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このページは「おれバカだから言うっちまうけどよぉ…」スレに投稿されたSSをまとめるページ（スレpart351～355）です。
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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part351【TSトレ】
≫68二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 13:40:21
午前九時 あにまんに 天才1人現れた
スレタイ書き込み投稿 誤字は直さんらしい
1時間後奴が来た やばい性癖しょって来た
始めようか 言うっちまう 新概念を探して
深い闇(曇らせ)に飲まれないように 140-90
彼女の性癖が 破壊された あの胸
見えない性癖見ようとして SSや絵を覗き込んだ
静寂を切り裂いて いくつも癖(へき)が生まれたよ
女神が僕らを呼んだって セイブルコンボ叩き込んだ
「イマ」という このスレを 今もみんな追いかけている
≫120二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 14:25:17
タマトレ「テレカ、バスネット、ポケベル、駅の待ちあわせ掲示板」
ドベ太郎「??????なんですかそれ?」
タマトレ「( ﾟ∀ﾟ)･∵. ｸﾞﾊｯ!!」
フクトレ「おっさん組がやられた!衛生兵!衛生兵!」
≫131二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 14:39:28
「見たまえアヤベ君、あれが行動のアホ、戦績のアホ、成績のアホの阿呆の大三角形だよ」
「なんでうちのトレーナーが成績担当なのかしら、オペラオー？」
「僕のトレーナーから聞いた話だと、トレーナー資格の合格基準ギリギリ1点越えらしいね！」
「…………返す言葉もないわ……」
141二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 14:59:33
ネイチャが描かれるだけでひたすら嬉しくなっちゃうチョロい私……
「ネイチャ……輝いてるよ……！」(カメラ連写
「うん。そもそも、あれもこれも走ろうって提案したのトレーナーさんだからね？アホ扱いされる原因の半分そっちにあるからね？」
「大丈夫！最後にはちゃんと『走ります！』って言質取ってるから！三人ともー！今度はこっちに目線ちょうだーい！」
「……世界にはまだまだアホがいる。心強いね！ブラトレ！」
「……ああ！！」
勢いだけの生返事をしながらブラトレは「もしかしてネイトレ巻き込むべきだったか？」と思ったり思わなかったり。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part352【TSトレ】
≫18二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 17:21:07
タマトレ「まあ…昭和の駄菓子だからな……」
ドベトレ「へ〜、見たことねえや梅ジャム」
キタトレ「もう販売してないんでしたっけ？」
じじぴ「時代の移り変わりは恐ろしいのう、
ほれ、ドベトレ、似たようなやつじゃが」
ドベトレ「お、さんきゅじじぴ〜
……うめえ！！！！うめえぞコレ！！」
≫22別概念ファルトレ第6話1/921/10/31(日) 17:23:03
ファル子が出した提案は、「もう一度ファル子と走る事」。
けれど、ただ走るだけではない。
ファル子はそのレースを「一週間後」と定めた。その間に通常のファル子のトレーニングに加え自身のトレーニング、ファル子のウマドル活動のサポート、通常の学園での声楽指導教官の業務、その全てを他のクオリティを落とすことなく完遂することを条件とした。
……この条件を飲んだ時点で、私はもう既にウマドルになる気があるのだろう。つまり、これは確認作業。そもそも本格的にウマドルをやるとなればこれに私自身のウマドル活動も追加される。本当に私がその全てを出来るのか。その覚悟が私にあるのか。そして、これを提案してきたということは、ファル子は私を信用してくれている。私はこの道を選んだ。ならば私のやるべきことは一つ。
ファル子のウマドル活動の支援はまずは自身が変化したことによる方々への挨拶回りから。まあ既に結構なトレーナーがウマ娘化し、オペトレさんの指導の下外部に適切な情報提供もされていたので、関係各所は「そろそろあの人もなるんじゃないか」という不謹慎かつ異常だがありがたい心構えが為されていたらしく、スムーズに事が進んだ。「じゃあファルトレさんもウマドルになるんですか～？」との問いにそのつもりですと答えたら何故か驚かれたけれど。
声楽指導教官についてはむしろウマ娘の声帯になったことで、より生徒に寄り添う課題解決もできるようになったし指導の幅も増えた。というかよくあの頃の私男性でこの立場もぎ取ったなと思う。ただ曲のリクエストを以前よりされるようになったけれど時間などの都合上から断らなければいけないのは少し心苦しい。
ボーカルレッスンやダンスレッスンは空き時間や時にはファル子と一緒にやれば問題がなかった。歌唱技術は優れたものだと自負していたし、ダンスも流石に一朝一夕では身につかないが繰り返しレッスンして上達していくのは純粋に楽しかった。
23別概念ファルトレ第6話2/921/10/31(日) 17:23:35
そして。問題のトレーニングについて。
「───というわけで、お願いできますか？スズトレさん、スズカさん」
「うん、私は監督だけなら構わないよ。ちゃんと手伝ってあげたい気持ちもあるけどまだスズカはトゥインクル・シリーズで走ってるし、何よりファル子と、あの日の走りを見た限り多分ファルトレも、あのレベルのダートの走りとなると流石に少し自信がないから。けれどスズカもなの？」
「はい。中央トレセンと言えどライセンス取得にはダートの知識も必要です。資格取得の勉強にもなりますし走りの面でも砂での逃げというのは参考になる面があると思います。私はファル子の指導と同時進行でできれば問題ないのですが名目上は私のトレーニングでもあるので２人まとめての監督者が必要です。双方にとって悪い話ではないかと」
「大丈夫ですよ。よろしくお願いします」
「あれ？そういえばトレーナーさん、口調が変わってからは他の子たちは呼び捨てだけどスズカちゃんだけはさん付けなの？」
「これはトレーナーをしてくださるスズカさんへの私なりの敬意の表し方です。よろしくお願いしますね。スズカトレーナー。」
「───！はい！」
「「「(うれしそう)」」」
「よーしっ☆併走だからって負けないよ♪」
「いいのかしら？本当の勝負の１週間後までに取っておかなくて」
「勿論☆ウマドルはいつだって本気だよ！それにその方がトレーナーさんにもいい練習になるでしょ？」
「ふふっ、敵に塩を送ってくれている、ということかしら。なら、こっちだって遠慮せずに１週間マークし続けるわよ。貴方相手なら苦でもないわ」
「きゃーっ☆トップウマドルの宿命だね☆」
「……トレーナーさん。もしかして私たちは惚気られているのでしょうか」
「……いや、多分ファルトレは全然そんな気ないんじゃないかな。好意ではあるけれど、そういう意味ではないというか……。走り自体は既に高レベルな応酬なのが余計に性質が悪いね」
24別概念ファルトレ第6話3/921/10/31(日) 17:24:03
こうして、自身のトレーニングも滞りなくこなすことができた。スズトレさんの予定が合わないときは、フラトレさんやリャイトレさんにデジトレさん、それにブルトレさんやマルトレさんなど様々なトレーナーさんに監督してもらった。皆トレーナー業で忙しいでしょうに快諾してくれるのは非常にありがたかった。そんなことを素直に謝辞として伝えたら苦笑された。何故。ともかくトレーナー業をこなし、トレーニングもこなし、ファル子のウマドル活動のサポートもしつつ、生徒の声楽指導も行う。そんなファル子の、そして自分の為の充実した日々を過ごし、いよいよ当日。
いつも通り朝5時に起き、朝支度と日課を済ませ、いざ出発というときに。その日は妙に部屋の隅の電子ピアノが気になった。あの日以来触る暇も無く、少し埃が積もってしまっている。今日帰ってきたらメンテナンスをしなければ。そう思いながら見ていたら、ピアノに取り付けられた空の譜面台には記憶の限りでは楽譜が置いてあったことを思い出した。直下の床を確認すれば、目的の楽譜はすぐに見つかった。一週間と一日前に、私が歌ったファル子に頼まれてバラード。思わず五線の上を目でなぞって、大サビの発想記号に視線が留まる。あの時は、無我夢中で弾いていた。あの時は、我武者羅に走っていた。けれど、ああ。この感情は。そうか。
遂に、私の名前が見つかった。
25別概念ファルトレ第6話5/921/10/31(日) 17:24:32
ダート1800。天気は生憎の雨。けれど、そんな雨が愛おしかった。きっと、私の感情を溢すには、私のウマドル活動という砂上の楼閣を固めるには、こんな雨こそふさわしい。馬場はおそらく稍重。私は重馬場でもあまり影響はない。砂が固まっていつもよりも少ない力で加速できるなら、その分を推進力に使えばいいから。しかしファル子も悪路はむしろ得意な方。このぐらいの馬場が、彼女のスピードを更に活かす光景を何度も見てきた。つまり条件は五分五分。そして、競技者としての差はそれこそ天と地ほどある。けれど。負ける気は毛頭ない。私の思いの丈を、そのままぶつける。そして、彼女より、輝いて見せる。
26別概念ファルトレ第6話6/921/10/31(日) 17:24:53
スタート地点、そこに立つのはあの時と同じくスズカさん。並びはこの前とは逆で、ファル子が内、私が外。
息を吸い、顔を上げる。練習の想起。イメージの確保。そしてその再現。砂の五線に記す譜面を、頭の中でなぞる。燻りのバラードを、決意のアップテンポに編じていく。
旗が上がる。ともにスムーズに姿勢をとる。輝きは、負けない。
はためきの音を立てながら、旗が振り下ろされる。
同時のスタート。いや、私が先に出る。既に全力。Gマイナーのアルペジオが響く。優美に、壮大に、先を目指して。貴方との雨の下、貴方より先に。やや強引なコース取り。けれどそれが功を奏してハナに立つことに成功した。ファル子がいないときに、密かに練習したスタートからの加速。後方で貴方が驚くとともにより輝きを増すのを感じる。そうね、貴方は、こんな困難を軽々と乗り越えて見せる。だからこそなりふり構わず逃げる。今まで支えてきた背中が、私を捕まえようと後を駆ける。不思議な高揚感があった。
ざあざあ。思いは強まる。貴方に届いた脚は、おそらくこれからの全てを変える。
向こう正面。私が息を入れた、その瞬間。ファル子は爆発的な加速と暴力的な速度でもって前に出て、即座に私の外側斜め前方を塞いでくる。私は脚を溜め、彼女は脚を擦り減らした。そんな身体的事実よりも、ハナを取られたという精神的事実が大きくのしかかる。私を追い抜くすれ違い様のファル子の目線が私を照らした時、味わったことのない感覚が身体を駆け巡る。競り合うぐらいに、白熱した２人のウマ娘。そして、私は。
最終コーナーに差し掛かる。まだ脚は残っている。彼女は？おそらく。それでも、懸命に追い上げる。浴びせられる湿った砂すら、心地よい。
強まる和音。傍流の調子は、やがて主役へ。輝きたい。走り出す。濡れるのも、泥にまみれるのも構わずに。貴方だけを見つめて。きっと視線と焦点は変わらない。変わったのは、その意味。
ああ、私は、大好きな貴方と輝いてみせる。
27別概念ファルトレ第6話7/921/10/31(日) 17:25:10
最終直線。ファル子は、さらにスパートをかける。私も後を追う。おそらく、３バ身。経験が、諦めの様相を呈する。それがなんだ。私は輝きたい。彼女も、私も、ウマドルなんだ。
メインコードにぶつかる不協和音。荒れるグリッサンド。目を、開いて。声を上げる。砂嵐も気にせず。ダメ押しのロングトーン。輝きに向かって駆け抜けていく、彼女。私も、走りたい。輝きたい。
追いついてみせる。追い抜いて見せる。逃げ切らせなんか、しない。
あの子に、届いてみせるんだ。
私は。
“激情を込めて。”
28別概念ファルトレ第6話8/921/10/31(日) 17:25:58
クールダウンも忘れて砂に倒れこむ。息も絶え絶え。涙も出ているようだ。
ファル子と、それにスズカさんと、スズトレさん、それぞれ駆け寄ってくる。
スズカさんに渡された水を少しずつ飲む。ちょっと咽る。心配そうな周囲に、少し笑ってみせる。
結局ファル子が先着。着差は、２バ身。けれど清々しかった。
ファル子は、謝ってこなかった。気遣ってこなかった。何より嬉しかった。貴方の隣に立つことが、許されたから。
ファル子は、やっぱりすごいわね。そんなことを言ったら。ファル子も笑って答えてくれた。
トレーナーさんも、とっても輝いてるよ☆
ああ。私はスマートファルコン担当トレーナー。そして、彼女の隣を、先を目指す者。
これから本格的にスズトレさんと一緒に制度申請に動きださなければな、とスケジュールを組み立てていると、ファル子が息も落ち着いてきた私の手を取って立たせてくれた。
ありがとうと言って手を放そうとして。おかしい。全く動かない。いや、可憐な指先に雨が当たって蒸気が立っているのが美しいわねとかこれ握手会みたいねとかそんな事を考えていたのもあるけれど。彼女の顔を窺うと、いつもの自信満々な目つきとまんまるフェイスで私を引っ張り始めた。
あっ。これ。何かさせられるやつね。いや、多分何かもう分かった。そうよね。そこまでやらなきゃいけないわよね。いや。問題ないけれど。心の準備が。
29別概念ファルトレ第6話8/921/10/31(日) 17:26:29
「ね、ねぇファル子。歌うのも踊るのも構わないのだけれど。少し……衣装が可愛らしすぎないかしら。自分で言うのも何だけれど、私はもうちょっとクールなイメージの方が性に合っているというか……」
舞台袖。ステージ上では雨は止み、すっかり青空が広がっている。
ウマドルといえばライブ。ライブといえばウマドル。そんなわけで私はファル子と一緒に準備をしているのだけれど。用意されていたのは、ファル子の勝負服を青くしたような衣装。ターンをすればふわりとフリルが舞い、手を振れば袖口のジュエルが煌めく。どうやら男の頃の心境と相まって、今は完全に私と同化したあの子もこういうのは恥ずかしいみたい。青もファル子に似合いそうねーとやや思考を飛ばしていると、ファル子が顔を覗いてくる。
「もー！ウマドルとしてのデビューライブなんだからインパクトが大事でしょ☆それに私と並んだときの統一感も合ってデュオユニットって感じ☆」
まぁ実は確認したら念のための私の衣装の色変えしかなかっただけなんだけどね☆と悪びれもせず言われる。おそらくそれこそ言い訳。この子の手腕なら１週間で衣装１つ手配するぐらい造作もないことだ。オペトレとかロブトレとかいるし。
「あっ、ちなみにわかってると思うけどライブの楽曲はぶっつけ本番だよ☆観客はファル子たちを手伝ってくれたトレーナーの皆とその担当の子たち。もう入ってるから勿論リハーサルもなし☆だけどトレーナーさんなら、歌えるし踊れるでしょ♪」
ええそうね。貴方にボーカルレッスンしたのは私だしダンスも貴方のものを目に焼き付けているからダンスレッスンの応用で出来そうだけれども。
「それに、本当にウマドルになったらゲリラライブとかだと何曲かはこの状態で回せなきゃ☆」
……それもそうだ。温泉旅行しかりウマドルたるものファンがいればそこがステージ。求められれば輝くし、求められなくても輝きにいかねばならない。何か忘れている気がする。まあいいか。腰のフリルの角度は意識しながら。腰のフリル？いや集中。
「ここから、始まるのね」
「……トレーナーさんなら、大丈夫だよ」
「あら、頼もしいわね」
「だって、ここに『ファン第一号』がいるもん☆」
「───っ。ええ。ええ！」
「あっ、そうだ！ウマドルネーム、決めなきゃ！」
「……ああ、それに関しては問題ないわ。大切な貴方の名前を少し借りて───」
30別概念ファルトレ第6話9/921/10/31(日) 17:26:49
『さあ始まります東京競馬場ダート2400、───！遂に現れた新たな砂のG1、その初の頂点に輝くのは誰なのか！』
『注目の１番人気はやはりこのウマ娘！その圧倒的強さは留まるところを知りません！数々の地方で煌めいてきた赤いダイヤのトップウマドルが、遂に中央に戻ってきた！スマートファルコン！！！』
『対抗バはダートに現れた新星！同じく地方で幾多の強豪を打ち倒し、遂に中央でトップウマドルとぶつかり合う！青いスターのスーパーノヴァアイドル！ここに登場！───』
