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このページは「おれバカだから言うっちまうけどよぉ…」スレに投稿されたSSをまとめるページ(スレpart541~545)です。
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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part541【TSトレ】
≫68うおおタ性破21/12/09(木) 14:20:40
「ありがとうございます、タイトレ殿」
「いいっていいって、ちょうど行き先同じだったんだ」
今日も今日とてお日様の香りを引き連れて、笑顔を見せるのは低身長豊満ウマ娘ナリタタイシン担当トレーナー。
現在彼女(わかりやすさを優先して性自認に関係なく彼女と書いています)は職員のひとりが運んでいた書類を半分こしてあげていた。
快活に笑うタイトレに対し、申し訳なさそうに目を伏せた職員の瞳が捉えたのは書類に乗っかっている大きな胸。なるほどそうした方が楽なのだろう、のさっと置かれた双丘は重力によって僅かに歪んでいて、すれ違う男性職員のほとんどの視線を独り占めにしていた。
流石にこれは指摘するべきだろうか、いやでも手伝って貰っている身でそんな失礼なことを……と職員が逡巡していた時、曲がり角から彼女が現れたのだ。
「あ、トレー、ナー……」
職員は確かに見た。名ステイヤー、影の如き末脚のナリタタイシンの相貌が、キリッとしたものからFXで有り金溶かした顔になっていくのをしかと見届けたのだ。そして見事なタ性破を間近で目撃したにも関わらず普段通りに挨拶するタイトレに、職員はなるほどこれがクソボケかと新たな知見を得たのだった。うまぴょいうまぴょい
≫74うおおタ性破21/12/09(木) 15:02:56
「なにやってんの、アンタ……」
「あっ、タイシン!」
ナリタタイシンは呆れ顔を隠そうとせず、目の前の光景に嘆息した。
担当トレーナーが図書室に向かって少し経ち、ちょっと遅くないかと心配になって来てみれば、そこには高いところにある本を取ろうとぴょんぴょんするタイトレがいたのである。
上下運動に合わせて盛大に揺れる双丘を目撃して、タイシンは───ちょっと破壊されかけたが耐えた。もう何度も壊されているので耐性がついているのだった。
高いところにあるのなら脚立を使えばいいだろう、ナリタタイシンがそう考えて踵を返そうとした時、タイトレは言った。
「よし! 肩車しようタイシン!」
「はぁ?」
「よいしょっ……これで乗れるか? 赤い背表紙の本だ、頼むタイシン!」
背を向けてしゃがむタイトレを見て、タイシンは複雑な感情を覚えた。体格を考えれば、当然、背の高いタイシンが担ぐべきである。ウマ娘になって数ヶ月、自分の身体に無自覚なのを正すには、まだ時間がかかりそうだった。男性からの下卑た視線をシャットアウトするのも続けなければ。
けれど、と。誰からも、タイトレからも絶対見られない場所だったからだろう、タイシンは珍しく頬を緩ませる。体格なんて関係なく、それこそイクトレ程になっていたとしても、このトレーナーは当然のように、自分を担ごうとしただろう。それがなんだか嬉しくて、タイシンは口許を緩ませたまま、タイトレに担がれた。
ふにっ
「あっ」
「?」
靴は脱いでいたので、ストッキング越しにその感触を味わうタイシン。そういえば体格差を鑑みても、肩車の体勢でタイトレの太ももに足が届くとは考えにくい。では足に触れた柔らかいものはなんだろう、と考えて、タイシンはおもむろに下を見た。
胸があった。彼女の足はタイトレの母性に包まれていた。タイシンは───耐えられなかった。見るのには慣れたが、触れるのに慣れるにはまだ時間がかかりそうだった。うまぴょいうまぴょい
≫89うおおタ性破21/12/09(木) 15:58:45
最近、一部の生徒たちの間で「トレーナーの頭を撫でる」ことが流行っているらしい。
普段世話になっている恩返しでもあり、時折撫でられる意趣返しでもある、とかなんとか。
何だかんだでよくつるむウイニングチケット、ビワハヤヒデ両名も早速この流行に乗ったという。
「最初はくすぐったそうにしてたけど、段々とこっちに体を預けてくれて嬉しかった」だの、
「普段から時々撫でてはいたものの、いざ意識してみると新たな発見があって興味深い」だの。
色々と言っていたが、両者ともに満足気で気分が良さそうなのが見て取れた。
勿論、あたしも今からそれを試すことにしている。
何を隠そう、前述の二人からやんややんやと言われたからだ。
やれ「いつも素直じゃないんだからたまにはストレートに感謝を伝えるべき」だとか、
やれ「適性を見出し寄り添ってくれる、世話になり具合は我々に引けを取らない」だとか。
子の婚期を気にする親か。言われなくても分かっている、つもりなのだ。
そんなわけでトレーナー室に到着、中に入るといつも通りあいつが仕事をしている。
「お、来たかタイシン! いつもよりちょっと早いか? まあいいか、それじゃ早速ミーティングを……」
小さな体で手際よく準備を進めるあいつを引き留める。
「ん、どうしたタイシン。何か悩みでもあるのか? 俺でいいなら聞くぞ」
そうではない……が、一々説明するのも面倒だ。
第一説明したところで「俺よりタイシンの方がずっと頑張ってるだろ」とか言って避けるに決まっている。
なので一も二もなくあいつを引っ張ってソファに座り、有無を言わさず頭を撫で始めた。
「ん、お、おお? 何だタイシン、くすぐったいぞ! いきなりどうした、俺の頭なんか撫で始めて……」
ここでネタばらしをする。もう始めてしまったのだ、逃げるという選択肢はあいつにはない。
「何だそういうことか。ん、ふふっ! 嬉しいが、なんか照れるな! こそばゆいぞタイシン!」
ぴょこぴょこ揺れるふわふわの耳、サラサラの髪。気持ちよさそうに細められるきれいな瞳。
しかしあたしに撫でられているこいつはあの熱血クソボケに違いないのだ。
今こうして自分の腕に収まり、そしてくすぐったそうに頭を撫でられているのは、他ならぬいつも暑苦しいあいつなのだ。
視界から入って来る情報と既知の情報とのせめぎ合いの結果、タイシンの性癖は──壊れた。
≫98タイトレ担当タイシン21/12/09(木) 16:30:19
「──ねえ、アンタ子供の頃のこととか覚えてる?」
「ん?急にどうしたんだトレーナー」
「いいから。思い出の一つや二つくらいあるでしょ」
「そうだなあ……あ、そうだ。トレセンに入る前にトレーナー目指してた小さいウマ娘に会った気がするなあ」
「!……小さいは余計でしょ。それで?何があったの?」
「確か……トレーナー目指すから担当するって約束したんだっけか……懐かしいなあ。ま、随分昔の事だし相手も覚えてないだろうな!」ガハハ
「……」
「?どうしたんだトレーナー?」
「うっさい!」ゲシッ
≫168二次元好きの匿名さん21/12/09(木) 18:16:54
「なおリャイトレさんは殿堂入りとして優勝者とタイマンを張ってもらう予定です。皆さん頑張ってくださいね」
「なんでアイツ〇ケモンのチャンピオンポジなの」
「でもブラトレ、あいつと戦って勝てると思う?」
「いや無理だろ……キ〇肉ドライバーじみた技使えるのに……まあそれはそれとしてみなよマルトレあの光景。どうして……っていう表情で固まってるネイトレを」
「おいたわしやネイトレ上……」
「じゃあ俺最初の試合だから……相手は……えっ、アルトレ?」
「……ガンバッテ」
「おう……頑張ってくるわ……」
まけました。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part542【TSトレ】
≫22二次元好きの匿名さん21/12/09(木) 18:48:38
明くる日のトレーナー君宅。
脱衣場から出てきた彼女を見やると──
「じゃん!バニー!」
そこにはボディスーツ、ヘアバンド、カフス、網タイツ、あとは新品だろうハイヒールを履いてバニーガールとなった彼女が。
「……ほう?」
「と、言うことでポーカーしよ!勝ったら……ね?」
「わかった。やろう……シャッフルは君がしてくれ」
「はーい!」
こうして、ポーカーが始まったのだが……
「ストレート!これで……」
「すまない、トレーナー君。フォーカードだ」
自信満々で見せてきた彼女を、あっけなく撃退する。
尤も、カードを彼女にシャッフルさせた時点であちらに有利な勝負だったのだが……
「さて、私の勝ちだが"賭けたもの"は払って貰おう」
「はーい♡」
この後以下略
≫27二次元好きの匿名さん21/12/09(木) 18:58:45
「バニースーツが似合うのにも二種類(可愛い系と綺麗系)
俺がいわれていたのは恐らく…後者…!!」
「いやテイトレは…」
「なんだよブラトレーお前が可愛い系だからって嫉妬すんなって」
「嫉妬じゃなくて呆れですわ」
「第三の選択肢…えっち系」
「なんでだよぉ!言っておくけどな!フラトレと一緒に着た時俺はすごい綺麗系だったんだぞ!」
「いやもう無理だって…お前喋ったらもう…うん…」
「失礼すぎる!フクトレが俺のこと無礼てる!」
「いや画像見直して来て下さいまし。前DK4でバニー着た時はまだ自信ありげでしたけど今のテイトレは絶対顔真っ赤になりますわよ」
≫32二次元好きの匿名さん21/12/09(木) 19:07:51
「私こそが人呼んで怪異・辻バニー! では早速、バニービーム照射!」
「うおおっ!?」
「え、は、ちょっ!?」
「辻バニーは風来坊、一ところに留まる存在にあらず! さらば! ハハハハ……」
「何アイツ……で、あんたは大丈……夫……」
「何だったんだ……うわっ!? 俺いつの間にバニーさんになったんだ!?」
ウサ耳を着けた全身タイツの変な奴がトレーナーに変なビームを撃ったら、トレーナーがバニー姿になった。
……頭が痛い。
「ちょ、大丈夫なの!? どっか痛いとかない!?」
「ああ、大丈夫だ! ちょっとスースーするけど!」
当たり前だろう、そんな恰好なら。ここがトレーナー室なのは怪我の功名だろう。
さっきの変態を追うべきか、いやそれより目の前のバニーに何か着せるべきか。
そう逡巡するあたしの前で、こいつは呑気にくるくる回ったりぴょんぴょん跳ねたりしてる。
「いやー、遠い昔に罰ゲームで着せられて以来だな! ちょっとポーズとってみるか」
昔の、ウマ娘になる前のノリでポーズをキメ始めたのを止められなかったのは、今日一番の失敗だった。
「こうか? それともこうか? 迷うな……どっちのポーズがいいと思う? ……ん、どうした?」
昔の図体でやるならギャグで済んだだろうけど、今の体型でそれはマズイ。色々と。
鏡の前でやってきなよ、そう言いながら、あたしはまた自分の中で何かが壊れるのを感じた。
≫33二次元好きの匿名さん21/12/09(木) 19:09:50
バニー...バニィ...バーニィ...
