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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part181【TSトレ】
≫116二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 15:01:40
「…………なあボノトレぇ…」
「…………」
「ボ、ボノトレ?」
「え…うそでしょ、この128㎝のロリがマヤトレ…?」
「おう…。とうとう俺もその…毒牙にかかったみたいで…」
「…………きゅう」
「ボノトレ!? 頼む今はまじでお前くらいしか頼れる現男が居ないんだよ!」
「そこは女の子…いや先達に頼ればいいでしょ…? ごめんちょっと頭痛がしてきた…しばら放っておいてくれない…?」
「うぐ…。そこまでか…。でもそうか、お前なんだかんだいって俺がこうなったことにそこまで反応してくれるんだな……」
「…ウマ娘化したことは別にまあそうかなってくらいだし、せめてマヤノと同じくらいのロリならまだロリコンって言えた」
「うん?」
「でも128㎝のロリというかもはやペドは流石に無理…。同僚がロリコンどころかペド野郎だったなんて信じたくない…」
「酷くない? 俺泣くぞ、幼児のガチ泣き見せたろうか?」
「…冷静に考えたらまあ明日にはたぶん戻ってるでしょマヤトレだし。それか夢オチかもしれないねこれ。ボクこんな夢見るタイプだったかなぁ」
「ボノトレー。現実逃避しても目の前の事実は変わらないぞー」
「うるさいまず動揺しろこのロリコンロリ!」
「まさかの逆ギレ!?」
「あーもう分かったよ! とりあえず服買いにいくよ服!」
「それが…そもそも服を買いに出かけるための服が無い。128㎝用の服なんて流石に持ってないぞ俺」
「当たり前だよ持ってたら本気で通報してるよバカ! もしもしカレトレ? ああうん大至急! うんそう128㎝! いや…別にそこまでは大丈夫かな。カワイイかって知らないよ!? うん、うん。いや同期の同僚だし担当の繋がりもあるでしょキミいいから早く来て!? そうすぐに!? 分かったありがとう!」
「おーい? ボノトレー?」
「うるさい当事者は黙ってて!」
「ええ…」
この後無事3人でショッピングに行って服を色々買ったものの、結局1日で戻ったマヤトレでしたとさ
うまぴょいうまぴょい
≫152二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 15:21:51
「…………なあボノトレ、カレトレ」
「何、マヤトレお兄ちゃん…はいこれ次の服ね。はやく着替えて」
「待ってカレトレ、こっちの服の方が良くない?」
「うーん、それはちょっと女児要素を前に出し過ぎじゃない? 過剰カワイイだよ」
「そっかぁ…いやでも128㎝ロリだよ、このくらいが普通じゃないかな」
「なあ待てって! 二人とも、順応早すぎない?」
「いいから早く着替えてマヤトレお兄ちゃん」
「そうだよなんかこの際もう楽しんだ方が得だよマヤトレ。せっかくだしおめかしした方がマヤノにも誤魔化せるって色々。少なくとも衝撃は和らぐ…はず…いやどうだろ…」
「あ、意外とその辺考えてるだな…っていやそれにしてもこんなに服買う必要ある?」
「女の子だよロリコン野郎」
「そうだよマヤトレお兄ちゃん。普段ロリコンなのにこういう時は女の子のことわかってないんだから…」
「お前ら二人に女の子の服について説かれたくはねぇな…」
「…いや待ってマヤトレお兄ちゃん、女装のボノトレお兄ちゃんはともかく私は今女の子だよ?」
「いやカレトレはぶっちゃけカレンチャン以外の女の子と服を買いに出かけたことも付き合ったこともないだろ的な意味で女の子のこと語れねえんじゃないかなって」
「なんてこと言うのお兄ちゃん…。うるうる」
「そうだよマヤトレ! いくらカレトレは男の頃から(カワイイ的規制)で(カワイイ的規制)な(カワイイ的規制)だからって言っていいことと言って悪いことくらいあるでしょ! ほらカレトレ泣いっちゃたんじゃん!」
「いま正にボノトレのせいでカレトレの泣いたフリがガチ泣きに移行しつつあるんだよなぁ…。いやごめんてカレトレ…流石に悪かったよ…なっ?」
「うう…じゃあこの服着てくれるマヤトレお兄ちゃん?」
「その転んでも絶対にただでは起きないあたりカレンチャンに似てきたなお前…いやそうでもないか…?」
「いいから早く着替えてくれないマヤトレ。ぶっちゃけマヤノちゃんが来るまでそんな時間ないよ?」
「え、待って呼んでるの?」
「そうだよ! それでとりあえず女児服着てマヤノお姉ちゃんって呼んで! 衝撃をさらなる衝撃で打ち消して冷静にさせるんだよ!」
「嘘だろなんだそのアホな作戦!」
この後無事マヤノの許容限界を超えてぶっ倒れさせることには成功したのでした
マヤトレはキレた
うまぴょいうまぴょい
≫171二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 15:46:59
「…………なあマヤノ、あとボノトレにカレトレにカレンチャン」
「なに? トレーナーちゃん! あ、マヤお姉ちゃんでもいいよ!」
「順応早…流石俺の担当…っていやそうじゃない! 何この状況! なんで一部屋に泊まることになったの俺ら!」
「細かいことを気にする男はカレトレみたいにモテないよボノトレ」
「今この状況でモテるもくそもねぇよ! あとついでにカレトレ被弾させるのやめてさしあげろ! たしかにあいつ昔からモテないけども!」
「何って言われても…女の子のお泊り会だよマヤトレお兄ちゃん? あとモテないは心にくるからやめて?」
「いや、お泊り会にはならんだろ! 後者については普通に謝るが!」
「カレンもこんなお泊り会は初めて☆」
「そうだろうなぁ! 元男二人と現男一人がいる女の子のお泊り会とか聞いたこともないわ!」
「せっかくだしアケボノも呼んどけばよかったなぁ…」
「待って! 既に人数多くてツッコミも追いつかないし収拾がつかないからやめて! というかお前に至っては普通に男だろなんかこう…まずいだろ!」
「だからカレンがいるんだよ?」
「そっかあ!(思考放棄)」
「でもマヤトレ、一人で大丈夫なの?」
「え」
「トイレとか…風呂とか全然違うだろうし、逆に男じゃないと相談しにくいこともあるだろうし…」
「それは…そうかもだけど…」
「ならいっそお泊り会って名目で集まった方が良いんじゃないかなって思ったんだよねボク。これなら何があっても大体対応できるし、この方が精神的にもいいでしょ?」
「…ボノトレ…お前」
「あとマヤノちゃんと一緒にするのが正直怖い。というか流石にやばい」
「…………いや、うん。まあここは素直に感謝しておくわ」
「じゃあ決まりだねマヤトレお兄ちゃん! じゃあマヤノお姉ちゃん、まず何から遊ぶ? UNO? ジェンガ?」
「うーんマヤは…」
「お兄ちゃんちょっと落ち着こう?」
「まってボクはこっちの…」
「…そうだな。これくらいの方が、いいのかもな」
その後翌朝無事男に戻ったマヤトレであったが、この時起きた惨事について、この余白はそれを書くには狭すぎる
うまぴょいうまぴょい
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part182【TSトレ】
≫18二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 16:17:17
フクトレ「今日はぁ↑デェッドスペェェスをプレイしてもらいますぅ↓(若本の真似)」
スズトレ「12点」
マルトレ「もうやる前前から怖いのわかるんだけど……ちなみにスズトレ何点満点?」
スズトレ「300点」
フクトレ「泣くぞ」
≫29ガンギマリ頭スズトレ21/10/08(金) 16:25:53
『彼方、春の日』
コツ、コツ。
私とトレーナーさんの足音だけが、廊下に響き渡る。
玄関から入り、階段を上がり、そして今廊下を2人で歩いている。
そして、ふとトレーナーさんの足が止まる。目的の部屋に着いたみたいだ。
コンコン、とトレーナーさんが扉をノックする。
「スズトレです、失礼します。」
「はい、どうぞ。」
中からの返答を聞き、トレーナーさんが扉を開ける。そこには一人の女性がベッドで身体を起こしていました。
「お久しぶりです、ウラトレさん。こちらが私の担当ウマ娘の…」
「サイレンススズカです、はじめまして。」
「こちらこそはじめまして。話はスズトレさんから聞いています。彼の言うとおり、キレイな顔です。」
「あ、ありがとうございます…」
不意にとんできた褒め言葉で少しだけ顔が赤くなる。トレーナーさんは私の事そんな風に話していたのか。
「驚かないんですね。私の事。」
「驚く、とは?」
「私もウマ娘化現象巻き込まれたので…」
「…サイレンススズカ担当。」
「「はい。」」
「あ、スズカさんまで反応しなくても大丈夫ですよ。」
ウラトレさんがそう言ってくれる。一瞬で急変した空気と名前に思わず反応してしまった。
「少し抜けてるとこがあるのは周りがあなたへ親しみを感じやすくする長所の一つです。
ですが、それが頻発するのはいけません。事前に電話でウマ娘化した事を説明していましたよね?」
「あっ…すみません。」
「分かればよろしい。」
厳しくも優しさを秘めたウラトレさんの声が病室を包んだ。
30ガンギマリ頭スズトレ21/10/08(金) 16:27:16
「にんじんプリン、冷蔵庫に入れておきますね。」
「お願いします。もう少ししたらウララも遊びに来ると思いますので。」
「お花、置いておきます。」
「スズカさんもありがとうございます。大事にしますね。」
そんなやり取りをしながら差し入れとして持ってきたものを整理していく。
ウラトレさんの担当ウマ娘であるハルウララが大好きなにんじんプリンはもちろんのこと、小腹を満たせるカルパスやハイチュウ、あとは定番の花やリンゴ。
少し多すぎた気もするけれど、カルパスやハイチュウは日持ちするから大丈夫なはず。
「ところで今日はお見舞いだけじゃないのでしょう?わざわざスズカさんを連れてきたということは。」
「やっぱりウラトレさんにはバレるかぁ…
あの時の相談のお礼を、改めて2人でしに来ました。」
「相談…ああ、なるほど。確か6月の終わりごろでしたね。」
ウラトレさんが思い出したかのように拳で手を叩く。
「はい、私が自分の走りに迷ってた時期です。その事で相談に乗ってくれてたとトレーナーさんから聞いて、どうしてもお礼がしたくて。」
「礼を言われるほどのことではありません。あの時私が言ったことは「貴方はなぜスズカさんを担当に選んだのですか?」というアドバイスですらない一言だけ。
そこから掛けるべき言葉を見出し、貴方に道を示したのはスズトレさんです。」
「だけど、真っ暗な闇の中の道標にはなりました。…ありがとうございました。」
「ありがとうございました、ウラトレさん。」
「どうもいたしまして。あの言葉がお二人の力になったなら、こちらも嬉しいです。」
ウラトレさんはそう言って和やかに微笑んだ。
そこからはもう色んなことを話した。ジャパンカップの事とか、近況とか、デビューの件とか、色々。時間が経つのも忘れるほどに。
そんなこんなで、あっという間に帰る時間に。
31ガンギマリ頭スズトレ21/10/08(金) 16:28:02
「あ、もうこんな時間…」
「えぇ、今日はここまでですね。スズカさんを呼び戻して来るといいでしょう。」
「ついでですし、ウララちゃんも送ってきますね。」
「助かります。あの娘を信じてないわけではありませんが、やはり暗くなってきてるところを女の子1人では歩かせたくないので。」
日が落ち始める外を見ながら、ウラトレさんがそう呟く。プラチナブロンドの髪が夕日で淡くオレンジがかっている。
「…迷惑じゃなかったでしょうか?」
「どういうことでしょうか。」
「ウラトレさんがウマ娘化現象に心を痛めていた、というのは聞いてたので。ガッツリ精神も変わった私が行ったらかえって不安を煽るのではないか、と。」
ここに来るまで、ずっと考えてきた。私はホントに行っていいのか。逆効果にはなったりしないか。だってウラトレさんは、私にとって…
「…なるほど。…サイレンススズカ担当。」
「はい。」
多分5度目くらいのフルネーム呼びをされる。
「その心配はいりません。確かに貴方はウマ娘化現象に巻き込まれ、身体も精神も前とは少なからず変化してしまったのでしょう。
しかし、あなたの目には依然として他者を想う優しい光が宿っている。」
「────」
「だからむしろ安心しました。ありがとうございます、スズトレさん。」
「…はい!」
────まるで、親に褒められた子供のような。そんな弾むような声が部屋を跳ねた。
32ガンギマリ頭スズトレ21/10/08(金) 16:28:36
来客は消え、1人となった病室に静寂が訪れる。
『ふむ。他の人を支えてあげたいですか。』
『はい。そのためにここ数日、親に頼んで色んなところにお邪魔させてもらったんですがこれだ!というものがなく…』
『当然でしょう。イメージが漠然としすぎています。というか、他者を支える仕事と言うなら福祉や医療関係など、そちら方面を当るべきだったのではないでしょうか。』
『あっ、確かに。』
『…貴方はしっかりしてるのか抜けてるのか分かりませんね…
頭に浮かぶのは、彼女となった彼と初めて会った日のこと。』
『とりあえず俺は実家に帰ることにします。財布だけでなく助言までくださって、ありがとうございました。』
『…貴方、まだ時間はありますか?』
『え?はい…最後に出るのが夜なのでまだかなり余裕はありますが…』
『なら私についてきてください。…一つだけ、私にも見せられる仕事があります。』
あの時、彼にレースを見せてよかったと心の底から思う。
「────立派になりましたね。」
去っていく三つの人影を眺めながら零れた言葉は、自分でも驚くくらい優しさに満ちていた。
≫51二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 17:01:52
