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このページは「おれバカだから言うっちまうけどよぉ…」スレに投稿されたSSをまとめるページ(スレpart461~465)です。
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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part461【TSトレ】
≫12ロブプリの人21/11/17(水) 12:12:11
『……なさい……ごめんなさい……っ』
姫が、泣いている……。
『今までの私のご無礼をお許しください……』
『全然姫らしくない言われて、当然です……私は……私が恥ずかしい……』
彼女は自分自身を責め続けている。
それは違う!彼女だけの責任じゃない!俺にだって責任がある!
そう声をかけるのに、いまだその声は届かない。
その涙をぬぐおうと駆け寄るのに、彼女は深く、深く沈んでいく。
それでもあきらめない、俺は彼女の王子様だ!彼女が理想の姫を目指すように、俺は彼女のための伝説のトレーナー、彼女だけの王子様になると決めたのだから。
その決意を胸に彼女に向かって闇の中を駆け寄ろうとする。だが……
『彼女は姫にはふさわしくないわ。乱暴者で、品格もなくて、最低……そんな子が姫なわけないでしょう?』
それは、現れた。
とてもきれいな少女。綺麗な黒髪に、まるで青空のようにきれいな瞳。多くの人々を魅了する白きドレスを身にまとった、姫の好きなプリファイの姿。
だが、そのプリファイの顔は愉悦に満ちており、口元は大きく吊り上がり、そのきれいな瞳はどぶのように淀んでいる。
「そんなわけがない!彼女は確かに姫だ!誰が何と言おうと変わらない!姫が好きなその姿で、姫を侮辱するな、失せろ!」
『あらあら、口の悪い事。でもそれがあなた自身ですものね。あーあ、あなただけならもっと輝けるでしょうに、あんな子のトレーナーになっちゃうなんてかわいそう』
「うるさい!!分かったような口をきくな!俺は彼女から理想をもらったんだ。何も知らないお前が知ったような口をきくな!」
13ロブプリの人21/11/17(水) 12:12:32
プリンセスのことを批判する声に強く嫌悪感を抱き、噛みつくようにして叫ぶ。
彼女が理想としている姿、プリファイの姿でそんなことをいうな、そんな知ったようなことを言うお前は何なんだ!
すると、目の前の存在はにんまりと笑う。まるで、その言葉を待っていたかのように
『あら、何にも知らない、なんてことはないわ。だって私は───』
『あなた自身じゃないの』
「え……」
その時に出てきた声が、変わっていた。
目の前の存在と同じ、少女の声。綺麗な高音がこの空間に響いている。
喉元に手をやるとそこには喉ぼとけはなく、ほっそりとした首をなでるだけ。
いや、その撫でている手も違う。こんな白く、ほっそりとした手ではなかった。
下を見ればそこには男で少し線の細かった体はなく、真っ白できめ細やかな肌、足も腰も細くなり、胸は柔らかく膨らんでいる。どう見ても女性の身体だ。
はらり、と髪が揺れる。短かった髪は肩の下まで伸び、触れてみるととても艶のある黒髪になっている。
そして、恐る恐る、下半身へと手を向かわせる。まさか、そんな……だが、これは……
ツルリ
ない、そこにはずっと連れ添ってきた存在がなかった。
14ロブプリの人21/11/17(水) 12:12:50
「なんで……ですの……え……」
言葉が、違う。何故、言葉にしたのに、自然と口調が変わっている。
目の前の存在と同じような口調に……。
その様子を見て、目の前の少女はにんまりと笑う。
『そうよ、私(わたくし)はあなたで、あなたは私(わたくし)ですもの。だからあなたのことは何でも知っているの』
俺の手を取る。いや、手を取っているのではない。
俺の中に、入ってくる……一つに、なろうとしている?
