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このページは「おれバカだから言うっちまうけどよぉ…」スレに投稿されたSSをまとめるページ(スレpart551~555)です。
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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part551【TSトレ】
≫9二次元好きの匿名さん21/12/12(日) 19:59:58
1章 事故、邂逅、覚醒
「ねえちょっとそこのお姉さん」
振り返ると、金髪のチャラい見た目をした男が声をかけてきた。
「…なんですか…?」
まずこんな私に声をかける時点で目的はお察しだろう。
「ちょっとさ、一緒にお茶しない?」
ほら。ありきたりな誘い文句だ。
「いえ、結構です」
そう言って急いで逃げ出そうとする。今日の模擬レースで見たあの子を調べないといけない。あの稲妻のような。目を焦がして脳天を殴りつけるようなあの走り。風に靡く燻銀の芦毛。そのことで頭は一杯なのだ。
10二次元好きの匿名さん21/12/12(日) 20:01:44
「ねえ、いいじゃんかちょっとくらいさ〜、減るもんでもないでしょ?」
しつこく食い下がってきて、ついには腕まで掴んでくる。
「ちょっと…離してください!」
「ならさ、一杯だけでいいからさ。一緒に飲もうよ」
こんな女にしつこく食い下がってくる。何故なのだろうか。振り解こうとした時に相手の腕が長袖の奥に見えた。刺青で黒い腕が。
「離してください!いい加減警察を呼びますよ!!」
「チッ…めんどくせえな…」
そう叫ぶと両腕を掴んでくる。
「ならいっそこうやって…」
しかしそれは未遂に終わった。
「おうおうあんちゃん。元気余っとるんはええこっちゃが、ナンパはするもんちゃうで?」
その声の方を向く。そこにいたのは芦毛の、赤と青のカチューシャとハチマキ飾りをつけたウマ娘。
名前を聞くのを忘れて、模擬レース後も声をかけれなかったウマ娘。その子が、そこにいた。
「ああ?うっせえな…ガキは帰ってメシ食っておねんねしてろ」
「うっさいわ誰がガキやねん!」
ナンパ男とその子が口喧嘩をしそうになる。
しかしそれは未遂に終わった。途端、空から金属の擦れる音がする。
上を見ると、幾本もの鉄骨が降り注いでいた。
「なっ…」
「ちょ」
このままではひしゃげて潰れてしまう。しかしそんな中でも、何故か静かに、何をすべきか取捨選択ができた。
そのウマ娘の方をむくと、力を込めて肩を押す。驚いたようにこっちを向いた彼女に、笑顔を向けて、最初で最後の言葉を交わす。
「ごめんね」
ああ、そんな、悲しい顔をしないで。
その子が手を向けた刹那、けたたましい音と共に視界が暗転した。
11二次元好きの匿名さん21/12/12(日) 20:02:22
「…血圧……を…し………輸………ッ………」
「な……か…………か…………チの………を………いつ………」
何か遠くで鳴っている。意識は氷山の一角みたいに薄く出てきては、また沈む。
「………の……………器…移……」
「しか……そ………」
うるさい。寝かせてくれ。このまま深く。
「……巧………すが……ど……」
「仕………だ………」
もうやめてくれ。
「…あ…………す……なあ………」
やめてくれ。
「…当に…すま……」
やめてくれ。
そんな悲しい声で、泣かないでくれ。
12二次元好きの匿名さん21/12/12(日) 20:02:53
刺すような光が網膜を焦がす。
目をあける。トラバーチンの天井がある。カーテンレールが、カーテンが、意識が、空気が。
私が、ある。
体は重い。血が水銀になったみたい。でも、筋肉は軽い。
手をあげてみる。白い何かが、覆っている。
頭を、かいてみる。なにやら変な癖毛がある。
触ってみると、くすぐったい。音も何やら不思議と大きく聞こえる。それにいつもの耳が、ヒトミミが無い。
尻にも、違和感がある。意識の覚醒で、それはよりはっきりと輪郭を帯びてくる。
触ってみると、それはふさふさした、栗毛の中に白が混ざり込む尻尾があった。
受け入れ難い現実がどんどん浮かび上がってくる。
それと同じくあの時の情景もフラッシュバックする。
こんな時に冷静なのは元からの機能なのかそれとも何なのか。
私はどうやら、ウマ娘になってしまったらしい。
それが現実だった。
一章 完
45二次元好きの匿名さん21/12/12(日) 20:26:57
2章 復帰、再会、対話
「と、いうことですが、質問なんかはありますかね」
「無い…って言ったら嘘になりますね。いくつか、いいですか?」
人当たりの良さそうな医師との対話。
診察室の中で、車椅子に座った私は、どうやら私の執刀医であろう人と話していた。
「まず…何で私がウマ娘に?」
「ああ、なるほど。病状の説明ばかりでそこをすっ飛ばしてましたね」
そう言うと医師は何枚かの紙を手渡してきた。
「本来なら機密なんだけど…今回は特例ということでね。まず君は、事故にあった。そしてここまで運び込まれた。そこまではいいかい?」
「ええ」
事故、というワードで胸が少し締められる。
「それで、キミは緊急手術を受けたけど、この病院には移植用の臓器がウマ娘用しかなかった」
「その影響でこうなった、ですか…」
「あながち間違いでは無いね。それと君が助けたウマ娘、覚えているかい?」
「ええ…ッ、彼女はどうなったんですか!?」
「毎日君を見舞いに来てくれていたよ。今日は平日だから…夕方の5時くらいかな」
「そう…ですか…」
彼女が助かった。それだけでなぜか、少し胸が軽くなった。
「あと、その尻尾の白い毛。それも話すね」
どうやら何かコレも訳があるらしい。
端的にまとめると、彼女が救急車の中で輸血用の血を分けてくれたらしい。
そのおかげで今こうして生きていて、尻尾はその影響で芦毛が混ざり込んだようだ。
「ウマ娘の臓器とヒトの臓器の合併症が怖いから、あと2週間は様子見で入院だね」
その言葉でお開きとなった。車椅子も今週で卒業だそうだ。ウマ娘の治癒力に助けられた。
とにかく生きているだけで僥倖だった。
46二次元好きの匿名さん21/12/12(日) 20:27:25
時が経って時刻は午後5時20分。個室のドアがノックされる。
「お邪魔します〜」
そんな声で、彼女は入ってきた。
「いらっしゃい」
そう声をかけると目を見開いて、固まったかと思うと
「あんた…生きとるよな…幽霊とか…そんな…ちゃうよな?」
と縋るように呟いてきた。
「うん。こうやって生きてるよ。ほら、足もある」
それを言い終わる前に大粒の涙で目を濡らして駆け寄ってくる。
「あんた…たすけようと…したんや…でもな…でも…届かんで…ウチ…ウチぃ…」
そう泣きじゃくる彼女を抱き寄せ、頭を撫でる。
嗚咽を漏らす彼女は、それでもどこまでも美しかった。
「…どう?落ち着いた?」
「お…おおう…なんかすまんな…こんな醜態晒してもうて…l
10分ほどで彼女は泣き止んだ。でも瞼は真っ赤に腫れているし私も無意識に泣いていたようだ。
それから体の説明と世間での事故の印象を話してくれた。
どうやらトレセンは今メディアでごった返しらしい。
「そっか…理事長とたづなさんにも謝らないとな…」
「なんやあんた、トレセン関係してんのか」
「うん。だって私…トレーナーだから」
ピシ…と彼女が凍る。
油が切れたように言葉を紡ぐ。
「あんた……トレーナー……え……マジ?」
「マジ」
「はああああああっっっっ!?!?」
その大きな驚嘆と共に、主治医がすっ飛んでくるのだった。
第2章、完
≫132二次元好きの匿名さん21/12/12(日) 21:04:57
3章 契約、日常、予感
「本当に…申し訳ありませんでした」
「うむ!君が無事で何よりだ!」
「本当に心配したんですからね?」
「申し訳ありません…」
暖かな空気を纏う理事長室。その中で3人は話をしていた。
「それと、本当に宜しいのですか?他にもウマ娘はたくさん…」
「いいんです。私が惚れ込んだウマ娘で、しかも命の恩人ですから」
「承諾ッ!では、このトレーナー室が君の部屋だ!」
そう言って鍵を渡される。そこには404と書かれたキーと注意書きがあった。