『怒涛と星々そして黒子、再びの交わり』
「…姉御ォ…無事で…無事で何よりでぇ…」
顔がずびずびになってしまっているドトトレが喜びの表情とともに滝のような涙を流している。
「姉御って呼ぶんじゃないよドトトレ。耳は生えたけどこの通りピンピンしてるよ!…あっ尻尾も生えたんだった」
「だってよぉぉぉぉ……」
「まあまあ、ドトトレも君を心配していたのだから。本当によく生きて戻ってくれたね、ベガトレさん」
病院から退院して、ルドトレからある程度の説明を受けた後の話。
ベガトレは担当であるアドマイヤベガとかかわりの深いメイショウドトウ、テイエムオペラオーのトレーナーと食事をとっていた。
「アヤベちゃんが知らせを聞いてぶっ倒れたって聞いて、俺も気を失いかけましたもん…」
「まあ、うん。事故だからねえ…私もまさか生まれ変わるような形で生き返るとは思わなかったけどね」
「皆ウマになってしまったわけだが、関係が変わることもないでしょう。これからもライバルたちであり、同僚であり、親友ですよ」
「ま、年齢的にはばっちりオペトレさんが先輩だけどね!」
「はっはっは、今は若返っているのでおんなじくらいですよ、おんなじくらい」
「……いやふと思ったんだけど」「何でしょうか」
「大体16くらいになってるわけじゃない私たち、っていうかトレーナー全員。…お酒飲んでいいの?」
「…………」
沈黙が机を支配する。ヤバい質問したときのウラトレ先生の時のようだ。
53二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 17:02:34
「ちょっと!?オペトレさん黙らないで怖いから!俺たち酒飲んでるの悪いことなの!?」
「はっはっは、冗談ですよ。その件については問題ありません。見た目に関しては大体高校生くらいにはなっていますが、肉体的には二十代と同等であるという計測結果が来ていますから」
「ははーんそうなのねえ…だからあのアホ一号とその他愉快な仲間たちはあれだけ飲んで食べての大騒ぎなのかい」
「まあ、そういうことです。…アホ一号?」
「いやね、夢ん中でアホ二号呼ばわりされてね…」
「「……ああー。」」
「待て、なぜ納得したんだ!」
「「いや、別に?」」「くそう、強く否定したいのに!…?ああ、ちょっと待ってくれ。……ふう、すみません、切り替わりました」
「……ほう、これがあなたのもう一人の友人…というわけですね」
「そういうわけです。こちらのピンクの瞳が出ている場合はわたしが、黄色の瞳の場合はベガトレさん本人が出ているという認識でお願いしますね」
「なるほど、承知しました。では、レディとともに乾杯でも」
「オペトレさんそのあたりの言葉が担当からばっちり移ってますね…」「性分なもので」
「では、乾杯。皆さん、よろしくお願いしますね」
「そういえばこれ、両方出したらどうなるんです姉御…じゃなかった妹さん」
「えーっとですね…「こうなります/こうなるんだよ」」
「うわあああ!?二人分の声がでてる?!どうなってんの!?」
「「ぶっちゃけよくわかりません」」
「いやはやなんとも複雑怪奇ですねえ…」
こうして3人は全員が全員ウマとなったが、関係性自体はそう変わらず交流が続いていくのであった。
うまぴょいうまぴょい。
≫114ガンギマリ頭スズトレ21/10/08(金) 18:08:46
『牡蠣の調理法?』
「うん。ほら、さっき新しく入ったトレーナーの人から牡蠣もらったんでしょ?私昔1回当たってて…」
『ああ、なるほど…それは確かに生食用とはいえ怖いな…分かった。調理場で教えるから来てくれ。』
「ありがとう!」
感謝の言葉を述べて電話をきる。電話の相手はオグトレ。私の同期であり、プロにも負けない料理の腕前を持っている。
もらった牡蠣のいくつかを保冷バッグに入れ、寮内にある共同の調理場へ。
「こんばんは。」
「こんばんは、夜遅くにごめんね…」
「はははっ、私も明日何を作ろうかと考えてたしちょうどよかったよ。」
「やっぱりオグリにご馳走するの?」
「もちろん。あの子が喜ぶ姿ほど私が見たいものはないからな。」
そう、オグトレが微笑む。その姿はまるで子を想う母である。
「それじゃあお願いします!」
「ああ。とりあえず始める前に聞きたいのですが、スズトレは料理ってどこまでやれるんだ?あまりやらない方なのは知ってるが。」
「一応、トレーナーになる前は一人暮らししてたしある程度は…ただあまり凝ったものは作ったことないかなぁ…」
そう話しながら男だった頃に思いを馳せる。あの頃はあまり料理にも興味はなかったし、手間のかかるものは買って済ませることが多かった。
「なるほど、分かった。じゃあそうだな…ここはシンプルにフライとかどうだ?揚げ物系した事ないだろうし。」
「今の説明でそこまで…」
「ウマ娘になってからは色んな人に聞かれるようになったしな。じゃあ取り掛かるとしよう!」
どこまでも見通してそうなその瞳に底知れぬものを感じながら、私も調理の用意をするのだった。
117ガンギマリ頭スズトレ21/10/08(金) 18:09:08
「…美味しい…ほんとに私が作ったの、これ…?」
「当然。スズトレ、結構物覚えがよかったからこっちもサクサク進めたわ。」
半ば信じられないという思いの混じって漏れた言葉を聞いて、オグトレが肯定する。
「多分だけど、スズトレはめんどくさがってただけで素質はかなりある方なんじゃないかな?もっと積極的に料理していっていいと思うぞ。」
「…オグトレが言うなら、頑張ってみるかぁ…」
実際、オグトレ教え方は超上手かった。だって調理中に疑問がひとつも浮かばなかったもん。聞かれそうなとこを先回りして言ってくれてた気がする。
「んで、スズカにはご馳走してあげられそうなのか?」
…ホントに、どこまで見通してるんだ。
「どうして分かったの?」
「逆にスズトレが重い腰あげるレベルの相手、他にいるか?…まあ、仮にそれを抜くならジャパンカップだな。復帰明けなのにも関わらず、ブロワイエを含めた世界の強豪相手に一度も先頭を譲らなかった奇跡とも言うにふさわしいレース。
あれは、担当との絆がよほどのものでない限りできない。それこそ、私とオグリの有馬記念のように。」
「…うん。私の自慢だよ。」
あの時の景色を思い出し、薄らと浮かんできた涙を拭き取る。
「ねえ、オグトレ。」
「ん?なんだ?」
「…これからも料理教えてくれない?」
「ああ、喜んで!そういうことなら今度からルドトレも呼んで3人でやるか?」
「それはいいけどあまりくっつかないでよ?ルドトレが後で大変なことなるから。」
「えっ。ひどくないか?」
「ひどくない。あのルドルフ相手に説明する私の身になって?」
そんな軽快なやり取りは調理場から明かりが消えるまで続いたらしい。
余談だが、その後提供された牡蠣が実は加熱用と分かり、翌日2人は犠牲者たちの介護側に回ることとなった。
≫134二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 18:18:07
スイープトウショウのトレーナーは、およそ魅力的な人物とは言えなかったと彼の同輩は記憶している。
「やだやだやだ〜っ!
今日は魔法の薬の材料を探すんだからぁっ!」
「駄目だ」
彼は中年ながら、未熟だった。
常にどこかぼんやりとしていて、口を開ければ端的ながら、配慮に欠けた言葉が飛び出す。
同じ師に教えを請うた一門の中でも一際「落ちこぼれ」であり、師や先輩、時には同期からサブトレーナーの仕事を頂戴し、どうにか日々をやり過ごしていた。
そんな彼にも、遂に専属トレーナーとしての仕事が舞い込む。
トウショウ家の御令嬢、スイープトウショウ。
早い内から本格化の傾向があり、入学するなりじゃじゃウマ娘として頭角を現した気性難を、師たる老翁が紹介し、契約を結ばせたのだ。
135二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 18:18:55
「今日はトレーニングをしなさい。
メイクデビューまでに基礎を作らないと……」
「やだっ!!!」
「やだ、って……」
ここで上手くいく、或いは奮起するのが物語のお約束だ。
「ハァ……なら、勝手にしなさい」
「……なによっ。なによなによなによ〜っ!」
だが案の定、スイープと彼はうまく行かなかった。
会っては駄々をこねるスイープを持て余し、彼もまた拗ねたようにスイープを放り出してしまう。
反抗期の娘とその親のようでいて、その実は子供と大人になりきれない子供おじさんの喧嘩なのだ。
どちらかが歩み寄るのをお互いが待つ間柄など、うまくいく筈がない。
「あんたなんか、だいっきらい!!!」
これは先が思いやられる……同期のサクラたる、テイエムオペラオーのトレーナーはそう溜息をついた。
136二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 18:19:27
そんなスイープトウショウのトレーナーがウマ娘になったと報せがあった時、オペトレは真っ先に自分へ連絡が来たことを知って内心頭を抱えた。
同期として、そして諸手続き請負人として連絡が来るのは当然。しかしそれは二番手三番手の筈で、真っ先に連絡すべきは絆を結ぶべき担当ウマ娘に対してだと注意事項にも書いていた筈。
だというのにそれを無視し、ただ事務的にやり過ごそうとする彼に腹が立ちもしたが、オペトレは心を無理矢理に落ち着かせ、彼女となった彼の面倒を見るべく馳せ参じた。
「やあ、来たよ。開けてくれるかい」
「……入ってくれ」
ドアの向こうに広がる空間に対し、空虚な部屋だとオペトレは感じた。
家具の類はろくになく、壁にも何もかかっていない。
かといって生活感がない訳でもなく、読み捨てたであろう投書物や葉書の類が粗雑に捨てられている。
まるで彼がやり過ごした時間が積み重なったような場所、その中心たる敷布団の上に、彼女はいた。
137二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 18:19:58
「……オペトレ……おれ、どうなって」
「姿見くらいは置いておくといい。
そら、見るかい?」
手渡された手鏡でスイープトウショウのトレーナーが見たもの。
それは巻かれた月毛の美しい、如何にも手弱女振りが目立つウマ娘であった。
まるで3つの月を重ねたようなシルエットは、ウマ娘としてはいくらかふくよかで、速さを感じさせない。徒人が手を伸ばせば届きそうな程度に。
ウマ娘化した人物の中では過剰に美貌が盛られる者がいるが……
彼女のかんばせはその中でも、彼自身の精神性を表すように、手に届きそうな、隙という名の魅惑を与えられたように見えた。
138二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 18:20:27
「…………」
丸い金色の瞳を瞬かせ、手鏡を呆然と覗き込むスイトレを尻目に、オペトレはスイープトウショウへ此処まで来るよう連絡を始めた。
専属トレーナー業は担当ウマ娘の是認がなければ続行できない。変わり果てた彼女とやっていく意思があるかどうか、その意思を確かめる必要があったのだ。
いくつかご褒美を忍ばせていたオペトレの予想に反し、スイープトウショウは真っ直ぐやって来た。
息を切らして、慣れない道を走ってきたのだろう彼女は、ぼんやりとしたスイトレの目を見て……叫んだ。
「魔法ねっ!?」
「えっ」
「みにくいイモムシがきれいなちょうちょに変わる魔法!
グランマに教えてもらったわ! きっとその魔法よ!」
よかったわね! と心から祝福し抱きしめるスイープを、ひどく複雑そうな顔でスイトレは受け容れた。
爆笑したいのを堪えて、オペトレは脳裏の算盤を弾く。
「小さな魔法使いさん。頼みがあるんだが、聞いてもらえるかな?」
「なぁに? 聞くだけ聞いてあげる」
「ありがとう。
実はね……彼は私の友達なんだが、魔法のことをまるで知らないんだ」
そう囁きながら、オペトレは手品の要領でマニ車を模したハンドスピナーを取り出し、くるくるとあたかも魔法の品のように回す。
スイープの目がきらきらと、珍しい同胞を見るように瞬いた。
139二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 18:20:55
「な、何を」
「誰かが羽化の魔法を唱えたはいいが、魔法の心得がないとこの先ひどく困ってしまうだろう。
だからお嬢さんから、魔法を教えてやってほしいんだ」
いい機会だ、とオペトレは考えた。
このスイトレというひどく臆病で怠け者な中年は、輝かしい青春もないまま大人の姿となってしまった。
それを変える運命の時が彼にやってきたのだから、彼を魔法の世界へ引っ張り出してもらおう。
やや強引な話だが、元々師もそれを狙ってのことであろうと許容する。
思わぬ大任に、スイープトウショウはオペトレの読み通り目を輝かせ、自信満々に胸を張った。
「いいわ!
この魔法少女スイーピーに任せなさいっ!」
「そうか、そうか……それは良かった」
睨むスイトレを無視して、オペトレはふたりの手に飴玉を転がした。
フジトレの依頼でフジキセキの大掛かりな手品を手伝う際に、彼女から教えてもらった小技が存外に効いたことにほくそ笑みながら、彼は恭しく引き下がる。
「本当に特別な魔法は、君にしか扱えないものでね」
スイープトウショウがグランマに教えてもらったであろう、特別な魔法。
オペトレはスイトレの命運を、そこに託した。
140二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 18:21:21
「どうしてくれるんだ……」
「どうもこうも、うまく行ってるじゃないか」
ウマ娘になってからというもの、オペトレからもスイトレの表情がわかりやすくなった。
そしてその渋顔が完全な拒絶ではないことも、長らくウマ娘を見てきたものとしてよくわかる。
「トレーナーとの共同トレーニング。
中々功を奏しているようじゃないか」
「それは、そうなんだけど」
「次の休日は魔法少女と野草観察だろう?
