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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part586【TSトレ】
≫5二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 21:38:23
人格を形成するのは才能ではなく、環境だ。
少なくとも私はそう考えていて、そこに血統は関与しないとも思っている。
肉体と違い、思考はその人が持つ唯一のものだ。
だからこそ、適切な環境で養われなければならない。私はそう信じている。
「――だから、彼女のような子には画一的な教育ではフォローしきれないんです」
『成程ね……それで、あなたがそのフォローをしてくださると?」
「はい。私が、ジョーダンの……トーセンジョーダンさんのトレーナーですから」
トーセンジョーダン。
「頭が悪い」と言われ続けたあの子の担当トレーナーとして、私は学園の担任教師さんと電話でやり取りしている。
既に送った資料に目を通して頂けたようで、担任の先生は滞りなくご承諾くださった。
『わかりました。正直……とても助かってるわ。
レース最優先のトレーナーさんも少なくないものだから』
「いえ。こちらも新人なので、お伺いする機会も多いと思います。
よければ、頼らせてください」
『勿論ですよ。……そういえば、ここ数日お会いしてませんよね。
身体のお加減は大丈夫?』
「……はい。おかげさまで」
本当はお会いして、直接話した方がいい。
しかしそうできない理由があった。まずはイメチェンをしなければいけない……それも大掛かりな。
物憂げなため息をついて、見つめた姿見に。
若き頃の祖母……メイヂヒカリと呼ばれたウマ娘と、同じ顔が映っていた。
7二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 21:38:59
伝説となったトレーナーがいる。
トレセン学園の礎作りに携わり、終戦以降の激動の時代で今の教育の基礎を作ったトレーナー。それが私の祖父だ。
その息子として社会からの期待を背負った父と母は、血反吐を撒き散らしながら……彼らにとっては無念ながら、トレーナーではなく実業家や官僚として……充分に成し遂げ、更に倍増しとなった期待を娘に委託した。
『聡く在りて、事を成せ』
そう言われて育った私に、父母は憧れたトレーナーとしての道を押し付けた。
祖父、父……いや、家族全体で寄り添ってきたウマ娘の社会に貢献する為に、私が新しい風を齎すことを、家族が期待していた。
「え、よくわかんないけど……それ無理くね?」
「うーん、正直しんどかったよね」
「いや、笑って言うことじゃねーし」
使いきったブリーチ剤の箱を片しながら話していると、ジョーダンは頭に軽いチョップを入れてきた。いたい。
まぁ、今となっては笑い話になることなのだ。
祖父や父、祖母や母との比較をする目から逃れる為、私は海外進学を目指した。
優秀な成績を修めれば、より多くを学べば自由が手に入ったので、私はとにかく努力し……それなりに充実した青春を過ごせたのだから。
「はー。優等生アピじゃん」
「そんなことないよ。タトゥー入れようとかしたことあるし」
「え、やったの?」
「ううん、やめた。両親がそれを見てどう言うか、怖くなっちゃって」
「やっぱ優等生じゃん」
そうなのだ。結局私は、優等生であることから逃れられなかった。
なので私は、期待どおりにこのトレセン学園にいる。自分の中で、それなりの納得を伴って。
……祖父とどう向き合えばいいか、わからないまま。
8二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 21:40:12
「じゃ、カレシとかできたわけ?」
「けっこうね。でも、みんなフラレちゃった」
「んー……なして?」
ジョーダンはずいぶん砕けた口調で、私の恋愛遍歴を聞きながら私の爪を塗っていた。
ウマ娘となった私がジョーダンの前に姿を晒し、大正乙女みたいな清楚美人から印象を変えたい、と相談した時、彼女がとても面白そうな顔をしたのをよく覚えている。奮発してスタイリングをしてくれるのは、正直助かっているのだ。
その代価と言ってはなんだが、私は苦い思い出を口にした。
「私ね。人を育てるのが好きなんだ」
「まー、あたしみたいなの担当にするくらいだもんね」
「ジョーダンは特別」
「……そういうのいーし」
照れ隠ししなくていいのに。とはいえこちらも照れくさいので追求はせず、話を続ける。
「そんで?」
「付き合いはじめはギーグとかナードとか……あー、所謂オタクなんだけど。こう、私は色々伸ばせるなーって思って、カレなりのいいトコを伸ばしていくの」
「彼ピッピプリティダービーじゃんウケる。んでんで? どうなんの?」
興味を持ったジョーダンに、私は彼女達の普段使う言葉に合わせた面白おかしい話し方で語る。
「汚いカッコとかオドオドした素振りとかを……まぁ、色々やることやって自信つけさせてアゲアゲにするわけ」
「うん」
「みんないい感じに育ったなーって思ったら、別れ話を切り出されて……シチーちゃんよりちょい手の出しやすい娘と付き合っちゃった」
「うわヤダサイテーじゃん! え、それ何連!?」
「10連続……」
「爆死じゃん! オトコ見る目ねー!」
ダメンズ呼ばわりはまだ軽傷で、世の中にはもっと酷い呼び名もある。
だが、腹を抱えて笑うジョーダンの教育の為に、私はただ、苦い顔で笑うのだった。
9二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 21:40:46
「はいできあがり。けっこうイイ感じっしょ」
「わぁ〜……ギャルっぽい」
「ギャルっぽくしてんの。服は……おこづかいないし、全然盛ってないけどね〜」
滑らかな深い蒼に、星が瞬いているネイル。
親指だけ三日月になっていて、合わせるとリングになるのは中々の芸コマだ。
思いきってバッサリやったハンサムショートカットと合わせると、学生時代ちょっと憧れていた、ガールズパンクバンドのことを思い出す。
服装は以前着ていたスーツなので、妙に迫力がある。鹿毛でショートの樫本トレーナーみたいな感じだ。顔立ちは露骨に変わっていないので、イメチェンと思われるといいけど。
「ありがとう、ジョーダン。いい感じだよ」
「ん〜……まぁ。こういうの、シチーに頼んだ方が盛れる気がするけど」
「頼むならジョーダンにしたかったんだ」
「……やめろし、そういうの」
照れくさそうに言うジョーダンにお礼を言いながら、私は私の務めをこなす。
『聡く在りて、事を成せ』を体現しなければならない。
「じゃ、お礼に次の授業、予習しちゃおっか♪」
「はー!? お礼って言ったらフツーなんかオゴるっしょ!?」
「それも後でするから。はーい、教科書開いてー」
きゃあきゃあ言いながら、私とジョーダンはふたりだけの教室を開く。
さあ。私の憂いを忘れる為に、彼女の為だけの、最高の教育機関を始めよう。
うまぴょいうまぴょい
10二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 21:41:36
【担当】トーセンジョーダン
【略称案】ジョートレ(孫)・孫ちゃんなど?
【身長】168cm
【スリーサイズ】94-65-96
【髪の色】鹿毛
【髪型】ハンサムショート
【瞳の色】鈍
【服装】:黒いトップスにフレアスカート
【年齢】24
【一人称】私
【二人称】貴方
他人を呼ぶ時は
友達:呼び捨て 知り合い・目上:◯◯さん
後輩の女性や知り合いのウマ娘:さん
【概要】
海外育ちの新人トレーナー。
スタンフォード大学で教育学を修め、卒業後帰国。
その優秀さをひけらかすことなく、トーセンジョーダンへの教育に労力を費やしてきた。
微笑みを常に浮かべた物腰の丁寧な若者であり、「どんな経験でも何かに繋がる」という信条の下、考察と理論構築を重ねる、ある意味トレセン学園のトレーナーらしいトレーナー。
【来歴】
実はダイタクヘリオス担当チーフトレーナー(じじピ)の孫であり、日本では常に両親や周囲から祖父との比較を受けていたことで祖父を敬遠し、高校から海外進学をしている。
しかし海外での経験で「内心で抱く家族への憧憬」を自覚し、傍で見て答えを得なければ、本当に自立した大人になれないと中央のトレーナーライセンスを取得。トレセン学園に入職する。
入職したはいいものの、祖父とどう向き合えばいいかと懊悩していたところにトレーナーのウマ娘化現象が頻繁(ついでに祖父もウマ娘化してまた懊悩)。これ幸いと自らもウマ娘に扮し、(本人曰く)巧妙に隠れていた。
しかし本当にウマ娘化したことで「ウマ娘化トレーナーが別のウマ娘になる」という状況が発生。
容姿も祖母に似たものとなってしまったことから注目が集まり、(本人曰く)絶体絶命の状況に晒されている。
周囲はじじピ以外微笑ましく眺めている。じじピの胃は死んでる。
11二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 21:42:21
【性格】
早い話が戦闘能力ナーフして教え導く方に特化した胡蝶しのぶである。
いつも微笑みを絶やさないようにしているが、内心で青褪めたり絶句したりと割と忙しい微笑みをしている。シナリオ育成の(ンン……ッ!)みたいな。
外国育ちの上に勉強生活で流行りモノとは無縁であり、そのせいかジョーダン達の話題にややついていけないことがある。
周囲から祖父と比較されて育った為、他人の風評を意図的に無視する傾向がある。
これがトーセンジョーダンの性質を見極め担当になるに至った所以でもあるが、そのせいで観察や考察に夢中になってトラブルから逃げ遅れることもしばしば。
自分の育てた彼ピッピが尽く他の女に寝取られることを気にしており、男性(ウマ娘化トレーナーも含む)と仲良くなると勝手に落ち込む。
作者コメント:以前から作りたかったパラレルトーセンジョーダン担当トレーナーです。
(既存のジョートレさんとは共存できそうにないので
扱いとしてはあちらを優先してもらえれば……と思っています)
聖夜前夜祭にお出ししていいものか悩みつつ
「性の6時間だし下世話な話もいっかぁ!」とお出ししました。
追々描写を重ねていきますが、お好きに使って頂いて結構です。
ヘリサブちゃんの掘り下げ要員としても、上手く付き合っていきたいな……!
ではどうぞ、聖なる夜をお楽しみください
たのしかったですわ! たのしかったですわ!
≫60二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 22:38:46
『聖なる深夜』
──クリスマスの日にスズカを地元に連れてきた理由は、おおよそ三つ。
1つは景色が好きな彼女に私の大好きだった星空をプレゼント代わりに見せてあげたかったから。実際スズカもかなり気に入った様子だったから成功と言っていいだろう。
続く1つは私のデビューの件について話すのにいいタイミングだったから。いつまでも誤魔化してるのはスズカに失礼だし、ジャパンカップを経て固まった私の意思をスズカに伝えておきたかった。まあ私が言う前に聞かれたんだけど。
残る1つは、やはり実家なら色々と融通が効くから。勝手知ったる土地と人である分意図せぬ事態にも対応しやすく、スズカをゆっくり休ませることができるはず。
「……母さん、なんで敷布団じゃなくてダブルベッドがあるの?」
「……ごめんなさい、帰ってくる日勘違いしちゃって、今干してる真っ最中なのよ……」
「……えぇ……」
そう思ってた時期が、私にもありました。
「スズカ、狭かったらすぐ言ってね。スペース作るから。」
「……どちらかというと、トレーナーさんがギリギリすぎて落ちないかの方が心配です。もう少し寄ってもらってもいいんですよ?」
「うーん……でもこっちの不手際でこうなってるんだし……」
「……」ジー
「…………分かった、スズカに甘えさせてもらうわ。」
「はい、どうぞ。」
スズカの言葉に応じるように身体を中心へと移動する。こうして誰かと一緒のベッドで眠るのはいつぶりだったっけ。
61二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 22:39:09
「……そういえば今日ってクリスマスですけど、みんなは今頃何してるんでしょうね。」
「多分パーティかなぁ、出てくる前の感じからして。……ごめん、参加させてあげれなくて。」
「いえ、大丈夫です。みんなとクリスマスパーティするのも楽しそうですけど、おかげさまで素敵な景色見られましたから。 」
「ちなみに何番目くらい?」
「……流石にそれは悩みますね……代わりに上位3つ言いますね。」
「いいの?」
「トレーナーさんになら。と言っても、今までも話してる内容ではありますけどね。」
そう言ってスズカが軽く微笑む。確かに下からならともかく、上から三つなら先頭の景色と、それにも負けないと言ってくれた私の走る景色。この二つは確実に入ってくる。となると3位が何かを考えて……
「まず3位が先頭の景色です。」
「3位!?」
「はい、3位です。あとの2つは同率1位で、片方がさっき話した、ゴールへと駆けてくるトレーナーさんの景色ですね。」
「あ、淡々と進めるのね……」
「全部言った方が早いかなと。それで、別な1位は──」
息を飲む。困惑もまだある。でもそれ以上に興味が勝った。
だってスズカが先頭の景色よりもいいと思った景色だ。ずっと彼女と歩んできた者として、気にならないはずがない。
「──先頭の景色・改です。」
「改。」
「名前は今考えただけなので気にしないでください。でも、簡潔に言い表すならこうだと思います。
……ずっと好きだった静かな私一人だけの世界とは違う、風の音と心臓の鼓動、そしてトレーナーさんの声だけが聞こえて、どこまでも続く道の先にトレーナーさんがいる──そんな景色。
トレーナーさんと歩んだ3年間を経て天皇賞秋で見た、私の新たな先頭の景色。それがもうひとつの1番です。」
「……そっか。」
口から漏れたその声は驚くくらい弾んでた。
「……いつか私も見れるようになると思う?先頭の景色。」
「思います。トレーナーさんなら、きっと。」
「見れた日が来た暁には真っ先にスズカに話すね。」
「ふふっ、楽しみにしてます。」
62二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 22:39:29
「……さて、いっぱい話しちゃったしそろそろ寝ないと。」
「せっかくのクリスマスですし、もう少し話してもいいんじゃないですか?」
「ダメ。練習に登山下山の疲れ溜まってるのは間違いないんだから。」
「そうですか……」
私の言葉を聞いてスズカがしょんぼりとするのが見ずとも分かる。まあ彼女の選手生命はここからが本番なのだ。無理はさせられない。
「……それなら、最後に一つだけ聞いてもいいですか?」
「うーん……手短に済むなら。」
「トレーナーさん、寝転んでから手が落ち着いてないなー、と。」
「あー……これはちょっとした癖。実はこのベッド、昔私とリィが同じ部屋だった時に使ってたものなんだけど、その頃のリィって寂しがり屋なとこがあってね、寝る時に手繋いであげてたの。
…………ただ、その間に私の方もそれに慣れきってたっぽくて……」
「……手を繋がないと落ち着かない、って事でしょうか?」
「いや、手繋いでた方が寝つきはいいってくらい。手を繋ぐことよりも手に人肌の温もりがある事の方が大事っぽいから自分の手でもいいしね。」
「なるほど……なら今日は私と繋いで寝ませんか?」
「……それは私の方が少し恥ずかしいかなーって……」
「でもそっちの方がよく眠れるんですよね?」
「そ……うん、そうだね。」
「最近トレーナーさん、ここ数日仕事の仕上げでいつもより寝てませんよね?」
「…………分かった……」
眠りの大切さを解いたばっかにこれを言われたらもうどうしようもない。完全降伏である。
大人しく横を向いて手を合わせる。……温かさで一気に重くなる瞼が恨めしい。
「ふああ……私も眠気が急に来ました……」
「じゃあ今度こそ寝よっか。」
「そうですね……おやすみなさい、トレーナーさん。」
「うん、おやすみスズカ。……心のゆくまま、ゆっくり休んでね。」
最後にそう言い残し、私の意識も微睡みへと沈んでいく。
スズカとスズトレ、二人の4年目のクリスマスはこうして過ぎていくのだった。
134二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 06:24:57
おまけ
「──以上!ね、なんもなかったでしょ!?」
「うんうん……まあスズトレとスズカだもんね!安心した!」
「代わりにツッコミどころは倍増したがな。」
「え、嘘ぉ!?」
「当たり前だろ……まずサラッと添い寝すんな。1人用の布団で寝かせてあげれなかった不甲斐なさがあるなら二人で同じベッド使うことへの違和感も持て。」
「いやだって成人男性と未成年の女性は確かに問題だけど、今は同性だし……」
「……(頭を抱える)」
「う〜ん……『クリスマスの夜に実家に連れてって一緒のベッドで向かい合って手を繋いで眠った』って言ったら字面のヤバさ伝わる?」
「………………あれ?もしかして私相当ヤバいことした?」
「多分スズトレじゃなかったらもっと大騒ぎなってると思うな〜。」
「しばらくイジり倒されるだろうがまあ……自業自得ってことで。」
「ひどい!!」
≫71二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 23:01:56
[やるなと言われるとやりたいもので]
『カリギュラ効果』という言葉がある。
