルトだった。腰のシャツをたくしあげ、それを露出させる。彼女の勝負服とおなじ意匠の。白い、綺麗なベルト。
「Wow!サイズもjust fit でしょ?」
「いっつも一緒にいるからな。そういえば私のはどうだった?」
「あんなに素晴らしいダズンローズは初めて。ドライフラワーだから1年は持つしね」
「ああ。だから、また来年、同じものを贈らせてくれないか?」
「おっと、プロポーズと取ってもいいのかな?」
「ベイにはずっと惚れっぱなしだよ。初めて会った時から」
「ふふっ…I can't be a perfect without you…懐かしいね。いつだっけ?」
「君が2着だった日。覚えてる?控え室で潰れそうになってて」
「Yes yes.I was still inexperienced then, too.So…」
郷愁に駆られたのか言葉の戻るオベイ。その後2人はしばらく語り合い、笑いあったのだった。
≫146二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 22:35:54
一同「「「「「「「トレーナーTV、ちっちゃいトレーナー倶楽部〜!」」」」」」」
イクトレ「👏」
サトトレ「えっと、今日は……『もふもふ天国』らしいね」
黒タマ「モフモフか……わたあめでも作るのか?」
イクトレ「📝」
ブルトレ「えっと…『ウルフドッグを3匹ほど放ったから気をつけたまえ。尚しつけはきちんとしているため億が一にも噛み付いたりの粗相はないからねby天の聲』……」
赤タボ「……やばくねえか?」
黒ルド「オイ…なんか聞こえねえか…地鳴りみたいな…」
イッヌ「「「ワン!!」」
小タマ「ぴぇ……ぴ…ミ……」
黒タマ「小!?どうしたんだお前!?」
赤タボ「それよりこっち来るぞ!?」
一同「「「「「「「「うわああああ!!!」」」」」」」」
イクトレ「😵」
147二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 22:36:10
フクトレ「で、こうなったと…」
テイトレ「うわ…もふもふ……」
フクトレ「ブラトレ、そいつ抑えとけ。今ふわふわに心を持っていかれそうになってた」
マクトレ「モフモフですわ!これで今夜は勝ちですわ!」
フクトレ「1人追加だ」
ブラトレ「よいしょっと……それにしてもこの光景は癒されるな…」
サトトレ「すや…むにゃ……」
赤タボ「あったけえ……なんだこれ…」
ブルトレ「ふわふわ…です……」
黒タマ「1匹だけタマとチビたちに会わせても…いいよな……」
小タマ「くぅ…むにゅ……」
黒ルド「魔ルドみてえ…あったけえ……」
イクトレ「🥱」
ブラトレ「すげえ…幼女達がでけえ犬に埋まってる……」
テイトレ「ずるい…ずるいよ……」
マクトレ「私も!今すぐにダイブしますわ!」
フクトレ「後でな」
おしまい
≫156二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 22:46:52
「…あれ、珍しい」
…いつものように相談がてら歩いてきたサトトレは、珍しく二人トレーナー室で眠るキタトレとキタサンの姿を見かけた。
いつもなら起きて二人して人助けやらなんやら、せわしなく動いているはずであり相当疲れが溜まっていたのだろうか。
(…あ、そういえばテストシーズンだったね。確かプロキオンの何人かは補修になったとか本人達が言ってたはずだし)
…サトノジャッジという同じ競争バとしての立ち位置で会話出来るのは他にはない利点であり、サトトレはそれを使いこなしていた。
「う〜ん、これじゃ相談も出来ないなぁ。二人とも起こしてしまうだろうし、疲れてるのに起こしても忍びない…」
キタトレはともかく、キタちゃんは寝起きがどうという事をダイヤから聞いた事があり、更に二人は抱き合って寝てるのだ。
(ん〜、これどうやっても纏めて起こしそうだね…まあ、急ぎの用件でもないし後日でいっか。)