テイオー、いいかい?よく聞いてくれ。この包みの中には俺の証言を収めたテープや証拠の品が入っている。
俺がバニーガールになった訳を知る限りしゃべった。
もし俺が赤面したらこれを先生に届けてくれ。
先生が本当だと信じてくれたら俺は救われると思う。
俺が直接警察に自首しようとも思ったんだが、何て言うか、そうするのは逃げるみたいに思えて、ここで戦うのを止めると自分が自分でなくなるような…
三女神が憎いとか、マクトレたちの敵を討ちたいとか言うんじゃないんだ。」
「うまく言えないけど、あいつと…カマドラと戦ってみたくなったんだ。
俺が兵士だからなのか…理由は自分でもよく分からない。
テイオー、俺は多分は赤面するだろうがそのことで三女神の兵士やメカカマのパイロットを恨んだりしないでくれ。彼らだって、俺と同じで自分がやるべきだと思ったことをやってるだけなんだ。
無理かもしれないけど他人を恨んだり自分のことを責めたりしないでくれ。これは俺の最後の頼みだ。
もし運良く生き延びて戦いが終わったらさ、必ずこのトレセンに帰ってくるよ。会いに来る。約束だ。」
「これでお別れだ。じゃあなテイオー。元気で暮らせよ。クリスによろしくな」
≫47二次元好きの匿名さん21/12/09(木) 23:00:18
───某所、とある店にて
「…やっぱり少し恥ずかしいわね…」
…某日、とある頼みでバニーガールをすることになったキタトレは、ぴっちりとしたその服装を見下ろしていた。
胸を覆う─と言っても上乳の肌色が若干見えてるが─ボディスーツと、ほんの少し小さくぴっちりとしたふとももを強調する網タイツ。ウマ娘の耳をウサミミのそれっぽく見せるヘアバンドとカフスやハイヒールをつけた─まあ爆乳でキタトレの視点からは大体の服装が見えないが─バニーガール姿だった。
「…いらっしゃいませ、本日は如何されますか?」
尻尾が恥ずかしさでいつもより動いている気がしないでもないが、なるべく気にせずキタトレは入ってきた人に接客する。
「うぉでっ……、…とりあえずこのミックスドリンクを一つお願いします。」
「分かりました、少々お待ちくださいませ」
手早く引き返しながらカウンターに向かう。やや視線を集めてる気がしないでもないが、努めて無視した。
…カウンターに来た所で、同じく似たような服装でバニーガールをしているタイキトレに声が掛けられる。
「おー、大変そうだねぇ…」
「…タイキトレ、貴方もキツくないかしら?」「いや、もちろんキッツいけどさ…、引き受けちゃったし仕方ないよねって」
「…貴方ならそういうでしょうね…」
「…あ、タイキトレさん、このドリンク運んでもらってもいいですか?」
「りょーかい、…後、ファルトレ(蒼)さんが持ってるそれもついでにやっとくかい?」
「いえ、大丈夫です…って、お客様、どうされましたか?」
ふと近づいていた客の一人にファルトレは声を掛ける、その客はウマホを片手に問いかけた。
「あ、あの…、三人で並んでいる所を撮影させて貰えないかと思って…」
48二次元好きの匿名さん21/12/09(木) 23:01:35
「…私は構わないわ、二人は?」
「私も大丈夫です」
「自分もだよ〜。…よしっ、じゃあ早速並んじゃおうか〜」
「…!?」
…タイキトレがファルトレを片腕で引き寄せて、写真を撮りやすくするために近づく。…ついでに胸が(無意識に)当てられる。
「キタトレもだよ〜」「…分かったわ」
…キタトレも近寄るとファルトレに手を回して微笑む。…当然、その爆乳はファルトレに押し当てられる。
「…」カシャカシャ
シャッター音が聞こえる中、両脇から二つの巨大な果実を押し当てられたファルトレの顔は物理的なのと精神的なので歪み、
「…」
撮影していた人以外にもその光景を見ていた客の多くがその素晴らしいサイズのそれに何かが歪んだ。
…一応この後、ファルトレが頑張って笑顔を見せた時に撮ったそれは、素晴らしい売り上げと性癖の粉砕を招いたそうだ。
おまけ
…来店した客の一人は、奥からドリンクを持ってきたバニーガールを見て姿勢を整える。
「…お待たせしました、ミックスドリンクです」
「あ、ありがとうございます…」
(ウオデッカ…)
…テーブルに置く際、キタトレは前かがみになるのだが、それが肌色の見える上乳とその大きな膨らみを強調するのだ。
「…それと、追加でトッピングもさせてもらいますね。…私からのおまけですわ。」
…手にしていたレモンのカットをドリンクに乗せる彼女、その動作に合わせて豊満な胸肉もふるふると揺れる。
最後に優しくグラスに触れ、その指を口元でなぞるように振る舞った後、満面の笑みで喋った。
「ではごゆっくりどうぞ。」
「は、はい…」
踵を返して離れていくキタトレ、その後ろ姿は…
…ぴっちりとした網タイツがそのふとももをより肉つきがよく見せ、ボディスーツで爆乳とボディラインを強調していた。
(っ…!)
…ソレを見せつけられた結果、その客と周りの何かが音を立てて爆発四散した気がしたのだった。
≫52二次元好きの匿名さん21/12/09(木) 23:20:01☆ウサギ三匹おやつどきのここはトレセン食堂。ウサギ人間の影が1つ、2つ、3つ。
「私は激怒した……」←蒼バニー
「はいはいメロスメロス」←黄緑バニー
「タイキトレ。あまり逆撫でするようなことは、」←黒バニー
「いいんよそこは。本人だってこう始めた以上、顔赤らめて終わる覚悟はできてんじゃないかなって」
「ええ赤いでしょうね!でもそれは恥じらいのせいじゃなくて……くっ」
「確かにすでに赤いわね。服は蒼いのに。……冗談よ。そんな睨まないで」
「睨んでる先が完全にタキトレさんの乳っていうね。まあ私でも見るわこんなの。それはもー舐め回すように見てしまう」
「真正面から下劣なのはなかなか新鮮ね……。まあたまたま一緒にいただけの三人といえ、奇妙な縁として楽しみましょう」
「……ノーコメント。もう、なんでうさ耳バンド取れないかな」
「いいじゃん似合ってるよ?それにアイドルがたまにする珍妙奇天烈な格好に比べりゃ正統派にクール系だよ」
「どう足掻いてもセクシー系でしょ。というか待って、キテレツってなに?」
「アフロやドリルや鯉のぼりを頭に付けて歌って踊る……みたいな?」
「…………くっ!」
「どうしてファルトレがダメージを受けるのかしら」
「……何やっているんですの皆さん」
「あら、プリトレこんにちは。普通の格好となると、一斉にということではないのね」
「察しましたわ。覚悟が必要なのですね……記念に一枚撮ります?」
「どうして?」
「異常事態において、何気ない資料写真が解決の糸口になるのはサスペンスの王道ですから」
「ジャンルはギャグコメディに寄ってるし、半日もしない内に終わるだろうけどね……ともあれ私は「逃ーがさなーーい!」」ガシッ
「いやぁぁ!ファル子が待ってる!呼んでる声が聞こえるの!!……ていうか力強っ!?」
「……はい。二人のパワーが拮抗してるうちに撮るならどうぞ」
「ふふ、もう撮らせてもらいましたわ」
「あら、仕事早いのね……」
そんなこんなで呆れたキタトレと楽しそうなタイキトレに囲まれる形で撮られたファルトレの顔は、締め落とされそうかつ羞恥と押し付けられる胸への憤りのせいで真っ赤だったとさ。
うまぴょいうまぴょい
≫165二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 05:02:47
グラスワンダーとバニーなグラトレ(独)
「ト、ト、トレーナーさんがバニーになっちゃいました!?」
「にゃはは、ト、トレーナーさん? その格好で倒れ込まれると流石のセイちゃんも…………ムリ-」
「さ、流石は一流のトレーナーね……に、似合っているじゃない……え、ええ、大丈夫よ……私の自信だけは壊れてないわ……グフッ」
「……エルは……エルは強いのでーす……耐えまーす……ノォォ」
「皆さん大変な事になってしまいましたね〜」
ウマ娘になったトレーナー達がバニー姿になるという、もう何度目か分からないトレセン学園を襲った怪奇現象……その阿鼻叫喚なトレセン学園の中で私はトレーナー室へと向かっていました。
「おそらくは私のトレーナーさんも……急ぎましょう」
トレーナーさんの事です、バニー姿でも出歩く可能性が有ります……その前に抑えないといけません。
……あと、トレーナー室でゆっくりとバニーなトレーナーさんを見たいです。
そんな事を考えている内に私はトレーナー室へと辿り着きました。
「……失礼します……トレーナーさん、大丈夫ですか?」
少し上がった息を整えてから扉を開け、中に居るであろうトレーナーさんへと普段通りを心掛けながら声を掛けます。
そして扉を開けた私を出迎えたのは……
「ウサぴょい!ウサぴょい! う〜、ウサだっち!
う〜、ウサぽい? ウサ、ウサ、ウサ、ウサ サン、ニィ…………グラス……」
うまぴょい伝説(うさぴょい伝説?)を歌って踊っているトレーナーさんでした……
166二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 05:03:06
「違うのです……違うのですよ、グラス」
「トレーナーさん、可愛かったですよ?」
「ぐふっ……」
案の定バニー姿になっていたトレーナーさんは、どうやら私にうさぴょい伝説を踊っていたのを見られたのが恥ずかしかったみたいで赤面していますね。
……素晴らしい程に破壊力の有る姿と表情です、思わず後ろ手で扉の施錠をするくらいには……
トレーナー室の扉の鍵を閉めた私は、恥ずかしがっているのか俯いているトレーナーさんへと歩を進めます。
……その時でした、トレーナーさんから小さくも私に聴かせる様な声が聴こえて来たのは。
「…………グラスにも着て貰いましょう」
「えっ?」
「グラスにもバニーを着て貰いますね?」
「きゃっ!?」
俯いていたトレーナーさんに不用意に近付いた私はトレーナーさんに引っ張られる様に抱き寄せられ、トレーナーさんと一緒にソファーへと倒れ込みました。
……形勢逆転です、見事にトレーナーさんに組み敷かれてしまいました……
「ト、トレーナーさん?」
「グラスが抵抗しなくなるまでシましょうか……そしてグラスをバニーに着替えさせて続きといきましょう」
「……えっ?」
「ウサギは……情欲が強いのですよ?」
……白状します、この時、私の顔はおそらく期待に満ちて嬉しそうにしていたでしょう。
「トレーナーさん……」
「大人しく……食べられてくださいね?」
結局そのまま、兎の皮を被った狼さんに私は食べられてしまうのでした。
うさぴょい うさぴょい
≫176二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 06:36:36
ゼンノハベトロイと前野トレーナー
第一話「物語の始まりは何時だって唐突に」
よく晴れた春のトレセン学園。そのトレセン学園で、新しい物語を紡ごうとする若人がいた。
「私もトレーナーになれたのですね……ずっと、夢に見ていたトレーナーに、頑張ってウマ 娘を英雄にしてあげます!」
私、前野ロブロイ(ゼンノロブロイ)もそんな若いトレーナーの一人です。
小さい頃は病弱でしたが、物語を読み、ウマ娘たちのレース姿に憧れて、私もこうしてトレーナーになりました。
引っ込み思案な私ですが、トレーナーとしてウマ娘をスカウトしていきたいです。
────────────────
「やっぱり……上手くいきませんでした……」
引っ込み思案な私では上手くスカウトをすることができず、こうして図書館に来ていました。
図書館で物語を読んで、私も勇気を、と思ってのことでした。私と同じ名前の英雄、『ロブ・ロイ』の英雄譚を……。
「「あっ」」
本を手に取ろうとすると、同じ本をとろうとしていた手と当たってしまいました。
目の前を見てみると、そこには一人のウマ娘の姿がありました。
私と同じくらいの身長と体型、綺麗な黒毛の髪は三つ編みにまとめられていて、綺麗な緑色の瞳でこちらを見つめています。
トレセン学園の制服を着ているためきっと生徒ですね。他の人と同じ制服を着ているのにすごくピシッと着こなしていて、小さな身体なのにすごく大人っぽく見えます。
そのきれいで可愛らしい顔をずっと見ていると、スッと後ろに下がり、学生とは思えない物腰柔らかな仕草と柔らかな微笑みで道を譲りました。
「すみません、トレーナーさん。お先にどうぞ」
「い、いえ……こちらこそお先にどうぞ。私は何度も読みましたので……」
流石に学生相手に道を譲られるわけにはいきません、そう思い先を促そうと……
177二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 06:37:47
流石に学生相手に道を譲られるわけにはいきません、そう思い先を促そうと……
「そうなんですね。私もこの本がとても好きで、何度も読んでいるんですよ。あの○○のシーンが特に……」
その瞬間、私のギアが入りました。
「はい、そうなんですよ。あのシーンの○○のキャラの心情は……」
昔からの悪い癖で、同じ本を好きな相手だとわかるととても語ってしまう癖がでてしまいました。そのまま、数分間、ずっと語ってしまいました。
気づいたときには、申し訳なさのあまり、顔が赤くなってしまいそうです。
「あ、ご、ごめんなさい……。初めての人に、こんなに語ってしまって……」
ですが、目の前の子はそんな私に困惑した顔はなく、逆に嬉しそうに見ていました。
「そんなことはありませんよ。ふふ、同じ好きなものを持っている人と話すのは、すごく楽しいですので。よろしければ、もっと話しませんか?」
「!!はい、もっと話しましょう!」
「あ、そうですね、話す前に自己紹介を、私はゼンノハベトロイ、このトレセン学園に入学した生徒の一人です。よろしくお願いしますね、トレーナーさん」
それが、私とゼンノハベトロイの出会いでした。