「ふふ、ようやくだね」
「ええ。ようやく。貴方の先に立てる」
「わあ☆もうセンターに立った気でいるの？」
「だって。私は他でもない、貴方の前で輝きたいから」
「じゃあ相思相愛だね☆……私も、あなたの前でキラキラするから」
「いいレースにしましょ。他の子たちも、こんなにギラギラしてるもの」
「……にぶ─────。」
「？」
「何でもない☆」
『さあゲートイン完了、出走の準備が整いました！……スタートしました！各バ一斉にスタートしました！やはり好スタートを切ったスマートファルコン！！そしてその後を追う、いやハナを取りにいくか！やはり隼を捕らえるのはこのウマ娘か！』
『───スマートフリオーソ！』
“Furioso. チェイス。”
31別概念ファルトレ第6話おまけ21/10/31(日) 17:27:17
おまけ
「そういえば……話の途中で私の全部を支えたいって言ってたけど……そういうこと……ってコト！？」
「そんなわけないでしょうが」
「フラッシュさん！？」
「遂に音沙汰が無くなって言語処理能力が限界に……。まあ相談中に押せ押せで行かなかったのは評価しましょう」
「うぅ……流石のファル子もあの場面では押さないで真面目にするよ……」
「ですがここを乗り越えれば、女性となって距離感のバグったトレーナーと仲良くなるのは容易でしょう。洋服屋に連れ出すなり、一緒にスイーツパーラーで過ごすなり。ウマドルとしての活動にも載せればあの人の宣伝にもなるし仲の良さもアピールできます」
「……でも」
「……でも？」
「このままトレーナーさんがウマドルになったときに、そういう交流をして“百合営業だー”って思われるのはなんか違うくない？」
「……」
「めんどくさいって思ったでしょ」
「いや全く。人間だった頃にウマドルとして、ファンを思って表立ったアピールが出来なかったファルコンさんならまあこうなるだろうなとは」
「うぐ……全然感付いてくれないにぶトレーナーにも責任はあるというか……」
「ええそうでしょうね。私もあのトレーナーとファルコンさんの話をすると脳が通常の処理を拒みます。ですがつまりウマドルになった後は健全な口実ができるとも言い換えられます。こうなればファンは意外に盲目です。というか実際にそういう関係でもなんか受け入れられる気がします。完全な推論ですがこの世界線はそういうめでたい頭になっているでしょう」
「何かとんでもないこと言ってないフラッシュさん？」
「とりあえずそうでなくともあの人を離さない距離感は実現できるというわけです。それも以前よりも強固な。……ところでファルコンさんはあの人といつまでウマドルを続けるつもりで？」
「え、えーと……一緒にトップウマドルになって……一緒にダートでキラキラして……えーと……。……ウマドルに終わりはないんだよ☆」
「……駄目ですねこれは」
≫37初回封入特典使用例21/10/31(日) 17:29:41
初回封入特典：ファルトレ(蒼)のウマドル勧誘構文・タイトレ編
「タイトレさん。ウマドルになりませんか？」
「おわっ、ファルトレか……急にどうした？ウマドル？」
「ええ。何も走ってくれとは言いません。少しライブに出ていただけないかと」
「ライブかぁ、前にやった経験もあるしこの機会にちゃんとこなせばタイシンのダンスとかボーカルレッスンに活かせるかもしれないな」
「思うに、タイトレさんの人の悩みを晴らす明るさ、大ぶりな動作、声の大きさ、その全てがウマドルとしてアドバンテージに働きます」
「むぅ、成程なぁ……」
「ボーカルレッスンは私が担当しますしダンスレッスンもデジトレさんに頼んであります。トレーニングの日程に影響が出ないようにスケジュール調整も行います。如何でしょうか？」
「……よし！やってみるか！頼む！」
「ありがとうございます。では詳細は後程メールで送付します。よろしくお願いしますね」
「アンタ、最近練習が終わった後レッスンルームに行ってるらしいけど何してんの？」
「ああ、ファルトレからライブに出ないかって言われてな！そのためのレッスンをしてるんだ！」
「ハァ！？聞いてないんだけど！！」
「お前の指導に役に立つかもと思ってな！何事も経験だし！ほら、ちょっとずつだけどちゃんと踊れるようになってるんだぞ！」
目の前でアップテンポの激しいダンスナンバーを踊られたタイシンの性癖は壊れた。
ついでに後日ライブで披露されたのでもう一度タイシンの性癖が壊れ観客の性癖も壊れた。
≫57二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 17:49:57
「ドベトレさん。ウマドルになりませんか？」
「……は？ファルトレ何言ってんだ？」
「ええ。何も走ってくれとは言いません。少しライブに出ていただけないかと」
「まあ、面白そうだとは思うけどさ……
そういうのってもっと……こう、
『カワイイ』って感じの娘じゃんか」
「思うに、ドベトレさんのしっかりとした
身体の軸、本格化による高いスタミナ、
あとは対人格闘センスとかは
ウマドルとしてアドバンテージに働きます。
あと割と美人系の顔ですし、あなた、結構向いてますよ」
「……いや……そんなコトないない！！
ボーカルレッスンとか受けたコトねえし
……オレの顔かわいいのかな……」ｼｯﾎﾟﾌﾞﾝﾌﾞﾝ
「ボーカルレッスンは私が担当しますしダンスレッスンもデジトレさんに頼んであります。トレーニングの日程に影響が出ないようにスケジュール調整も行います。如何でしょうか？」
「むむむ……分かった分かった！！
メイクデビューに向けて、
ライブ練習もそろそろしなくちゃならなかったし、そんじゃ、頼むぜ『先生』！！」
「ありがとうございます。では詳細は後程メールで送付します。よろしくお願いしますね」
─────────────────────
「ドベトレさんやっぱり……『ツンデレ』ね……」
後日、マクトレにアイドル衣装を着用している
所を見られ赤面するドベトレがいたんだとか
≫68二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 18:02:29
レイヴン
ーーーアパートの一室で
ファイトレこと私はただ只管に座っていた。
珍しく何かをする気にも慣れず、少し豪華なソファにもたれ掛かったまま、私は過去を思い出す。
ーーー私はいわゆるお嬢様と呼ばれるくらいにはいい身分の生まれだった。
ファインほどではないが、それでも相応に裕福な暮らしだったろう。
親や世話担当もそこまで悪かったりする人でもなく、私は楽な生活を送っていた。
ーーー私は知ることが好きだった。知識というものはあって困ることはない。
人から、本から、ネットから。色んなものからあらゆる知識を蓄えた。その時間は私にとって幸福なものだった。
元々賢い方であった私は、すぐに理解して、一回で記憶することば苦ではなかった。
でも、私は知れば知るほどに不思議と思うようになった。
「どうしてこの世界には綺麗じゃないものが溢れてるんだろう」
綺麗なものも楽しいものもあるが、汚いものも不快なものも沢山知った。
ロマンチストであったその時の私は、どうにか出来ないものかと悩んだ。
そして色んなものを知って考える内に、私が暮らすこの家という世界が酷く狭いものだと思った。
…その金メッキの鳥籠が嫌になり、私は飛び出すことを決めた。
そしていつかの時、父に「縛られるのは嫌なんだ！私は自由なんだ！」と啖呵をきった私は家を出た。
…今思えば、あのまま家にいればその理想にはきっと近づけただろう。今となっては詮無き事だが。
ーーー家を飛び出し、宛もないままに彷徨う私は、私が望んでいなかったあの世界に身を投じた。
あの日、ロマンチストなお嬢様であった私ではなく、リアリストな一人の人間となったのだ。
そんな私はPMCに入り、仕事をこなす。
理想を投げ捨てて、ただ生きる日々を送る。
そんな私の前に現れた人こそ…
「ファインモーションです。よろしくお願いしますね。」
…奇しくもいつかの私と同じように憧れた少女だった。
69二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 18:03:31
回想をやめて夕焼けの空の窓を眺める、外には飛び去っていく一羽の鴉が。
(…ワタリガラスか、私にはピッタリのあだ名だな。)
生き抜くために汚れることもいとわずゴミを漁る。
…ある意味私にそっくりだった。
(ファインには、私みたいになってほしくはない。)
今だ彼女を連れ出さない理由の一つで、私はそっと頭を抱える。
苦悩は続く、私は一人で考える。
ーーー鴉は何も言わずに飛び去っていった。
駄文失礼しました
かつてファインと同じように鳥籠の中の鳥で、飛び出して汚れた彼女です。
こういう関係って良くないですか？
≫81マルトレハロウィン21/10/31(日) 18:14:06
ハロウィン。トレセン学園としての催しは平日金曜日に行われ、近所の小学校の子供が来たりなんだりで大忙しだった。マルゼンスキーも仮装をして生徒会の手伝いをしていたりでハロウィンをハロウィンとして楽しむ時間はその時にはなかった。なので休みの今日マルゼンスキーが遊びに来たいと言ってたので快諾し、土曜日に準備をして得意じゃないから必死こいてお菓子作りの動画やらレシピやらと睨めっこをしながらどうにか完成した。マルゼンスキーはどうやら夜に来るらしいので夕食を軽く取って夜のお茶会の準備を始める。
「トレーナーちゃ〜ん」
特徴的なエンジン音が外から聞こえていたので最後のお茶準備を終えて待っていればインターホンからマルゼンスキーの声が聞こえてくる。鍵を開ければ「ガオー」と吸血鬼の仮装をしたマルゼンスキーの姿があった。
「ふふ、私は汝のお菓子を所望しているわよ〜トリックオアトリート!」
「あーごめんな、お菓子用意してなかったから悪戯していいぞ」
「………………………え〜お姉さん困っちゃ〜う⭐︎お菓子食べたかったなぁ〜」
マルゼンスキーが困ってるようなのでこちらの悪戯はおしまいである。
「ふふ、嘘だよ意地悪して悪かった。ちゃんとお菓子用意してあるよ。お茶も用意してあるからゆっくり食べていってくれ」
「わーいトレーナーちゃん流石〜⭐︎サプライズもベリグッドね!」
用意したお菓子を嬉しそうに食べるマルゼンスキーを見つめながら俺も紅茶を飲む。二人だけの夜のハロウィン茶会はなぜか俺用の仮装を持ってきてたマルゼンスキーにお願いされて着替えて二人で記念写真を撮ってお開きになった。
≫101二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 18:30:33
「提案！トレーナー諸君には仮装をして生徒達にお菓子を配ってもらうパラ！」
「罠だ！みんな逃げ…ぐえーっ！」
「ダストレー！やべぇ逃げろ逃げろ！」
「逃げ…うぐおぁ！」
「そんな厚底してるから…」
「ひぃん…オペトレ待って…」
「スイトレ！放っ放し…もう掴むのはいい！ズボンの腰以外にしてくれ！」
「あいつらに群がってる間に走れー！」
トレーナー各位に至急の伝えたい事があると言われて集まったものの理事長…理事長？の処刑宣告とセーラー服を着たダストレの叫びを聞いてセイトレやカフェトレ達を断腸の思いで見捨て、脱兎の如く逃げ出してから十数分。遂に俺も捕まってしまった。
信じられない程捕獲組のチームワークが良かった。G1のように真剣な目をしたウマ娘とインカムを使ってまで俺達を追い詰めるモブトレ共のコンビネーション。怒った時のウラトレ先生並みにプレッシャーがあった。怖い。
既に衣装を着たトレーナーを見るとかなり当たり外れがあるらしい。
当たりならマクトレの吸血鬼のようなドレスや担当とお揃いのロブトレの魔女っ子、シャカトレの…ダースベイダー？顔を隠す仮面のような衣装。外れならそこで恥ずかしそうに蹲ってるブラトレのような肌面積の広い人狼のように。
ニコニコと笑顔を崩さないウマ娘に渡された袋を持つ。軽い。えっ軽すぎない？
ちらりと周囲を窺う。この企画に乗ったであろうウマ娘やトレーナー共が周囲を囲んでいる…逃げ道は、ない。
「オアーッなんだこれ！誰が着るかぁ！…なん、なんだお前ら…やめろ！やめて！着る！着ますから！」
簡易的な着替え場から聞こえるドベトレの声。大人しく従わないとなんか酷いことになることだけは分かった。大きくため息を、当て付けるように吐いて俺も着替え場へと入った。
嘘だ、嘘だ。本気で言ってるんですかこれ。
102二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 18:31:22
「ふん、ふんふーん」
ご機嫌に鼻歌を歌いながらボクは歩いていた。
今日はハロウィン！お菓子を貰って後輩達にお菓子を上げるいい日だ。トレーナー達も仮装をするらしくてさっきアイアンクローをしていたフクトレもフランケンシュタインのような格好をしていた。
ボクのトレーナーも着替えをしているとのことなので様子を見に来たのである。
どんな衣装だろう。魔女かな、ミイラかな、もしかしたら季節を先取りしてサンタとかかも。ウキウキと会場に足を踏み入れて聞こえたのは、トレーナーの悲痛な叫び声。
「撮るな！撮んなよ！やめて…やめてよぉ…」
「パーラパラパラ！隠そうとしたって無駄ですよ！いやほんとにそうやって恥ずかしがってるとモブトレさん達がトイレから出れなくなりますからやめた方がいいですよ…」
「どうしたの！？トレー…ナー…」
ボクの目に飛び込んできた衝撃の光景。顔を真っ赤にして胸やお股を隠そうとするトレーナーの着ている衣装は、白と黒で構成された下着と同じ面積の…牛柄のビキニだった。それと太腿までの同じ柄のニーソックス。
「テッ…テイオー…見ないで…」
シミ一つない綺麗な腕で肌を隠そうとするボクの可愛い牛さんのたわわなお胸がむぎゅりと形を変える。
ふらふらと近づいて気がつく。甘い匂いがする。ミルクの香水かな、違う、トレーナーの香りだ。ボクのこと誘ってるのかな、誘ってるよね。合意だよね。
「そっそうだテイオー！担当が嫌がったら衣装脱げるんだよ！言ってやってくれ！」
「あ、このままで。テイクアウトで」
「はーい」
「テイオー！？」
泣きそうなトレーナーを無視して同意書にサインをする。着替えさせる訳ないよね。いっしょにラブラブ恋人デートしようね、しろ！
「テイオー…何か怒らせたなら謝るし今度好きな物買ってあげるから…考え直して…」
もう遅いよ、皇帝スイッチ入ったよ…柔らかい手を握ってズルズルと引きずり会場を後にする。全てを諦めたような顔をするトレーナーには気が付かないふりをして。
「バニーになってドーベルに連れて行かれたドベトレ…ブライアンに優しい目をされたブラトレ…待ってろ…俺もすぐそっちに逝くからな…」
103二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 18:31:57
その後はボクと一緒にお菓子を配って回ったけどトレーナーのくしゃみで我に返ってあったかい飲み物を飲んだよ。その時に怒ったマヤトレが菩薩のような顔のトレーナー達を追いかけ回してたけどどうしたんだろうねって二人で首を傾げた。
「オラァ！捕まえたぞ変態共！」
「くっくそ…マヤトレ一人なら逃げられたのに…恐るべし警備の人達…！」
「ボノトレちゃんはどうしたボノトレちゃんは！」
「呼ぶ訳ないだろアホ！気持ち悪いんだよお前ら！」
「意義あり！俺達はノータッチを貫いた！うまだっちも責任を持って処理した！何の文句がある！？」
「そもそも学園内でそういうことをするんじゃねぇ！トイレ混みまくってただろうが…まぁ他の人が普段使わない場所だったけど」
「それ位の良識は残ってたよ」
「えっ！？学園外ならうまだっちしてもいいんですか？」
「反省の色なしかモブトレ共…仕方ない…」
「呼んでみろよ可愛いコスプレした武力組をよぉ！」
「今の俺達にはご褒美にしかならんぞ！」
「じゃあ後は頼んだマベトレ」
「任せてー☆」
「えっ」
「やだこわい…助けて！反省します！マ…マーベラスだけは…！」
「今回はサービスでマーベラス増量だよ！」
「やめっあっあっ」
「宇宙の全てが…うん分かって…きたぞ…そうか空間と時間とおれの関係はすごく簡単なことなんだ」
「うんうん☆マーベラス☆」
≫111ガンギマリ頭スズトレ21/10/31(日) 18:38:58
『当たり前のこと』
カチリ、と音がした。
抜けてたピースが埋まったような、コップが水で満たされたような────完成した、そういう感覚。
そんな、なんとも形容し難い感覚と共に今日という日は始まった。
「二人ともおはよう〜」
「おはよぅ…ルドトレもオグトレも朝から元気だね…」
「私はオグリの朝ごはんの準備があるからな。逆にその感じだとスズトレ、今日は目覚ましより前に起きたな？」
「ぅん、だからまだちょっと眠い…」
朝7時半、軽い朝食と身支度を済ませて部屋を出たところで、同期の二人と出会う。三人ともトレーナー寮暮しで部屋もそこまで離れてないため、こういう事は割とある。
