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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part226【TSトレ】
≫44デジトレウマ娘化(リメイク)121/10/14(木) 07:37:41
______奇妙な、夢を見た。
自分は、見たこともない生物になっている。
四本脚のその姿は小さく、そして細い。
藁で作られたベッドに寝そべりながら、悶えている。
(脚が、痛い)
夢の中の自分は、どうやら脚に怪我をしている様で、右脚から激痛が走り続ける。
(……夢なのに、痛い?)
一瞬頭に浮かんだ疑問も、痛みによって押し流されて行く。
人間達が何人か自分の周りに集まっている。
その内の一人に注射を刺されると少しずつ痛みが和らいで行く。
治った。と安心したのもつかの間、急に睡魔が襲って来る。
折れた脚を使ってでも逃げ出したくなる様な、おぞましい睡魔が。
「______っ!!」
息が詰まる感覚で目を覚ます。
天井を見ながら荒れた呼吸を整えてから、辺りを見回す。よかった、ちゃんと自分の部屋だ。
感覚も人の物に戻っていると思ったが、直ぐに違和感に気付く。
(なにこれ……耳と、尻尾?)
ウマ娘の身体になってる。
同僚達の身に起こっている奇妙な現象が、ついに自分にも来たのだ。
これはどうすればいいのだろうか、頭がこんがらがって上手く考えられない。
とりあえず、デジタルに連絡しなければ。
45デジトレウマ娘化(リメイク)221/10/14(木) 07:39:11
(ひゃわわぁ………なんて尊いのぉ)
あたしはトレセン学園のサンクチュアリ______じゃなかった中庭で素晴らしい光景を目に焼き付けていた。魂だけになって。
早起きして中庭を散歩していたら同じく早起きしていたらしいグルトレさんとエアグルーヴさんが散歩している姿を目撃していた。
一緒に歩いているだけでもあたしは限界なのにグルトレさんがつまずいてエアグルーヴさんに抱き着いてしまってあたしは失神。
気が付いたら幽体離脱していたが、気配が消えて便利なのでそのまま観察を続けていた。
「アグネスデジタル」
「どわっ!?フクトレさん⁉」
突然声を掛けられて魂だけなのに心臓が跳ね上がる感覚がする。
フクトレさんは霊感持ちだからあたしが見えるんだった。
「デジトレから電話だ。何かあったらしいから直ぐに行ってやれ」
身体と一緒に放置してたスマホに掛かって来た留守電を聞いたのだろうか。フクトレさんの表情はからしてただごとではなさそうだ。
「わかりました!ありがとうございます!」
身体に戻ってトレーナーさんの部屋へ急ぐ。
扉を開けて中に入ると、トレーナーさんではなく見覚えの無いウマ娘ちゃんが座り込んでいた。直ぐ、それがウマ娘化したトレーナーさんだと気付いた。
「どうしよう、デジタル」
涙目で見詰めてくるトレーナーさん。その姿を見てあたしは、感動と興奮で意識を失いそうになっていた。
だって、ウマ娘ちゃんじゃないけどトレーナーさんは同じ志を共にする同士だ。その人がウマ娘ちゃん化したとなったらあたしの理性は崩壊寸前だ。
とりあえず話を聞く為に近付くと、急にトレーナーさんが抱き着いて来た。
彼女の体温や香りが肌から脳へと浸透し、一瞬失神しそうになるが、違和感に気付いて意識を取り戻す。
(震えてる……?)
あたしの身体にすがりついて肩を震わせていて顔色も悪い。
「どうしたんですか?どこか苦しい所でもありますか?」
「わからない。起きてからずっと嫌な感じがしてて……」
「念のため保健室で見て貰った方がいいかもしれませんね」
「そうする……」
力ない足取りで立ち上がったトレーナーさんの手を取って外に出る。
震えが、伝わって来る。
ウマ娘ちゃんと手を繋ぐなんて冒涜的にも程があるが今は躊躇している場合じゃない。
(あたしがなんとかしないと……!)
47デジトレウマ娘化(リメイク)321/10/14(木) 07:40:31
廊下を一緒に歩いていると、テイトレさんと遭遇した。
変貌したトレーナーさんの姿を見て目を丸くしている。
「またウマ娘化……。いや、それよりどうしたんだ?随分と顔色が悪いけど」
「ウマ娘化してから気分が悪いらしくて、今保健室に向っている所なんですよ」
心配そうな顔のテイトレさんが懐からスマホを取り出した。
「先に連絡しておくよ。早く検査出来た方がいいだろし」
「すいません!ありがとうございます!」
テイトレさんにお礼を言ってから先を急ぐ。
黙っていたトレーナーさんも軽く会釈して歩き出した。
それから保健室に着いたあたし達はテイトレさんが先に連絡してくれていたお陰で検査は滞りなく進んだ。
休み休みだが保険の先生の質問に答えていくトレーナーさんだったが、血液の検査と言って注射器を取り出した途端に様子がおかしくなった。
呼吸がどんどん激しくなり、身体を震わせ始める。
「どうしたんですか……?」
「ひゅーっ!ひゅーっ!ひゅーっ!」
声を掛けても返事は無く、荒い呼吸を繰り返している。
心配になった先生が近付いて手を伸ばした瞬間____トレーナーさんが倒れた。
「トレーナーさん‼トレーナーさん‼」
倒れた身体を揺さぶるが反応しない。
失神している。なんで?何か悪い所があるの?
不安であたしの呼吸も不安定になって来る。心臓の鼓動が痛い。
「起きてよ……ねえ………」
その姿も声を掛け続けたが、トレーナーさんは目を覚まさなかった。
48デジトレウマ娘化(リメイク)421/10/14(木) 07:41:19
それから意識を失ったトレーナーさんはベッドに寝かされ、あたしは授業もあるので心配だが一旦先生に任せる事になった。
授業中もずっとトレーナーさんの事が心配でまったく身が入らなかった。
終わり次第、保健室に急ぐと眠っているトレーナーさんの他にスーツ姿のウマ娘ちゃん、フクトレさんが待っていた。
「お疲れ、朝振りだな」
「あっ、お疲れ様ですフクトレさん」
壁に寄りかかっていたフクトレさんがぶっきらぼうに挨拶する。
倒れたトレーナーさんを心配して来てくれたのだろう。
トレーナーさんに視線を移すと朝よりは呼吸も顔色も良くなっているが目を覚ますまでは安心出来ない。眠っている間にも色々検査しても特に悪い所は見られなかったそうだがこのまま昏睡状態が続く様であればもっと大きい病院で本格的な検査も必要になってくる。
「デジトレの事なんだが、話しておかなきゃいけない事があってな」
神妙な面持ちで話し始めるフクトレさん。
一瞬、名残惜しくトレーナーさんを見てから彼の方に身体を向けて話を聞く姿勢を取った。
「ウマ娘化したての人間は人とウマ娘の気配が両方あるんだが、デジトレのウマ娘としての気配が薄くなってる。そして人間の気配もウマ娘化している気配に近い所から薄くなってるんだ」
「……それって」
「気付いたか。流石に勘がいいな」
フクトレさんは霊能能力と言う特殊体質持ちだから周りとは見えている景色が違う。
だからあたしにはフクトレさんに何が見えていたかを完璧には想像出来ない。
ただ、何を言おうとしているのかは分かった。
このまま二つの気配が薄まって行けば、そのまま消えてしまう。
トレーナーさんが、二度と目を覚まさなくなると言う事だ。
「どうにかする方法は無いんですか⁉」
最悪の想像をしてしまい、思わずフクトレさんに詰め寄ってしまう。
フクトレさんも、苦々しい表情でトレーナーさんを見ている。
「俺も考えてはいるがさっぱりだ。心霊現象ならともかく三女神が起こした謎現象なんてどう対処すればいいんだか……」
49デジトレウマ娘化(リメイク)521/10/14(木) 07:42:02
あたしは必死に頭の中でウマ娘化現象に付いての情報を巡らせる。
今まで聞いた話によれば、ウマ娘化現象は人間の身体にウマ娘ちゃんの因子が入り、それによって身体がウマ娘ちゃんの身体に変貌してしまうと言うのが一番多い例だ。また、その因子の影響や身体が女性に変わった事により精神に不調を起こす人も少なく無い。
けれど昏睡状態に陥った人の話は聞いた事が無い。
「デジトレの中で何が起こってるのか知れると良いが、因子に干渉する手段なんてあるのか……?」
「因子に……」
因子はウマ娘ちゃんの魂の結晶の様な物だ。
相手の身体の中の因子に干渉するだなんて、それこそフクトレさんの様な得意体質か継承で自分の因子を送り込むでもしない限り不可能だ。
______ん?
ふと、あたしの中である可能性が浮かんだ。
あまりに馬鹿馬鹿しいが、これなら使えるかもしれない手段が。
「フクトレさん、因子に干渉する方法……見付かったかもしれません」
50デジトレウマ娘化(リメイク)621/10/14(木) 07:43:21
目を覚ますと、俺は真っ黒な空間の中に居た。
暗闇ではない。上も下も周りも全てが黒く塗りつぶされているのだ。
(さっきまで保健室にいた筈だよな……ここは何処なんだ?)
どうも記憶が曖昧だ。
起きていた時もまるで他の誰かが身体を動かしている感覚がして、自分はそれを深い場所から眺めていた。
それで、俺の身体を動かしていた存在……恐らく、目の前でうずくまっている青毛のウマ娘だろう。
「ごめん」
そのウマ娘はゆっくりと立ち上がって話始めた。
「本当は自分だけで消えるつもりだった。でも気が付いたら表に出てきちゃって貴方の魂に近付きすぎてしまったんだ」
下を見ると、自分とウマ娘が白い影で繋がっていた。
「朝見た夢や、保健室での行動は君の物か」
「うん。『こっち』に来る前の記憶だよ。」
恐らく、あの夢はこのウマ娘の最期の記憶だろう。
あれが死の感覚。他人の記憶の追体験であるが、確かにあれ程の恐怖は二度と体感したくない。この娘の恐怖は、俺が体感した物の比ではないだろう。
「人間に生まれ変わりたかったんだ。自分の人生を自分の意思で選択出来る様に。でも、またウマになってしまって……また、同じ思いをするのかって考えたら怖くて消えたくなったの。だけどさっき言った様に貴方に近付いてしまった事で貴方の魂にまで影響が出てしまった」
ふと、自分の手を見ると指先から透明になっていた。
脚も影に繋がっている所から消えかけている。
「このまま離れれば、繋がりが切れて貴女は助かる。巻き込んでしまって、本当にごめんなさい」
そう言って頭を下げるウマ娘。
彼女の中では、俺を巻き込んでしまった罪悪感と、死のトラウマで埋め尽くされているのだろう。
51デジトレウマ娘化(リメイク)621/10/14(木) 07:43:57
俺は頭を下げたままのウマ娘に近付き、彼女の手を取った。
突然手を引かれた彼女は驚愕の表情を見せてくる。
「まって、違う!置いていってよ!」
「いいや嘘だね。本当は消えたくないんだろ」
「っ⁉」
「君の記憶に触れたから分かるんだよ。何も出来ずに死んで行ったのがどれだけ悔しかったか。もっと色んな経験がしたかったって。……じゃあウマ娘でも出来るぞ」
「また同じ事になったら、また走れなくなるかもしれないのに」
「ウマ娘の人生は走るだけが全てじゃない。普通に働いたり、別の競技に挑戦したりと選択肢は豊富だぜ?」
「でも……このままアタシと一緒に目を覚ましたら、貴方とアタシの意識が混ざって別人になるかもしれないんだよ?そしたら、貴方を待っている人がどれだけ傷付くか」
「俺を待ってるのがデジタルだからやるんだよ。アイツなら迷わず君を助ける道を選ぶから」
涙目で顔を歪めている彼女を見た。その表情からは、恐怖とその奥に隠れた期待の感情が読み取れる。口では消えたいと言っているが、本当は生きたいと願っているのはわかる。
だったら助ける以外に道はないし、たとえ他の道があったとしてもそれ以外は選ばない。
「デジタルはウマ娘が大好きでさ。どんな事があっても推し続ける生粋のウマ娘オタクなんだ。だから、性格や容姿が変わったぐらいであの子の心が離れる事は無いんだよ」
俺は今までのデジタルと共に過ごした日々を思い出していた。
多大な功績を残したウマ娘。報われなくても懸命に努力した姿を評価されたウマ娘。心も、身体も折れて立ち直れなくなったウマ娘。道を踏み外してしまったウマ娘。
いろんなウマ娘達を見て嫌な思いもした筈だが、それでもデジタルは変わらなかった。
「例え俺の意識が混ざって無くなったとしても、俺の存在は消えない。デジタルなら俺をちゃんと認識してくれるから」
「……いったいどんな人なの?貴方を待ってる人って」
「言ったろ?生粋のウマ娘オタクだって。アイツはウマ娘の為ならどんな場所にだって行くんだ。芝、ダート、海外と色んな場所に。…………まあ」
______トレーナーさん見つけたあああ!」
本来聞こえる筈の無い聞きなじみのある声。こちらに走って来る小さな人影。
その姿を見てウマ娘は目を丸くしていた。
「まさか人の身体にまで入って来るとは想像してなかったけどな」
52デジトレウマ娘化(リメイク)721/10/14(木) 07:44:57
____話は少し前に遡って。
「魂……因子だけになってデジトレの中に入る⁉」
あたしの提案に目を丸くするフクトレさん。
内容はあたしの尊みで身体から魂が抜けちゃう体質を利用し、魂=因子だけの状態になって継承と言う形でトレーナーさんの身体に入って中の因子に干渉すると言う方法だ。
「だがあまりにも危険だ。最悪、お前まで帰ってこれなくなるかもしれないんだぞ」
「はい、そこでフクトレさんの零体に触れることが出来る体質が要になるんです」
「俺の体質だと?」
「あたしは今からトレーナーさんの中に入って、中の因子と話して来ます。そしてあたしが合図したら、外からあたし達を引っ張り上げて欲しいんです」
「そんな事やった覚えもないし成功する可能性は低いぞ」
「大丈夫です。フクトレさんなら出来るって分かってますから」
「……無茶言いやがる」
頭痛を堪える様に眉間を抑えるフクトレさん。
確かに冷静に考えたらあまりにも馬鹿げている、あたしにはこれ以上の案は思い付かなった。もしあるとしたら、それこそ神頼みぐらいだろう。
暫く考えこんでから、スマホを取り出した。
「わかった協力する。だが少し待て」
「どうしました?」
「見張りを呼ぶ。集中力が必要になる作業だからな」
そう言って誰かに連絡をするフクトレさん。
今の内にあたしも気を引き締めておかないと……!