「それでは、失礼します」
そう言って外に出る。
「どないやった?って聞きたいところやけど、その調子見るに成功らしいな」
「察しがいいね。はいコレ鍵と注意書き」
「ありがと…ってコレあんたのやろがい!」
そんな漫才もどきをしつつ、トレーナー室に向かう。
「おっ、オグリの隣か。粋なことしてくれはるな」
みると右はオグリキャップの部屋、左はサクラチヨノオーの部屋だった。
「じゃあ、開けるよ?」
扉を開けて、足を揃えて、2人で中へ入る。
ある時は2人で飯を食べて。
ある時は2人で昼寝をして。
ある時は2人で笑い合って。
そんな日常を送れると、そう思っていた。
疑いなんて、持ってもいなかった。
第3章 完
133二次元好きの匿名さん21/12/12(日) 21:09:25
第4章 再開、再会、再會
「さて、それじゃミーティング始めようか」
「おうおう、早よ終わらせて走りいこうや」
トレーナー室のソファで2人向かい合って互いに話し合う。
目指す重賞、トレーニング内容、家族のこと、夢、その道のり。
なんだかんだ話し合っていると、もう30分も過ぎていた。
「よっしゃトレーナー、早よ行こや」
「りょーかい。先行ってて」
そう声をかけて水筒とストップウォッチ、その他必要なものを準備して部屋を出る。
「あ、こんにちは」
突然に清掃員の方が声をかけてきた。
ここら辺の廊下の担当の初老の男性だ。
「あ、こんにt…」
しかし突然頭が万力で締め上げられているみたいに痛み始めた。耳鳴りはひどく、平衡感覚が歪む。
誰かが、声をかけてくる。腕を掴む。それが決壊の合図だった。
鉄骨の音、あの刺青、声、まとわりつく温度、男、嘔吐感、耳鳴り、金髪、鉄骨、金属音、悲鳴、悲しい顔、鉄骨、声、男、鉄骨、血、骨、内臓、悲鳴。
それらが一緒くたに脳に流れ込む。痛い。痛い。痛い。歩いているのか走っているのか転んだのか蹲っているのか。わからない。がむしゃらになにかしていた気もすれば、転んで泣き叫んだ気もする。
逃げて逃げて逃げて逃げて。走って走って走って走って走って走って走って走って走って。
でも、逃げ切れなかった。
気がつけば寮の自室の床でうずくまって泣いていた。
頭はひどく痛む。口の中は胃酸で焼けるように熱い。
床には吐瀉物がぶちまけられていた。
爪は頭を掻きむしったのだろう。何枚かが剥けて、血が流れている。
頭は絶望が渦巻いていた。自分を呪う声が張り巡らされていた。
めちゃくちゃになちゃ今で。死んだような目で。一つだけわかった。簡単に、壊れちゃった。ああ、もう戻れないな。でも、戻るような日常なんて、あったかな。
第4章 完
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part552【TSトレ】
≫11二次元好きの匿名さん21/12/12(日) 21:39:51
5章 決別、懊悩、別離
あれから、一週間が経った。トレーナーは部屋から出てこようとしない。他の同期が声をかけても返事をしないらしい。
「ということなんや…理事長、会長、何とかならへんか?」
「思案…そうなるともはや…」
「強行突入しか、ないですね」
やっぱりそうなるか。しかしそれは諸刃の剣ではなかろうか。
「……リスクとかは…考えてはるん?」
「もちろん…と言いたいとことだが、難しいだろうな。しかしこのまま放っておいてもダメだろう」
確かにその通りだ。なら
「じゃあ早よ行くで。もたもたできひん」
「了解した。理事長、宜しいので?」
「承諾…しかし本当に大丈夫だろうか…」
確かにそうだ。一週間誰とも会わない。外にも出ていない。万が一のことがあれば…
「そんなこと考えるより先に行動や。会長、行くで」
「ああ」
「委託…頼んだぞ…」
そうして医務室の先生と生徒会メンバーを連れ、彼女の部屋へと向かう。
校舎からトレーナー寮への道のりが、やけに遠く感じて、それはまるで未来の示す先のようだった。
13二次元好きの匿名さん21/12/12(日) 21:41:07
走ること5分、トレーナーの部屋にやっと着いた。肺が張り裂けそうに痛む。
「…いくで?」
一度、深く深呼吸をすると、ノックを3回。しかし返答はなかった。再びノックをする。同じく返答はない。
「会長…」
「次に返答がなかったら強行突入だ。ブライアン、いいな?」
「…ああ…」
それを聞いて、覚悟を決めて最後のノックをする。5秒。10秒。15秒。返答はない。
「決まりだな…」
重い声でブライアンがそういうと、ドアノブを捻る。
途端、部屋の中で物音がした。何かが崩れる音だ。
「なんやなんや!?」
「落ち着け。一旦冷静に…」
その言葉は途中でぶつ切りにされた。
中から大きな何かが倒れる音がした直後に、扉に何かが投げつけられた。ぶつかると同時に弾けたそれは、ガラスのような音がした。
「ッ…まずいな…ブライアン!」
「わかった」
ブライアンが前に踏み出すと同時に、皆が後ろに下がる。ドアを蹴り破ると、埃と共に胃酸と吐瀉物の腐敗した匂いが鼻を刺す。
「待てタマモクロス!」
そんな静止に聞く耳を持たず、急いで部屋に入る。そして、タマモクロスは唖然とした。
吐瀉物が溢れる床に、乱雑で散らかりきった部屋。
そして、泣きながらうずくまるトレーナーがいた。
「トレーナーッッ!!大丈夫やっt」
「うるさいうるさいうるさい!近寄らないで!来ないで!もういや!来るな!来るな!!」
金切声を上げて、タマモを突き飛ばす。
タマモはそれが受け入れられず、尻餅をついたまま目を見開いている。
その隣で走って部屋に入ってきたルドルフとブライアンが暴れるトレーナーを押さえ込み、エアグルーヴはタマモを抱えてトレーナーから距離を取る。
すかさず医務室の先生が鎮静剤の入ったエピペンのようなものを太ももに打つ
。途端に大人しくなったトレーナーはこくん、と糸が切れたように眠る。しかし、それ以上に、空気は重苦しく、誰一人安堵すら出来なかった。
第5章 完
48二次元好きの匿名さん21/12/12(日) 22:08:59
第6章 順応、復帰、四象
「栄養失調がひどいのと、体が相当弱っています。しばらくは安静です」
そう言われて、お辞儀をされた。
夜の9時半。外は暗く、物音ひとつしない。
そんな中に、1人ぽつんと投げ出された彼女は、なにをすればいいのか分からなかった。
寮に戻って寝ようにも、あの情景が脳裏をよぎる。
起きていようにも、心配と不安で眠れない。
そんな狭間の中で、ふと背後から足音がする。
「会長…」
「やぁ、タマモクロス。少し話がしたいのだが…」
「………」
無言しかできない。なにを言おうにも彼女がよぎる。何か言う度に、何かする度に、後ろから指をさされて、あの拒絶をされるような気がしてならない。
「そうか…ならば、少し失礼するよ」
そう言うとルドルフはタマモクロスの手を引いている。根が生えて地面に絡み付いたように脚は重かった。
向かった先は生徒会室。中に入ると生徒会組が揃っていた。
「タマモ先輩…」
エアグルーヴが駆け寄ってくる。
「エアグルーヴ、すまないが彼女を頼む。少々立て込むからな」
「…わかり…ました…」
そう言った後、何やらバインダーを持って部屋を出る。エアグルーヴは何もできずに、ただ、隣に立つことしかできなかった。
51二次元好きの匿名さん21/12/12(日) 22:09:53
「…なぁ…」
「…どうしました?」
ぽつりと、消え去りそうな声でタマモが呟いた。
「ウチが…ウチがおらんかったら…あんなに苦しまずに…すんだんかな…?」
「ッ…そんなことは…」
「ウチが声かけんかったら、あの時ウチがおらんかったら、トレーナーだけでも助かったんか…」
「そんなわけないじゃないですか!!あなたがいたからあの人は助かって…今こうやって命があって…」
「でも!もしかしたら1人でに助かった道があるかもしれん…今こうならずに済んだ道があるかもしれへんのや…」
「……だからって…!!」
「じゃあ、あの時死んだのと、今こうして苦しんどるん、どっちが幸せや?」
そう言われ、何も言い返せない。あの惨状を見てしまったからだ。あそこまで苦しみを背負って生きる何が幸せなのだろう。
「なぁ、いいか?」
無遠慮に、突然ブライアンが言う。
「なんや?」