これは「やってはいけない」、「してはいけない」と禁止されるほど人間は禁止されたことをやりたくなってしまうという心理現象で、これがある以上人間はやってはならない禁忌というものにどうしてもやってはならない禁忌に惹かれてしまうものなのだろう。
そして、ここにもまた2人。その誘惑につられた者が居る。
「おっ、ありがとうダストレ。やっぱり深夜にコンビニで買い食いするのは良いね」
「どういたしましてタキトレさん。それと頼まれてた肉まんです。熱いのには気を付けてくださいよ?」
「舌を火傷すると後々が大変だもんね。……あっつ!、でも美味しい…!」
「冬になると不思議と美味しく感じるんですよね。しかも深夜だと更に美味しい」
「どうしてなのかこんどタキオンに聞いてみようかなぁ」
「それが良いんじゃないですかね。タキオンさんなら多分何か知ってると思いますよ」
真冬の宵天の下、コンビニの外で外気に晒されながらダストレが買ってきてくれた肉まんを頬張ると、口の中に予想外に熱いままの肉汁とそれ以上の良い匂いとおいしさが広がる。
いつもは寝ているはずの23時に食べる肉まんは、体に悪いとわかりきっているというのにいつもよりも美味しい。太り気味の生徒に「夜食は控えてください」と言っている身だから常日頃は「食べてはいけない」と自らを戒めているが、だからなのか今食べている肉まんはそれだけいつもよりも遥かにおいしかった。
名店のそれにも何ら劣ることのないと感じる味を楽しみながら、横に居る彼と他愛のない会話を交わしていく。学園にいる時はトレーニングはどうだとか、最近の担当はどうだとか、そんなことを話しているものだが、こうして学園を離れて話す時はどうでもいいことを気楽に話せる。最初は担当が親しい同士の関係から始まったが、今では友人だ。
72二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 23:02:16
「……そういえば、タキトレさんって今何か香水でも付けてるんですか?いい匂いがするんですけど」
「いいや? 薬品の匂いを消すのに使うことはあるけど今は特にそういったものは付けてないね」
「でもどこかで嗅いだことのある匂いなんだよな。……うーん、何だろうこの匂いは」
会話を交わす内に口を吐くように彼から出た疑問に共に首を捻る。タキオンの実験に参加して薬品の匂いがした体で理事長などに会いに行くわけにもいかないので香水をつける、ということはあるが、今は特にそういった用事もないので香水の類は付けていない。
そうして考えている内にある答えに辿り着く。というかこれぐらいしか自分には思いつかない。如何せん自分の身体からチョコの匂いがしても気づかない程度には無頓着な方なのでこれぐらいしか自分が良い匂いを発する要素が無いのだ。
「これってもしかしてシャンプーの匂いだったりするのかな。ダストレ、ちょっと俺の髪嗅いでみてくれない?」
「えっタキトレさんの髪を? 正直人の髪の匂いを嗅ぐのって気が引けるんですけど。……あっこれです。この匂いタキトレさんの髪からしていたのか」
「さっきシャワーを浴びてきたからね。その時に髪を洗うのに使ったシャンプーの匂いだったんだろうね」
「へ~シャンプーの。そういえばタキトレさんってどこのを使ってるんですか?スカーレットに色々と薦められてるんですけど、何が良いのが良くわからなくて」
「タキオンが作ってくれたやつ。スカーレットさんも以前同じ物を使っていたと思うよ」
「えっ」
ダストレの動きが止まる。ギギギと年季の入ったブリキ人形のように顔をこちらに向けると、そのままフリーズした。彼の目の前で手を振ると、一切の反応が返ってこない。人間とはここまで動きが固まるかと思う程の硬直だ。自分のことを普通だとか言っているが、これを練習して忘年会でやれば大絶賛間違いなしだろうに。
73二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 23:02:37
「……タキオンさんってシャンプーとか作れるんですか?」
「研究の副産品だし、今は俺が代わりに自作しているけどね。トリートメントから始まって今ではシャンプーとかボディソープとかもあるよ。市販の物より効果が良いから愛用しているんだ。」
「それで、スカーレットも以前使ってたと」
「スカーレットさんの時は確か試作品のトリートメントだったけど、それでも「髪がサラサラになるし良い匂いがするようになりました!」って言ってくれてたよ。多分嗅いだことがあるというのはその時のことなんじゃないかな。」
「なるほど……」
ぎこちない動作から復活して、2つ3つ言葉を交わしてからまた再度考え込むような仕草をするダストレ。いつになく真剣な表情を浮かべている彼を見て、自分にはその理由がなんとなくわかるような気がした。これでもその程度わかるぐらいには彼との付き合いはあるのだ。
「……もしかして、シャンプーとか欲しかったりする?」
「えっと……まあ、はい。スカーレットに一式プレゼントしてみようかなと」
聞いてみると図星だった。
頬を掻いてぷいと少し背けた彼の顔がほんのりと赤く染まっていたのは、きっとこの夜の寒さだけが原因なのではないだろう。プレゼントすることを気恥ずかしく思いながらも、担当の喜ぶ顔が見たいと言ったところだろうか。彼の様子を見ていると、どことなく微笑ましく感じられて、なにかしてあげようと不思議とそう思った。
「よし、じゃあ作ってあげるよ」
「良いんですか⁉」
「他ならぬ君の頼みだからね。……それはそれとしてちゃんと材料代は貰うけど」
「勿論いいですよ。作ってもらうんだからそれぐらいは当然ですって」
「気前がいいねぇ。まずは材料費になるんだけど、これがあれで、ついでにこの材料は海外からの個人輸入になるから諸々を合計するとこれぐらい……」
「おおう……」
作ってもらえることになり気分が高揚しているのかしてウキウキになっているダストレに、携帯の電卓を使用しながらかかる費用を説明していくと彼の顔がどんどんと青く染まっていった。オーダーメイド品に近いとはいえ、シャンプーやトリートメントで流石にここまでの金額になるのは予想外だったのだろう。
74二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 23:02:52
「……シャンプーとかでここまでの金額になるもんなんですね」
「これでも一応オーダーメイド品になるからね。どうする?やっぱりやめる?それならお手頃なお店とか紹介するけど」
「いいえ、一式全部でお願いします。スカーレットの為なんだから金に頓着してられませんよ」
「ふふ、そうこなくっちゃね」
「でもこれで次のガチャが厳しくなったんですよね……年末のバイトでも探そうかな?」
「偶には我慢して年末を過ごしてみるのも良いんじゃない?」
「でも「しちゃダメ」って思うとやりたくなるというか、できない時ほど回したくなっちゃうんですよねぇ。しかも年始のガチャっていつも良いキャラばかりなのも辛い所ですよ。なんでしたっけ、そういうのありますよね」
「カリギュラ効果だね。タキオンがそんなことを言ってカフェさんに実験を迫ってたよ。……おっと、もうこんな時間か。明日も早いからもうこれで失礼するよ。ダストレも夜更かししちゃダメだよ?」
「お休みなさいタキトレさん。また明日学園で会いましょうね」
互いに挨拶を交わし、コンビニの前で別れる。家に向けて歩き出すと、寒風が後ろ側から自分の身体を通り抜けて天に駆けていった。寒さに身を震わせながら、今度はタキオンと一緒にここに来ようとふと思った。もしかしたら面倒だと思われるかもしれないが、そうだとしたら俄然やる気が出てくるような気がして、明日も頑張ろうと不思議とそう思える気がしたのだ。
75二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 23:06:02
これにて終了になります。
冬の夜は肉まんとかフライドチキンが何故か美味しい
タキトレは実は良い匂いがするのです
ダストレをお借りしました
エミュなどで何か問題がありましたら遠慮なくお申し付けください
最後に長文になりましたが、読んでくださると幸いです
≫84二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 23:17:16
クリスマス、そんな聖夜の夜にトレーナー室で酒を飲み交わすのは二人の影。ファイトレ(男)とsp隊長はワインを片手に話していた。
「最近、疲れてるように見えますが…」
「…貴方の件で上から下までドッタンバッタン大騒ぎでしたからね。ですが、決して貴方のせいではないのでご安心を」
「いやなんか…迷惑かけてるみたいで申し訳ないです…」
「ははは、構いませんよ。私は殿下に我儘を覚えさせてくれた貴方に感謝こそすれ、恨むことはありませんから。」
「…たまにちょっぴり嫉妬してませんか?」
「…いえ、していませんとも…」
そんな隊長の反応に、少しだけ笑いつつもファイトレは話題を変えた。
「そういえば、クリスマスですね…願い事って、あったりしますか?」
「…私ですか、実はあるんですよ。…その、殿下とアルコールを片手に飲んでみたいっていう贅沢な願いが…やっぱり無しでお願いします。」
アルコールのお陰か、彼女の心の裏側を聞けたファイトレは、その思ったことをそのまま口にした。
「俺は良いと思いますよ?」
「私はただの1護衛でしかありませんし、まだ殿下は未成年ですので…私の心中に仕舞っておくべきかなと思うのです。」
「…」
(クリスマス・イブ、良い子にはプレゼントを届ける日だな…なら、今日は彼女等のサンタクロースになってみよう)
「…トレーナー殿?」
ファイトレは懐からケースを取り出して開く。…その中には、カラコンと左耳用の耳飾りが丁寧に仕舞われている。
カラコンを手早く目にはめて、左耳に耳飾りをつけて隊長に向き合うと、ファイトレは声を掛けた。
「いいえ…一夜限りの夢ですが、私からのプレゼントです。」
「?!…いえ、そのような…!?」
慌てる隊長を見据えながら、ファイトレはあの王女様の同じ仕草で答える。…何年間も見続けていただけある貫禄の所作。
「クリスマスは良い子にプレゼントをおくるけど、別に子供だけとは言ってないでしょう?…メリークリスマス、ですよ。」
…彼女は嬉しそうな顔で、反応を返してきた。
「…はい、メリークリスマス。そして乾杯です」
「ふふっ、乾杯」
───ワイングラスがかち合う音と共に、聖夜の夢は始まりを告げた。それはきっと、幸せな夢だったのだろう。
85二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 23:17:43
「zzz…」
「…眠ってしまいましたね、おやすみなさい。…さて、次はファインにプレゼントを届けないとな。」
眠る隊長にブランケットを掛けつつ、プレゼントを詰めた白い袋を肩に掛けて部屋から出る。彼女が良い夢を見れることを祈った。
───とある一人に届けたそのサンタクロースはプレゼント…いや、幸せを届けに雪夜の中ファインの元へ向かうのだった。
短文失礼しました
クリスマスネタですがあえて変化球を投げていくスタイル。ぶっちゃけ隊長さんらに幸せをおすそわけしたかった。この姿でなら、聖夜に幸せな夢の一つくらいは見せられるはず。勿論担当とのクリスマスネタは明日の朝に投げます。良いよね雪の聖夜って。
≫98二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 23:37:22
「メリークリスマス、ミスタートレーナー」
「はいはいメリクリメリクリ」
「なんだいつれないなぁ。クリスマスだよ?聖夜だよ?雪だよ!?」
「今私仕事中。OK?」
しんしんと雪が降る12月24日。街は白く染まり、イルミネーションが照らしている。
そんな中、ローテーブルにぽつんと置かれた手のひらサイズのクリスマスツリーだけが世間の状態を示していた。
「関係ないよ。キミはアタシのトレーナーだからね」
「いい事言ったふうにまとめても仕事は仕事です。いいから終わるまでふらふらしてて」
ソファからこちらを見てくる、ジャージを着たシービーには目もくれず、パソコンの文字列とにらめっこする。英語で書かれたその論文は、ウマ娘のトレーニング理論の最新版だ。
「ふらふらねぇ…それよりトレーナー」
「却下」
「さすがに早くない?」
一蹴すると、パソコンの傍のハイチュウに手を伸ばす。しかしそれはシービーに取り上げられたせいで叶わなかった。
「ねえシービー?返してくれる?」
「ならお願いを聞いてくれないか?」
「いやだから仕事だって」
「クリスマスと仕事、どちらが大切なんだい?」
「仕事」
「……」
ピキーンという効果音がするほど固まるシービー。トレーナーは引き出しから飴焼きアーモンドを取り出すと、1粒口に運んでまたパソコンをにらみ始めた。
99二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 23:37:59
「そうか…ならアタシにも考えが…」
ふらふらとトレーナーの背後にまわるシービー。背もたれを持つと、椅子を机から離した
「ねえシービー戻して。論文読めない」
「担当とのコミュニケーションを忘れるトレーナーには…こうだよ!!」
トレーナーの脇に手を入れて立たせたと思いきや、バックブリーカーを決める。
「痛い痛い!!シービー痛い!やめて!」
そんなトレーナーの訴えも虚しく、トレーナーはソファに投げ出される。
「いったたたた…ねえシービー?さすがに酷くない?」
「それは、キミが言えることかな?ミスタートレーナー?」
「うぐっ」
正直なところ、罪悪感がないといえば嘘だった。しかし、彼女はどうしても仕事を終わらせなければならない事情があった。
「でも…仕事終わらないとシービーのとクリスマス過ごせないし…」
その言葉にシービーは目を見開く。
「そっか…そっか!でもねもう遅いよ!!」
「うん知ってる。だから、プレゼントをあげる。なんでも一つだけ」
「本当になんでも…かい?」
疑いの目を向けてくるシービー。
「本当だよ」
「なるほど…ねぇ?」
100二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 23:40:33
ふと、彼女の目に悪戯心が宿る。その目を細めると、
「なら、キミが欲しい…かな?」
そう言い放った。
「え?今更?」
しかしそれはトレーナーの一言で砕け散った。
「今更って…どういう意味だい?」
そう言うとシービーは耳を絞る。
「どうもこうも、私はシービーのトレーナー。シービーだけのトレーナー。そういう意味だけど?」
何を言っているんだ、というような目線を向けてくる。
「…アタシのトレーナーは…想像以上に…」
「どしたの?」
顔を伏せてブツブツと何かを言うシービー。
「…アタシのトレーナーなら、何をしてもいいのかな?」
「一線を越えなかったらね」
そう言い終わるや否や、お姫様抱っこをされるトレーナー。
「なら、一緒に寝てもらおうか」
「別にいいけど…それだけ?」
「ああ、もちろんさ」
そんな問答をしながら隣の仮眠室のベッドへと連れていかれる。
最初にトレーナーをベッドに乗せ、靴とソックスを脱がす。
「綺麗な足だね…」
「どうも。シービーも綺麗だよ」
「キミもね」
シービーも靴を脱ぎ終わると、布団に潜り込んでくる。胎児のように体を丸めるトレーナーをギュッと抱きしめると、とても暖かかった。
「キミは…あったかいね…」
「シービーも、やっぱり綺麗な顔だよね」
頬を撫でるトレーナー。くすぐったそうに笑うと、2人とも目を閉じた。彼女の髪の匂いが微かに鼻を通る。ミルクのような、花のような、甘くて心地いい香り。
自分より少し小さいトレーナーは、視線を向けると腕の中で微笑んだ。
再び目を閉じ、やってきた微睡みと、 彼女の体温に意識を預ける。
ああ、幸せだな。今この時が、ずっと続けばいいのにな。
101二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 23:41:01
そう願いながら、2人は冬の夜に眠っていった。
部屋に入ってきたルドルフとルドトレが察して電気を常夜灯にしたのはまた別のおはなし。
おしまい
≫107二次元好きの匿名さん21/12/24(金) 23:58:39
『ねぎらい』
今年もクリスマスが終わる。
お察しの通り今年も大した出会いはなく、一人ゆるりと家で寝静まる日々。いや、出会いがないといえば俺のチームメイトに袋叩きにされるであろう。
しかし仕方ないだろう、男性としての出会なぞいざ知らず、女性としての出会いも望めるはずもなく、そもそも求めてすらいないのだから。
いや、求められないというのが正しいだろう。
今年の12月はまさかまさかの朝日杯、阪神JFにシニア有馬・ホープフルSの四段構成。誰だこんなバカみたいなスケジュールを組んだのは。俺だ。
たった5人でこれなのだから、フルでやって15人抱えている樫本理事長代理は体が何個あるのだろうかと疑ってしまう。そんなわけがない、彼女は普段通り微妙に運動音痴で表情のお固めなウマ娘を大事にする立派なトレーナーだ。最近目のクマがさらにひどくなっていたが。
周りを見ればある程度はシニア期想定のレース選択だったり、既にドリームシリーズに突っ込んでる人もいるしで十人十色といった状態である。
とにかく朝日杯と阪神JFは終わり、クリスマスを超えればシニア有馬にホープフルだ。それが終われば帰省だ。バカだ。
体が爆散しないようにきっちり休みはとっているが、それはそれとしてそりゃ体力も尽きるというもの。
布団に潜り込めばあっという間に就寝できた。
気が付けば夕方の平原。
さすがに今日はもう走る気はねえぞーと周りを見渡すと、なぜか陣幕が引かれている。