という訳で、出会いの所だけですね。
続きは次スレから投げますね(さすがにここから10レス近く投げるのはやめておいた方がいいでしょうし)
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part543【TSトレ】
≫7二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 07:26:43
ゼンノハベトロイと前のトレーナー
第二話「民衆の期待、英雄の顔」
ゼンノハベトロイと仲良くなった数日後、彼女のことを改めて調べてみました。
ゼンノハベトロイ、という名前は今のトレセン学園ではとても有名です。
トィンクルシリーズで大きな活躍をした有名なウマ娘の子供であり、非常に注目されているステイヤーです。
既に練習でもその片鱗は現れており、中盤から上がっていき、そのままの足で走り切る持久力が素晴らしいと評判です。
実際にその走りを目にしましたが、一目で惚れこんでしまいました。あの走りをもっと輝かせてあげたい、英雄にしてあげたい、と思えます。
距離は違えどまるでかつてのあのウマ娘のようだ、と多くの人々から期待されており、既に多くの人がスカウトをしているようです。
まだスカウトは受けてはなく、スカウトする権利は平等に、選抜レース後にスカウトを受けたいと思います、と言っているようです。
でも、私のようなまだなりたてのトレーナーにはきっと相応しくないのかもしれません。
「すごいですね……まるで物語の英雄のようです。でも……」
改めて調べてから、昨日の彼女の顔を思い浮かべます。
とても柔らかな方で、私よりもずっとしっかりしているようでしたが、あの時の顔……。
一緒に物語を読んでいる姿、特にヒロインに事を語る時のあのキラキラとした顔こそが、本当の顔のように思えてなりません。
8二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 07:30:06
「おや、トレーナーさん、こんにちは。ふふ、先日は楽しい時間をありがとうございました」
「あ、ハベトロイ……、こんにちは。こちらこそ、先日はありがとうございました。とっても楽しかったですよ」
そうして廊下を歩いていると、ハベトロイが目の前にいました。どうやら考えすぎていて気付きませんでした。
元々体の小さな私とピッタリ目が合う身長を考えると、とても小柄なウマ娘です。
それなのに、とても落ち着いていて、すごいです。
「私もとても楽しかったですよ。もしかして、今日もトレーナーさんは図書館に?」
「はい、今日もいこうと思っています。あの、ハベトロイもですか?」
「ええ、私もです。ふふ、折角ですのでまた一緒に行ってもいいでしょうか?色んな物語をぜひ紹介してほしいです」
「はい!ぜひ、一緒に語りましょうね」
それから放課後は彼女とともに過ごすようになりました。
彼女は小説よりも漫画の方が好きなようですが、物語そのものを好きなようでした。
私は漫画も嗜んでおり、お互いに今まで読んできたものを紹介しあったり、二人で語り合ったりもしました。
「ふふ、私、こんな風に沢山私自身の好きなことで話すの、初めてです」
「そうだったんですか?そんなふうには思えませんよ」
ふと、彼女はそのようなことを話してくれました。
他の人と話すときも落ち着いた様子ですし、友好的で慕われています。それならこういったことを話すことも多いのかと思っていましたが、どうやらそうではないみたいです。
「ええ、その、友達も多くいますし、世間話やレースに関することなど話すのですが、なかなかこういったことで盛り上がる相手がいなくて……だから、こうして自分の好きなものを語れるのがとても楽しいんですよ」
「フフ、その気持ち……、とても分かります。私は昔は体が弱くて、物語について話せる相手がいなかったので……」
「そうだったんですね……あの、トレーナーさん、もしもよろしければ、是非来週の選抜レース、見に来てください」
「はい、私もあなたの走り、とても見たいです。ハベトロイ、頑張ってくださいね」
そう言って今日の放課後の時間も過ぎていきました。来週の彼女の走り、とても楽しみです。
「……頑張らないと……みんなの期待に、答えなくては……私は、あの人の子供なんだから……」
9二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 07:31:19
ゼンノハベトロイと前野トレーナー
第三話「民衆を恐れる英雄の素顔」
選抜レースが明日に迫った夜の図書館。
明日の選抜レースが楽しみで夜までトレーナー室で調べ物やハベトロイのトレーニングメニューなどを考えてしまいました。
彼女のトレーナーになれていないのに、自然と書いてしまっていました。それほど、既に彼女の走りに惹かれてしまっているのですね。
自分でも素直に納得しながら廊下を歩いていると……
「ダメ……怖……だれ……も……見ない……で……」
微かな音が耳に届きました。
本当に微かな声で、もしかしたら風の音だったかもしれない、と思えるような音。
それでも、聞き覚えのある、でもこんな声を出すような人ではない、と思いながら、聞こえた方向へと足を進める。
図書室前まで歩きましたが声は聞こえず、空耳だったのだろうか、と思ったその時……
「怖い……怖いです……誰か、誰か、助けて……」
「!!ハベトロイ!」
はっきりと、聞こえました。誰もいないはずの図書室の一角へと駆けていく。
そこはいつも彼女と一緒に語らいあっている机、その場所に……
「!!誰ですか……え、と、トレーナー、さん……」
「ハベトロイ……大丈夫、ですか」
涙を流し続ける一人のウマ娘、ゼンノハベトロイの姿がありました。
10二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 07:31:43
「トレーナーさん……その、すみません……」
「い、いえ、いいんですよ……その、どうしたのですか、ハベトロイ」
体を寒くさせてはいけない、と思い、スーツを彼女の体にかけてあげながら、彼女の話を聞こうと、彼女と目線を合わせます。
ジャージ姿で、恐らく夜遅くまで走り続けていたのでしょう、汗でびっしょりになっていました。
本当にこのままでは風邪をひいてしまいそうです。すぐに帰してあげたいですが、きっと今の彼女は帰ろうとしないのでは、と思いました。
だから、彼女の話を聞こう、そう思いました。
「……その……明日の選抜レースが……怖いんです……」
「怖い?どうしてですか?」
「……期待しているみんなを裏切ってしまうんじゃないか、って思ってしまうんです……」
ぽつりぽつりと、彼女は語りだしました。
正直言うと、この弱々しい姿には衝撃が大きいですが、それでもこれも彼女の姿だというのが伝わります。
その彼女の言葉を逃さずに、静かに……
「私……昔からお母様のようにレースで活躍することを望まれ、期待されてきました。私も、走るのがとても好きで、勝負服を着て走るお母様の姿が大好きでした」
「ですが……次第に、その期待に満ちた目が怖くなっていったんです。周りの人は私をお母様のように走ることを望んでいて……」
「そんな時です。私がマイラーの適性がないと知った時の周りの大人たちの目が……お母様と同じ道を望んでいた人々の失望の目が……」
「ああ、私はお母様のようにあることを望まれているんだ、そう分かってしまったんです。それからはお母様のように走ることだけを考えて……」
「もう、分からないんです……私、どうして走っているのか、あんなにも好きだった走ることが、怖いんです……みんなを裏切ったらどうしよう、って怖くて……」
「私……どこに進めばいいのでしょうか……」
11二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 07:32:35
それは、彼女の本心からの言葉だった。
今まで柔らかな姿でみんなから慕われる姿は一つの仮面《ペルソナ》だったのですね。
本当のあなたはこんなにも怖がりで、助けを求めている子供の姿。
こんな小さな体で沢山の期待を身に受けて、もう、訳が分からなくなるほどになってしまっているんですね。
……こんなにも弱々しい彼女を放っておけるでしょうか、いいえ、できません。
でも、私の言葉でどうにかなるのでしょうか……物語の英雄なら、こんな時は……。
ふと、頭に浮かびます。これでいいのかはわかりません。でも、それでも彼女に手を伸ばせるのなら……。
物語の英雄たち、私に、そして彼女に力を貸してください。
12二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 07:33:38
ゼンノハベトロイと前野トレーナー
第四話「そして物語は始まった」
「進む道が分からない……なら、私の……英雄譚を、一緒に歩みなさい!」
「え……」
「わ、私は、英雄を目指しています!トレーナーとしての、英雄です!だから、そのヒロインのウマ娘であるあなたは、一緒に私と進んでいけばいいです」
「私が、ヒロイン……?」
「は、はい!あなた自身です!英雄である私が、ヒロインであるあなたを、絶対に守ってみせます。走る意味も一緒に探します。だから、物語の旅路を……一緒に、歩みませんか?」
物語の英雄を演じながら、彼女に言葉をかけます。私自身を英雄、というのはとても恥ずかしいです。
でも、誰にも助けを求められない彼女を助けるのなら、英雄であるものしかいない、そう思えました。
分からないのなら一緒に探したい、怖いのなら守ってあげたい。
だから、それを言葉にして伝えます。どうか、この想いが届いてほしい、そう思いながら……。
「……ふふ」
夜の静寂に一つの笑い声が聞こえます。
弱々しくなっていた彼女が、確かに、笑ってくれています。
13二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 07:33:54
「ふふ……とてもかわいらしい英雄さんですね」
「あうう……ご、ごめんなさい……」
「でも、とても勇気をもらえました。ありがとうございます……ウマ娘の人生は一編の物語、でしょうかね」
「?その言葉は……」
「いえ、ふと、思い浮かんだ言葉です。一編の物語なら、あなたとともに歩む英雄譚も一つの人生なのでしょうね」
「……ふふ、そうですね、それは素敵な発想ですね」
「……今はまだ分かりませんが、貴女の英雄譚に寄り添って歩めるのなら、私、頑張ってみます」
「ハベトロイ……」
そういうと、ハベトロイは手を出します。まるで、右手がお留守なのを何とかしてほしいかのように
普段はあんなにも大人みたいに落ち着いているのに、今の彼女は年相応の可愛らしく感じられます。
その手を優しくとります。すっかり冷え込んでいるその手を、凍えてしまっていたその心溶かすように、優しく、包み込む。
「フフ……。一緒に行きましょう、ハベトロイ」
「ええ、お願いしますね、トレーナーさん」
そういうと、ハベトロイを寮へと案内しました。
二人とも沢山怒られましたが、それでも確かな絆が感じられました。
14二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 07:34:26
『選抜レース2000m、一番人気はこの子、ゼンノハベトロイ!期待通りの走りを魅せるのか』
選抜レース当日、ハベトロイはしっかりと出走していました。
落ち着いているように見えて、今ならわかります。周りからの期待に満ちた目に緊張して、おびえているのが……。
「ハベトロイ……!!私が、いますから……!」
その姿を見たら、自然と、声が出ていました。
その声が届いたのか、私の方を向いて、嬉しそうに微笑み返してくれました。
きっと、今の彼女なら大丈夫、そう思いながら……。
『全ウマ娘、ゲートインしました。スタートです!!』
────────────────
レースが始まりました。
走り始める前からずっと突き刺さる期待に満ちた視線。今までの練習の時以上に突き刺さる多くの目、目、目。
怖い、怖いです。お母様のように走ってくれることを期待する目が、怖いんです。
もしも裏切ってしまったらどうしよう、そう思い、逃げるようにして走る。振り切るようにして……。
『ハベトロイ……!!私が、いますから……!』
その言葉が、心に満ちてくる。
怖い気持ちは今も変わらずあります。今も突き刺さるその期待の視線が、私の足を切り裂こうとしてきます。
でも、あの人の言葉が、思いが、私を守ってくれる。
走れる……私、走れています……。
お母様のような走りではなく、確かに、私自身の走りが……。
15二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 07:35:23
「トレーナーさん……見えます。今まで分からなかった、物語の道が、見えます!」
見える。今まで振り切るようにして走ってきたからわからなかったけど、確かに見える。
走り続けるウマ娘たちの中から、結末《ゴール》へと至る道筋が……。
……残り500m
足をためる。すぐに逃げだそうとする必要はありません。周りの目はトレーナーさんが守ってくれているから。
……残り400m
真っすぐ目の前を見る。既に道はできている。トレーナーさんが作ってくれた道筋がここにある。
……残り300m!!
「はああああ!!!!」
一気に足を踏み切る!
見えていた道筋を一気に駆け抜ける。次々に目の前のウマ娘たちを抜き去っていく。
……残り200m!!!
あともう一人、相手も負けない、絶対に負けられない、という思いが伝わる。それでも負けない、どうして分からなくても、それでも負けたくない!届け、届け、届け!!
……残り100m!!!!
とどい、た!!!