『だから、私たちで目指しましょう?偽りの姫ではなく、本物の姫になりましょう?』
俺は……俺は……一体……。
なんだったっけ……。
15ロブプリの人21/11/17(水) 12:13:04
「これはまずいな……祓える分は祓ったがが、まだ目を覚まさないぞ」
「嘘だろ、フクトレ。どうにか、どうにかできないの」
「今の俺たちだけでは難しいな。恐らく、こいつは深くまで沈んじまっている。いや、もしかしたらそのままウマソウルに飲まれてしまっている可能性もあるな」
「プリトレ……おい、飲まれるんじゃねえ! お前、カワカミプリンセスと誓い合ったばっかりだろうが!」
クラシック期エリザベス女王杯後の生中継があった翌日の保健室。
日は沈み、夜の闇が包む中、ベッドの上で一人のウマ娘が横たえられ、その周りにフクトレとタイトレ、他にも多くのトレーナー達が囲んでいた。
慌ただしく駆け回っており、あるものは資料を集め、またあるものは各所に連絡を取り合っている。
そんな保健室にドタドタと足音が響いてくる。全速力で走っているのが伝わり、一部破損しているような音も聞こえる。
ガラッ
「はあ、はあ、と、トレーナーさん!!」
「カワカミプリンセス、よく来てくれた。こっちだ」
「トレーナーさ……え、この人は……プリ……ファイ?」
カワカミプリンセスがそのままの勢いで駆け寄るが、そこに横たえられた存在を見て困惑する。
それはそのはずであろう。なにせ、彼女が憧れていたプリファイシリーズのお姫様の一人そっくりであったのだから……。
16ロブプリの人21/11/17(水) 12:13:26
トレーナーが倒れた、そのことを聞いていてもたってもいられず、すぐに保健室に向かいました。
トレーナー、トレーナー、私の王子様が……。二人で成長していこう、と誓い合った矢先に……。
大粒の涙を瞳にため込みながら駆けていき、保健室でトレーナーの姿を見ると、そこにはプリファイシリーズのお姫様の姿がありました。
まるで、自分がずっとアニメで見てきた存在が、現実に飛び出してきたかのようで、訳が分からなくなってしまいます。
「あの、この人が、トレーナーさん、なのですか?」
「ああ、間違いなく、こいつはお前のトレーナーだ。一緒に話に付き合っていたら、急に気を失って、そのまま光りに包まれるとともにウマ娘になっていたんだ。恐らく、今までのウマ娘化現象と同じだな」
ウマ娘化現象……色んなトレーナーがウマ娘になっているというのは聞いていました。
でも、まさか私のトレーナーさんまで……その上、その姿がプリファイの姿になるだなんて……
「この人が、トレーナーさん……。あ、あの、トレーナーさんの容体は……」
「そこから詳しいことは俺が話す。こいつの場合ちと複雑な状態にあってな……簡単に言うと、手紙に込められていた想いが呪いになってこいつに悪影響を及ぼしているんだ」
「手紙って、もしかして……」
それからタイトレから引き継いで、フクトレが説明を始めてくれました。
曰く、単純にウマ娘になるだけではなく、彼が隠していたカワカミプリンセスたちへの批判の手紙。そこに込められた悪意、一つ一つは小さくてもそれが複数重なったことで、呪いになってしまったとのこと。
そして、その呪いが彼の周りについており、ウマ娘化する際に恐らくウマソウルにもその呪いが影響を与えてしまった可能性がある、と……
「しかも今回はチヨトレの時とは違う。ウマソウル自身の想いじゃなくて、それ以外からの呪いでウマソウルに影響を与えたことだ」
「普通はウマソウルに悪影響を与えるものでもないが、どうやら今回のウマソウルは少し特殊で……言いづらいがはっきり言わせてもらう。お前と縁があるものだったんだろう」
「え、私との縁……」
「ああ、元々お前に対して何かしらの想いがあったウマソウルだったんだろうが、呪いによって想いも歪んでしまっている。そして歪んだ想いのまま、歪な状態でウマソウルと一体化しようとしているんだろう」
17ロブプリの人21/11/17(水) 12:13:42
私との縁が原因……。私への批判の手紙が原因……。
そのせいで、トレーナーさんが、こんなことに……。
私のせいだ……。私が姫に相応しくなかったから、そのせいでトレーナーさんが目を覚まさないんだ……。
全部、全部、私の責任だ……。
「ごめん、なさい……ごめんなさい……私の、せいです……私の責任です……ごめんなさい……トレーナーさん……」
「おい、待て!お前の責任じゃないだろ! こいつは俺に語ったんだぞ、今は辛くても、それでも二人で成長していくんだ、って!」
「ですが、ですが……私がいたから、トレーナーさんが……私が、お姫様になるって、目指さなければ……」