「私も今日はルドルフと一緒に食べたなぁ〜！それでね〜ルドルフが自室に戻ろうとした時に軽くだけど…」
「あ、もう分かったから言わなくていいよ。」
「え〜。」
おかげで眠気をスッキリ吹き飛ばせた。
「…あ、こことかどうでしょう？写真美味しそうじゃないですか？」
「あ、そこ確かカロリー高めなものが多かったような…」
「…ライス達やスズトレさんはともかく、僕とネイトレちゃんが大変だなそれは…」
午前中、ネイトレ、ライトレの二人と打ち合わせ。週末、担当ウマ娘も含めた六人で出かける予定なのだ。
「…いっそどこかの公園で弁当一緒と一緒に作ってきた菓子をデザート代わりに食べるとかどう？」
「ふむ…確かに、たまにはお店じゃなくてそういうものありかもしれない。」
「外で食べる弁当美味しいですもんね。ただそれ私が足でまといなるような…」
「それはないんじゃない？もしそうなったら私菓子側に回るから弁当はネイトレとネイチャに任すことなるし。」
「僕は料理はイマイチだからね。頼むよ、ネイトレちゃん。」
「き、期待が重い…！！頑張ります…」
それぞれ他にやることがあるから長くは続かなかったけど、楽しい談笑だった。
113ガンギマリ頭スズトレ21/10/31(日) 18:39:43
「俺とブラトレとマクトレとスズトレ…改めて口に出してみると珍しいよね、この4人で食べるの。」
「そうだなー、スズトレさんがいる時はフクトレもいること多いし。」
「それこそフクトレが不在でないとほぼ成立しないですものね。今とか。」
食堂で、DK4の三人と昼食。ただフクトレは取材が入ってるらしく朝から席を空けている。
「…でも正直、三人以上揃ってる時に盛り上がられるとついてく自信あまりないよ私？メイドカフェの時とかもそうだけど。」
「ならこれまでの数回みたいにペースに巻き込むだけだ。テイトレ、見せてやれ！」
「OK！おばあちゃんが言っていた…」
「天の道を往き、総てを司る男…って待って、なんで知ってるの。私戦隊民としか話してなくなかった？？」
「フクトレからダダ漏れですわ。」
「ていうか毎回情報元はフクトレだよ？」
「嘘でしょ…」
「さあニチアサ談義だ…語ろうぜぇ…ツッコミなんて忘れてよぉ…」
結局昼休みギリギリまで話は白熱した。
「っつーことでおすそ分けだ。」
「わーい！でもいいの？」
「フクと二人で食べるにしてはちょっと多すぎるんだよ。あとでマクトレ達にも分けに行くつもりだ。…スズトレはまだ終わんないのか？」
「待って、あと少し…！！」
三時前、私のトレーナー室でグルトレと帰ってきたフクトレが集まる。取材先で差し入れをもらったらしい。
「…よし、これで終わり！」
「おつかれ！」
「この後トレーニングだよな？こいつ食べて糖分補給しとけ。」
「スイートポテトだー！」
「うわ美味そう。…え、でもスイートポテトって普通大量に渡すものじゃなくない？？」
「新人の子がミスって多めに発注したらしい。そんで目を離した隙にフクが…」
「あぁ、そういう事…え、ちなみに何個？」
「10個。」
114ガンギマリ頭スズトレ21/10/31(日) 18:40:08
「10個。」
「桁1つってドジにも程があるでしょ…」
「でもこうしてみんなに分けられるようになったんだし結果オーライだよ！グルーヴと食べる用に一個貰ってもいい？」
「あ、いいねそれ。私もスズカと食べる用にもう1個欲しいかな。」
「助かる。じゃあ切り分けるぞ。」
三人でワイワイしながら食べるスイートポテトはとても美味しかった。
「スズトレさん、こんにちは。」
「…ウラトレさん！？こんにちは、来てたんですね。」
トラックへと向かう廊下で、バッタリとウラトレさんと出会う。まだ退院はしてなかったはずだけど…
「今日は学園に用事があったので、特別に。スズトレさんはこれからトレーニングでしょうか？」
「そうですね。私自身のもありますけど、スズカの最初のドリームシリーズも近づいてきてるのでまずはそっちを。」
「…ならまだスズトレさんでいいですね。」ﾎﾞｿｯ
「…？それってどういう…」
「いえ、特に深い意味はありません。…自身のデビューへ調整をしながら担当も支えるというのは非常に困難でしょうが、貴方ならきっとできます。頑張ってくださいね。」
「…はい！！」
少しだけ、心が温まった。
115ガンギマリ頭スズトレ21/10/31(日) 18:40:32
「おまたせ、スズカ。」
「こんにちは、トレ…アサヒ。」
そして、そんなこんなでスズカと顔を合わせる。
「とりあえず今日のトレーニングメニューから教えてもらえる？」
「今日はこんな感じで行きたいと思ってます。…どうでしょうか？」
「うーん…ここの休憩だけもうちょっと多くできる？多分まだ私じゃスタミナが足りなくて後に響くと思うから。」
「なるほど…分かりました。」
スズカが私のトレーニングを考え、それを見て私が批評する。私のデビューに備えて最近行ってるスズカのトレーナー力を鍛えるトレーニング、とでも言うべきか。
そんな日課を終えて、準備運動を始めようとした時。
「…トレーナーさん、何かありました？」
「わかる？」
「はい、なんとなくですが…」
そうスズカが言う。…いつぞやかの不調の時もそうだけど、スズカは私以上に私を分かってるんじゃないか、と思う時がある。今日だって自分でも特にいつもとどこか変えたつもりないのに。
「…ずっと体にあった感覚がなくなったんだ、起きたら。」
「感覚…ですか？」
「そう。ウマ娘になってからずっとあって、クリスマスの後と「サイレンスアサヒ」の名前を決めた時にそれぞれ少しだけ大きくなった、漠然とした感覚。…何かが変わっていってる、って言葉が相応しいかな。」
「…それは、つまり。」
「うん。────正真正銘、精神が変化しきった、ってことだと思う。」
長年、私を蝕み続けていたウマソウルの侵食…その完遂。それが意味することは、言うまでもない。
…だけどね、と続けようとして。
「…不安ではないんですね。」
スズカに先を越されてしまう。
「うん。今日いつもに増して多くの人と話したけど、変わったことなんて1つもなかったから。こうして話してる、スズカも含めて。」
「はい。私が保証します────トレーナーさんは、今も昔も変わらず、トレーナーさんです。」
言い切って、スズカが微笑む。スズカのお墨付きまであるなら、もう疑いようがない。
「…よし、じゃあ準備運動始めようか！」
「話して少し時間過ぎちゃいましたからね。少し巻いていきましょう！」
116ガンギマリ頭スズトレ21/10/31(日) 18:40:48
身体がウマ娘になって、精神もウマ娘になった。それはウマ娘になる前の、○○○○という人間の事実上の死と言えるかもしれない。
だけど。
『私が私である事は変わらないからな。』
ウマ娘になった日、他でもない私が言った言葉を思い出す。
変わらないのだ。周りと紡いだ私という存在は、決して。だって私だけじゃなくて、数え切れないほどの多くの人との関係が、それを作っているのだから。
だから私はいつもと変わらぬ日々を過ごす。これまでも、これからも。
────世界が巡るようなくらい、当たり前に。
≫136二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 19:12:17
ハロウィン
「トレーナー、トリックオアトリート。」
「ん？あ、そうか。今日はハロウィンだったな。その仮装は…ミイラか？」
「そうだな。制服の上から包帯を巻いただけの簡単なものなのだが…どうだ？」
「似合ってると思うぞ。」
「それなら良かった。」
「そしたらお菓子を…ほら。」
そう言うとトレーナーは飴玉を２つくれた。
「ありがとうトレーナー。だがなぜ２つなんだ？」
「俺、こういう行事はあまりやった事が無くて。だから、その台詞ぐらいは言ってみたいなと。」
「そういう事か。」
「ああ、だからマーチ。トリックオアトリート。お菓子くれなきゃイタズラするぞ？」
137二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 19:12:51
「うむ…」
「…どうしたマーチ？お菓子ならさっきの…」
「いや、渡さなかったら一体どんなイタズラをトレーナーはしてくれるのかと思ってな。」
「へ？」
「さぁ、トレーナー。お菓子は貰えない。ならば私にイタズラをするのだろう？やって見せてくれ。」
「えっ…いや…あの…」
少し困ったように、トレーナーは俯いてしまった。
「…ふふ、すまないトレーナー。少しからかってしまった。ほら、さっきの飴玉を…」
すると、
「…ん。」
トレーナーが背伸びをして頭を撫でてきた。
「…トレーナー？」
「トリック…お菓子をくれなかったから。」
「でもこれはどちらかと言うと…」
「トリックと言ったらトリックだ。だから飴玉はいらない。ほら、他にも回るところはあるんだろ？なら早く行ってこい。」
そう言うトレーナーの顔は、少し赤くなっていた。
「…そうだな、トレーナー。」
その後食べた飴玉は、いつもよりずっと甘く感じた。
≫151二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 19:23:23
ピンポーン タマトレ「はーい、今開けますよ」ガチャ
???「「「トリックorトリート」」」
タマトレ「うち仏教なんで」ﾊﾞﾀﾝ
マクトレ「ではトリックでよろしいですね!」ｶﾞﾁｬ
タマトレ「20超えた良い大人が恥ずかしくないのか!?」ｼﾒ
テイトレ「心は何時までも10代だよ」ｱｹｪ
タマトレ「因みに何するつもりだ?」ｸﾞｷﾞｷﾞｷﾞ
テイトレ「ここにスポブラがあるだろ?」ｸﾞｷﾞｷﾞｷﾞｷﾞ
タマトレ「買い置きのスルメでいいか」ｸﾞｷﾞｷﾞｷﾞｷﾞ
マクトレ「甘い物以外認めませんわ?」ﾊﾞﾝ
タマトレ「今日はマジハロ打ちに行きたいんだけど!?」
ロブトレ「可愛いのも用意してますよ?」
タマトレ「拒否権は無いのね...ちょっと待ってろ」
マクトレ「最初から素直に渡せば良いんですわ」
ﾄｩ!ﾊﾟﾘｰﾝ!
テイトレ「あっ、窓蹴破って逃げた」
マクトレ「想定済みですわ、ドベ太郎!出番ですわ!」
────────
タマトレ「ドベ太郎だけだと思って油断した...」
リャイトレ「自分!鍛えてますから!」ｻｲﾄﾞﾁｪｽﾄ
ネイトレ「ごめんなさいね、タマトレさん」
マクトレ「ドベ太郎を囮にしたのは正解でしたわ」
タマトレ「ネイトレ...どうして...」
ネイトレ「その...いい機会だしブラして欲しいなって」
マクトレ「そういう事ですわ」
ロブトレ「何から着けます?時間も服も沢山有りますからね、ゆ～っくり選んでくださいね」
ネイトレ「大丈夫!素材は良いからきっと似合いますよ」
このあとめちゃくちゃ着せ替え人形にされて撮影会させられた
その後タマトレはブラを着け───────無かった
うまぴょいうまぴょい
≫159二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 19:28:00
では
「キタトレさん！ライブに出てくれませんか？」
私を見つけると駆け寄ってきたのはファルトレだった。
「…どうしたのかしらファルトレ？」
「いえ、今丁度ファル子のライブをしているんですが、最後のうまぴょい伝説でサイドの担当さんが急に来れなくなって。」
「あら？それは大変ね。」
「ということで急遽ダンサーの方を募集してるんです。うまぴょい伝説なら踊れる人も多いですし。」
懐中時計と予定表を取り出して見た私は答える。
「ふむ、そうね…いいわよ、丁度時間も空いていたしね」
「ありがとうございます。なら私は衣装を用意しておきますので、会場に来ておいてください。」
「分かったわ」
「では私はこれで。」
走っていく彼女を眺めながら、彼女が勧誘に来た時を思い出す。
『キタトレさん、ウマドルになりませんか。』『どうしたのかしらファルトレ？えらくいきなりね。』
『ええ、何も走ってくれとは言いません。少しライブに出ていただけないかと』
『そうね…』
『思うにキタトレさんはダンスやボーカルを器用にこなせることやその雰囲気と裏腹にもつ優しさが魅力だと思うんですよ。つまり笑顔等でギャップ萌えを起こせるのはウマドルとしてアドバンテージとなります。』
『…それは分かるけどね』
『ボーカルレッスンは私が担当しますし、ダンスレッスンもデジトレさんに頼んであります。トレーニングの日程にも影響が出ないようにスケジュール調整も行います。如何でしょうか？』
『気持ちは有り難いけど遠慮させてもらうわ。長期的に調整するのは厳しいからね。でもまあ、空いた時にライブに参加とかならするわよ。』
『そうですか、残念ですが分かりました。また機会があったら懲りずに誘いますから。』
(彼女も頑張ってるわね…さて、そろそろ行きましょうか。)
私は会場に向けて歩き出した。
ーーーその後、うまぴょい伝説のダンスはキタトレとファル子とファルトレで踊ったが
色んな意味で脳が破壊された人が続出した。
≫167二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 19:39:26
二人で部屋を掃除していたある日のこと。
私が許可を貰って引き出しの中を覗いていると古いお菓子の箱を見つける。
「……トレーナー君。これは開封して大丈夫だろうか？」
「あ、その箱はね……まあ、ルドルフなら見られてもいいや。私はルドルフのものだし……」
「……ほう？」
そう言いながら箱を開けると、そこにはいくつもの便箋が。その一部には可愛らしいハートのシールも貼られている。
「……ラブレター、か？」
「うん、そうだよ？」
「中を見ても？」
こくり、と頷いたトレーナー君を確認してから、私は箱の中身の一つを見る。
『先輩。好きです。先輩の何が好きかと言えばこんな私にも優しくしてくれたところと、顔と、あと成績も優秀なところとか、だいたい好きです。付き合ってください。
P.S.断ったら死にます』
血の気が若干ひける。
「……トレーナー君、この手紙の顛末は？」
「ん？えーと、その子は確か断るときに『死んだら君の顔を見れなくなるのが僕は悲しい。君にとっても、僕にとってもよい縁はまだまだあるはず』って言ったはず……あ、大学卒業してから実家宛にその子からの結婚式のお誘い来たんだけど、ちゃんと地元で幸せにしてるよ！」
「……一件落着、ということか」
「だね！あと、こんな手紙もあったなぁ」
そう言いながらある便箋を手に取り、その中身を読み上げる。
『先輩。私がサークルに入ったのは先輩がいたからです。というか、なんで先輩じゃなくてαに好意を向けられてるんですか、私。私は先輩が好きなのに。なので、αに私の半径3メートル以内に入らないよう伝えてください。
P.S.付き合ってください。』
「……トレーナー君、なんで君の近くには面倒な女の子ばかり集まってくるのかな？」
「……わかんないや。因みにこの子はちゃんと真摯にお断りしたけど、結局サークルの他の人と盛大に喧嘩してサークルやめちゃって……」
「……君も大概サークラでは？」
「……えっ？」
────この後滅茶苦茶イチャイチャした
≫172V21/10/31(日) 19:45:27
「フッ...ハードボイルドな仮装を頼むぜ202...ってなんだその露出度の高さはぁ！？」
「今はこういうのが流行りっす。ほら、侘助さんとかテイトレさんとかブラトレさんとか居たじゃないっすか」
「だからって限度があるだろ！」
「まあまあ、騙されたと思って着てみるっすよ」
「いやちょっ、まっ、駄目だ力じゃ勝てねぇ！ウワーッ！！」
10分後
「オーッストレーナー！仮装の用意出来たか？皆で一緒に回ろうぜ......ぶっ」ﾊﾟｼｬ
「おいウオッカぁ！何撮ってんだお前ぇ！」
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part353【TSトレ】
≫21二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 20:16:30
グラトレ(独占力)とハロウィン
ﾊﾟｼｬｯ､ﾊﾟｼｬｯ
教室に複数のシャッター音が響く。
「あっ、此方もポーズお願いします！」
「猫みたいに手をクイッと曲げて貰うと助かります！」
「え〜っと……皆さん猫が好きなんでしょうか〜？」
ハロウィンで仮装という事でしたので猫又の格好でもしようと、猫耳と二股の尻尾を着けて襦袢と白装束を着てみましたが……取り囲まれてしまいました……
「今度は猫らしいポーズをお願いします！」
「猫らしい……こうですか？」
招き猫のポーズを取ってみる
「う〜ん、いえ、そうですね……猫が伏せて猫パンチする感じで！」
「伏せて……猫パンチ……こうですか～？」
言われた通りにする為、上半身を下げお尻を上げる。
(なっ……良いのか！？ 正面のモブ達……！？)
(次は、お前達が同じ事をしてくれよ？ 後方のモブ達)
(ああ！……お前等!! 正面モブの好意を無駄にしない為にも今の内に尻を撮りまくれ!!)