53デジトレウマ娘化(リメイク)821/10/14(木) 07:45:43
それから少しして、フクトレさんが見張りとして呼んだマンハッタンカフェさんとフクトレさんを探しに来たマチカネフクキタルさんが病室にやって来た。
フクキタルさんはたまたまとしてカフェさんはフクトレさんと同じ霊能力者だから事情が説明し易かったのだろう。
「状況は把握しました。見張りは任せて下さい」
「私も何か協力を……!そうだ!ここは得意の占いで!」
「余計なことせんでいい」
「えぇ……」
フクキタルさんがカバンから何かを取り出そうとしてフクトレさんに静止される。
一瞬落ち込んだ表情になったが、すぐに立ち直った。
ともかく、これで準備は整った。あとは実行するのみです。
身体から魂を抜くには極度の興奮状態にならなければいけない。
普段は不意打ちの尊みで起こっていたが、今はそれを超える衝撃が無いと出来ないだろう。
____正直かなり恥ずかしいが、やるしかない。
眠っているトレーナーさんにゆっくりと顔を近付けて行く。
ウマ娘ちゃんにこんな事をするなんて普段なら切腹モノだが今回ばかりは目を瞑って欲しい。それに、この方法なら一発で昇天出来る。
眠っているトレーナーさんに、ゆっくりと顔を近付けて行く。
「お前まさか……」
あたしがやろうとしている行動を察したフクトレさんが目を丸くしているがもう後には引けない。
あたしは小さく開いたトレーナーさんの唇に自分の唇を、そっと重ね合わせた。
「なっ⁉」
「大胆ですね……」
デジタルがデジトレにキスをした。
突然の行動に見張役のカフェとフクはほんのり頬を赤くしている。
少し驚いたとは言え予想はしていたフクトレはそのまま失神したデジタルとデジトレの身体に手を触れる。目を閉じて、二人の気配に集中する。
「必ず戻って来いよ……!」
54デジトレウマ娘化(リメイク)921/10/14(木) 07:46:59
そして話は現在に戻り。
「トレーナーさん見つけたあああ!」
あたしは気が付くと立っていた真っ黒な空間をウマ娘ちゃんセンサーを頼りに駆け回り、ついにトレーナーさんと、彼の中に入った因子を見つけた。
二人ともウマ娘の姿になっているが、なんとなく驚いた表情の方がウマ娘ちゃんの因子だと分かった。
少し息を整えてから、ウマ娘ちゃんに話し掛ける。
「ここに来るまでにお二人の話が聞こえました。……トレーナーさんの言う通り、あたしは推しがどんなに変わったとしても、その子を応援し続けます」
「でも、今までの彼が消えちゃうかもしれないんだよ?」
「それでもです。今まで色んな路線変更したウマ娘ちゃんを見てきましたが、あたしには皆変わらず輝いて見えました。それはトレーナーさんも同じです。どれだけ見た目が変わろうと、人格が変わろうと、あたしが彼を認識する限りトレーナーさんは変わらず存在し続けます」
「なんで、そんな考えが出来るの……?」
「あたしはウマ娘ちゃんの為ならどんな苦難だって乗り越えられますから。勿論、貴女も対象ですよ」
怯える表情のウマ娘ちゃんに近付き、そっと手を差し伸べる。
「あたしは貴女に色んな物を見せてあげたいし色んな経験をして欲しい。だからお願いです。あたし達と一緒に来て下さい」
「俺も同じ意見だ。ここで君を見捨てる事は出来ない。俺と一緒に前世の分も生きよう」
55デジトレウマ娘化(リメイク1021/10/14(木) 07:48:14
トレーナーさんも彼女に向って手を差し出す。
ウマ娘ちゃんは恐る恐るだが、手を伸ばして来てくれた。
その顔には涙が流れている。
「本当に良いの……?アタシが混ざっても、彼が彼じゃなくなっても……」
「言ったろ。デジタルが覚えていてくれる限り、どれだけ変わっても俺は消えないって」
数秒、中途するウマ娘ちゃんだったが要約決心したのかあたしと、トレーナーさんの手を同時に掴んだ。
弱々しくも、意思の強さを感じる力で。
「と言う訳だデジタル。色々変わってるだろうけどよろしく頼むよ」
「言われなくてもそのつもりでっおおっと⁉」
後ろから強く引っ張られる感覚がした。
フクトレさんが呼んでる。そろそろ戻る時間だ。
身体が浮いて二人から話されて行く。
フクトレさんが、自分の霊力を繋げてあたしの魂を引き寄せているのだ。
「すいませーん!続きは外で!」
「気を付けて帰れよー!」
遠くから聞こえるトレーナーさんの言葉を最後に、あたしはトレーナーさんの中から引っ張り出された。
「この先ウマ娘としての人生が待ってる訳だから、末永くよろしくなアタシ」
「うん、こちらこそよろしくね。俺」
二人のウマ娘の姿がゆっくりと薄れて行き、光の球の様になった。
そしてその球は重なりあって一つになり、暗闇の中に溶けて見えなくなった。
56デジトレウマ娘化(リメイク1121/10/14(木) 07:49:11
目を開けると、デジタルがアタシの顔を覗きこんでいた。
彼女と混ざったからか、自然と一人称がアタシになっている。
二人で数秒間見詰めあってから、笑った。
「ただいま、デジタル」
「お帰りなさい。トレーナーさん」
安心した様に力なく笑うデジタルの頭を優しく撫でた。
少し震えている。本当は不安で仕方なかったのだろう。
でもアタシには
「魂だけで身体の中に入ってくるなんて、随分無茶をして。心配させないでくれよ」
「どの口が言うかよ」
横からツッコミを入れて来たのはフクトレ。
他にもマンハッタンカフェとマチカネフクキタルも居る。
「みんな、トレーナーさんを助ける為に力を貸してくれたんですよ」
「そう言う事だ。心配したはこっちの台詞だよ」
フクトレの言葉に同意する様に頷くカフェとフクキタル。
色々迷惑を掛けてしまったらしい。今度なにかお礼をしないといけないな。
「そういえば、どうやってアタシの中に入って来たんだ?」
その質問をした瞬間、周りのみんなが「あっ」って感じの顔になった。
デジタルに至っては顔が真っ赤になっている。
一体何をしたんだ?
「秘密です!これは絶対に言えません!!」
激しく腕と首を振るデジタル。
フクトレを見ると何故かニヤついてるし、他二人も薄っすら笑っていた。
「ま、あれは言えないよな」
「ですね」
「はい!」
……色々解せないが、気にしない方がいいだろう。
57デジトレウマ娘化(リメイク1221/10/14(木) 07:49:57
「ねえデジタル。早速で悪いんだけどさ……一つお願いがあるんだ」
「……なんでしょうか」
まだ少し顔の赤いデジタルが返事をする。
これは、アタシの一番最初の願いだ。
「名前を付けて欲しいんだ。ウマ娘としての名前を」
「あたしが名付け親ですか!?また責任重大な!?」
「お願い、デジタル」
そう頼み込むと、名前を考えているのかベッドの前でうろつき始めるデジタル。
「これは違う」や「これも合わない」等と色々ブツブツ言っては唸っている。
きっと今、デジタルの中では様々な名前の候補が浮かんでは消えて行ってるのだろう。
「あ、いやでもコレは……」
「良いの思いついた?じゃあそれでお願い」
「でもちょっと露骨と言うか、恥ずかしいと言いますか……」
「デジタルがくれた名前ならどんな物でも嬉しいよ」
こう言うのは変に悩み続けるより、インスピレーションで決めてしまった方がいい。
どれだけ変わった名前になろうともアタシは喜んで受け入れるから。
「……わかりました。じゃあ行きますよ」
そう言うとベッド脇の椅子に座り、アタシの目を真っ直ぐ見詰めて来る。
期待に、胸が高鳴って来た。
「生まれて来てくれてありがとう______アグネスデバイス」
デバイスか。確かにデジタルの相棒に相応しい名前だし、照れるのは分かる。
ともかく、これで漸くアタシはこの世界に生まれる事が出来た。
感極まって思わずデジタルに抱き着くと、彼女は「きょっ」って奇声を上げたと思ったらそのまま白目を剥いて失神してしまった。
そうだった。ウマ娘オタクのデジタルが急にウマ娘に抱き着かれたらこうなるよな。
「締まらねーなあ」と言うフクトレの声を背中で受けながら、アタシは失神してるデジタルに声を掛け続けた。
≫92乗るしかねえこのBWに21/10/14(木) 08:43:07
今日は体調不良でゴメン、休みでいいかな?というメールを受け取ったのが今朝の話
今は健康体だけど前のことから少し不安になってしまったためにトレーナーさんの部屋へ来たら
「あ、フジ。お見舞いに来てくれたのかな?ありがとう」
そこには、胸元を完全に開けっ放しにしてソファに横になっているトレーナーさんがいた。
「えーっと、トレーナーさん、どうしたのかな?その恰好」
私は、思わず露わになっている局部を見ながらそう聞かざるを得なかった
「あ、これ?胸が今やたら敏感になっちゃっててさ。色んなイミで仕事にならないから何もつけてないの」
「あー、成程。そういうことだったんだね……」
私のそんな心内を察したのか、トレーナーさんはその返事を聞いて微笑みながら言う
「気になる?」
「……それは、もう」
あくまでエンターテイナーとしても、一人の恋人としても、紳士的であろうとは思っているしそうできているとは思うけれど流石に恋人の魅力的な局部が露わになっていて完全に気にしないことはできない。
普段なら「そんなことすると貴方の魅力に充てられる人が出てきてしまうから隠してほしいな」というけれど、今回は事情が事情だからそういうわけにもいかない。
「好きにしていいよ」
「えっ」
そんなことを考えていると、爆弾が投げ込まれた
「だって僕とフジの仲でしょ?」
当たり前の様に。確かに健康になってから一線は超えたけれども。
「それに、ここ僕の部屋だし。他に誰も入ってこないから」
ね?と貴方は笑う。今回は完全に好きにしても(例え吸ったとしても)そのまま文句は言わないであろうことも分かる
「こういうとき貴方は本当に狡い」
「今は甘やかしたい気分ってことだよ」
そう言って腕を広げる貴方の胸元に、とりあえず埋もれに行く私だった
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part227【TSトレ】
≫10二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 10:06:44
対になるもの
ーーーその日、ターフの上でキタトレは悩んでいた。
(そろそろ私では力不足かしらね…)
トゥインクルにデビューしたサトトレとのトレーニングだが、担当と一緒に並走したり模擬レースに付き合っていたのだ。
私がレースに出ないことを生かして組めるトレーニングは他ではできない手法のひとつだった。
だが彼女がデビューしてある程度時は流れ、彼女は無敗のステイヤー、審判者という渾名をもらうまでに成長した。
そのため最近では特に模擬レース等で私が負けることも多くなり、実力が足りなくなってきていることを自覚していた。
(キタとダイヤちゃんはそう簡単に組めないけど、かといってこのままでは遠くないうちに限界ね)
ちなみに彼女のトレーナーは私でもある。サトトレが競争バとなる時に名前だけ貸したからであった。
どうしようかと悩みつつ、私は今日の模擬レースの準備を始めた。
ターフの上で、ジャージに身を包む私とサトトレ、いやサトノジャッジ。
「今日もよろしくお願いします」
「いいわよ、足掻かせてもらうわ」
そう言いつつ考える。
(走法や脚質は既に色々試したし、今日は安定の
逃げで行くかしらね。…それでもきついけど)
4000m右回り芝、普通のウマ娘ならあまりしない距離だが私達は何度もやる距離だった。
タイマーをセットして構える、サトノジャッジの雰囲気が変わる。
11二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 10:07:46
ピピッ!