周りに迷惑をかけ、多くの人々からよく思われず、そしてその果てにはトレーナーさん迄失うのなら……。
もう、私はお姫様には、なれない……。
目の前が真っ暗になる。もう、道が見えない。ずっと一緒にいてくれたトレーナーさん迄失った私には、もう……。
ギュッ……
「え……トレーナー……さん……」
未だ意識がないトレーナーの手が、私の手をつかんだ。
トレーナーさん……私の、王子様……。
18ロブプリの人21/11/17(水) 12:14:15
暗く、深く、沈み込んでいった。
もう、俺 / 私が何なのかも、分からない。
俺 / 私は、一体、誰だったのかも、覚えていない……。
何もわからないから、このまま眠ってしまおう。そのまま、瞼も落ちていく……。
『ごめん、なさい……』
ふと、耳に声が聞こえる。少女の、泣き声が……。
瞼が落ちていくのが止まる。必死に、手を伸ばす。
『お姫様になるって……目指さなければ……』
ダメだ、そんな言葉、聞きたくない。
はっきりと前を見据える。周りは闇に包まれ、何も見えない。ここに自分がいるかどうかも分からなくなる。
でも、それでも、手を伸ばす。意識が、戻ってくる。
「……なに、眠っているんだ、俺は……」
手に、温もりが溢れてくる。
確かに、伝わってくる。彼女の叫びが、悲痛に満ちた想いが……。
そんな想いから守るんだろ、このまま眠ったままでいいはずがないだろ。
「そうだ、俺は、俺たちは、誓い合っただろ。一緒にこれから成長していこうって誓ったんだ」
手を力強く握りしめる。その温もりを掴みとる。
一歩、足を踏みしめる。確かな感覚がある。彼女とともに歩む足は確かにここに。
前を向く。暗闇の中でも今ならわかる。奥だ。彼女は泣き叫んでいる。真っ暗な闇の中にいる。なら暗闇にこそ彼女はいるんだ。
彼女は、この暗闇の底にいる。
19ロブプリの人21/11/17(水) 12:14:35
「今、行くからな、プリンセス」
プリンセスがいるであろう奥底へと深く潜ろうとする。
その瞬間、声が聞こえる。私自身の声が……。
『行ってどうするの』『私はもっと走りたいの』『あんな子、ほっといておけばいいじゃない』『あいつのせいで走れなくなった、許せない』『私だって女王になりたかった』『あの子に女王になってほしかったのに、あいつのせいで』
それは呪いの声、幾重にも重なった俺たちに向けられた想い。
俺が隠し続け、目を逸らし続けた存在。
そして今、俺たちが目を向けなくてはいけない言葉たち。
「すまなかった。君たちの声を無視し続けた俺の責任だ。だけど……」
謝罪を聞き、呪詛達は歓喜する。大義名分が生まれた、その声を待っていた。そういうかのように俺を引きずり込もうと、その手を、体を、つかみかかり……
「だけどそれで止まってやる道理はない。俺たちは進み続ける。それをお前たちはその目に刻みつけやがれ」
その言葉とともに、腕を振るう。
その手には、光り輝く黄金の剣が握られていた。姫を守ると誓った証。
一振りによって、腕は振り払われる。多くのものを奪っていった呪いは、その心だけは奪えなかった。
なぜならその心は、確かに見えたのだ。一緒に剣を握りしめるお姫様の姿が……。
「カワカミプリンセス、姫、今、行くからな」
そうしてプリトレは沈んでいく。涙でできた暗闇の海へと……。
その先に、プリンセスはいるのだから。
21ロブプリの人21/11/17(水) 12:15:00
「トレーナーさん……ごめんなさい……ごめんなさい……私の、せいで……」
握りしめられた手を強く握り返す。
離したくない、握られた手には確かに熱が感じられる。トレーナーさんがもがいているのが伝わる。
涙をぽろぽろと流しながら、祈り続ける。
もう皆さんにご迷惑をおかけしません。姫を名乗るなんてこともしません。だから、だから、どうか、トレーナーさんを返してください……。
「泣くな……姫に涙は、似合わないだろ?」
スッ、とぽろぽろと流れる涙がぬぐわれる。
その声は、プリファイの声なのに、はっきりと違う声。優しい雰囲気を持った音。
私を導いてくれて、一緒にいてくれる人……。
「トレーナー、さん……」
「ただいま。プリンセス。君の声が聞こえたから、帰ってこれたよ」
顔を上げれば、そこにはトレーナーさんの瞳が……。
姿が全く変わっても変わらない、青空のようにきれいな光がそこにありました。
「トレーナーさん……!!私、私のせいで!ごめんなさ……!!」
チュッ……
トレーナーさんが、いきなり私の顔を引き寄せると、そのまま、私の唇の口づけ、を……
トレーナー、さんが、私に!!