目の前のウマ娘を抜き去る。目の前に広がるのはどこまでも広がるグラウンド。
だけど、そこには確かに、これからの冒険の旅路が、見えます。
トレーナーさんと一緒に歩んでいく物語が……。
『ゴール!!ゼンノハベトロイ、どこまでも綺麗に差し切った!!まるで差しの見本を見せるかのような走り!!』
実況の声も聞こえない。今の私には、トレーナーさんの声とその物語しか見えないのですから。
16二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 07:35:39
「お疲れさまです、ハベトロイ」
「トレーナーさん、私、走れました。私自身の走りが、できました」
ハベトロイがレースから戻ってくると、一直線に私のところに駆け寄ってきました。
私のところに一番に来てくれたのが本当に嬉しく思えます。
「あの、それでトレーナーさん……」
ハベトロイがこちらをまっすぐ見つめる。
その意図はしっかり伝わります。それにこれは私の方から言いたい言葉でもありますから。
「ハベトロイ、改めて、一緒に物語を歩んでくれませんか?」
昨日の夜のように恥ずかしながらも、それでも自信をもって彼女に契約を申し込む。
その言葉を受けて、ハベトロイは微笑みを、本当の微笑みを浮かべながら……
「はい、どうかよろしくお願いします……私の英雄様」
そして私たちの物語は幕を開いたのでした。
というわけで、ロブトレ異聞帯概念でした。
ロブトレが担当ウマ娘、ロブロイがトレーナー、となるなら、こういう感じになりますね。
その場合の育成ストーリーは周りからの期待に押しつぶされることをクラシック期に、そしてなぜ自分が走るのか、その意味を求めるシニア期、というイメージになります。
いつも柔らかな物腰でまるで大人のような雰囲気だけど、本当は周りの目が怖くて訳が分からなくなった子供なロブトレと、小さなロリ巨乳で引っ込み思案だけどその心には確かに英雄で大人なロブロイという二人のストーリーは見てみたいですね
では、長文、失礼しました、読んでくださりありがとうございました。
≫25二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 07:53:49
グラスワンダーとグラトレ(独)のぱかプチ人形
「……トレーナーさんにプレゼントです、受け取って貰えますか?」
そんな言葉と共に差し出された紙袋を受け取ったトレーナーさんは今日は何の日だったか思案顔です。
「いえ、特別な日という訳では無いです」
私の告げた言葉にキョトンとした顔のトレーナーさん、この辺りはウマ娘となる前から変わっていませんね。
「ロブロイさんと、ロブロイさんのトレーナーさんに手伝って貰って人形を作ったんです」
そう言うとトレーナーさんは納得顔をして嬉しそうに紙袋を漁りだしたトレーナーさんは、入っていた人形を見て驚いています。
「はい、それはトレーナーさんの人形ですね」
夜の帳の様な黒鹿毛の髪と尻尾を携える和服のウマ娘のぱかプチ人形、今のトレーナーさんを模したぱかプチ人形。
……トレーナーさんは直ぐに部屋に飾られていた私のぱかプチ人形の横に人形を置きましたね…。
人形を置いたトレーナーさんは人形の出来をとても称賛してくれます。
……トレーナーさんが私を褒める時の様子も前と変わりませんね……
「……トレーナーさん……実は人形はもう一つ有るんです」
そんな、とても喜んでいるトレーナーさんにもう一つ人形が有ると告げると期待した顔でこちらを見つめてきます。
……こちらを向いた耳と振られる尻尾は、当然ですが前はありませんでした……
「……こちらです」
私が取り出し、手渡して来た人形を見るなりトレーナーさんは神妙な面持ちへと顔を変え私の名前を呼びます。
……その声に驚きと懐かしさを含んでいる様に聴こえたのは私の聴き間違いだと良いのですが……
27二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 07:54:19
「はい、トレーナーさんの人形です……ウマ娘となる前の……トレーナーさんです」
黒髪の穏和そうな男性の姿を取ったぱかプチ風の人形……ウマ娘となる前のトレーナーさんを模した人形です。
その人形を手に持ったトレーナーさんは何も言って来ませんでしたが、どうしてコレを? と、聞く様な顔をされていました。
「……トレーナーさんは今の姿でも楽しんでおられますね……ですが、私は……私はいつかトレーナーさんが、私の知っているトレーナーさんで無くならないのか不安です……」
あるトレーナーは呑まれない様に脚を折りました……あるトレーナーは今も呑まれ無い様にせめぎ合ってます……そして、あるトレーナーは記憶すら無くされました……
「今は平気でもトレーナーさんがそうならない保証は有りません」
トレーナーさんが私の知らないトレーナーさんへとなってしまったら……きっと私は耐えられません、耐えるには関係が強くなり過ぎました……
「だからコレは私なりの抵抗なのです、トレーナーさんが元々の自分を忘れ無い様にする……私なりの……」
私の言葉を静かに聴いていたトレーナーさんは、やはり静かに私を抱き締めてくれました。
そして一言……ありがとう……そう囁きました。
(どうか何処にも行かないでください、トレーナーさん)
そんな願いが込められたトレーナーさんの人形は私のぱかプチ人形を挟む様に置かれました。
どちらの姿でも私のトレーナーさんです、私の手が離れない様に……私の手が離さない様に……私の人形は二つのトレーナーさん人形と手を繋いでいるのでした……
28二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 07:54:48
了です。
今は平気でも、もしかしたら呑み込まれるかもしれない……
そんな不安を抱える担当ウマ娘は居ると思います。
それと独占力に走りすぎてボツになったオチの方も上げます。
29二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 07:55:15
「何処にも行かないでください、トレーナーさん」
「グラスは、俺が迷子になっていたら連れて帰ってくれるだろ?」
……トレーナーさんは酷い人です、何処にも行かないとは誓ってくれませんでした……変わりに私ならトレーナーさんを見付けてくれる……と……
……トレーナーさんは酷い人です、こんな時でも私がトレーナーさんから離れれない様に鎖を増やしてきます……
……トレーナーさんは酷い人です、私は既にトレーナーさんから離れれないというのに……
私のトレーナーさん……どうか何処にも行かないでください、何処にも行かない様に縛り付けなくてはいけなくなります……
≫39二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 08:09:12
───某所のアパート、日の上がる頃
「…ああ、おはよう」
「おはよう、トレーナー…」
「…ファイン、眠たいならまだ寝ててもいいよ。」
…ファインに優しく声を掛けるのはファイトレ、下着と軽くズボンをつけただけの彼女は、ファインに持っていたシャツを着せる。
「…トレーナーさんの、いい匂いだね…」
「…なるべく体を冷やさないようにしないとね。すぐに着替えた方がいい。」
「ううん…、これ着てるから…」
そうファイトレの大きいシャツを着ながら目を擦っていうファインに、ファイトレは諦めてベッドに座らせる。
「…仕方ない、空調は効いてるからいいか。」
「トレーナー…」
ファイトレはふと尻尾から走る感覚に体を震わせる。…見るとファインがファイトレの尻尾を抱きまくらのようにしていた。
「ちょっ…ファイン、くすぐったい」
「ふさふさの尻尾…温かいな…」
…毛だけとはいえもみもみと触りながら笑うファイン。ファイトレはその姿を見て言いしれぬ感情を抱えつつ、彼女の顔に触れる。
「かわいいな…ファイン、私は気にしなくてもいいよ?」
「…あ…トレーナー、今日もいつもみたいに…」
「…分かった。」
…ファイトレがベッドに座ると、ファインは尻尾を手放して彼女とともに横になる。向き合うような形でファイトレはそっと話し出す。
「ああ、三日前はね…」
───あの日以来、ファインがファイトレに頼んだことは、最近の出来事や思ったことを全て話してということ。
楽しかった思い出も、あるいは些細なことでの嫉妬にしても、その感じたことをどんなものであれぶつけてほしいと。
彼女の話を聞くうちに、目がぱっちりとしてきたファインは、甘い感情をファイトレに抱く。
(いつも頼れるトレーナーだから、その分は私も受け止めてあげたい。かわいいな…)
「…なあ、ファイン…」
「…トレーナー」
ファインはトレーナーに手を伸ばす。彼女のウマ耳を、その細い腰を、整った顔を撫でている内に湧き立ってくる感情。
「かわいい…」
───それから更に撫でて、お互いに思いを交換し終えた後に、もう一度、深く混ざり合うようにとかしあった。
≫93二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 11:04:43
第一話
某日、トレセン学園にて
「…ようやく、一人前のトレーナーですね」
…里見家で待望されていたトレーナー、それになれたことを喜ぶのは里見金剛(サトノダイヤモンド)こと私です。
トレーナーとしては新米ですが、それでも意思の強さでは他の誰よりも強いと自負する私は、これからについて悩んでいました。
(…担当ウマ娘を見つけないといけませんね)
…トレセン学園には数多くのウマ娘が在席し、トゥインクルやドリームトロフィーで競い合っています。
私は、トゥインクルにデビューする前の娘と契約して、二人三脚で駆け抜けていくと決めていました。
「…思い立ったが吉です、スカウトに向かいましょう♪」
…私は学園内を歩きながら悩んでいました。
(中々出会えませんね…)
…選抜レースの映像や、その他の資料を元に目ぼしい娘を探していますが、中々見つかりません。
「困りました…ってあっ」
「…!、すみません…」
…生徒でしょうか、体が軽く当たったことに謝ってくるウマ娘に話しかけようとして…
「…失礼しました、それでは…」
…そそくさと体を丸めて立ち去って行こうとする彼女に、私は引き止めて話を聞きました。
「…えっと、僕の名前はサトノジャッジです。」
「私はトレーナーの里見金剛です。」
「…トレーナーなんですね。それで、僕に何か用があるんですか。」
「そうですね…、少し気になったので。」
「…スカウトなら僕より他の娘を当たってみた方がいいですよ。例えば昨日の選抜レース、あれを走ってた娘たちとか。」
…当たり障りのない、謙遜しているような対応に
(…何だろう、彼女に凄く違和感を覚えます。)
「…いいえ、私はスカウトしに来た訳ではありません。ちょっと話がしたかったんです。」
「…?」
「ということで、少しお話しましょう♪」
94二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 11:05:01
「…そろそろ時間ですね」
「…そうですね。楽しかったです、それでは…」
「はい、また会いましょうね♪」
…結局、世間話をしてその日は別れました。歩き去る彼女の後ろ姿を見ながら、私は何故か彼女のことがずっと気になっていました。
「…あ、流石に喋りすぎましたね…」
…私は反省しつつ、明日こそは見つけると意志を固めてその日は過ごしました。
───これが、私がともにトゥインクルを駆ける天使との初めての出会いだと、当時の私はまったく思いませんでした。
95二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 11:06:03
第二話
…次の日、私はスカウトに向かいながらも、昨日のサトノジャッジちゃんのことについて考えていました。
親が優秀なウマ娘であった訳でもなく、それでもトレセンに入れるくらいには走れる娘、それくらいしか情報はありません。
(それなのに、なんで私は彼女に惹かれてるんでしょうか…)
「はぁ…はぁ…」
…私は微かな、しかし荒れた息遣いを聞き、思わず音のする方、グラウンドを見ました。
「ふぅ……」
深呼吸をしながら体を休める彼女。その小さな体躯は間違いなく昨日のサトノジャッジちゃんでした。
…私は少し気になり、バレないように彼女の自主練を見ることにしました。
「…ふっ!」
息を整えて走り出すジャッジちゃん、息遣いからして疲労しているはずですが、気にしないように走り出します。
長距離のランニング、スタミナを上げるためなのか普通の娘よりも早いペースで走っているように見えます。
「…ッ!」
とことん自分を追い込んでいるようにも見えるその練習は、彼女が努力家であることを示しているように思いました。だから…
「サトノジャッジちゃん!」
「…!」
黙っていられなくなった私は、彼女に呼び掛けるとすぐに気づいた彼女はこちらに寄ってきます。
「…見てたんですか」
「途中から、ですけどね。それより、貴方にちょっと伝えたいことがあって」
「?」
「走るフォームです。疲れているからかもしれませんけど、多分それだけじゃないですよね?」
「…」
「少しずつですけど、わずかに崩れているのが気になったんです。それでは疲れるし怪我に繋がってしまいます。」
96二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 11:07:03
そこで、黙っていた彼女は口をゆっくりと開くと小さな声で話した。
「…でも、フォームが合っているのかだなんて、僕には分からないよ…」
(…もしかして、迷ってる感じなのかな?これでいいのか分からないって思ってるのかもしれない。だったら…)
「…じゃあ、私が合っているか教えてあげます。そうすれば貴方なら出来ると思うんです。」
「…うん、分かったよ。」
…彼女が走り出すのに合わせて、私も姿勢を常に見続けます。崩れ始めたら彼女に教えて、そうでなければそれも教える。
(…目に見えて早くなってきてる、これなら…)
─効果は一目瞭然でした。明らかに疲労は少なくなり、今までの練習以上の速度を維持しています。
───走り終えて戻ってきた彼女に、私は声を掛けました。
「どうですか?」
「…ありがとう、僕も早くなってるって実感出来たよ。」
「これで明日の選抜レースも大丈夫ですね。…頑張ってきてくださいね。」
「うん、そうするよ。…ありがとう」
「じゃあ、また明日会いましょうね」
私はそう言ってグラウンドを去りました。まだまだ時間はありますし、この調子でスカウトも頑張らないといけませんね。
「僕に期待してるのかな…じゃあ、勝たないと…」
長文?失礼しました
サトノジャッジちゃんとのストーリー第1、2話です。里見金剛とかいう名前はまあうん…。
現在のジャッジちゃんはいわば初期の自信がない弱々仕様です。自分自身を信じれないという問題も抱えていますね。
後編は書け次第あげます。多分今日中には上げられると思います。
≫106二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 12:25:23
ネイチャが知った日にはきっと今以上にキラキラした目で可愛がる
ネイチャ「そんなの持ってたの!?やるじゃん!すごいすごい!」
ヤッテヤレナイコトハナイ!