楽しんでいるようで何よりだ」
「なんでそれを……?」
「交換日記だよ。君も参加するかい?」
オペトレは念の為とサブトレーナーとして彼らの面倒を見ていたが、経過は思った以上に上々であった。
本格化の始まりだしたスイープとスイトレはスタート時点での基礎能力がほぼ同じであり、ふたりで同じトレーニングをこなすことができた。
(オペトレがひよっこ魔法使いの修業に最適、とスイープを唆したのも大きかった)
才能と勝負勘は圧倒的にスイープの方が高く、いつかスイトレは追いつけなくなるが、その頃にはスイープは他のウマ娘と競う体の基礎が出来ているだろう。
また、スイープに連れられて野草採取や野鳥観察に勤しんでいるようで、スイトレの病的に白かった肌も神秘的という程度には濃くなり、スイープやオペトレの前では耳や尻尾が動くようになっていた。
「…………する」
「よし、決まりだ」
相互の成長。
ウマ娘とトレーナーが歩む中で、一番良い成長の道を彼らは歩めていたのである。
141二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 18:21:44
「オペトレ」
「ん……ああ、かけるといい」
トレーナーの安全確保・本人確認のためのGPS所有要請……ヒリつく情勢に対し、オペトレがどう処理すべきか悩んでいたところ、スイトレは彼女の執務室へ訪ねてきた。
オペトレが珈琲を淹れてやると、スイトレはそれに角砂糖とミルクを入れ、ふぅふぅと冷まし始めた。以前は冷めきるまで放置したブラックコーヒーをがばりと流し込んでいたのを見るに、随分と余裕ができたものだとオペトレは微笑む。
「スイーピーのことなんだ」
「トレーニング内容についてかい?」
「いや……その……」
言い淀むスイトレの様子を見て、オペトレは作業を中断して、答えをじっくりと待つ。
オペラオー譲りの優しい沈黙に、スイトレはやがておずおずと話を切り出した。
「スイーピーが、最近よく頭を撫でるんだ」
一世一代の懺悔のように語られたそれに、思わずオペトレはむせた。
「わ、笑うなよぉ」
「いや、ごめん……予想外で……それで?」
「魔法のことを覚えてたら、よく褒めるんだ……呪文をちゃんと言えると、ぎゅっと抱きついて……」
「……ど、どう思った?」
「かわいいって思った……」
一世一代の告白のように語られたそれに、思わずオペトレは噴出した。
無理からぬことであった。
142二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 18:22:09
「……よし、よしよし。落ち着いた」
「ちゃんと聞いてくれよ。おれだって恥ずかしいんだ」
「ああ、勿論……よし、聞こう」
とはいえ、元は中年男性のウマ娘が、年端もいかぬ少女との触れ合いで錆びきった情緒を取り戻すまでの惚気話など、如何にも世紀末覇王が好きそうな、幸せたっぷりのあまあま喜劇であることは否めない。
一層身を引き締めて聞かねば耐えられんだろうと見たオペトレの予想は、より正しい形で裏切られた。
「おれ、今はウマ娘だろ。
だから……なんか、おかしいんだよ」
「どうおかしいんだい」
「みんなが話しかけてくれるし、スイーピーなんてもう……まるで友達みたいに接してくれるんだよ。
それで、それを嬉しく思っている自分がいるんだ」
それはスイトレの人生の中で初めて訪れた、承認と肯定の日々なのだろう。
思えば、彼女が彼だった時に褒めることをしたのは師以外になかった。オペトレとて、彼の人生に侮りと蔑みを僅かにでも抱いていなかったといえば嘘になる。
その侮りと蔑みが、スイトレの人生に与えたものはなんだっただろう。
いい影響があったなど、口が裂けても言えない。
彼が10年も過ごしたあの空虚な部屋が、それを如実に訴えかけていた。
143二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 18:22:33
「おれは……おれは、こんなにちやほやされたのは、はじめてで。
だから、ひとしきり舞い上がって……正気にかえって、疑ってしまうんだ。
本当は陰でおれを笑っているんじゃないか、気味悪がっているんじゃないかって……」
それは他人に初めて見せた、スイトレの本心なのだろう。
誰もが彼を侮蔑することで、彼自身もまた誰も信じられなくなってしまったのだ。
自分達が知らずの内に彼のこころへ無造作に投げ入れた負債なのだと気づき、オペトレは飲んでいる珈琲がひどく苦く、冷たいものに感じた。
「スイーピーは」
「え……」
「スイーピーは、君をどう思っているだろう。
言葉にできるなら、君の予想を聞かせてほしい」
オペトレの言葉に、スイトレはううんと考え込む。
「言葉に……裏表は、ないと思う。
思いっきりバカにしてくるし、思いっきり甘えてもいるんだ」
「嫌じゃないかい」
「嫌……じゃ、ない。今は……」
「それは、本当によかった」
心から安堵し、オペトレは執務室の扉を開ける。
そこにはむずがゆそうな顔をした、スイープトウショウが立っていた。
144二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 18:23:08
一部始終を聞いていたのだろう。
スイープトウショウは眉間に皺を寄せ、きっとスイープを見つめていた。
「スイーピー……」
「……ばか。ばかばか。おたんこにんじん」
オペトレに背を押され、スイープトウショウはスイトレの隣に座った。
当惑するスイトレを、彼女は上目遣いに見据える。
「あんたは魔法がかかってるの。すてきな魔法で、すてきな人になったの」
「……でも」
「でもじゃないの! 魔法は人を幸せにするのよ!
グランマもそう言ってたんだから、幸せでいいの! 幸せになっていいの!」
その言葉が、スイトレにとってどれだけ染み入る言葉だっただろうか。
震える手を伸ばした彼女の間に、すっぽりとスイープが収まる。
えんえんと泣き喚くスイープを、スイトレはおっかなびっくり抱きしめる。
その人生が変わっていく瞬間を、オペトレはただ舞台の観客のように、邪魔をせずにじっと見つめていた。
145二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 18:23:31
「それは素晴らしい観劇だったね。
ボクだったら立ち上がって拍手を浴びせていたよ!」
「ああ。君にも是非観て貰いたかったよ」
後日。
オペトレは自分の担当、テイエムオペラオーとスイトレのことを肴に談笑していた。
あれからスイープトウショウの調子は絶好調。デビュー戦を一着で勝ち抜け、ファンタジーステークスも勝利を収めている。
継続して行われている報道陣のトレーナーズ・インタビューでも取り上げられ、まるで母娘のようだと報道されていたのは記憶に新しい。
まさに順風満帆といったところだ。
「人は皆役者……役が代われば、役者の顔も変わるか。
君の脚本は随分とドラマティックだね、トレーナー君」
「誰かさんの影響だろうね、間違いなく」
今頃はトレーニングを終え、それぞれの帰路についている頃だろうか。
そう考えていたところ――来客があった。
146二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 18:24:01
「スイープ?」
扉の前でぐずっていたのは、話の主役となっていたスイープトウショウであった。
何度も転んだのかぼろぼろで、膝小僧を擦りむいている。
オペラオー達はこれはただごとではないと察し、彼女を迎え入れた。
「どうしたんだい、スイーピー。話してご覧」
「……たすけて」
俄に緊張が走り、次第にひとつの違和感に気づく。
こんなにも担当ウマ娘がぼろぼろになり、足を怪我しているというのに、どうしてトレーナーがいないのか?
「トレーナーを……たすけて……っ」
オペトレは咄嗟にスマートフォンへ手を伸ばした。
為すべきことをなし、最善を尽くすために。
(前編終了)
≫181二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 19:24:28
仲の良かった同僚と一緒に祭りを回る約束をするトレーナー
話を聞いた担当に無理矢理浴衣を着せられる
射的で身を乗り出したら尻が強調されてしまう...薄い浴衣なので当然パンツも透ける...黒、しかもtバック
視線に気づいたトレーナーは素早く尻に手を当てる
これは担当が無理矢理...と弱々しく呟く
「かわいいでしょ?私が選んだのよ」トレーナーの尻を揉みながら言う担当
頬が紅くなる、傍目でも発情してるのがわかる
「担当...お願い...」
「もうトレーナー、はしたない娘ね...でもいいわ、そんな貴方も好きよ...」
そのまま二人は誰もいない空き教室の方へ消えていった
こうですか?全然分かりません!
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part183【TSトレ】
≫二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 19:43:30
――通称『言うっちまうスレ』
俺達TS乗りに与えられた舞台
そこには創作者もROM専もない
条件は皆同じ
字書きも絵描きも関係ない
性癖を巡って
各ウマ娘のトレーナーが飛び交う場所
『正直になれ』
――それが唯一の交戦規定だった
46二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 19:57:59
「頭サイゲか? ああ 知ってる」
「話せば長い そう 古い話だ」
「知ってるか?このスレは3つに分けられる」
「性癖を求める奴 ロマンに生きる奴 タ性壊をする奴 この3つだ」
「あいつはー」
「あれは、TSタイトレ概念が出た日だった」
「このスレはあいつも見るのか?居たら伝えてくれ」
「よう 頭サイゲ まだ生きてるか?」
「ありがとう 変態」
「またな」
≫53二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 20:02:56
こんにちは!言うっちまうスレのアイドル!パラシンちゃんです!
今朝、寮のポストに謎の本が入ってました!
持ち主を探すために早速中を見てみましょう!いえ、決して面白い事書いてあったら良いなとか思ってないですよ?
──読書中───
.....英語でも日本語でもないです、見たことない文字で書かれてます!
なんて書いてあるかさっぱり読めないので!先輩方の力を借りたいと思います!
──────
居ました!いつもの4人組です!
先輩方!ちょっとご相談が!
待ってください!今日はお裾分けじゃ無いです!逃げないでください!てか、お裾分けだとしても逃げずに食べてください!傷つきますよ!?
─────
「で?聞きたい事って?」
「これです!この本について聞きたいんですよ!」
先輩に本を見せる
「良く出来てるな、魔本じゃないか」
「????」
「懐かしいですわ!昔よく見てましたわ!」
懐かしい?昔流行った本なのでしょうか?
何が何だか?と言う顔をしているとフクトレさんが説明してくれました
曰く、この赤い本は金色のガッシュベルと言う漫画に出てくる本にそっくりらしいと
私は見たこと無いですが、かなり人気だったようです!
因みにブラトレさんも見たこと無いらしいです!
若者はサンデーなんて読まないですからね!
時代はブンブンかボンボンです!
なんて他愛もない談笑をしているとマクトレさんが本を開きました
「あ、読めたりします?」
「読めますわ...えーと、第8の呪文...ラージア...ラディス...」
ピカッ チュドーン
終わり
≫74二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 20:20:23
OK ならこれだ
ネタss
トレーナー寮のある一室にて、多くのトレーナーたちが集まっていた
「ではこれより、第n回性癖会議を始める!」
「今回の議題は『ウマ娘化トレーナーたちにタイツを履かせるか否か』だ。」
「・・・過去に二回ほどやった議題ですね。」
「つまり続きというわけだ、意見のあるものは?」
「はい、私は履かせるべきかと。タイツは確かに露出は下げるものでしょう」
「ですが薄いものなら?そこに汗をかいていれば?・・・もうお判りでしょう。濡れ透けです。実によいと思いませんか!」
「わかるぞ同志よ。あのぴっちり感・・・タキトレで考えるだけでも鼻血が出そうだ」
「なるほどな、では君。意見があるようだが?」
「はい、やはり私は反対です。」「なんだと!」「落ち着け」「・・・」
「トレーナー達の心情を考えると、タイツを履かせるのにはやや抵抗があります。」
「また、やはり夏や冬での対応にもやや難があります・・・」
「ですがこれではし・・味気ないのも事実。よって私は次の概念を提唱したく思います」
「何かね?」「それはずばり、ぴっちり且つ薄いパンツを履かせることです」
「それのどこがエロいというのだね!」「そうよ!」「まあ聞いてください」
「確かにそれだけでは色気はありません。ですが下着のラインが出るとすれば?」
「!」「その発想はなかったわ・・・!」
「そうです。分かりやすくムチムチなキタトレグラトレ等の方々で考えてみましょう」
瞬間、全員の脳裏にうつる光景。ムチムチなケツに下着が透けるように見えるそれ。
「「「「「・・・アリだな!」」」」」
幾人かは鼻血を垂らしながら、全員がグッとした。
「・・・素晴らしい概念だ。趣旨からは外れているが構わないくらいに」
「さて、思ったよりも早く時間が来てしまったようだ。これで解散とする。」
「総員起立!この数多の概念に」「「「「「ありがとうございます!!!」」」」」
≫124二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 20:56:32
こんにちは!言うっちまうスレのスーパースター!パラシンちゃんです!☆
今日は実家からテトロドトキシン1㍑が届いたので早速
に飲ませに行きましょう!
コンコン!バン!
ちわーす!死の宅急便でーす!ご注文のフグ毒お持ちしました!ささ、遠慮なさらずにグイッと...抵抗しないで下さい!おらぁ!飲め!...ふぅ!今日もいい汗かきました
一仕事したら喉が渇きました!ゴクゴク
あっ...