タイマーのアラーム音がなった瞬間、二人揃って飛び出した。
彼女は追い込み、私は逃げ。早速ペースを上げることで持久力勝負と持ち込む。
この距離でそれについてける子は少なく、ジュニア期くらいの子ならステイヤーでもバテる程。
しかしサトノジャッジはステイヤー、中長距離無敗の彼女相手には微妙なものだった。
(食いついてくるわね…スパートまでに体力を削っておかないと)
コーナーを超え、直線に入っていく
そのペースを維持したまま気付けば半分を超えていた。
依然として彼女はついてくる。私も体力を切らすことはないがジリ貧だ。
(このまま負け続ける訳にはいかないのよ…!)
自分に叱咤しつつ脚を動かす、感覚がブレる。
後ろの彼女は楽しそうに口元に笑みが浮かぶ。
3000m地点、そろそろ仕掛けて来る頃合いだ。
チラリと後ろを見る、彼女はまだ余裕そうだ。
(また負けかしら…)
ふと思う、諦めかけた瞬間だった。
「トレーナーさん!」
遠くでキタの声が聞こえる。練習を早く終わらして来たのだろうか。
(…そうね、情けない所を見せ続けるなんてみっともないわ。)
(だからこの体、まだ引き出せるでしょう…!)
ーーー私を制御する気か
「ええ、使わせてもらうわ。」
ーーー私は俗にいう気性難だぞ、お前ができるとでも?
「私はどんなものでも抑えてみせましょう。例え何でも。」
ならやってみせるんだな
12二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 10:08:44
ーーー私が無意識に掛けていた軛を外す。
その瞬間、暴れ狂うような本能が襲う。
人生で経験することのないであろう強烈な感覚
獰猛な獣の如きそれを理性で制御する、流れを上手く抑えるように。
綱渡りのようなそれを成功させ、限界を超える。
ーーーゾーンに入る、世界が塗り替えられていく。
ダークブルーの夜空の下で、彼女を中心に闇が広がっていく。
暗闇の中で紅く染まった眼を輝かせて走る。
それは全てを飲み込むように。
身体中が熱く感じるなかで速度を上げていく。
ジャッジを引き離していく、ジャッジも光として追い上げてくる。せめぎ合う互いのゾーン。
じりじりと詰められていくが、いつもとは全然違い光が追いついてこない。
(…私の勝ちよ!)
400mを切る、ジャッジはまだ追いつけていない。
200mを切る、追いつきかけてきた。
100m、私の背中に手が届きそうになる。
追いつかれる直前、ゴール板を踏み越えた。
レースが終わり、驚いた顔をするジャッジに笑いながら言った。
「まだ私も負けてられないわよ。貴方のためにもね」
「あはは…やっぱり貴方は強いや」
顔を見合わせ、二人で声を上げて笑った。
固有スキル「ヴァーティクト・デイ」のレベルが上がった!
≫19二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 10:15:50
ハロウィン仕立てのミートパイ、デザートにスイートポテトを添えて オグトレ
「ブライアンにかぼちゃを食わせたい?」
「そう!ハロウィンの時期だし、何かいい案ないか?」
そうか、もうそんな時期か。俺は一考し、ナリタブライアンのトレーナーに少し早めのハロウィン色の食事会を提案した。かぼちゃをメインにサツマイモもいいだろう。デザートはライスシャワーのトレーナーに少し相談しておこう。お菓子作りに関しては間違いのない相手だ。
「それはいいな!」
尾を大きく振り、耳を動かす様子はまるで大型犬のようだ。日程を相談し、ブラトレと別れた。学園内を歩きながら、レシピを構成する。ブライアンは肉好きだったはず、それならミートパイが良さそうだ。デザートについて相談するためにライトレのトレーナー室に入る。
───コンコン。
「ライトレ、入るぞ」
「オグトレじゃないか、どうしたんだい?」
大きくはねた髪を揺らし、こちらを見る。手にはたくさんの絵本があった。ブラトレとの食事会について説明し、デザートの相談の旨を伝える。
「僕なら、そうだね…スイートポテトはどうだろうか」
「スイートポテトか」
「ジャック・オ・ランタンやおばけの形にするだけでも雰囲気も出せる。甘いから野菜の食べないブライアンも食べるんじゃないかな」
「なるほどな…ありがとな、ライトレ」
俺はライトレのトレーナー室をあとにし、当日までの準備を始めた。
20二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 10:16:13
食事会当日。
ハロウィン仕様に飾られたテーブルに、オグリとブライアンが鎮座する。
「ハロウィンか…」
「楽しみだな、ブライアン」
眼を輝かせる2人を見つつ、俺たちも調理を始める。エプロンを身に着け、並べられた食材と調理器具。
「この前教えた通りによろしく頼む」
「もちろんだ!」
ブラトレと息を合わせながら、パンプキンミートパイを作る。一度事前打ち合わせとして2人で作ったが、飲み込みの早いブラトレは手際がよく、とても助かる。ジャック・オ・ランタンの顔に焼かれたパンプキンミートパイが出来上がる。
「よ、よし…!」
「この前できていたから、落ち着いてやればいい」
ブラトレは料理はできるが、お菓子作りは苦手のようだった。打ち合わせの際はミートパイのようにいかず、何回か作り直しをしていた。料理と異なり、適切な量をしっかり守らねばならない辺りが苦手意識を生んでいるのだろう。
「おばけの形に整えて…」
「問題なさそうだな」
ブラトレがおばけの形に整えられたスイートポテトにチョコペンで顔を描いていく。ハロウィン仕様に可愛らしくできたパンプキンミートパイとスイートポテトを並べる。眼を更に輝かせる2人に俺たちは召し上がれ、と声をかけた。いただきますと料理を口にする。満足そうな笑顔で料理に舌鼓を打つ2人に俺たちは眼を合わせ、拳を合わせた。
≫107ガンギマリ頭スズトレ21/10/14(木) 11:04:22
「…うわぁ、完全に降ってるね…」
「近くに店なかったら危なかったですね…」
コンビニの入り口でスズカと窓から外の様子を伺いながらそう呟く。
外は数十分前からビックリするほどの大雨となっており、今もザーザー音が室内に大きく響いている。
「しばらく止みそうにないですし、どうしましょうか…」
「門限近いから止むまで待つ、はできないしね。…傘買ってこうか。私が出すから。」
「すみません、お願いします。」
「気にしないで。コンビニ傘も実はかなり使えるし買い替えの手間が省けたと思おう。」
スズカを慰めながら傘の売ってそうな場所へと歩を進める。しかし…
「まさか1つしか残ってないなんて…」
「言われてみれば、入店した時お客さん多かった気がしますので多分同じこと考えてたんでしょうね…」
買えたのは辛うじて1本のみ。私もスズカも折りたたみは持ってきてないから、これでなんとかするしかない。
「相合傘する?」
「ですね。」
あっという間だった。
108ガンギマリ頭スズトレ21/10/14(木) 11:04:45
すっかり暗くなり、雨音だけが響く街中を2人で1つの傘の下、共に歩く。肩に当たる雨がちょっと冷たい。
「…トレーナーさん、肩少し出てますよね?」
「うん、身長差あるからどうしてもね。」
前より身長差は小さくなったけど、それでも7cmはある。どっちか濡れるなら私の方がいい、そういう判断だ。
ただ、当然スズカは不満そうにしている。表情に変化がないくらい些細だから、わかる人は少ないと思うけど。
うーん、どうしたものか。仕方ないこととはいえこの状態で別れたくないため、少し考え込む。
考え込んで、閃く。
「…ねえスズカ。」
「なんですか?」
「もう少し私の方に寄れる?」
「…!分かりました。」
すぐに私の意図を察したのか、スズカがその体を私にくっつける。
よし、これで…
「…うん、ギリギリいける。スズカの方は当たってない?」
「はい、大丈夫です。これで行きましょう、トレーナーさん。」
一度止めた足を再び動かす。スズカと接してるところから彼女の温もりが私に伝わり、肩から入ってくる寒さを消し去る。
「暖かいですか?」
「…うん、あったかい。」
「ならよかったです。」
夜の冷気が世界を包む。だけど、あるところにはやんわりとした温かさが、道のように残っていたという。
≫147二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 12:02:34
『げーみんぐブラマル~メト〇イドぜろみっしょん編~』
「えっなにこの収録部屋。いつものところじゃないんだけど」
「ようこそ…アホの部屋へ。いや誰がアホだ!…本当に導入これでいいのか?え?結構評判よかったの?」
「ブラトレ?あー、もしかしてトレセンTVの差し金?」
「いや、それとは別件。いや前にメト〇イド最新作やってたじゃん。TVの範囲で終わっちゃったから途中で切り上げになったけどその後どう?」
「……頑張ってクリアした」
「おおー。どうだった?」
「いや怖い!楽しかったけどめちゃ怖かったんだ!ああいうシリーズなの!?」
「あそこまで恐怖体験!って感じのシリーズじゃあないんだけどねー。…っていうわけで」
「え?」
「せっかくなんで2Dメト〇イドを全部やってみましょーっていう。ついでに好評だったら別のゲームもだらだら遊んでいくよっていう企画」
「成……程……?」
「題してブラマルのんびりゲーム実況ってやつだー。イエーイ」
「イ、イエーイ?これ大丈夫?あっちと収録かぶって忙しくなりすぎない?」
「まあ大丈夫っしょー。さて今回やるのはー?これー。メト〇イドゼロミッション。初代リメイク!遊びやすくなったぞ!」
「えっこういうのって初代そのものからやり始めるんじゃないの?」
「あーそれなあ……フクトレと相談したんだが、操作性とか諸々考えてやりやすいほうがいいだろってなった」
「なるほどねえ……ちなみにそのWi〇Uは?」「俺の私物」「ええ……」
~~~~~~~~~~~~大体3時間目くらい~~~~~~~~~~~~
「み゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛ぃ゛い゛い゛い゛い゛い゛い゛離゛れ゛て゛離゛れ゛て゛離゛れ゛て゛!゛」
「ビーム撃てビーム!あっ違うボムだ!