「さっきからたらればの話ばかりでうんざりだ。それよりアイツは今生きている。なら今はそれを考えるべき。違うか?」
「おいブライアン!その言い方はないだろう!」
「ならどうすればいい?甘やかして同情するべきか?違うだろ。今見るのは現実で、未来だ。過去じゃない」
そういうと、寝る、と言って部屋を出ていった。
去り際に何やら耳打ちをしていた。
「そうか…未来…未来な…」
トレーナー室で語り合った、未来。これからの未来。そして、2人じゃないといけない未来。
「覚悟決まり…やな。あんがとな。2人にもよろしゅう頼むわ」
そう言うと、高い肩をポンポンと叩いて去っていく。
「タマモ先輩…!」
「大丈夫や。んなけったいなこといらへんわ」
そう言って、きた道を辿って戻るのだった。
76二次元好きの匿名さん21/12/12(日) 22:41:53
第7章 糸、決別、未来
そうして、三日が経った。
通達を受けたのはその日の昼さがり。雨の降る中のトレーナー室だった。
「タマモクロスさん!トレーナーさんが!!」
たづなさんが駆け込んでくる。
「おっ、目ぇ覚めたんか?」
「はい!しかしまだ不安定で…」
「ええってええって。ウチにまかせとき」
そう言って医務室まで走る。胸は変わらず痛むが、あの時のような焦燥や不安は無かった。
ノックを3回。あの時と同じように、心を決めて。
入ると、カーテンの一つが仕切られており、そこには立て札が立てられていた。猛獣みたいやななんて思いつつ、医務室の先生に手をあげる。すると何か言いたそうな顔をしていたが、目が合うと少しの逡巡の後に頷き、礼をしてきた。
77二次元好きの匿名さん21/12/12(日) 22:43:46
「トレーナー、タマモクロスや。はいってええか?」
「………」
沈黙が場を支配する。しかし再び声をかける。
「なぁ、トレーナー。ウチや。タマモクロス。あんたの愛バで、パートナーや」
「うるさいうるさい!もうくるな!いやだ!もうさわるな!!やめろ!もう苦しいのも全部いやなんだ!こないで!!」
金切声、ひや、涙の叫びが聞こえる。しかし、それは救いを求める声ではない。一人で殻に篭って、拒絶して、腐っていくだけだ。
「トレーナー、ウチはアンタの愛バで、パートナーで。アンタはウチの大切な、世界一大切な家族や。そんな家族が、こんなに苦しんで闘っとるんを、見捨てるなんてできへん」
そう言って、カーテンの中に入り、布団にくるまって悶えている彼女を引き出そうとする。
強引かもしれない。間違っているかもしれない。でも、不器用でも、変に気を使うよりも、真っ直ぐが1番なのだ。
「ッ痛…!!」
腕を痛みが走る。噛まれたらしい。それにウマ娘化した影響だろう。彼女の力は想像よりも強く、腕の骨が折れそうなほどに痛む。
しかしそれを引っ張ると、彼女の腕が出てきた。それに合わせて布団を剥ぐ。彼女はさらに叫んで、引っ掻いてこようとする。
しかしそれは八つ当たりではない。闘って闘って、もがいて、苦しんで、どうにかしようとしている必死の抵抗なのだ。
「大丈夫や。大丈夫。苦しいよな。辛いよな。そうやって、闘ってるんよな」
「うるさい!うるさいうるさいうるさい!!!」
彼女を抱きしめて、背中をトントンと叩く。大丈夫、大丈夫と教えるみたいに。
「ウチの言葉が苦しいかもしれん。悲しいかもしれん。でも、これがウチなんや」
「そうやって騙してくる…嘘だ!だまれ!!」
彼女はタマモの首筋に噛みつき、歯を立てる。しかしタマモは耐えながら
「アンタん苦しみも、悲しみも、荷物も、何もかんもとは言わへん。せめて半分こさせてや」
ぎゅっと、抱きしめる。
「フゥー…ウウーッ…」
「アンタの隣は離れん。ずっとや。二人でどこまでも行くんや。二人ならどこもいけるんや。大丈夫。大丈夫や」
そうしてトレーナーを優しく抱きとめる。最初はあれほど見えない恐怖から逃れようと溺れていたトレーナーも、段々と落ち着いてくる。
「ほんと…う?」
いつの間にか、泣きながらタマモの顔を見てくる。
「ああ、本当や。二人で、この先の未来。見るんやろ?」
78二次元好きの匿名さん21/12/12(日) 22:44:12
それを聞いたトレーナーは、堰を切ったように泣き出した。悲しみも、苦しみも、孤独も寂しさも何もかもを、溶かして流すように。
それから30分ほど泣いていただろうか、タマモの腕の中で眠りにおちた。
ゆっくりと布団に寝かせると、毛布をかけて一旦外に出る。
すると驚いたように応急処置の準備をする先生の姿があった。
肩を見ると血が出ている。相当深くまで跡をつけられたようだ。
「こいつは…中々大変になりそうやな…」
そう苦笑しながら、応急処置を受ける傍らで目を閉じる。
未来の、幸福を描くそれは、どこまでも暖かだった。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part553【TSトレ】
≫27文章力のなさが恥ずかしい…21/12/12(日) 23:38:43
「マスター?何をなさっているのですか?」
「んー?ああブルボン。手先が器用になったので何かに活かせないかと思いましてね。ぬいぐるみを作ってるんです。ウマ娘になってからというもの色々変化はありましたがこの変化は嬉しいですねえ」
「なるほど。……?それは私でしょうか?」
「ええブルボン。先ずはいつもお世話になってる貴方の物から作って出来たら渡そうと思いまして。……ぱかプチと比べるとだいぶ出来は悪いですけどね」
「いえ、マスター。私にはマスターの手作りぬいぐるみはぱかプチより良質な物であると断定。とても『嬉しい』です」
「そうですか?そこまで喜んでもらえたならこっちも嬉しいですが……」
「はい。素晴らしい贈り物ありがとうございます、マスター。」
「ありがとう、ブルボン。もう少しで出来ますから待ってて下さいね」
(折角ですし他のトレーナーさん達のも作ってみましょうか……)
メカノモツクルメカー
「はいはい邪竜ちゃんさん。余裕があれば作りますから大人しくしてて下さい」
ブルボンに喜んで貰えて嬉しくなった私は、他のトレーナーさん達の分も作っていくのでした。
終わり
≫66二次元好きの匿名さん21/12/12(日) 23:54:17
───暗闇の中を走る。
足音は聞こえない。土を踏む情動も、風を切る歓びも感じない。あらゆる感覚が機能していない。
落ちているのかもしれない。潜っているのかもしれない。飛んでいるのかもしれない。
眠っているのかもしれない。死んでいるのかもしれない。己の生存を知覚できない。
全てが定かでない。ただ暗い。
───走る。
人体とはばね細工だ。ゼンマイの代わりに心臓が脈打って、ブリキの代わりに筋骨が撓む。動力を回してひたすら前へ。それこそが我々の存在意義。
しかし今は。今この瞬間は。
何も脈打たない。何も撓まない。動力の嘶きは響くことなく。全てが遠い。
───それでもワタシはひたすら前へ。それこそがワタシの『正義』。
落ちているのかもしれない。潜っているのかもしれない。飛んでいるのかもしれない。
けれどワタシは確信する、ワタシは走り、ワタシの正義を体現している。
踏みしめる。
脚部を駆け抜ける反動。筋骨。猛る血潮。
口角が上がるのを自覚する。まだ暗い。まだ先がある。風の音を求めてひたすら前へ。
67二次元好きの匿名さん21/12/12(日) 23:55:10
述懐する。
幸福で不幸な童がいたのだ。
生まれつきの奇形。伸びない背丈。伴わない発育。濁った声音。手放せない杖。
歪んだ顔を嘲るような、心のない者に出会わなかった幸福と、『いないもの』とされる不幸を一身に浴びた少年時代。
笑うことのできる誰かを憎み、話すことのできる誰かを嫌い、何より、ターフを駆け抜けていく輝きを、ステージで踊る偶像を、とってもキラキラした彼女等を呪っていた。
鬱屈した感情をぬぐい取ったのは、ウマ耳のない走るヒトだった。
競走に焦がれた。醜悪な顔立ち、ぼそぼそとした声音の男が、ある一定の距離を己の足で移動する試みで示した『絶対』に憧れた。
そこに『笑顔』はない。感動的なドラマも、魅力的なライバルもいない。
唯一、『速い』という一点のみで、『夢』を背負うヒトがいた。
───そう在りたいと思った。誰かの夢を背負って走る、彼等のように。