───────
おしり
≫142タキトレと再会の季節1/1021/10/08(金) 21:08:01
春は出会いと別れの季節というが、再開はいつの季節にだってあり得るものだ。
春だって、夏だって、秋だって、冬だって、いつか別れてしまった誰かにこの世界の何処かで、必然でも偶然だとしてもまた巡り合うことがあるだろう
「先生」
「なんですかアグネスタキオン担当」
しかし、巡り合うシチュエーションというのも同時に存在するものだ。感動の再開と同じ数だけ、再開したくない状況というのも確かに存在している。
例えば────
「自分の和菓子から手を放してくださると有り難いのですが」
「いいえ、これは私とウララの分の和菓子ですが」
デパートの数量限定の和菓子を奪い合っている相手がかつての師であった時などはまさにそれに違いない──
143タキトレと再会の季節2/1021/10/08(金) 21:08:26
昼下がりの街を駆ける。
ウマ娘となり、人の時よりも遥かに強化されたそれは、今かつてないほどまでに駆動していた。心臓がバクバクとなっている。血は常に新鮮な空気を求めて肺は悲鳴を上げていた。
振り返った人の顔が強張っていたのが解る。きっとひどい顔をしているのだろう。事実、自分は必死になりながら街のウマ娘専用道路を全力で駆けているのだから反論のしようが無かった。
「どうしてこうなった……!」
話の発端は昼休みにまで遡る。
彼女のラボでいつものように昼ご飯を食べさせていた折に、タキオンから自分がいつも日用品を買いに行っているデパートの地下にて15時から100個限定で、2つで1つセットになっている特製の和菓子が発売される話を聞いた。
甘いもの好きとは言え、紅茶と洋菓子を好む彼女のことだ。しかも以前「キミ、私が甘いものなら何でもいいと思っていないかい?ケーキとおはぎは別なんだよ?」などと買ってきたおはぎに言っていたのだから興味を失くすに違いない。これもいつもの世間話の一環程度に考えていたのだが──
「興味があるから買ってきてくれないかい?」
まさか買って来いと言われるとは。
しかしそういうわけにもいかない。16時からはタキオンの実験の予定がある上に、それまでは諸々の雑事もある。興味はあるが、そういうわけにもいかないのが現状だった。
「でも、実験もあるし……」
「実験は結果を見るものだから気にしなくていいよ。それとも、キミは可愛い可愛い愛バの頼みを聞いてくれないのかい……?」
上目遣いで少し拗ねたようにお願いをするタキオン。そう言われてしまうと自分としては応えるしかないというのだから、彼女は少しズルいと思う。迷惑をかけられてもそんなことをされると許してしまう自分のチョロさにはほとほと呆れさせられる。彼女のお願いを断ると後が怖いというのもあるのも正直な所だが。
その時は買ってくることを約束して、いつものように彼女特製の実験薬を飲んで別れることにした。
144タキトレと再会の季節3/1021/10/08(金) 21:09:10
急な用事を頼まれたとはいえ、自分ももう大人のだからキッチリとこなさなければならない。そう考えて余裕をもって雑事を終わらせて出発することにしたのだが──
「なんで今日に限ってこうツイてないんだ⁉」
今日の午後は不幸の連続だった。それも見事なまでに。
階段で足を滑らせて尻を強かに強打したことに始まり、マチカネフクキタルから「今日のあなたは吉と大凶が相殺し合って末吉です!」などと言われて占いに巻き込まれたり、終いにバイクがパンクしていた。
特にバイクのパンクは中々精神に来た。
パンクに気付いた時は膝から崩れ落ち、自分の横でマチカネフクキタルにアイアンクローをかましている彼女の担当トレーナーから「……相談に乗ろうか?」と慰められるほどには哀れな姿を晒していたと思う。
「ホントにもう!こういう時に限ってどうしてこうなるんだか!」
しかし、泣き言を言っても始まらない。時間は刻一刻と過ぎ、特製和菓子の数は100個しかないのだから。自分には走る以外の選択肢はなかった。
そうこうしている内にデパートの入り口まで到達する。腕時計を見ると、針は15時4分を指していた。
15時を過ぎている。
マズい。背中に冷汗がつたう。
和菓子を売る店は客が絶えたことが無い。しかも、このデパートはこういった時は基本的にワゴンでの先着順で発売するのでいつも熾烈な争いが発生するのだ。デパートの販売戦略に今この一時だけは恨み言を言ってやりたかった。
できる限りの速足で歩く。ウマ娘になって鋭敏になった視覚や聴覚を用いて最短ルートを模索していく。途中で和服を着た和菓子好きの同僚が上機嫌でこちらに向かってくるのを見たので、凝視することも忘れない。
冷汗以外で背筋に冷たいものが走る。ウマ娘になった後の方が怖くなっていないだろうか彼。
そうしている内に店の前に辿り着く。ワゴンの中を確認すると、和菓子は残り3つになっていた。
他の客を躱しながらワゴンの方へと向かう。
ワゴンの目の前につく頃には和菓子は残り1つになっていた。必死に手を伸ばす。他に手を伸ばす者もなく、これで和菓子は自分の物だと思ったその瞬間。
同時にもう1つの手が和菓子を掴んでいた。優しく、嫋やかな女性の腕。自分が見落としていた誰かの腕。
最後の1つを奪われてたまるかと顔を上げてみるとそこには──
「せん、せい?」
懐かしい師の顔があった。
145タキトレと再会の季節4/1021/10/08(金) 21:09:33
「お久しぶりです、先生」
「貴女は……」
ブロンドの髪が少し揺れる。アレキサンドライトのように知的な光を放っている瞳は今、少しばかりの困惑に揺れていた。
「研修では色々とお世話になりました。今はアグネスタキオンの担当をしています」
「ああ!なるほど。お久しぶりですね」
得心いったように顔を綻ばせている彼女はハルウララ担当トレーナー。
自分がトレーナーになるずっと前から目覚ましい活躍をし、担当したウマ娘を魔法のような手腕で国内外に関わらずレースを勝たせてしまう敏腕トレーナー、それが彼女だった。
懐かしい気分になる。自分も学生時代の研修で何度もお世話になり、その節は色々と迷惑をかけたものだ。思えば自分が和菓子を好むようになったのも、彼女の影響によるところが多かったような気がする。
「お見舞いに行けず申し訳ありません。こうなったのが丁度先生が入院していらした時でしたので」
「手紙を頂いたので結構ですよ。何も姿を見せることだけが見舞いというわけでもありませんし」
師として鷹揚な姿を見せる彼女。この人はいつも変わらない。いつだって冷静沈着で、少しばかりお茶目で、包容力に満ち溢れている。自分と同じように彼女を母のように慕っているトレーナーは学園内には意外と多かった。
「先生」
「なんですかアグネスタキオン担当」
「自分の和菓子から手を放してほしいのですが」
「いいえ、これは私とウララの物ですが」
そして、ここぞという時の我の強さも昔から変わらないままだった。
彼女は甘いもの、特に和菓子が好物だ。まだ研修生の身分だった時のことになる。彼女は快く菓子を他人に分け与える人間だったのだが、自分の同期であるフラトレが彼女の持つどら焼きを欲しがった時に「ダメです」と言って一欠けらですら渡さなかったことを今でもよく憶えている。
146タキトレと再会の季節5/1021/10/08(金) 21:10:11
兎角、こうなった彼女は手を離そうとしない。どうにかしなければ。必死に頭を回転させる。これを手に入れなければ、自分はタキオンから何をされるかわからない。またいつかの時みたいに実験への参加禁止と言われた日には何をしでかすかわからない自信が自分にはあった。
「お願いです。どうしてもそれが欲しいんです」
「おや、奇遇ですね。私もですよ」
「師のよしみでここは1つ」
「私がどういう人間かは貴方は良く知っていると思いますが」
「……持って帰らないとタキオンに何かされるかわからないんです」
「教え子を脅し文句に使うものではありませんよ。アグネスタキオン担当」
ニッコリとされて取り付く島もない。最後に至っては担当をダシにするなとやんわりとたしなめられてしまった。事実ではあるのだが、彼女の言うことにも理があるために何も言い返すことができなくなってしまった。
こうなってしまえばもう腹を括るしかない。和菓子を巡って彼女と争うことになった時点で自分の勝ち目は無に等しかった。
もう降参するしかないのだろう。欲した物が無いと知ったタキオンはどんな顔をするのだろうか。呆れるかもしれないし、怒り悲しむのかもしれない。いずれにせよ、彼女が喜ぶ未来は訪れないということだけは確かだった。
「……はぁ。1つ、条件を出しましょう。それを引き受けてくださったら半分だけなら差し上げますよ」
耳を倒していじけている自分にかけられる救いの声。顔を上げてみるとそこには呆れたように頬に手を添えている師の顔。
ありえない。この人が和菓子を誰かに分け与えるなんて。明日は雨の代わりに雷でも降るんじゃないだろうか。
「ありえないという顔をするのではありませんよ。それに、1つ条件があると言ったでしょう?」
「して、条件とは……?」
ゴクリと唾をのむ。一体何をしろというのか。レースで~しろとかは言わないということだけは確信できるが、それ以外に何をやらされるのか不安になってくる。
──もしかしたら何かとんでもない取引をさせられたのではないだろうか?
目の前の何か企んでいるかのような微笑みが、今は恐ろしく感じられた。
「喫茶店に一緒に行ってくれませんか?」
「……へ?」
口が開いたまま呆けた状態になる。
自分の姿をもし後から見返したのなら、きっと自分でも笑ってしまう程には滑稽な顔をしていたのだと思う。
147タキトレと再会の季節6/1021/10/08(金) 21:10:34
「んーむ。このパフェも美味しいですね」
「は、はぁ」
恩師から「一緒に喫茶店に行ってくれ」という条件を言い渡されてから15分後。
自分たちの姿はデパートに最近新しく開店した喫茶店に在った。そして目の前には白玉と小豆がトッピングされた抹茶パフェを上機嫌に頬張る恩師の姿。
とある飲料メーカーが出店しているそこは、ほうじ茶や抹茶を使用した甘味を主力商品として扱っており、自分も一回は行ってみようとは考えていた。
「どうしましたか。早くしないと貴方のかき氷が溶けてしまいますよ?」
しかしまさか自分のかつての師と行くことになるとは思わなかったが。
こちらを急かしてくる彼女に肯定の返事を返して、自分の頼んだ宇治金時のかき氷に視線を向ける。かつての自分なら食べきれないと感じる量を躊躇なく食べようと思えるようになったのは自分にとってウマ娘になったことの利点の1つだった。
「……美味しい」
宇治金時の山からスプーンで1口運ぶと、控えめな苦みとほのかな甘みが口に広がった。抹茶を使用しているためにどうしても発生する苦みを強烈な甘みで打ち消すのではなく、逆に取り込んで穏やかな甘みへと昇華させている。
食べる手が止まらない。次々と口へスプーンが運ばれ、山が消えていく。出された時は机と合わせて自分の顎ぐらいまでの高さがあった宇治金時のかき氷の山は瞬く間に自分の胃に消えていった。
「ご馳走様でした。美味しかったです」
「ふふっ。それはよかった。ウララはこういったものが苦手ですからね。一人ではあまり行く機会が無かったものですから助かりました」
食べ終え手を合わせる自分に、平然とした調子で反応を返す恩師。自分より先に食べ終えていたのであろう彼女の手には、パフェが運ばれてくるときに彼女が注文した緑茶の腕があった。彼女と何かを食べる時は、自分が食べ終わることには毎回決まって彼女は食べ終えて一服していた。
「? どうしましたか?私の顔に何か面白いものでも?」
「いいえ、昔を思い出したものでして。自分と食べる時先生は毎回こんな風に私が食べ終わる頃にはお茶を飲んで一服していたものですから。それより、条件というのはこのことですか?」
「おお、そうでしたね。条件の半分は当たりです。もう半分は少し、貴方とお話がしたかったのです」
148タキトレと再会の季節7/1021/10/08(金) 21:10:57
自分と何か話さなければならないことでもあるのだろうか?
確かに、自分は彼女の教え子だ。彼女の元を離れて数年、彼女の教えには何度も助けられてきたし、顔をあまり合わせてこなかったとはいえ今でも彼女のことは尊敬している。しかし、何か話さなければならないことがあっただろうか。
「随分と、変わりましたね」
「まぁ、ウマ娘になりましたからね」
「外見のことを言っているのではありませんよ。私の下で研修をしていた頃から随分変わりましたね、と言っているのです」
自分の返答を修正し、懐から眼鏡を取り出し耳にかけて話す彼女。こうやって話していると過去にこうやって問答をしていたのが遠い昔のはずなのに、まるで昨日のことかのように思われる。
彼女に世話になっていた過去を思い出す。トレセン学園の養護教諭になるのだからトレーナーとしてのライセンスを持っておくべきかと考えて飛び込んだトレーナーの世界。行動の1つ1つの意図を問われ、無思慮なものや間違った行動は窘められたものだ。そのおかげもあってか、本試験の筆記や面接では回答に窮することはなかった。
彼女の元から巣立ち数年。トレーナーとして色々と経験してきた今、彼女の眼には自分はどう写っているのだろうか
「先生、貴女にとって今の俺はどう見えているのでしょうか」
「あの日とは見違えるほど良くなりました。彼女との出会いは貴方にとって何かを変えるほどの物だったのでしょうね」
彼女の発言に惹かれるように研修の一番最後の日に問われたことを思い出す。あの問答で自分は彼女を一度失望させてしまった。本試験自体は合格したが、あの時は試験に合格した喜びよりも彼女の求めた回答を返せなかった悔しさと後悔の方が強かった。
「──『トレーナーとウマ娘はどのような関係にあるべきか』」
「そうですね。そして、貴方はそれに『トレーナーはウマ娘が全力をだせるように適切な指導をする関係にあること』と返しました。杓子定規に照らし合わせたかのような回答で失望したものです」
149タキトレと再会の季節8/1021/10/08(金) 21:11:22
そうだろうな。今でも鮮明に思い出せる。
問答のことは忘れてしまっていたが、彼女の怒りと呆れと少しばかりの悲しみが混じっていた表情だけは今でも色褪せずに自分の中に刻み付けられている。最大公約数にとって最善が正解であると考える。あの時の自分はそういう人間だった。
「あの時は養護教諭になると聞いていたので、心に封じて何も聞かなかったことにしました。ですが、今の貴方はトレーナーでもあります。だからこそ今、もう一度聞きます。
──トレーナーとウマ娘はどのような関係にあるべきか」
真摯な眼に貫かれる。彼女は真剣に自分を試そうとしている。
瞑目してこれまでのトレーナー人生を思い起こす。
色々とあった。勝利だけではなかった。時には敗北して悔し涙を流すこともあった。かつて自分が目指そうとした道とは全く異なる道を選び、アグネスタキオンと苦楽を共にしてきた今、答えは確かに自分の中にあった。
「──支え合い、共に歩むこと。欠点を互いに埋め合い、共に歩んで理想を目指すこと。それが俺の回答です。」
ウマ娘は走って結果を出すためにこの学園に来た。だからこそ、トレーナーはウマ娘を導いて彼女たちが全力を出せるようにしていく義務がある。自分はかつてそう考えていた。
だからこそ、今は違うとハッキリ言える。
「────」
呆気に取られている自分の師の姿を見る。
この回答は彼女の求めた答えになっているのだろうか。もしかしたらあの時以上に彼女を失望させるのかもしれない。しかし、たとえ間違っていると言われたところで撤回をする気は微塵もなかった。
自分の理想はそういうものじゃない。トレーナーもウマ娘もそれぞれ良い点と悪い点を持ち合わせている。大事なのは支え合い、理想を共に目指すことだと今ではそう思う。
誰かに言われたわけでもなく、教科書に書かれているわけでもない。自分だけの偽らざる答えはそういうものだった。
「──合格です。貴方は、随分と良い担当に巡り合えたのですね」
自分が見た中で、今までで一番慈愛と安堵に満ちた顔。色々と迷惑をかけさせてしまったが、ようやく今貰った恩を少し返せたような気がした。しかめ面をしているよりも、穏やかに微笑んでいる方が彼女らしいと、教え子だった自分はそう思う。
150タキトレと再会の季節9/1021/10/08(金) 21:12:08
「ええ、自分にとっては誰よりも大切な人です。いずれ先生にも会わせましょうか?」
「いいえ、その必要はありませんよ。だってすぐ後ろの席にいますもの」
「えっ」
悪戯の成功した少女のように微笑んでいる師の言葉に弾かれるかのように後ろを向く。
「ようやく気付いたのかいトレーナー君。まさか君が、ねぇ?」
すると、そこには見慣れた顔が1つ。恩師とはまた別の、企てが成功したいたずらっ子のように満足げな笑みを浮かべている自分の担当が居た。
「どうして、っていつからそこに⁉」
「いつからって君がえらく上機嫌にスイーツを食べていた頃さ。君も随分と偉くなったものだね。実験をすっぽかして担当を一人にした癖に、自分は恩師とスイーツを食べているんだもの」
「実験って……あっ」
腕時計を確認すると時刻は16時半を過ぎた頃だった。久しぶりに再会した師との会話に興じすぎて、彼女との約束をすっかり忘れていた。急務というわけでもないから急がなくていいと言われていたが、ここまで遅れたのならば彼女はきっと怒っているに違いない。
これから徹夜で実験だといわれたらどうしよう。明日は保健室に詰める当番の日だから徹夜はできないというのに。
「そこまでですよタキオンさん。私が誘ったのですから彼に非は有りません」
困っている姿を見かねたのか、自分とタキオンのやり取りを眺めていた師匠が助け舟を出してくれた。しかし、どうして彼女は若干ながら眼鏡の奥の目を細めているのだろうか?