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛体゛力゛が゛ひ゛ど゛い゛こ゛と゛に゛!゛あ゛っ゛毒゛液゛ぎ゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!゛」
「ああああああ耳ィィィィィ!」
148二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 12:02:58
~~~~~~~~~~~大体5時間目くらい~~~~~~~~~~~~~
「終わったなあ。感想どう?」
「フリーエイム無いの地味につらい!あとメト〇イドめっちゃ怖いんだけど!?」
「マイクがお釈迦にならなかったのはEMMIさんに感謝だな……」
「あーでもシンプルに遊びやすかったね。ボスそんなに強くなかったから助かる」
「いやまあ初手ドレッドしたから余計そう思うだろうなあ」
「ドレッドは何十回GAMEOVERしたか覚えてないからねぇ」
「ちなみにこのころのはかなり自由に攻略順決められるからリドの字からぶちのめしてもいけるぞ」
「嘘ぉ……」
「ま、それくらい自由だけどある程度導線がしっかりしてるのはいいところだな」
「そうねー、誘導少ないけどあんまり迷わなかったし」
「ギリギリまで縛るとアイテムもほぼ取らずにクリアできるのがこのシリーズのいいところだな」
「まあそれすると滅茶苦茶大変だけど!」
「ま、そんなところかな。楽しめたみたいで何よりだ」
「うん、これ結構好きなシリーズかも」
「んじゃあ次回作のリターンズもやってみようそうしよう。…ところで、リメイク版がいい?原作版がいい?」
「どういうことで?」
「いやほら、撮影機器的な意味で」「ああー……」
「というわけで次回もよろしくぅ。あ、トレーナーTVと違って不定期だからなー」
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part228【TSトレ】
≫11二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 14:50:01
三人の酒宴
夜、ファイトレの部屋にて
予定が合った私ことファイトレとドベトレとカフェトレ(ケツ)で飲み会をしていた。
最初こそ落ち着いて呑んでいた三人だが、私がファインの家から届いたバーボン等を開けてから、酔いまくった結果
カフェトレは気に入ったのか注いで割らずに飲み、ドベトレは甘えるようになった。
「えへへ~ふぁいとれしゃん…」
ポワポワした顔で名前を呼んでくるドベトレ。正直かわいいと思いつつ頭を撫で、カフェトレに話しかける。
「カフェトレ」
「ん…なんだい?」
アルコールが入ったお陰で敬語が崩れてきているカフェトレに、
「注いであげるからグラスをこっちに。」
「おお、ありがとう。美味しいなこの酒…」
「あちらから送られてきた年代物だからね、割と高価なものだよ。」
「それにしては5本以上あるみたいだが。」
「宴会とかで出してもらうつもりなんだろうね…度数高めだから大量にあっても潰れる人多いと思うけど」
「あ〜わたしにもちょうだい〜」
「…分かったから少し待ってね」
そう言った後に水で割ったそれを渡す。ドベトレはそれを一息に飲み干した。
「おいしい〜」
「そうだね、ゆっくり飲もうか」
「…親みたいだな」
ボソリと呟いたカフェトレのそれに思わずクスッと笑ってしまう。
「…可笑しいのか?」
「いや、そう言われたことはあまりなかったものでね。」
「あなたが世話をやいたり手助けする姿を見るとな、そう見えなくはない。ちょうど今みたいに」
「はははっ、ほっとけないだけだよ。助けないことの方が多いからね」
「あれだけ手伝いを頼まれといてそんな訳はないな」
「ふぁいとれしゃんは〜いつもてつだってるすがたをみるよ〜」
12二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 14:50:29
二人から押される、反論しようかと思ったがやめて
「…そうだね、君たちもだけど」
二人はアルコールで赤い顔を更に赤くした
「!…そうかな」
「えへへ~」
「さて、まだあるし飲もうか、時間は忘れていいからね」
あれから更に数本を空にして、一時間以上たった後、やはり酔いがまわったのか二人とも夢の世界に旅立っていた。
後片付をしつつ、眠る二人を送ろうかと思ったが、幸せそうに眠る顔を見るとその気も失せてしまった。
あまり使っていないシーツを取り出してかける。
「今日くらいなら構わないよ」
聞いているはずもないが言っておく。
(さて、残りは飲みきっておこうかな)
残った瓶を片手に座る、隣には二人が眠る。
ーーーそのまま夜は飲み明かしたのだった
≫23二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 15:03:28
相合傘
「私とした事が…失敗したな。」
一通りのトレーニングを終え、帰ろうとした矢先、
雨が降り出してしまった。
「たまたま会った
ナカヤマフェスタとか言うウマ娘に、
今日は降らないと聞いていたのだが…」
どうしたものかと考えていると、
「ん?どうしたんだ?マーチ。」
「お、トレーナーか丁度いいところに。
実は傘を忘れて来てしまってな、
どうしたものかと悩んでいたんだ。」
「…それなら」
トレーナーは折り畳み傘を渡して来た。
「これを使って帰るといい。
俺は走って帰るから。」
「でもそれじゃ、お前が濡れてしまうだろう。」
「いいからいいから、気にすんな。
そんじゃ、また明日な。」
そう言って走って帰ろうとするトレーナーの
「まて」
腕を掴んで引き止めた。
24二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 15:04:08
「うわっ、ど、どうしたんだマーチ?」
「一緒に使って帰るぞ。」
「え?」
「2人で濡れずに帰れる、その方がいいだろ。」
「…いや、大丈夫だって。
走って帰れる距離だし、
俺バカだから風邪とか引かないし…」
「貴様がそのまま帰るつもりなら
私も差さずに帰る。それでもいいのか?」
「…それはずるいぞマーチ…」
「何とでも言え、さっさと行くぞ。」
帰り道
慣れない事で恥ずかしいのか
顔を僅かに赤くしているマーチトレと、
少し嬉しそうに尻尾を振っている
フジマサマーチがいたらしい。
≫30二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 15:22:52
「うーん。中々良い感じに撮れないなぁ……? やっぱり私じゃ、お姉ちゃんに手伝ってもらわないとだめなのかな……」パシャパシャ
「……なあ、カレトレ」
「あ、お兄ちゃん! なーに♡ もしかして、私の顔が見たくなっちゃった? なんて♪」
「カレンチャンはどこに?」
「……お姉ちゃんは、しばらく部屋で一人にしてほしいって。何か嫌なことがあったみたいなの。私も、何かしてあげられたらいいんだけど……。でもでも、お姉ちゃんはきっと大丈夫だよ! 昔からお姉ちゃんは一人で何でも出来ちゃうんだもん!」
「……そうか」
「ねえお兄ちゃん……。もしかして私、何かしちゃったのかなぁ。お姉ちゃん最近変なんだよ? だって──」
「……カレトレ」
「私のこと、急にお兄ちゃんなんて言うんだもん。私はずっとお姉ちゃんの妹だったのに……」
「…………」
「それでね! カワイイ写真を撮れば、お姉ちゃんも喜んでくれるかなって思ったんだけど、やっぱり私だけだと上手に撮れないの! もしよかったらなんだけど、その……、お兄ちゃんにも手伝って貰えると嬉しいかな……」
「そうだな……。よし分かった。手伝うよ、カレトレ」
「ほんと! えへへ……、お兄ちゃんだーいすき! ……なんちゃって♪」
「…………」
「お兄ちゃん、大丈夫? さっきから様子が変だよ……? すぐ黙り込んじゃうし……」
「いや、なんでもない。なんでもないんだ、カレトレ」
「ほんとかな―? 無理しちゃ駄目だよ? お兄ちゃん、昔からいっつも自分一人で抱え込んじゃうんだもん」
「…………なあ、カレトレ。俺の名前、ちゃんと覚えてるか?」
「うん? お兄ちゃんはお兄ちゃんでしょ?」
「…………」
「ほら、また黙り込んじゃった」
「…………そうだな。じゃあ撮るからな、カレトレ」
「うん! お兄ちゃんありがと♪ じゃあカワイく撮ってね♡」
うまぴょいうまぴょい
こんな感じ?
でもこれ記憶喪失っていうか記憶汚染だな
≫46二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 15:56:58
いま頑張って書いたけどちょっとこれ以上は思いつかないっす
うーん……あ、クリークおはよう。
ああ、これ?部屋で資料探してたら出てきたんだけど、不思議なんだ。
アルバムみたいなんだけど、どこにも僕がいないんだ。
……ううん、僕どころか、ウマ娘が家族らしく写ってもいないんだ。
ほら、僕ってすごくクリークに似てるでしょ?
だからもしこれが僕に関する誰かのアルバムなら、すぐわかると思うんだけど……うーん。
このアルバムの本当の持ち主が見つかったら、返してあげなきゃね。
それにしても、不思議な家族だよね。お父さんとお母さんが二人ずつ、なんて。
途中で一人ずついなくなっちゃうのは、きっと。そういうこと、なのかな。
真ん中のこの男の子、辛かっただろうね。
でもその後の写真を見ると、とっても元気そうなんだ。ちゃんと四人ぶんの愛情をいっぱい受けて育ったんだね。
ねえ、クリーク。
上手く思い出せないんだけどさ……僕のお父さんとお母さんって、どんな人たちなんだろうね。
分からないときは昨夜のSSをチェック!(ダイマ)
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part229【TSトレ】
≫54二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 18:12:08
「…トレーナー、なにそれ」
「ん…これ?トレーナー室に置いてあってさ、膝に乗せとくと落ち着くしこんなふうに抱っこすると暖かいんだ」
「ふーん…なんでそんなやつ…」
「ふふ…愛嬌があって可愛いね…テイオーも抱っこする?」(小首傾げ上目遣い)
「うっ…いや…そいつじゃなくて…トレーナーを…(小声)」
「そうか?可愛いのに…ね」
「あっこいつ!ボクを見て勝ち誇ったように笑った!トレーナーそいつ貸してよ!燃やしてやる!」
≫58二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 18:15:15
クレーンゲーム前
「フジーこれ可愛くない?」
「確かに。ポニーちゃん達の中に欲しい子がいたらプレゼントしてあげようかな」
「おーけー。おじさんがんばっちゃうよー」
≫66二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 18:25:49
「う〜ん、なんでしょうか……」
「あら、トレーナーさんどうかされましたか?」
「あぁグラス、良いところに」
「……龍? ……の、ぬいぐるみですか?」
「蟷螂獅子龍……との事ですが……巷では流行っているのでしょうか?」
「いえ、見ないですね〜……貰い物ですか?」
「トレーナー室に来たら置いてあってね」
「そうなんですか?」
「グラスも誰が置いたか心当たりは無し……と?」
「はい、そうですね」
「…………ふむ」
「……? トレーナーさん? 短刀なんか取り出してどうするんですか?」
「仮にも女子校だからね……盗撮や盗聴の疑いが無いか調べないと……」
「……そうですね……中身を確認しておかないといけませんね」
「では…………えっ!?」
「ぬ、ぬいぐるみが逃げましたよ!?」
「お……お、追うぞグラス!!」
「はっ、はい!!」
残念ながら見失ったとさ……
≫74キングの人21/10/14(木) 18:31:44
「なあキング、クレーンゲームの中にぱかぷちと一緒にこんなんあったから取ってみたんだけど。」
「何かしらこのデザイン、龍のような身体だけど頭が獅子で腕がカマキリみたいね。」
「あ、製造業者の名前乗ってる、えー・・・と。」
「・・・お母さまぁぁぁぁぁぁ!?」
それはそれとして自分のぱかぷちを抱きしめているトレーナーに相変わらずキングの自信以外の何かが壊れた
≫75二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 18:32:35
では
昼過ぎからぽつぽつと降り出した雨は、トレーニング終了1時間前から突如滝のような雨に変わった。
「雨が強くなってきたし、さすがにトレーニングは終わりにしよう」
走っているヒシアマゾンに、ゴールと書かれた看板を傘にしながら声をかける。
(ピカッ……ゴロゴロゴロ……!!)
「うわあっ!?」
「ひゃあっ!?」
声を上げ、トレーナー室へ走る。
「いや~、びしょぬれだな」
ぬれねずみになった相手を見て、互いに笑みがこぼれる。
「着替えはあったはずだから、シャワー浴びてきなよ」
「トレ公だってずぶ濡れじゃないか、アンタが先に……」
「いいから、ヒシアマが早く出れば俺も早く浴びれるんだから」
無理やりシャワー室へ押し込む。着替えはこっちに……、彼女の着換えはあったが俺の服がない。
ウマ娘になる前の服はあるがさすがにでかすぎる。そのうえ、下着がない。
そうしているうちに、彼女が戻ってきた。
「ほら、早くあったまってきな」
「どうしよ、ヒシアマ。俺の着換えがない」
「……アタシのジャージ着るかい?」
「そうする……」
76二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 18:32:53
窓の外は雨がざあざあと降り、時折雷が光っている。
「あと1時間ぐらいで、小雨になるって。それまでここで雨宿りしよう」
ノートパソコンを取り出す。明日やるはずの書類を、この時間に終わらせよう。
画面と向き合って数分、ふと顔を上げると、彼女はウロウロとして手持無沙汰なようだった。
「そうだ、ヒシアマ。料理本があるけど読む?
俺が初めて買ったやつなんだ。」
昨夜懐かしくなって鞄に入れていたことを思い出す。
「小説に出てきた料理を再現するってやつなんだけど」
「へぇ、アンタが……。面白そうだね」
本を受け取った彼女は、ソファに座る。
──閃光が落ちる。直後どぉーんと腹に響く音が鳴る。
「「うひゃあ!?」」
慌てて窓のそばの机から離れて、ノーパソを持ったまま彼女のとなりの座る。
「相変わらず、雷苦手なんだな」
「そういうアンタだって。前は平気だったろ」
「耳が良くなったからさ、急に大きい音が鳴るとね……」
キーボードを打つ音と本をめくる音が流れる中、2人の時間は過ぎていった。
≫81二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 18:42:44
「おい、トレーナー。何だこのぬいぐるみ」
「なんだろうなこれ。よくわからんがいつの間にか流行ってるやつだ」
「……不思議なオーラを感じる」
「奇遇だな、俺も感じる。でもなんかネイトレさんがせっかくだからあげましょうかって言われちゃねえ」
「……もふもふはしているな」
「案外悪いもんじゃないのかな……?とりあえず綺麗にはしておこう、っておーいブライアン、もふもふから戻ってこーい」
≫85二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 18:50:43
(ケツカフェです)
「おはようございますカフェ……なんですかそれ」
「……昨日クレーンゲームで取りました」
「……」
「……」
ソンナニミナイデー
「……愛嬌ある顔してますね」
「……トレーナーさんも……そう思いますか?」
「……」
「……」
アナガアイチャウー
≫89二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 18:58:23
「おはようございますマックイーン、今日もいい天気ですわね」
「ええ、おはようございますトレーナーさん。そうそう、こちらをご覧くださいまし!」
「へえ、何が────ッ!?」
「トレーナーさん?」
≫90二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 18:58:34
「ルドルフー、なんか取れたよ」
そう言いながらトレーナー君が持ってきたのは……どことなく殺意と自省を抱かざるを得ない風体の……竜だろうか?そんなぬいぐるみだった。
「トレーナー君、これは?」
「カマキリライオンドラゴンだって、なんだろうね?」
そのゆるい顔とふわふわした鬣が気に入ったのか、胸の辺りで抱き締められているそれは、どことなく反省を促しているように思える。
「……少し私にも触らせてくれ」
「いいよー」
そう手渡されると突然景色が変わる。いや、これは幻覚だろうか?