許された、と思った。それでいいんだ、と。
ウマ娘ほど速くはなれない。歌も出来ないし顔もよくない。それでもワタシは憧れた。かつてターフに見た輝きと、同じものをその背中に見出した。
多くのウマ娘が、その背に数多の願いを乗せて走るように。
とある競走者が、その背に一国の夢を乗せて走ったように。
自分も、誰かの夢を背負って走りたいと願った。
───変わりたいと、変身したいと。心から願った。
68二次元好きの匿名さん21/12/12(日) 23:57:05
陸上競技の世界に入った。
困難があり、挫折があった。未発達な肉体は常に怪我と隣り合わせで、恐怖を越えた先の全力ですら、他者の快速に及ばない。普通に歩ければそれでいいじゃないかという両親と衝突したこともあった。無様に転倒して生死の境を彷徨ったことも。走る度にかけられる言葉は容姿への嘲りで。無反応から脱した先は嵐のようだった。
───それでもワタシはひたすら前へ。『困難』の先、『憧憬』の背中を目指して。
そうして。
負けて。
負けて。
負けて。
杖は不必要となり。
嘲りは歓声になり。
ワタシは笑顔を手に入れた。
「───『困難』への『挑戦』! 『憧憬』への『邁進』によって! 我々は、変身できる!!」
喉笛より猛びが迸り、心臓に火が付いた。
それと共に、これが『そう』なのだと理解する。力強い踏み込みは、駆け巡る情動は、ヒトのモノではなく。ワタシの番が来た、ということなのだろう。
『いいね』
囁きが耳朶を叩く。
全力でスプリントするワタシの隣を、ゆるりと追い抜いていく黒い影。
『折れても、立ち直るのがいい。きみからは何かあるかな、鬼脚の君』
『追い込みはいいわよ』
『……。うん、それでは、娘をどうぞよろしく』
黒い影が前へ進み、次いで何かどんでもなく速いモノに追い越される。その先には光があった。ワタシの裡に眠る感覚が、目標地点を見定める。
いつものようにワタシは走り、そうして───
69二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 00:00:03
「正義の心、共に合わせて!」
「正義の魂、一つに束ねて!」
『一撃入魂☆ペガサス・ダイナミーック!!!』
ある日のターフにて。
ヒーローショウめいた掛け声とともに、ポーズをとる二人組の姿があった。
それはビコーペガサスとその担当トレーナーによる早朝の儀式であり、これを見ると気合が入ると一部生徒に好評なやつであった。
そして、今日に限っては、このウマ娘がトレーナーであるという証明でもあった。
「いえーい! やっぱりトレーナーはトレーナーだなっ!」
「そうとも! ワタシはビコーペガサス担当トレーナー! ウマ娘となっても、それは変わらないとも!」
「前もかっこよかったけど、今の姿もカッコいいぞっ! でも……その、大丈夫なのかっ?」
不安げに様子を窺っているビコー。
何事かと身構えたビコトレだったが、すぐに思い至る。ウマ耳の影響で被れなくなったヘルメットを芝に置き、両の手をビコーの頬に添えた。
「そうだね、ビコーにはワタシのあれこれを話していたし、不安になってくれるのは、正直とーっても嬉しい! だからこそ、ワタシにはしっかりとその憂いを晴らす義務があるねっ!」
「……うん」
「確かに、ショックではあった! これに関してウソはつかないとも、本当にショックだったからね。ワタシの人生は、ワタシ自身との闘いの歴史だ。それと向き合って、乗り越えたからこそ、今のワタシがある。だからまあ、そのカラダをいっぺんに失ったのはショックだったとも。今までの人生を全否定された気分にすらなった。───でもね、ビコー、そんなことはないのさ!」
ビコトレは笑う。努力によって獲得した表情筋ではなく、ウマ娘の怜悧な顔立ちで。けれど、かつての己と同じように。
70二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 00:00:47
「これは、三女神様が与えてくださった、新しい挑戦への機会なんだ! このカラダに合う服を探してみよう! 新しいポーズの開発もしなきゃ! 声も変わったのだし、鍛えなおさないとね! あとは、そう、キミと一緒に走れるのさ! それは、とっても素晴らしい挑戦だと思わないかい、ビコー!」
かつての記憶が蘇る。短距離における追い込み。小さなカラダで思うように走れず、苦悩するビコーに、当時教官を務めていたビコトレは激励を贈った。
『素晴らしい! 困難への挑戦、憧憬への邁進が、我々を変身させるんだ! 保証しよう、たとえキミの努力が結果に結びつくことなく終わったとしても! その道程が! 専心が! 邁進が! キミの矮躯に夢を注いで、ヒーローへと変身させるだろう!』
「キミさえよければ……これからも、ともに走ろう、ビコーペガサス。キミが変身する様を、間近で見せてほしい」
≫87二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 00:29:53
ちょっとこんなひと幕があってもいいなと想像してみたりしました
「おうおうあんちゃん、ちょっとええか?」
「おや、タマモクロスクンか。どうしたんだい?」
「それがなぁ…ほら、出てきぃや」
「おや、後ろから出てきたのは…タマトレさんか!」
「ヒイイィィィッッ!!!」
「えっと…怖がらせてしまった…かな…?」
「いんや、これが普通やからええんやで。それとほら、渡したいモンあるんやろ?って押すな押すな!1人で渡せっていったやろ!…ハァ…なんかすまんな」
「いいさいいさ。これから慣れていけばいい!」
「………(スッ)」
「おや、これは貰ってもいいのかい?」
「…………」
「ええらしいで?」
「中を見ても?」
「…………」
「ええらしいで…」
「そうか!それでは失礼して…おや、これはピンバッジかい?」
「…コク」
「そうか!ありがとう!大切にさせて貰うよ!」
「という訳や!そんじゃあ時間とって悪かったな!またお願いするけぇな〜!」
「ああ!こちらこそ!またよろしく!」
こうして少し距離が縮まったのかもしれないのだった。
少しお借りしてSS作ってみました。
≫101二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 01:02:05
『変わる仮面の戦士たち』
「やあやあ、そこにいるのは黄金鳥仮面、バントレさん!」
通りの良い声、ハキハキした喋り方。姿勢は正しく、明朗快活。金と黒の差し色をした髪色の小さめなウマ娘は、ビコーペガサス担当トレーナー。
バントレが歩いていると、元気よく声をかけて挨拶をしてきたのである。
「ご無沙汰していますビコトレさん。……何時の間にかウマ娘に御変わりになっていたとは」
「なに、特に問題はないッ!寧ろこの姿になってからは色んな意味で走りやすくなったからな。ビコーとのトレーニングにも俄然パワーが出るというわけだな、はっはっは!」
「えぇ、それは何よりです。これからも顔を隠す者同士、そして教え導く者同士として少しでも関わることができればと」
「それは良い、特にバンブーメモリークンも短距離を走るスプリンターだ、ビコーと戦うこともあるだろう。その時は良きライバルとして、それ以外では良き友人として関われることを祈っているぞ!」
「それはとても良いですね。やはり、好敵手というものは競技者において重要なものです。ただ一人絶対的な強さを誇ることもまた競技者の在り方の一つですが、互いに切磋琢磨してより一層先へと進める関係、それもまた良いものでしょう」
「我々は導く者だ。故に、彼女たちがより良く走っていくことのできる方法を考えていかねばならない。君も教え導く者、良い関係であればと願っている!」
「楽しみにしていますね。……ところで、そちらの面頬は?」
「ああ、このメンポかい?これは色々なデザインを試しているのだ。ライダーヘルメットだけではなんだかなあという部分もあるからな。それに、今まで使っていたものは耳の都合使えないものが……」
「よくあるお話ですね……では、私の仮面蒐集品でも見ていかれますか?自室にそれなりの量を抱え込んでいますので」
「ほう、マスクコレクション!素晴らしい……よりワタシに合うデザインも見つかるかもしれないな!」