戦国時代じゃあないんだから。そう思いながら近づいていくと、いつもの白き少女と当世風メイクを施しながら大正衣装に身を包んだ美人ウマ娘がこいこいと手を招いている。
ははぁなるほど、そういうことねと納得して一緒に座る。
最近はめっきり寒くなったのうと言い、神様とかもそういうのわかるので?と茶化し、適当にだべり、笑う。
夢の中ということで飲み食いの感触も希薄なもの故に、只々喋りて時間を過ごす。
最近また増えたんじゃよわしの見た目が!と叫んでたり、それを見てくすくすと少女が笑ったり。でも楽しんでるんでしょこの状況と言えば、そうじゃよとてへぺろする。
どうでもいい時間を過ごす。それが一番の心の安らぎ。
また明日が来たら忙しいだろうし夢の中ではゆっくりしておきなさいよというおばあちゃんのちょっとした厚意であった。
ありがとうございます。
≫111二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 00:00:02
「じんぐっべーっじんぐっべーっすっずっがーなるーっきょっおっはーったのっしいーくりすますーっヘイ!」
メジロアルダンは浮かれていた。それはもう浮かれていた。
なんせアルトレと専属契約を結んで3年目にしてようやくクリスマスを共に過ごせるのだから。
これまではメジロ家のパーティーに誘っても『私がいると空気が悪くなるので』と断られていた。でもウマ娘になった今年は参加してくれるのだ
ウマ娘化様様である。三女神さまありがとう。
ツリーの飾りつけをしながら歌うのは止められないし、なんなら誰も見ていないのに腰に手を当てお尻ふりふり踊りだす始末だ。
「じんぐっべーっじんぐっべーっすっずっがーなるーっきょっおっはーっとれーなさんとーくりすますーっヘイ!」
ヘイ!の掛け声とともにターンをすると、そこにはスマホのカメラを向けるアルトレがいた。
「………………」
「………………」
「…………いつから、みていましたか?」
「…………とても、可愛らしかったですよ」
「…………撮りました?」
「もちろん動画です」
「消してください……」
「だめです」
「あなたのメジロアルダンのお願いですよ?」
「私のメジロアルダンさんのお願いでも駄目です」
「……………………」
「……………………」
二人の無言の駆け引きはパーティーの準備ができたとメジロマックイーンが呼びに来るまで続いた。
その後の交渉の結果、誰にも見せないという条件でアルトレのスマホの中にデータが残されることになった。
≫127胸に餡饅と肉饅詰めてる21/12/25(土) 03:29:06
「メリークリスマス!」
「ああ、メリークリスブッっっげほっげほっ」
「おいおい、大丈夫かマヤトレ?」
「え?タマトレ?だよな?」
「それ以外の何に見える?死神にでも見えたか?」
「いや...どした?その格好?」
「これからタマの弟達にクリスマスプレゼント渡しにな」
「それでサンタの格好なのか...何でミニスカサンタ?」
「先生に無理矢理......」
「ご愁傷さま」
「いいんだよ、ビキニサンタのテイトレよりマシだから」ハハハ
「トレーナー!こっちは準備できたで!」
「おう!今行く。そうだこれ、俺からのプレゼント、餡饅と肉饅だ!皆で食べてくれ!」
≫128黒とカフェのクリスマス 1/221/12/25(土) 04:21:08
……私のトレーナーさんは変な人です。
“お友だち”のことをすぐに受け入れてくれたし……
ウマ娘になった時は誰にも伝えずに出勤したし……
お料理にはよく分からないものを入れようとする……
……これはそんな変わり者のトレーナーさんと、私……マンハッタンカフェの今年のクリスマスのお話。
「トレーナーさん……今年もありがとうございました」
「こちらこそありがとうございます。今年のクリスマスも色々なところに行きましたね。マンハッタンは流石に無理でしたが……」
「マンハッタンは……いつか、そのうち行きましょう。じゃあ……最後にアレを。……覚えてますか?」
「プレゼント交換ですね、ちゃんと覚えてますよ。じゃあ……早速僕から、どうぞ」
「これは……マグカップ……?」
「えぇ、僕のと同じ物です。耳飾り、もらいっぱなしでしたからなにかお返しをと」
「トレーナーさんとお揃い……とても嬉しいです。ありがとうございます」
129黒とカフェのクリスマス 2/221/12/25(土) 04:22:09
「それでは……次は私から、トレーナーさんへ」
「ありがとうございます!これは……マフラーですね。でも少し長いような?」
「……はい。それは……2人用のマフラーなので」
「2人用?……あぁ、なるほど。そういうことですね。じゃあカフェはそっち側で」
「ふふ、わかってくれて嬉しいです」
「トレーナーさん……また来年もこうして、一緒に居てくれますか?」
「えぇ、僕はあなたのトレーナーですから。あなたが望むならまた一緒ですよ!」
「……ふふふ、変な人ですね」
「あれ?それは……褒めてくれてるんですか?」
「えぇ……もちろんですよ。かわいい私のトレーナーさん」
……私のトレーナーさんは変な人です。
“お友だち”のことをすぐに受け入れてくれたし……
ウマ娘になった時は誰にも伝えずに出勤したし……
お料理にはよく分からないものを入れようとする……
でも……
……この人が私のトレーナーさんで、本当に良かった。そう思います。
‐ 終わり ‐
≫144二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 08:15:04
『じょとれちゃんとぶらとれさん』
俺の眼前には、汗をだらっだらと流しながら微妙に目を逸らす優等生(自他称含む)。
バカにつける薬はないとはよくいうが、やらかした優等生につける薬もないと思う。
「……笑ってもらって構いませんよ、ブラトレさん」
口を開くはトーセンジョーダン担当トレーナー。知っている人から言わせてもらえば、ダイタクヘリオス担当チーフトレーナーの孫。
その言い方をするのは大変失礼なので基本的にジョトレと呼ばせてもらっている。
「いや笑う笑わないの域を通り越しているというか、今の今までウマ娘に扮していたというよくわからん経緯が一番謎というか」
「ぐぅっ。し、仕方ないじゃないですか。私とて好きでこの姿になったわけではありません」
「まあうん、そりゃそうでしょうよ。でもその仮装のせいで余計な混乱が起きたことは反省してくれたら俺うれしいなって」
「……誠申し訳ございません」
ずどんと頭を机に打ち付ける。まあ、いつもの如くの現象だろう。
意図的にウマ娘になろうとした例はほぼない。思いつく限りだとやたら熱心に像に手入れをしていたら変わってたらしいシャカトレと薬を作って飲んで変わったタキトレくらいなものだ。
「まあ別にそれが悪いってわけじゃあないからなあ……ジョトレの場合は見た目がそれなりに変わったくらいしか問題ないっぽいし」
「まあその見た目が問題なんですけどねぇ……」
「あぁー、爺様とほぼ同じだしな。……あ、いやメイジばあちゃんとも同じなのか」
「メイジばあちゃん?あれ?おばあちゃんと面識ないですよね?」
「え?あ、言い方間違えた。……まあこれはまた機会を追って話すわ。まあともかく……どうするの」
「しばらくは……イメチェンで何とかしちゃうかな☆」
キラッとした笑顔をジョトレはかますが、顔の端々にはまだ照れと躊躇いとやけっぱち感が表れている。少しすればどんどん顔が赤らんでいき、勢いでかました笑顔はだいぶ崩れかけてしまった。
「まあ……がんばれ」
そんな彼女を見てちょっとほほえましい顔をするしかないブラトレであった。
ぷしゅうと湯気を上げながらフリーズするジョトレ。多分俺は悪くないと思う。
145二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 08:15:25
「あー、ブラトレさんがあたしのトレーナーいじめてるし!悪いやつじゃん!」
そうこうしていると彼女の担当ウマ娘、トーセンジョーダンがやいのやいのと突っ込んできた。
まあ言葉尻とは違って、にししと笑みを浮かべている。
「いやーすまんすまん、でもジョトレって堅物っぽいけど実のところ愉快な奴だから。ほら、わかるだろ?」
「わかりみー。でもやっぱりあたしのトレーナーをポイっと見捨ててはおけないし?」
グイグイ来る。まあ元からそういった子なので特にたじろいたりすることはない。
「わかったわかった俺の負けだよ。ほら、丁度スイーツチケット2枚あるからカウンターで交換してきなさいよ」
ぴらりと手元からチケットを見せ、ぽんとジョーダンの手に渡す。
「マジ!?あざーっすブラトレさん!パフェもらってくるー!」
くるくる変わる表情を見ながら、またジョトレのほうへと向き直る。
「態々チケットまで……ありがとうございます」
「良い担当じゃあないの」
「それはもう、自慢の担当ですからね」
「ま、別に見た目が変わったからって何かあるわけでもなし、担当との仲も十分いいし、問題はなさそうだな」
「ええ、そこは本当にありがたい限りです」
「後は……書類更新の提出だけよろしく」
「了解です。数もそこまで多くないので素早く終わるでしょう」
すっと姿勢を正すジョトレ。精励恪勤たるトレーナーといえば多分この人のことを指すのだろう、それくらいに真っ直ぐ真剣にジョーダンへと向き合い、共に夢へと歩んでいる。
「まったせー、今日のおすすめパフェはブルーベリーパフェ!」
そんな彼女の担当ウマ娘であるジョーダンは美味しそうなパフェを二つウキウキの笑顔で持ってきた。
「ありがとうジョーダンさん。では私はジョーダンさんと一緒に甘味をいただきますので」
「おう、お疲れさまー。またよろしくな」
「まったねー」
くるりと背を向けて歩む後ろからは、楽しそうな二人の声が響いていた。
≫148二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 08:31:39
朝。ゆっくりベッドから出て、シャワーを浴びる。きっと、誰かが"昨日はお楽しみでしたね"なんて言い出したらそうだろう。
多分、いつもそうだけど。
出るところは出て、引っ込んでいるところも適度に引っ込んだ美しい身体と、可愛らしさと美しさの混じった顔。揺れる尻尾とよく動かせる耳。
よく馴染んで、気持ちいい身体。
そんなことを思うと、今ここでしたくなるけど我慢する。
お楽しみは、夜にとっておこう。多少羽目を外してもいいように調整をしてるから。
そんなことを思いながらも部屋に戻ると、ルドルフはまだ寝ていた。
それを見てベッドに腰かけ、少し考え事をしていく。主に昨日の事とか。
「……昨日食べた、ルドルフのお爺さんから贈られた七面鳥は美味しかったなぁ……」
……そういえば、今の関係ってシンボリ家の上の方にバレたらきっと契約解除だろう。不純同性……同性?恋愛だし。きっかけは私ではないけど。
うんうん唸るけど、その時はその時で私が悪いということにされても仕方ないし、既にバレたうえで黙認されてるのかもしれないし、責任を取る覚悟はある。
……そろそろ、朝食を作りに行こうか。
あ、今日は洋風のご機嫌なモーニングにしよう。
そう思いながら立ち上がろうとすると、尻尾が引っ張られる。
「あれ?」
そう言いつつ尻尾の方を見ると、ルドルフが私の尻尾を掴んでいた。
「……ならもう少し、このままかな」
優しく彼女の髪を撫でながら、私はベッドの側でまた思案に耽ることにした。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part587【TSトレ】
≫7前スレ19221/12/25(土) 10:50:32
[いつの時代も子の心親知らずなもので]
「……おい、ジョーダンの」
「えっと、どうしましたかギムレットさん。仰々しく顔を見つめられてもその、自分としても困るのですが」
「お前ウマ娘じゃなかったんだな」
「い、嫌だなぁ、ギムレットさん。前からウマ娘に決まってるじゃないですか。トレセン学園でつけ耳とつけ尻尾をするなんてそんな変人不可避の真似なんt「耳と尻尾の動き方が前と違うし、以前は無かったウマソウルが今はお前の中には存在している。後軽く3,4つはお前が最近ウマ娘に変化したと考える根拠を提示できるが、お前はどうだ?」……すいません、投了しても良いですか? というかウマソウルで判別するってもう反則じゃないですかそれ⁉」
「無論、それだけで決めたわけじゃないさ。この学園のトレーナーにはウマソウルを持たないものも居るからな。これまでの行動を総合してカマをかけたら見事に引っかかったと言ったところだな。」
「うう、まさか騙されるとは……」
「これが長老のあたりだったらシラを切り通そうとするからな。その場合は生暖かく接していたたまれない気分にした上で隠し通せないように証拠を集めるつもりだったし、後のことを考えるなら正直なのが一番だろうよ」
「祖父もそんなことをしていたんですか?」
「祖父?お前もしかして長老の孫か。まさか孫がウマ娘の仮装していたとは奴も思うまい……いや、案外気付いていてあえて放置していたのかもしれんな。そう考えると回りくどいってレベルじゃないと思うが」
「まあ、あの人も色々とあるんだと思いますよ。相手が成長するならじっくりと腰を据えて考えるって人ですし。私も比べられてそれで色々と苦労もしてきましたけど、今じゃ尊敬する人ですよ」
8前スレ19221/12/25(土) 10:51:30
「……ジョーダンの」
「? どうしましたかギムレットさん」
「何かあったらすぐに相談してくれて良いぞ。お前の場合親に爺、それに周りの目ってのも色々あるだろうが、俺は部外者だからな。お前に愚痴とか幾らでも吐き出してもらっても構わん。ボウズもその時は聴覚の同調はさせないし、俺も口を割るつもりは無いからそこら辺は気にしなくていいぞ」
「…ありがとうございます。ちょっと必要になったら遠慮なく頼らせてもらいますね?」
「おう、どんどん頼りな。……そうだ、お前に良いものをやろう」
「これは……『疾駆の刃』?あの人ってこんな本を書いていたんですね。知りませんでしたよ」
「これは出版した直後に長老のがわざわざ回収して、最近はトレセン学園の中に画像データまで出回るようになったから自分の直弟子に頼んでデータの消去と再回収を頼んだという曰く付きの自伝本さ」
「えぇ……あの人もそんなことをしたことがあるんですか?」
「若気の至りってやつなんだろう。因みに中身は9割嫁への惚気と教え子への自慢だから読まない方が良いぞ。精神が汚染される」
「ひどい⁉」
「古書店で見つけて「何か役立つかも」と買って読んだら、惚気ばかりで辟易させられた身としてはこれでも甘めの評価だとも。それで一読して役に立たんことに気が付いて棚の奥に放り込んで放置してたら、今朝偶然見つけてな。今から長老のところに行って一つずつ根掘り葉掘り聞いてやろうと思ってたんだが気が変わった。お前にやるよ」
「……体の良い押し付けでは?」
9前スレ19221/12/25(土) 10:51:48
「そうともいう「ちょっと⁉」。まあ落ち着け。何かおねだりをしたいとか、して欲しいこととか、言いたいワガママがあった時──わかってると思うが真面目な時はするなよ?──にこれを見せつけながら「お爺ちゃん、ちょっとお願いしたいことがあるんだけどぉ」とか言うと良い。孫に頼られた喜びと、代価としてその本を回収するために全力を尽くして大概のことをやってくれると思うぞ」
「本当に大丈夫ですかそれ???」
「大丈夫だ。もし断られたらその本を朗読すると良い。若い頃の嫁さんに似た顔と声で読み上げられるのは奴にとってもキツイ筈だ。遠慮なく持っていけ」
「えっ、私受け取るんですかこれ⁉えーと、こっちは使うかどうかわからないけど有難く貰いますね?」
「一回限りだから使いどころはよく考えろよ? さてと、用事が無くなったし昼飯でも食いに行くか。今なら奢ってやるけどお前も来るかジョーダンの」
「うーん、食べるメニュー次第、ですかね?」
「お前が行くのなら折角だし、お前の好きなものにしようじゃないか。ジョーダンも呼んで良いし、金は気にしなくて良い」
「ほんとですか⁉ じゃあどうしようかなぁ……」
いつの時代も親の心子知らず、子の心親知らず。親子の縁でも言わなければ思いは案外伝わらないもので、伝わっていたとしても歩み寄れるかと言われるとそうとは限らないのが世の辛さ。しかし、何があるのかわからないのも世の通り。一見何の役にも立たぬ本が、祖父と孫の距離を縮められるのならば書としてではなくとも存在した意義はあったのかもしれないと、今日の昼食を悩みながら前を行く孫の背を見ながらギムレットはそう思った。
──この後、トーセンジョーダンだけではなくダイタクヘリオスやそのサブトレ、ゴールドシチ―なども巻き込んだ大昼食会となり、予想外の散財をしたギムレットが自分の子に怒られるのはまた別の話。いつの時代も子の心親知らずである。
≫24二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 11:14:38
◆少女成長中
「……」
「……?」
「???」
───ランジェリーショップ───
イラッシャイマセー
…………
アリガトウゴザイマシター
────────────────────
おいっす、ナイスネイチャです。
さっそくだけど問題。胸の上にワイヤー痕、そして下着の脇から少しお肉が。これなーんだ? 制限時間5秒です。
……はい終了。ちなみにここで「太った!」って答えた人、申し訳ないけどもれなくぶっ飛ばす。……ともあれ足取りも軽く、休日のトレーナーさんの部屋に突撃しにきてる訳です。
「トレーナーさんトレーナーさん! ニュースだよビッグニュース!」
「どうしたのネイチャ? 胸でも大きくなった?」
「……いきなり当てるやつがあるかーい!!」
「理不尽!?」
思わず玄関先で怒鳴ってしまった。……いやもうね、バラエティ舐めてるの?