頭が混乱する、でもはっきりと、唇から伝わる熱が、暖かくて、心まで伝わってくるようで……。
まるで永遠の時間が流れているかのように感じていると、そっと、その唇を離れました。
22ロブプリの人21/11/17(水) 12:15:16
「あ……」
名残惜しそうに、声が漏れでてくる。
そして、トレーナーさんははっきりと私の目を見つめ……
「姫、君だけの責任じゃない、って言っただろ。だから、その言葉はいらないよ」
「で、ですが……私のせいで、トレーナーさんの体が……」
「ああ、確かに俺の体はまったく変わってしまった。だけどな……」
体を起こし、私の手を取る。
そして、私に微笑みかける。何時も見せてくれた、トレーナーさんの微笑みが……。
「俺は、カワカミプリンセスだけの王子様だ。君が理想の姫を目指すように、俺は伝説のトレーナーになってみせる。俺は絶対に変わらないよ」
変わっていない。体はまったく違うものになったけど、はっきりと伝わります。トレーナーさんは変わっていない、あの時に言ってくれたように、一緒に成長しよう、と言ってくれた時のように……。
「トレーナー、さん……」
「姫、一緒に成長していこう……絶対に離れないよ」
二つの影は一つになる。
今は沢山泣いて、傷ついて、どん底まで沈んでいても、それでもあきらめない。
二人で一緒に成長していく、一歩一歩、理想へと近づいていこう。
深い闇の中でだって、二人の絆でならきっと、辿り着けるはずだから……。
≫100二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 13:53:48
「…あら、ごきげんようキタトレさん。」
「こんにちはプリトレ、調子は良さそうね。何かいいことでもあったかしら?」
そう話すのは穏やかな顔をしたプリトレと、いつもと変わらず微笑んでいるキタトレ。
「…ええ、プリンセスのドレス姿を撮影してきたので。」
「ふふっ、それは良いわね。…少し気になるのだけど、見せてもらってもいいかしら?」
「はい、構いませんよ。こちらですね」
プリトレは撮影したカメラの写真を覗き込んでくるキタトレに見せた。
「…よく似合っていると思うわ。貴方の撮る腕と合わせて良い一枚ね」
「…そう言ってもらえるのは嬉しいな。」
微笑んだままのキタトレは、少しだけ細めていた目を開くと問いかけた。
「貴方程撮るのが上手い人も中々いないわよ。…所で、今日のトレーニング、私のチームと付き合うかしら?まだ空いてるのよ。」
「なら、お願いさせてもらいます。」
「いいわ、なら今日の昼から私がいつも使ってる場所に集合しましょう。…分かるかしら?」
「大丈夫です、よく見かけるので。」
「それなら良さそうね。…それと、少しでも困ったことがあったら何でも相談していいのよ?遠慮せずに来てちょうだい。」
「…ありがとうございますキタトレさん。」
ぺこりと頭を下げて、感謝を伝える。キタトレは
「礼はいらないわよ。…あら、そろそろ時間かしら。じゃあまた後でねプリトレ。」
「はい、また後で。」
背を向けてコートや尻尾を揺らしながら歩き去っていくキタトレ。ふと、プリトレはカメラを構えると
パシャ
その後ろ姿を写真に収めた。この距離だからシャッター音は聞こえているはずだが、キタトレは特に言うこともなく…いや、少し笑ったような雰囲気をまといながら歩いていく。それを感じとったプリトレは無言の許可に感謝しながら、もう一枚撮ったのだった。
短文失礼しました。
早速使う私の(悪)癖が出ています。彼女のエミュは相手がキタトレなので敬語と女性に近くしてあります。合ってますかね…?