その後、トレセンにて色んな仮面を付け替えする二人の戦士の姿がちょくちょく見かけられたとかなんとか。
≫143二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 07:58:49
「…あ、こんにちはビコトレ(小)さん」
「む、こんにちは」
───トレセン学園の一角で、フリフリの服装を来た少女と、ライダーヘルメットをつけた少女の二人が話していた。
…その奇妙な光景を産み出している張本人ことサトトレとビコトレ。
「そういえば、サトトレさんはサトノジャッジとして競技に参加しているのだったな!」
「はい、そろそろ僕が目指す夢の舞台には登れそうですね」
「なるほど!…ちなみに君の目指す『憧景』はどこか聞いてもいいかなっ!」
…ビコトレからの質問に、サトトレは笑いながら世界の舞台を示した。
「…凱旋門賞、担当のダイヤが取れなかった因縁の地だよ。僕はそこに挑戦するんだ。」
「…良い!その『憧憬』への『挑戦』、私はそれを応援しよう、君も立派なヒーローになれる、いやヒーローだとも!」
「…えへへ、ありがとうございます。」
「それと、私から提案がある!」
「…?」
「ずばり、怪我しない身体の作り方・走り方を教授してもいいだろうか!…怪我で道半ばに折れるというのは望みじゃない」
ビコトレからの提案に、少し考えたサトトレは
「なら、お願いしてもいいですか?」
「良いぞ!では数日後のトレーニングの時に教えるので、予定を空けておいてくれないか」「勿論です。…後は、僕のトレーナーをしてもらっているキタトレにも会ってみてくれませんか?」
「む、構わないが…」
「えっと、僕自身のトレーニング内容の調整はキタトレにまかせているので、そちらの方が都合が良いんです。」
「…もう一つ、胡散臭いとは言われてるけど、理想…『憧憬』って言った方がいいかな…を目指して動く彼女にどういう感想を持つか聞きたくて。…まあ、僕からのおせっかいみたいなものですね。」
「分かった!ではそうしよう、…何処に行けば会えるかな?」
「あ、キタトレはトレーナー室にいるはずなのでそこに行ったら良いです。…では、また会いましょうね」
「ああ、ワタシもこの辺で。ではさらばだ!」
───それはあったかもしれない一つの光景。
短文失礼しました
ヒーローとのことなので、挑戦するのと意志の堅いサトトレと会わせてみました。トゥインクルの時は背中を押す姿が見れると思うの。
後、キタトレと会わせるのは、その怪我しない走り方をキタトレに見て学んでほしいためです。キタトレもこういう機会は喜びます。
≫148二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 08:24:34
囁き グルトレ
カーテンの隙間から朝日がさす。ひんやりと、からりとした部屋の空気で眼が覚める。いつもより少しだけべたりとした身体。彼女の愛でできているから不快とも感じない。それどころか、とてもすき。いつもよりちょっぴり甘えん坊さんだった彼女を抱き締めたまま眠っていた。掛け布団のなかで脚と尾を絡め、何があっても離れられないようにお互いを繋ぎ留め合う。あたたかくて、やさしくて、だいすきでいっぱいのままでいられる。私よりもほんの少しだけ背が高いのに今は私の胸の中で眠っている彼女。どうしてこんなにあたたかいのだろう、といつも思う。彼女と夜を過ごし、そのまま眠りについて朝を迎える。この時間はとても静かだ。ほおが緩んでいると、彼女がぱちりと目を覚ました。
「おはよ、グルーヴ」
「ああ、おはよう」
いつもと同じなのに今日は離したくない、そう思いながら私が彼女を抱き締めたままでいると、不思議そうな顔をする。大人びた印象の彼女が少しだけ年相応に見える表情、とても愛おしい。
「今日は休みだからちょっとだけ、このままでもいい?」
「構わんが、理由は?」
「う~ん…グルーヴがいつもよりあったかく感じるから?」
「別に風呂の後でも良いだろ」
お風呂の後の方があたたかいのも事実。恐らく、気持ちの問題だ。少し考えていると、彼女は私に抱き着き、頭を私の胸に預けた。目の前で動く彼女の耳。つい目で追ってしまう。
「グルーヴ」
「っ……な、なんだ急に」
思わず、囁いた。彼女はぴくりと身体を少し震わせた。
「だって、お耳がこんなに近くにあるんだもん。囁いてみたくもなるよ」
「それは貴様が…」
「好きなの知ってるよ?」
彼女がそれを好きだと知っているから、できること。そういったコトをしている時にすると私をもっと求めてくれる。私はそれがとても嬉しいんだ。だって私は彼女のトレーナーで恋人で将来を誓い合った仲だから。すき、だいすき、あいしてる、ずっと一緒にいて。とめどなく溢れてくる言葉をすべて彼女の耳に向けて囁く。何も言わずに私に抱き着く腕に力が入っているのを感じるとそれだけで胸が高鳴る。この心臓の音も彼女の耳に届いたらいいのに。耳の位置とこの大きい胸では到底彼女には聞こえやしない。
149二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 08:24:46
「グルーヴ、私に同じことして?」
「良いだろう」
互いに腕を緩めると、私はグルーヴの胸に顔を埋めた。そんな私を彼女は優しく抱き締める。
「んっ……耳咬むの…あっ、ちがっ……」
「貴様の好きなことをしているだけだが?」
「私は、グルーヴにされることは全部すきだけど」
「だけど、なんだ?」
彼女に耳を甘咬みされながら、囁かれる。私の思考をとろかすには十二分なものだ。
「今は囁いて」
私のことを、すき、愛している、ずっと一緒と囁いて欲しい。今は仕事のことも何もかも忘れて、貴女以外何も考えられない私で居させて欲しい。そう言うと彼女は私にたくさんの言葉を囁いた。
「あっ、…もう、最近なんだかよく舐められる気がする……んっ」
彼女が私の寝ている間に顔を舐めていたことがあった。あれ以来、舐められることが増えた気がした。当然ふたりきりの時やそういったコトをしている時だけに限ったことだが。
「私は飴じゃないよ、ふふん」
くすぐったいけれども、嫌ではなかった。好きでなければこういったことをするような娘ではないと知っている。私以外にしないと確信が持てる。
「飴なんぞでは足りない」
「え~なに?」
「たわけ、黙ってされてろ」
空気の読めないお腹の音が鳴り響くまで、私は彼女とこのまま時間を過ごした。
≫155二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 08:29:18
────"可能性の範囲内にあることは全て実現されるべきだし、きっと実現される"『蒸気で動く家』著:ジュール・ヴェルヌ 訳:荒原邦博、三枝大修 1880年。
イクノディクタス担当トレーナーは酷く頭を悩ませていた。
といっても、この10年変わったことは多い。成った時90cmしかなかった体躯も120cm程度には伸びたし、舌足らずもなくなり普通に喋れるようになった。
担当であるイクノディクタスも妙齢の女性といって差し支えなくなったし、相も変わらず宴会で暴れる特定二名(鹿毛と葦毛)にはすっかり慣れてしまった。
そんな彼であるが、精神的には50を過ぎても肉体的にはまだまだうら若き少女である(が、医者曰く"どうしても135cmに届くことはない"らしい)。
それが、今自分を悩ませている最大の要因であった。
────ジュニアブラ。そう、乙女がその柔らかい胸部を守るためにつけるそれである。
イクトレにとってそれは見たことがないものではないのだが、やはり心理的抵抗感は否めなかった。
────"どこぞのダートを走るルビーのような目の葦毛も担当にどつかれながら同じことを考えていたのだろうか"と考えつつも、パッドの入ったそれを見つめる。
「……ブラトップと変わらない、ブラトップと変わらない」
そんなことはわかっている。下着なんて肌を見せる格好でなければ見えないのだからそうすればいいことも。反面教師となった皇帝の伴侶がうっかり忘れて担当に連れてかれた光景を懐かしみつつ、意を決しそれを手に取る。
そして────
コン、コンと扉を叩く音がする。
「あっ」