その空間はピンク色の空、白い草、そして大きな龍があった。
『……トレーナーいいよね……』
「……言いたいことはわかる。だが……」
"彼女は私のものだ。ただ、抱きしめられたまま寝る権利は赦そう"と続けると、その龍は笑顔になる。……いいのだろうか、それで。
そして意識が戻ると、先程と10秒も変わっていなかった。
「……ルドルフ?どうしたの?」
「……ああ、問題ない。少し疲れていたようだ。抱きしめているとついつい気持ちよくなってしまった……」
ふと、龍の顔を見ると"自制心ついたな"と言ってるような気がした。
≫95二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 19:01:34
「あら~?トレーナーさん、この子はどうしたんですか~?」
「あ、その子はね、福引の景品で貰ってきたんだ」
モラワレター
「そうなんですね~。名前はなんていうんでしょう~」
「えっとタグに書いてあるはず……カマ、ライ、ゴン?」
「う~ん……聞いたことがありませんね~」
「クリークも?うーん、でも一人ぼっちは寂しいだろうしな……」
トモダチホシイ
「それじゃあ、以前取ったぱかプチの子たちに、お友達になってもらいましょう~!」
「おー!賛成!早速いい感じの子を探しに行こっか!」
イッショニサガスー
≫103二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 19:08:12
「トレーナー、これ何か知ってる?」
「何それベガ、なんのキマイラ?闇文明のクリーチャー?」
「文明?く、クリーチャー?いや、なんかオペラオーが渡してきた……」
「よくわからんけど妙な可愛さがあるわね。あとアルは気に入ってるみたいだよ」
「ううーん……?ま、まあそれならトレーナーに渡しておこうかしら」
「そう、ありがとね」
「……どうして頭の上に?」
「なんとなくこうした方がいい気がした」
タカイタカーイ
「…‥なんか喋ってない?」
「気のせいでしょ?」キノセイダヨー
≫107二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 19:10:40
「なんか変なぬいぐるみを手に入れてしまった…
流石にマーチにあげるのもなぁ。」
「!トレーナー!
その小脇に抱えているぬいぐるみは、一体どうしたんだ!」
「え?これか?
なんか暇つぶしにクレーンゲームやってたら取れてな。
見た目もよくわからんし飾っとくのも…」
「欲しい!トレーナー!
そのぬいぐるみ私にくれないか?」
「…え、これ?いいけどもっと良いのが…」
「いや、これが欲しい!」
「そ、そうか…ならほら。」
「感謝するぞ!トレーナー!」
「………あれそんな人気なものなのか?」
≫111ドベトレとスペトレの人21/10/14(木) 19:16:11
ドベトレ「キモッ!!!!」ヌイグルミポイー
ドーベル「兄さん!!(半ギレ)」ドゴォ
ドーベル「可愛いっていいなさい。」
ドベトレ「カワイイ。……やっぱキモイわ……」
ドーベル「兄さん!!(全ギレ)」ボコォ
≫116二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 19:23:17
「...!ブルボン、それは?」
「これでしょうか?このぬいぐるみは先程商店街の福引で取得した最近流行しているカマライゴンぬいぐるみです、マスター」
「ぬいぐるみ、ですか...」ソウダヨー
(前に何処かで見たような...)
「・・・」スッ
「?どうかなさいましたか?拳を突き出して」
「いえ、何でもないです。良かったですね」
「はい、マスター。今日からウサギと共に留守番を任せます」
(多分気のせいです。ただのぬいぐるみですよね)
...アブナカッタ
≫117二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 19:23:38
タマトレ「うーん?」
タマ「トレーナー?どうしたんや?」
タマトレ「さっき大学の同期から荷物届いてな...」
\メカカマドラゴン/\カマドラゴン/\アコウカマシシサイ/
タマトレ「自衛隊のマスコット候補だって...」
タマ「かわええ...トレーナー?要らないなら貰ってええか?」✨✨
あんなに目を輝かせて...kawaii
タマトレ「ああ、いいぞ可愛がってやれよ」
タマ「おおきにな!トレーナー!」
(かわいいか?)
≫119二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 19:25:49
「見て、ヒシアマ!これ可愛い!」ドヤァ
「あっ、ここほつれてる……」
「ほら、ちょっと貸しな!チャチャッと直してやるよ」
「ありがとう」アリガトウ
≫135二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 19:41:01
DK組カマライゴン
「なんだこのぬいぐるみ…」
「カマライゴン…へー…可愛い」
「いやめっちゃ腹立ちますわ」顔面横に引っ張る
ノビルー
「すげぇ伸びるなこいつ…」
「感心してんなフクトレ!やめろ何でそんな事すんだ!」
「私の魂がこいつの存在を許しませんの…」
「ブライアンとかは地味に気に入りそうだが…俺は分からん」
「なんで!よく見てみろこの鎌みたいなの!柔らかくて可愛いじゃんか!」
「ふーん…確かによく見てみると…やっぱりクソ腹立ちますわこいつ」両方の鎌を握ってぐるぐる回す
メガマワルー
「やめろ!やめて!いじめるな!」
「なんでテイトレはそんなにこいつ気に入ってんだ…」
≫147ロブトレヒロイン概念21/10/14(木) 19:55:03
ロブトレとカマライゴン
机の上に置かれたカマライゴン
ロブトレ「……」
キョロキョロ
ドシタノー
スーッ……キョロキョロ……スッ……ギュッ
ワー
モフ、モフ……
キモチイー
ロブトレ「……可愛いですね……」
ロブロイ「こんにちは、トレーナーさん」
「!!」後ろに隠すロブトレ
ロブロイ「あの……どうしたのですか、トレーナーさん?」
ロブトレ「いえ、なんでもありませんよ、フフ」
ロブロイ「?そうですか?その……トレーナーさん、ここに置いてあったぬいぐるみ……その、知りませんか?」
ロブトレ「え、ぬいぐるみ、ですか?」
ロブロイ「はい……その、ライスさんと一緒にUFOキャッチャーでとったんです」
ロブトレ「あ、そうだったのですね……もしかして、これのこと、でしょうか?」
ココダヨー
ロブロイ「あ、この子です!ふふ、なんだか独特のデザインで可愛いですよね」
ロブトレ「ふふ、ええ、そうですね、とてもかわいらしいですね」
ロブロイ「あの……なんでトレーナーさんが持っていたのですか?」
ロブトレ「いえ、その……私も、この子がかわいく思えて、先ほどまで、抱きしめていたのですよ」
ロブロイ「あ、そうだったんですね、フフ……なら、トレーナーさん、どうぞ」
ロブトレ「え、いいのですか?」
ロブロイ「はい、どうぞ、受け取ってください」
ロブトレ「ええ、ありがとうございます、ロブロイ……」モフ、モフ……
ロブロイ「ふふ、トレーナーさんが喜んでくれてうれしいです」
その後、二人でカマライゴンをなでなでしていたのでした。
(ロブトレこそこそ噂話。ウマ娘になる前から可愛いものが好きです。でも恥ずかしくてなかなか明かせないままでいたのでした)
≫170二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 20:03:42
彼女が選ぶもの
あくる日、キタトレの部屋にて
私キタトレは話をしていた。
「さて質問もないみたいだし、とりあえずこれで解散ね。一旦自分の部屋に戻ってもらうわ。」
「「「はい(!)」」」
チームに入る際の説明を終えて、出ていく三人を見送った私は椅子に座り端末を叩く。
キタは気になったのか問いかけてきた。俺も答える。
「ねえ、トレーナーさん。なんであの三人を選んだの?他にもたくさん来てたのに」
「ああ、それか。なんでだと思う?」
「う~ん、ステイヤーだけのチームの穴を埋めるため?」
「違うな、確かに穴はふさがったけど結果的なものだよ」
「え、・・・分かんない。教えてトレーナーさん!」
「そうだな、主に二つある。一つ目は俺のウマソウルがピンときたから」
「どうやら一部の子に反応するみたいでな、巷で言われてる不思議な感覚って奴かな」
「そうなんだ、私がバクシンオー先輩に感じる縁みたいなものなのかな?」
「それだな、あともう一つの理由は俺の近くにいてほしいからだ」
「例えばセラタプラタちゃん、スプリンターの彼女は恐らく右足に爆弾がある。」
———ええと、よろしくお願いします?トレーナーさん。
少しおどおどしてる彼女を思い出しながら話す。
「面接の時に歩いてもらったけど、ほんの僅かだけど右の踏み込みが弱いんだ」
「おそらく無意識に右をかばっているんだろう。立ち振る舞い的にも分かりにくいはずだ」
「後で彼女の身体データや彼女の友人から話を聞いたけど、やっぱりだったよ。」
「いつも細かいところまで見てますよね、トレーナーさん。」
「そういうものだよ、次はクリスタルスチルちゃん」
171二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 20:04:30
———よろしく、トレーナー。
寡黙で冷たい彼女を振り返りつつ話す。
「マイラーの彼女はサトトレと同じで不器用な子だね、あまり他人を信用できてない」
「クラスで浮いてたりするのは担当している教員の方から聞けたよ」
「経歴と反応からするに原因は恐らく昔のいじめかな、親しい人相手なら話すみたいだし」
「そういえば、面接の時にスチルちゃんは私に喋りかけてこなかったね・・・」
「そういうことだろうさ、最後はアイネスワールドちゃん。」
———よろしくお願いしてもいいですか、トレーナーさん。
自信なさげに聞いてくる彼女を思い返して話す。
「彼女は地方から上がってきたけど、結果が出なくて苦しんでる子だ。」
「ここまでなら仕方ないとはいえよくある話だけど、彼女は違う」
「地方でのレースを集めてきたけど、彼女は本来ダートが向いてるんだ」
「地方では負けなしだったから気づかなかったし、そのせいで芝を走ってる」
「足の踏みしめ方とかを考えれば、ダートで練習させれば強くなれるはずだ。」
「そんなに気づかれないものなんですね。」「意外とあり得るんだ、適性が分からないのは」
「とまあ、長々と説明したけど、彼女らをチームに入れるのは、三人とも俺が近くで見続けないとまずいからなんだ。」
「練習ならいくらでも、なんならついてあげなくてもできる。だけどこの子たちは誰かがみてやらないと破綻するんだ。それが彼女達を入れた理由かな」
「そうだったんですね・・・ってちょっと待って。」
「それじゃあトレーナーさんが最近キタトレさんとのお茶会やウラトレさんのお見舞いに行ったり、職員会議や学園のあちこちに行ってたのって」
「全部彼女達のためでもあるよ。故障を避けるトレーニングや彼女たちのメンタルケア、
トレーニング器具や場所の調整とかを相談したり交渉してきた」
「交渉はトレーナーになってから相手方とずっと交流してきたから楽だったよ」
「そんなにしてたんですか・・・?」
「いいか、キタ。折角だから言うけど俺は手段を選ぶ気はない。コネも、金も、経験もすべて担当のために使い潰してなんぼだと思ってるんだ。それが俺、トレーナーなんだ。」
172二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 20:05:06
「だから俺は例えどんな娘でも見捨てない、最後まで手放したりはしない。」
「俺は生きている間はトレーナーを続けるつもりだからね。まだまだすることばかりだよ。」
「さて、長くなったな、そろそろ夕食を食べようか。」「はーい!」
———その後、キタトレが率いるチーム「プロキオン」は学園でもトップのチームになっていくがそれは別のお話。
駄文長文失礼しました
キタトレが筆が乗って書いてるうちに有能以上の何かとなってます。
数十年後には第二のウラトレかじじぴになってそう。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part230【TSトレ】
≫28二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 20:22:09
前回までのあらすじ・トレーナーさんをあたしにください。
頭を下げてから10秒以上、タブレットの向こうから応答はない。すぐ横からはトレーナーさんが堪えるようにすすり泣く声が聞こえる。
トレーナーさんをください。内なる声に後押しされて勢いでここまで言っちゃったけど、諸々の過程をワープしちゃった気がする。……待って、このままだと頭が冷静になってっちゃう。早く誰でもいいから声をかけてほしい。
『……どーしよっか?』
困ったような、でもにやけた声でおふくろさんが親父さんに尋ねる。親父さんはこれにも応えずにずっと黙っている。……多分、まだ頭を下げてなきゃいけないんだと思う。
『……そのままで聞いて』
ようやく親父さんが落ち着いた低い声で話し始めた。ぐ、姿勢キープとは。
『……うちの娘を想ってくれているのはわかりました。一朝一夕の気持ちでないこともわかりました』
「……はい」
こんな時に先生にならんでもええがんに、というおふくろさんの嘆く声を気にかけることなく親父さんは続ける。
『うちの娘が似た気持ちなのも、見て分かります』
「……うん。同じ気持ち」
トレーナーさんがぐずりながら肯定してくれた。……ありがとうトレーナーさん。それだけで言ってよかったと思えた。
『……顔を上げて』
ようやく許しを得て親父さんの顔を見上げた。瞬間、頭を下げていればよかったと後悔した。
……落ち着いた声色からは想像もできないほど険しい表情がそこにあったから。
『それでも貴方は非常に若い。男も、女も、社会も、知らない事がまだ多いはず』
「……」