(*1))
「随分、楽しそうな事をしてますね〜？」
「………………ゲェ！？ グラスワンダー！？」
「是非とも何を撮っていたか見せて貰えますか～？」
「んっ？ グラス？」
「……トレーナーさんは、トレーナー室へ行っていて貰えますか～？」
「は〜い」
「…………さて、トレーナーさんも行きましたし…………お覚悟を……」
「ひっ！？」
その日モブ達はハロウィンと関係無く、鬼を見たという……
≫26チヨトレマッサージ道21/10/31(日) 20:25:26
タイトレさんにより精神が疲弊してから数十分後
直ぐに２人目がやってきた
「あ…マッサージしてもらってもよろしいでしょうか？」
ヒョッコリと現れたのはゼンノロブロイさんのトレーナーさん
長期的にロブロイさんを育て上げ、つい先日秋シニア三冠を成し遂げたと聞いていた
身長は私の胸位しかないのに豊かなお胸をお持ちだ
ロリ巨乳というやつなのだろう
先程のタイトレさんといい、そういう体型のウマ娘化トレーナーさん方は結構多い
もしかして神様はそういう趣味なのかもしれない
場違いにもそう思った
「すいません、ベットに横になってもらえますか？」
「はい、わかりました」
ロブトレさんの悩みは両肩と背中の上部のこり
手のひらや手の小指側の側面で患部に軽く刺激を与えていく
両手を使い肩を全体的に動かしてもみる
これである程度ほぐれたはずだ
「どうでしょうか？」
「ありがとうございます、大分楽になりました」
そういってお礼を言うロブトレさん
27チヨトレマッサージ道21/10/31(日) 20:25:47
この人は凄い人だと思う
マッサージ中に世間話が出来る時間があった
そこでお互いのウマ娘についても話していたのだ
その信念はしっかりとしていて、感心することがことが多かった
「ロブトレさんは凄いですね…それに比べて、私はブレブレで担当に迷惑をかけてしまうこともあって…」
会話の中で、優しくて落ち着いている様を見たためか、和やかな雰囲気がそうさせたのか
いつの間にか言わなくても良いことをしゃべる私
自分はどうすればいいのかという悩みを打ち明けてしまっている
我ながら初対面の相手に何話してるんだと思った
というか私チョロすぎるのではないか？
そんな困った私に対し、ロブトレさんは諭すように語り掛けた
「大丈夫です。チヨトレさんはチヨノオーさんを見て寄り添ってきたのですから、おのずと見えてきますよ」
つまり、改めて担当との関係を見つめなおすことが必要であるということか
他のトレーナーさんからの受け売りとのことだが、それでも十分だ
また新たな考え方が浮かんだので、実に有意義だったと感じる
今日は勉強になったのと同時に、私はロブトレさんの人柄に惹かれていた
別れ際、また一つなけなしの勇気を出すことにする
「あの…もしよければ…私の友人になっていだだけませんか…？」
「ええ、構いませんよ」
ロブトレさんは笑顔で肯定の返事をくれた
このマッサージ店は、意外にも新たな出会いの場になりそうだ
≫32二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 20:41:37
◆説得フェイズ
「……ウララの、よく考えろ。まるでフェアじゃないと思わないか？」
「……なるほど。『お前はこのビキニを着ないくせに俺に着せようとするのは不公平だ』、と？」
「理解が早くて助かる。まったくもってそういうこと…………待て。待つんだ。何も言うな」
「ええ、ええ。フジトレさんといい、やはり聡い人というのは話が早くて助かります」
「年甲斐もなく何をしようとしている。お前にもあるだろう羞恥心が」
「いえいえ、年を取るとこれが薄れていくものらしいですよ。……まあ私は若いから関係ないんですが」
「目も背けずにいけしゃあしゃあと……！」
「確かにこういうものは立派な身体つきの人がやってこそですから、とても恥ずかしいですね……ですが、連れがいるのなら恥ずかしさも半分というものです」
「こちらが着ないという選択肢だって依然あるわけだが」
「あら。わたしはこのビキニを着るというのに、貴方が着ないのは不公平じゃないですか？」
「……ウララの。お前いくつだ？」
「女性に年齢を聞くものではありませんよギムレットさん。紳士的にいきましょう」
「紳士からかけ離れた装いさせようとする奴の言葉じゃないぞ！」
「あ、ものは試しですがカウベルを耳につけてみてはいかがです？チョーカーにつけてばかりではありきたりですし」
「……ボウズ。助けてくれ」
「(ごめんギムレット。無理)」
これでいける
≫44デジタル難しいですね21/10/31(日) 20:54:24
「ただいま帰りました、マスター。......その格好はハロウィンの仮装でしょうか？」
「おかえりブルボン。ちょっと商店街の方でロブトレさん達とお菓子を配る事になってまして。配り終わったら帰りますがちょっと遅くなるかもしれません」
「成程。了解致しましたマスター。その服はどのような仮装なのでしょうか？」
「コレはですね、この前貴方が作ってたオーナメントの余りを被って......よし、出来ました。ジャックオーランタンです。トリックオアトリート!なんて......どうしました？ブルボン」
「......そうですね、トリックの方でお願いします、マスター」
「え！？お菓子ならいっぱいあるじゃ......配るんでした......ええと、じゃあくすぐりで。それそれー」ｺﾁｮｺﾁｮ
(ステータス『高揚』を確認。なんでしょう。不思議な気持ちがします)
「これでもういいでしょ...大丈夫ですか？ブルボン」
「ええ、問題ありません。オペレーション『留守番』は確実に遂行します。後武運を、マスター」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ
「そんな大袈裟な......あとかぼちゃ撫でてどうするんですか。まあすぐ終わると思うので行ってきますねー」
しばらく後
「ただいまー......すっかり遅くなってしまいました。ハロウィンは楽しめましたか？ブルボン」
「はい。ライスさんやロブロイさん達と楽しく過ごせました。マスターも楽しめましたか？」
「まあ、楽しくはありましたが......お菓子を配ってるはずなのにみんなが別のお菓子を返して来るのでお菓子がどんどん増えていくんです。ムントレさんなんか大量に入れてきて......」
「成程、この大きな袋は全てお菓子だったのですね」
「そうなんです......一緒に食べるの手伝って貰えませんか？」
「勿論です、マスター。どんな物でも問題ありません」
そうして配るはずが何故か倍以上に増えてしまったお菓子を食べながら、私達のハロウィンの夜は過ぎていくのでした。
終わり
≫57クリトレ'sハロウィン 1/221/10/31(日) 21:10:40
「あしたはハロウィン♪」「ことしもまたハロウィン♪」
「クリークはきっとお菓子を用意するだろうけど、もしイタズラすることになったらどうしましょうか」
「……そうだ！ 姉さん、こういうのはどうです？ ……ｺﾞﾆｮｺﾞﾆｮ」
- - - -
十月末の定例行事、ハロウィン。トレセン学園でも、大々的にイベントを開催します。
上級生が後輩たちにお菓子を配ったり、用意を忘れた不注意な教職員さんの方々へイタズラしたり。
私、スーパークリークは今回、包帯で体をグルグル巻いた衣装を身に纏い、お菓子を配っていました。
「あ！ クリーク先輩だ、可愛い！」「仮装してる、つまり用意がある……ってことで」
「「先輩！ トリック・オア・トリート！」」
「あらあら！ かわいいオバケさんたちには、こちらのクッキーを差し上げましょう～！」
「わーい！ 先輩からクッキー貰っちゃったー！」「ありがとうございます先輩！ ハッピーハロウィン！」
「はい。ハッピーハロウィン、です～」
こんな具合に。提げたカゴが軽くなってきて、頃合いをみてお菓子の補充を、と考えていたときでした。
「……せーの、トリック・オア」「トリート！だよ、クリーク！」
決まり文句を唱えながら現れたのは、黒猫と三毛猫の仮装をしたトレーナーさんたち。
「まあまあ！ ふふふっ、可愛らしいネコさんたちです～！」
思わずそう褒めれば、黒猫さんは少しホッとしたような表情。三毛猫さんは自慢げな表情。
「ありがとう、クリーク。クリークの仮装は、ミイラかな？」
「はい、ミイラです～。いえ、どちらかといえば、マミーでしょうか～」
「折角の衣装だもんね！ とっても良く似合ってるよ！」
「ありがとうございます～！ お二人はお菓子を貰えていますか～？」
「ははは。そうだね、ここに来るまでに少し。でも僕らはトレーナーだから、むしろあげる側なんだけどね」
「うんうん。でもまあ貰えること自体は嬉しいよね！ ……さてさてクリーク、お菓子？ イタズラ？」
「うーん、お二人へのお菓子は用意してありますけど……イタズラしてもいいんですよ～？」
私がそう言うと、トレーナーさんたちは目を丸くして顔を見合わせます。その様子の可愛らしさといったら！
ちょっとしたイタズラはこのくらいに、お菓子を差し上げ……ようとして。
58クリトレ'sハロウィン 2/221/10/31(日) 21:10:55
「聞きましたか姉さん！ イタズラ、してもいいそうですよ！」
「ばっちり聞きました！ してしまいましょうか、イタズラ！」
ニコニコ顔のお二人に、両手を掴まれてしまいました。
「あら？ トレーナーさん、えっと……これは？」
「両手を塞ぐイタズラだよ！ 二人で片方ずつ手を握れば両方カバーできるでしょ！」
「もしもクリークがイタズラを選んだらどうしよう、って昨日二人で相談してたんだ」
顔を見合わせ笑って、イタズラの成功を喜ぶお二人。気付けば私の提げていたカゴも黒猫さんの手の中。
「まあまあ、どうしましょう。イタズラされちゃいました～！」
「大成功、だね！ 暫くこのまま三人でお菓子を配ろっか。僕らの持ってきた分があるから大丈夫だよ」
「それもなくなったら、補充のついでにトレーナー室に寄ろう。僕らでクリークの分のお菓子、用意したから」
「まあ、そうなんですか！ ふふっ、はい。私からのお菓子もありますから、三人で食べましょう～！」
- - - -
この後、二匹の仔猫と一人のマミーは仲良く手を繋ぎ、やってきた生徒たちや一部トレーナーへお菓子を配りました。
眼鏡をかけた黒猫さんは、ちょっと弱気な頑張り屋さん。呪文を唱えれば、甘いキャンディーを差し出します。
体の小さな三毛猫さんは、元気いっぱいなおてんばさん。呪文を唱えれば、蕩けるマシュマロを差し出します。
二匹と手を繋ぐマミーは、ニコニコ笑顔の世話焼きさん。呪文を唱えれば、さくさくクッキーを差し出します。
やがて手持ちがなくなると、彼女らは揃ってお菓子の補充に向かいます。勿論、途中の寄り道も忘れずに。
二匹と一人のハロウィンはまだまだこれから。甘くふわふわな一日を、仲良く過ごしたのでした。
(了)
以上「クリトレ'sハロウィン」でした。冒頭の台詞は某音ゲーのハロウィン曲から。
クリトレ二人の仮装は某落ち物ゲーの「ふたごのケットシー」をモデルに。まああちらはシャム猫×2ですが。
本文にちょっといじって入れましたが、クリークのハロウィンボイスで見事にやられたのが私です。好きぃ……。
長々とお目汚し失礼。
≫64二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 21:18:28
ーーーサトノ家所有のナイトプールにて
「うう…やっぱり恥ずかしいなぁ…」
そう言いながら僕ーーーサトトレはプールの縁を歩く。
「ダイヤはなんでこんなの選ぶんだろう…」
今の僕の姿は、白いワンピースタイプのフリル付きの水着であり、しかも薄いベールのようなものもついていた。
「確か『今年は勝負服モチーフの水着です』的なことは言ってたけど…」
「トレーナーさん、着てくれたんですね」
いつの間にか来ていたダイヤに声を掛けられる。
「びっくりした…」
「ふふ、驚かせてしまいましたね。それより、この水着どうですか？」
そう言って僕のと同じ色をしたビキニに薄いベールとあわせた姿を見せつけてくる。
「…うん、とても綺麗だよ。」
「なら嬉しいです。それに、トレーナーさんもよく似合ってますよ。とってもかわいいです。」
「う…そうかな」
「ええ、勿論ですよ」
顔を赤くしながらも僕はダイヤを見る。ダイヤも僕を見ていると、突然僕の手を掴んで
「早速入りましょう！」
「わっ！」
引っ張られたままプールの中へ。プールは温水仕様なのか温かい水温だった。
浮き上がり二人で水面に顔を出すと話しかける。
「えらく急だねダイヤ。どうしたの？」
「ええ、トレーナーさんに見せたいものがありますから。外を見てください」
「外ってあれ…」
ーーー外には綺麗にライトアップされた夜景が広がっていた。
思わず僕は声をもらしてしまう。
「綺麗だなぁ…」
「トレーナーさんもそう思いますよね。」
「うん、とっても。」
するとダイヤは一旦黙り込む。僕が不思議そうに視線を向けると、ダイヤは口を開いた。
65二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 21:18:41
「…トレーナーさん、キスしましょう。」
「いいけど…」
するとダイヤに手を伸ばされ、僕は一緒に水中に沈む。
ダイヤに引き寄せられた僕は気づいた。
(…水中でしたいんだね、なら)
ーーー外からの光が差し込む水中で、僕達はそっと唇を合わせる。温かい感触が全身を包む。
水で重くなったベールは水中に漂い、まるで僕達を覆い隠すように広がる。夜の光を反射したそれは綺麗に輝く。
…それはとても幻想的な二人だけの空間。
どれくらいたったか分からないが、お互いに息が続かなくなった所で浮く。
「…トレーナーさん、愛してます。」
「…うん、僕もダイヤの事を愛してるよ。」
「…ふふふ。」
もう一度キスをする、今度は深く絡ませて、とけさせるように。
赤く顔を染め、火照った体のまま問いかける。
「…ダイヤ？」
「…かわいい私だけの天使さん、もう食べてもいいですよね？」
…ダイヤの瞳に見つめられた僕は頷くことしかできなかった。
その後は…皆には言えない。
…ちなみに、後日キタトレからキタちゃんと二人での黒ビキニ姿に魔女帽子の写真が届いた。仮装と泳ぐのを楽しんできたそうだった。
駄文失礼しました
水着とのことなのでハロウィン関係ないですが
サトトレはやっぱり食べられます。肉食動物の前に餌を置いたらそうなるな。
水中キスは私的に書いて見たかったシーンだったり。
では5本投げたので明日に備えて朝ごはん用意して寝ます。
≫71二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 21:25:30
お友｢僕が来たゾッ！！｣
お友｢ケツ、トリックオアトリート！！｣
ケツ｢あー、はいはい｣
お友｢なんだよその反応ハッ！？｣
ケツ｢いや……お菓子用意してないし……｣
お友｢えーっ！？ウソでしょケツ！？｣
ケツ｢ホントホント、だから帰りな｣
カフェ｢こんばんは……トレーナーさん、トリックオアトリート……です｣
ケツ｢あぁ、こんばんはカフェ。お菓子ですね、今持ってきます｣
お友｢あるじゃんかヨッ！！｣
この後3人で仲良く食べた
≫78二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 21:31:17
昔話2 ライトレ
───昔の話の続きだ。と言っても数年前、僕がライスと出会ったとき。
スタートラインに立った僕はトレセン学園のトレーナーとしてトレーナー寮に身を置くことにした。あの時見たキラキラを一緒に見つけられそうな子のトレーナーになりたい。選抜レースを見に行くが、どんなにいい走りをしていても、素質を感じられるような子がいても、あの時のような感情になれそうになかった。トレーナーになってくださいと声をかけられることもあったが丁重にお断りした。教官の手伝いをしながら探す日々を重ねていた。そんな時だった。
「やっぱり、難しいのだろうか…」
ため息をつきながら買い物からの帰路を歩いていた時、ひとりのウマ娘がいた。ミニハットに青いバラをつけたその子に惹かれるものがあった。僕は自然と彼女を追うために脚が動いた。幾度も赤信号に止まるなんて巡り合わせの良くないと思いながら。彼女との初会話は赤信号で止まりまくったのは自分のせいですという謝罪だった。彼女に真意を伝えたい、走りをしっかりと見たい。謝罪後逃げるように去る彼女を僕は追ったがトレーニングの邪魔もできず、その日に伝えることができなかった。選抜レースに出ると決めていたようだったので脚を運んだが、彼女が来ることはなかった。彼女に会いたくて僕は学園内を歩きまわった。夜、彼女の泣いている声が聞こえた。僕なんかが駆け寄っていいのだろうか、頭はそう思ったが身体は勝手に動いていた。頑張っているのに、結果を出すための一歩を踏み出せずにいた彼女を放っておけなかった。世話焼きというかお節介が出た。