────────────────
上がり込んだトレーナーさんちは冬のお外と違い、床暖房のおかげでとてもぬくい。しかしそんなことであたしのモヤモヤは解消されることはなかった。
ホットココアが提供されたからなんだというのか。いや甘くてあったかいけど。落ち着くけど。落ち着いてきちゃったけど。しまった、やられた。
25二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 11:15:05
「……あたしのワクワク返して下さいよ。どういう回答するかな?とか道中考えながらここまできたんですよ。それをニュース当ての振りをする前に正解出すなんて」
「そんなこと言ったって……顔見たらそうかなって思っちゃったし」
同じくホットココアを啜りながらトレーナーさんはそう宣っておられる。いやいやバストのサイズアップ報告しにきたような顔ってなんだ。とはいえ実際当てられたんだから、あたし限定といえとんでもない勘の良さ。隠し事ができないというのも困りものですなぁ……。
「あの、ちなみにいくつに?」
「……これこれからあれあれに」
「おぉ~……ってごめん、分かんない。正解のリアクションってなに?」
「そりゃあ正解はもちろん……」
「もちろん?」
「そりゃあーー…………?」
長い沈黙。正直、これに関しては正解はない。ただ適当な理由を付けて遊びに来たかっただけだから。
黙っている内、トレーナーさんのキョトンとしていた表情が徐々に赤面していった。……自分もやましい展開を想像してたから、何考えてんだと嗜めるようなことも言いづらい。でもこれ、あたしのせいなんですかね? あたしの事をそんな奴だと思考トレースする方も相当なんじゃないですか?
……お互い様にもほどがある状況から数十秒。トレーナーさんが自分の膝をポンポン叩く。こういうとき、あたしたちの場合は膝枕を意味しない。
「……あ、そうじゃなくて」
「ん?」
「向かい合うように……」
いつものように背中を向けて座ろうとしたところ、身体の向きを直されてしまう。すぐそばにトレーナーさんの顔がある。……なんだか、背もたれがないとどうにも落ち着かない。まあ今までだってトレーナーさんの胸が気になってあまり背中預けられてなかったんですけど。
そんな気持ちを知ってか知らずか、トレーナーさんはあたしの身体を支えるように腰と肩に手を回している。あたしはといえばトレーナーさんの肩にちょこんと手を置いている。
……目の前の顔はまだ赤い。きっとあたしの顔も赤い。こんなにも違う見た目なのに、どこか鏡写しのよう……って言ったらトレーナーさんはどう反応するかな。ただ照れそうな気もするし、喜んでくれそうでもある。
26二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 11:15:24
「……本当だ。少し大きく見える」
「着けてるものの形ですけどね。……カップだけなら、トレーナーさんに勝ちました?」
「ネイチャはまだまだ伸び盛りだから」
「ねえ、勝ちました?」
「……参りました」
「もしかして、トレーナーさんが直々に大きくしたかったとか」
「…………ノーコメント」
「えっち」
「そんなぁ……」
でも、そんなとこ含めてもやっぱりトレーナーさんが大好きなんです、困ったことに。……いや困んないな。全然問題ないかも。問題ないや。改めて大歓迎です。
「トレーナーさん。大好き」
「……私も。大好き」
「……あの「ネイチャと」」
「ど、どうぞ」
「ありがと。……その、ネイチャとね?」
「はいはい」
「キス、したいな」
……決死の覚悟って感じで揺れている、いつかに見たような瞳。
でもね、なんとなく分かってましたよ。背中抱きじゃないときはつまり、「そう」なんですよこの人は。
まあ先んじて言われちゃっただけなので。断る理由なんか全然ないです。
27二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 11:15:49
───長いキスだった。
唇を合わせるだけのそれだと思ったけど、早いうちにトレーナーさんが入ってきた。歯の表側をノックされた時はビックリしてしまった。危なかった。噛まなくて本当によかった。
それからしばらくは舌先で押し合いへし合いしていたけど、抵抗するのもおかしいな?と思ってからがもう、長かった。
……好き。大好き。
近くになるよう身体ごと抱き寄せられる。あたしも自然、肩と頭を抱えるように腕を回す。逃げてほしくない。
好き。大好き。
やられっぱなしはいかんと舌の裏側をくすぐってやる。お返しに同じことをされる。なんだか嬉しい。
好き。大好き。
ピントが合わないほど近い位置にいる。それでもなんとなく喜んでいるような目元が見える。あたしもきっと同じ顔をしている。少し恥ずかしい。
好き。本当に大好き。
後頭部をさすさすと撫でてやると、喉の奥の方からクゥン、クゥンと鳴き声が聞こえてくる。うーん犬じゃないか。かわいい。
好き。ずっと大好き。
ひしゃげた胸を通して、抱きしめた首元を通して、脈動を感じる。あたしの音もきっと聴かれてる。やっぱり恥ずかしい。
好き。トレーナーさんのことが好き。
好き。ネイチャのことが好き。
好き。あなたを愛している。
たしかに伝わってくる。静かに混じり合っていく。ゆっくりと溶けていく。……また少しだけ、一つになる。
求め合えて、応え合えたことが幸せで。激しさはないまま、時間も忘れて繋がり続けた。
28二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 11:16:28
……静かに唇が離れていく。
時間を確認すると十分以上は経っていた。その間一切音を上げなかった辺り。トレーナーさんにしてはすごいがんばってると思う。……もしくは、あたし含めてとんだ卑しんぼだとも思います。はい。
そんなトレーナーさんはだらしなく口が半開きになって……ということもなく、ヨダレが口の端を汚して……ということもなく。むしろキスする前よりスッキリしたような感じになっているのが不思議だった。
そんな優しい顔が徐々に緩んでいく。なんですか、あたしの顔もそんな顔してるんですかね。
「……ふふ。大好き」
「開口一番それ?……どうしても言葉にしたいとみた」
「だって、口にするだけでも幸せになれるから」
「それだけじゃ満足できなかったんですかー?」
「……ネイチャは満足なの?」
「無理。あたしも大好きだけど、無理」
「即答じゃん……でもそういうこと」
「そういうことかあ……だからかな、なんか今日は」
「……長かった?」
「それもだけど……なんか甘かったね。トレーナーさん」
「……うん。あたしもそう思った」
二人して顔を合わせては小さく笑う。同じことを思ってるのがお互い分かったから、だよね。
───多分、ココアのせいじゃないかな。
───だね。でもそれだけじゃないはず。
(終)
≫69犬21/12/25(土) 11:58:05
「義、タバコ、今日のカフェのトレーニングに関してなんだけれど……」
「ワン!」「ワン!」
「そうそう今日もナンバーワンを目指して……え?」
マンハッタンカフェのトレーナー達が集うトレーナー室に黒カフェトレが資料を見ながら入室すると元気なワンと返事をされ資料から目線を外す。そこには大きなゴールデンレトリバーと痩せたシベリアンハスキーがいた。
「は? わっ!?」
ドアを閉めると同時、二匹の犬が飛びかかってきた。危険を感じたものの咄嗟に逃げられるほど運動神経が良くなかった黒カフェは二匹に押し倒される。
「や、やめろ食べる所なんてないぞ!」
てっきり噛まれるのかと思った黒カフェトレの頬を犬が舐めた。
「わ、くすぐったい! なんなんだよもう! 二人はどこ行ったんだ避難したのか?」
すごい尻尾を振って好意を向けてくる二匹をなんとか押しのけようとする黒カフェに声がかかる。
『ワッ、面白い事になってるネ!』
「いや助けろ!」
『無理だヨ! 二人をよく見てみナ!」
「二人?」
黒カフェトレがよくよく見れば、犬二匹を怪異の気配が覆っている。まさか、とゼロ距離ゆえに外れない一撃を繰り出す。
「ケツパンチ!!」
ボフン、とケツパンチが当たった二匹から煙が出てそこには犬ではなく義とタバコの姿があった。
70犬21/12/25(土) 11:59:23
「……ん?」
「タバコ、とりあえず重いから退いて……」
「……? ああ、すまない。何があったんだ?」
「義もちょっと退いて────」
「ワン!」ナカミモドッテナイゾー!
「ゑ?」
義がペロリと黒の頬を舐めた。黒の体温が五十度を突破したかの如く赤くなる。
「のわぁぁぁぁ!!戻ってない! タバコ助けてぇ!」
「おい義どうした! いや分かってるが力強いな!?」
「ワン!」
「待て待て待て舐めるな! わたしのことがわからないのか」
「くっ追加でケツパンチをやると……」
「ワンワーン!」モドッテー! ナンダコレェー!
「まてまてまて服の中に入ってくるな……ワハハハ腹を舐めるんじゃない!」
「……………えっろ……はっチガウチガウ、義にくっついてる奴まで丸ごとやってしま……やっちゃっていいのでは?………そうだ!」
義犬に絡まれているタバコの元へ黒が駆け寄る。
「義!」
それに義はタバコと戯れるのをやめて黒の方を見た。
「お座り!」「ワン!」ペタン
「……ナイス」
「……あ、危なかった。言うことを聞いてくれるタイプの犬で助かった……義、チンチン」
「ワンっ」シュタ「…………………」「………………」
「義、待て!」「ワン!」
「……しばらく様子を見よう……ちょっと拘束できるものがないか探してくるから見ててくれ……」「お願い……」
一時間後
「えっなんで僕手錠で繋がれてるの!?」
「戻った!!」「良かった!! カフェが来る前に戻って本当によかった!!」
その日の夜、カフェには理由不明のお祝いパーティーが開かれたそうな。
おしまい
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part588【TSトレ】
≫22二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 19:50:14
コードギアス談義、DK組とルドトレとマルトレ
「やっぱさ、フロートユニットもいいけど一期のワイヤーアクションが格好良すぎてなぁ」
「分かりますわ…ワイヤーアクションはロマン…」
「でも空中戦もいいよな。飛行しながら紅蓮二式が輻射波動機構で薙ぎ倒していくのワクワクする」
「ゴッドフィンガー!」
「違う」
「お、DK組」
「あらテイトレにルドトレ、それにマルトレまで…珍しい組み合わせですわね」
「というかDK組はテイトレもいないと駄目だろ」
「ふふ…テイトレは預かった!」
「きゃーたすけてー」
「返して欲しくばマルゼンスキーを倒す事だな!」
「後ルドルフも!」
「すまんテイトレ」
「サンキューテイトレ、フォーエバーテイトレ」
「テイオーには勇敢だったと伝えるからな」
「ねぇ諦めるのが早い!俺達の友情は!?」
「いやルドルフとマルゼンスキーには勝てん」
「くっそ…百里ある…」
「まぁ冗談はさておき…三人はなんの話してたの?」
「ん?コードギアスって言うアニメの話」
「ストーリーが素晴らしい作品でして…それに個性豊かな沢山のキャラが出てくるんですの」
23二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 19:51:10
「あーコードギアス…ちょっと知ってるなぁ…俺はどんなキャラに似てる?」
「私も気になるー」
「俺も」
「えっ…あー…テ、テイトレは…ナナリーとか…足が悪くて車椅子に乗ってる…」
「お前車椅子だけで連想してるだろ!」
「ルドトレは…その…コ、コーネリアとかでしょうか?芯があって決める時は決める人で…」
「おー強そう…褒められてるよね?」
「マルトレは…えっと…リヴァル・カルデモンド!お調子者なんだけど本質は友達を大事に思ってるってタイプの…」
「確かに俺っぽい!…なんだテイトレだけあれじゃん」
「なんだよー…俺だって奇跡の藤堂とかがよかった…」
「よっ奇跡のテイトレ!」
「うるせー!」
「なんで藤堂…?」
──
「…三人とも行ったか?」
「…行きましたわ…誤魔化せましたよね?」
「多分…一応聞いとくけどあの三人見てどのキャラ浮かんだ?」
「「「ユフィかシャーリー」」」
「…だよなぁ」
「…本人には内緒にしておきましょう」
「…ああ」
※ユーフェ ミ・リ・ブリタニア
本編では運命に翻弄され非業の死を遂げる
※シャーリー・フェネット
本編では運命に翻弄され非業の死を遂げる
≫70二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 20:39:17
28歳組とクリスマス準備
「最終確認だ。スズトレ、野菜は?」
「準備万端。5kg分、用意したわ。」
「すまないな。ルドトレ、肉と魚はどのくらい手に入った?」
「合わせて5kgだよ!ゴルトレちゃんとムントレさんに協力してもらったから魚介多めかな!!」
「了解だ。じゃあ始めるとするかね……クリスマスパーティの準備を!」
「そういやルドトレ、最初に私がパーティを提案した時いつもより目が輝いてたと思うんだが、何かあるのか?」
「オグトレちゃん、分かった〜?実は二人に隠れてこっそり新技術習得したんだ〜!」
「新技術って料理の?いつの間に……」
「えへへ〜ちょっとね!1回やって見せるから人参いくつか借りるね!」
「ああ、少しなら全然問題ないさ。」
「人参は1番多く用意したしね。」
「ありがとう!えーっと、ここをこうで、そこをあーして……」
「……何してるか分かる?オグトレ。」
「……おそらくだが、飾り切りじゃないか。」
「飾り切り?」
「簡単に言うなら味だけじゃなく、見た目も美しくなるように調理することだな。あとは食材に味が染み込みやすくなったりもする。」
「へぇー、そんな技があるんだ。やっぱ料理ってまだまだ奥深いなぁ。」
71二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 20:39:38
「あとはこうして……できたよ、2人とも!!」
「お、どれどれ……これは蹄鉄か?」
「ホントだ、よくできてる……これ自分で覚えたの?」
「ううん、リウトレちゃんに教えてもらったよ〜!たまたまウマスタで飾り切りを使った料理の写真見つけたから、グルトレちゃんも誘って二人でね!」
「あーそういえば最近グルトレがそんなこと言ってた気がする。リウトレ、そんなことできたんだ……」
「器用だよね〜。それで、どうかな?今回のパーティに使える?」
「ああ、大いに使えるぞ。……ある程度調理が進んだ段階で離脱して、出来上がった料理にあった飾り切りはできるか?デザインは任せる。」
「分かった!!私に任せて!!」
「私の方は変更なしでいいかな?」
「そうだな、ただルドトレが途中でいなくなる分、作業量は増えるが……」
「なら全然大丈夫、全力尽くすね。」
「そうか、頼りにさせてもらう。……オグリ達が帰ってくるまでまだまだ時間はあるが、何せ量が量だ。実際はかなりギリギリになるだろう。
……腹空かせてくる三人のためにも、絶対に作り上げるぞ!!」
「うん!」
「は〜い!!」
その後、三人の努力と連携によってスズカ達が帰還するギリギリに調理は完了し、クリスマスパーティは盛り上がった。
≫87黒タマクリスマス21/12/25(土) 20:57:50
タマの実家
ピンポーン
「ただいまー!帰ってきたでー!」
「タマねぇねの声だ!おかえりー!…黒く…なってる…!?」
「フハハハ!ワイは悪のタマモクロス…ブラックタマモクロス様や!悪い子はいねがぁ〜」
「アホ!全然ウチに似とらんやないかい!…すまんなチビ達、このアホはウチのトレーナーや。前に来た兄ちゃん覚えとるやろ?」
「そうそうこの前のイケメンの兄ちゃんだぞ!ウマ娘以外がトレセンに行くとこうなるから気をつけろよ!」
「「「こわいー」」」
「一部だけやろが!風評被害やめんかい!」
「ははは、今日はクリスマスだからな!ケーキや料理作ってきたからみんなで食おう!」
「えー!こんなでっかいのいいのー?」
「もちろん!これから皆で食べようぜ!」
「やったー!ありがとうタマにーちゃん!」
「お礼はもうすぐ来るパチにいちゃんに言うと喜んでくれるぞ!じゃあにーちゃん切り分けて来るからな!」