『大人になっていくと同時に薄れていく気持ちかもしれない。飽きてよそに移るのでは、そのときどれだけ娘が傷つくだろう、という不安が今とても大きい』
「そんなことありま『懸念の話』」
有無を言わさない態度だった。
……こんなの小学生だって分かる。親父さんは認めなかった。あたしは親父さんに認めてもらうことができなかった。じわじわと頭が重く感じられる。うつむいていく自分を止められない。
「駆け落ち」という単語がなぜか頭をよぎった。もうレース出れなくなっちゃうかな……。トレーナーさんはついてきてくれるかな……。
『……ま、どんな男の人連れてきても同じような事言ってたと思うけどね。このお父さんは』
29二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 20:22:27
おふくろさんが入れた茶々からまたしばらく沈黙が続いた。
……
……え?この止まった時間はなに?思わずまた顔をあげると画面の向こうに。
『……』
『……♪』
もうどうにでもなれといった投げやりな顔をした親父さんと、ムードメーカーというかムードブレイカーを満喫してる笑顔のおふくろさんがいた。ピースサインまでこっちに向けてくる。
『……続けていい?』
「あ、お願いします……」
緊張感を再演出する気力は親父さんにも残ってなかったみたい。あんなに怖かったのに、今はほんの少しだけ同情します。
『……君の横にいる子は我々の娘で、他に子はない。かわいい一人娘です』
「はい……」
『だから嫁ぐにせよ婿養子を取るにせよ……たとえ愛らしいお嬢さんだったとしても、娘を持っていこうという輩には一発くれようと思っている』
拳がゆっくりと握られていく。大きな拳。……わー、あたしあれで殴られるのかー……。
「……甘んじて受けます」
『ありがとう。たとえ君でも容赦しない』
『なーん気にせんといでね?いいとこデコピンやから』
真面目な雰囲気を徹底して破壊しにかかってくるおふくろさんに親父さんが渋い顔をしてる。……見覚えのある、トレーナーさんが重なるようなどこか懐かしい表情だった。
『……それで、お前がそんなことでどうする。お前のが年長者だろ』
親父さんがまだ少しぐずぐずしてるトレーナーさんへと説教の狙いを変えた。おずおずと前に出ていくトレーナーさん。
「……はい。そう、そうです」
『ただでさえ茨の道だ。お前がその子を守れないんなら、その子の親は絶対に一緒になることを許さんと思う』
「……はい」
『だから、せめて泣くな』
「……はいっ!」
ようやくトレーナーさんが泣き止んだ。涙をぬぐって、すこしだけキリっとした表情になったのがちょっとだけ頼もしく思えた。
30二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 20:22:42
『……しかしよく泣いたな。そんなに泣くほど嬉しかったのか』
「はい……うん。……どうお父さん」
「うわわっ!?」
トレーナーさんが横によけていたあたしの肩を引っ張って、画面内に再登場させた。
「私のお嫁さん。……すごくかっこよくない?」
『……ぶっ飛ばしたくなるほどかわいいな。ちょっとこっちに寄こしてくれ』
「えー?あげない」
あたしを自分の方に抱き寄せるトレーナーさん。そして親父さん、やっぱ本気で殴ろうとしてるよね。
『その子はお前のもんじゃない。お前がその子のもんなんだ。勘違いするな』
「……はい」
『……ナイスネイチャさん?』
「は、はい!」
親父さんに呼ばれてタブレットの前で改めて正座する。
『……娘をよろしくお願いします、とは言いません』
「……はい」
『ただ、温泉旅行楽しみにしてます』
「! はい!」
『出会った際は覚悟していてください』
強く深い、漆黒の眼光から「絶対に殴る」って意志を見せて親父さんは画面外に立ち去っていった。……これが普通の親?なのかもしれない。いやどうなんだろう。
31二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 20:22:53
『……じゃ。もうこの辺で切る?』
おふくろさんが大きく伸びをして欠伸をする。
「え、もうなの?お母さん」
『いっぱい話したいことあったけど、あとは温泉でね?大体電話してくんの遅いんよー。「ウマ娘になったー」の報告から何ヵ月経ったぁ思ってんの?』
「……ごめんなさい」
『あと母さんらもう眠くなっちゃったから』
「でも、こっちもまだ話したいことが」
『なんけ?「ダースベイダーのテーマ」の話する?』
「ごめんなさい!……うん、じゃあ長いこと付き合わせちゃってごめんね」
『はいはい。じゃあ次は温泉でいっぱいねー。ジスラー。あ、ネイちゃんもまたねー』
「え、はい!またよろしくお願いします!」
「はーい温泉でね!ジスラー!」
怒涛の親子のやり取りであたしはろくに口をはさむ暇もなかった。あたしも色々聞きたかったのに、というか本当に今のはなんだ。
「あの、トレーナーさん」
「……ダースベイダー以外でね」
「えええ……じゃあ、『ジスラー』ってなに?」
「……ジス・レヴィード、略してジスラ。エスペラント語で『さよなら』って意味だよ」
「ジスレビー、え?」
「私もそれ一つしか知らない。それしか教えてもらってないから……ふふ」
……おふくろさん、日本人じゃなくてエスペラント人なの?普通の両親って事前に聞いていたんですけど?でもいたずらっぽく笑うトレーナーさんを見て急に力が抜けてきた。
32二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 20:23:06
「あはは、なんかもう、体力一桁って感じ……」
「……おつかれネイチャ」
トレーナーさんが正面から抱きしめてくれる。……あれ、さっきもそうだったけど、もしかしてトレーナーさんから抱きしめてくれるのって初めてかも。
「かっこよかった。ほんとかっこよかった。……でもね、ちゃんと言おうとしてたんだよ」
「……何をー?」
「お父さんに。ネイチャが『あたしです!』って言う前に。……私がこの子を選びましたーって。一緒に温泉旅行に連れていきたいのはそういうことなんですーって」
「じゃあセリフ横取りしちゃってたんだ。でもほら、まずは外堀から埋めようと思いまして」
「本丸と同時攻略じゃん……」
「徹底した効率プレイやっちゃったかなー。……それで隊長、本丸は落ちましたか?」
口がすべるままにふざけているとさらに強く抱きしめられる。いつかに感じたときと同じくらい早いトレーナーさんの鼓動。そしてトレーナーさんの胸を通じて、自分の鼓動もやっぱり同じくらい早いのが分かる。
「うん。落ちちゃった」
……耳元でささやかれた声に全身が震えた。
33二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 20:23:20
……私、多分これからも真面目だと思う。
本当に?……まぁ、そうだと思ってるけど。
そんなにイチャイチャできないよ?
そんなこったろうとネイチャさんも思ってるし。なんならそれはウソになると思う。
……そっか。そうかも。
よっしゃ。
……あと、あんまりおいしいご飯作れない。
そこはあたしの得意分野だし。
よかった。じゃあお願いします。
うむ。でも少ーしずつ覚えてってもらうからね?
……私の一番はネイチャだけどさ。
おおう!?おう……はい、ネイチャだけどさ?
……ネイチャの一番は私?……痛い!痛い!え、なんでチョップ!?
一番じゃ!ない人の親に!くださいとかいうか!!バカ!!!
痛い!ごめん!ごめんなさい!!
……ほんのちょっとのろけたかっただけなんです。
なんなの?面倒くさいのに素直とかあざとかわいいに振り過ぎじゃない?
……。
……トレーナーさんが一番です。
……ふふ♪
こいつっ……!
いいのいいの。今日は時間が許す限り甘えようって決めたから。
こっちはしょっちゅう甘えられてる気してるんですけどね?まぁ時間が許す限り──
34二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 20:23:32
時計「……どうかお気になさらず」
「……門限!!!」
「え!?あ、ほんとだもうこんな時間!!?」
に゛ゃーーー!!なんで口にしちゃったんだあたしの間抜け!!
「ネイチャもつくづく真面目さんだねぇ……甘えタイム早くも終了かぁ」
「なんでそんな切替え早いのぉ……うぅ、くぅぅ……!」
「ウソ泣きなんて器用な真似、ネイチャにだってできないんだから。ほら帰る準備準備」
「うぅぅ!いやーー!あたしもう動けないし寮に帰らない~ぃ~~!!」
「……そうだね。ネイチャも今日はへとへとだろうし」
「え、ウソ!?いいの?」
やった!トレーナーさんマジちょろかわ!!大好き!!
「栗東寮長のフジキセキさん、お迎えに来てもらえないか連絡するね」
「トレーナーさんのいけずー!」
「駄々こねないの。途中までなら私が抱えていってあげるから」
「……おんぶで?それともお姫様抱っこ?」
「俵担ぎで?」
「お米様抱っこはいやーーー!!!」
どこまでも大きな一歩を踏み出したはずなのに、あたしとトレーナーさんのバカみたいなやり取りは止まる気配がなかった。
──ちなみにこのあと予定通り行われたダストレさんとのペアインタビューでさ、無事配信に乗っちゃったうちのトレーナーさんの奇行があったじゃん?これのせいで親父さんから怒りのTV電話が飛んできた話は……うん。なかったことにしよっか。
(続)
≫44二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 20:29:18
すこしだけ幕間
■お持ち帰りされるネイチャ
「ポニーちゃん。そろそろ顔を隠すのはやめたらどうだい」
「いえ……ちょっとフジさん相手でも見せられないっていうか」
「片手で顔を隠してる方がいかがわしく思えるんだけどね。トレーナーさんにしてもらうお姫様抱っこはそんなに恥ずかしかった?」
「あの人……俵担ぎとか言っておきながら、無茶しやがってぇ……」
「ははっ、こっちもお姫様抱っこで受け取ったときはさながら贈呈式のようだったよ……しかし」
「……なんでしょうか」
「いやいや、ちょっとだけとは言えネイチャから波動を感じてね」クンクン
「ひぃっ!?な、なにをぉっ!」
「……これはまた。つよいラブコメ臭だね」
「ラブコメ臭!?」
「しかし足腰が立たない、立ってるのもやっととなると……相当アダルトな方向に行ったかな?」
「違います!今日は全然そこまでには!……あ」
「……そうかそうか、『今日は』、かぁ!」
「聞かなかったことにしてくださいぃ……」
「うーんどうしようかな?」
「どうか、どうかお願いします!!」
寮までの道中からかわれ続けるネイチャさんでしたとさ。
うまぴょいうまぴょい
≫58無敗の終わり前編・大阪杯21/10/14(木) 20:38:04
大阪杯。阪神競馬場で行われる2000m内回り。中距離戦のスペシャリスト達が集う春の古バ戦線G1だ。春三冠という誰の成し遂げたことのないの偉業の一つ目の冠でもある。特に今回の大阪杯では世間を巻き込んだ盛り上がりを見せている。多くの有力古バ、クイーンマクレー、アマノガール、そして最強と名高いシンボリルドルフがこの仁川の地に名乗りをあげているのだ。有マでのマルゼンスキーの差し作戦の手伝いもしてくれた皇帝が最強の敵として立ちはだかる訳だ。
「マルゼンスキー。今回の大阪杯、小難しい作戦は無い」
「あら、そうなの?トレーナーちゃん」
「ルドトレの情報収集力と観察眼はトレーナーでも最高峰、あらゆる可能性を精査した上で勝ち筋をしっかりと掴んでくる。それにこっちが小細工を弄してもルドルフは冷静に対処して、処理してくるはずだ。"絶対の皇帝"と"伴侶"の名前は伊達じゃ無い。なら────」
「真っ正面からブットビね!」
マルゼンスキーが笑った。とても楽しそうなその笑みにこちらも気合が入る。
「そういうことだ。距離は2000。皐月賞の時と違ってもっと負荷の高いトレーニングメニューを組んである。開始したらマルゼンスキーは車で外出禁止」
「えぇー!」
マルゼンスキーが尻尾を持ち上げて驚いている。すまない必要なことなんだ。
「えぇーじゃないよダメだよ。それくらい疲労困憊になるって想定だからな?そんな状態で運転して事故でも起こしたら大変だろ。車乗らなくなって車検やってないから暫くはバイクの後部座席で我慢してくれ」
「わーい!ハネウマライダーね!トレーナーちゃんの後ろなら大歓迎よ!」
世に絶望したみたいな顔をちょっとしてたけど元気になってくれてよかった。運転で俺も事故を起こさないようにせねば。そんなわけでトレーニングが始まった。
60無敗の終わり前編・大阪杯21/10/14(木) 20:40:15
「トレーナーちゃんこれは?」
「坂路トレッドミル。理事長にお願いして改造してもらった。阪神競馬場再現の勾配にできるようになってるぞ」
「ちなみに周りの大量のマットは?」
「マルゼンスキーが吹っ飛んだ時に怪我しないようにと思って」「え?お姉さんそっちでブットビーしちゃうの?」「いや念のためだから」
流石のマルゼンスキーも長時間トレッドミルをやるとだいぶ疲れていた吹っ飛ばなかったのはマルゼンスキーの意地だろう。一旦ストレッチをして体を冷やさないように休憩を取り外へと出る。
「「「「「マルゼンスキー先輩! よろしくお願いします!」」」」」
そこには準備運動を終えているウマ娘、マルゼンスキーに憧れるルナナルカタカ以下五人のウマ娘がスタンバイしていた。彼女達には自分のトレーニングついでにマルゼンスキーのトレーニングを手伝ってもらうことになっている。どの子のトレーナーもマルゼンスキーと併走できるならと許可は二つ返事だった。
61無敗の終わり前編・大阪杯21/10/14(木) 20:40:50
「トレーナーちゃん?」
「ウッドチップ坂路併走五本❤︎」
限界まで体力を削っておいてのこれなのでちょっと申し訳なく思い可愛く言ってみた。
「わーい!楽しんでくるわね!(ヤケクソ)」