「せめてキタトレもキタちゃんも過労でぶっ倒れるのだけはやめてほしいかな。…大体周囲の環境のせいとはいえ、ね…」
面倒な娘達のチームトレーナーと数少ない常識側のツッコミ役である。しかも人助けをすることも考慮すれば至極当然の懸念だった。
「後は…これ、チヨトレの文字かな?自分で出来る簡易マッサージとか書かれてる…」
恐らくチヨトレとキタちゃんの二人でマッサージしてるのだろうが、それでも追いついてなさそうだしキタちゃんの方も問題である。
「どうしようか、疲労回復に一日だけで良いから僕がキタトレの肩代わりでもして…」
…交流してきたチームプロキオンの癖のあるメンバーを思い出し
「…ごめん、やっぱり無理だ。寧ろこんな普通のトレーナーならあまり取らない娘達を優先するのはキタトレだけだよ。」
眠る二人に近づくとサトトレは独り呟く。
「改めて凄いよキタトレ、きっと僕じゃこんなことは出来ないだろうから。…君は、やっぱりずっと僕の前を行く人なんだね。」
…ふと、思いついた事を試してから帰ろうと考えるサトトレ。二人に近づくとごそごそと何かを仕掛ける。
「…これでよし、僕からのちょっとした悪戯だ。たまにはこういう迷惑を掛けても許してくれるよね、キタトレ。」
持っている赤い糸で二人の指先を結んだ後、部屋から出てドアに張り紙を貼り付ける。お静かにと丁寧な字を書いておく。
157二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 22:47:26
───その後、起きてきた二人が揃って悪戯に笑ったり、メンバーからは私も寝てみたいだのといった意見も出たのは別の話。
短文失礼しました
上で出てきた過労キタトレより二人でトレーナー室で眠るシーンです。サトトレは2つの立場を上手く使いこなしてます。
キタちゃんの疲労もたまらない訳ないし、トレセンとかいう奇人変人の多い場所で常識人枠の苦労人感は半端ない。
キタトレが大概なんですが、そんなキタトレに色々思ってるサトトレの関係は担当ウマ娘同士のそれとそっくりなんですね。
≫169二次元好きの匿名さん22/03/15(火) 23:39:13
「「アネンジャーズ!!」」
「おい待て」
「何よフクトレノリ悪いわねえ」
「ベガトレは妹の魂入りだろ」
「しかし年齢はベガより上よ?つまり姉!」
「以前複雑そうな顔で『歳上の双子の妹』とかアヤベが呟いてたの見たが?」
「……まあそういうこともあるわよ」
「ねえよ!年上で双子で妹って一行で二回も矛盾起こしてるじゃねえか!」
「ま、まあまあフクトレさん気になさらず……」
「お前もだよスペトレ」
「へえっ?」
「お前もスペの母親のソウルじゃねえか」
「……たしかに」
「じゃあここには姉はあんたしかいないじゃないフクトレ」
「……まあそうなるが」
「「アネンジャーズ壊滅!!!」」
「一人残されたフクトレの戦いが始まる!」
「乞うご期待!」
「しねえよ!戦うこともねえよ!」
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part710【TSトレ】
≫9二次元好きの匿名さん22/03/16(水) 07:26:33
パーラパラパラパラ!!!
言うっちまうの不死鳥パラシンちゃんです!
とりあえず今日は催眠術を覚えたので、適当なトレーナーにえっなことをしてみましょう!
……おや?あそこにいるのは時に曇らせ、時に監禁、時にギャグで、そして単純な雰囲気で言うっちまうのエッチの最前線を走り続けてきたルドトレさんじゃないですか!早速やってみましょう!
「ということで、この五円札を見続けてください!アナタハダンダンイシキガトオノク…アナタハダンダンイシキガトオノク…」
「ふ、え……」
「……なんで成功するんですか、この人トレーナーの中でもチームトレーナーですよね?」
なんてことはさておき、早速試してみましょう!