「タマとチビ達とタマのお父さんお母さんとパチさん…等分きっついなあ…ロールケーキにすれば良かったかあ」
「今日はありがとうなトレーナー、チビ達も喜んでるわ」
「俺は大した事はやってないぞ。家族なら弟や妹にたまにはいい物食べて欲しいものだろ?それにパチさんもお金出してくれたしサンタもやってくれるからな」
「あれでブラさえつけてくれれば完璧なんやけどなあ…」
「ははは、なんだかんだ毎回付けさせられてるからいいじゃないか」
「自発的に着けてくれなきゃあかんやろ!」
「まぁいつか着けるようになるだろ…よし切れたぞタマ、好きなの持ってけ」
「じゃあウチはこれや」
「その1番小さいのはダメだ、もっとデカいの食え」
「ウチはこんな豪華なの慣れてないからちょっとでええねん」
「もうタマちゃんったら。大きくなれませんよ〜?」
「クリークみたいな口調やめぇ!今のアンタだってウチと同じくらいしかないやろが!」
その後パチサンタが合流しチビ達にプレゼントを渡した後みんなでケーキやチキンを食べた。
うまぴょいうまぴょい
≫173二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 22:07:09
「トレーナーさぁん!!年末年始はウチの神社へ是非!!!」
「おうフク、ここで拒否ってもどうせ元旦に鬼ピンポンが飛んでくるだろ。それより年開けたらまもなく期末だが調子はどうだ」
「トレーナーさぁん!!お守りお安くしますよ!!!」
「おうフク、流石に初詣の神社の売り物恣意的に安くするのはどうかと思うぞ。そして期末の展望はどうだ」
「トレーナーさぁん!!!!!!!!」
「おうフク、ネタがなくなった時に叫んでどうにかするのは次最初からそれ頼りになりがちだからやめたほうがいいぞ。うしこの年末休みで追い込むぞ」
「トレーナーさぁん!来年は丑年じゃないですよぉ!!」
「おいフク、もうボケというより強めの現実逃避という印象しか受けないぞ。安心しろ、ここにこないだのプレゼント交換で手に入れたジョトレの次回考査範囲予測がある。目を通したが確かに信頼できるモンだったからこれ叩き込むぞ」
「トレーナーさぁん……」
「…年始の福袋買うの付き合ってやるから」
「トレーナーさぁん!!!」
「じゃあ今のうちに筆箱の中見せろ。鉛筆全部没収して練習期間はこっちが用意したシャーペン使ってもらうぞ」
「トレーナーさぁん!!!!!」
≫183二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 22:21:39
クリスマスのプレゼント交換。ルドトレはそっと貰った包みを開けると……
「これは……入浴剤と加湿器?」
そこには動物型の加湿器と入浴剤。どっちも使うからありがたいし、何より最近加湿器は調子が悪かったし。
「誰のにしても嬉しい……って、誰のか確かめてよかったっけ?」
そう言いながら周囲を見ると紙を持ったテイトレが目に入る。
「あ、テイトレさん」
「ええと……あ、ルドトレに行ったんだ」
「あ、テイトレさんのなんだ……ありがとー!」
そうして抱き着きながら、しれっと手元の紙の筆跡から誰が作ったものかを特定するけど無視する。それは貰った本人が自力でどうこうするものだし。
「ひうっ!?」
「えへへー……」
────こんなことをしたので当然ルドトレは引きはがされた上監禁された。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part589【TSトレ】
≫20ジョートレ作者21/12/25(土) 22:50:53
【お姉ちゃん、ウマ娘になる。】
ライス=米、お兄さま=兄、お姉さま=姉、理事長=理
朝、目を覚まし鏡を見てみると私にそっくりなウマ娘が一人いた。
(ああ、とうとう私もなったのか。)
ふと、幼馴染で同じウマ娘を担当している男…いや、ウマ娘とその担当のとても可愛くきれいなウマ娘が自分を見た時の反応を想像する。
(…電話をしよう。)
普通、理事長に報告するべきなのだが、彼女はその二人に連絡した。
数分後…
『お姉さま・○○!!』二人は一緒に来た。ちなみに○○とは私の名前である。
姉「おはようライス。…ちょっとアナタ、来るのが少し遅いんじゃない?」
兄「しょうがないでしょ…。ライスを迎えに行くのに少し時間がかかったんだから。」
米「ふ、二人とも喧嘩しないで…。そういえばお姉さま、理事長さんにはもう知らせたの?」
姉「いえ、まだよ。それじゃあ今言うわね。」
…理「了解!!すぐに学園中に連絡しよう!!」
姉「ありがとうございます。」ガチャ。
兄「…まったく、報連相はちゃんとしておくべきだよ。」
姉「…わかってるわ。」
米「ふ、二人とも喧嘩しないでって…。」
兄・姉…『ごめんなさい。』
米「うん!仲直り、仲直り!…あ、そういえばお姉さま・お兄さま!!今日ってクリスマスだよね!!だからライス、りんごのケーキ作ったんだけど…食べる?」
兄・姉『食べる!!』米「わ…!!」
兄・姉『だってライスが作ったケーキでしょう?どんな味だろうと、僕・私は食べるよ・わ。』
米「お兄さま、お姉さま…。(涙)じゃあライス、ケーキ持って来るね!!」
そうやって嬉しそうに廊下を歩く少女。
改めて、彼女の担当になった私達は本当に幸せ者だろう。
兄「…ねぇ。」姉「…何?」
兄「…綺麗だよ。」姉「…ありがとう。」
そして、彼と幼馴染になったのも。
そんなことを思いながら、私は雪が降る外の景色を眺めていた。
≫27※エビフライです21/12/25(土) 23:00:40
「メリークリスマス、ブルボン。はい、クリスマスプレゼントです」
「感謝します、マスター。私からもプレゼントをお渡しします」
「ありがとうブルボン。…これはセーターですか。暖かそうですねえ」
「はい、マスター。冬用の服が不足していると推測、用意致しました。…マスターからは…トレーニング器具ですね。ありがとうございます」
「ふふ、どういたしまして」
メカニハナイメカー?
「まだあなたのプチまでまだ遠いのでもう少し我慢してください、代わりに今日は好きなだけ食べていいので」
ウマイメカ!コレハナニメカ?
「邪竜フライ」
ハクユウコウ…
≫44二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 23:15:05
クリスマスプレゼント交換会
グルトレ→マベトレ(フラワーアレンジメント)
ガサガサ
「ふふ、さぁて一体どんなマーベラスなプレゼントがまわってきたn……」
「おぉ~~~~~~~~☆」
マベトレがプレゼント箱の蓋を取るとそこには美しい時間を切り取ったかのようなフラワーアレンジメントが入っていた。
「こんなマーベラスなもの私にピッタリじゃーん、誰かはわからないけどありがとうー。……でも、私だけ独り占めじゃあもったいないよねー☆」
年末のトレセン学園の一角に花で彩られた場所ができたとか
≫51二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 23:20:44
ムントレ→ブラトレ (特に指定がなかったので勝手に選ばせてもらいました)
「というわけで、どうぞブラトレさん。私からのプレゼントだよ」
「ムントレか……うーむ、ムントレのプレゼントとなると何が入ってるのか全く想像できんな」
「開けてからのお楽しみ、という便利な言葉があるものだよ」
「それもそうか。じゃあ御開帳」
「どうだい?」
「これは……琥珀のブレスレット?」
「正直に言うと、ピンポイントでだれに当たるかがわからない以上どういったものを選べばよいのか大変悩んでしまってね……であれば、パワーストーンとしてはマルチに効果を発揮するといわれる琥珀のアクセサリが適切だと考えたわけだ」
「なるほどなぁ」
「それに、悠久の時を経て作り出され、歴史においても太古より人と共にあった宝石だ。ロマンを感じないかい?」
「ふむ、そういう言い回しは中々来るものがあるな。ムントレはセールストークにも向いてるようで」
「まあ、気に入らなければ担当やチームの子に渡してもらっても構わないよ」
「いやいや、大切にさせてもらうぜ。たまにはこういうのも良いもんだ」
「それだけ喜んでくれれば、作った甲斐もあったというものだ」
「……自作かぁ。まあムントレなら自作くらいするだろうな……」
52二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 23:21:15
タキトレ→ベガトレ 自作のシャンプー一式+柑橘類の匂いがする石鹸と温まれる入浴剤
「いやはや、運命とはこういうものをいうんだろうかね?」
「え、どういうことだい?」
「ちょうどシャンプーが切れそうなタイミングで何というタイミング。そろそろ買わないとなって思ってたけどしばらくこれを使わせてもらおうかね」
「成程、それは贈ってよかった。それにしても……失礼かと思うがあまりそういった化粧品の類に興味がないものと思っていたのだけど?」
「あー、まあ私はまあまあってもんで……──どちらかというと、わたしが気にしてるからですね」
「おや、アルちゃん」
「せっかく良い資質を持っているのにベガトレさんはそのまま乱雑にしてしまいますから。そういったものを買うときはわたしが選んでるんですよ」
「成程ねぇ……」
「後ほどまたレビュー……というにはちょっと堅苦しいですね。感想をしっかりお伝えしますね。楽しみにしてます」
「ふふふ、そう喜んでくれたら本望だよ。……『光る』栄養ドリンクでなくてよかったよ」
「……それ、どっちの意味ですか?」
「……どちらの意味でもと言えば?」
「……まあ、その時は一緒に乾杯ということで」
「ふふっ、まあ共に輝くのも悪くないと思うよ」
53二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 23:21:48
ネイトレ→バントレ 鹿の子餅
「おや、これは富山県のお菓子ですか」
「ご存じですか?」
「ええ、大学で学びを修めていた時に全国を旅行していたもので。その時に食することはありませんでしたが、巡り巡って私のところに来たとは。交換会というのも良い物ですね」
「それはまたなんとも奇遇ですねぇ……」
「では、こちらはゆっくりとバンブーさんと頂くことにします。ありがとうございます。……お返しというにはちょっとゆるめですが、こちらをどうぞ」
「これは?」
「今回贈り物には選ばなかったのですが、私もお菓子を少し用意していましたので」
「……あ、萩の月」
「えぇ、こちらも東北は仙台県の銘菓、私の好きなものです。そして月つながりでもあります」
「月、というともしやその耳飾り?」
「はい、月と竹、竹取物語を模した耳飾りですね。漢文や古文が好きなもので、よくブラトレさんマクトレさんとおしゃべりをしていたりします」
「なんだか可愛らしいですね……」
「ふふふ、ちょっと照れますね」
「では私もネイチャと一緒に楽しみますね。ありがとうございます」
「いえいえ、喜んでくださればありがたい限りで……」
「……あれ?私が贈るだけだったような?」
「美味しいものは分け合いたいというのもまた人情ということでひとつ」
≫71二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 23:41:49
「うぐぁぁぁ…………」
クリスマスの深夜。俺は自室で机に伏せて頭を抱え、悩みに悩んでいた。
ちらりと目線を上げれば、そこに置かれているのは、『ヴィセ・ノワールクリスマス限定ディナーチケット』と書かれた一枚のチケット。それは昨年のクリスマスに、カレンチャンに贈ろうとしたものだった。
クリスマス当日、一日ずっとカレンと一緒に街中を歩いて、写真を撮って、クリスマスケーキを食べて、クリスマスパーティーをして……。
同じ時間を過ごす中で、それでも結局、お互いにこのチケットのことを話すことはなく、クリスマスが終わろうとしている。
「これでよかったのかな……」
一人呟くも、部屋の中で返答するものは無く。頭の中の2人も、何も答えることは無く。
とはいえ、このチケットもまだ期限は──
『まだ期限あるみたいだし、カレンがもう少し大人になるまで待っててほしいの』
「……もう少し大人、か」
どうだろうか。こうなってから、ちゃんと大人でいれただろうか。
ふと自分の行動を思い返す。数瞬、いくつかの思い出が頭を巡り……脳内フォルダのゴミ箱に叩き込みかける。
あまりいられなかった気がするが、まあ恥を忘れることは大人の特権だろう。忘年会はまだあとだけども。
僅かに嘆息し、机の上に置かれた鏡を見つめる。すっかり馴染んでしまったそれは、まだ男のころ、カレンチャンに贈られたものだ。
一体どうすればいいのだろう。鏡に映ったツインテ―ルの少女に問いかけてみるも、その少女は不思議そうな顔をして私を見つめ返すばかりだった。
72二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 23:42:08
ふと、なにやら騒がしい音が聞こえる。顔を上げて音の原因を探るが、分からない。
少し悩んだ後、ゆっくりと耳を澄ませば、頭の中の2人?の声だった。興奮していて、上手く聞き取れない。それでもなんとか、『カレンチャンが近くに来てる』という一言を聞き取り。
一瞬、思考が止まる。それでも体はほとんど反射的に動いた。
まずチケットを机にしまい込み、それから部屋を見渡し不味そうなものを隠し。
ある程度見苦しくない程度に片付けをしてから、急いで玄関に向かう。
──玄関から外に出てみれば、確かにカレンチャンが歩いてきていて。
スーツケースをからからと引っ張っている姿を見て、思わず駆け寄る。
「ちょっとお姉ちゃん!?」
「あ、お兄ちゃん。……えへへ、来ちゃった♪」
「…………? いやとにかく、こんな夜に出歩くなんて、いくらクリスマスでも……」
「……お兄ちゃんのお部屋でお泊りしたいな☆」
「え?」
そのスーツケースまさかお泊り用?
ちょっと頭がくらくらとしたのは、この寒さのせいばかりではないだろう。というか話が早すぎて追い付けない。でも思えばいつもそうだった気もする。
それでも、流石にこればっかりは……そう思い、カレンを見る。
こちらを見つめるカレンの瞳には、どこか切実さが感じられた。
そしてその瞳を見つめていると……
「お兄ちゃんのお部屋だー♪」
「……え!? あれ!?」
気が付くと部屋に招き入れていた……!?
なんということでしょう。鋼の意志はどうした。またか。学ばねぇな俺。
73二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 23:42:46
「待ってお姉ちゃん! が、外泊届とか……」
「もう出してあるよ♪ お兄ちゃんにも見せたよね?」
「え?」
「あ、ちゃんと理由も書いたし、それで受理された……って、お兄ちゃんにさっき言ったよね? もぉー、カレンのお話、ちゃんと聞いてなかったの……うるうる」
「えっ ……ちょ、ちょっと待ってお姉ちゃん」
何とか記憶が飛んでいた間の出来事を思い返そうとする。
うん、確かに外泊届や諸々の書類も見せられた。両親の許諾付きで。説得には大分苦労したんだーって言われて、こんな時間に外を出歩かせるわけにもいかず招き入れていた。
どうやら動揺している間に無意識で説得されていたらしい。そんなことある?
「えへへ、お兄ちゃんの部屋にお泊り♪ あ、お風呂借りるねー♪」
「えっ」
まだ思考が追い付いて無いが、カレンは止まらない。……え、ほんとにどうしよこれ。
とりあえずシャンプーとかスキンケアグッズとかそういうのは……前にカレンとお揃いのを買った。着替え……はたぶん持ち込んでる。タオルは予備のがあるか持ち込みか。うんやること無い。ヨシッ!
「いや何も良くない!?」
一応自分でツッコミを入れる……が、何もできないのも事実。とにかく体を冷やしたままは良くないし、お風呂で温めるのもいいよね。よし正当化完了。なかったことにしよう。
「お兄ちゃーん♪ 一緒に入る?」
「ごめんもう入ったから!」
「そっかぁー」
問題は一切無かった。
74二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 23:43:03
その後も、ある意味いつも通りというかなんというか。
お風呂から出てきたカレンに、振り回されたまま時間は過ぎて……。
「ふわぁ……お休み、お兄ちゃん」
「……うん」
気が付けば一緒にベッドに寝ることになっていた……!