「おや、これはウララトレ女史。噂はかねがね」
「こちらこそどうも。ところで、彼の髪が今青色に発光しているのをどうにかしていただけませんか?流石に直視するのが辛くなってきたのですが」
「えっ」
なんだそれは、聞いてないぞ。
次々と驚愕の事態が起こり続け脳が上手く回らない。頭の中が疑問符に埋め尽くされている自分にタキオンが手鏡を貸してくれた。そこを覗き込むと自分の頭頂部、流星と呼ばれる部分が綺麗に青く発光していた。
「タキオン、これは……」
「実験の成果さ。今回は薬の効果が発現するのを試す実験だったんだが、今回はまぁ見事に成功したようだね」
呆気に取られて言葉が出ない。まさか自分が青く光っているのに気づかないまま、自分の人生の中でも大事な質問に答えていたとは。
「えぇ……」
困惑の声は喫茶店の喧騒の中に消えていった。
151タキトレと再会の季節10/1021/10/08(金) 21:13:44
タキオンが持ってきた対抗薬を飲み発光を解除した後、タイミングも良いのでと今日は解散する運びとなった。
「でも、いいんですか?約束では半分のはずでしたが」
「良い答えを貰えましたから。特別サービスです。」
デパートを出たすぐのところで彼女と会話をしている自分の手には、彼女から譲られた限定和菓子があった。遠慮をする自分を押しきって、彼女は自分の担当のために手に入れた和菓子を譲ってくれた。昔から、彼女には色々と助けてもらってばかりで頭が上がらない。
「今日は楽しかったです。またこうしてお茶に誘っても良いですか?」
「発光するのは勘弁ですけどね。楽しかったですよ先生。またお茶に誘ってください」
「タキオンさん、彼のことをよろしくお願いしますね?」
「私の方が世話になりっぱなしさ。でも任されたよ」
別れの挨拶を交わし、互いに背を向けて歩き出す。彼女の姿がもう見えなくなるぐらいの時間が少し経った後、タキオンに袖を引かれた。
「どうしたんだタキオン?」
「いやぁ?研究をすっぽかした挙句スイーツを食べていて、誰よりも大切な人がわざわざ迎えに来たってのに、キミは何もしてくれないんだなぁって」
少し不満げそうにしているタキオン。思えば彼女の予定を無視してしまった上に出不精な彼女が迎えに来てくれたというのだから、何かお礼の1つでもするべきだったか。
「ほら、これじゃダメ?」
「……良いよ。今回はこれでゆるしてあげようじゃないか」
彼女に手を差し出し、握り返される感触と共に夕暮れに照らされる街を行く。彼女が居なければ自分は恩師と再会することも、恩を返すことも無かったのだと思うと彼女の担当になれて良かったとまた1つ思う。
春夏秋冬再会というものは数多くあるが、これは自分が経験した中で一番良い再会だったと思う
伸びる影と共に街を行く影2つ。彼らの繋いだ手元には、編み込まれた栗毛のブレスレットが2つ、重なり合うように揺れていた。
≫160二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 21:23:53
何とでもなるはずだ、ということで
キタサトトレとテイトレ
満月も高く上るころ、一台の車が走る
「すまない、こんな夜中に呼び出して」「構わないわ」
会話するのはキタトレとテイトレ、テイトレの横には
「・ぁ・・zzz・・」
完全に出来上がったサトトレの姿があった。
「まさかサトトレが酔いつぶれるなんて思わなくてな」
「いいのよ、あの姿になってから行きづらかったはずだから。こうなるのも無理ないわ。」
「そうか・・・なあ」「ん、何かしら。」
「こんな姿になって何も思わないのか?」
「そうね、確かに思うことがないわけではないわ。でもそれは私には些細なことよ」
「それにこんなことを聞くなんて、サトトレの話に影響されたかしら?」
「・・・そうかもな」
———僕は今でも少し信じられないんです。こうなったことが。
だから不安なんです。このまま消えたりしたらどうしようって
あっ今のは忘れてください、変なこと言いましたので・・・
「俺は心配なんだ。他のやつらが俺みたいにならないか」
「・・貴方の心配もよくわかるわ。でも大丈夫よ、きっとね」
「私たちはお互いに助け合ってきてるでしょう、それに貴方が、いや私たちが積み上げた経験もね」
「・・・そうだな、ありがとう」
「ふふふ、気にしなくてもいいのよ」
車は走り続ける、会話のない静かな時間が過ぎる
途中でふと気になりテイトレを見てみると
「zzz・・・」
「あら、眠ってるのね。・・・良い夢を。」「さて、私は二人を送るとしましょう。」
月が照らす中、闇に染まった道を駆け抜けていく。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part184【TSトレ】
≫25二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 22:10:43
『お前の罪を数えろ!』
「これがゴルトレこれくしょんよ!」
「まさかライダーベルトが全部そろってるとは…ブラトレ、さっそく何を手に取ってる」
「これ?フォーゼドライバー」「…まあ確かに交友関係の広さがおかしいお前なら合ってるな」
「そういうフクトレは何取ってんだ?」「…悩むな…だが姉というワードを考慮して戦極ドライバーだ」
「よしこれ!決めた!キングフォームあるし!」
「帝王ならエンペラーフォームのあるキバットベルトのほうが良いのではありませんの?」
「あっそっちにする!」「緩すぎますわね!しかしお嬢様…?とりあえず女性も使ったジクウドライバーでも…」
「待ちなぁ!」「お、お前は!アホ二…ベガトレ!」「フクトレ!さっきなんて言おうとしたんだい!」
「ベガトレさんもライダーをお知りですの?」「まあミーハーだからそれなりにしか知らんけどね!」
「じゃあどれにする?好きな物を選ぶのじゃ!ゴルトレちゃんは優秀なんで各ライダー分用意してるぞ」
「だから戦極ドライバーがアホみたいな数あったのか…」(注:16個)
「ふっ、私が選ぶのはこれよ!」「ダブルドライバー!まさかベガトレ、まさか!」
「私とアルの声、一人で二人分の声が出せるから完全再現!」
「それはズルだろ!?」
「「さあ、お前の罪を数えろ!」」(ベガトレ&アル)
「「「「ぐええ負けたぁ!」」」」
≫34ロブトレヒロイン概念21/10/08(金) 22:16:31
ロブトレ寮部屋訪問
「これがロブトレの部屋かー、やっぱり整理整頓されているなー」
「あ、待ってくださいまし!そこの本棚、かなり大きめの本棚ですが、これほとんどマンガですわ!」
「落ち着いた人だからもっと小難しい本とか読んでいるイメージだったけど、以外にも漫画とかの方が多いんだな」
「ええ、そうですね、ジャンプは愛読していましたので。それとロブロイは漫画やラノベも彼女の愛する物語でもありますので、漫画でも色々と語ったりしているのですよ」
「それは知らなかったな。おい、ブラトレ、さっそく読み始めるなよ」
「これを見ていたら無性に読みたくなってくるんだよ、分かるだろ?」
「ええ、分かりますわ、その気持ち、とても分かりますわ」
「ふふ、折角ですので漫画のことを語りながらでもいいですよ。私も好きなことで勝たれるのはうれしいですので」
「今回の主役が行っているし、いいんじゃないか?」
「そうだな、ロブトレ自身から言っているなら別に構わないな」
「なら、今日は朝まで語りあかすぞー!」
「ええ、沢山話しますわ、のどを潤すためにごくごく飲みますわ」
「マクトレは少しは加減しろよ」
36ロブトレヒロイン概念21/10/08(金) 22:17:53
「ちょうどガッシュが20周年で久しぶりに読み返したけど、やっぱりいいよな!」
「どの魔物とパートナーの関係も良くて、最高ですわ!」
「この関係性って、ウマ娘での育成に活かせる、というか活かしている」
「ええ、私も同感です、最初の話もしっかり一話でガッシュと清麿の良さを存分に表現されており、その後もどの魔物とパートナーも確かな信頼関係、いえ、一部を除くことにはなりますが、それはそれとして、やはりどのパートナーとも強い信頼関係が見えるのがとても良いですよね。私はパティとウルルの関係性も好きですね。わがままなお嬢さまを見守り、そのパティが成長したのを見たときのウルルの心情とか……」
「待った待った、喋り過ぎだって。少し落ち着けよ」
「あ、す、すみません……ロブロイと語り合うと結構語ってしまっていて」
「聞く側のイメージがあったけど、ロブトレの方からも結構語っているんだな」
「まあ、実際、こうやって好きなことで語るのとかって楽しいからな」
「折角だし、好きな呪文とか言いあいっこしないか?俺はやっぱりバオウ・ザケルガだな」
「ブラトレ、真っ先にとっていったな、その呪文はみんな大好きだろ」
「だってやっぱりかっこいいだろ」
「「「「とても分かる」」」」
38ロブトレヒロイン概念21/10/08(金) 22:18:11
「……!!名シーンをみんなでやりましょう」
「どうした急に」
「ほろよいを2缶しか飲んでいませんわ」
「それだけで酔っているとは考えづらいが……いや少し顔が赤いな」
「まだほろ酔いくらいっぽそうだな、割とこいつ、いきなり突飛な行動に走ることあるもんな」
「折角こうして漫画を語れる人がいるのです、漫画のシーンを再現したいんです……今まで、そういう話、できなくて……う、うう……やっぱり、私は……」
「俺よりも酒弱いな!でも俺もやってみたいしな」
「ええ、そういうことでしたら、やりますわ!」
「なら、言い出しっぺの法則、何がやりたい?ロブロイ?」
「う、うう……『いつかまた会えたら!!!もう一度仲間と呼んでくれますか!!!?』」
「「「「!!!」」」」無言で左腕を上げるDK4
「!!」涙目のまま笑顔になって左腕を上げるロブトレ
「やっぱりこのシーン、よすぎるな!」
「ええ、ロブトレの涙目も相まってすごく気持ちがいいですわ!」
「ヤバい、俺もなんだか泣けてきた」
「あー、いつもなら窘める側だけど、これは止められない」
「うう、私、やっぱりこのシーン好きですね……」
「よし、なら次はこのシーンを……」
39ロブトレヒロイン概念21/10/08(金) 22:18:31
「うう、ぐす……ひっく……」
「すっかり泣き疲れて倒れ伏してしまったな、ロブトレさん」
「俺よりも弱いとは……とりあえず、タオルケットをかけてあげるか」
「いや、それよりも彼女の手の動き的に抱きかかえたいようだし、抱き枕の方がよくないか?」
「そうだな、ちょうどベッドのあたりに抱き枕があるし、何時もそれを抱いて寝ているみたいだな」
「……ロブ、ロイ……zzz……」
「抱き枕を抱えたらすぐに眠ってしまったな」
「ロブトレも結構抱え込みやすいタイプだからな」
「机の上とか見ると、大漁のデータやトレーニングメニューの山だからな。まだトレーナーになったばかりで頑張りすぎているところもあるんだろうな」
「……俺のようになってしまわないか、心配だな……」
「大丈夫だ、もうそんなことにはさせない。テイトレが苦悩してきたおかげで、後からウマ娘になったやつのフォローもしやすくなっている」
「ああ、俺のようなトレーナーはもう出させない……絶対に」
「ええ、ロブトレもまた、私達の大切な後輩ですもの」
「とりあえず、今日はお開きだな」
「主役が寝ちまったからな、あ、後でもう少し飲むか」
「良いですわね、まだまだ飲めますわ!」
「とりあえず、ここの鍵を閉めてもらえるように連絡しておくから、お前ら後片付け頼んだぞ」
「「「りょうかーい(ですわ)」」」
翌日、DK4にすごく慌てた様子で謝るロブトレの姿があったとか……
≫64二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 22:40:18
雨の日 ライトレ
僕がこの姿になって数日経った。ライスと服や下着を購入し、この服にも慣れてきた。朝、目が覚めると、やけに髪の毛が軽く感じた。元々可愛いライスとよく似たハネた髪だが、普段以上だった。窓の外を見るとしとしとと雨が降っており、湿気のせいだと理解した。正直、僕は今鏡を見るのが恐ろしい。だが、顔を洗い、髪を整えねばならない。幸い今日は午前はゆっくり過ごせる関係でどうにかできるだろう。僕は重たい腰を上げ、朝の準備を始める。
「なんだ…これは……」
僕は鏡を前にして軽く目眩がした。ライスとお揃いの外ハネの髪はパーマをしっかりしたのかと疑われるレベルでくるくると丸まっていた。以前使っていたストレートアイロンでどうにかなるだろうか。取り出し、コンセントにさして電源を入れ温める。持ち合わせのヘアオイルとヘアミルク、それとワックスとスプレー。どうにかしなくては、このままライスに会うなんて僕にはできない。可愛いライスの前では今はお姉さまとして。ライスにとって、素敵なお姉さまであり続けなくては。
「とりあえず、温めたアイロンで」
一部の髪をとり、ストレートアイロンで挟み伸ばしていくが、効果としてはイマイチだった。このくるくるになった髪と格闘し、おおよそ1時間が経った。
「……や、やっといつもの髪型に………」
ライスとお揃いの外ハネに戻せた。肩が重い。なんてことだ、恵みの雨は僕にとっては憂鬱のタネとなってしまった。幸い、時間には間に合う。急いで着替え、朝食を済ませ、トレーナー室へと向かった。
トレーナー室に着くと、ライスが本棚の絵本を読んで先に待っていた。今日もライスは可愛い。
「おはよう、ライス」
「お姉さま、おはよう」
絵本を閉じ、テーブルに置いて僕のもとへと駆け寄る。なんて愛らしい妹だろう。ああ、僕をそんなに見つめて、困ってしまうではないか。
「お姉さま、昨日あまり眠れなかったの?」
「なぜだい?」
「なんだか、疲れているように見えるから…ライス心配で」
なんていい子なのだろうか。神様、僕をこの子と出逢わせてくれて本当にありがとう。
「ああ、少し寝癖が酷くてね。直すのに苦労してしまったんだ」
「そうだったんだ」
「さぁ、ライス。ミーティングを始めよう」
僕はライスと共にソファーにかけ、今後のレースについてミーティングを始めた。
≫72二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 22:52:22
こんにちは!新人トレーナーです!