「君をスカウトさせてくれないか」
自分といると不幸になる、よくないことがたくさん起きる、そう言ってくる彼女の言葉を聞いてなおのこと引き下がるという選択肢はなくなった。ライスとなら、僕はあのキラキラを知ることができる。トレーニングでしか彼女の走りを見ていないのに心のどこかで僕は確信めいたものを感じていた。この勘を大事にしたかった。
「ライス、がんばるね…！」
ぎこちなくも精一杯の笑顔を浮かべた彼女を見て、僕は心の中で降り続いていた雨が晴れたような気持ちになった。彼女の笑顔をもっと見たい。レースで人々を笑顔にして笑顔を浮かべる彼女を見たい。彼女の笑顔で幸せになる人を見たい。僕のようにレースを見てキラキラを感じて欲しい。僕はこのぎこちない笑顔で救われたんだ。
≫148二のトレ(仮)ハロウィン1/321/10/31(日) 22:08:56
(ユニット内ではファルトレは敬語をやめる、という話をいつか書く……かもしれない)
「ということで私たち『二の矢★トレーナーズ(仮)』もハロウィンライブを行うわ」
「毎度ながら急ですね……」
「ねぇ……やっぱりその名前やめない？なんかこう……マイナスイメージというか……」
「本家逃げシスとの対応関係を示すことができる、私たちの立場が明確に示されている、互いが互いの販売促進作用を持つことができるなど様々な面でのメリットがあるけれど……。結局仮名称なので勿論何か人口膾炙に匹敵する代替案があれば採用するわ」
「スズトレさん、諦めましょう……実際トレーナーズTVでも宣伝されたせいで大分広まっちゃってます……」
「うう……まあ仮名称だしとスルーしてファルトレの行動力を学習してなかった私を呪いたい……」
「さて、早速本題に入るわね。冒頭で私たちも、と言ったように逃げシスは今年もハロウィンライブを行う予定よ」
「例年通り仮装でライブを行うんですよね？確か今年はブルボンが洋風幽霊、スズカさんがキョンシー、ファル子が小悪魔で、マルゼンさんとアイネスさんは予定が合わなくて出演せず、と聞きましたが」
「あれ？そういえばマルトレは？」
「こちらでも予定が合わなかったわ。ただ向こうと人数が揃ったのは幸か不幸かと言ったところね」
「それで、そうなるとこちらも仮装をするんですか？」
「ええ。ただし考えた結果普通の仮装ではダメだ、という結論に至ったわ」
「……既に嫌な予感がするんだけど」
149二のトレ(仮)ハロウィン2/321/10/31(日) 22:09:13
「あちらの正統派仮装に対抗するため、私たちは妖怪の仮装をするわ」
「あの。毛色が全然違う感じがしますが」
「そう。あちらが大陸文化に偏っているのなら、こちらは和風で勝負するの」
「ハロウィンは大陸文化だってツッコミはした方がいい？」
「ブルトレはすねこすりをやってもらうわ」
「すねこすり」
「スズトレは毛倡妓ね」
「毛倡妓」
「そして私は姑獲鳥よ」
「「姑獲鳥」」
「さあ早速ロブトレにデザインを言いにいくわよ。レッツゴー二のトレ！！！」
150二のトレ(仮)ハロウィン3/321/10/31(日) 22:09:35
「えっと……とりあえずそれぞれの要素を言っていただけますか」
「要素……？」
「妖怪は本当にメジャーどころでもない限り完全に共通したイメージというのが無いので……そちら側との断片的なイメージのすり合わせで作っていこうかと」
「なるほど。ファルトレさん、すねこすりのイメージって何です？」
「犬ね」
「……他にこう、何か」
「あと脛に身体を擦り付けるわ」
「名前でわかると思うけど……？」
「以上よ」
「終わりですか！？」
「……じゃあ毛倡妓のことを伺っても？」
「全身毛だらけの遊女よ」
「名前から情報量が変わってない！」
「なんでそれアイドル衣装にしようと思ったんです？」
「……姑獲鳥は？」
「何か鳥フォルムと女フォルムをチェンジできるらしいわ。あと妊婦。子供を連れ去るっていう情報もあったわね」
「だからなんでアイドル衣装にしようと思ったの？」
「一番情報量多いのに結局少ないの何なんでしょうね」
「……わかりました。何とかやってみます」
「流石ね。お願いするわ」
「お願いです……ちゃんとしたのでお願いします」
「後生だから……多分このまま普通に着させられるから……」
「(二人とも断ればいいんじゃ……？)」
その後ロブトレの機転によってそれぞれブルトレは犬耳の童水干のアレンジ、スズトレは豪華にファーをあしらった打掛のアレンジ、ファルトレは鳥のデザインを融合させた白無垢のアレンジをアイドル衣装として仕立て上げられた。
ファルトレのセレクトした和ロックのセトリともマッチし大層好評だったそうな。
ちなみにブルトレは衣装ががっつり可愛い系かつ子供前提のものだったのでちょっぴり拗ねたし、スズトレは脇や背中ががっつり開いてたし丈も短かったので恥ずかしかったし、ファル子はトレーナーの白無垢を見て「あれってそういうことだよね」とフラッシュに聞いて現実を叩きつけられた。
≫167ガンギマリ頭スズトレ21/10/31(日) 22:27:51
『ある"星"の独白』
────私は、後悔していない。
私はただ、走りたかった。
走り続けた先にある、あの世界が見たかった。
だからドンドン走って、走り続けて。
"優しい人"と会った。
────私は、自分の歩んだ道を後悔していない。
"優しい人"と出会ってからは、新しいことの連続だった。
溢れんばかりの思い出があった。
走りも目を見張るように速くなっていった。
毎日がとても楽しくて、楽しくて。
いつの間にか、走ること以外にも幸せを見出していたんだと思う。
────私は、あの選択を後悔していない。
一生かけてもたどり着けないような景色を見られると思ったから。
もっと多くの人に希望を届けてあげたかったから。
そして何よりも、"優しい人"と目指し続けた夢だったから。
そして、私は秋の名を冠するあのレースに出て、今まで見てきたどれよりもキレイな、「スピードの向こう側」を見て。
レース人生に、幕を下ろした。
────私は、自分の結末を後悔していない。
それほどまでに、「スピードの向こう側」はキレイだったから。
走る以外の幸せを、すでに見つけていたから。
だけど、周りは、"優しい人"はそうじゃなかった。
"優しい人"は私の結末を自分のせいだと背負い込んでしまったし、他の人も私の治らない脚をとても悲しんだ。
みんなをそんな辛い気持ちにさせてしまった事だけは、私も辛かった。
168ガンギマリ頭スズトレ21/10/31(日) 22:28:16
────私は、自分の人生を後悔していない。
退院してから、"優しい人"と私は学園を去って小さな事務所を開いた。
仕事はウマ娘やトレーナーを支えるものであれば、何でも。
私のような人を作りたくないという"優しい人"が考えた結果たどり着いた仕事だった。
すっかり慣れた車椅子と、それに合わせて切った髪。
心機一転した姿で"優しい人"を、トレセンで頑張るウマ娘達を、彼女らを支えるトレーナーを。
支えて、支え続けて。
幸せを、これでもかというくらい満喫して。
私と"優しい人"は、その人生を大円団で締めくくった。
そして、どういうわけか私は"ある人"の身体にウマソウルとして宿る事になった。
しかもその"ある人"は私と似た、されど異なる道を、幸せを掴んだ"少女"のトレーナー。
正直、私もどういう事なのかはよく分からない。私に与えられたのは夜空と星と、沈黙だけが残る新しい世界だけ。
私の同居人の5つのソウルも、どれもが自我を持てるほど大きくない、あるいは幼すぎて自我がないもの。
毎日毎日、ほんの少しずつ"ある人"の魂と思わしき場所へと吸収されゆくソウルを見ていれば、その理由は簡単に考察できた。それが"ある人"にもたらす影響も。
私には止めれなかった。せっかく掴んだ幸せを守ってあげられないことが辛かった。
『今1着で、ゴールインッ！！！！！！！！！』
だけど、それは間違いで。
むしろ私まで、"少女"の走りに見惚れてしまった。
────私は後悔はしていない。けれど、その日初めて、選ばなかった方の幸せを羨んだ。
169ガンギマリ頭スズトレ21/10/31(日) 22:28:40
私は見守ることを決めた。
二人なら私が手を出さなくても、有象無象を乗り越えられると思ったから。
そしてその通り、"ある人"と"少女"は壁を超えていった。
だけど、そんな二人でも運命はキツいものらしい。
自由だった思考は焦燥によって縛られて、"ある人"はありもしない二択へと追い詰められていく。
────私は後悔をしなかった。後悔する暇のないほど、素晴らしい人生だったから。
だけど、このままじゃ"ある人"はきっと後悔する。だから、今回だけは手を貸してあげよう。
人生の先輩として、一方的とはいえ同じ物を見続けた相棒として。
さあ、走って、もう1人の"優しい人"。
────幸せ満ちる、未来へと。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part354【TSトレ】
≫16二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 23:03:29
「うぅ……ハロウィン……お菓子の誘惑がいつもの数倍に跳ね上がるイベントですわね……」
メジロマックイーンは苦しんでいた。
1年に1度訪れる秋の収穫祭ことハロウィン、それはこの国において「コスプレしてお菓子を取引するイベント」と化していた。
メジロマックイーンはスイーツが大好物であり、そして太りやすい体質であった。そのため、常日頃からスイーツの誘惑に負けないように努力しながら生きている。そのため、その誘惑が５倍増しになるハロウィンイベントは高揚と憂鬱が同時に襲いかかるげに恐ろしき祭なのだった。
ついでに言えば芋や栗をふんだんに使った秋限定スイーツがいつも通り主張してくるのもまた彼女にとっては魅力的で辛かった。
そんなこんなでどうしようかと迷いながら彼女はトレーナーの元へと向かった。
トレーニングルームで仕事をしていた彼女のトレーナー、メジロマックイーンにそっくりなウマ娘は言った。
「楽しめばいいのではないでしょうか？」
「いいんですの！？」
「あくまで許容範囲内でですが……それでストレス抱える方が後に響くでしょう？」
「食べすぎてしまうかも知れません……」
「わたくしがストッパーとして働けばいい話ですわ。で、どうしますの？」
「ううん……」
マックイーンは今までのことを思い返して、この展開は予想出来たではないかと思った。
彼女のトレーナーは常に彼女にとっての最善を考えている。自身の経験から、何がマックイーンのレースに良く、何が悪いかを見定めている。ウマ娘化してからは特にそうだった。
そして、トレーナーにとってこういう時の最善は「マックイーンに全て判断させる」と決まっていた。正月、バレンタイン、夏の海、大体の場所で「節度を持ちさえすれば全力で楽しめばいいのでは？」と言われてきた。その理由を聞いてみれば、「どんなに大きな節目の前でも、やりたいことを我慢してしまえば一生後悔するかもしれない。てかそれを我慢するくらいで突破できるちゃちい壁なんて無い」とよく言われる
17二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 23:03:53
ただそれでも、そのまま突き放す訳でもないのが目の前のトレーナーだった。
「……やはり悩みますわよね。ハロウィンは他のイベントよりもスイーツにかかる比重が大きいですもの」
「ええ……パンプキンパイ、かぼちゃ餡のパフェ、かぼちゃケーキ、キャンディ、さらに加えて取引されるいつものお菓子はより魅力的にみえてしまいまして……」
「そこまで考えてるならもう吹っ切れてしまった方がよろしいでしょうに。ここで我慢し続けても意味はありませんし……だったら背中をさっさと押した方がいいですわね」
そう言うとトレーナーは立ち上がり、ロッカーを開く。そこには見知らぬ段ボール箱があった。
「それは？」
「ロブトレさんやウオトレさんに頂いたものです。つまり今日着れる衣装ですわ」
「……誰用の？」
「2着ありますわ。少し前にお願いしましたの。わたくしも着ればマックイーンもやりやすいでしょう？」
「確かに……」
「加えて」
さらにロッカーから透明で大きい箱を取りだした。
「こちらに頂いたお菓子を封印することで、どれくらい消費してしまったのかを可視化することが出来ますわ。これなら知らないうちに食べすぎる、なんてことも無いでしょう？」
「そんな、ここまで準備して頂けているなんて」
「これくらい当然のことですわ。大人として経験を反映させつつ、あなたにとっての最善を狙う。それが今、私のすべきことです」
18二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 23:04:16
「トレーナーさん……」
ああ、やっぱりこの人が隣にいてくれてよかったとマックイーンは思った。トレーナーとウマ娘の関係性に正解などないが、それはつまり正解は示されていないということ。その点で、目の前にさでにこやかに微笑んでいるその人は、最適解、すくなくともそれにほど近い道を示してくれる。それこそ、自分と一心同体たることを心に留め、メジロマックイーンにとってもっとも凝りの残らない道を見せてくれるのだと。
ならば自分はその期待と行動に答えねばならない。メジロの誇りにかけて。
「……ええ。行きましょう。あくまで食べすぎないように、皆様とハロウィンを楽しみましょう！」
「そう、それでいいのです。では早速着替えに行きましょうか」
何より悔いのないように。2人は祝祭の渦へ向けて歩き出した。
「なんですのこの紐！？」
「誰でしょうねこれ入れたの……」
≫44二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 23:36:28
俺ことダイワスカーレットのトレーナーには才能がない。
これは俺のトレーナーとしての資質ではなく……ウマ娘として、走ることの才能だ。
「……駄目だな。ウマソウルが微塵も感じられない」
「つ、つまり？」
「ダイワの。お前はウマ耳と尻尾が生えただけの、割と弱めの人間だ」
「😭」
あまりに端的な物言いに、俺は咽び泣いた。
キンチェム曰く、ウマ娘に相性の良いウマソウルがふたつ入るのはウマソウルの自我がウマ娘に害を加えぬよう混濁させる必要があるからであり、ふたつのソウルが持つ因子をウマ娘の発育に結びつけやすくする為である。ウマ娘の強靭な膂力や走力は、このウマソウルが由来しているのだそうだ。
つまりウマソウルが何も入っていないが故にただの人間同然なのが俺であり――ウマソウルがひとつ入り、それが共存しているが故に走力を持ち合わせているのが目の前のウマ娘、タニノギムレット……もとい、ウオッカ担当トレーナーだ。
「おいおいギムレット、もうちょっと手心ってやつをだな……」
「知らずに無謀な努力をするよりはずっとマシだ」
「ゴメンっすダストレさん。親父さん、歯に衣着せぬウマなんで気にしないでほしいっす」
「そう気にしなさんな。ないならないなりに勝負……だろ？」
ウオッカちゃんにはいつも仲良くしているウオトレさん（202cmのほう）以外にも、ギムレットさん（と共存しているウオトレさん）、Vトレさん他、何人かのトレーナーさんがついている。
優秀なウマ娘にサポーターが複数つくのは珍しい話じゃない。魅力的なウマ娘に人は惹かれるものだしね。けど……
「ちょっと個性豊か過ぎません？？？」
「「「そんなことはない（っす）」」」
俺とスカーレットのライバルとも言える人達がこんなにも個性派揃いのはなんでなんだろう。
三女神の導きはいつだって謎に満ちている。
46二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 23:37:58
ギムレットさんに訓示を受けているように……キンチェムに試合を申し込んでから、俺はいろんな人からの助けや手伝いを受けて試合に備えている。
マクトレを始めとした、DK4の面々やヘリトレ大先生が声をかけてくれているお蔭で、予想以上に多くの人が助力を申し出てくれているのだ。
そしてそれは単に俺自身の強化だけではなく――キンチェムへの助けになるようなことも、積極的にやってもらっていた。
「……危なかった。マデンがいないと、こんなに気付けないのね」
トレセン学園内で行われた、芝4200m模擬レース。
海外を意識した模擬試合……という名目で開かれたレースの参加者は、トレセン学園の誇る名ステイヤー達が揃う、野試合には勿体ない程の名勝負となった。