……譲ろうとしたらじゃあカレンも床で寝るとか言い出して、寝袋を取り出そうとするもお兄ちゃんこそちゃんと寝るべきだと言われてそのまま数十分お互い意地を張って
男の頃なら、2人では狭いからとか言えたんだろうなぁってふと思った時、カレンが強引に引きずり込んできた。それから、「カレンと一緒に寝るのがそんなに嫌なの?」と言われて。
でもきっと、そこで抵抗しなかったのは、その言葉ではなく。
「お姉ちゃんが、こんな強引なことをするなんてなぁ……」
カレンが寝静まったのを確認して、一人そう呟く。
それほど、思いつめていたように見えたのだろうか。チケットのこと。今の体のこと。これからのこと。俺の情けなさは分かっている。カレンらしからぬ行動の理由も、全部ではないけれど。カレンは優しい子だから。ただ「部屋に泊まりたい」とか、「一緒に寝たい」からって、こんなことをするような娘では、ない。……たぶん。
トレーナーと担当/大人と子供の関係は、二人三脚では、無い。もちろんそうして頑張ってる人達もいる。でも俺はそうではいけない。
担当を頼りにするようではいけない。担当が頼れる存在でなければいけない。
担当を支えにするようではいけない。担当を支える存在でなければならない。
担当に教えられるようではいけない。担当に教える存在でなければならない。
……カレンは強い子だから、中々頼ってはくれない。俺がカレンのためにしてあげられることが、それほどあるわけでもない。でも、だからこそ、トレーナーとしてできることを、私の役割をこなし続けなければならない。
少なくとも、カレンが大人になるまでは。
75二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 23:43:42
もしカレンが大人になったら。大人になって、今よりもっとカワイくなって、もっと広い世界を見て、そして────
『お兄ちゃんと過ごした日々、忘れないよ』
『だからカレンのことも──覚えていてね♪』
そうなった時、俺はちゃんと祝福できるだろうか。
私はちゃんとその日まで、カレンにとって「大人」のままでいなければならない。
机にしまったディナーチケットを思う。どうなるにしても、あのチケットの期限はいつか来る。その時、カレンはどんな大人になっているのだろうか……
「んぅ……お兄ちゃん……」
漏れ出た声に驚いて、下に視線を移すと、いつのまにかゆっくりカレンの頭を撫でていた。
はっとして、離そうと思うも……安らかに眠るカレンを見ていると、なぜだか手が離れてくれない。
……こうして頭を撫でている間は、カレンはまだ子供のままなのかも、しれない。
自分の考えに思わず苦笑する。振り払うように少し頭を振ると、妙に跳ね上がったツインテ―ルがびしばしと頬を叩く。それがなんだかおかしくって、思わず笑いそうになるのをこらえる。
電気を消して、目を閉じる。絡みつくカレンのことを努めて認識しないように……は、無理なのでそこは耐える。
今日一日の疲れが出たのか、それともこの温かさのせいか。意外なほど早く眠気はやってきた。
夢を見た。
走る私。その前を走る芦毛の──。
ずっと私の前を走っていた。いつも先にいて、だから追い付きたいと思って走って。
あの日、ようやく追い抜いて────
それから先は、いつも霞がかかったように、はっきりとしないまま目が覚める。
うまぴょいうまぴょい
≫81二次元好きの匿名さん21/12/25(土) 23:57:14
ルドトレ→タイキトレ[独占力のLv2ヒントになるメモ]
「……タイキに……タイキに習得させるにしては使いづらいよ独占力!!」
「クリスマスにトレーナーさんを独り占め?ナイス・アイディーア!」
「いやいや、独占力発揮しなくたってタイキと過ごす気満々だってのにねぇ……」
「……リアリー?」
「たりまえでしょ。クリスマスは家族と過ごすもんでしょーに」
「……シスター!!」ピョン
「おおう!?……甘えんぼのマイリトルシスターさんや、アンタに抱きつかれると大変歩きづらいんですが」
「この方がワタシはソーハッピーです……」スリスリ
「……まんまでっかい抱っこ人形だねこりゃ。いっそ肩車するぐらいの方が楽かも分かんないレベル」
「!!それいい!それにしまショー!」
「……マジで言ってる?自分が下で?」
「モチの、ロンでーす。絶対楽しいに決まってマスから!」
「見て見てルドルフ。タイキたちが肩車で爆走してる。すっごく楽しそう」
「まさしく自由奔放を画に描いたようなコンビだ。……トレーナー君、なんだか感慨深そうだね」
「うん。あれがあの二人なりの独占力の発露なんだなって……」
「……おそらく違うと思うよ」
「ワーオ!エキサイティン!でも手放しでもダイジョーブ!まだまだスローリーですよトレーナーさーん!!」
「キャッキャしてんねえ!ご希望ならロデオになってあげようか!?……本気にしないでタイキ!そろそろ自分、全力の肩車ダッシュで活動限界がっ……!マジでやめて!ダメ!タイキダメッ!」
(終)
≫84二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 00:11:44
オグトレ→ブルトレ(レシピ本)
(何が来たのでしょうか…機械じゃないといいのですが…)
「これは…レシピ本ですね。オグトレさん…かな?」
(なるほど…栄養バランスがいい物が多いですね、不健康な人にも良さそうです)
自分の周りで不健康な人、で思い浮かぶのは──
「セイトレさん、でしょうか」
自分と8cmも身長差がありながらウエストが全く変わらない彼を思い出す。
(しっかり食べられる様になって欲しいですねえ。タマモクロスさんの食事を改善した黒タマさんにでも聞いてみましょうか…)
少しでも改善案出来ればいいのですが、と思案を巡らせるのだった。
≫86二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 00:49:57
「その単語は、どういう意味があるんですかっ?」
何度も何度も、何度でも。私の相棒、ダイタクヘリオスに向けた言葉。
質問と回答でびっしり埋め尽くされた手帳は、私とヘリオスの思い出の証。
「んっとね。あげぽよのあげはテンションあげあげでー」
「うんうん……っ」
「ぽよはね、わっかんない!」
「うんっ!?」
「かわいいから使ってるだけ! ウケんね!」
「うん……?」
まるで新しい言語(事実、その通りなのだけれど)を紐解くような作業を、楽しんでいるのが伝わったのか。ヘリオスは私にその言葉の秘密を、ひとつひとつ教えてくれました。
私が作ったそれを見て、私の師たる先生は満足そうに髭を撫でていたのを憶えています。
「君は儂の知る中で、そう数を見ないほどに知への姿勢を弁えておるのう」
「そ、そうでしょうか……っ?」
「切らしがちな吐息は、熱心さの現れかの。ホッホ、そのまま精進なさい」
この手帳は、思い出でありささやかな誇り。
今、私はその手帳で胸を隠すように、縮こまってヘリオスに見せています。
「へ、ヘリオス……わ、私ですっ。ヘリサブですっ」
「ま!? トレぴっぴウマ娘になってんじゃんウケるー!」
元々細身だったせいで、ボタンの弾けたワイシャツと、腿が増して尾が生えたことで尻から裂けたスラックス。
私は草陰に隠れながら、必死に露出狂として晒されないようヘリオスの撮影を止めるのでした。
87二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 00:50:26
「うう……こんなにもらっていいのでしょうか……っ」
「いーじゃんっ、いーじゃんっ! おこづかいアゲアゲ最高!
じじピあざまる水産ー! マジらぶー!」
両手を挙げて、今は病院でお眠りになっているであろうヘリトレ先生へお礼をするヘリオスに対して、私のテンションはやや下がり気味でした。
私がウマ娘になったことで、ヘリトレ先生は落胆することはありませんでした。
『トレーナーとウマ娘の絆は、その程度では崩れんよ。
今は……ホレ、これで服でも買ってきなさい』
私の手に小隊を組める程度の諭吉さんを押し付け、先生は私達を送り出しました。
実際スーツも全ておじゃんなので、書い直さないといけないことを考えるとありがたい限りですが……余計な出費をかけてしまった気がします。
「はぁ……っ」
「トレぴっぴぃ、アゲていこ! ほらここ、ウチのオススメ~!」
ヘリオスが案内してくれたお店は、なんだか派手な服が並んでいます。
ヘリオスらしいチョイスといえばそうですが、私に向いているかというと……。
「……ゆ、ユニクロとかじゃ、だめですかぁっ?」
「アゲアゲの服着てけば、気分もアガるっしょ~!」
そう言われるがまま、私は後に顔馴染みとなるストリートファッションのブティックへ押しやられるのでした。
89二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 00:51:26
「こ、これ、胸がほうり出ていませんかっ」
「ウチじゃ見えっかも? ……トレぴっぴなら見えねっしょ! たぶん!」
「多分っ!?」
そこは正に、私にとっての未知でした。
初めて着る女性としての衣服。その中でも、私にとって想像もつかないほど派手なもの。
「そ、鼠径部を晒していますがっ!?」
「んー! いーねいーね、きれーじゃん!?」
「し、下着が見えてしまいますよっ!?」
「あーね! どする? 見せるヤツ履く? 見せないヤツ履く?」
「ぴぃっ」
元の私なら絶対に手を取らなかった……どころか、存在を知ることもなかったであろうそれを、私は狼狽のままに持たされていました。
懸命に他の、落ち着いた衣服を探していますが、どれも同じ、煽情的で刺激的なものばかりです。
「お、落ち着いた服は、ないんですか……っ?」
「……えーっと、トレぴっぴはそうしたい系?」
「環状線そうしたい系です……っ」
「そかぁ」
気疲れと共に泣き言をこぼす私に、ヘリオスはんー、と指を当てて考え込みました。
その反応は珍しいものです。迷うことなく飛び込んで楽しんでいくヘリオスが考え込む時は、だいたい人をどう気遣うべきか考えている時で……あ。
その気遣いは、もしかして、私に?
90二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 00:52:30
「……ヘリオス。どうして、私をこの店にお誘いしてくれたんですかっ?」
「……トレぴっぴ、今めちゃアガる超バズりそうな美人じゃん?」
「うん……そう、なのかもですねっ」
「だったら、超アガる服がいいよぅ。その方が落ち込んだ時もアガれるっしょ?」
アガることはサガらないこと。
ヘリオスは時々そう信じているみたいに、私達のことをアゲようとしてくれる。そうでした。この子はいつだって人に対して、自分なりの形で気遣ってくれる。私はサブトレーナーとして、その期待に応えないといけなくて……。
「……わ、わかりましたっ」
「トレぴっぴ?」
「アゲましょうっ! 1番似合うと思う服……いいえっ。似合う服全部買いましょうっ! 着せてアゲたい服を、ヘリオスが決めてくださいっ!」
「トレぴっぴぃ!」
「はいっ。私は貴方のトレぴっぴですっ! なので、いっしょにアゲアゲになりますっ!」
こうなれば、もうやけくそなのです。
大真面目に考えてヘリオスを曇らせるよりも、大真面目に考えていっしょにアゲアゲになりましょう。私が先生から教わったことは、およそそうやって活かされるべきなのです。
「トレぴっぴトレぴっぴ! これ着よこれ! 超ミニ!」
「最早チャックのついたパレオと水着な気がしますっ! 着ますねっ!?」
「メイクしよメイク! アガるっしょ絶対!」
「なんか派手になりそうですねっ! お願いしますっ!」
お目々も頭もぐるぐるな状態で、私は言われるがまま出されるがままに受け容れます。私もヘリオスもテンションがアガりっぱなしで、もはや止まる兆しがありません。
「FOOOOOサイッコーじゃんトレーナー! 自撮りしよ自撮り! うぇいうぇい?」
「「うぇ~~~いっ!」」
後日ウマスタグラムに載ったそれを見て、先生は「公序良俗は弁えるように」と釘を刺されたのでした。本当に、どうしてこうなったやら……。
うまぴょいうまぴょい
≫94二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 01:02:27
ダストレ→グラトレ(独)
グラ「あらあら、此方の贈り物は~……パーティグッズでしょうか~?」
ダス「おっ、グラトレが俺のプレゼントを手に入れたか~」
そう言って現れたのはマリモを持ったダストレさんだった
グラ「あら、ダストレさんの物でしたのですね~」
ダス「そうだよ……すまんな他の奴より地味なヤツで」
グラ「いえいえ、良い物ですよ~」
ダス「そう言ってくれると助かるよ」
グラ「大切に使わせて貰いますね~」
そんな会話をしている時に、ふと思い付いた。
グラ「せっかくなので小さなパーティを開いて、このグッズを使ってみるのは如何でしょうか~?」
ダス「パーティ?」
グラ「ええ、ええ、ダストレさんとダイワスカーレットさん、それから私とグラスの四人でどうでしょう~」
ダス「なるほど、スカーレットも楽しんでくれるかな?」
グラ「ええ、きっと」
ダス「よし、それじゃあ日時とか決めようか!」
グラ「はい、そうしましょう~」
そうして小さなパーティの約束をしつつプレゼント交換会は終わりを告げるのでした。
後日、ダストレペアとグラトレペアのパーティは開催され。
ダストレの顏が他三人の尻に押し潰されるという事故が有ったが無事に終わったという。
うまぴょいうまぴょい
≫101二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 05:59:50
レースの日のグラトレ(独)
今日はグラスの目標として定めていたレースの開催日。
そのレースの開幕直前に競技場への地下通路にて俺は、グラスへレース前に最後の言葉を掛けに来ていた。
「さて、さて、体調は万全でしょうか、グラス?」
「はい、万全な状態ですよトレーナーさん」
グラスからの返答、自身の所見、前日迄のグラスの体調を元にグラスの現在の体調を判断し問題無しと結論付ける。
グラスの体調に問題は無し。
レースの作戦については存分に話し合った。
……ならば後は激励の言葉を掛けるのみ。
「良いでしょうかグラス、勝利を目指す時は終わりました」
「はい、次は優勝を勝ち取る時……ですよねトレーナーさん」
「……ええ、ええ、その通りですよグラス」
……何度も繰り返した言葉だ、グラスも覚えてしまったのだろう。
言葉を取られた形だが怒りは無い、寧ろそこまで関係が深まった事に充足感を覚える程だ。
……さて、そろそろ時間だ
俺は競技場の方へと向き直り、それに合わせる様にグラスもまた体を競技場の方へと向ける。
「さあ、行ってらっしゃいグラス」
そう言ってグラスの背中を押し出す様に軽く叩く。
「はい、行ってきますトレーナーさん」
それに合わせてグラスは地下通路の先へと歩を進み始める。
そして歩み始めたグラスの背に最後の激励の言葉を掛ける。
「悔いの無い戦いを!!」
「はい!!」
大和撫子然とした言葉使いを投げ捨てた以前と変わらぬ俺の力強い激励に、グラスもまた力強く返し競技場へと進んで行った。
競技場から差す光の中へグラスが進んだのを見届けた俺は、観客席に向かうべくその場を離れるのだった。
102二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 06:00:10
期待、嫉妬、祈り、呪い、興奮
それらが渦巻く観客席にはそぐわない様な、清楚で大和撫子然としたウマ娘が静かに出走ゲートを見据えている。
そのウマ娘に話し掛ける者は居ない……否、話し掛けれなかったのだ。
まるで己が出走するかの様な気迫を纏うそのウマ娘に話し掛けれる筈が無かった。
そのウマ娘が誰なのか、それは今回のレースの出走者とその担当トレーナーを一度でも競技場で見た事がある人は理解していた。
いくら姿形が変わろうとも、その燃え盛る闘争心を見れば自ずと答えが出てくる。
それが競技場におけるグラスワンダー担当トレーナーなのだ。
「……始まりますか」
レースの開幕を告げるファンファーレが吹き渡り一瞬の静寂が競技場を包み込む。
……ガコン
そんな面白みの無い音と共にゲートが開き走り出すウマ娘達。
そしてそれに釣られる様に堰を切ったかの如く大声援を持って競技場を静寂から包み返す観客席。
「良い走り出しですね」
そんな中、俺は静かにレースの分析を開始する。
……次のレースの為に必要な事なのだが、ただ無心に声援をグラスに送る事が出来ないのは少々もどかしい。
序盤、中盤に大きな問題は無い。
グラスは予定通り群の後方に位置して静かに一人のウマ娘を見据えている。
そのウマ娘は集めたデータから決めたマークするべき相手、今回のレースではグラスを除いたら最も強いだろう。
相手の動きを読み仕掛けるマーク戦法、グラスと歩んだ三年間で培った経験と勘で決めた相手がそのウマ娘だったのだ。
やがて遂にレースは終盤へと突入し会場のボルテージは最高潮まで上がっていく。
一部のウマ娘はその熱狂に少し掛かってしまっているが……グラスは冷静にタイミングを計り始めていた。
103二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 06:00:30
そして最後のコーナーへと差し掛かり走者達は最後のスパートを掛け始める。
それを見つつ、グラスが仕掛けるタイミングを計る。
先ずは一人がスパートを掛けた。
……まだだ