ネイチャ「向上心の塊!……かわいくて前向きで、ホントいい子だねぇ。よしよし」
ネイトレ「……本当なの?ネイチャに嘘ついてない?」
ハイ メンキョショー
ネイトレ「(無言の土下座)」
≫156二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 14:27:17
ならば時間経ったから
斗礼四股道で微塵に圧し潰すだけだ!!
滲み出す混濁の色気
不遜なる無自覚な肢体
指摘されて・否定し
吐息・上目遣い
ブラトレが鼻血を出す
ツッコミを入れるフクマク
絶えず自戒するテイオーの理性
赤面せよ・涙目せよ
地に満ち
己のエロさを知れ!!
テイトレの九十
『エロ棺』!!!!
女神も邪龍も超越した私の放つ完全詠唱のエロ棺だ!!
スレが爆破される程の助平の奔流だ!!
君如きでは理解する事すらできまい!!
≫163二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 14:42:15
第三話
…今日は選抜レース、サトノジャッジちゃんも出走するそのレースは、私も見に来ていました。
(えっと、ジャッジちゃんは…いましたね)
一枠一番。内側にいる彼女はレースに緊張しているのか、少し動きが硬いように見えます。
(頑張って…!)
私はそう祈りながらファンファーレの音を聞きました。
(期待してる人がいるんだ…勝たなきゃ…)
僕はそう僕に言い聞かせながらパドックの中に控えていた。
…見る所もないはずの僕に、手伝ってくれただけじゃなく信じてくれると言った人のためにも、負けることは出来なかった。
ガコンッ!
パドックが開くと同時に飛び出す。スローで後ろにつけると前に走る人達を観察する。
(観察して突破口を見つけないと…)
前が塞がれることは追込である僕にとって致命的なことだ。だから抜き去るための道を常に見つけて抜く。
…ふと、前を走っている先行の一人が視界に入った。逃げに続くような位置で走っている彼女は、周りの子とは違う。
(フォームも息遣いも鋭い…)
観察の優先度を上げて、彼女への対策を考える。
(ステイヤーかな…?でもスタミナは少なくとも僕より多くないはず…なら末脚勝負に持ち込む…?)
───中距離2000mのこのレースも半分を越え始めていたタイミングで、僕は彼女を抜くためにロングスパートをうつことに決めた。
(仕掛けるのは600mから、ルートはとれてる。…僕は勝つんだ!)
コーナーに差し掛かり、曲がり始めた所でスパートをかける。じりじりと追い上げて周りを抜き去りにかかる。
164二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 14:42:24
500m、追いつかれ始めたのを把握したのかその子も加速して前に出る。
でも、僕なら追いつけるはず…信じないと…
300m、差はじりじりと詰まる。けれどこのペースでは間に合うのか不安…
200m、彼女以外を抜き去り、その彼女の後ろから迫る。でもまだ届かない
100m、手を伸ばす。それでも届かなくて…
『今ゴール!!!ハーティスクが逃げ切った!…』
…負けたの?僕は…
あ、ああ…
───────────────────
掲示板に輝く半バ身差、惜しくも2着となったサトノジャッジちゃんを見ながら、私は彼女の元に向かおうとしました。
(大丈夫でしょうか…?)
もし落ち込んでたりしたら慰めてあげようと思っていた私は、ふと走り去っていくサトノジャッジちゃんを見つけ…
「…待って!」
…慌てて追いかけました。
165二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 14:43:09
第四話
…ターフから逃げるように走りだしたサトノジャッジちゃんを追いかけて、私はトレセン学園の外にあるとある神社に付きました。
急いで階段を駆け上がり、息も絶え絶えになりながら登りきったその先には…
「…」
…片隅で俯きながら座り込むサトノジャッジちゃんの姿がありました。
顔はただでさえ目が隠れているのに加え、俯いていることで見えないけれど、その尻尾をたらし、耳をペタンと倒した彼女は…
「…ほっといてよ…」
…微かな声で私に言ってきます。でも、私はそれを意に介さず近寄って話しました。
「いいえ」
「…失望したよね…」
「いいえ、私はほっておきませんよ」
「…なんで……僕は貴方の期待を裏切ったんだよ………どうして…優しくしてくれるの…」
「私が、そうしたいと思ったからです。」
頭を掻きむしるようにするサトノジャッジは泣きながら
「…分からないよ…!トレーナーなら、勝てる子をスカウトしにいくのが普通なんでしょ…!?」「…私は、サトノジャッジちゃんが弱いだなんて思わないです。それでは駄目ですか?」
「…そんな訳ないよ…、…僕は…自分のことも信じられない弱い子だから…!」
「なら、貴方が自分を信じられるようになるまでずっと支えてあげます。どこまでも羽ばたけるように。」
166二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 14:43:51
「…え?」
「もちろん、途中でやめたりはしません。…だから、私と契約しませんか?」
「…本当に、僕でいいの?」
「はい」
「…うん、じゃあ…よろしくね、トレーナー…!」
「よろしくお願いしますね、ジャッジちゃん。私のことは里見金剛ではなく、ダイヤと呼んでください。」
「…分かったよ、ダイヤトレーナー」
「はい♪…それでは、帰りましょうか。」
───この日、ダイヤモンドの輝きは、眠っていた天使を目覚めさせ、やがて輝かせる鍵となったのだった。
長文?失礼しました
サトノジャッジのストーリー第3、4話です。こんな出会いとなればジャッジちゃんのトレーナーというか相方観もぶっ壊れるね…。
彼女の育成だと、クラシックまでは自分を信じれるようになるための支え、シニアには羽ばたいた彼女の翼になる感じです。
本質的に他人にアイディンティティを依存するのがサトトレ(とファイトレ)なので、例えばこの異聞帯だとこのようにトレーナーにべったりになります。代わりに一度誰かに支えてもらえば安定はします。まあ批評を浴びせられたり、こうやって負けたりして裏切ったって感じるとすぐに自責してしまう脆いメンタルなんで、そういう面でケアしてあげられる人は必須なんですが。じゃ、キタトレチムメンネタ書いて来るので…
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part544【TSトレ】
≫11トレウマ逆転蒼SS1/321/12/10(金) 16:12:46
私、新人トレーナーの飛鷹 醒目(ひだか ひより)!ウマ娘だけれどレースじゃなくて走って歌って踊る子たちの手助けがしたい!ってサポート科に進学して、今年やっとトレーナーデビュー!
夢はキラキラ輝くトップウマドルのプロデュースをすること☆
そんな私は未来のウマドルを探しに選抜レースに来てるんだけど……
「───はぁぁぁぁあ……」
「どうしたのよ、でっかい溜息なんかついちゃって」
「あっ、御光ちゃん」
この子は作瀬 御光(さくせ みれい)ちゃん。私と同じ新人トレーナーだけど、既に何人かのウマ娘からオファーが来てるらしいの。羨ましいなー。
「どうせキラキラしてる子がいないーとかそういうことでしょうけど」
「うん……なんかビビッと来ないっていうか……ちょっと物足りないっていうか……」
「あなた高望みしてられる立場じゃないでしょ?いくら相性や直感重視でも理想が高すぎると本当の機会も逃しちゃうわよ」
「それは分かってるんだけど……うぅ……」
「……だったらいい加減砂の選抜も見てみたら?こんだけ芝選抜に通い詰めてもピンと来てないならいよいよ本格的にダートの方が向いてるかもしれないわよ?」
そう。何も選抜レースは芝だけで行われているわけじゃない。いろんな距離が設けられているように、ダートで行われている選抜レースもある。
…けれど、瞼を閉じて浮かぶのは、いつか見たライブ。芝の上を駆け抜けていった娘たちが、競争者人生に一度の祭典を駆けた少女たちが、嬉しさも悔しさも一緒くたに輝かせてみんなに夢を見せるパフォーマンス。
「……でもやっぱり私は芝がいいなぁ……自分の担当がセンターでwinning the soul歌ってるとこ見たいもーん……」
「ほら食わず嫌いしない。砂には砂の良さがあるのよ?私もダートの子達との方が気が合ったんだし」
「やーだー!あー引っ張らないで―!!」
御光ちゃんが私の首根っこを掴んで引っ張り出す。せめてもの抵抗もむなしく、私は引っ張られていく。
12トレウマ逆転蒼SS2/321/12/10(金) 16:13:11
「むー」
「ぶー垂れないの。あの子たちに失礼でしょ?」
「それは確かにそうだけれど……何も引きずらなくたって……」
「そうでもしないとあなた来ないでしょ?」
「むむむ……」
場所は変わってダート専用トラック。トレーナーたちが芝と砂両方を見られるよう、それぞれの選抜レースは少し時間をズラして行われる。これから走るウマ娘たちがゲート前で思い思いに過ごしている様子を、私は眺めていた。
「一体ダートの何が不満なのよ。芝とは違う力強いレースは魅力的だし、脚質の違いはあるんだから砂のレースも中央には不可欠。何より走っている子たちは芝の子たちに負けないぐらい頑張ってるわよ?」
「…でも、みんなはやっぱり芝の方をちやほやするんだもん……」
「まあ八大競争全てが芝のレースだし、中央のダートレースがごくわずかなのは確かよ。けれど、やっぱり一度見てから判断した方がいいわよ」
その言葉への私の疑心をよそに、御光ちゃんはトラックを見つめる。追求を諦めてコースに視線を戻せば、ゲートインが終わろうとしていた。
ゲートが開く。芝とは違う熱気、気迫。スタートは力強く、巻き上げられる砂とバ群を掻き分け、みんなが自分のポジションに陣取ろうと走る。
そんな中、ハナに立つウマ娘が一人。スレンダーな身体からは想像できないほどのパワーで、栗毛をなびかせてバ群を割って一気に前に出る。
何となく。目に留まった。別に逃げウマなんて珍しいものじゃないし、そういう戦法を取るなら多少無理をしてでも先頭を確保しにいくのは当然のこと。
けれど、その子が少し気になった。
13トレウマ逆転蒼SS3/321/12/10(金) 16:13:39
レースは中盤に差し掛かる。けれどあの子は息を入れる様子もなく遮二無二逃げている。
「(掛かっている……?あのパワーとスピードならそんな急がなくても……)」
何人かはつられてペースを崩す子もいたけれど、終盤を見据えて機を伺う子が大半。そうして第3コーナーに差し掛かれば、やっぱりつられた子たちと一緒にあの子は垂れていく。
それでも以前先頭を守っていたあの子が、スパートを掛けた後続に抜かれた。その瞬間。ほんの一瞬。
あの子は、自分を抜いた子を差し返した。
だけどすぐに再び抜き返されて、今度こそどんどん差は広がっていく。
きっとあの子に注目していなければ気付かないぐらいの足掻き。
けれど、あの瞬きが、私の目に焼き付いて離れなかった。
「さて、終わってみたけれど。何か気になる子は───醒目!?」
気がつけば、走り出していた。あの子は、もっと輝ける。何より、彼女ならきっと───。
見つけた。今まさにレース場を去ろうとしている彼女の周りに他のトレーナーはいない。それもそう。傍から見れば彼女は無理な逃げをして自爆した一ウマ娘。それでも。
「───また、またダメだった……こんな走りじゃいけないのに……!」
「そこのあなた!」
「……なんですか……見たところトレーナーのようですけれど……」
「ねえ、あなたの名前を教えて?」
「…フリオーソ。スマートフリオーソです」
≫60二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 17:54:27
──うたた寝をしていて、昔の夢をみた。
遊園地で遊んだ帰り道、お母さんとはぐれて泣いていたら、私より少し年上の女の子がゆっくりと手を差し伸べてきて──
『一緒に探そっか?』
かけられた声に、夢の中の私は『ほんと……?』と不思議そうに小首を傾げる。
『うん、ほんと』