「……開けてよろしいでしょうか?」
「……大丈夫、です」
「……はぁ」
────イクトレは一つ、忘れていた。元担当のイクノディクタスが訪れる日を忘れていたのだ。
こうして、イクトレのジュニアブラデビューはまた先送りにされたのであった。
≫162二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 08:37:56
◆こころ
発案:タマモクロス、講師:ネイトレ、生徒:タマモクロス・ナイスネイチャによる突発授業のお話。
「───それで、弱ってるときっていうのは心を守るための鎧とか盾とか、そういうものが少ない状態なの」
「ほうほう、そんで?」
「そんな状態だと、人によっては周りのもの全てがざらついて、トゲトゲしているように感じられて、今までそばにあったものでも受け付けなくなってしまう。少しずつ『認知の歪み』っていう極端な思考になりやすくなっちゃうの」
「そうなんだ……」
「こっからはもうスパイラルだよね。自分を守るために外との関わりを閉ざしていったり、攻撃は最大の防御とばかりに噛み付いたりでどんどん歪みが補強されていって……」
「「……」」
「……という一般論」
「「いや一般論かーい!」」
「ダブルツッコミ!?」
「そらそーや!実体験か……思て神妙な顔並べて聞いとったウチらはまんまアホやでアホ!」
「あんまりアホ連呼しないでください……というか一般論じゃなくて、トレーナーさんも最初はそんな感じだったよね?」
「そう、だね。私の実体験も少し込み」
「……すんませんでしたっ!!」
「謝らないで!?……ただ私の場合、心がむき出しになると同時に心の感度が急激に下がっていって、自問自答しながら静かに消えてくって感じだったかな」
「ああ、そうだったね……」
「ノーガードやん……詳しくは知らんかったけど、ネイチャのトレーナーさんもほんまキツい目に遭うとるんやな」
「見ようによっては外との関係閉ざすことで守るタイプなんだけどね……ごめんなさい。総論含めてもあまり参考にならない話で」
「……いや、助かったわ。まっすぐこころで!いうんだけじゃこの先足りんかもしれんしな」
「……参考にならないついでに、今日の話は忘れよっか?」
「いやなんでや!?」
163二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 08:38:05
「こう……下手に知識が増えたせいで面倒ごとになっちゃいそうで。今言ってくれたように、ストレートに心をぶつけていく方がいいんじゃないかなって」
「……『生兵法は大怪我のもと』いうことか。気遣いおおきに」
「うん……」
「それでも」
「……それでも、下手したとして引っ叩かれんのはウチです。良かったらこれからもなんや教えてください」ペコリ
「……それで結果痛い思いするのはタマモさんじゃ」
「ネイチャ。傷が増えるゆうても、これは勲章みたいなもんや。会長の勝負服なんかチャーーと追い抜いてバリバリ増やしたる!」
「……強いですね」
「いやネイチャも大概やけどな?んじゃ先生、ほんまありがとうございました!ネイチャも付き合ってくれてありがとーなー!」ダッ
「……先生だって」
「煽て方うまいねぇ……全然力になれた感じしないのに」
「なんていうか、ナチュラルにヒーローメンタルって感じだった。あたしああいうのに弱いんですよねー。目がくらむ」
「ネイチャも大概だけどね……でも、あの子も不安なんだと思うよ」
「そうなの?」
「わざわざ私に直談判して話聞きにくるぐらいだしね……今以上になにか出来ることがないか、探してる最中なんじゃないかな」
「……そっか」
「……タマトレさんが早くよくなりますように」
「そうだね。よくなりますように」
「……あと、私のせいでこじれませんように」
「小市民メンタル過ぎません?」
(終)
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part554【TSトレ】
≫12二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 09:10:01
ビコトレ「『どう変わる若うど』……うん、難しいね!」
13二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 09:10:38
「『野菜が嫌さ』…いやこれ俺じゃなくてブライアンじゃん」
14二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 09:11:47
まさかタマトレが回文になるなんて吃驚だろう!でも現にンゲ!モデウロダリクッビ!点なる何、ンブいかが?レトマ、タカ様~
20二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 09:19:47
「『竹家焼けた』!」
「いやそんなドヤ顔で出すような境遇じゃないでしょそれ」
「むしろトラウマものじゃありませんの?」
「いやなんというか、それどころじゃない!っていう勢いでしたので……結果的に私の頑張りで犠牲者はありませんでしたから」
「あー……いやでも自分の家がバーニンしてる人が出す回文じゃねえよ」
24二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 09:26:13
教官ちゃん「『スマリアであります』! ……すまりあってなんでありますか……?」
26二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 09:30:49
マルトレ「さんさいじおじいさんさ」(イクトレを持ち上げながら)
イクトレ『🤔』
27二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 09:33:06
「『筋肉人気』…!これだッ!マッスルイズポピュラー!」
「まあ……世界中から求められてると言われれば否定はできませんわね」
28二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 09:33:12
「🤔😁🥺🙄🥺😁🤔」
40二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 09:40:41
スズトレ「『流石ガスさ』……いや流石に短すぎるわね……」
42二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 09:42:29
「『むんむ』……ふっ」
「えいえいはどこいったムントレ」
「『えいえいむんむいえいえ』……ふっふっふ!」
「ゴリ押しやめろ!」
43二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 09:49:18
タイシンしいた!!どうだタイシン!!
……それで許されるのはさ、小学生まででしょ
44二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 09:49:28
「『鳥と琴、小鳥と』……なんかびみょい」
「解説プリーズ」
「鳥は私、琴はベガ、小鳥はアル。でもやっぱなんか据わり悪いわねぇ」
「まあでも悪くないんじゃないか?俺はなぜかブライアンオンリーになったし…」
45二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 09:49:50
「『ちみのへんしんはきよきはんしんへのみち』……」
「いやその、半身というのは心身のうちの心の部分ということで……あっは! 許してっ!」
≫46二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 09:49:53
俺ことダイワスカーレット担当トレーナーは、この度新しい業務をあぶみ本舗から請け負うこととなった。
「どうも。あぶみ本舗の生活サポート担当、ダストレです」
「おー、アンタが担当かいな。すぐ来てくれて助かるわ」
そう、ウマ娘化したトレーナーさん向けの生活サポートを手配する営業だ!