スパートを掛けた一人に釣られてか二人程スパートを掛け始める。
……まだだ
それから一拍ほどして、もう二人程スパートを掛ける。
……まだだ
その直後にマークしていた娘がスパートを開始する。
……まだ
そしてそれから二拍経ってから。
「今」
それは大歓声の中ではあまりにも小さく届く筈も無い声だった。
しかしグラスはその声が聞こえたかの様に仕掛け始める。
……グラスと共に歩んで培った経験と勘なのだから当然グラスも培っている、それだけなのだが心が通じたと思う方がロマンチックで良い。
そんな事を考えている内にグラスは順位を上げていく。
二人、三人、四人五人と抜いていく。
そしてグラスがコーナーを抜けた時には、前方に居るのはマークしていたウマ娘唯一人となる。
「行け、グラス!!」
俺の口から思わず出た応援の言葉に合わせるかの様にグラスはその豪脚を魅せてくれる。
他の娘を圧倒する力強い脚で先頭のウマ娘と距離を詰めていくグラス、その姿は意識を焼き付けて離してくれない。
……思えば俺は、この力強い走りに魅了され続けている……今回のレースでもまた……グラスに惚れてしまった様だ。
そんな色々な物が込められた熱い視線を俺が向ける中、グラスはゴール板の直前で差し切り優勝を勝ち取るのだった。
104二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 06:00:47
レースが終わり競技場への地下通路へと赴いた俺は、レース前に送り出したのとは逆にグラスを迎え入れていた。
「グラス、優勝おめでとうございます」
「はい、トレーナーさん」
しかし、グラスは少々何か考えている模様
……まあ、十中八九先程のレースの事だろう。
「着差ですね、グラス?」
「はい」
それはレースの着差。
本来の予定なら半身差で勝つ様に仕掛けるタイミングを計っていたのだが、今回はアタマ差だったのだ。
「トレーナーさん、もしかして私の仕掛けるタイミングが悪かったのでしょうか?」
どうやらグラスは自分のミスだったのかと思い考えていた様だ。
「いえ、私も仕掛けるのは其処だと判断していましたよ」
しかし、俺も仕掛けるタイミングは其処だと考えていたのでグラスに非は無い。
それはつまり……
「それじゃあ」
「ええ、私たちの予想より彼女の実力が上だった様ですね」
そういう事だ、相手の実力を過小評価していたのだ。
「帰ったら反省会ですねトレーナーさん」
「そうですね、ですが今は」
「はい、勝利を喜ぶ事にします」
「ええ、ええ、勝者としての振る舞いを魅せましょう」
「はい!」
明るい返事と共に晴れやかな顔をしたグラスは、ウィニングライブの為に準備をするべくその場を去るのだった。
105二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 06:01:18
「……良いライブでした~」
グラスのウィニングライブを最前列で堪能した後、グラスの選手控室でライブを思い返しながら独り言ちる。
それから直ぐにドアのノック音の後に扉が開きグラスは帰って来た。
「お待たせしました、トレーナーさん」
「お疲れ様でした、グラス」
とても疲れただろうグラスに労いの言葉を掛け、飲み物を手渡す。
「ありがとうございます」
その事に感謝の言葉を語るグラスだが、今度は随分と嬉しそうな顔をしている事に気が付いた。
「……随分と嬉しそうなのですが、何か有りましたでしょうか~?」
「ええ、実は……」
なんでもライブの後に二着の娘に話し掛けられたという。
……勝者と敗者が出来るのがレースだ、激情のままに声を放つ者も居るだろう。
しかし、グラスの嬉しそうな顔からそんな悪い話では無かったと判断できる。
「それで何と言われたのでしょうか~?」
「はい、次は負けない……と」
「なるほど……それにグラスは何と返しましたでしょうか?」
「私は次も負けるつもりは有りません……と」
「ふふっ、ふふふふふっ、ええ、ええ、満点の回答ですよグラス」
きっと彼女もまた今頃闘志を燃やしているだろう。
俺とグラスの予想を超えた成長をしていた彼女だ、きっと強くなる。
そんな何時かまた相見えるであろう強者に思いを馳せながら、俺とグラスは今だ熱の止まない競技場から帰路へと着くのでした。
帰路への道中、車の助手席で静かにグラスは眠っていました。
「本当にお疲れ様」
そう言って左手をグラスの頭へと伸ばし撫で……ドア側に頭が有って届かなかったので肩をポンポンと労いの気持ちを込め軽く叩き。
「帰り着いてから頭を撫でてあげようかね」
そんな計画を立てるのでした。
≫110二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 07:04:41
スイトレ→ファイトレ(女)
「…ふむ、ハートのあみぐるみか…」
「あ、私のプレゼントですねー」
「スイトレのか、なるほど…良いプレゼントだね」
「…えへ、ありがとうございます〜。それとぉ、わたしの元には年代物のワインが届いたんですけどぉ…」
「…スイトレ、それ30年物の熟成ワインかい?」「は、はいぃ…」
「…ふ、ははは。まったく運命の巡り合わせってのも不思議なものだな。それは私のプレゼントだよ。多分ね。」
「あら?そんなこともあるんですねぇー」
「まあ好きにしてくれたらいいとも。しかし、このあみぐるみ…良い手触りだ…」
「割れたハートですけどぉ、ふたつあるので結んでみてくださいねぇ」
「…良いね、ファインにも見せて結んでみようか。いや、片方ずつ持つなり置いておこうか…?」
「…悩んでいる姿も似合うんだねぇ…」
「私はそんな大層な人ではないよ。…そうだな、折角だし私からの感謝の意を込めて…こうやってハグしてあげよう。…ムチムチだね?」
「…あ、温かいです〜…」
「ふふ、顔が赤いよ?…もうちょっと抱き締め続けてあげようか。私もこの温かい等身大湯たんぽを手放したくはなくてね…」
───その後、お互いの担当に見られたことでそれぞれおねだりされるのは別の話。
111二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 07:05:12
キタトレ→ファイトレ(男)
「湯呑…しかも高級なののペアか…」
「あら?私のプレゼントは貴方の元に行ったのね。…どうかしら。」
「ええ、使い勝手も良さそうでいいですね。」
「ふふ、そう言ってくれるのは嬉しい限りね。」
「…後、折角来てくれたことですしそちらにでも座ってください。…少し話もしたいので」
「…分かったわ。…早速、使ってくれるのね」
「勿論です、プレゼントですから使わないのは勿体ない。…お茶と菓子です、どうぞ」
「ありがとうね、貴方の丁寧な扱い方がその動きから分かるわ。」
「公私が完璧なキタトレさんに言われるほどではないですよ。演技には見えないくらい様になっていますし」
「あら、それは貴方も一緒よ?ファインちゃんを演じてる時の貴方はまるでそっくりだもの。」
「…殿下の再現は無理ですね。聡明で芯のあるファインを完璧に演じるのは俺には不可能だと思ってますし」
「まあ、人は他人になることはできないってのは言われてる話ね。…演じることは出来ない訳ではないと思うのだけど。」
「キタトレさんが言うとまた説得力がありますね。…じゃあ、いつも通りトレーナーとしての話をしますか」
「勿論よ、貴方との話は私も勉強になるもの。」
───二人はトレーナー業務について、じっくりと話し込んだのだった。
短文失礼しました
昨日のプレゼント交換ネタ第一弾。第二弾も出来次第上げていきます。ファイトレ二人がもらったプレゼントと送り主と話です
ファイトレ(女)とスイトレで抱き合ってもらい、ファイトレ(男)とキタトレで演技とトレーナーとしての話をしてます。
≫123二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 09:02:31
[プレゼント交換の夜に]
クリスマスのトレーナー同士でのプレゼント交換会、それは自分にとっては密かな楽しみだ。自分の贈り物が誰かを喜ばせられたらいいなと不安半分期待半分になりながら考えると同時に、同じように考えて選ばれたプレゼントを貰う高揚感を味わえるのは中々ない機会で、自分は研修生時代から顔を出しては色んな物を交換してきた。
最近はタキオンの実験を手伝っていたりしていたので参加できなかったが、こうして久しぶりに参加してみると自分はやっぱりこういった催しごとが好きなのだと思わされる。宴会の場もそうだが、誰もが気兼ねなく話せる環境というものが自分は好きなのだ。
プレゼントの交換を済ませて席に戻り、会の様子を眺めていると──
「おや、タキトレさん。この場で会うのは久しぶりかな?」
「オペトレさんもお久しぶりです。そろそろ年末ですけど、お仕事の方は大丈夫なんですか?」
後ろからかけられた声に振り向きながら答える。後ろを振り向いてみると、そこには青鹿毛の髪を短く切り揃えた紅眼のウマ娘──世紀末覇王の黒子にして一企業の代表も務めているテイエムオペラオーの担当トレーナーがそこに居た。
「無論、この場に参加するために時間は空けてきたとも。皆が考えてきた贈り物を受け取るというのはいつだって心が躍るからね。それに90人以上のトレーナーのプレゼントの動向がわかるというのは、会社としても有難い話なのさ」
「やっぱり企業の社長さんって大変なんですね……ところで、オペトレさんはプレゼント交換で何を貰いました?私はまだ開封してないので言えないんですけども」
「私はトレーニング後のケアについての指南書と目次のセットだね。我が覇王は実はそこまで体が強くなくてね。勿論私もそこについては気を払っていたんだが、眼を通していくうちに興味深い意見や新しい見解を発見することができて今回は中々に良い交換ができたと思ってるよ。これを書いたギムレットさんには感謝という他無い」
124二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 09:02:45
「良いなぁ。ウチのタキオンも体は強い方ではないのでオペトレさんが羨ましいですよ。……今度ギムレットさんにお願いしてもう一部用意してもらおうかな?」
「私個人としては折角の贈り物だから独占したい気もするが、ウマ娘の将来を考える身としてはこういった情報が広く回ることが望ましいというのが困りものだね。……さて、そろそろ君のプレゼントを教えてくれないかな?私だけでは不公平というものだと思うのだが」
「それもそうですし、今開封してみましょうか。ここのプレゼントって良いものばかりですから毎年ワクワクするんですよね」
自身の貰ったプレゼントを嬉しげに語り、それと同時に自分が貰ったプレゼントは何か教えてくれというオペトレの声に導かれるようにプレゼントの袋を開くと、そこには黒い片手ほどのサイズの箱が1つ。高級そうなそれを手に取り、恐る恐る開いてみると中には銀の懐中時計が収められていた。
「オペトレさん。これは……」
「銀の懐中時計、それもハンターカバー付きの実用性を兼ね備えた一品といったところかな。……どうしたんだいタキトレさん。何か悩んでいる様子だが、何か気になることでもあったのかな?もしかして、何か不満な部分があるとか」
「贈ってくれた人が必死に考えてきたものなんですから不満な所なんてありませんし、むしろ昔から少し憧れていたから嬉しいぐらいなんです。けど、思ったより豪華なものが出て来て反応に困ってるというか、これをプレゼントしてくれた人になんてお礼を言えばいいのか少し困ってしまいまして。オペトレさんはこういった時どうしてますか?」
「成程。そうだね、私がこういった時はまず感謝の言葉を言って、その上で好きな所をハッキリと言うことにしているよ。……折角だから、私で練習していくかい?私はこういった事にはそれなりに慣れているし、助言もできると思うよ」
125二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 09:03:01
箱の中に収めてられていた懐中時計は光に反射して煌々と光っている。明らかに高そうなそれに腰が引けていると、隣で自分の様子を見ていたオペトレから助け舟が出された。彼曰く、素直に感謝を述べれば良いし、なんなら自分で練習しても構わないとのことなのだ。確かに、考えてみてこういった機会の多いオペトレに手伝ってもらえるというのはこの上なく心強い助力だ。
「……じゃあ、お願いしても良いですかオペトレさん」
「了解したとも。まずは自分の心を包み隠さず言ってみようか」
「わかりました。……プレゼントありがとうございます。昔から懐中時計に憧れていて、でも中々手を出せずにいた私に貴方は懐中時計とそれを手にする機会をくれました。本当にありがとうございます。頂いた懐中時計は大切にしますね」
「うんうん。少し緊張で固くなっているが、それでも感謝を感じられる良い言葉だね。その言葉を聴けたのならこちらとしてもこの時計を贈った意味があったというものさ」
「えっ」
今なんて言った。
この人は今「この時計を用意したのは自分だ」とかそんなことを言ってなかったか?彼から告げられた衝撃の事実に驚いて彼の表情を見ると、いつも柔和な笑みを浮かべている中に悪戯が成功したかのような密かな喜びが紛れているような気がしていた。
126二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 09:03:18
「……オペトレさん?」
「どうしたんだい?」
「この時計ってもしかしてオペトレさんの選んだものだったりします?」
「そうだね。君に話しかけたのも、君が持っている袋は私が用意したものだったからさ。やっぱり自分が贈った物への反応は気になるものだろう?……どうしたんだいタキトレさん。顔が真っ赤だが」
「顔から火が出そうです。時間が止められるなら止めて落ち着きたいぐらい。まったく、人が悪いですオペトレさん。もしそうなら最初からそう言ってくださいよ」
「はは、それはすまないね。でもやはり受け取った相手がどう反応するのかというのは気になってしまうんだ。もし気を害してしまったらすまない、この通りだ」
「気にしないでください。同じ状況だったら私だって多分そうするかもしれませんから。この懐中時計、大切にしますね?」
「そうしてくれると私としては嬉しいな。これから君と担当が紡いでいく時間を、この懐中時計が刻んでくれるなら贈った意味もあったというものだからね。ああそうだ、ところで話は変わるのだが……」
まさかプレゼント交換会で同僚と話しながらプレゼントを開けたら、それは同僚が選んだものだったとは夢にも思うまい。しかも贈った相手が反応を見たくてそれを隠しているとなるとなおさらだ。
だが不快感は無い。元からこの程度で気分を害するほど狭量というわけでもないし、何より彼の贈り物が心からの物であるとわかるからだ。
彼からの謝意に気にしないでくれと返し、彼の言葉を聞きながらもう一度プレゼント交換会を見渡すと、会場の至る所から悲喜こもごもな反応を見て取ることができた。
「オペトレさん」
「是非タキオンさんの薬品を用いての演出を──どうしたんだい?」
「来年もまた参加したいですね」
「──ああ!」
自分はこういった催しごとが元来好きだ。今ではタキオンの実験の方を優先するようになったけれども、それでも好きだという感情は未だに消えてはいない。来年のクリスマスはどうしようか。来年の事を言えば鬼が笑うというし、今から来年のクリスマスの予定なんてわからないけど、この交換会にはまた参加したいなと自分には不思議とそう思われたのだ。
≫134二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 09:36:28
【ドベトレ→ドベトレ】
「と!!言うことで!!」
「プレゼント交換の抽選してきたぞみんな!!」
イエーイ!! ダレノガクルンダロー ワイワイガヤガヤ
「んじゃ、みんな持ってってくれよな。ムントレから持ってってくれ!!」
「ありがとうだねドベトレ。そうだ!私から君にプレゼントを……」
「だから今回は『交換』なんだよっ!!
オレが貰っちゃ抽選した意味ねえだろうが!!」
「むう、すまないドベトレ。
私の配慮が欠けていた……」シュン
「……ああもう!!!そんな顔すんなって!!
後で個人的に交換するから!!!!」
「本当かいドベトレ!!」パアッ
(……割とかわいいなコイツ)
「みんな勝手に取ってってくれよな!!」
136二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 09:36:59
「侘助さんおつかれ〜!!」ヒラヒラー
「ん、姉貴も来てたんだ」
「私もいるけど」ヒョッコリ
「うわっ姉ちゃんも居るのかよ」
「『うわっ』て何よ『うわっ』て」アイアンクロー
「痛い痛い痛い!!!!」
「まあまあ2人とも……それで侘助さんは何を?」
「いてて……いや、まだ開けてねえよ
今から開けるつもり」
「なるほど、お姉ちゃんとして弟のプレゼントはしっかり確認しなくちゃね」フンス!!
「……スズトレさんってもしかして世話焼き属性持ちですか……?いや確定ですねこれは……」
「なあもう開けていいか!?早くしようぜ!」
「「はいはい」」
137二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 09:37:25
「何が入ってんのかなあ!誰のやつかなあ!」
「ドベトレは何か欲しいものあるの?」
「あ、それ私も聞きたいかも」
「……?いや、誰からでもいいし何でもいいぞ?