『そっか……。ありがとう、お姉ちゃん! ……えへへ、とっても優しいんだね……』
『そうかな? ふふっ、ありがと、えっと……』
『あ、あの、私、────っていうの!』
『そっか。うん、いい名前だね、────ちゃん?』
それから、お姉ちゃんに手を引かれてお母さんを探し回っていると、不思議と心が軽くなって、気づけばすっかり泣き止んで……
ふと、アトラクションのお城の前に来たところで、夢の中の私は足を止めた。
『……夢は、お姫様かな?』
私がぼーっとお城を眺めていると、お姉ちゃんはそう声をかけてきたことを覚えている。
思わずそっちの方を見ると、お姉ちゃんは驚くくらい真摯に私を見つめていて、なんだかおかしくなって、思わず笑ってしまった。
『あのね、私の夢は──』
そこで、いつも目を覚ます。
「……私の夢は、なんていったんだっけ?」
「もう、────。またその話? ……それより、もうトレセン学園に付いたわよ。ほら、しゃんとしなさい!」
「う、うん!」
お母さんの声を背に、私はゆっくり車から降りた。
車が去っていく音を聞きながら、トレセン学園を一度見て。
それから、ぱちっ、と自分の頬を叩いて気合いを入れる。
61二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 17:54:48
あの憧れのトレセン学園に、今日、私は転入する。
もちろんそれは私の努力の結果だけど────
────それでも、このトレセン学園の門を見ていると、本当に自分なんかが入ってもいいのだろうかって、気弱な考えがすぐに出てきてしまう。
「(ダメダメ、こんなんじゃ!)」
ひとつ、気合いを入れて弱気な考えを振り飛ばすように頭を振る。それに合わせて私のツインテ―ル跳ねる様子は、まるで二つのしっぽが生えたみたいで。
その鹿毛のしっぽを見ていると、不思議と心が落ち着く感じがした。
「(よしっ、大丈夫……)」
ふぅ、と一呼吸して、改めて前を見つめる。すると、さっそく目に付いたのは、やけにきらびやかな人だかりだった。
「キャーッ! Curren~~~!!」
……芸能人でも来たのだろうか? 思わずそう錯覚してしまう人だまりに、少し興味が湧いて。
思わずそっちに気を取られて、手短なウマ娘さん──おそらく、この学園の先輩にあたる人──に声をかけてしまった。
「あ、あの。この人だかりって──」
「ん、転入生の娘?」
「は、はい。そうです……。えっと、この人だかりは、だれか……有名人?が来てるのでしょうか……? カレン、って聞こえましたけど……」
「えーっ!? あなた、知らないの!?」
「ひゃいっ!」
思いがけない大声に、しっぽと二つのしっぽが立ってしまう。
あ、ごめんねと声をかけられて、ようやく落ち着いて話が聞けた。
「えっとね、あの大人気ウマスタグラマートレーナーの『Curren』がね、今日ついに担当ウマ娘を決めるってずっと話題になってるの!」
「……カレン?」
「まさか、ご存知ない!? あの猛者集うウマスタグラムで300万のフォロワーを持つ自撮りの女神、Currenを!?」
「えっと……ご、ごめんなさい?」
「そんな……ぜひとも布教を……!」
「そ、そうなんですか! ありがとうございます!」
62二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 17:55:45
勢いに押されて、思わず逃げ出してしまう。そのウマ娘さんも、その雰囲気を感じたのか、無理に迫ってくることはなかったので、少し安心してその場に立ったまま、ちらりと人だかりの方を見てみる。
「あ、あのツーショットいいですか!」
「もっちろん! あなたは……そうだね、こんなポーズだと最高にカワイくなれるよ!」
「え、あ! マジか、奇跡の一枚来た……。わああ、神対応ありがとうございます……あの、ぜひ私を担当に──」
「んー。選抜レースを見てから、ね。頑張って!」
「は、はいぃ……。私の生涯の全てを費やす勢いでがんばりましゅぅ……」
「……気合いを入れすぎないようにね?」
……なんだか、すごいことになっている。
「えっとね、Currenはウマスタの女神としても有名なんだけど、あるチームのサブトレとしても成績を出しててね~。長い事担当を持たずにいたんだけど、とうとう担当を選ぶことにしたらしくて、それでこんな騒ぎになってるの」
「ほへぇ~」
ぼーっと見ている私を見かねてか、それとも語りたい欲が出たのか。
隣に立ったままのウマ娘さんが、そう解説してくれるのにちょっと気が抜けた声で返してしまう。
思わずごめんなさいと謝るも、そのウマ娘さんは全く気にしてない様子でひらひらと手を振って、解説を続けてくれた。
「元々サブトレーナーとしては十分すぎるくらい経験を積んでたらしいんだけど、なぜか中々担当を持ちたがらなかったらしくてね~。それでも、とうとう今日の選抜レースで担当を決めることにしたってウマスタにあげてて、それからはもうみんな大騒ぎ!ぜひ私を見てって押しかけてきてるんだけど、それでもあんな風に見事に捌いてて……ほわぁ……!」
「そ、そうなんだ……。あ、ありがとうございます」
テンションの高さに少し引き気味になるも、こうして解説してくれる親切な先輩ウマ娘さんであることを思い出して、気を取り直して礼を述べる。
そのウマ娘さんも、トリップしたのは数秒だけで、すぐ自分を取り戻していた。
「それにしても……そんなにすごい指導をしたりとかしてるんですか?」
「んー、すごい指導っていうか……勿論サブトレーナーとしての経験もちゃんと持ってるからってのもあるけど、なんというか、『プロデュースが上手いこと』に皆期待してるんじゃないかな」
「……?」
63二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 17:55:55
「ほら、なんといっても大人気ウマスタグラマーだから。悪い言い方をすれば、レースで結果を残せなくてもアイドルとかそういう方面で結果を残せるんじゃないかって気持ちも無いとは言えないんじゃないかな……結局、結果を残せるのなんて、本当に一握りなんだから」
「そう、ですね……」
もちろんみんなちゃんと指導の腕も信頼してるし、皆が皆そんな考えじゃないというか、単純にミーハーな娘もいるけどね~。
そう話を締めくくる先輩のウマ娘さんを見ながらも、それでもその言葉に含まれていた重たい現実に少し胸が重くなり、思わず下を向いてしまう。
そしたら、垂れ下がった三本の鹿毛のしっぽと、それから、買ったばかりのぴかぴかな靴が映っていて。
「……あ」
そうだ、私は、ここに……、中央に、来たんだ。
いつかの言った夢は、もう忘れてしまったけれど。
その夢を叶えるために、これまでずっと頑張って、ここに来ようとしてきたんだから。
「あなたも、転入生だからまだ関係無いかも……なんて言わずに、顔だけでも見せておいたら? やっぱりトレーナーを得られない娘の方が多いから……。まずは少しでもトレーナー達に顔を覚えて貰った方が……って、こんな話、いきなり聞かされても困るよね」
「いえ、そんなことないです! ありがとうございます!」
「おお……? 流石はここに来る転入生……。こんなことではひるまない……かぁ。じゃ、いつかまたレースでね?」
「はい!」
私も後輩に負けてらんないなー。そう言ってまたそのCurrenさんの方に向き直る先輩ウマ娘さん。
そこそこ長いやり取りをしていたはずだけど、前の人だかりはまだまだ続いていて。
でも、顔を上げて、その人だかりの向こうを見てみようと、なんとなくそう思った。
顔を覚えてくれたら……なんていうのはまあ遠い望みだとしても、この学園のトレーナーさんを少しでも多く見ておくことは、きっとこれからの学園生活に役立つ……、そんな気がしたから。
だから、ちょっと背伸びして、集まったウマ娘さん達の奥を見ようとして────
────その瞬間、こちらを見つめる、薄紫色の目が見えた気がした。
64二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 17:56:11
「…………! あっ──あなたは……!」
「…………え、私?」
思わず惚けた声を出してしまって。いやそんなわけがないかって、まず後ろを見渡すけど、なるべく遠くから見ていた私の後ろに、彼女が見つめている誰かが居る気配は無くて。
近くの誰かを探してみるけど、相変わらずその綺麗なトレーナーさんを見つめたままの先輩ウマ娘さんしかいなくて────
「そう、そこのカワイらしいあなたっ!」
「あなたは……カレンの運命の人っ!」
「えっ!?」
え、なにごと?
あまりの展開に、全く理解が追い付かず、呆然としている間にも、その見た目よりも大分子供っぽい言動──たぶん、そう振る舞ってるだけだろう──のトレーナーさんがさっと手を上げると、周りにいたウマ娘さん達がぱっと横に分かれて道を作り。
なんだかこういう物語あったなぁと思考停止している間に、ぐいぐいとこっちに近づいてきていて。
「その恰好は、今日、トレセン学園に転入してきた娘、だよね?」
「え、恰好だけで……そ、そうです……けど……」
「カレンは……きっと、あなたを探していたの!」
「えっ……えっ?」
本当にもう何にも理解出来ず、何かを言おうにも言葉にならず。
それでも、そのトレーナーさんはどんどん話を進めていって。
「カレン決めた、決めちゃった!」
「今日から、あなたのこと……カレンに担当させてっ!」
「えーーーーーーーっ!!」
さっきの話は何とか、選抜レースはとか、そもそも何が起こってるのとか。
色々な思いを込めた私の声は、たった一つの叫び声にしか出力されなかった。
65二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 17:56:33
「ダメ……かなぁ? あなたのこと、是非とも担当したいって思ってるんだけど……いまの私なら、絶対あなたの夢を叶えてあげれる……!!」
「……夢? 私の夢は……えっと……?」
「あれ……? …………!」
突如向けられた、何か凄まじい覚悟が圧となって、それでいてどこか"優しさ"を感じるオーラに吞まれそうになり──
我に返った。トレーナー契約は、ぜったいこういう風に結ぶものじゃない。たぶん。
「ちょ、ちょっとこっちに……!」
とりあえず、校門で騒ぎを起こすのはとても私の心臓に良くない。それに周りの先輩ウマ娘さんたちからもどんな反応をされるのか分からなくて、この場から離れようようとする。
トレーナーさんも、不思議そうな顔にしてた顔を振り払うように、一瞬首を振った後、「はーいっ♪」とどこか楽し気に声を出して、私に付いてきてくれた。
校門から少し離れたところで、改めてウマ娘にとってのトレーナーの意義や、こんな風にぱっと見で選ぶべきじゃないんだろうか、ということを、さっき聞いたことも交えて話して──あるいは聞いて──みるも、のらりくらりとかわされてしまう。
そうこうしているうちに、そのトレーナーさんは、じっと私の方を見つめてきて。
どこか心まで見通してそうなその目を見て、思わず口をついて出たのは、自分でも少し──生徒として聞く側じゃないって思うような言葉だった。
「あ、あなただって、きっと、私と違って、ちゃんとここで叶えたい夢を持ったままなんですよね!? それなら、担当するウマ娘だって慎重に選んだ方が──」
「……夢、かぁ」
どこか不自然な反応に、一瞬気を取られるも、すぐにそのトレーナーさんはさっきまでの雰囲気になり。
「うんっ、もちろんあるよ♪ だってカレンがこの学園でトレーナーをやってるのは~…」
「みんなを"カワイイ"って褒めたいからっ♪ トレセン学園でトレーナーをしてたら、もーっとカワイイ娘を輝かせられるかなーって!」
後頭部をハンマーでぶん殴られた後に道路に投げ捨てられてそのままダンプカーに轢かれて跳ね飛ばされた後またトラックに轢かれて……を5度ほど繰り返したかのような衝撃を受ける。
66二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 17:56:46
そんな理由で……!?!?!?!?!?
い、いやでも、ウマ娘を輝かせたい、って考えれば、確かにそれはトレーナーとして正しい理由……なのかなぁ!?