「まず、名前と年齢と身長と3サイズをお願いしますね!」
「はい、シンボリルドルフ担当、年齢は28歳で、身長163cmで、3サイズは上から95、60、88です……」
「相変わらずのドスケベワガママ傾国ボディですね!私もこんな体型になってみたいですよ!……では、担当とは週に何回するんですか?」
「はい……ルドルフとは、週に」
中略
「それで……」
「はい!もうどうでもいいので次行きますね!一番気持ちよくなれるところはどこですか!」
「はい……まずお耳は、愛の言葉をを囁かれるだけで幸せになります……次に、口はキスをすればすぐに舌を入れちゃうくらいに敏感で……」
中略
「あとは……足も、絡めると……」
「……こんなドスケベボディにドスケベな感度乗っけてるなんて卑怯ですよね?グラビアウマドルにでもなったらどうですか?」
「はい……水着写真集を自費で作って、ご主人様とルドルフに送ります……」
10二次元好きの匿名さん22/03/16(水) 07:26:50
「……私だけ死ぬのは嫌なのでゴルトレさんにも送りましょう」
「はい……」
「じゃあ、あまりにも爛れた生活が聞けたので、催眠解除!」
「……ふえ?あれ、パラシンちゃん……?」
「……あー、ルドトレさん!チョコレートが送られてきたので……」
「いいの!?」
こうして、ルドトレはなんとなく水着グラビア写真集を作ってパラシンちゃんとゴルトレとルドルフとウラトレ先生とスズトレとオグトレとブラトレとウオトレ(親父)に送った。
当然ながらパラシンちゃんのもの以外の写真集はウラトレ先生の手で全て燃やされ、ルドルフとウオトレは血の涙を流した。
そして、ブラトレとパラシンちゃんは破壊力が高すぎたそれを手に冷たくなっていた……
≫57二次元好きの匿名さん22/03/16(水) 19:35:57
Q. G、平気ですか?
「……昨今は暖房完備している家が多いから差は少ないでしょうけど、基本的に寒い地域には出にくいと思うんです。私が住んでいたのはいわゆる豪雪地帯で、人生で一度だけ見かけた個体は寒さで動けないのに表に出てきたはぐれものでした。
だからか、少なくともGに対しては世間で言われるほどの恐怖は感じていなくて……意外と平気、なのかもしれません」
「大丈夫? 無理してない?」
「無理してる」
「……トレーナーさんが素直でネイチャさん嬉しいですよ」
「……ちなみに答える内容の裏付けを取っておこうかなって思って、さっきインターネットで確認したの」
「ほうほう」
「するんじゃなかったって今も後悔してる……」
「……が、がんばって忘れましょうね」
「地面に配置した固定カメラに……すごい、すごいスピードで向かってくるGIFがぁぁ……!!」
「なんで説明するの!?」
「だって! だって怖かったんだもん!!」
「道連れにするなぁ! アタシも言うほど遭遇経験ないんですからね!?」
「ああダメやっぱりダメ! 平気かなと思ったけどやっぱり無理!! あれは! あれはぜったい無理!!!」
「……いっそ繰り返し見ればどうなんですか?」
「発想が鬼!!!」
(終)
見るんじゃなかった(実話)
≫69二次元好きの匿名さん22/03/16(水) 20:54:35
ケツ「僕、Gダメなんですよね」
フク「……!?」
ケツ「なんですかその顔」
フク「いや、意外すぎてな……。ほら、百足とかは平気だったじゃねぇか」
ケツ「他の虫は大丈夫なんですけどね。こう、動き回られるのが……」
フク「あー、なるほど?」
ケツ「それに前に一回、アイツにGのレプリカで悪戯されたこともあるんですよ」
フク「アイツ?」
ケツ「……“お友だち”です」
フク「あぁ……」
≫72二次元好きの匿名さん22/03/16(水) 21:06:49
『ホワイトデーに用意するマーベラスは?』
ホワイトデーそれはバレンタインのお返しとして様々なプレゼントを送り合う日
そんなマーベラスなイベントを見過ごせないというわけで二人のウマ娘は正面玄関でバレンタインと同じく勝手に贈り物を渡しあっていた。