その中にキンチェムを放り込んだのは、彼女の走りを衆目に晒すことで俺のハンディキャップの妥当性を見出させるというサクラバクシンオー担当トレーナーさんの元記者らしい着眼点であり、俺なりにキンチェムにとって必要だと判断してのことである。
予想通りキンチェムは、最初は勝ったことのある距離だけに余裕の表情こそ見せていたが、次第に驚愕し、真剣な顔を見せた。
「21ハロン……ここじゃ4200mか。この距離じゃなかったら、わたしの勝ち目は万にひとつもなかった……ううん。この距離でも、危うかった」
日本のウマ娘達が出走する長距離走の中で最も長いレースはステイヤーズステークスの芝3600m。
4200mをレースとして走り切るのは厳しいというのが衆目の下馬評だったが、その予想に反し彼女達はキンチェムと付かず離れず走りきったのだ。
「……マデンが鞭を入れるタイミングを覚えてなかったら、この距離でも負けていた。
あの子達はわたしとマデンが息を合わせて漸くできるレースを、ひとりで成し遂げられる」
最終的に勝敗を分けたのは、走るペースをキンチェムが覚えていたことだろうか。
それでもハナ差まで詰める皇帝シンボリルドルフや、粘り強く前を征く覇王テイエムオペラオー……大外を駆る孤狼ナリタブライアンなど、心胆寒からしめる強豪達との競り合いが、キンチェムの慢心を削ぎ落としたのは明白だ。
「……怖いね。わたしだけで走るのは」
キンチェムは再び仕上がったのだ。
ヨーロッパ中を相手にした、ハンガリーの奇跡として。
47二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 23:38:20
「……それにしても、貴方の意図が掴めないわね」
「そうだね……ダストレちゃん、どうしてキンチェムを仕上げるの？」
そう俺に声をかけてくれたのは、片眼鏡の似合うキタサンブラック担当トレーナーさんと、以前からちょくちょく優しくしてくれるルドトレさんだ。
ふたりともスカーレットを上回る……そう、上回る！ 圧倒的な包容力と母性の内に、切れ者として閃く頭脳を持ち合わせた人心掌握……というか誘惑の達人である。
彼女達の間に挟まれたが最後、俺は思考という思考が乳幼児レベルに陥り、キレ散らかしたスカーレットによる突進で引き起こされた大容量の三合会によって息の根が止まるだろう。幸せな最後とも言える。
とはいえまだ死ぬわけにはいかないので、俺はウオトレさん（202cmのほう）の腕の中に逃げ込みながら話を伺った。ここが一番安全と踏んでのことである。
「ダストレちゃんは、あの子と競うんだよね？ 自分の存在をかけて」
「はい、そのつもりです」
「なら、キンチェムを仕上げるのは致命的なミスになるわ。でも、貴方はそれを承知で走らせた……それはどうして？」
二対の射抜くような瞳は、担当ウマ娘に負担のあるレースをさせた意趣返しという訳ではなさそうだ。
むしろ困ったような八の字の眉は、俺の意図を薄々察しつつも心配してくれているように感じる。
ウオトレさん達に「カッコよく答えろよ！」と応援されながら前に出され、俺は背筋を伸ばして答えた。
「俺は、これからズルをするからです」
48二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 23:38:46
「ズル？」
「そうです。俺とキンチェムの競走はレースなんて言えません。俺が勝つ為に、俺にひたすら有利な条件を並べ立てた意地悪なものです」
我ながらよくもまあ堂々と言えたものだと思いながらも、俺は一切譲らずに答えた。
面白がっているのか、背後からギムレットさんが俺に更なる質問を投げかける。
「お前の発言は矛盾している。あの怪物を調教するのはお前の不利だぞ。そこに何の悪意も感じない」
「そうですね。でも、それならキンチェムも言い訳が効かないでしょう？」
恩師譲りの笑みに、キタトレさんとギムレットさんの目付きが変わり、ルドトレさんが懐かしげに似たような微笑みを返した。
俺は胸中で先生……今はハルウララ担当トレーナーとして活動している恩師の教えを思い出す。
『目立たないなら、観察し放題だと考えましょう。短所は長所に通じるものですよ』
そして観察すべきは、その人が何を大切にしていて、何を嫌悪しているかだ。
顔色を伺って距離を置いてしまう癖がある俺に、ウラトレ先生が教えてくれた俺なりの持ち味を今、ここで活かす。
「あの子に全力で俺と競ってもらって……勝っても負けても、未練なんて忘れるくらい互角の勝負にする為に、俺は百の意地悪と百の誠実を積み重ねなきゃいけないんです。
なので……甘えさせてくれて、ありがとうございます！」
トレーナーが皆一様に大切にしていているもの。
それは、ウマ娘への想いと誠実さだ。
俺達はその一点だけは必ず通じ合える。それを見込んでの誠意で、俺は一歩踏み込んで頭を下げた。
49二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 23:39:06
「……やるな、ダストレ！ いい啖呵だったぜ」
「ちゃんと気合い入れて言えたな。流石俺達のライバルだ」
「よく頑張ったっすね。えらいえらい」
「あばゔぁばば、どぉぅもぉ〜……」
チームウオッカの３本の手（多分ギムレットさんじゃなくてメイントレーナーさんの手だ）が、一斉に俺を撫でくりまわし、俺の頭がゲームコントローラーのスティックめいて回る。
そんなもうハチャメチャに男所帯の対応を眺めて、キタトレさんとルドトレさんが悩ましげに溜息をついた。
「塩梅には気をつけなさいね。法まわりの対応は相談に乗れるから」
「学園に届出が必要なものがあるか、あとで打ち合わせしようね」
「……ありがとうございますっ！」
「ふむ……」
ギムレットさんが俺の下げた頭を撫で……いや、撫で方が変わらないのを見るに、片腕の主導権を相方に渡すとか、そういう無茶苦茶をやっているんだろうか？
コツを聞けば俺も身体に居残れるだろうか……いや無理だな……と考えていると、ギムレットさんがもう片方の腕を伸ばす。
「俺も撫でてやろう」
「ウワーッ！ レバガチャ！！」
ダストレの頭レバガチャダイパン合戦にルドトレさんやキタトレさんも交じり、それを見ていた観衆からも我も我もと思いっきりなでくり回され、俺の首はちょっとイカれた。
でも、こういう扱いは……嫌じゃない気がする。
50二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 23:39:32
「ボディ、勝ったよ……どしたの、その頭」
「いや、ちょっと可愛がりを……」
クールダウンを終え、競い合っていたキンチェム達が戻ってくる。
ウマ娘の選手として必要な資質に勝敗で禍根を残さないことがある。キンチェムも選手の一員として競い合った皇帝達と健闘を讃え合い、仲良く帰ってきたようであった。
鳥の巣のようになった俺の髪をキンチェムは手で梳いてくれた後、さあどうぞとばかりに胸を張る。
「はい、おめでとう」
「んふふ……わかってるじゃない」
俺は花屋で買ったデイジーをキンチェムの髪に挿す。図書館の本で読んだ、勝利したキンチェムがオーナーから必ず受けていた儀式だ。
獣として生きたこのキンチェムも同じように祝されていたようで、満更でもなさそうに微笑む。
今度スカーレットにもやってあげようと思っていると、クールダウンを終えたシンボリルドルフちゃんが、彼女に声をかけてくれた。
「どーしたの、ルドルフちゃん？」
「何、少しアドバイスをね。
キンチェムはいま、手が地面につくまで下ろす癖があるだろう？
そのせいで走るフォームが乱れがちだ。
空気を拳で押し出すみたいにすれば、もう少し走りが安定し、怪我の心配も少なくなる筈だ」
担当トレーナーのいないウマ娘の教官代わりも務めるルドルフちゃんならではの助言と共に、彼女はゆっくりと身体を動かして手本を見せる。
キンチェムはそれを真似ながら、興味深げに頷いた。
「……たしかに。貴方達なりの、走り方があるのね」
「そうだ。これが私達のやり方だよ」
キンチェムの眼差しには、確かな強敵であり、未来を走る者への敬意が伺えた。
51二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 23:40:05
「そういうことなら、ボクも賢者の役を演じるとしよう！」
「えっと貴方は……テイエムオペラオーちゃん！」
「そう、ボクさ！ 思うに君は、仕掛けのタイミングは我流なのだろう？
今回の君は、都度台本を確認する新米役者のようだったからね……」
「そういうことでしたら、わたくしからも……」
ルドルフちゃんのアドバイスから契機を見出したのか、共に走ったステイヤーウマ娘達が我も我もと集まってはキンチェムに自らの走りを教え、意見を交えていた。
ウマ娘は俺達トレーナーの添え物では決してない。彼女達は彼女達の判断で誰かと触れ合い、お互いに高め合っていく。
それはもし俺との競争をキンチェムが勝ち抜いた時、絶対に必要になる縁で……そうでなくても、彼女の力になってくれる繋がりに違いない。
俺はそれを、止める気にはならなかった。多分、他のトレーナーさん達も。
「……あーっはっはっはっは！！！
る、ルドルフちゃん、なにそれ、おっかしー……！」
「……おや。下手な洒落はよしなしゃれとよく言われるのだが……！
君には気味がいいくらい気に入ってくれたみたいだね」
「きみ！ キミのキミって……っぷ、あひ、ひぃーっ……！」
「え、今の何が面白かったの？？？」
「会長のダジャレはビンテージ品だった……？」
途中異文化コミュニケーションを挟みながら、キンチェムは名バ達の強みを吸収していった。
ちなみにキンチェムはルドルフちゃんのダジャレをめちゃめちゃに気に入ったらしく、以降キンチェムの爆笑が聞こえたら必ず心底満足そうな会長が隣にいた。仲が良さそうで何よりです。
52二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 23:40:47
「……色々学びたいのは確かよ、ボディ。でも、これはいるの？」
「ウマ娘として走って生きていくなら必須だよキンチェム」
「ええ……？」
勿論、走るだけがウマ娘の生業ではない。
この業界で走って生きていくなら――走って、勝つなら必ず避けて通れないのが歌と踊り。
つまり、ウィニングライヴだ。
「いやおかしいでしょ。なんで全力でレースした後に踊るの！ つかれるでしょ！」
「えっと……どうだっけ、デジトレさん」
「アタシに聞く？ 三女神への神事がどうこうとかは聞いたことあるけど」
「ミライのやつ！ ショッケンランヨウしやがって！」
どうせ可愛い子が踊る様が見たかったんだろあいつ！ と叫ぶキンチェムを尻目に、俺はダンスシューズを履いて準備運動を始める。
勝負として競争を起こすならば、ウィニングライヴまで含めて完遂するべし。
それが樫本理事長代理がトレセン学園中を使ったレースを許可する条件として提示したものだ。
つまりこれは「両者決して怪我をしないように」ということであり、彼女なりの気遣いとも取れる。
『貴方は私以外にも、数多くの人から気にかけて貰っていることを自覚した方がいい。
……尤も、それは昔の私と同じように、多くのトレーナー達にも当てはまることですが』
手厳しいながらも成長を促すその薫陶は、俺にとってもキンチェムにとってもありがたいものだ。
だからこそお粗末なものにはできないので、こうしてダンス講師としてアグネスデジタル担当トレーナーさんをお呼びしているのであった。
53二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 23:42:20
「今回は折角だし、ハンガリーの民族舞踊をモチーフにやってみよっか」
「ハンガリーの？ どこの踊り？」
「ソトマール地方のチャールダーシュ。知ってる？」
「知ってる。アタシの生きてた頃はみんな踊ってたもの。
それで、チェンデシュ（めちゃおそ）？ ラッシュー（ゆっくり）？」
「折角だし、フリッシュ・チャールダーシュ（めちゃくちゃはやく）でどうよ」
「……いいわ！ ボディとやりたい！」
あけすけな態度が気に入ったのか、キンチェムはすぐにデジトレさんを気に入ったようだ。
どういうものか聞いてみると、チャールダーシュとは19世紀にハンガリーで発祥し、ヨーロッパ中に流行したダンスのことなのだそうだ。
わからない人には、ファンタジー映画の宴で民衆が踊るダンスだと思ってもらえば伝わるかもしれない。
ステップを活かし軽やかに跳ねるダンスで、音楽と靴音が調和して賑やかながら騒がしくないリズムを奏でてくれる。
この為に色々と調べてくれていたのか、それともそういった民族舞踊にも堪能なのか。何にせよキンチェムの為のチョイスはとてもありがたいものだった。
「最初はアタシの手拍子に合わせてリズムに慣れよっか。踊りは好きにしていいよ」
「……キンチェムはどう踊る？」
「好きに踊るわ！ 合わせて！」
「うん、わかった」
キンチェムが俺の肩に手を置くので、俺もそれに倣ってリズムに集中する。
ラジカセから流れる民族音楽と共にデジトレさんの手拍子が鳴り、俺達は回転しながら思い思いに足を動かした。
「いーね！ 息ぴったし！」
「とーぜん！ わたしとボディは一心同体なんだから！」
ぎゅんぎゅん勢いよく回って足を差しては抜いて。
時折結んだ肩をほどいては手で腿を叩きながらまたステップ。
ウマ娘の体力についていくのでやっとだけど、できればきちんと完成するまでついていくつもりだ。
俺達の締めくくりは、笑顔で終わってほしい。そう思ってやまないのだから。
54二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 23:42:51
昼にレースで夕方ダンス、夜はようやくおやすみ……とはいかない。
今まではキンチェムの為の時間であり、夜は俺の為の時間……つまり、俺が生き残る為に費やす努力の時間なのだ。
「今回は検証の為、こちらの人形を用意しました」
そう言ってエアシャカール担当トレーナーさんがお披露目したのは、俺と身長体重がほぼ同じの、車のテストのために載せる人形だった。
俺とウオトレさん（202cmのほう）が困ったように顔を見合わせて、メジロ家専属トレーナーの面々が首を傾げた。
「今回、ある程度のショートカットのため、ダストレさんを飛ばすわけですが」
「お待ちくださいまし」
「はい、なんでしょう」
「いや、飛ばすと聞こえたのですけれど。何をする気なんですの？」
「飛ばします」
「何をする気なんですの？？？」
困惑するマクトレと同じくらい困惑しながらも、俺は等身大ダストレくん人形をウオトレさんの大きな手のひらに載せる。
シャカトレさんの指示の下、ウオトレさんは勢いよく等身大ダストレくん人形をグラウンドから放り投げ……。
……校舎の壁に直撃した等身大ダストレくん人形は、四肢がバラバラに千切れ飛んだ。
「「「…………」」」
「というわけで、この作戦を達成すれば大幅なタイム短縮が狙えますが、リスクもそれなりにあります。
然るに、正確な弾道計算とそれを活かす砲丸投げ選手が必要なわけですね」
「いやマジで何をする気なんですの？？？？？」
マクトレ達がドン引きした目で俺を見つめた。
いや俺だってやりたくないんですけど？？？？？
55二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 23:43:21
結論から述べると、今回のキンチェムとのレース、俺はほとんどマトモに走らない。
色んな人の手を借りる、という言葉の主たる部分はずばり此処であり、キンチェムにとっては障害走だが、俺にとってはほぼ「有利走」に違いないのだ。
問題はそれだけ優位を積んでも、伝説の走りには敵わない可能性があるというだけである。
「概ねの事情は承知致しました。けれど……」
「あーまた砕けた！」
「加減難しいっすねこれ……」
「せめて歩幅は場ミリして一定にしましょうか。
ああ、等身大ダストレくん人形の残数はお気になさらず。
あぶみ本舗が充分な数を用意してくれていますから」
「普通に走った方が生き残る目があると思いますわよ？？？」
「うん、俺もちょっと本気でそう思う」
砕け散った等身大ダストレくん人形の山を見て、マクトレが割とマジで止めに入る。
俺も流石にこれマジでしんじゃうんじゃない？と思わないではないけど、その生き残る目を鍛えるためにメジロ家の専属トレーナーさん達に鍛えてもらうのである。
それを改めて説明すれば、マクトレ達も快く頷いてくれた。
「わかりましたわ。そうと決まれば……」
「まずは、マッスルトレーニング！！！」
特に一番勢いよく手を上げたのは、メジロライアンちゃんの担当トレーナーさん。
俺とほとんど同じ背格好ながら、ポージングひとつで見事な筋肉を見せつけてくれる彼ないし彼女は、元ボディビルダーにしてジム講師という体作りのスペシャリストだ。