マルゼンスキーが五本連続で走るのをルナナルカタカ達五人がそれぞれ一本ずつ全力で行うことでカバーする。一走ごとにフォームの乱れを修正しながら疲労困憊で動けなくなくなっているマルゼンスキーの体にマッサージとストレッチを施し、「動けなーいトレーナーちゃん着替えさせて〜」と言うマルゼンスキーになんかもう同性みたいなもんだしいいだろうすまぬマルゼンスキーに風邪を引かせるわけにはいかないのだと自分に言い聞かせ、服を脱がして悪戦苦闘しながらも着替えさせ、寝落ちても大丈夫なよう腰を縄で繋いでバイクの後部座席に乗せ、自宅まで送迎する。暫くして車検も通って車が復活したのでマルゼンスキーを後部座席に乗せ(助手席だとなんか酔うらしい)てトレセン学園に通うようになった。
「トレーナーちゃんこれは?」
「ゲキ重蹄鉄。これ履いてあのミニハードルで腿上げ走り十往復ね」「ひえ〜!」「疲れてくるとフォームがちょっと乱れてるよ。しっかり腕振って脚上げてね」
「トレーナーちゃんこれは?」「ゴールドシップが持ってたバスケットホイールエクスカベーターのレプリカミニタイヤ。これ引こう」「ひえ〜!」
「と、トレーナーちゃん今日のトレーニングは……?」
「今日は休息日だ。ゆっくりしよう」「うぇ〜ん膝枕して〜!」「いいよ。ゆっくりおやすみ」
「ぶっとびよー!」「ひえ〜ムリィ〜!」
「うん。前よりトモが良くなってる。……併走が併走になって無いな……どうだ?うちのマルゼンスキーは」
ウマ娘化した故に耳が良くなり離れていても会話が届く。俺は少し離れた所でこちらを観察していたルドトレに声をかけた。
「有マの時よりパワーが上がってる。アメリカのパワーの要るバ場でもやっていけそうなくらい。それにフォームも無駄が削げ落ちてエネルギーのロスが無くなって、間違いなく強敵だと思ってる。……それでも勝つのはルドルフよ」
「そこは、お互い様だ」
この反応は当然だ。皆が皆、自身の担当が一番強いと思っている。俺もそうだから。
62無敗の終わり前編・大阪杯21/10/14(木) 20:41:29
『さあ秋のGⅠ戦線の始まり、大阪杯です。今回あいにくの雨ですが目玉はなんと言っても"天馬""スーパーカー"そして"皇帝"の三強対決です! 一番人気にはシンボリルドルフ、二番人気はマルゼンスキー、三番人気にアマノガールとなっています。さあゲートインが完了しまして……大阪杯スタートしました!』
マルゼンスキーはいいスタートを切った。先頭争いで競り合おうとしたアマノガールを最初の坂で振り切ってぐんぐんと加速していく。アマノは切り替えて先行策。その後ろにクイーンマクレー、ルドルフの三人が先行勢として団子になっている。本来であればその後ろに差し追い込み集団が付く筈だが、ぐんぐんと間が空いていく。理由は単純だ。
『マルゼンスキー速すぎる! 大逃げの様相だ! かなり縦長の展開!』
重馬場にも関わらず前半タイムが従来より一秒程早い。本来であれば破滅逃げと言える異常ペースだ。これに付き従えばスタミナを持っていかれる。そう気づいたアマノガールとクイーンマクレーが一息入れるように位置を下げ二番手にシンボリルドルフが突き出た。二人に対してルドルフは速度を落とさない。それどころかまだ直線に入る前から加速を開始した。こちらから見てもアマノガールとクイーンマクレーがルドルフに怪訝そうな顔を向けているのがわかる。常識的に考えればこんなペースで走ればマルゼンスキーは垂れるだろう。だがマルゼンスキーと同じく非常識の側にいるシンボリルドルフは気付いているようだ。重馬場で跳ね飛ぶ水飛沫はマルゼンスキーとシンボリルドルフ二人のものが他に比類する事なく大きかった。
マルゼンスキーもシンボリルドルフも、顔が蒼白だ。ウマ娘の、それもその内で最高峰と言っていい二人の強靭な心肺機能を持ってしても酸素供給が追いつかずチアノーゼを起こしている。雨も相まって深海の底に居るようなものだろう。それを想定しマルゼンスキーにはトレーニングで酸素ボンベを増設した。だがそれを使い切ってなおマルゼンスキーは深海の底に引き摺り込まれた。恐ろしいのはこの状況を読んでいたルドトレとこの状況に引き摺り込んだシンボリルドルフだ。
深海の底で酸素を使い果たし呼吸困難で非常に苦しい筈のレース展開。
"それでも笑っていた"
「……がんばれ、マルゼンスキー……!」
俺はマルゼンスキーに貰ったサングラスを壊れないよう、それでも強く握りしめた。
63無敗の終わり前編・大阪杯21/10/14(木) 20:42:02
『おっとシンボリルドルフまで早くも加速! 掛かってしまっているか!?』
背後でルドルフちゃんが迫ってくるの、ビンビンに感じちゃう! でも、勝つのは私よ!
『なんとマルゼンスキー垂れない! これではもう皇帝以外は勝負の蚊帳の外だ! "皇帝"はこの"怪物"を討ち取れるのか!? 坂を登る! まるでエベレストのデスゾーンを全力登頂するかのようだ!』
呼吸が苦しい。でもそれはルドルフちゃんも一緒。ペースを作る私はここまで想定してトレーニングしてきた。本音を言っちゃえばルドルフちゃんでもついて来れないって思ってた。でも……でも! ルドルフちゃんの足音が後ろから離れない!
(読んでいた。彼女はここまで全て読んでいた。だが、あまりに定石外れ、奇策縦横すら生ぬるい非常識なペースにわすがに躊躇いがあった。あと100いや50早く仕掛けていればと言うのは……詭弁だ!)
ルドルフちゃんの足音が1ミリ近づけば、私は1ミリ引き離す。少しでも、半バ身でも並ばれたら抜かれる。その恐怖と、半バ身まで絶対に詰めさせないって興奮が────楽しい。
『鍔迫り合いを避けるマルゼンスキー! 鍔迫り合いに持ち込みたいシンボリルドルフ! 両者意地のぶつかり合いだ! 差は一バ身! 縮まらない! 縮まらない! 今ゴール! マルゼンスキー先着! 怪物が皇帝を食い破った! 一着はマルゼンスキー! 二着シンボリルドルフ! 三着以下を大差で引き離してのゴールです! 三着はアマノガール! マルゼンスキーとシンボリルドルフ、互いに立ち上がれません! 持てる力を全て出し切りました!』
64無敗の終わり前編・大阪杯21/10/14(木) 20:42:30
全員のゴールを確認して、俺は飛び出した。ルドトレが飛び出したのも同時だ。大歓声の中ウィニングランも出来ないほど消耗したマルゼンスキーと片膝をついてしまっているシンボリルドルフの元にそれぞれ駆け寄った。二人とも少し肌寒い雨とは言え、まるで熱した鉄のように湯気が立っている。
「マルゼンスキー!」
マルゼンスキーは俺を見て微笑んだ。
「……どう? 見てたトレーナーちゃん」
「……ズクッああ、見てたとも! すごかったぞ」
マルゼンスキーの微笑みに泣きそうになるが、それどころではないと堪えて俺がカバンから酸素缶を取り出して吸わせようとするとそれを手で制された。
「ふふ、トレーナーちゃん見たらナイナイだったのが湧いてきちゃった。みんなの声に応えないとね!」
マルゼンスキーが俺の手を掴んで立ち上がる。
「イェーイ! みんな応援ありがとう! ピース!」
再び歓声が巻き起こる。そこへルドルフがルドトレの肩を借りてやってきた。ルドトレも酸素缶を持っている。
65無敗の終わり前編・大阪杯21/10/14(木) 20:43:13
「マルゼンスキー」
「ルドルフちゃん」
「"今回は"負けたよ。私が背中を見ながらゴール板を駆け抜けるとは思っていなかった。……臥薪嘗胆、次の天皇賞春で捲土重来させてもらうとしよう」
「っ」
いつものシンボリルドルフと違う。その姿は威厳ある皇帝でなく獰猛な飢えた獅子のそれだった。気圧されそうになる俺をマルゼンスキーは片腕で抱きしめてくる。
「次回も勝つのは私よ。"シンボリルドルフ"。天皇賞春、楽しみにしてるわ」
「ああ、また走ろう」
二人が強く握手を交わす。会場は再びの大歓声に包まれた。
マルゼンスキーを担いで控室まで戻る。こんな時はウマ娘化した事に感謝した。苦も危険もなく運べる。その最中にマルゼンスキーが写真を撮って欲しいと言うので自撮りして、クールダウンとストレッチを終え、シャワーを浴びて雨だく汗だく泥だらけの勝負服から一旦ジャージに着替えた。ちなみに俺も雨の中に出てマルゼンスキーを抱えてびしょびしょになってしまったので着替えた。
「ふぅ〜! 今回も楽しかった!」
「それは良かった」
「ねえトレーナーちゃん」
「ん?」
「次も私、勝つからね」
「……ああ! マルゼンスキーなら勝てるよ!」
なんだかマルゼンスキーが少し無理をしているように感じる。もしかして足に何かあったのか?
「マルゼンスキー、何か無理してないか? 足に違和感とか……」
「え? そういうのは無いわよ。ただ勝ちたいな〜ってお姉さん思ったから、まずはトレーナーちゃんに表明演説してみたの!」
「本当に足は大丈夫なのか?」
「足はトレーナーちゃんのおかげでバッチグーよ! でも疲れちゃったからトレーナーちゃんに膝枕してもらいたいな〜」
甘えるような仕草に思わず笑みがこぼれてしまう。
「いいよ。この膝はマルゼンスキーの物だからな、好きなだけ使ってくれ」
「やったぁ! それじゃトレーナーちゃんのお膝もーらい!」
控室の座敷に移動して座布団を挟んで痺れないようにしてからマルゼンスキーの膝枕をする。本当に疲れていたのか、マルゼンスキーはすぐにスースーと寝息を立て始めた。俺も疲れてウトウトとしてき────
「ちょっとお!!? もうすぐウィニングライブですよ何してるんですか!?」
「わふぅ!?」
「しまった!!」
いつの間にか寝落ちして、URAの職員に叩き起こされることとなった。
おわり
≫71ネイトレ発案者兼フジトレの人21/10/14(木) 20:47:45
「ねえネイトレちゃんネイトレちゃん、フジから聞いたよ?ネイチャちゃんと関係が進展したんだって?」
「どこから聞きつけたんですかねフジトレさん、ってうわあ見たことないくらい目がキラキラしてるぅ!!」
「話によるとお姫様抱っこして帰ってきたとか、プロポーズもされちゃったとか!きゃーっ!どこまで噂でどこまでホントかおじさん気になっちゃう!」
「あのどこから聞きつけたんです!?怖いんですが!!??」
「いやもうトレセン中の噂だって!いやーあの引っ込み思案のネイトレちゃんが一気にここまで進展するなんて、ねえ!」
「あの、フジトレさんテンション高くないですか!!なんか未だかつてないくらい高くないですか!?」
「そりゃもうずっともだもだしてるの分かってたんだから!ずーっとヤキモキしてたんだから!!なんなら僕は君がウマ娘になる前から!!」
「そ、そんな前から察されててたんですか私!?」
「うん!!!だから、ヤキモキしてた皆に!ご馳走を!頂戴!!」
「あ、あの、誰かタスケテーッ!!!」
以上、勝手に>>44の別サイドでしたー
≫83二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 20:54:25
「ほら貸してやるよバケットホイールエクスカベーターのレプリカミニタイヤ」
「ありがとう。ありがたくバスケットホイールエクスカベーターのレプリカミニタイヤ借りるよ」
「いやバケットホイールだよ」
「ごめん間違えた。バケットホイールだな」
「そうだもう一回言ってみろ」
「バスケットホイールエクスカーベーター」
「もうそれでいいぜ!!アタシは今からそれを真実にするためアメリカに飛ぶからよ!!」
≫93ガンギマリ頭スズトレ21/10/14(木) 20:56:33
────あ、オレ死ぬわ。
スズトレについに捕まった時、オレことドベトレが一番最初に思ったことだった。
みんなの力を借りて、新しい体になってから1週間。オレはずっとスズトレを避け続けていた。
スズトレにはオレの尻尾で指輪を作ってもらったり、その指輪をドーベルに渡してもらったり、一連の流れの中でもかなり世話になった相手だ。
だから真っ先に礼を言うつもりだった。それで会いに行ったのだが…
明らかにキレてた。声の圧がいつもの十倍はあるし、いつも出してる落ち着いた、接しやすい雰囲気が完全に身を潜めていた。
ヤベェ。その本能に従って、オレはスズトレからずっと逃げ続けた。
そして今日、ネイトレさんとのコンビネーションによってその逃亡劇には幕が降りた。
「はい、到着。私ちょっと出すものあるからクッションにでも座って待ってて。」
「ア、ハイ。」
「…大丈夫?」
スズトレが心配そうにこちらを伺う。頑張れオレ。平常心だ、平常心。
「いや、あんまし寮の部屋に邪魔する事無かったからな。少し緊張しちまった。」
「あーそっか…飲み物いる?麦茶あるけど。」
「頼むわ。」
それを聞いてスズトレは冷蔵庫から麦茶を出し、コップに注いでからクローゼットを探し始める。よほど厳重にしまっているようだった。
正直怖ぇ。幾分かマシになったが滲み出てるお怒りオーラは未だ健在。そんな中出される物となるとまるで想像がつきやしない。あ、麦茶うめぇ。
「あった!!っと。」
そんな事を思ってたらスズトレがクローゼットから出てくる。その手にはホールケーキが入ってそうなサイズの黒い箱。
「…デカくねぇか?」
「まあ簡易とはいえ中身が中身だし。」
そして、箱から中身が出てくる。
「──コイツは、まさか。」
「うん、ドベトレのお墓代わりにしてたもの。」
94ガンギマリ頭スズトレ21/10/14(木) 20:56:57
まさかの展開に、言葉を失う。オレの墓代わりってのも驚きだがそうじゃねえ。
完全に記憶から消されてたはずのオレの墓を作ってた、っつーことは…
「…覚えてたのか?オレの事。」
「他より早く思い出した、が正しいよ。」
その言葉を始まりとして、スズトレは過去を語り出した。
「…何これ?」
大規模な掃除中、クローゼットの奥から現れた箱を見て呟く。
あまりにキレイすぎる。少なくとも私はこんな高そうなものは買わないはずだ。箱に貼られた紙が問題だった。
「"メジロドーベル宛"…」
なぜか、スズカの友人のドーベルが指されていた。確かに彼女ともスズカ経由でかなり話すけど、彼女宛のを代わりに受け取るほどではない。仮にもらったとしても、すぐに渡すはずだ。
だけど、そうはなってない。…明らかに不自然、捨てるべき。…だけど。
「スズカのトレーナーさん!お久しぶりです!