乗り回していたカブが大破してお金がかかる……とボヤいたところ、オペトレさんが仕事をくれたのだ。
(そろそろ物入りだろう?と聞かれたことについては目を背けておいた……)
これから色んなことをサポートする為に、色んな人のお話を伺うのが俺の役目である。いつもより積極的な営業のダストレさんなのだ。
「とりあえず、これ。休職中のトレーナーとしての在籍手続書とか、出走申請代行サービスとかの案内書です」
「おおきに。これはウチが目ェ通してもええんか?」
「是非是非。俺からは説明とかまだ無理でしょ?」
「まぁ……せやろなぁ。今日はアカンわ」
今日はタマモクロスちゃんと、その担当トレーナーさんの生活サポートがお仕事。
詳しい事情はよく知らないが、タマトレさんは色々な不幸が重なってすごく他人が怖くなってしまったらしい。とはいえ生活もあるし、トレーナーとしての契約は外したくないので、そのサポートとしてタマモクロスちゃんからお呼びがかかったというわけだ。
実は会えたらいいなと少し期待してはいたが、会えないなら仕方ないので、タマモクロスちゃんにお手紙とあるものを渡しておく。
47二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 09:50:21
「……これは?」
「無限プチプチ。知らない?」
「あー……なんやテレビで見たことはあるわ。んで、これどないせいっちゅーねん」
「イライラした時にプチプチすると気が紛れるよ。タマちゃんにもあげるね」
手渡された無限プチプチを、タマモクロスちゃんはしげしげと眺める。
差し入れにこれを選んだのは、このくらいしょうもない物の方が気安く気晴らしとして扱えるからだ。
食べ物は手を付けないかもしれないなら、食の細いタマモクロスちゃんの負担になるだろう。花とかは無難だが心理的に壊しづらい分、壊された時の心理的ダメージが強いもの。本は投げつけでもしたらタマモクロスちゃんの怪我になりかねない。
だからちっちゃくてちゃっちい無限プチプチ。ウラトレ先生ならこう選ぶだろうと選んだそれは、一応タマモクロスちゃんのお眼鏡には適ったみたいで、無事ポケットに収まった。
「行く途中のヨドバシで買ったおもちゃだから、捨てても壊れても気にしないでいいよー」
「気にはするわい……ま、お気づかいおおきに。手紙は、その……」
「うん。そっちもダメ元で大したハナシ書いてないから。スカーレットがカワイイってことだけ書いてある」
「もうちょい当たり障りない話題あったやろ!? トレーナーからしたらダイワちゃんアカの他人やないかい!!」
流石はタマモクロスちゃんだけあって、キレのいいツッコミが飛んでくる飛んでくる!
さて。ここまでは気軽だけど、1番大事なことを伝えなきゃ。
俺はへらへらと笑うのを止め、しっかりとタマモクロスちゃんと向き合った。
48二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 09:51:07
「ね。美味しいもの、食べてる?」
「ん? まぁ、トレーナーには……」
「いや、タマちゃんが食べてるかどうかね」
「……あー」
歯切れの悪い返事は、少し無理をしている証拠だろう。
こういう時に支えてあげるのが本当のトレーナーの役目だが、俺は彼女のトレーナーではないし、タマトレさんも難しいだろう。
だから、授けるのはヒントだけにしておく。
「俺の仕事もだけど、タマちゃんの大変さも長期戦になるだろうからね。ある程度割り切って、自分を甘やかすのも大事だよ」
「……理屈はわかっとる。せやけどな……その……」
「頭から離れない?」
「……まあ」
「そっか」
それ程大事にされる好意に、甘えてるんだなぁという冷たい気持ちを、おくびにも出さないように気を遣う。
どの口が言うんだってハナシだし、こういう事情に冷たくするのも、親身になり過ぎるのもよくないと思う。お互いが潰し合うか潰れるだけにしかならない。
「じゃ、タマトレさんの為に自分を労っておかないとね。はいコレ、バブリーランドのチケット」
「なんやねんそのけったいな遊園地は……ホンマ、おおきにな」
程々に都合のいい、割とドライなダストレさんを俺は努めて演じた。
それがタマモクロスちゃんの胃に優しく当たることを願って。
49二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 09:51:51
「じゃ、俺はこれで。何か質問があればSNSに頼んます」
「おー。ほな、またなー」
「ほなほなー」
ちょっと関西弁をうつされながら、俺はその場を立ち去る。
冬風が沁みる外で身を震わせて、思わず見上げると、タマモクロスちゃんのいた建物の窓から俺を見下ろす人がいた。
少し目が合った気がしたけれど、すぐにぴしゃりとカーテンが閉まる。あそこにいるのがタマトレさんだとしたら、俺は果たして穏やかな顔ができていただろうか。
「……考えても、しょうがないよなー」
どの道、長期戦なのだ。
彼女が立ち直るその日まで、都合のいいサラリーマンとして根気よく付き合う必要があるのだろうし、そういうことに今更躊躇いはない。
ただ、その戦いが短く済むことを、今はただ願うばかりだった。
うまぴょいうまぴょい
作者コメント:
というわけでタマトレさんをお借りしたようなしていないようなやつです
生活面のフォローはあぶみ本舗におまかせ!ということでダストレの活動を拡張しました
話の邪魔になる適当な面倒ごとのなんでも屋としてお使いください
適度な距離感で常識的な対応をしてくれます。失敗しても酷く傷つかないのでメンテが楽です
以上になります
たのしかったですわ! たのしかったですわ!