そしてマクトレ曰く「価値観が筋肉になっている狂人」らしい。こんなんばっかかメジロ家。
56二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 23:43:53
「あー……リャイトレ義兄さんよ。
ダストレの奴は走りからしてド素人なんだし、そっから始めた方がいいんじゃねえか？」
「一理ある！ だが、後耳介筋で話を聞いてくれるかい？」
「こ……どこで！？ どうやって！？」
「落ち着きなさいドベ太郎。普通に話聞きゃいいんですわ」
異論を唱えたのはメジロドーベルちゃんの担当トレーナーさん。
この中では最年少で色々経歴は怪しいようだが、しっかり話を聞く姿勢を見せている辺り悪い子じゃないのかも。
リャイトレさんは鷹揚に頷いた後、ふくらはぎの筋肉を動かしながら解説する。
「ウマ娘は走ったり動く時、筋肉が本来持つ力の倍以上の力を発揮するんだ。
話に聞いた通りダストレくんにその力がないなら
ダストレくんは純粋な筋肉だけで走りを挑むことになる」
だからこそ唯一の武器となる筋肉は絶対に鍛えねばならない。これは俺やマクトレも同意できる認識だった。
リャイトレさんは平時こそ頭のおかしいボディビルダーのようだが、こういった体作りの分野に関しては誰よりもしっかりと、堅実な判断を下す。
レースの道以上に裏道のない筋肉の道の精通者。その言葉には一定の含蓄があった。
「……成程な。で、このヒョロい身体のどこを鍛えるんだ？」
「全身を満遍なく鍛えよう。体力の基礎作りはどこが偏ってもうまくいかない」
リャイトレさんは顔をめいっぱい動かした満面の笑みで笑った。まるで勇気づけるように。
「まずは表情筋のトレーニングだ。ゴールというものは、笑顔で迎えるものだからね！」
57二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 23:44:17
リャイトレさんの体作りに関する指導は実に的確で、俺やマクトレ達も思わずメモを取りながら耳を傾けるほどであった。
業務の合間に鍛えるだけでも一定の効果があるトレーニングであることから、リャイトレさんなりに俺のハードワークを慮ってくれているからありがたい。
「で、走りはどうすんだよダストレ。見たとこ、キンチェムは差しみてえだけどよ」
「その前にドベ太郎」
「あ？ なんだよ兄貴」
「言葉遣いを正しなさい。ダストレは、貴方のひとつ上ですわよ」
「……え！？」
驚きで尻尾まで上がる辺り、ドベトレさんは感情がめちゃめちゃに表に出やすいらしい。
しかしドベ太郎とは……同じメジロ家だし、義兄弟みたいなものなのかしらん。
相変わらず突っ込んだ話の出来ない俺は、ともかく気にしないでほしいと手を振った。
「ひとつ上って言っても、経歴そんなに変わらないしねえ。
気安くでいいよ、気安くで」
「わかった！ あんがとな、ダストレ！」
「ダストレ、そこの愚弟あんまり甘やかさないでくださいまし。つけあがるので」
「お兄さん厳しいなあ（笑）」
「おだまりなさい友人A野郎」
笑顔で頭引っ叩かれる程度には仲良くなれたのか、マクトレも大概容赦がなくなった気がする。
それにしてもドベトレさんは中々人懐っこい小動物みたいな人である。
男性だった頃は会っていないけど、どんな人だったんだろうか。
今度機会があったらマクトレに聞いてみよう。
58二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 23:45:33
「走りだけど……やっぱり先行で距離を維持するつもりでいきたい」
「それで、わたくしですのね」
「うん。スカーレットに教わり直してもいいけど、どうせならね」
トレーナーとはウマ娘を教え導く者だ。
その中で俺が一番信用を置けるのは、やはり同じ先行ウマ娘を教えきったマクトレになる。
マクトレもその意思を汲んでくれたのか、ゆっくりと頷いて返してくれた。
「まず、無意識下にある走行フォームの乱れを整える。日頃意識して走れ」
「映像に撮って確認した方がいいかもね。正しい走行も撮っていい？」
「企業秘密だ。スカーレットさんに走ってもらえ。
……その後はプレッシャーへの対策だな」
マクトレの提案は先行策の基本に忠実で、走ることそのものに未熟な俺にとっては実に的確といえた。
マクトレはドベトレさんに向き直ると、こともなげに命令する。
「ドベトレ。ダストレと併走して、後ろから脅かし続けろ」
「えっ」
「あ？ いいのかよ。それってラフプレーだろ？」
「キンチェムが後ろにつくのはそれ以上のプレッシャーの筈だ。
そこで掛からないようにする為に、多少大袈裟なくらいにやられても慣れる必要がある」
59二次元好きの匿名さん21/10/31(日) 23:46:31
マクトレがそう言うと、ドベトレさんも頓に強面の表情を浮かべ始めた。
背筋にぞくぞくと走る恐怖。成程……スカーレットはいつもこれに耐えているわけだ。
「いくぜダストレ、チビんなよ」
「あはは……お手柔らかに、って言いたいけど。そうだね」
なら、俺の担当ウマ娘に倣って、笑って返す気概を持とう。
俺はリャイトレさんの指導通り、ウラトレ先生直伝の微笑みで応えた。
「猟犬になれるかな、チワワちゃん。試してあげるよ」
「……ッハ！ 言うねえ！」
俺は全力で走りだし、ドベトレさんも全力で追ってくれた。
ちなみにこのあとめちゃくちゃ捕まった。おれはちわわみまんだった……。
（つづく）
≫72二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 00:02:05
「トレーナーさん、この衣装似合っていますか？」
「ハロウィンの仮装ですね、吸血鬼でしょうか？」
「はい。 あなたのメジロヴァンパイアルダンです。 そういうトレーナーさんは魔女の仮装ですか？ 胸もとの開いたセクシーな衣装は誰のセンスなのか気になりますけど」
トレーナー室にやってきたアルダンはくるりと回って仮装をみせながら感想を求めた。
ところどころ蝙蝠の模様があしらわれたブラウスにひざ丈のパンツ、マントを羽織り、髪も一つにまとめ全体にマニッシュな雰囲気にまとめている。
対するトレーナーは大きな黒いとんがり帽子に同色のゆったりとしたローブというシンプルな仮装だが、デコルテの部分が大きく開かれ素肌が覗くことで妖しさを醸し出している。
「では早速、カプってしてけんぞくぅにしちゃいますよ？」
「おや？ トリックオンリーでしたか？」
「そうでした、順番は大事ですよね。 では改めて、お菓子をくれなきゃ悪戯するぞー、です」
がおーっと両手をあげて威嚇するアルダンを見てトレーナーはデスクの引き出しからビニールの包みを取り出し、アルダンに手渡す。
「どうぞ、マシュマロです」
「悪戯させてはくれないのですね」
「ダメです」
指で小さくバツ印をつくるトレーナーを見てアルダンは包みを開きマシュマロをまとめて口に放り込んだ。
目的のためにははしたないなどと言ってはいられない。
73二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 00:02:36
「お菓子はなくなりました。 では、トリックオアトリートです」
トレーナーは備え付けの戸棚から新しい包みと水筒、カップを取り出す。
「チョコチップ入りのクッキーです。 紅茶もどうぞ、ティーバッグですが」
トレーナーがソファに座りテーブルにお茶の用意をするのを見て、アルダンも長期戦を見据えてトレーナーの隣に腰を下ろした。
「せっかくですからトレーナーさんも食べませんか？」
「そうですね、せっかくですから一枚いただきましょうか」
「……ふっふっふ、三度目の正直です。 トリックオアトリート」
「ナッツ入りのチョコレートをどうぞ」
「……とんがり帽子の中から取り出しましたけど、いったいいくつ仕込んでいるのですか？」
「さあ？ いくつでしょう？ 途中から楽しくなってしまったので」
「ちなみに、ほかにはどんな場所に？」
「あとは、これとかですね」
トレーナーは大きく開いた自身の胸元に手を伸ばし、谷間から袋に入ったチュロスを取り出すとアルダンに手渡した。
「なんてものをなんて場所から取り出すのですか……」
「アルダンさんに渡すもの以外は仕込んでいませんよ」
「当たり前です！ いえ、そういうことではなく……」
「……トレーナーさんってウマ娘になったこと、この上なく楽しんでいますよね」
「今まで26年ほど生きてきましたが、今が絶頂期といっても差し支えないですね」
「これ以上パクパクしてマックイーンになるわけにはいきませんので、悪戯はあきらめることにします。 それでは失礼します」
74二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 00:03:27
「ああ、少し待っていただけますか？」
立ち上がって退室しようとするアルダンをトレーナーは呼び止める。
「なんでしょうか？」
「トリックオアトリート、私もお菓子を要求します」
「……え？」
「おや？ いたずらの方ですか？」
「……やさしくしてくださいね」
「では、こちらへ」
トレーナーがひざをぽんぽんと叩きアルダンを呼び寄せると、横抱きにして膝にのせる。
「悪い魔女につかまってしまいました」
「ふふっ、逃がしませんよ」
トレーナーは左腕でアルダンを腕ごと抱え、右手をアルダンの頬に添え、顔を近づけ──
（近いですトレーナーさん。 ああ、でも、トレーナーさんが求めてくださるなら……）
もにゅっ
トレーナーの手がアルダンの頬をつまんでいた。
「ぽれーなーひゃん？」
「前からアルダンさんの頬はやわらかそうだな、と思っていたので」
「……なんだか今日はトレーナーさんに振り回されっぱなしです」
「私もいつもいつもやられっぱなしというわけにもいきませんから」
アルダンを探しに他のメジロシスターズが来るまでアルダンは頬や頭や耳を撫でまわされるのだった。
≫95ロブトレヒロイン概念21/11/01(月) 00:32:55
ファルトレ「ロブトレさん。ウマドルになりませんか？」
ロブトレ「ファルトレさん？あの、私をウマドルに、ですか？」
ファルトレ「ええ。何も走ってくれとは言いません。少しライブに出ていただけないかと」
ロブトレ「ライブ……その、人に見られるのは少し……でもライブ自体は興味がありますね」
ファルトレ「思うに、ロブトレさんの誰に対しても優しく柔らかな雰囲気、
着る服の良さを理解してそれに合わせて着飾るセンス、
何事にも真剣に取り組もうとする姿勢はウマドルとしてアドバンテージに働きます」
ロブトレ「ふふ、そのように言われると嬉しくなりますね」
ファルトレ「ボーカルレッスンは私が担当しますしダンスレッスンもデジトレさんに頼んであります。トレーニングの日程に影響が出ないようにスケジュール調整も行います。如何でしょうか？」
ロブトレ「とても魅力的なお誘いうれしいのですが、申し訳ありませんが遠慮させていただきますね。今の私はロブロイのトレーナーであり、デザイナーも目指す身です。トレーニングの日程に影響が出ないように、と言うのはありがたいのですが、デザイナーとしても勉強していくので、さらにその上、と言うのは難しいかと……それに」
ファルトレ「それに、なんでしょうか？参考までに聞かせてもらっても？」
ロブトレ「それに、アイドルになるのなら、私はロブロイだけのアイドルになりたいので」
ファルトレ「そうですか。残念ですがわかりました。また何か機会があったら懲りずに誘いますから」
ロブトレ「あ、ですがファルトレさん、ウマドルにはなれませんが、衣装関連にはぜひ協力させてください。アイドルの衣装は必要でしょう？それに、実はスズトレさんの妹さんと少しある計画を進めていまして……」
ファルトレ「なるほど、勝負応援服。これならウマドル衣装だけではなく、実際のライブのようにそれぞれの勝負服できるのですね」
ロブトレ「どうでしょうか、もう少し詳しい事はスズトレさんの妹さんと交えて……」
その後、とある計画が進められたとかいないとか、今はまだ誰も知らない……。
以上です。ファルトレさんの構文、使いやすかったです！
ファルトレさん、ありがとうございました！
今後もぜひ仲良くしたいですね、では、駄文失礼しました
≫105二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 01:32:29
セイトレ「──なあ、スカイ。この前の並走データだけどさ。他の人にも渡していいかな？」
スカイ 「普通はブブーッ、駄目です！って言いますけど、どうしたんです？」
セイトレ「いや、この前走ったこの子とこの子何だけどトレーナーがまだついてなくて、それで──」
スカイの判断は至極当然の事だ。
普通は担当との並走データを人に渡すなんて事はない。校内レースとは言えライバルになり得る相手ばかりだし。
俺も敵に塩を送る様な事までするつもりはない、ないけれど。
セイトレ「一番は、やっぱり心配だから。誤魔化さないと色々辛いからね」
スカイ 「そう言われたら良いですよーって言いたいですけど、セイちゃんが折角頑張ったのに横流ししちゃうんですか？」
セイトレ「スカイが勝てるだけの種は十分撒けて勝てただろ？レースの祝勝祝も兼ねて今度何か埋め合わせするよ」
スカイ 「良いんですね、トレーナーさん？一日中付き合ってもらいますよ？」
セイトレ「…頑張ります、お手柔らかにお願い」 ｵﾃｱｹﾞｺｳｻﾝ
ちょっと待っててくれ、と電話を掛ける。
自分で調べれば良いかもしれないが俺はあんまり得意じゃないし専門家に頼ろう。幸いにもトレセンには探偵もいる。
セイトレ「なんでトレセンに探偵が居るんでしょうね。俺が理由忘れてる訳じゃないですよね？」
ブイトレ『急にかけてきて何言い出すんだよ、今日も猫探しかお得意様？』
セイトレ「それは来週お願いします。今日は人探し、というか今から言うウマ娘について調べて欲しくて」
ブイトレ『ウマ娘について？トレセン学園の生徒なんだよな』
セイトレ「そうですよ。事件性があるとかじゃないので安心してください。彼女達の──」
……探偵捜索中……
ブイトレ「ほら、約束の物だ。皆ちゃんと練習してたぞ」
セイトレ「ありがとうございます。…うん、練習時間に自主練場所もある」
ブイトレ「探偵の仕事を舐めちゃいけねぇ、それでどうするんだ。野良猫と同じって訳にはいかないだろ」
セイトレ「取り敢えずはチームを持てるトレーナーに…うん、あの人かな。ついてきます？」
ブイトレ「水臭い事言うなよ、最後まで付き合うぜ」
106二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 01:32:40
キタトレ「それで私のところへ？」
セイトレ「はい。俺の素人目から見てちょっと危ういと思った子達、気の所為かもしれないけど。まあそんな子達です」
キタトレ「練習を見る位は構わないけども、貴方達が見たりはしないの？」
ブイトレ「俺は探偵と兼業のサブトレーナーだ。面倒見るならある程度の人数指導できる余裕がある相手が良いに決まってる」
セイトレ「俺はとてもそんな余裕はないです、新人ですし専属契約だけで目を回してるので」
二人の言葉を聞きキタトレは資料に目を落とす。
基本的なパーソナリティと自主練場所、練習方法が纏まっているのは探偵であるブイトレの仕事か。
それぞれの子に話も聞いたのか近頃の調子や自主練の目的まで載っている。
一方で資料についていた付箋は何度か走っているところを見たのか走りの懸念点が簡単に纏めてある。
懸念の方向は概ね怪我に繋がるかどうか。心配性なところも見られるが一度目で見ておいた方が良いかもしれない。
然し、だ。
キタトレ「それなら一度見ておくけれど、ココまで目が届くならチームを持つ事も考えたらどう？」
ブイトレ「俺等のとこは海外も見据えてるからな、話聞く位までは兎も角それ以上は手が回らねえ」
セイトレ「俺はこれ以上受け持つと寝れなくなりそうで、トレーナー見て油断してくれる位が嬉しいですし当分掛け持ちしませんよ」
キタトレ「その意図がある割にあっさりと明かしたね、良いの？」
セイトレ「はい、お二人を騙せるとは思えませんから」
ブイトレ「お、言ってくれるじゃねえかセイトレ」
キタトレ「それはどうも、強く否定する気はないけど程々にね。心配してる人も居るから」
セイトレ「…気をつけます、それよりその子達お願いしますね。歩くのに不便するのは辛いですから」
キタトレ「わかってる。怪我なんてさせないから安心なさい」
≫130二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 04:17:42
ハロウィンの夜のグラトレ(独占力)