「とにかくね~? カレンが今より誰かを輝かせるには、あなたじゃなきゃダメなのっ!」
「え? ……なんで?」
言っている意味が分からず、思わず首を傾げるも、そのトレーナーさんはぐいっと身を乗り出してきて。
「だから、お願い……私の担当になって! あ、お姉ちゃんって呼んでもいいからね♪」
「お、お姉ちゃん!?」
その呼び方はいくらなんでも、トレーナーと担当って関係で担当から呼ぶには距離が近すぎないかとか、いきなりお姉ちゃんってどういうこととか、なんでこんなに迫ってくるのとか。
ぐるぐると混沌とした考えが頭を巡り。
「……あの娘、もしかして断るつもりなのかな? あのCurrenが、あんなに必死に担当したいって言ってるのに……」
「トレーナーを得られる機会なんて中々ないんだよ……? トレーナーが決まってるわけでもないだろうし……それにトレーナー契約だって絶対なものじゃないんだから、ちょっとくらい指導を受けてから考えてもいいのにねぇ……」
「え、あの……ええ?」
周りの先輩ウマ娘さんたちの視線が突き刺さる……。
これ以上断る理由も、混乱した頭では見つからず、考えあぐねながら話すうち──
「──それじゃあ、今日からカレンがトレーナーさんってことで! 決まり~っ♪」
気がつくとトレーナー契約を結んでいた……!
なんという鮮やかな手際、やはりこのトレーナーさんは只者ではないんだろうけど……。
色々良いんだろうか、これ。普通になんというかこう……大人が子供に迫るのは問題じゃないの……? でも中央ってこういうものなの……?
67二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 17:57:14
「やったぁ♪ これでカレンとずーっといっしょだね! ふふっ、これからよろしくね、────ちゃん?」
「Curren、おめでと~~っ!!」
ちょっとした拍手が周囲に湧き上がる。それに、今、私の名前を呼んだけど、自己紹介というか、名前を教えたっけ?
混乱した頭のままでは考えが上手く纏まらない。
それに、周囲から聞こえてくる声は、必ずしも歓迎ムード一色ではない。
「……あの騒ぎ、なんだかね」
「ウマスタグラマーとか……。あたしらは真剣にレースやってるし、そのために指導して欲しいのにね」
目立つということは、批判も招きやすい。
この中央で批判を跳ね返せるのは、それこそレースの結果だけだろう。
「……もしかして、不安に思ってる?」
「うん」
「そ、即答……。でも、大丈夫。だってあなた──とーっても"カワイイ"から♪」
それは理由になるの……!?
──そして、結局選抜レースで担当を決めることもなかったようで、そのままトレーナー契約は続行され。
「芝1200m! た、タイムは──!」
迎えた翌日の体力テスト。好奇に満ちた視線が私に絡みつく中、私はなんとか走り切った。
周囲の言葉もまったく耳に入らず、緊張から解放され芝に突っ伏している中で。
「ふふっ、お疲れ様、────ちゃん! うんうん、すーっごく、"カワイ"かったよ~♪」
このトレーナーさん……、いや、"お姉ちゃん"はいったい何を考え、望んでいるのだろうか。あとカワイイって何。
そう思いつつ、ひとまずウマスタグラムをフォローしてみたのだった。
うまぴょいうまぴょい
≫103もし曇る時が来たなら?1/421/12/10(金) 20:42:45
[もし曇る時が来たなら?]
クモラセルメカー
フラトレ「……これはまた、珍妙な物を」
フラッシュ「どうかしましたかトレーナーさん?これは……金属製のドラゴンのおもちゃ、でしょうか?」
フラトレ「トレーナー室の机の上にあったんだ。多分三女神さまからの贈り物なんだろうけど、フラッシュは何か心当たりはあるかい?」
フラッシュ「いえ、昨日一日を思い返してみましたが特に思い当たるところはありませんね。せめて名前でも分かれば良いのですが」
メカハメカジャリュウメカー
フラトレ「どうやら『メカ邪龍』っていうらしいよフラッシュ。……どうしたんだい?そんなに驚いたような顔をして」
フラッシュ「……驚かないんですか?こんな生き物見たことも聞いたこともありませんよ?」
フラトレ「まぁ、この学園に居ると説明のつかないことが多いしね。牛柄のビキニを着せられた時に比べれば何の問題も無いし、この生き物は『メカ邪龍』とわかるだけでもマシさ。」
ミンナクモラセルメカー
フラトレ「……割ととんでもないことを言っているけど、このリュウモドキが何かするとは思えないからね。今のところはこれをどうするか生徒会か理事長に聞くのが一番だと思うよ」
フラッシュ「そうですか……それもそうですね。ところで、この『くもらせる』というのはどういった意味なのでしょうか。私は耳に挟んだことが無いのですがトレーナーさんは何か知っていませんか?」
クモラセハクモラセメカー
フラトレ「曇らせるというのは、うーん、そうだなぁ、「ある人が辛そうな顔をしていること」といった感じかな?僕もそこまで詳しいわけじゃないから良くわからないけど。そこら辺はどうなんだい?」
104もし曇る時が来たなら?2/421/12/10(金) 20:43:08
ダイタイソレデアッテルメカー
フラトレ「だって。あっているらしいよ?」
フラッシュ「成程。会話もできるのですね。しかし曇らせですか……」
フラトレ「?どうしたんだい。何か気になることでもあった?」
フラッシュ「いえ、いつか私やトレーナーさんもその、「曇らせ」というものを経験することになるのかな、と。もしその時になったら私はどうすればいいのか少し気になってしまいまして……」
フラトレ「……そうだね。楽しいことがあれば辛いこともあるのが人生だ。待ち受けているであろう辛いことに対して気を向けるのは決して間違いじゃない」
フラトレ「その上でね、フラッシュ。もし君が何か辛そうなことがあったら僕は君の傍にいるよ。辛いことがあった時、別にそれを1人で抱え込む必要はないんだ。辛いことは君と一緒に背負って、君が再び誇りある自分で居られるように全力を尽くすよ。だって、僕は君が笑ってくれるのが一番好きだから」
フラッシュ「……! トレーナーさん……! ありがとうございます。なら、私もあなたと同じようにします。辛いことも楽しいことも分かち合って、トレーナーさんに辛いことがあったなら私も貴方の傍にいることにします。だって、私はあなたを尊敬していて、あなたが好きですから」
フラトレ「ふふ、良い答えを返せたようで良かったよ。さて、ミーティングを始める前にこの子をどうすれば良いか決めないといけないな。フラッシュ、すまないけど僕は資料とかを用意する必要があるから秋川理事長にどうすれば良いかを聞いてくるのをお願いしても良いかい?」
フラッシュ「ええ、承知いたしました。今からだと……そうですね、15分ほどかかると思いますのでミーティングもその分遅らせましょう。ではトレーナーさん、行ってきますね」
フラトレ「いってらっしゃい。気をつけてね」
…モシカシテ、イイダシニツカワレタメカー…?
105もし曇る時が来たなら?3/421/12/10(金) 20:43:34
──ああ、やっぱり彼女は優しい子だ。理事長室へとフラッシュを送り出し、部屋から足音が遠ざかるのを聴きながらそう思う。
初めて出会った頃は自分で立てた予定に振り回されて無茶をしていたり、今でもクラスメートに勉強を教えていてトレーニングの予定に遅れてしまったりと不器用なところのある彼女だけれど、彼女の根本にあるのは優しさだ。ドイツに居る両親を喜ばせたい、困っている級友を助けたいという優しさは紛れもなく彼女の長所だ。曇らせ──自分はそこまで詳しい訳じゃないけど──に対してどうするか、という問いに自分に寄り添うと返したことも、彼女の優しさが故だろう。だからこそ、眼前にいるこの玩具染みた謎の生き物に言っておかねばならないことがあった。
「さて、メカ邪龍くん、だったかな。念のために君に1つお願いをしても良いかい?」
ナンダメカー?
「さっき君は『皆曇らせる』と言ったね。申し訳ないけどそれはやめてくれないかな?」
ドウシテメカ-?
「フラッシュが悲しむからだよ。彼女は優しい子だからね。曇らされるのが彼女本人じゃなかったとしてもきっと悲しんでしまう。我儘かもしれないけど、僕としてはそれを許容できないんだ」
106もし曇る時が来たなら?4/421/12/10(金) 20:44:05
彼女は優しい人だ。他人の悲しみを自分のことのように悲しんで、他人の喜びを二心無く祝福することができる。強さの中に優しさを忘れない彼女だからこそ色んな人に好かれて、自分も彼女のそんなところに惹かれたのだ。
「過保護かもしれないけど、もし彼女が悲しむ可能性があるならそれを残すのは嫌なんだ。分かってくれるかな?」
メカ邪龍と目を合わせ、同意を求める。
自分は彼女が大好きだ。だからこそ、自分は目の前のこの存在が言っていることを許容できない。たとえ彼女の心が折れることは無いと全幅の信頼を寄せていても、それはそれとして彼女が悲しむ顔を見たいかと言われれば違うのだ。
ワカッタメカー
「ありがとう。…さて、フラッシュが帰ってくるまでに資料の用意をしないと。」
首をコクンと1回振って了承してくれたメカ邪龍の頭頂部を少し撫でると、感触が気に入ったのか手に頭を擦り付けてきた。どうやら彼(?)も悪意を持って曇らせると言っているのではないようで、その様子を見ていると自分の中に渦巻く薄暗い感情が霧散する。
これなら当分預かることになっても何とかなりそうだ。ある種の安心を感じながら、資料をしまっている棚へと向かう。今日もまだ始まったばかりだが、また楽しそうな1日になるとそう感じずにはいられなかった。
≫112二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 20:58:15
フラトレといえば昔バニー概念が出た時にダブルダウン云々でのいちゃつきの案を話したけど
昨日のバニー概念再燃を見て新たなフラトレいちゃつきとして
「トランプの片目のジャックって知ってる?ハートのジャックはまっすぐハートを見つめているから片目に見えるというものだよ」
「不思議ですね。私からはトレーナーさんの両目が見えているというのに。それともあなたは剣から目を背けるのですか?」(スペードのジャックもスペードから目を背けているために片目に見える)
「まさか。僕の愛しき黒き剣から目を離すことなんて片時たりとて。…それに」
(片瞼に口づける)
「これで片目のジャックの完成だね」
「…これでは私がジャックではありませんか」
「そうだね。君は騎士さ。僕にとってのね」
「やはり納得できません。…私も、あなたを片目でなく両目でみつめていたいのですから」
っていうのを思いついたんだけどスレが落ちてたので供養としてここに埋めとくね
≫148二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 22:12:18
グラトレ(独)の関係逆転異分帯
「……歴史を感じる様な趣のある良い神社ですね~」
日本の文化を好んでアメリカから来日した新人トレーナーであるグラスワンダー、彼女は休日という事も有りトレセンから少し離れた神社へと足を延ばしていた。
二礼二拍手一礼……そして合掌したまま神様へと祈ります。
(これからトレーナーとして私が担当となる娘を上手く導けます様に……)
初めて受け持つ事になるウマ娘……まだ見ぬその娘の願いを叶えてあげられます様に……
参拝を終えて振り向いた時でした。
参道から和服を着た黒鹿毛のウマ娘が私を見つめていたのです。
「えっと?」
「申し訳ありません、つかぬ事をお聞きしますがそのバッジ……貴女はトレセン学園の関係者なのでしょうか~?」
「……はい、そうですが……貴女は?」
「あらあら、私とした事が名乗りを忘れるとは~……私はグラトレと申します、この度トレセン学園へと入学した新参者となりますね~」
「あら、そうだったんですね、グラトレさんご入学おめでとうございます!」
「これは、これは、ご丁寧にありがとうございます」
「いえいえ……それで、私に聞きたい事とは?」
「実は……此処が何処なのか分からなくなりまして~……」
「…………ええっ……迷子……」
……それが、私の初めて担当する事となったウマ娘との出会いなのでした。
149二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 22:12:54
以下グラトレ(独)の台詞ダイジェスト
あら、グラスワンダーさんですね、先の件では大変お世話となりました。
そうですか、まだ担当を見出せておられないのですね。
これもきっと何かの縁でしょう、もしグラスワンダーさんが担当を見出せなかったら私を担当にしませんか?
ええ、ええ、それまで私はグラスワンダーさんに良い出会いが有る様に祈りながら待っていますよ。
……待たなくても良い……と?