でも、どうしたんですかいきなり?」
「そのことなんだけど…」
私は、ドーベルに渡す選択をした。そうしないと後悔する、そんな気がしたから。
そこからはもう、あっという間だった。
尻尾の毛で作られた指輪、"兄"という者からの手紙、それを読んで涙を流すドーベル。
消えた者の存在を悟るには、十分すぎるほどだった。
「──それが起点で、私もドーベルほどじゃないけどいくつか記憶が戻った。けど人を存在ごと抹消するなんて超常現象、誰かにどうにかできるものじゃない。
だから他の人には言わずに、アクセに使わず残ってた毛をこれに入れて墓がわりにしてたの。ドーベルの写真とか結構お供え物にあげてたんだよ?」
95ガンギマリ頭スズトレ21/10/14(木) 20:57:23
「マジかよ…でも言われてみりゃあ兄貴主体でノートに集められた情報、兄貴除けばスズトレの筆跡が1番多かったな…」
ドベトレが納得したように言う。そりゃそうだ、みんなが0+1なら私は1+1だったんだから。…いやまあ、それでもマクトレには負けたんだけど。
「そうなら安心したぜ…てっきりめちゃくちゃ怒られるもんだと…」
「あ、怒ってはいるからね?????」
「エッ。」
ドベトレの顔が凍りつく。あれだけビビってたのに、なぜ怒ってないと考え直しちゃうのか。
「いなくなった事はいい。アレはドベトレ悪くないし。だ、け、ど、さぁ…なんっで指輪直接渡さないかなぁ。
実際私もかなりの間気づかなかったし危うく捨てかけたし、ちゃんと自分の手で渡しなさいよ。」
「仕方ねえだろ!?オレ作ってもらった次の日には消えたんだぞ!?」
「でもドベトレならドーベルの部屋の押し入れとかに入れとくことも出来たよね??」
「いや、それじゃドーベルが怖がるだろ!?」
「でも確実に指輪は渡ってたと思うよ。だから私的には助かったけど許さない。もっとドーベルにとっての自分の存在を信じなさいよ…」
ため息混じりに言い切る。
それを受けてドベトレは少し黙り込む。そして…
「…すまねえ、けどありがとよ。ドーベルに届けてくれて。」
そう、言葉を発す。
…全く、別にお礼は求めてないのに。
「どうもいたしまして。」
仕方ないなぁと思いながら、笑顔で答えるのだった。
97ガンギマリ頭スズトレ21/10/14(木) 20:57:45
「さて、じゃあ本題に入ろっか。」
顔を元に戻したスズトレがケロッと言う。
「…え、まだあんの?」
「うん、あるよ?ということでドーベル、カモン。」
「分かりましたスズトレさん!」
「エッ。」
スズトレの言葉と共に扉からドーベルが入ってくる。なぜ?という疑問と共に猛烈に嫌な予感。
「ドーベルに尻尾アクセの話したらドベトレに送る分も作りたいって言ってね?やり方は前に見せたから今回はドベトレ本人にやらせようかなーって。」
「…自分に贈られるモノを自分で作らされるって拷問だと思うんだが。」
「でも兄さん2回もいなくなったよね?」
「ぐっ!?」
どぎつい一撃が直撃する。やめてくれドーベル、それは言い逃れできない。
しかもその隙を逃さずスズトレがオレの腕をガッチリと掴む。
「…拒否権は?」
「ない。覚悟、決めようね。」
その後、ご満悦のドーベルとボロボロのオレが学園内で目にされたのは言うまでもないだろう。
≫109二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 21:06:14
8話
あれから数日が経とうとしていた。
「足りない…足りない…」
調べ尽くした資料。
最大まで効率化したトレーニング。
トレーナー達に教えてもらった大切な事。
それらが集まっていても、俺には何か、
決定的な何かが足りていなかった。
「……クソッ!
いくら走っても、いくら調べても、
足りない何かが全くわからない!」
「一体…一体何が足りないって言うんだよ!」
「どうすればいい…このままじゃマーチが…」
「俺は…『私は』…また…」
頭の中ぐちゃぐちゃになる。
わからない、わからない。
不安と絶望でおかしくなる。
「駄目だ…一回頭を冷やしてこよう…」
そう言って洗面台の前に行き、鏡をみた。
そこには、
とあるウマ娘に似た自分の顔が映っていた。
「…もしかしたら」
そう言って俺は家を飛び出した。
110二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 21:06:47
「いきなりで申し訳ない…
どうしても話したいことがあったんだ。」
「あぁ…問題はない。
ちょうど時間が空いていたし、
オグリのライバル、
フジマサマーチのトレーナーからの話となれば、断る訳にはいかないだろ?」
俺は最後の望みをかけて、
マーチのライバルであり、
マーチがレースで初めて負けた相手、
『芦毛の怪物』オグリキャップ。
そのトレーナー、
オグトレさんに相談を持ちかけた。
「それで、相談の内容を教えて貰ってもいいか?」
これまでの経緯を話した。
111二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 21:07:36
「それで…マーチが…カサマツに帰るって…」
「!…」
「でも、今の俺じゃ止められない…
調べた事も、試した事も、
せっかく教えて貰った事も、
全部無意味にしてしまう…」
「一体俺はどうすればいいんだ…?
そもそも、最初から
中央なんて目指さなければ、
こんな事には…」
「それ以上は、言ってはいけない。」
「…え?」
「お前さんが紡いできたものを、
築き上げできたものを、
お前さんが否定しては駄目だろう。」
「!…でも!でも俺はッ!」
「一旦落ち着け、少し待っていろ。
暖かいコーヒーでも淹れてくる。」
渡されたコーヒーを一口飲んでみる。
ぐちゃぐちゃになってた頭の中が、
少しずつ、落ち着いて行くのを感じる。
112二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 21:07:59
「大丈夫か?」
「すまない…取り乱していた。」
「しょうがないさ、
次のレースで勝てないと地方に戻される危機的状況で、
いきなりウマ娘になってしまった。
さらに担当はカサマツに帰ろうとしている。
普通こんな多くの事が一遍に起きたら、
誰だってそうなるさ。」
「でもわからないのは本当なんだ…
もう…全部が手詰まりで…俺は…」
「…なら、何もしなくてもいいんじゃないか?」
「…は?な、何言って…」
「だって、お前さんはこれまで、
何もやってこなかったか?」
「そんなはず無い!やれる事は全てやった!」
「それじゃあ、お前さんはこれまで、
全力でやってこなかったのか?」
「いつだって全力だった!
あの娘達に…勝って欲しかったから!」
「最後に、
お前さんはここまで、フジマサマーチの事を
何も考えていなかったか?」
「…そんな訳…無いだろ。
マーチは…こんな俺のところに残ってくれた。
…大切な担当だ。」
113二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 21:08:23
「わかっているじゃないか。
お前さんは出来る事を全てやった。
確かに失敗した事もあったが、
それでもお前さんは全力だった。
そして、今それを大切な担当の為にしている。
それで十分じゃないか?」
「で、でも俺は…怖いんだ…
またあの背中を見るのが…
またあの言葉を聞くのが…俺は…」
「…お前さんはマーチが負けると…
そう思っているのか?」
「ッ!そんな事思うはずが「なら信じてやれ!」
「!」
「やれる事は全てやった。
なら、あとは自分を信じて、担当を信じろ。
どちらも信じれないトレーナーがどこに居る?」
114二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 21:08:53
「…そうか…そうだよな。」
負けて、負けて、負けて
わからなくなっていた。
そうだ、いつだって全力だった。
いつだって出来る事は全てやった。
…いつだって信じて進んできた。
「…ふふ、いい目になった。」
「え?」
「もう大丈夫、お前さん達ならきっと勝てる。」
「だから信じてやれ。
私達に出来る事はそれぐらいだが、
彼女達に一番必要なのはそれだ。
トレーナーぐらい、
なにも変わらずに担当の勝ちを信じてやれ。」
「…わかった!
相談に乗ってくれてありがとう!オグトレさん!」
そして俺は、マーチを探しに行った。
≫126二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 21:18:13
ダイタクヘリオスのサブトレーナーは、さる大物トレーナー最後の弟子だ。
そう認められるだけあって端々から非凡なる才能の片鱗を見せるものの、少なくとも……
「ど、どれを着れば……っ」
「ヘリオスー、そっちは任せるぞーい」
「おけおけぴ! とりまトレぴっぴおいでおいでおいでー!」
……ファッションセンスに関してはド素人であった。
此処は都内のパーティー会場。
「これも社会勉強」と師によって各界の重鎮の中に放り込まれかけた若造達は、兄弟子たるテイエムオペラオー担当トレーナーの手引きで大量のドレスや着物に囲まれていた。
「先生。折角ですからジバンシィなど如何ですか」
「麗しのサブリナじゃあるまいに……黒留袖じゃ、黒留袖」
「畏まりました。
……ちなみに振袖も御用意しておりましたが」
「未婚の示しなぞ、死んだ婆さんに殺されるわ!」
末の弟子から見た兄弟子オペトレは、随分と師匠に気安く接する人物であった。
あのいつも優しい師匠をからかい倒し、ぷりぷり怒らせては、わざとらしく笑って正解を取り出すのである。
そんな振る舞いながら師からの信頼は篤く、何かあれば常に彼女が呼び出される。ヘリサブから見れば不思議な人物であった。
127二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 21:19:00
「お二人共、決まったかな?」
「い、いえ、まだ……っ!」
「オペトレっぴはどする? デコる?」
「気持ちは嬉しいけれど、私はこれが一張羅なのでね。末弟子をめいっぱいデコっておくれ」
「おけぴ!」
ばさりと燕尾服を靡かせ、「ゆっくり決めていいからね」とオペトレは師の着付け手伝いに戻る。
卒のない振る舞いにヘリサブは思わず見惚れるが、ちょいちょいとヘリオスに小突かれて、自分も選ばねばならないことに気づいた。
「とりま、これとか着てみ?」
「えっ、ええと……」
手渡されたのはミリタリーパンクのツーピースワンピース。
一見すると軍服のようだが、スカートは膝上丈で、少し腰を捩れば臍が顕になる逸品だ。
ファッションに無頓着なヘリサブでも分かる。これはとてもではないが、品格ある宴席に着ていくものではない。
「へ、ヘリオス。これは流石に……」
「んー……だめぽ?」
ヘリオスがテン下げしたところで、ヘリサブはハッと顔を上げた。
自分は何であるか。それは勿論、ダイタクヘリオスのサブトレーナーである。
そのサブトレーナーが担当ウマ娘が選んでくれた服装を、「不適切だから断っていい」などと師は教えただろうか?
128二次元好きの匿名さん21/10/14(木) 21:19:24
「……ごめんなさいっ、ヘリオス」
「おけおけぴ! ちゃんとしたドレスでガチヨロおけまるだし……」
「いえっ。貴方の選んだとっておきでいいですっ」
「……!」
ヘリオスのサブトレーナーは断固たる想いで胸中の問に答える。
教える訳がない。担当ウマ娘の好意を誇ってこそトレーナーだ。
なら、ダイタクヘリオスの選んだコーデこそ、自分が胸を張って着られる衣服に違いないのである!
「貴方のとっておきで、私をテンアゲにしてくださいっ。おねがいしますっ!」
「……いぇあ!」
ダイタクヘリオスもその意を汲んで、心から嬉しそうに笑う。
取り出したるはメイク用品を詰めたボックス。とっておきでサイコーのメイクデビューのお伴である。
「テンアゲでサイコーのメイクでバリ上げFoo!
トレぴっぴのメイクデビューさせてくれんの、あざまる水産よいちょまるじゃん!」
「よ、よろしくおねがいします……っ!」
鏡台の前に座り、ふたりのウマ娘は微笑み合う。
心老いたるウマ娘達は、仲睦まじいふたりを微笑ましげに見守るのであった。
うまぴょいうまぴょい