最近は走っているウマ娘を見る機会すらなかったので今日は芝コースに来ました!(もう導入からしてトレーナー失格だよ私)
そしてそこで1人自主練習をしているウマ娘を見かけたのですが…
(………すごい。)美しいフォーム、スタートから勢い良く加速する脚、レース後半で追い込んで来るウマ娘達でも差が詰まりそうにないペース配分。えっ待って待って?今まで見た事ないウマ娘だしデビュー前…?今はもちろんダイヤの原石というだけでまだまだスピードはこれからではありますが…とても、とても魅せられる物がありました。脚質は大逃げではないでしょうが見た目も含めてまるで最近トゥインクルシリーズを引退したあの──…はっしまった!!スカウトに行かなきゃ!今回は本当に成功させたい…!
よし、行こう!
「すみませーん!走り終わったばっかりで申し訳ないのですが今お話し大丈夫でしょうか!」
「…?私に?」
「はっはい!実は私こういう者でして…(名刺渡し)」
「あぁそうなんですね…はじめまして。私はサイレンスアサヒ。正確にいつとはまだ決めていませんが…トゥインクルシリーズにデビューする予定なんです。」
!!!!!!!みなさん聞きました!?!?遂に!私が!本当のウマ娘と会う事ができました!!!う、嬉しい……苦節大体2週間が終わった…なんて程度の低い話……よし、絶対にスカウトを成功させなきゃ!
「わ、私なんかに言われても信用できないかもしれませんがあなたの走りは凄いです!なんというか…見るものを魅了するというか…夢を与えられる走りだと思うんです!きっとこれからのトゥインクルシリーズで成功できます!」
「わぁ嬉しい…ありがとう新人ちゃん」
「そ、それで…そのー…いきなりで申し訳ありません!私にあなたの夢を一緒に担当させて頂けませんでしょうか…!」
「えっ!?あっ本当にごめんなさい!私つい走り切った後で何も考えないままウマ娘としての名前を……」
「ウマ娘としての名前を……?」
「ごめんなさい…私…サイレンススズカの担当トレーナーなんです…」
その瞬間、私の中でいつものガッカリした感情…とは別の純粋な疑問が湧きました
73二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 22:53:53
「……なんでですか?」
「えっ」
「なんでトゥインクルシリーズを走るんですか…?だって元人間なんですよね…?だってそんな…私分からなくて…」
「…うーん経緯を全部話すと長くなっちゃうからまとめると…私はウマ娘になったからこそ見られたものがたくさんあった。初めての経験もたくさんできた。…だから、私はウマ娘になれてよかった。そう胸を張って言えるの。結果論なんだけどね。そして担当のスズカと一緒にトゥインクルシリーズを走り切った後に私もトゥインクルシリーズを走ると約束した。私はその約束を果たしたいの。」
…あぁなるほど…この人は強いなぁ……
「ごめんなさい私…失礼な質問をしちゃって…」
「いいのいいの気にしないで!スカウト応援してるからね!」
「ありがとうございます!…あ、あの!メイクデビュー頑張って下さい!」
「!任せて!」
…凄くいい話を聞かせて貰いました
なんか…私もあんな覚悟を持てるのかなぁ…
改めて今まで会ったトレーナーさん達の事を思い返してみるとトレセン学園のトレーナーさん達は方向性は違えどみんな担当ウマ娘の事が大好きなんだなぁ…
よし!私もあんな風に頑張らなきゃ!
買ってた雪見だいふく食べよ
明日は…明日こそは成功させてみせる!
──新人ちゃんが中山レース場で走るサイレンスアサヒの姿を見る事になったのは、また別のお話
76二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 22:57:55
(しょうもないと前振りを打って投稿しとこ)
「って事があったのスズカ」
「ウソでしょ…もっと早く自分がトレーナーだって名乗ってあげて下さい…」
「ウソでしょ…スズカに走りのアドバイス以外で正論言われてる…」
〜完〜
≫125二次元好きの匿名さん21/10/08(金) 23:20:16
『騎士と姫のひととき』
オペトレ主催のダンスパーティ。数度のパートナー交代が終わり、ブラトレは少々へばっていた。
細かい動きや足元のさばき方など、いろいろ考えながら踊るとまともに会話もできやしない!と思いながら頑張って踊っていた。
「うおおおダンスめっちゃ大変だ…思った以上に難しい…おや?ロブトレか」
そこに、小さな貴婦人、ゼンノロブロイのトレーナーが現れた。
「ご無沙汰してます。ダンスのお相手、よろしいでしょうか?」
「……俺は下手糞だ、だがレディから誘われてノーというのは紳士的ではない!というわけでお手を拝借、お嬢様……いや、お姫様」
「うふふ、よろしくお願いしますね。騎士(ナイト)さん?」
そうして、何度目かのダンスが始まる。
「先ほどはへたくそと仰っていましたが、上手に動けていますよ?」
「あ、ありがとうございます…」
ブラトレの踊りは言うほど下手ではないのだが、顔がガチガチになっている上に敬語になっている。
ロブトレはブラトレの普段見ないような姿を見て、ちょっと笑みがこぼれた。
「…本当に余裕がなさそうですね。うふふ、ちょっといつもと印象が変わりますね?」
「ふ、普段の調子が出ないんですよ…おっかしいなー練習映像でやった時はこんな感じじゃなかったのに…」
「きっと、相手に合わせ過ぎようとしているんですよ。もう少し、ゆったりした動きでも大丈夫ですよ?」
「…やって見せましょうとも!」
そのアドバイスの効果は覿面であった。
最初こそ動きがずれていたのだが、すぐに二人の動きは同調し、どんどん噛み合っていく。
「おお…これがダンス…これが二人で一人…」
「上手ですよ、騎士さん。きっとこれならこの後も踊りきれますよ!」
周りのダンスほどではないにしても二人の動きは清流の如く緩やかに、優美であった。
「ありがとうロブトレ、助かったよ」
「うふふ、どういたしまして。騎士さんの踊りに光明がありますように」
そしてパートナー交代の時。ブラトレはふと思いついたように、ロブトレの手を取りながら跪く。
「お姫様、此度はダンスにお誘いいただきありがとうございました…なんてな!ありがとよ!」
パッと明るくなった表情で、ブラトレは離れていった。
「ええ、私も楽しかったですよ!」
踊れよ踊れ、くるりと回れ。あなたとわたし、ひとときの舞。
12の鐘が鳴り響くまで、ダンスは続くよ何処までも。
≫157マルトレvsRFA(1/3)21/10/08(金) 23:46:13
「さあ今日もやってきた Let's Anabolic Time !」
「ねえフクトレ、なんでリャイトレがいるのさ」
『ん?決まってるだろそんなの。ほら、視聴者の皆さんのために配信内容説明しな』
「いや俺何も聞かされてないんだけど。スズトレは知ってる?」
「ううん……あ、企画書がある。読むね。【今日の配信はRFA!トレーナーなら己の身体も鍛えるべし!】ですって」
「マジか……そっかだからリャイトレがいるのか」
「その通り!マルトレと視聴者の皆に筋肉の素晴らしさを説くべく現れたってことだ!」
「え、俺だけ?スズトレは?」
「俺のマッスルスキャンによると、しなやかな筋肉が無駄なく搭載されているとのことだ」
「時々スズカと併走するからかな」
「恐らくそうだろう!だがマルトレ、君は筋肉が足りていない!故に!今ここで!鍛えてあげようっ!!」
『ってなわけで、マルトレはさっさと着替えてきてくれ。場は3人で繋いでおくから』
「ぐぬぬぬ……ああ分かったよ!こうなったら俺のマッスル、見せつけてやるからなー!」
『……さて、マルトレが着替える間に予想タイムだ。皆、何分持つと思うよ?』
「うーん……50分くらいじゃないかな」「俺は40分とみるぞ!」
『コメントは……20分、15分、40分、60分、バラバラだが60分が最大かね。はてさてどうなるやら』
「着替えてきたぞー」「お帰りなさい」「お帰り!」
「コントローラをセットして、と……動作確認は?」『した。一応そっちでも頼む』
「はいはい……ん、ちゃんと動作するな」「よし!それじゃあ所定の位置に着いてくれ!」
「……よぅし、いつも叫ばされてばっかりだけど、今日こそはスタッフをぎゃふんと言わせてやる!」
158マルトレvsRFA(2/3)21/10/08(金) 23:46:33
『最初は負荷の調節からだ。軽すぎては効果が薄く、重すぎては逆効果になる』
「いくぞ……てぇいっ!」「えっと説明書……半分よりやや軽いくらい?」
「自分を見つめなおしたら、いよいよスタート!使っている筋肉を意識しながら鍛えると効果的だぞ!」
「トレーニング、初めはラン!体づくりの基本といえるだろうね!」
「ふふん、まあウマ娘の足なら余裕だな!」『この余裕がどこまで持つんだろうな……』
「ふっ、ふっ、ん、何だ押し込み?」「コントローラを下に向けて左右から、だって」
「ランのスローな運動と押し込みによるクイックな運動のコントラストが鮮やかだな!」
「はぁ、ふぅ、で、次は何?スクワット?」「腰を落として数秒キープ、の繰り返しね」
「スクワットは大腿四頭筋にキくぞ!最大最強の筋肉で、基礎代謝向上や下半身強化にもってこいだ!」
「は、は、ひ、ふーっ、い、意外とキツイぞこれぇ!?」『キツくなきゃ意味ないだろう』
「お次はコントローラをお腹に当てて押し込む!色んな機能を一手に引き受ける腹筋が鍛えられるぞ!」
「走りながら下に向けたコントローラを押し込み続ける!俺も少しやったが中々面白かった!」
「ひっ、ひっ、ふぅっ、ひっ、ひっ、ふぅっ……!」「ラマーズ法の呼吸を今見るとは思わなかったな……」
「はぁ、ふへぇ、なに?ボスぅ?」「正念場、ということね。頑張って」
「これまでのトレーニングを思い出すんだ。筋肉はきっと、その頑張りに応えてくれるさ!」
「い、ぃよぉーし!このマルトレさまが相手だぞー!」『清々しいほどのヤケクソっぷりだな』
「はぁ、はぁ、んっ、くぅぅ……っ、ふぅーっ、ふーっ、へへ、よし次!こい!」
「えっ、ちょっと待って……あっ、やっ、くふぅっ、んっ、ひぃ、ひぃ……っ!」
「今度はなにぃ……?え、またこれぇっ!?やだやだ、待っ……んんぅうっ……!」
「ち、ちくしょぉ、こんな、こんなヤツなんかに、ぜったい、まけないぃ……!」
159マルトレvsRFA(3/3)21/10/08(金) 23:46:47
「……プシュー」「ああ、負けちゃった」「うん。だがナイスファイト!熱い戦いだったとも!」
『さて今回マルトレがトレーニングした時間は……最初の調整を省くと45分ってところだな』
「じゃあ私とリャイトレが予想した時間の間くらいってこと?」
「そうなるな。お互い見る目がある、ということだろう!トレーナーの面目躍如だな!」
『さ、マルトレがガス欠になったところで、今回の配信はここまでだ。また次回~』
「にゅ、乳酸には、かてにゃかったよぉ……キュウ」
「ちなみに乳酸は運動時に糖を分解して出来る物質で、この分解の際にエネルギーが発生、筋肉を動かすぞ!」
『いきなりどうした』
「筋肉で生成された乳酸は肝臓へ運ばれ、エネルギーを使って再び糖になり、また燃料として筋肉へ運ばれるんだ」
「え、エネルギーをこっちでも使っちゃうの?せっかく発生させたのに?」
「そう。そしてこの一連の流れでは、発生するエネルギーより消費するエネルギーの方が多いんだ!」
『結果としてエネルギー収支はマイナスか。減量でよく気にする脂肪は使わないのか?』
「脂肪からエネルギーを発生させるには酸素が必要なんだ。運動していないときや軽い運動のときに使われる」
「そっか。減量目当ての運動なら軽いジョギングから、ってそういうことなんだ」
「そのとおり!乳酸が発生するような運動は一気にパワーを爆発させるような運動が該当するぞ」
『重量挙げやらハンマー投げ、ウマ娘に関するものでいえばスプリント走がそれだな』
「エクセレント!どんな目的でトレーニングするか、それを意識することで効果は高まるんだ!」
「勉強になった。ありがとう、リャイトレ」『よし、今度こそこれで。それじゃまた次回、よろしくな』
「ムギュー……マタネー……プシュー」
(了)
≫168アマトレSS21/10/09(土) 00:05:12
私は美浦寮のウマ娘。月1のイベントとなったヒシアマ姐さんとそのトレーナーさんのタイマン(料理)、その審判をすることになった。
「それではカフェテリアを借りての料理対決、はじめます!」
「かたや、我らが寮長。厨房の鉄人こと、ヒシアマ姐さん!このタイマンでは一度も負けてません!」
「対するはヒシアマ姐さんのトレーナーさん。女子心に訴える料理を作らないと勝てないぞ!」
ヒシアマ姐さんはいつもの私服に、アマトレさんはパンツスーツにエプロンを付けた姿で登場する。
「それではタイマン、スタート!」
二人がそれぞれの食材を持って厨房へ向かう。調理開始だ。
ヒシアマ姐さんはいつものようにスムーズに調理をする。さすがは姐さんだ。
それに対しアマトレさんの包丁さばきはどこか危なっかしい。前は、ヒシアマ姐さんほどではないがよどみなく動けていたはずだ。となると、ウマ娘にまだ慣れていないからか。
にもかかわらず、嬉しそうに尻尾がぶんぶんと揺れている。鼻歌まで聞こえてくる。
そうしているうちに良い香りが漂ってくる。
「よぉしっ、できた!『カブのエビそぼろ煮』だ!」
「最初に出来上がったのはヒシアマ姐さんた!トレーナーさんの方は…「あと少し!」だそうです!」
アマトレさんがオーブンからグラタン皿を取り出す。
「これはまさか、第1回のときの料理……」
「そうっ、『チーズたっぷりキャロットグラタン、はちみつがけ』だ!」
そう言いながら、はちみつをかけ……ふらふら揺れてた尻尾が、ヒシアマ姐さんの鍋にっ!