≫52二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 10:06:01
「『養老保険品けほ売ろうよ』。これは中々に良いんじゃないですか先生?」
「ふむ、初めてにしては長めで良くできていると思いますよ。……ところで、「けほ」とは何ですか?」
「えっと、今日って古語で「けほ」って言いませんでしたっけ?」
「……アグネスタキオン担当。今日の古語は「けふ」です。これでは意味が通りません」
「えっ」
「作り始めですからそんなこともありますよ。タキトレさん、焦らなくても良いからまずは短めの物から始めてみましょう」
「はい!」
──この後、タキトレは『健康な右近家』という回文を作り、自らの師から「家族が健康なのは良いことです」と花丸を貰うのはまた別のお話
≫55二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 10:21:05
☆タイキトレ的回文
「『痛っ!……全部自分?絶対?』」
「いたっぜんぶじぶんぜったい……おお、ちゃんと回文になってる」
「でも先輩、どんなシチュエーションなんですかこれ」
「これはねネイトレちゃん、『すっぽかして溜まってた書類をフクトレさんにハリセンで叩かれながら急かされる』というシチュでの一言なんよ」
「ダメな大人だー!『絶対?』ってこの期に及んで逃げようとしてる辺りダメだー!」
「そんなのでいいんですか……?」
「ちなみに先週あった実話ね」
「本当にそれでいいんですか!?」
「……負けられない!!」
「ベガトレ先輩、今どこで張り合おうとしてます!?」
58二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 10:37:09
ダストレ:俺なんてどうせ独活天菜獅子座
「大層に見えて全然そんなことないよなぁ……そんなもんだよ、俺なんて」
オペトレ:舞台に上がるはルガーに猪豚
「差詰、分不相応、豚に真珠といったところかな」
スイトレ:まあまあ食べたい食べたあまあま
「あまあまはいつ食べてもあまあま……」
イクトレ:🤔
『Now Loading now...』
ヘリサブ:トレーニングを群に入れと
「か、カテゴリ分け……ですっ」
ヘリオス:世の中ね、顔かお金かなのよ
「加えて人の縁も加えたいところじゃのう」
59二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 10:40:10
「『私は壊したわ』…どうです?『むんむ』よりは出来てると思いますが」
「確かに君は色んな機械を壊してるね…流石だ」
「ふふん。ムントレさんには負けませんよ」
「私も真面目に考えるか…『大根漕いだ』」
「何を漕いでるんですか…?」
「じゃあ『安いな値段、売店でおでん。定番だね、ナイスや!』なんてどうだい?」
「むむ…凄いです。良くそんなに長いのが出てきますね」
「『切り干しの搾り機』」
「大根ばっかじゃないですか」
≫66二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 11:42:26
「霊的な干渉がないゲームなら大丈夫に決まってるじゃない…そうに違いないわ…」
「ベガトレ、バイオですらビビり散らかしてたのにもっとホラー寄りのやつとか無理じゃないの?俺が言えたこっちゃないけど」
「オバケナンテナーイサー」
「でもアルちゃんってほとんどお化けみたいなもんじゃ」
「それ以上いけないよマルトレ。アルはアル、いいね?」
「アッハイ」
「──まあわたしが何かってなると、お化けと言われればお化けかもしれませんけどねー」
「アルちゃんはいいのかそれで……」
「まあ表に出ているのが『わたし』の意識オンリーだと『そういう類のもの』も見えなくもないですからねえ。ほらあそこの壁のシミとか」
「み”ぇ”っ”」
「冗談ですってば」
「ど、どこまでが……?」
「……さあどうでしょうねー」
≫105二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 13:17:56
時には強引な手法も必要である(ショック療法)
「やめろ...それ以上近づくな!」
「トレーナーのためなんや...ほら、怖がらんとこっちおいでや」
「うるさいうるさいうるさい!近寄るな!やめろ!来るな!来るな!!」
「トレーナー!」
「ネイトレも!スズトレも!ロブトレにDK4も!!全員!俺を裏切った!!全員敵だ!」
106二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 13:21:29
「絶対にブラなんて着けないって言ってるだろ!」
「付けへんとあかんでトレーナー!」
「厚着してるから良いだろ!ぱっとみわからないだろ!」
「あかんもんはアカンのや!」
「やめろ!つけたくなーい!」
「ほれ、こっちでロブトレ達が待ってるで」ズルズル
|M0)
「ブラドレザーン!ナズェミデルンディス!オンドゥルルラギッタンディスカー!」
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part555【TSトレ】
≫6二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 16:08:13
「俺には夢が……あるな、いっぱいあるわ。でも夢を守ることはできる!」
「しょっぱな躓いたぞコイツ!「でも」が接続しきれてねえ!」
「まだまだエミュが足りないね!」
「うっせーやいブイトレにベガトレ!ほぼほぼ作中と同じことできるほうがおかしいんだよホントは!」
「まあ確かにこの部分はエミュがどうののレベルではないねえ」
「体質……いや体質でいいのかこれ?」
≫30二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 16:42:18
───トレセン学園にて
「…ん、どうしたんだいファイン」
「ううん、少し触れたくなっただけなの♪」
「ふふ、そうか…」
…外のベンチに腰掛けながら、ファインはファイトレの頬をさする。目を細めてリラックスした表情で、ファイトレは聞いた。
「…ファイン」
「何かな、トレーナー?」
「いや、少し…私も触れたくてね、いいかな」「いいよ♪」
ファインからの許諾をえつつ、そっと手を伸ばすファイトレ。割れ物を扱うように丁寧な手つきで首筋に触れる。
肌ツヤの良い白色の肌を血の通った右手で優しく撫でる。ファインは少しくすぐったい感覚に、思わず彼女の腕を掴んだ。
「ああ……綺麗だ…」
優しげな、しかし端正な顔を崩さぬままにファイトレはファインの首元に手を回す。ファインは目を閉じて笑ったまま。
「…」
…ファイトレは静かにファインにキスを落とす。目を開いたファインも同じようにキスを返した。
「…えへへ」
互いに言葉はいらなかった。舌を絡めて深く、湧き上がる充足感を長く感じ続ける。
「…は、満足出来たかい」
「うん、とっても」
口を離すといたわるように頬に触れ合う。周りから見られても良いと言わんばかりに体を寄せ合う。
…ふと、ファイトレの冷たい左腕を掴んだファインは、胸元に抱き寄せて包み込む。…ファインが腕にもたれかかる姿勢とも言える。
「ふふ…離れないよ、私はずっといるから」
「…うん」
覆い被さるように…いや、腕ごとファインを引き寄せて右腕で支えるファイトレは、ファインを体で包みこむように動く。
周りを見渡した彼女の瞳には、ファインへの甘い愛とほんのりとした独占欲の色が見える。
「…じゃあ、そろそろ行こうか。私が運んでもいいかな?」
「…なら、お願いするねトレーナー♪」
ファイトレは手際よくファインを抱きかかえる。お姫様抱っこの状態で、二人はもう一度口づけあった。
───その互いに向ける目は、きっとほんのりビターなチョコのように、とろりととろけたものだったのだろう。
≫77二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 17:35:59
「中途半端にあるより見惚れるくらいスレンダーな方が見栄えいいだろ!? 世間一般ではモデルかな?ってくらい魅力的な体型だよ! 自分の魅力に肯定的になろうよ!」
「バカねトレーナー、アンタだって濃い性癖の持ち主に好まれてるじゃない」
「そういうのはスカーレットだけで充分だし!」
「は、はぁー!? そんなことないんですけどー!?」
実際スレンダーなのは魅力的ですよ奥さん
85二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 17:44:45
「こいつら朝の往来で惚気てやがるよ……」
「素晴らしいですねぇ、愛っ」
「ご馳走様です」
「でも意外とでかいのが多いんだよな23歳組。ここにいないけどドトトレとか凄いぞ」
「不思議ですよね、人によってこんなにも変わるなんてっ」
「それを言うとヘリサブさんも中々……ああいやこれを考えるとなんだか私がベガトレ先輩みたいになってしまいそうです」
「酷い言われようである」
参考資料 (ドト 表2:F)(ブラ 表2:C)(ヘリサブ表2:G)(ネイ表2:C)
≫164二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 18:53:30
「エプロンかぁ……急に言われてもパッと用意は出来ないって……」
「あ。そうだ、小学生のとき作ったヤツがあったはず……アレでいっか」
「(ゴソゴソ)……あったあった……うわぁ、そういえばこんなデザインだったなぁ」
「予想通り、着てみた感じサイズは丁度いいな。けど、ちょっとコレはなぁ……」
「昔の俺、よくこれ平気で着られたな。うーん、やっぱり企画当日までに買うか……」
「って、うわ、テイオー!? いつから……え、あ、いやこれは昔作ったヤツで、その……」
「サイズは丁度いいんだけど、その、デザインが……うう、恥ずかしいからあんまり見ないで……」
俯いた顔は紅潮し、エプロン、というより前面を隠すように縮こまった体の後ろで尻尾が恥じらうように揺れる。
何の気なしに開いたトレーナー室の扉の向こう、待ち受けていたのは突然の据え膳。
テイオーは──耐えた。
≫174二次元好きの匿名さん21/12/13(月) 19:12:04
◆ 庶民だけどエンゲル係数はやや高めなネイトレさんの図
「ネイチャはエプロン着ても割烹着着ても似合うねえ」
「トレーナーさんに着せたいって話をしてるつもりなんですけど?」
「……ネイチャ作る人。私食べる人」
「本気で怒られるやつだよそれ!?」
「せ、洗濯とかお掃除とかはするから! 美味しいものを食べたいという強い想いをどうか汲んでください!」
「……ほっといたら外食やスーパーの御弁当、冷食に走りそうだよね。トレーナーさんは」
「どれもちゃんと美味しいし……」
「そりゃネイチャさんも知らない訳じゃないけど……」
「作る手間を減らすって本当に大事なんだから、上手に使っていこ?」
「むぅ……物はいいよう。でも栄養バランスは考えてよね」
「大丈夫!大体トマトが解決してくれる!」
「雑!!」