そんな午前が終わり、午後になるとウマ娘たちだけのパーティーが行われた。
そうして暇になったマベトレはいうと
「ねえーマヤトレおにいちゃーんホワイトデーのお返しまだー?」
マヤトレにだる絡みしていた。
マべトレはマヤトレの背中に胸を押し当てのしかかりながら耳元で囁く
「ねぇーホワイトデーの贈り物はバレンタインの三倍返しってきいたよー★いったいマヤトレおにいちゃんは一体どんなマーベラスなお返してくれるだろうー★キャハ☆」
「そこにクッキーがあるだろ」
「いや、それ来賓用のじゃーん。もっとこうマーベラスって感じのとかさー☆」
「いちいち専用のものを作ってられないし、そんなことをしたらマヤノに怒られるだろ」
マヤトレの淡々とした返事にマべトレは少し不満げを表す。
「いいよねーモテる男ってー★まあマヤトレおにいちゃんがモテるところはそういうマーベラスなところなんだろうねー☆」
「今年はマベトレもお返しのプレゼントをたくさんもらってたじゃないか。中にはガチっぽいプレゼントを渡されてあわてて『ざこおにいちゃん男に欲情するなんて……』みたいに煽ったり、
その後サンデーに『良かったね☆』みたいなことを言われて顔真っ赤にするところなんて見てて面白――――」
「あーー☆あーーー★あーーーー★☆ざーーーこ★ざーーこ★★。くそざこマヤトレおにいちゃんにはわからないことだしーーー★」
「……たんまたんま、ウマ娘の力でヘッドロックはガチでまずい」
73二次元好きの匿名さん22/03/16(水) 21:07:06
マベトレの照れ隠しヘッドロックをなんとかしていなし、落ち着かせたマヤトレは時計を見る。そしてこの後の予定を考え、マベトレに質問をする。
「――それでそろそろマヤノ達のパーティーが終わる時間なわけだが、ところでマべトレは担当への贈り物は用意したのか?」
「もちろん用意したよー。もしかしてマヤトレおにいちゃんは忘れちゃったとか?よわよわじゃすまされないよー★」
「いや、もちろん用意したぞ。何をプレゼントするのかなと気になってさ」
「なーんだ☆そっちかー★私は何にするか結構悩んだよーマベの場合何を渡してもマーベラス☆って喜びそうでさー、
だから贈り物の意味を調べて決めたんだー☆『いつまでもマーベラス<幸せ>が続くように』って。ちなみにマヤトレおにいちゃんは?」
「マヤノにはお菓子とかの子供っぽいものじゃなく、少し大人っぽいものを渡そうとかなって」
「うわーろりこーん★」
「だからロリコンじゃねえって」
その声を合図にか扉が大きく開かれ、そして二人のウマ娘が新たに部屋に入ってくる。
元気いっぱいに入ってきたウマ娘は、片方は栗毛のもう片方は栃栗毛の髪色をし、両手に袋いっぱいの荷物を抱えていた。
「トレーナーちゃんただいまー!ってあれマベちんのトレーナーちゃんも一緒?」
「ただいマーベラス☆ってことはアタシたちと一緒だー★」
そうして担当達と合流したトレーナー達はしばしのワチャワチャの後に別れ、担当ウマ娘との二人きりのホワイトデーを楽しんだのであった。
≫90二次元好きの匿名さん22/03/16(水) 22:59:09
「ではこれより!被告マヤトレへの断罪を始める!」
「急に来てなんなんだお前らはよぉ!!」
「ねーなんでそんなローブ被った格好してるのー?へーん☆ださださーーくすくす」
「あっ…あのマベトレさ…ち…近いで…うっいい匂いする」
「マベトレもウブなやつ揶揄うのやめてやれ」
「くそっ…新入り…なんと裏山けしからん…!まぁよい!今回はこの顔だけはいいマヤトレがメインだ!罪状を読み上げろ!」
「はっ!こいつは!マベトレに背中に当ててんのよされ!カレトレとともに担当女子会に引きずり込まれ!ボノトレと同じ更衣室で着替えを行い!挙句の果てにロリコン野郎なのである!!」
「は????処すべきでは???」
「マベトレに文句言え行きたいならカレトレに直接言えボノトレは男だ俺はロリコンじゃねぇ!!!」
「裁判官!このクソッタレマヤトレの鞄に大量のお返しが!!」