「危ないトレ公!」
ヒシアマ姐さんの手が伸びる。
「ひゃんっ」
可愛らしい声がカフェテリアに響く。
しんと静まり返ったなか
「……ありがとうヒシアマゾン」
尻尾をつかまれ、顔を真っ赤にしたアマトレさんが言う。
「その…尻尾のこと忘れてた……
えっと、俺の料理もできたから、試食に……」
──こうして2人の料理がテーブルに並んだ。
169アマトレSS21/10/09(土) 00:05:43
「では試食に入ります!まずは先に出来上がったヒシアマ姐さんの『カブのエビそぼろ煮』です。いただきます。
もぐもぐ……。優しい旨味がじんわりと口の中に広がっていく…おいしい……」
「どんなもんだい!」
「次に『チーズたっぷりキャロットグラタン、はちみつがけ』を……。この味は…!!前のときよりおいしくなってる!?」
「そうっ、ウマ娘になって味覚が変わったからよりウマ娘向けの味に改良を加えたんだ!」
「それでは判定に入ります。今回の料理対決の結果は──
ヒシアマ姐さんです!」
「えっ?この流れは俺の初勝利じゃないのか?!」
「だって、私エビ好きなんですもん♪」
「ところでトレ公、今日は尻尾がやたらと楽しそうだったけど何か良いことでもあったのかい?」
「ヒシアマゾンとタイマンするのが楽しくて……」
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part185【TSトレ】
≫18二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 01:05:06
「トレーナー!
いつまでそうしているつもりだ!
早く起きろ!」
俺はフジマサマーチのトレーナー
これまで重賞さえ取ったことがない
世間一般で言う所の落ちこぼれ
そして俺とマーチは今
次のレースが勝てないと地方に戻されてしまう
危機的状況に陥っている
「最近は忙しいとはいえ、
こんな所で寝ていたら風邪をひいてしまうぞ?」
トレーニング法や作戦を考えていたら
そのまま資料室で寝てしまったらしい。
「わ、わかった。今起きるからちょっと待って」
資料に埋まっていた身体を無理やり起こす…
すると
「わかったならさっさと……ん?…!?」
マーチが何故か俺の顔を見ながら驚いている。
「え?マーチ?どうかしたのか?」
「…いや待て、今鏡を持ってくる。」
そう言って彼女が持ってきた鏡を覗くと、
20二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 01:05:40
そこには芦毛のウマ娘が映っていた。
そしてその姿は、マーチのライバルであり
地方でしのぎを削る戦いをしていたと聞いた
「芦毛の怪物」
その姿にとても良く似ていたのだった。
「なっ、な、なんじゃこりゃぁぁ!?」
意味不明にも程がある。
なんでウマ娘?なんで俺?恨みを買う機会はあったかもだが、ウマ娘は聞いていない。
「落ち着けトレーナー。
最近ならよく聞くだろう?
いろんなトレーナーが、続々とウマ娘になって居ると」
そう落ち着いて話すマーチの尻尾は、
これまでに見た事ないほど直立していた。
流石に狼狽えてるみたいだ…そりゃそうだ。
「ウマ娘化かぁ…ついに俺のところにも…」
あまりにも現実味を帯びていない今の現状を、
一体どうしたものか…いや?まてよ?
21二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 01:06:28
「…なぁマーチ
今、俺の身体はウマ娘なんだよな?」
「そ、そうだな?しかもその顔つき…
オグリにとてもよく似ている。」
「今負け続けの俺達に並走なんてしてくれる奴普通居ない。」
「…まぁそうだろうな。
ここに居られるかも怪しいような奴とわざわざ並走なんて…」
「そこでだ!見ろこの身体!ちょうどよくウマ娘じゃねぇか!」
「うん…うん?」
「早速並走トレーニングだ!行くぞマーチ!」
「流石にそれはどうなんだ…って、トレーナー!?
腕を引っ張って連れて行こうとするな!」
そうして俺のウマ娘としての生活が始まったのだった。
≫34二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 01:50:04
おれはウマ娘が、本当に好きだったとは思えない。
トレーナーになった理由も、おれはもう覚えていない。
多分、何かを求めていたんだろうが、すぐ諦めたことだけを憶えている。
「あいつホント使えねえな。怠けてばっかでさ」
「何したいんだろあの人。せっかくトレセン学園にいるってのにさ」
他のトレーナーは嫌いだった。
同期のオペトレとウラトレ(ウラトレは……時々、怖かった)、それから先生以外は、おれをバカにして、軽蔑していたからだ。
その同期達だって、おれには関心がなかった。
唯一、ヘリトレ先生だけは――
「すべての人を愛せなど、宗教のようなことを教えはせんよ。
おぬしはおぬしと向き合ってくれる者だけを愛せばよい」
――そう言って仕事の面倒を見てくれたが、別に、あの人の特別でありたいと思う気持ちもなかった。
あの人の特別はこの世界にもういない誰かだと、あの人の墓参りを手伝った時に知ったからかもしれない。
とにかく、ただただ、虚しい時間を過ごした。
苦しまずに何処かへ消えたくて、苦しい想いをしながら時間をやり過ごした。
今日をやり過ごせばきっと明日は楽になる。そんな諦めのような楽観を自分に言い聞かせて、ただひたすら何かを待った。
「……ばか。ばかばか。おたんこにんじん」
十年待って、何かは来た。
「魔法は人を幸せにするのよ!
グランマもそう言ってたんだから、幸せでいいの! 幸せになっていいの!」
特別な魔法を使う小さな魔法使い、スイープトウショウこそが、おれが待ち侘びた何かだった。
35二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 01:51:17
最初は言うことを何も聞かない、ワガママな、いけ好かないガキだと思っていた。だが、彼女にそうさせていたのはおれ自分だったのかもしれない。
かつてのおれが他人に蔑まれる程に諦めていったように、あの子も何かを求め、おれによって何かを諦めさせられたのではないか。そう思えば思うほど、おれはその何かの穴埋めをしたくなって必死になった。
最初は嫌々、評価の為にやっていた共同トレーニングにも身が入ったし、次第にスイーピーが凄まじい追込を仕掛けられるとわかった。
おれは色んなトレーナーの下でこき使われてきたから、色々なヒントはあったし、それをスイーピーはあっという間に吸収していった。
たのしかった。
おれには勿体ないくらい楽しくて、それを話すだけでみんなが楽しそうにしてくれた。
おれは相変わらず抜けているから、みんなもいたずらをしたり面倒を見てくれたりする。
たのしかった。救われた気がした。幸せになれた。だから。
「優等種族のウマ娘サマになったからって、いい気になってんじゃねーぞ!」
「あ? 抵抗すんの? いいよ殴ってみろよ、出走停止不可避の炎上ウマ娘にしてやるよ」
ただただ、こんな、こんな虚しい時間を過ごす連中に、スイーピーの未来を穢させたくなかった。
数を頼みに、権利を盾に脅しかけるこいつらが、何を諦めたかなんて知らない。
少し生きる時が違えば、少し出逢いがなければ、おれもああなっていたのかもしれない。
それでも今だけは、あの子の未来の為に。諦めたくなかった。
「逃げて。オペトレを頼って」
「ちょ、ちょっと、アタシも……」
「行けよ――早く!」
剣幕に驚いて駆け出すスイーピーの背を眺め、おれはただ笑った。
痛くて苦しいまま何処かへ連れて行かれるだろうに、何故おれは笑ったのだろう?
おれの救いが何処かへ飛んでいくのを見て、おれの心に残ったこれは。
「■ねよ」
果たして、どんな名前だったのだろう?
36二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 01:52:14
・・・
痛くて苦しくてどうしようもなかったが、運命はまだわたしへ生きることを強いていた。
あれから三日三晩眠っていたらしく、起きた時に色々な人が病室にいて、また殴られるのかと、ひどく怯えたことを憶えている。
そのせいで今はみんな病室の外で待ってくれていて、わたしはスイーピーが来るまでの間、オペトレに事情を聞くことが許された。
「警察と他のトレーナーの協力もあって、実行犯を捕まえたよ。
ウマ娘化したばかりの奴らなら、自分達でも勝てると踏んだらしい。
……何を考えているんだか」
「差別主義者、ってやつ……?」
「どうだろう。たまたま通り魔のように家が学園から離れている君を狙ったとは思えない。
警察には、通り魔を装った計画的犯行の疑いで調べてもらっている」
オペトレのやつは、珍しく目にくまをつけてあっちこっち駆け回ったそうだ。
渡されていた社用のスマホが発信していたGPS機能からわたしのいる場所を辿って
警察は勿論、病院の天井に頭こすりつけるバカみたいにデカいウマ娘や、義手をはめたウマ娘だの、司法だのメジロだのなんだの……使える伝手はなんでも使ってわたしを助けるため掛かりに掛かったらしい。
あとからオペトレの部下(確か、ダイワスカーレットというウマ娘のトレーナーだ)に聞いてみたら「あれほどキレ散らかしたオペトレさん見たのはじめて……コワ~」と怯えていた。
そこまで珍しいものならカメラに撮っておけばよかったのにと言ったら本人に怒られた。
(オペトレは、自分が取り乱す様を見せるのが大の苦手なんだと漸く知った)
「今は学園やレース会場の警備体制も見直しに入っているが、いつまでも連中の好きにはさせないさ。
……君が退院する頃には、元の日常に戻しておくよ」
「ん……ありがとう。わたし……」
「友人として、当然の義務だよ」
わたしの怪我はというと、色んなところを殴られたり、刺されたり……色々あったので。
全身余すところなくめちゃくちゃ痛い、というのがわたしからの感想となる。
それでも両目はあるし、顔も腫れたが元に戻るそうだ。両手両足だって、いつかは元に戻る。
痛々しさを残さずに済みそうでよかった。
虚しい時間を過ごすあの連中にとって、自分が壊したものが何もなかったように元通りになることが一番の復讐だろうから。
37二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 01:52:36
不意に外が騒がしくなって「起きた、起きたよスイーピー!」「あっ、せめて手を洗ってから……あー!」などという声が聞こえてくる。
がらりと病室の扉を開けたのは、泥まみれで……なんだあれ、蓮根か? を手に持つスイーピーだった。
「……っ」
「スイーピー」
「……何よっ。相変わらず、魔法が効くのが遅いんだからっ」
スイーピーと目が合う。
その瞳からぽろぽろと涙が溢れるのを見て、わたしは思わず手を伸ばした。
間髪を入れずにぽすんと彼女が飛び込み、わたしは泥まみれになりながらスイーピーを受け止めた。
「ばかっ! ばかばかばかっ!! おたんこにんじんっ!!!
…………心配したじゃない!!」
「うん……ごめん。ごめんね」
「もっと、はやくおきなさいよぉ……!」
「うん。うん……これからは、いっぱい早起きする」
いつかのようにわんわんと泣き喚くスイーピーを、今度はしっかりと抱きしめる。
涙と心の暖かさが、わたしを凍えさせた恐怖を融かしていく。
病室の外で色んな人達がわたし達を祝ってくれているのが、ひどく照れくさくて、嬉しかった。
「……新しい病室の手配をしておくよ」
その後、病室を泥まみれにして、それはもうしこたま怒られた。
なんだかおかしくなって、スイーピーといっしょに笑って、また怒られた。
38二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 01:52:58
スイープトウショウのトレーナーは、およそ概ねの人が魅力的と認める人物となったと、彼女の同輩は記憶している。
「やだやだやだ~っ!
今日は魔法の薬の材料を探すんだからぁっ!」
「う~ん……そっかぁ。そういう日も、あるねぇ」
彼女は妙齢の女性ながら、熟達者であった。
常にどこか楽しそうで、嬉しそうで、口を開ければ間延びした、思慮深い一言が飛び出す。
「じゃあ……どんな材料を探そう?」
「え? そうね……エアグルーヴさんが元気になる薬の材料になる種をくれたし……」
同じ師に教えを請うた一門の者は揃って驚く成長ぶりで、今ではスイープトウショウの専属トレーナーとしてきちんと彼女の手綱をとっていた。
膝を屈めて同じ目線に立ち、会っては駄々をこねるスイープトウショウの冒険に合わせたトレーニングを、豊富な下積み時代の経験から考えていたのだ。
「……元気になる薬を作るわ!