本筋もするとのことなので、ちょっと幕間というかを意識して日常のワンシーンを書いてみました。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part462【TSトレ】
≫39もっと! 豊満な教官ちゃん21/11/17(水) 18:45:26
また三女神様が何かやらかしたらしい。朝の気配につられて浮上する意識が捉えたのは肺を身に覚えのある肺を潰すような圧迫感。なるほどねまたなのね、と目蓋を上げればそこにはもはや形容のしようのないナニかがあった。
姿見で確認すればなるほど以前の豊乳事件より更に大きい。というか重い。ここまでくると元男性として罪悪感を覚える前に大迫力に圧倒されて無意識に拝む程である。ジッサイそのおむねは豊満であった。
さて以前にも似たようなことがあったため、教官ちゃんは既に対策を講じていた。箪笥の奥を覗けばそこにあるのはそれぞれ異なるサイズに対応した各種下着。中央のトレーナーはそれなりの頻度ででかくなったり縮んだりするのだと学習した教官ちゃんはそれに対応できるよう衣服を揃えておいたのである。
今回はどうやら大きくなった胸部の逆に背丈が小さくなっていたようで(教官ちゃんの元のサイズは145-80-55-80である)なるほど道理で迫力満点であった筈だと謎の納得を得つつ、ジャージに袖を通して黒のウイッグを装着しようとした教官ちゃんだがそこで気づいた。気づいてしまった。140cmということはつまりこれはウララちゃんと同じ───
頭サイゲになったウララちゃんを幻視して教官ちゃんは三度死んだ。うまぴょいうまぴょい
≫50二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 19:05:13
『157-84-56-83→140-90-55-80』
「ベガー!ベガー!」
『何なのいきなり電話なんかしてきて……』
「胸がでっかくなった!あと背と尻が縮んだ!」
『……ごめんもう一回言って?』
「だから、めっちゃ縮んで!でかくなって!ちょっと縮んだ!」
『……やっぱり理解が追い付かない。どうすればいいのかだけ教えて』
「たぶんこれあのタイトレと同じやつだから!ロブロイかロブトレさんにサイズ聞いてきて!あとそのサイズのブラあればそれ持ってきて!」
『頭痛くなってきたわ……』
「来たわよ、トレーナー……うわぁ」
「うわぁってなにさうわぁって。私が一番うわぁだよ」
「それもそうね……ほら、これ。まあたぶん大丈夫でしょ」
「サンキューベガ、とりあえずつけてくるわ」
「いやー助かった。お礼にギュッとしてあげようかしら」
「勘弁願うわ、さすがに色々と不味いわよ」
「そうねぇ──と見せかけて隙ありぃ!」
「うわっ、ちょっとアル!?」
「えへへー」
「いや、ほんといろいろと止めなさい……」
「照れてる!」
「や、やめなさいと言ってるでしょう!」
≫52頭サイゲマルトレ21/11/17(水) 19:06:04
朝起きたらなんか胸がでかいわ背が縮んでるわ地獄絵図だった。今日はスズトレにもらったパジャマで寝てなくて助かった。着てたらボタンが弾け飛んでいた可能性がある。立ち上がってみる。
「重い……足元見えん……」
服も尻は入らん前は閉まらん男物だと丈があまりすぎで詰みである。俺はおもむろにスマホを取り出す。連絡先はたづなさんである。
「あ、もしもしマルトレです。あ、やっぱりですか。はい、自分もそんな感じです。有給使います。はい、ありがとうございます失礼します」
有給をとりあえず取った。マルゼンスキーにも連絡を送っておこう。
『マルゼンスキーへ、本日体調不良の為有給を取りお休みします。そのまま学校に向かってください。トレーニングは水泳の予定ですが体の調子に違和感がある場合ノルマ分やらずに切り上げてください』
『りょーかい😃トレーナーちゃん✨お見舞いは何がいい👌❓』
『服がまともに着れないので大丈夫です』
『🤔』
『多分トレセンに行けば似たような感じでみんな休んでると思うので心配しないでも大丈夫です』
『🆗よ〜気をつけてね💌』
さてどうするか。適当にカレーでも作って昼夜に食べるか。暇つぶしにゲームでもしよ。
俺はブラトレにもらった超魔界村に手をつけた。
53頭サイゲマルトレ21/11/17(水) 19:10:31