ふふっ、見出せていないとは嘘だったのですね、良い縁がお有りでしたんですね~。
……えっ……私?
私で良いのですか?
ええ、ええ、お受け致しますとも!
これから宜しくお願い致します……私のトレーナーさん。
150二次元好きの匿名さん21/12/10(金) 22:13:10
選抜レースで私を下した彼女……先ずは彼女に勝ちましょう。
一年の計は元旦に有りとは言いますからね、クラッシック期の計画……しっかりと詰めましょうか~
……あの走りを見ましたかトレーナーさん? 彼女に勝ちたくなってしまいました。
此処は数多の猛者達の集う戦場……なんと良い熱気でしょうか……。
この炬燵には抗い難く~……寝正月ではダメですか? ……ダメですか~……
どうぞトレーナーさんチョコ羊羹です。 ふふっ、私からのバレンタインの贈り物……どんな愛が込められているのでしょうね?
グランプリレースとは良い物ですねトレーナーさん、大きな想いを乗せて勝ちに来る強者ばかり……そして私もその一人なのだと思うと血が滾る様です。
ふふっ、私もトレーナーさんもクリスマスを忘れるなんて……トレーナーさん、私、実はアメリカ式のクリスマスに興味が有るのですが……教えて貰っても宜しいでしょうか~?
トレーナーさん……いえ、長い言葉は不要ですね……勝って来ます!
URAファイナルズ……私たちの三年間を見せる良い機会でしょう……必ずやトレーナーさんには初代優勝者のトレーナーという肩書を贈ってみせますとも!
トレーナーさん、貴女のお陰で私は迷わず歩みを進めて来れました。
……どうかこの先も共に歩んで貰えますか?
どうか迷わない様に共に居て貰えますか?
……ああ、良かった
ええ、ええ、共に歩みましょう……末永く……私の、トレーナーさん
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part545【TSトレ】
≫41クリ目チヨタボ赤パルSS21/12/11(土) 01:17:24
「「「「乾杯」」」」
レース場の近郊にある飲食店の個室にとあるトレーナー達の姿があった。
チヨトレ、クリトレ、タボトレ、パルトレ…
先のトレーナー能力試験の後意気投合した四人はその勢いのまま急速に仲良くなり、初めてオフであうことになったのだ。
「それにしても、パルトレさんがこういう店に来てくれるとは意外でした」
「意外?」
「名門出身の方でしたので、こういう庶民的なものは縁遠いものかと…」
「ああ、そういうことですか」
チヨトレの指摘ももっともだ。世界的に有名な名家の出身であるパルトレ。一般家庭とは隔絶した環境で育った彼女は、庶民の生活文化とは対極に位置する筈だ。
「いえ、私もこういうのも好きなので大丈夫です」
が、パルトレは寧ろこういった生活を中々に好ましく思っている。よく創作物なんかで庶民の暮らしに憧れるお嬢様が出てくるが、それの類である。そういう側面はある種の親しみやすさを生み出す要素だ。
当人の性格も距離感を縮めるのに役立っている。根が優しい為か悪役令嬢的なムーブは皆無。その親しみやすい人柄と当人の能動的な行動は家柄という壁を取り払い、トレーナー四人の関係性にプラスの影響を与えていた。
「そうですか…それは良かった」
ほっと胸を撫でおろすチヨトレ。こういう店にパルトレを連れてくるのに若干躊躇していた彼女だが、当人が楽しそうなので安堵の表情を浮かべている。一方のタボトレはパルトレに聞いてみたいことがあるようだった。
「パルトレの実家ってどうゆうトレーニングしてるんだ?」
「あっ、それ僕も気になります。」
42クリ目チヨタボ赤パルSS21/12/11(土) 01:18:19
クリトレも追随する。やはり、彼女らもトレーナー。ウマ娘レースに関わる話題は話の中心になりやすい。それも世界的名門の話となれば食いつくのも当然である。
「でも、目新しいものはありませんよ?器具や設備もトレセンと同程度ですし」
一つの家が先進国の筆頭育成機関と同程度の機材・施設を持っている時点でヤバいのでは?
三人は内心でツッコミを入れたが、口には出さなかった。
「育成方法にしても一般的なものと同じなので特筆すべき点はないですね…面白そうな話題の種が無くてすいません…」
申し訳なさそうに言うパルトレ。しかしながら、その一般的な育成方法こそが彼女の家を名門たらしめている要素であったりする。
「それに関しては、パルトレさんの実家が普及させた訳ですが…」
「ああ、『ファラリス・ライン』か」
「トレーナーの資格の筆記試験でもよく見かけますよね!」
『ファラリス・ライン』
二十世紀初頭。パルトレの曾祖母であるウマ娘「ファラリス」がトレーナーだった当時のパルトレの実家の当主と共同で提唱したウマ娘トレーニングの基礎理論である。
ファラリスは本人の快足もさることながら、他人の埋もれた才能を見抜き鍛え上げることにかけては超一流であった。トレーナーとしての適性が素晴らしかったのである。
フェアウェイ、ファロス、シックル、ファラモンド____
そんな彼女が生み出した理論は、数多くのウマ娘を大成させた。それは教え子たちを介して世界に広まり、いつしか近代ウマ娘育成理論の原点として称えられるようになった。一説によれば、ファラリスの育成理論に基づいたトレーニングを行っているウマ娘は、全世界で八割を超えるとされる。そのウマ娘レース界に対する余りにも大きな貢献は、パルトレの実家の名声を盤石のものとしている。
43クリ目チヨタボ赤パルSS21/12/11(土) 01:18:58
「ネイティヴダンサー、ネアルコ、ナスルーラ、ロイヤルチャージャー、ニアークティック、バックパサー…彼女の理論を世に広めた立役者は多いですが、やはり彼女なくしては今のレース界の発展はなかったでしょう。」
チヨトレが持ち前の知識を披露しているのを聞いているタボトレとクリトレ。それを横目で見ながら、パルトレは実家について考えを巡らしていた。改めて意識する実家の名。なろほど、確かに壁は高い。でも、実家を飛び出した時から覚悟は出来ている。シーキングザパールと共に自分達の存在を認めさせると誓ったのだから。
「パルトレさん?」
「…ッ」
クリトレの呼ぶ声が、物思いにふけっていたパルトレを現実に引き戻す。いつの間にか実家の話題から別の話題に移っていたらしい。
「すいません、ちょっと考え事をしていて…」
頭を掻いて誤魔化すようなそぶりを見せるパルトレに何かを思ったのか、チヨトレは僅かに目を細めていた。
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色々な話をしている内に時間が過ぎ、ラストオーダーの時間になった頃。チヨトレが口を開く。
「長々と喋ってきましたが、結論は単純です。私達はそれぞれのやり方で上を目指しましょう。」
「まぁ、そうなるよな」
「忙しくなりそうですね、色々と」
「これまで通り…ですか…」
四人の会話の中で分かってきたことがある。私達はやはりバラバラだ。ウマ娘に対する考え方も、レースへの取り組みも、何一つとして同じものはない。ただ、ウマ娘と切磋琢磨し上を目指そうという気概は共通していた。それだけでも分かっただけ、今回の集まりは成功といえよう。
我々はお互いに高め合う仲間であり、強力なライバルである。故に、それぞれが最善を尽くして研鑽に励み、己の気概を捨てる事が無いのであれば、どんな形であれ結果は現れる。事の良し悪しはこの際考えまい。
44クリ目チヨタボ赤パルSS21/12/11(土) 01:22:06
「では、ターフで逢いましょう」
その言葉を最後に、四人のトレーナーは別れた。いつか来る対戦の日を楽しみにして。
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以上です。自トレだとやはり気が楽
ただの設定語りになってる感はあるが、気にしないでおこう(白目)
≫58二次元好きの匿名さん21/12/11(土) 07:17:04
「……あのね」
「……トレーナー君?」
ある日、私が目覚めると彼女がこう語りかけてきた。
「変な夢、見ちゃって……」
「ほう」
続けてくれと述べ、彼女の話に耳を傾ける。
「……私が、最初からウマ娘で、トレセン学園に入って、トレーナーがついてG1を割と取る夢だったの」
「割と?」
「うーん……菊花賞と春天と有馬記念を取ったのは覚えてる……他にも取ってたかもしれないし、取ってないかも。少なくとも、ルドルフと同じで春秋連覇は無理だったかもしれないし」
そう言いながら、私はほんのりと夢の中の"トレーナー"に苛立ちを覚える。それは間違いなく嫉妬だが。
「……しかし、その三つを取ったなら充分強いウマ娘だろう」
「それは、そうなんだけど……あ、そうそう!夢の中の私についたトレーナー、男の人だったんだけどルドルフみたいな三日月がついて、優しくて……」
そう言いながら、彼女の尾が揺れ、少し頬が赤くなる。
「……その、温泉旅行で私から押してシちゃったところで夢が終わったんだ……」
刹那。私は彼女を押し倒し、唇を奪う。
互いに舌を絡めてから口を離すと、白い橋が二人を繋ぐ。
「現実の私は、嫌だろうか?」
「ううん。大好きだよルドルフ」
────ルドトレは監禁された。
≫75二次元好きの匿名さん21/12/11(土) 08:21:14
───某日
「…何だったのかしら」
…そう言いながら私はトレーナー室で考えていた。その内容はつい先程まで見ていた謎の夢。
「ふむ…」
「おはっよー!…ってトレーナーさん、どうしたの?」
「おはようキタ、今日ちょっと不思議な夢を見てね」
「…?」
「…私がトレセンの高等部の生徒としてトゥインクルを走るという夢よ。確か温泉旅行に行ったくらいまでの記憶はあるわね。」
「へぇ〜、そんな夢もあるんだね」
懐かしむようにその面白い夢を語るキタトレ。
「そうね、不思議な夢よ。スカウト自体も選抜レースで普通に勝った後、私がピンときた新人のトレーナーと組んだ訳だし。」
「…でも勝てたから運命よね。少なくとも、クラシックは菊花賞、シニアだと春の三冠は手にしているし。後は有馬は連覇していたわね。」
「わぁ…凄いよトレーナーさん!」
「ふふ、でもキタ程ではないわ。…後は、そのトレーナーも男性だったけど、面白い人だったわね。」
「…どんな人だったの?」
不思議そうに聞くキタに、顔だけで分かるほどにイケメンなトレーナーのことを思い出しながら語る。
「一言で言うなら、男前って所かしら。良い生まれだったらしいけど、全然親しみやすい優しい性格はしていたわね。」
「それと、彼のお爺さんからの遺伝か演歌は上手だったのと、190くらいの引き締まった体はしていたわ。」
「…なんか、けっこう男の頃のトレーナーさんに似てるね!」
そんなキタからの言葉に少し口元を緩めながら話すキタトレ。
「…私以上にキタ、貴方にそっくりだと感じたわよ。もしキタが男の子だったら将来こうなってたんじゃないかって思うくらいにね。」
「う〜ん、アタシもその夢を見てみたいかな、凄く気になる!」
「…最後に温泉旅行で、三年間を振り返っていた所で目が覚めたって所よ。振り返ってみたら面白い夢だったわ。」
「うん、そうだね」
「まあ、こんな所かしら。…それじゃあ時間だしそろそろ行くとしましょう。」
「はーい!」
短文失礼しました
異聞帯ネタwithキタトレです。正直、キタトレが成長したキタサンをコンセプトにしただけあって、ジェネリックキタちゃんになります。
この世界線だとキタサンが実馬どおり男前を決めて、高身長美男美女の暴力するペアが出来上がります。ファン多そう(小並感)。
≫102二次元好きの匿名さん21/12/11(土) 11:56:07
ネイチャ「そういえばイクノ。イクトレさんのぴぷぴぷ鳴る靴って……」
イクノ 「あれはトレーナーさんが開発した小児用蹄鉄です」
ネイチャ「え゛」
イクトレ(小児用蹄鉄の説明書を手渡す)
ネイチャ「えー、なになに……『幼児ウマ娘の脚……特に爪は、再生力が優れているだけでとても柔らかで繊細です。これを保護する為に、脚の負担にならない重さのシリコンゴムで蹄鉄を作ることで保護する目的から作られました。笛付きであり、踏むことで音が鳴り、迷子防止にもなります』……あ、これ売ってるんだ」
イクノ 「特許料はトレーナーさんの財源として活きているそうですよ」
イクトレ『しかしまさか、自分が使うことになるとは……』