それで、最近げっそりしてる会長さんに渡すの!」
「いいねぇ。じゃあ、河川敷を走って探してみよっか」
「うん! そうする!」
39二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 01:53:29
物語はここで上手くいったのだ。
スイトレは出逢いを経て、奮起し、決して消えぬものを抱いた。
「……あのね、トレーナー」
「んー? なぁに、スイープ?」
「その、えっとね……誰にも言わないって、約束できる?」
「んー……?」
「グランマから教わった、特別な魔法の呪文だから……誰にも話しちゃだめよ。
えっとね……その……」
「……だいすき」
「オペトレぇーっ!!! オペトレ聞いてよぉーっ!!! スイーピーがぁーっ!!!!」
「あ"ーっ! 秒でバラそうとしないでよ、このばかっ、ばかっ!! おたんこにんじん!!!」
それは何よりも特別な愛の魔法。
魔法がふたりを結ぶ限り、彼女達の未来は明るいだろう……同期のサクラたる、テイエムオペラオーのトレーナーはそう溜息を付いた。
うまぴょいうまぴょい
≫52二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 05:41:15
ならどうぞ
某ショッピングモールにて
「…サトトレさん」
「えっと、何かなキタちゃん」
「あの二人、止めなくていいの?」
キタが指差す先には…
「もう少し落ち着いたのでもいいんじゃないかしら」「いえ、トレーナーさんはやはりかわいいのが似合います」
サトトレの服装を選ぶキタトレとダイヤの姿があった
「いつも着せかえられている気がするけど」
「う〜ん、まあそうかな。」
「いいの?」
「いいよ、だって二人が選んでくる服だし、持ってきてくれる服は僕も良いと思うものを選んでくれるから。まあ、たまにダイヤが変なの持ってくるけどね」
「そっか、サトトレさんがいいならいいかな」
「二人とも来てください」「ちょっと試着してほしくてね」
「「はーい!」」
≫58二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 06:02:55
かわいいわぁ……癒し
ウラトレはあくまで観察した上で相手のロジックの穴を突いている。じじピはさながら黒ひげ危機一髪で、先生自身の想定解として急所を一つ用意しているけど、彼女には先生が飛び上がりそうな差込口がいくつも見えるときがある。ぶっ飛ぶことを望んでそうだし、そこに遠慮はない
「だいたい。ナイフで滅多刺しとか、矢で突き刺すとか、物騒な表現ばっかりだと思いませんか?」
「じゃあお主なら何て言うんじゃ」
「……手を差し入れる?」
「貫手は禁じ手じゃぞ!」
……って感じで
≫60二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 06:09:37
じじぴ「みなさんわしに何か言うてください。わしは"そんなことはない!"と返すので皆さんさらに何か返してください。ホイ、ブラトレ早かった」
ブラトレ「あ、ハゲだ」
しじぴ「そんなことはない!」
ブラトレ「ズラだったもんな先生……」
じじぴ「昔からしとらんわい「え!?」たづなさん一枚持ってきなさい。今驚いたマルトレの座布団は全部持っていきなさい」
≫62二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 06:14:55
じじぴ「はいウラトレ」
ウラトレ「あら、素敵なお嬢さんですね」
じじぴ「そんなことはない!」
ウラトレ「賛辞すら素直に受け取れなくなったんですか?」
じじぴ「やめんかなんか怖い!座布団一枚あげるから許すして!」
≫63二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 06:18:03
じじぴ「はいヘリオス」
ヘリオス「じじぴウェーイ⭐︎」
じじぴ「そんな事はない!」
ヘリオス「えっ……じじぴ……」
じじぴ「じじぴウエエエエエエエエエエエェェェェェイ!!!!!!座布団3枚!!!!」
≫64二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 06:21:22
じじピ「はいルドトレ」
ルドトレ「鬚切りました?」
じじピ「そんな事はない!」
ルドトレ「あ、着るものが違うからか」
じじピ「……次」
≫65二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 06:21:24
じじぴ「はいマクトレ」
マクトレ「メジロのおばあさまと浮気したって本当ですの!?」
じじぴ「そんなことはない!」
マクトレ「おじいさま……!?」
じじぴ「お前はメジロ家と血繋がっとらんじゃろ紛らわしい!一枚持っていって!」
≫66二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 06:22:17
じじぴ「はいマルトレ」
マルトレ「先生はサディストですか?」
じじぴにそんなことない!」
マルトレ「じゃあ床座るの辛いので座布団ください」
じじぴ「…………」
ウラトレ「やっぱりサディストじゃないですか」
じじぴ「座布団一枚!!!」
≫68二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 06:28:53
じじぴ「はいタキトレ」
タキトレ「最近体の調子が悪くないですか?」
じじぴ「そんなことはない!」
タキトレ「よかったぁ。タキオン特製の薬もありますから、そういう時は遠慮なく言ってくださいね」
じじぴ「そっちの方が怖いわ!でも気遣ってくれるのはありがたいから没収はナシ!」
≫70二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 06:30:40
じじぴ「はいシチトレ」
シチトレ「スパンキングするのもされるのも好きって噂、嘘ですよね?」
じじぴ「そんなことはない!」
シチトレ「うわぁ」
じじぴ「普通に引くでない泣いちゃうぞ?」
≫71二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 06:40:22
じじぴ「はいネイトレ」
ネイトレ「若い頃はバリバリウマ娘に手を出してたって本当ですか?」
じじぴ「そんなことはない!」
ネイトレ「だってオペトレさんが」
じじぴ「ウソじゃろ弟子ぃ!!?……びっくりしたから一枚やるわい」
≫78二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 07:24:04
アイライナー グルトレ
グルーヴを寮に送り、私は帰路の途中で寄り道をしていた。ドラッグストア、化粧品売り場へ来ていた。商品棚に並ぶ様々なメーカーと様々な色の化粧品に目移りしつつ、私はひとつのアイライナーを手にした。色を確認する、赤。これだ。それを購入し、帰宅した。風呂から上がり、夕食を済ませ、机の上に鏡を立てた。前髪を留めて、購入したアイライナーを引いてみる。つーっと、目元に赤く色が入る。
「グルーヴとお揃い」
彼女のものとは少し色味が違うが、私の肌に合う赤を選んだ為だ。この方が良い。温泉旅行から帰ってから、私は彼女とお揃いが好きで好きで仕方なかった。鏡には頬を赤らめ、ひとりの存在に溺れているウマ娘がいた。
「ふふん………」
アイライナーを落として、眠りについた。
起床し、準備をする。いつもしている事ともうひとつ、アイライナーを手にして目元に引く。そうだ、やっぱり。彼女の事を考えているから綺麗に引ける。
「気付いてくれるよね」
自宅を出て、学園へ向かう。編み込みをするいつもの場所に行くと彼女がいる。駆け寄り、彼女に抱き着く。気付いて欲しくてたまらなかった。
「おはよう、グルーヴ〜」
「おはよう……貴様」
抱き着いている私の顎に手を添え、持ち上げる。彼女が私を見据える。彼女なら気付いてくれるとわかっていた。
「へ、へん?」
「色は合っているが、もう少し違う引き方をしろ」
「だめ?」
「よりもっと良くなる引き方がある」
79二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 07:24:34
私はよくわからないまま、一旦彼女から離れ彼女に左耳を向ける。いつもの編み込み。私と彼女のルーティン。だいすきな時間のひとつ。彼女が慣れた手付きで私の髪を編み、留める。
「終わったぞ、そのアイライナーを今持っているのか?」
「うん、動画で引き方調べた時に崩れたりしたら書き直すって見たから」
バッグを開け、ポーチに入ったアイライナーを取り出して彼女に手渡す。 彼女が顔を近付けて私を見る。唇が触れそうだけど、今はキスを我慢する。彼女は今そうする為に顔を近付けている訳ではないから。アイライナーのキャップを取る。
「目を開けたまま、動くな」
「うん」
彼女は少しだけ、目元にアイライナーを引いた。私の頬を撫で、彼女は満足気に笑った。こっ恥ずかしいけど、彼女に触られるのはとても幸せだ。
「グルーヴ?」
「さっきよりは良い。動画を参考にするのは悪い事ではないが、貴様にそれが合うかは別問題だ」
「ありがとう」
触れるだけのキスをした。触れるだけのキスだから良いよねと言うと頬を赤くさせた彼女が満更でもなさそうに、たわけと呟いた。
≫99二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 07:54:56
スイトレ「全体としてバランスよく摂取できればいいと思いますよぉ」
オペトレ「なるほど。バランスよく取りすぎた結果こうなったわけだね」
スイトレ「これは元から(TS時から)なのでセーフ……」
オペトレ「ふふ。ごめんごめんいじけないで」
≫102二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 08:09:44
グラトレの朝食 一汁ニ菜
トン…トン…と包丁がまな板を打つ音が静かに響く……
今朝の献立は玄米と味噌汁、焼き鮭、胡瓜の浅漬けの一汁ニ菜
ウマ娘二人分の朝食というのは中々に大変だがグラスを支える為と思うと案外苦にならないものだ
「…………おはよう御座います……トレーナーさん?」
そうこうしているうちにグラスが起きてきた様だ
「おはようグラス、丁度朝食が出来あがったよ」
「……トレーナーさんありがとうございます、ですが今度は私が先に起きて朝食を作らせて貰います」
「……今度も俺が先に起きて朝食を作らせて貰うよ」
早く起きた方が朝食を作る
そんな朝の些細な競い合いに勝利して
「「いただきます」」
グラスと二人で朝食を食べるのでした
≫104パラマクダークネスIF√221/10/09(土) 08:21:09
これはマクトレがドベトレに罪の自覚をさせることに成功し、そして自己拘束案件についてはバレた世界線。
メタいこというとドベの人が数日前提案してきた気がする世界線。
「それじゃあドベ助......今日も頼んだ」
「ああ」
しおらしい顔の兄貴が自室に入っていった。俺は「術」の用意をする。
俺の兄貴は本当にかっこいい。
よく同僚は「酒癖と豹変の仕方が予想出来ても回避出来ない奴」「狂宴会の絶対者」とか言ってるが、あいつらはまだ俺の兄貴のことを理解出来ていない。
確かに兄貴はマックイーンのことを最優先としているが、それ以外の人達の事もめちゃくちゃ考えてるんだ。たくさんの同僚やウマ娘の為に何をすべきかを考え、そして自分で厄介事を背負い続ける。そういうことの出来る尊敬すべき人だ。
俺なんて特にその恩恵を受けている。兄貴のおかげで俺の曇った狭い視野は広がった。ドーベルが何より大切なまま、他のことに目を向けることができるようになった。俺はそれで、ようやく自分の犯した罪と向き合うことが出来た。しかも兄貴は、「十分な罰をお前は受けてる。罪だけ自覚しとけば問題ないと俺は思う」とまで言ってくれた。俺なんかには見合わない最高の兄貴だ。
だが、そんな兄貴に最近弱点が生まれた。
どうやら兄貴は背負ったらまずいものをあまりに多く背負いすぎたらしい。精神に干渉し、様々な夢を見せてくる謎の存在、その力を一身に受け止めているそうだ。
そいつらに兄貴はある時期「マックイーンとして扱われ、マックイーンとして行動する夢」を見させられていたらしい。だが、兄貴は強大堅固な精神力でそれをものともせず過ごしていたという。
だが、その後の女神の方針転換で兄貴は危機に陥った。3大欲求の一つを駆使したうまだっち夢を見させられるようになったのだ。
流石の兄貴もこれには色々困ったらしい。毎日のようにうまだっち夢を見せられ、しかも不満のまま朝に送り出される。というかむしろよくそれで日常生活に影響出さなかったな兄貴。さすがは兄貴だ。
そして、そのまま過ごしていてしばらくして、流石にもうきついと思った兄貴は、目隠し、猿轡、大音量ヘッドホンを使うことでマックイーンの情報を完全にシャットアウトし「実行」に移したそうだ。正直普通の人間から言われたらなんで?となるが、兄貴の精神性からしてそれは正しい選択だった。
105パラマクダークネスIF√221/10/09(土) 08:21:23
そして俺は、ある時その道具たちを見てしまった。
俺が色々弁明した結果許してくれたが、その時兄貴は自分に起きていることを全て話してくれた。俺を信頼してくれている証拠で嬉しかったと同時に、あまりに多くのものを背負っている兄貴になにかしたいと思った。
そこで俺は、旅の間に習得した技で兄貴の視覚と聴覚を遮断し、そしてこの部屋の外への音の伝わりを止めることを決めた。
これにより兄貴はなにかに拘束されることも、他人の迷惑を考えることもなく自分のすべきことに集中できる。兄貴は「お前にかかる迷惑の量が尋常じゃない」と言われたが、そんなの兄貴が背負ってる寮に比べたらどうってこと無えと言ってやった。そしたら兄貴は少しだけ優しい顔でありがとうと言ってくれた。俺の事を信頼してくれて嬉しかった。
台所でスマホを弄る。扉1枚向こう、電気の消えた部屋からは兄貴の言葉にならない声が、弱いながらも延々と聞こえてくる。
テンションの高い悪ノリの時の楽しそうな声とも、何かを背負っている時の凛々しい声とも違う、俺しか知らない色をした声。これをほかの人に聞かせたくはないという思いは、兄貴のためなのか、それとも俺のためなのか。
兄貴が最高にかっこいい兄貴であることには間違いない。こうして俺に弱ったとこをさらけ出した上でそのかっこよさを見せてくれるようになったことで、むしろ兄貴の凄さは増したような気がする。
だが、それは兄貴が俺の事を信頼した上で家族のように思っていてくれているからこその結果だ。俺はその信頼と親愛に応える。兄貴が皆を、俺を含めたトレセンの皆を守ってくれるなら、せめて身軽な俺が兄貴を守りたい。そう固く思うのだった。
≫130某動画を見て書いた21/10/09(土) 09:05:05
新人ちゃん「グスッ...グスッ...」
ブラトレ「仕方なかったって奴だ、新人ちゃんは悪くない...」
新人ちゃん「でも...私のせいで...マクトレさんが...私が気をつけてさえいれば...」
────────────
朝
おはようございます!新人トレーナーです!
今朝、地元のお父さんから荷物が届きました!
中身は旨味の素と手紙です!手紙は後で読むとして日頃お礼に料理をします!旨味の素なら使い方に誤りなんて起きようがありません!!ハンバーガーのパテにいっぱい入れて粘りをしっかり出しつつ健康に気を使い減塩を狙ってあえて塩でなく塩化カリウムを入れます!
───────
マクトレさんおはようございます!
朝ごはんに特製ハンバーガー少し如何ですか?そのままいけますよ!
パクパクデスブワッファ!!?ゲキマズデスワ!!?
エエッ⁉︎
────────
手紙
新人へ元気にしていますか
中略
旨味の素をそちらに送ります。
旨味成分が入りすぎると脳がこの食い物腐ってると判断してクソ不味く感じるのでので入れすぎないで下さい
父より
≫144二次元好きの匿名さん21/10/09(土) 09:40:19
「……ネイチャ。とても大事な話なんだけど」
「おおう……マジな顔してどうしたのさトレーナーさん」
「目玉焼きに何かける?マヨネーズ?」
「しょうもな!!……うちは普通に醤油だったけど。なになに、そういう変わり種がいいの?」
「ううん。うちは醤油をちょっとと塩胡椒をちょっとかける」
「ハイブリッドなの!?」
「父さんの家が醤油で母さんの家が塩胡椒だった結果らしくて、だから物心ついた時からずっとそう」
「でもそれってしょっぱくなんない?」
「だからちょっとずつ。……でもよかった醤油で。それなら大丈夫だね」
「ねー。一度うちも塩胡椒いれてみるかなー」
「うん!試して試して!」
「……ねえ。何が『大丈夫だね』だったと思う?」
ワカラン
「だよねぇ……ぬいぐるみには分かんないか」