『誰かから貰った』ってのが何より嬉しいんだオレ。誰かと繋がれてるんだ〜って、そう思えるし。にしし!!」
「ま、侘助さんらしいといえば」
「ドベトレらしいわね」
「んじゃ開けるぞ!!せーのっ!!」
138二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 09:37:59
「」
「侘助さん?おーい」ペシペシ
「中身を見てから全然動かない……」
「一応、勝手に中身見ちゃうよ侘助さん。」
「ドベトレのことだから誰からのものでも喜びそうだけど……」
「……お守り?」
「多分箱の裏に差し出し人が書いてあるはず……」チラリ
「「あ」」
「」プルプルプル
「これは……ああ……そういう」
「抽選した本人が本人のプレゼント貰うなんて嘘でしょ……」
139二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 09:38:29
「う、うう……」
「ちょっと待って侘助さんシャンパン飲んじゃった!!??」
「水と間違えるなんて……相当ショックだったみたいね……」
「うわあああああああん!!!!!!なんでよおおおおおおお!!!!」
「うわああ!!?抱きつかないでドベトレ!?」
「……やっぱ侘助さんのおっぱいすごいなあ」
「うっ…ひぐっ……ぐすっ……うえええん!!」
「プレゼントのショックと酔いが回って……まさか……!!」
「完全に幼児退行してる……ええ……」
「おれしかいがんばったのに……なんでおれだけおんなじのなの……」ウルウル
「う゛っ……かわいい……」
「酔いどれ侘助さんモードだ……!!スズトレさんこれやばいです!!」
140侘助21/12/26(日) 09:39:20
「ねえちゃんおれわるいこなの?ことしはわるいことたくさんしたから、おれにぷれぜんくれなかったの?」
「ん゛っ」
「あねきもしんぱいたくさんかけたし、ほんとはおこってるの?みすてちゃいやあ……」
「」
「ネイトレ気を確かに!!」
「あ……あとで、鹿の子餅の余りあげるから……」
「いいの!?あねきだあいすき!!!」ムギュッ
「あ゛っ」
「……これ八方にらみで済むのかしら……」
【作者あとがき】
抽選してたら勝手にこうなりました
ドベトレすまん(懺悔)
≫151二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 09:52:28
マベトレ→フウトレ
「わたしのはこれね。随分と大きい箱だけど一体なにが……あら?これはスノードーム?」
「あーそれは私のだねー☆どうー?マーベラスなプレゼントでしょー?」
「ええ、とても綺麗。家に飾らせてもらうわね、ありがとうマベトレ。」
「どういたしましてー。だけどねーフウトレ、私のマーベラスなプレゼントはそれで終わりじゃないよ〜?」
「……もしかしてスノードームを包んでたこれも?」
「そう☆ふふふ、広げてみて〜。」
「もちろんよ。どれど、れ……」
(明らかに露出度のヤバいサンタ服)
(凍りつく会場)
「……マベトレ、これは……」
「見ての通り、サンタ服だよ〜☆ちょーっとだけ露出度高いけど、大人のお姉さんにはピッタリだと思うな〜★」
「……ほんとに?お姉さんに似合う?」
「おい雲行き怪しくなってきたぞ。」
「乗るなフウトレ!戻れ!!!」
「私見たいな〜時間かけて選んだサンタ服が着られてるとこ〜。フウトレにしか、お姉さんにしか頼めないな〜☆★」
「……そっかあ……わたしにしか頼めないかあ……!!!」
「あ、ダメですわねこれ。」
「まあせっかくプレゼントしてもらったんだし1回も着ないのは失礼よね!!よし、着てくる!!わたし、みんなのお姉さんだから!!!!!!」
5分後、それは現れた。
182-105-68-99という恵まれたプロポーション、平均から大きく離れた長身であるが故にややキツキツとなったサンタ服。
そして恥ずかしさでこれでもかというくらい赤面した顔と、少ない布面をギリギリまで伸ばして隠そうとする仕草。
────モブトレ達の性癖は破壊された。1人残らず、駆逐された。
≫161二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 10:03:16
ウラトレ→キタトレ
「…ん、美味しいわねこの桐葉菓」
「…あら、私のプレゼントはキタトレさんに届いたのですね」
「…なるほど、貴方のプレゼントでしたか。ええ、中々美味しいプレゼントですわね。」
「それは良かったです。…少し、隣に失礼しますね」
「…珍しく暖かいというか、寒くない日ですからね。今日は外でこうしているのも悪くないと思いますわ。」
「陽光できらめく艶のある髪…しっかり手入れされてるんですね。少し私の手で纏めてみてもよろしいですか?」
「構いませんわ。…ただ、一つだけ条件があります」
「…なんでしょう」
「…はい。ウララトレさんも桐葉菓を食べませんかしら?私は一人より皆で食べる方が美味しいと感じる人ですので」
「………ええ、良いですよ。はむ…やはり美味しいですね。」
「…お茶の一つでもあれば更に良かったのだけど、まあ、ない以上は仕方ありませんわね。後で買ってきますわ」
「冬でも水分補給は大切ですからね。それと、別に私の分まで用意する必要はないのですよ?」
「ふふ、私がしたいだけですので、お気になさらず。後、触るのは良いですが耳は敏感なのでなるべく触らないようにお願いしますわね。」
「分かりました…ピトッ」
「〜ッ!」
───その日、日の当たる中で、笑顔でキタトレの髪を纏めているウラトレが目撃されたという。
162二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 10:03:52
イクトレ→サトトレ
「あ、蹄鉄だ…これ…多分イクトレさんだろうな…」
「😉」
「あ、いたんですねイクトレさん。こんにちは。これってもしかしなくても貴方のプレゼントですよね?」
「◎」
「やっぱり。練習上手になる蹄鉄なんて、イクトレさんくらいしか用意出来る人を思いつかないから。」
「(コクコク)」
「でも、これが僕に回ってくるのも何かの縁なんだろうなぁ。蹄鉄も結構消費してるトレーナーだろうし。」
「🤔」
「あー…他にもトレーナーと担当の二人で走っている所なんて結構居たね…それに僕は蹄鉄の摩耗は走る量に対して少ないはずだし」
『逆にいうと、それでも周りと同じくらい摩耗するってことは相当どころではなく走ってることになるけど』
「…過度の練習の心配かな?僕は大丈夫。脚が壊れないギリギリのラインで追い込んで練習してるから。」
「😠」
「あっ、ごめんなさい…。どこまでならいけるのか自分でラインは把握してるから、勘弁してください…」
『替えのきかない脚だから、丁寧に労ること。…分かってるかい?』
「はい、分かっています。…とりあえず、プレゼントありがとうございます。これでトレーニングが捗りそうですから。」
「😄」
「あ、後また蹄鉄の調整もお願いしますね…」
───練習上手の蹄鉄は、早速サトトレによって使われて良い結果を出しているそうだ。
短文失礼しました
第二弾、キタトレとサトトレです。キタトレはウラトレさんということで、仲の良い二人を書いてみました。(エミュ大丈夫か…?)
サトトレはイクトレの蹄鉄を早速使ってます。彼は只管に一直線で追い込む人なので、当然自分のトレーニングも追い込みます。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part590【TSトレ】
≫35ホワイトクリスマスマルトレ21/12/26(日) 13:16:35
「トレーナーちゃん。イルミネーション見に行きましょ?」
「いいよ。行こうか。俺がエスコートするよ」
「あら? 車で行かないの?」
「ゆっくりするんだったら、せっかくだし電車で行こう」
「……そうね! トレーナーちゃん!」
「トレーナーちゃんが座っていいのに」
「俺はマルゼンスキーに座って欲しいんだ」
「あたしの膝に座ってもいいのよ〜?」ポンポン
「それはちょっと恥ずかしい……」
「わー綺麗なイルミネーション! ベリグね!」
「チョベリグじゃないの?」
「それはね!」
「わっ」
マルゼンスキーがトレーナーを抱き上げ、目線を合わせてイルミネーションを見回す。
「トレーナーちゃん見にくいでしょ? これで本当のチョベリグってやつよ!」
「ありがとうマルゼンスキー、ただちょっと恥ずかしいんだが……冷たっ……わぁ」
「ホワイトクリスマスね、ロマンティックナイトなイルミネーションね〜。綺麗……! ザーギンの方も見に行きましょう!」
「ああ、綺麗だなぁ……って俺抱えられっぱなし!?」
「トレーナーちゃん湯たんぽみたいにベリホットなんだもん」
────────────────
「………雪の量多くない?」
「多いわね?」
マルトレとマルゼンスキーは電車が止まって帰れなくなったのだった。
うまぴょい。
≫54二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 14:29:28
[実は言ってなかったこと]スズトレ→ウオトレ(親父)
「……うむむ、どうしたものかな」
「あら?どうしたのウオトレ。腕を組んで何やら考えごとをしているようだけど、プレゼントで何かあったの?」
「ん、スズトレさんか。実は俺プレゼント交換で味噌を貰ったんですが、そういえば俺って味噌汁以外で味噌を使ったことが無いなと思って何か別の使い方は無いかと首を捻ってたところです」
「あら、それは私が選んだものね」
「えっ。これってもしかして」
「実家で漬けられた味噌で、私は気に入っているから皆にもお勧めしたかったのだけれど……迷惑だったかしら」
「いやいやいやいや出来合いの物で良いだろとあんまり自炊しない俺が悪いんです。お願いだからそんな悲しそうな顔をしないでください何でもしますから許してくださいお願いします……!」
「まぁ嘘なんだけどね」
「えっ」
「ああ、嘘なのは悲しそうな顔をしたところね。ウオトレっていつも良い反応を返してくれるからついつい弄って見たくなっちゃうの」
「つまり、スズトレさんは怒っても悲しみもしていないと……?」
「料理に使うものだし、元から得意じゃない人にあたったりしたらその時は教える位のつもりで居たから大丈夫よ?
だからそこまで気にする必要は無いわ。……あ、でも何でもしてもらえるのは魅力的だし、どうせならもう少し悲しんで見ようかしら?」
「良かった……。まさかこんなことになるとは思わなかったんです。後、スズトレさんの頼みだったらよっぽどの物でもなければ何でもしますからもう悲しい顔するのは勘弁してください」
「ふふ、その時が来たら遠慮なく頼ませてもらうわね。……それで、味噌の使い方がわからないのね?」
「さっきも言った通り味噌汁以外で味噌使った事が無いんです。味噌汁に全部使えばいいじゃないかってのも理解できるんですけど、それはそれで貰ったのに不義理ですし、折角だし色んな使い方をしたいんですよね」
「じゃあ今度味噌を使った料理を幾つか教えてあげる。手ごろなところだと野菜スティックとかだとオススメよ?切ってつけるだけで良いし、私は実家が農家だからかもしれないけどこの味噌には野菜が一番合うと思ってるわ」
55二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 14:29:56
「なるほど野菜スティック、野菜スティックですか……ギムレットの奴は喜びそうだなぁ」
「……もしかして、ウオトレって野菜が好きじゃなかったりする?」
「……ノーコメントで」
「その心臓の跳ね方に加えてそんな回答してたらもう「はい」って言ってるようなものじゃない。同じ体でギムレットさんはあんなに野菜大好きなのに、ウオトレは野菜がダメなのはちょっと面白いなって思うけどね?」
「いやホント、カッコ悪いことだとは自覚しているんですけど、俺ってギムレットと違って野菜が不思議とダメなんですよね。……そうだ、野菜嫌いを克服できるレシピとかスズトレさん知ってませんか?特にニンジンとかが美味しくなるやつが良いんですけど」
「わかりました。今度一緒に料理をする時は味噌と野菜を使ったものにしましょうか。ウオトレ、それで良いよね?」
「了解です。その時はよろしくお願いしますねスズトレさん。いつやるかは……今は決めないでおきますか。折角の交換会ですから楽しまないと」
「ふふっ、それもそうね。そういえばこの後ドベトレが開封するらしいから一緒に見に行く?」
「おっそれは良いですね、ドベトレの奴でも冷やかしに行くことにしますか」
──この後、まさかの自分→自分が発生したドベトレを慰めるべく、新しいプレゼントを探すべく奔走することになるのはまた別のお話。曰く、「世界の名ウマ娘達についての本や、絵本を1人2役で読み聞かせることになるとは思わなかった」そうな。
≫100二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 19:19:49
朝、建物から出てきたマルトレとマルゼンスキーが、そこそこに積もった雪を眺め感嘆した。
「雪積もったなーまだ電車止まってそう」
「ね〜。あっそうだ、そーれ!」
マルゼンスキーが雪を小さく丸めてぽすんとマルトレに当てた。柔らかい雪はマルトレの上着でぱこんと崩れる。
「あ、やったな!」
「ふふっ当ててみなさ〜い!」
マルトレが対抗して雪玉を作って投げるとマルゼンスキーはそれをキャッチした。
「それ〜☆」
「くっ! デンプシーロール!」
ピーカブースタイルを作って頭を揺らし的を絞らせないようにするマルトレにマルゼンスキーが雪玉を投げる。
「わっひゃ!?」
ガードした腕に当たって崩れた雪玉のかけらが前傾姿勢で隙間の空いた服の前側からマルトレの胸元に侵入した。
「つっっっめったいうおっはっ!?」
慌てて上から手を突っ込んで雪のかけらを引っ張り出すマルトレの様子にマルゼンスキーは大笑いしながら、マルトレがパニクって手を突っ込んでいるせいで見えてしまっているブラジャーが周囲に視認されないようマルトレの前に立って
「ごめんちゃい☆」
と悪戯っけ満々に謝っていた。
≫103二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 19:29:12
「雪だね!ミスタートレーナー!」
「帰って」
「辛辣だね!でも関係ないさ…」
「ねえシービー?なにしようとしてうわ何するやめかつがないで!ねえ!ちょっやめ…やめて!」
「はぁ…シービー、恨むよ…」
「まあまあそう言わずにさ。それっ!」
「ひゃううっ!?冷たっ!?ってか濡れる!気持ち悪い!取って!背中のこれとって!!!」
「ああ、失礼」
「ねえ固まらないで取ってよ!冷たいし気持ち悪いの!!」
「トレーナー、シャツ1枚のせいで透けてるよ。ブラ見えてる」
「なら尚更取ってよ!!!」
近くにいた同僚3人組は倒れた
≫112二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 19:58:45
グラトレ(独)の場合
大和撫子モード時
のんびりしている時に雪合戦の流れ弾が背中に入る。
「ひゃあ!」
「せ、背中、冷たぁっ!? うわっ!?」
「痛たっ……コホン、転んでしまいました~……」
「ああ、お尻に雪が……」
パンパン
「これで取れましたかねぇ〜、まだ雪が付いていないか見て頂けますでしょうか~?」
雪玉が背中に入った拍子に尻餅を付いて、立ち上がってからお尻に付いた雪を叩いて落としていると良いと思う。
それでまだお尻に雪が付いてないか他の人に見て貰っていたら良いと思う。
武士モード時
雪合戦の最前線にて背中に雪が入る
「……………………」
……この程度では怯まない。
≫121二次元好きの匿名さん21/12/26(日) 20:14:31
『雪合戦は巻き込まれ上等』
「……えりゃあああい!」
ズボォーッ
「おわっひょおあーい!?テメエテイトレ!何しやがる!」
「背中をまったく気にしてないブラトレが悪いんだよー!」
「くらえおらぁー!」
「そんな雪玉が当たるわけないでしょー!」
「なにしてんべぶほっ!ブラトレェ!」
「ウワーッすまんフクトレ!ミスった!」
「お返しくらえよやぁ!」
「うわっとぉ!売られた喧嘩は買ってやらぁ!」
「あっははー!ノーコン二人が何かやってベボーッ!」
「手が滑ったなーテイトレのほうにぶち当たっちまったなー!」
「俺の腕も落ちたもんだな、ブラトレ狙ってたはずだったのになぁ!」
「ええい怒った!二人まとめて相手してやるー!」
「まったくあの3人は何をしていますの……はしゃぎすぎですわね」
「ははは、マクトレさんも混じらないのかい?」
「今日はここでゆっくりさせてもらいますわ。年がら年中はしゃぎ回るのも疲れますもの」
「まあそういうものもありだろうね。……えいっ」
「えひぃん!?何をなさいますのムントレ!」
「いやちょっと……無防備だったものでね。済まない済まないそんな涙目で頭を掴まないでもらいたいな」
「怒りましたわ、ちょっとあそこに交じって存分に雪玉を叩きつけて差し上げますわ!」
「ははは、ご令嬢に誘われては致し方ないな。ではお手を拝借」
「あなた……本当に人たらしの才能ありますわよ」