「くっ……退いてくれないか、グラス？」
「ふふっ、ダメですよ〜……悪い妖怪の猫又は、退治しないといけませんからね～」
ハロウィンだからと似非猫又の格好をした夜、グラスに後ろから覆い被さる様に布団に押し倒された……
「では、弱点を探しましょうか～」
「まてまて！？ なんか今日は押しが強くないか！？」
「今日のトレーナーさんはネコですからね〜」
「確かに猫の格好はしているけど……？」
「こういう時、責められる方はネコって言うらしいですよ？」
「……知らなくても良い事を知ってしまった気がする……」
「私もあまり詳しく無いですが……甘んじて受け入れてくださいね？」
そう言ったグラスは片手を布団と身体の間に入れて弄り、もう片方の手でお尻を触り始める。
「ひゃっ……やめっ……」
「トレーナーさんは知ってますか？」
「なっ……何っ」
「猫はこういう時、痛みが要るみたいなんですよ〜？」
そう言うや否やグラスは首の後ろを噛み付いて来た。
「みゃっ！？」
「ふふっ、やっぱり猫なんですね～」
「くっ……！！」
しっかり付けた噛み痕を舐めながら言うグラスに、今度必ず仕返すと誓いながら、されるがままになるのでした。
≫137二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 07:04:10
…とあるビーチの一角にて
「ぐおぉ…」
「あら…」
「何故私も…？」
ーーーそう口々に言うのはウオトレ(親父)、ウラトレ、キタトレの三人。
普段、その余裕のある態度をする三人。
そんな今の三人の共通しているのは…
…牛柄ビキニとミニカウベルをつけていることだった。
「流石にきついぞ…これ…」
「貴方にしては珍しい弱音ですね…」
「お前さん…」
「…二人はまあ分かるとして、何故私もなのかしら？」
「え、近くにいましたので折角ですし…」
「それ暗に巻き添えにしたいって言ってないかしら…？」
そうこう言っている内も突き刺さる周りの視線。
「ええ…」
「すげぇ…」
そしてそれは更に羞恥心を煽り…
「…っ！」
とうとう堪えきれなくなったのか、ウオトレは顔を手で隠す。
いつもの飄々とした態度が嘘のような反応をする彼女に声をかけるウラトレと可哀想と思うキタトレ。
「いつもの貴方では考えられないですね…」
「う…」
「それにキタトレさんもやっぱりきついですか？少しばかり耳がしおれてますが」
キタトレの動きが止まる。
実際、キタトレはポーカーフェイスこそ出来ているが耳と尻尾が普段とは違う反応を返していた。
「…ええ、そうですわ。しかしそれは貴方も同じではありませんかしら？」
「私は…」
「貴方の耳、赤いわよ？」
ウラトレの動きも止まる。
138二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 07:04:44
「…」
「…」
珍しく沈黙の時間が流れる。目を合わせた二人は…
…アイコンタクトで淑女協定を結んだ。
「…！」
ウオトレは相変わらず羞恥心で顔を抑えている。
黙り込む二人と顔を抑える一人。それは普段ならまず見ることはない状況。
…何とも珍しい三人の風景となった。
後に三人にこの時の感想を聞いてみたところ、三者三様な微妙な反応がかえってきたそうだ。
駄文失礼しました
昨日のそれで閃いたやつです。ネタ被り等があったら腹を切ってお詫びします。
いつも余裕な三人の珍しく余裕のないシーンです。正直見て見たいですね。
≫147二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 07:42:32
「僕はトレーナーお見合いおじさん。微笑ましいコイバナをよこしなさい」
「ウワーッ！！ママが壊れた！！」
「ママじゃないし壊れてもないよテイトレちゃん。ところでおじさん聞いたよ？テイオーと付き合うかどうかで悩んでるって」
「ど、どこから聞きつけたんです！？解決したので大丈夫です！！」
「ひどいなあ。テイオーちゃんのダイヤの指輪の相談に乗ったの僕なのに」
「え」
「ルドルフちゃん経由で僕のところに相談が来たからね。良さげなのピックアップしてカタログ送ってあげたの。最近はネイチャちゃんにも送ってあげたし」
「う、ウワーッホントにお見合いおじさんだったぁ！！」
「と、いうわけで手数料だー！その時のデートの様子を教えろー！！」
「あ、あの落ち着いてママ！！」
「ママじゃないよ。とりあえずキスはしたんだよね？デートスポットはどこにしたの！？あとあと前の方の指輪で告白されたときのアレコレも根掘り葉掘り教えろぅ！！！」
「か、掛かってるー！誰か、誰かフジキセキか大先生を呼んでくれーっ！！」
この後偶然通りかかったヘリトレに鎮静化されたフジトレであった
≫161二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 08:01:21
前スレでなんかあったので急いで書いて急いで投げる
お友｢ほら、次はケツの番ダヨ！！｣
ケツ｢……なんでこんなことやってんだよ俺ら｣
お友｢僕のことを教えろって言ったのはケツじャン｣
カフェ｢だからと言ってウマ娘生ゲームは……おかしい気がしますが……｣
お友｢まーいいじゃん！！ほら早くシテ！！｣
ケツ｢……また1だ、隣の人とハグ……｣
ケツ｢お前なんかインチキしてんだろ、さっきからこんなんばっかだぞ｣
お友｢ナンノコトカナー？それより早くハグしナヨ｣
カフェ｢……トレーナーさん、顔は……見ないでください｣
ケツ(年頃の女の子だもんな……嫌だよなそりゃ)
お友｢2人ともお似合いだネェ〜｣ﾆﾔﾆﾔ
カフェ｢……///｣
ケツ｢お前からかうのも……いででででで！？｣
ケツ｢あっ、なっ、カフェの力がどんどん強くなるよォ〜！？｣
ケツ｢待って！！待ってください！！折れる！！折れちゃう！！ダメだ振り解けねぇ！！ヤバいヤバいヤバい！！｣
ﾍﾟｷｯ
ケツ｢あっ｣
この後お友だちが霊力パワーでなんとか治した
≫167二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 08:18:20
ファルトレ「ウオトレさん。ウマドルになりませんか？」
ウオトレ「……？ ファルトレ。それは俺にアイドルになって歌って踊れと？」
ファルトレ「ウマドルです。何も走ってくれとは言いません。少しライブに出ていただけないかと」
ウオトレ「うーん、俺は可愛げのない顔をしているし他に適任が居ると思うけどな。もしかして、ギムレットの方を勧誘しに来たのか？」
ファルトレ「いいえ、勧誘しに来たのは両方です。思うに、ギムレットさんの身体操作能力とクールさ、ウオトレさんの歌唱能力と情熱的な無邪気さはギャップとなってウマドルとしてアドバンテージに働きます。それに、ウオトレさんは綺麗な顔をしていますよ？」
ウオトレ「き、綺麗なのか俺って。でも歌とか自信ないし、それにトレーニングの日程もあるだろ？」
ファルトレ「ボーカルレッスンは私が担当しますしダンスレッスンもデジトレさんに頼んであります。トレーニングの日程に影響が出ないようにスケジュール調整も行います。如何でしょうか？」
ウオトレ「……ギムレット、お前こういうの興味ないだろ？断ったって良いんだぜ？」
ギムレット「俺はボウズが出るなら出るし、逆もまた然りだ。というかお前興味あるだろ？さっきから尻尾の動きが抑えられていないぞ。そうだろファルコンの」
ファルトレ「ええ、それはもう。綺麗と言われた後からは音が聞こえてきそうなぐらい振ってましたよ。誘った自分でもウオトレさんがここまでギャップのある人だとは思いませんでした。逸材ですよ貴方」
ウオトレ「逸材ってなんだよ逸材って。……今回だけだからな。」
ファルトレ「ふふ、ありがとうございます。では詳細は後程メールで送付します。よろしくお願いしますね」
「そういえばだけどギムレット、どうして俺が出ないなら出る気が無いって言ったんだ？別にお前だけ参加でも良かったんじゃないか？」
(どうしてって、お前が出たくないものに俺だけが出るわけにはいかないだろう？ま、ダンスは俺、歌はお前でやれば打ち込む分練習時間も短く済むし気楽に行こうか)
この後、後輩のウオトレ(202)から渡されたフリフリのアイドル衣装を着せられて彼らがこの提案を呑んだことを後悔するのは言うまでもないことだった。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part355【TSトレ】
≫6二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 09:15:56
歯磨き グルトレ
トレーナー室で昼食を済ませた後、私は携帯用の歯磨きセットを手に隣りに座るグルーヴに声をかけた。
「歯、磨いてほしいなぁ～」
「なんだ、急に」
「だめ？」
口の中を見られるのは結構恥ずかしいことだと思ってるからこそ、お願いしてみた。口の中どころではないところを見せ合っているのだから問題ない。
「膝枕してもらって、小さい頃みたいに…仕上げ磨きしてもらうみたいな感じで！お願い～」
そう言うと、彼女は了承したのか座る位置を変え、膝の上をポンポンと叩いて横になれと私を見た。私はブーツを脱いで、彼女の膝へ頭を預けるようにソファーの上で横になった。彼女に歯磨きセットを渡すと、歯ブラシに歯磨き粉をのせる。
「口を開けろ」
「はぁい……ひゃふ…」
口を開くと、ゆっくりと彼女の人差し指が口の中へ入り、右上の頬の内側を優しく引っ張る。歯ブラシが入り、右上の奥歯を磨く。しゃこしゃこと音を立て、咬む面、裏側、表側を丁寧に磨かれていく。
「なんりゃか、ろきろきしれきら」(なんだか、ドキドキしてきた)
「ええい、喋るな。やりづらくなるだろ」
「らって～」(だって～)
膝枕をされているからなのか、彼女に口の中を見られているからなのか。胸の奥がきゅーっとなり、高鳴るのを止められずにいる。歯をひとつひとつ丁寧に磨かれ、しゃこしゃこと音が響くたびに息が漏れる。
「はぁっ……ふぁ、っ…んぁっ……」
「歯を磨かれているだけでそんな声出すな」
7二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 09:16:09
頬の内側を指で引っ張られながら歯を磨かれ、歯茎をマッサージするように歯ブラシが当てられる。声が漏れだしていく。羞恥心をどこか感じてしまっているのか、顔に熱が集まっていき、目元が潤む。まるでそういう時の感覚へと変わっていく歯磨き。もっとされていたい。
「舌に当てていくからな」
「ぁらっ…んえっ……」
びくりと肩が跳ねてしまい、いつもなら恥ずかしく思わないのに恥ずかしくなる。感覚が更にそういう時のものになってしまう。
「うるぅう…おっおぉ……」(グルーヴ…もっとぉ……)
おかしくなってしまいそうだ。私はひとり勝手にそういう気分になってしまいながら、彼女に歯磨きされた。歯磨きを終えた口をゆすぎ、悶々とした気持ちを抱えた私は歯磨き中の彼女に抱き着いた。
「歯磨き終わったらキスしよ…？」
「わかったから、離れろ。やりづらい」
歯磨きを終えたばかりのキスは普段よりすこしだけミントが強くて、どんなに絡めても絡めても、いつもみたいな甘いキスに簡単にならなかった。今度、家で彼女に歯を磨いてもらうことにしよう。私は彼女と唇を重ねながら、こっそりと思案した。
≫54二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 10:20:46
マルゼンスキーィ！
何故君が無茶な走りをして怪我をせずにレースに出場できたのか
何故脚部ファンを解消できたのか
(ｱﾛﾜﾅﾉｰ)
何故マルトレがウマ娘になったのくわァ！
それ以上言うな！
(ﾜｲﾜｲﾜｰｲ)
その答えはただ一つ…
やめろー！
ｱﾊｧｰ…♡
マルゼンスキーィ！
君が怪我の可能性を全て…マルトレに因子として押し付けだからだぁぁぁぁ！！
(ﾀｰﾆｯｫﾝ)
アーハハハハハハハハハアーハハハハハハハハハ！！！
(ｿｳﾄｳｴｷｻｰｲｴｷｻｰｲ)
トレーナーちゃんが……私のせいで……？
ｯﾍｰｲ(煽り)
嘘よ……私を騙そうとしてる…！
≫89二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 12:06:20
ーーートレセン学園にて
「ごめんね、色々してもらって。」
「急ぎの用もなかったしいいよ。それに、一人では何かと厳しいだろう？」
…そう話すのはサトトレとフジトレ。
怪我で歩くこともできず車椅子に座るサトトレをフジトレが押しているところだった。
「バリアフリーがとても有り難く感じるなぁ…」
「トレセン学園はそこらへんしっかりしてるしね。僕も使ってたから。」
「そうだったね、今なら動けることのありがたさがよく分かるよ。」
そんなことを言うサトトレの声色からは、感情が読み取れなかった。
…フジトレは問う。
「…暫く満足に動けないけど大丈夫かい？」
昔、自分が動けないことが嫌だったからこそ、今同じような状態にあるサトトレが心配だった。
「うん、大丈夫だよ。世話はダイヤにされてたから今更だし、走りたいとももう思わないから。」
「なら、折れたことには？」
「ううん、特に思わないかな。それが走り続けた僕の結末なだけだから。分かっていた事だからね。」
「…本音は」
「変わらないよ。皆に迷惑になっていることはとても苦しいけど、でもそれだけ。」
「そうか…」
笑顔のままに返してくる彼女に言えることはあまりなかった。
ふとサトトレは問いかける。
「…そういえば、僕があの日亡くなっていたらどう扱われてたんだろうね？」
「今でも悲劇のヒロインみたく扱われてるけど、そしたら伝説になったのかな？」
「サトトレちゃん……」
思い詰めているのかと問いかけようとした所で
「ふふふ…大丈夫、ただのブラックジョークだよ。皆をおいていきたくはないから。」
そう言って笑顔で返してきたことに毒気を抜かれる。
…足や腕を折った痛々しい体で尚、笑いながら過ごす彼女はとても儚げだった。
90二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 12:06:38
「フジトレ？どうしたの？」
沈黙していたフジトレを見かねたのか聞いてくる。
「何でもないとも。それより、君のトレーナー室にこのまま行ってもいいかな？」
「うん、いいけど…？」
「昼食を作ってあげようかなってね」
「…いいの？」
「勿論だとも」
「なら…予定もないし頼もうかな。」
「ふふ、ならこのまま行こうか。」
サトトレの車椅子を押してフジトレは歩く。にこやかな顔の二人。
ーーー作った昼食はとても美味しかった。
駄文失礼しました
フジトレのキャラが安定しない…(首にギロチンをセットする音)
ママ組でかつて動けなかった彼女なら今のサトトレには大分世話を焼きそうです。
ジョークの所は普通にただのブラックジョークなので心配なさらず。
≫155二次元好きの匿名さん21/11/01(月) 13:50:26
『むんとれさんとぶらとれさん』
「……ムントレ？」
「おお、どうしたんだいブラトレさん」
「いやどうしたもこうしたも……」
「今日は清々しいほど晴れている。こういう日の昼休みにはオープンカフェで外の空気を楽しむというのが乙なものだろう？……もしや何か間違えていただろうか？」
「いやいや、別に間違えてるわけじゃ無くてな。その、なんで頭と肩と指先にそれぞれ小鳥を留まらせてるんだ？」
「……本当だ！」
「気づかなかったの！？」
「いやあまさかこんなことになっていたとは気が付かなかったよ」
「小鳥が自然に留まるとかどんなオーラ発してるんだムントレは……」
「話したらすぐに飛んで行ってくれたからね、あの子たちも悪気はなかったんだよ」
「嘘ぉん」
「きっとこの秋の空気で、彼らも私の指先や方で羽を伸ばしていたんだろうね」
「せめて指先のほうは気が付いてほしかった」
「それもそうだ。ついこの心地よさに身を任せてしまっていてね」
「本当にムントレは自由人だな……」
「ふむ、自由人。ところでブラトレさん、自由とは何だろうか？」
「……おぉ？」
「自分の好きなように生きることができる人間がどれくらいいるだろうか？自分で全ての生き方を決められる人間はいないだろう？」
「まあ確かに」
「そう考えれば、少しの時間だとしてもそれを自分の望むように使うことは特別な時間になる、とも考えられるだろう」
「その何気なくも特別な時間だからこそ大切にしたい、だろ？」
「そう、その通り！だからこそ、この偶然の遭遇だとしても楽しむことが肝要なのさ」
「なるほどねぇ……マチタンも惹かれるわけだわ」
「うん？タンホイザがどうかしたのかい？」
「うんにゃ、別に？一緒に軽く甘味でも楽しむか」
「おお、それは良い。今日はパフェの気分だね」