マルトレ「何このゲームクソむずいんですけど!!??」
完
≫76二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 19:36:01
いい加減慣れたグラトレ(独)
「トレーナーさん……また、小さくなられたんですか?」
「ええ、今回は身体の各部の大きさが変わっただけ……胸だけ大きくなった時とタイトレさんと身体が入れ替わった時の中間と言った所でしょうか」
「……トレーナーさんは冷静ですね、他のトレーナーさん達の中には急遽休まれている方もおられるみたいですけれど」
「流石に三回目となりますので、嫌でも慣れるというものです」
「身長と胸に合わせた着物の調整も完璧になってますからね……」
「慣れたくはなかったのですけれども……」
「……いっその事、そのサイズのちゃんとした着物を買いますか?」
「……何かに負けた気になりますので止めておきましょう」
「そうですか……」
「さて、グラス行きますよ」
「女神像にですか?」
「ええ、塩を投げに行きましょう」
「はい、ご同行させて貰いますね〜」
了
≫88二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 19:49:51◆青天の霹靂「先生こんにちはー。電撃お見舞い来ちゃいました、って。……あれ?」
「……」
開かれた窓の側に立っている、白とも金とも取れるプラチナブロンドの髪を揺らした病院服の先生は、しかし何かが普段と決定的に違っていた。
具体的には小さくなった背丈とか、胸回りとか。……あと胸回りとか。マジか。
「ブラトレ、ですね。こんにちは」
「先生ですよね? ……え、先生ですか本当に!!? もしかしてドッキリ!?」
「ナリタブライアン担当」
聴き慣れた穏やかな語調。そして何より食らい慣れたはずなのに逃れられない圧。
「なんてこった。先生ですね間違いない」
「……いきなり身体が膨れ上がった時は正直『ああ、わたしは今この瞬間死んでしまうんだな』と思いました」
「縁起でもないことを……しかしついにウマ娘に、ってわけではないようですね。耳と尻尾がない」
「耳はちゃんとあるんですよ、ヒトの耳が……とはいえそれに匹敵する異常事態ですが」
「こんなのがしょっちゅう起こってるのが今のトレセン学園です。マジで近づかない方がいいかもしれませんよ」
「文字通り身に染みました……」
「……すごく個人的なことをいうと。残念というか、俺、なんかよくわからないショックを受けてます」
「おおむね同意見です……はあ、自分のことだというのに、未だに信じられません」
「うーん……じゃあこう考えてみちゃどうでしょう」
「妙案があると?」
「はい。今起きてること、これぜーーーんぶ夢です」
89二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 19:50:03
「それは……素敵な現実逃避ですね」
「受容には重要なステップだと思いませんか? 少なくとも今の俺には必要です」
「……ええ、たしかに。これは夢です。いい考えですねブラトレ。これは加点対象ですよ」
「やった!夢バンザーイ!」
「ええ、夢にばんざーい」
「もっと元気にやるんですよ。夢バンザーイ!!」
「……分かりました。夢ばんざーい!」
「バンザーイ!!」
「ばんざーい!!」
暗転。
─────────────────────
───病室。朝。
「……」
「……ふむ」
─────────────────────
「……ブラトレ。20点加点です」
「いきなりなんのボーナスですかそれ!?」
「秘密です。ええ、一生ものの秘密ですとも」
(終)
≫100二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 20:01:36
天元突破タボタボターボ
ある日のトレーナー室
「アニキ!あの棚の上にある本取って!」
「おう!任されたぜ…チクショウ届かねえ!赤タボ!頼んだぜ!」
「いやいや俺もあんま変わらないから無理だよ…ほら、台でも持ってこよう」
「やだやだ!すぐ読みたい!」
「すぐにか…よしターボ!合体だ!」
「合体?」「合体!?」
「おうターボ!俺の肩に乗れ!」
「いいの!?」
「なんだ肩車か…怪我しないようにな」
「いくよアニキ!」「おう!来いターボ!」