「なんだと!?マヤトレ見てもいい?絶対宛先見ないし丁寧に扱うから」
「いやいいけどさぁ…そっちのは触るなよ」
「よし皆のもの確認せよ!」
「おーちゃんとしたやつだ…すごい」
「礼儀に対して礼儀で返すのは普通だろ」
「くそっこいつ心までイケメンだ…!!」
「くそっくそっ悔しい…!判定!死刑!!」
「100%私怨だろてめぇ!」
「うるせぇ俺が法律だ!さぁ皆のものこいつを夜まで袋叩きにせよ!」
「あ、自分この後担当の娘と食事に行くのでパスで」
「は?」
「僕もお返しに一緒に映画に…なんで僕なんかと行くのがお返しになるんでしょうかね?」
「…てめぇらぁ!この裏切り者の唐変木共をぶちのめせ!!!」
「わーモテない男の嫉妬見苦しー」
「…マベトレ今のうちに逃げようぜ」
≫95二次元好きの匿名さん22/03/16(水) 23:05:49
「…(フルフル)」
「…大丈夫ですか黒ルドトレさん?」
…とある部屋に集まったちっちゃいもの倶楽部。そのメンバーのイクブルサト黒ルド黒タマは皆でゲーム配信を行っていた。
サイズの合わないイクトレと機械特攻のブルトレを除く三人で交代しながら進める配信で、今回はSEKIR○を進めていた、が…
「まあ、確かにこの猿は中に百足入ってるもんね…僕も正直好きじゃないし」
「虫は生理的に嫌って人も多いだろうしな」
…そう、見ちゃったのである。切り落とした首から出てくる百足をみた黒ルドがコントローラーを思わず手放してしまったのだ。
勿論タヒんだし、黒ルドが弱点を攻撃する度に出てくると知ってから動けなくなったので、サトトレに代わってもらった。
「慣れるとただ体力多いから面倒なだけだし…やっぱり弦ちゃんとか剣聖相手に弾きゲーする方が全然楽しいけど。」
『サトトレは音ゲーマーだから、リズム戦国というあだ名すらあるこのゲームには最適な人だね』
弱点特効を縛ってひたすら弾きながらしばくサトトレと、いつものボードに書く代わりにコメントを打ち込むイクトレ。
一方で黒ルドの隣で飲み物を渡しながらブルと黒タマは震えるルドトレに優しく声を掛ける。
「誰だって苦手な事はありますから」
「そうそう、俺達は気にしてないから大丈夫」
「ごめん皆…」
『そこまで気を落とす必要はないよ』
「イクトレの言う通りだね。あ、もうすぐ仕留めるから目を瞑っておくといいよ。…っと、これでいっちょ上がり」
そう言って倒してから、目を閉じていたルドトレにコントローラーを渡すサトトレ。
「ここではい、交代。難しいとかつらいと感じたら遠慮なくチェンジしてね。…僕は後でRTAするしリズム掴まないと。」
「分かった、配慮してくれてありがとうサトトレ」
「ううん、構わないよ。丁度良い縛りプレイになったしね」
そんな会話をする中で、黒ルドトレは
(俺もいつかは耐性つけないといけないな…)
と、思うのであった。
短文失礼しました
虫ネタよりゲーム配信中に震えてしまう黒ルドトレです。ゲームのチョイスは作者が最近見てたので選んでみました。
ちっちゃいもの倶楽部は普通にゲームは強そう。音ゲーとかだとサトトレがいきいきしてそうで(体のサイズが割と問題だけど)
≫103二次元好きの匿名さん22/03/16(水) 23:38:01
「なあなあ黒ルド。もしかしてイラストの虫も無理なのか?」
「……そうだなブラトレ、かなりきついかもしれん」
「……うーん、そうなると勧められなさそうですね」
「何がだ、ブルトレ?」
「いや、遊戯〇……現代遊戯〇はあのアレが跋扈するどころか超巨大蜘蛛や蛾も飛び回ってるから」
「……すまん、ちょっとどうなるかわからんからやめとく」
「無しでやるのも楽しいのは楽しいんだけどねぇ」
「となると昆虫族そのものを見ることができない可能性すらあるということですかね」
「……昆虫っぽくない昆虫族ならワンチャン?」
「じゃあ……蟲惑なあれ……?」
「あれ地味に苦手なんだよなあ俺も」
「色っぽい恰好多いですからねえ」
「ちなみに二人の一番苦手なカードは?」
「「でかい白いサボテン」」
「サボテン……?」
サボテン。