「無茶で無謀と笑われようと、意地が支えのウマ娘!」
「柵があったらキックで壊す!芝が無ければこの手で植える!」
「「2つのエンジン炎と燃える!兄妹合体!タボターボ!」」
「ターボを!」「俺(ターボ)達を!」「誰だと思ってやがる!」」
「何やってんだ2人とも…」
「アニキ!これでも届かないよー!」
「何ぃ!?」
「聞いてない…」
この後赤タボとも合体しようとしたけど断られたので素直に踏み台を持ってきて棚は買い換えたそうな
うまぴょいうまぴょい
≫108二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 20:10:37
150-82-54-79→140-90-55-80
……胸が苦しい。
目を覚ますと、そこはトレーナー室であった。
上半身に身につけた衣服を全て脱ぎ、ひとまず締め付けから解放される。
うん、胸がデカくなっている。寝落ちしたとき着ていた服がジャージで良かった。ヒシアマから貰った服をダメにしたくはなかったし。
これは背も縮んでいるな。さらに小さくなったか……。明日には元に戻ることを祈ろう。
さて、トレーナー室で寝落ちしてたことがヒシアマにバレないうちに、服をどうにかしてトレーナー寮に帰らないと。起きたのが寮だったらロブトレに頼めたけど、ないものねだりはできない。朝早くからトレセンに居そうなやつに片っ端から連絡してみるか?
……案外、ジャージでどうにかなるんじゃないか?
下は丈が長いだけでキツくないし、ブラはないけど上はヒシアマのジャージを借りれば……
結局ヒシアマゾンに見つかってバレて叱られた。
午後、ヒシアマゾンのトレーニングをノーブラでしているヒシトレを見て、一般通過美浦寮生の性癖が壊れた。
≫128二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 20:45:13
ギムレットに話しかける青いツインテールが二つ。ツインターボとそのトレーナーである。
「ん?ああ……中くらいのとターボか。何かあったか?」
「中くらいの?」
「いや、なんでもないが……で、何の用だ?」
「あんたが柵破壊が得意と聞いてコツを聞きに来た!」
「そうそう!ターボにも教えて欲しい!」
「ああ、そんなことか……」
(おい待てギムレット、1から10まで会話が狂ってる)
「そうか?レースには関係なさそうだし教えてもいいだろ」
(まあそれはそうだが……って、柵はどうするんだ柵は)
「あっ……しまった、肝心の柵がねぇ……」
「それならターボがアニキと用意したんだ!」
「理事長の許可を貰って、捨てる予定の板材で手作りした柵だ!」
「あるのか……なら話は早い、早速それで実践だな」
「おう!」「おおー!」
(なんだよこれ……)
129二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 20:45:22
────
「ってことでまずは中くらいの、試しにその柵を蹴ってみろ」
「おう!」
アニキが勢いよく”正面から”柵を蹴ると、板が割れる……が、綺麗には壊れない。
「……成程。次はターボ、蹴ってみろ」
「おー!どりゃー!」
ツインターボが蹴っても結果は同様。
「くっ……ししょー!」
「……師匠!」
「どれ、とりあえず手本を見せてやる。あくまで”やりやすい奴”だが……」
そう言いながらギムレットは”柵に背を向けた。”
そして……
「柵折」
ダービーウマ娘タニノギムレット。その圧倒的な末脚、蹄鉄含む靴の一部が柵の一点に襲い掛かり柵が綺麗に割れる。
「どれ、ざっとこんなもんだ」
「「すっげー!!!」」
「どうして!どうして!?」
「ウマ娘の構造は人とまるっきり同じだが……スタート方法が違うように蹴りの力の出し方も違う、ってわけだ。あくまで、普段のやり方と今回見せたのは違うがお前らにはこれがいいと思ってな」
「成程……かっけぇ……」
「と、言うことでだ。怪我しないようにしつつ壊し方、教えていくぞ」
「「はい!」」
こうして、三人のちょっとした柵破壊の練習は一時間後、壊せる柵がなくなったことでお開きとなった。
その後、アニキとターボは赤タボトレに少し怒られたとかなんとか。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part463【TSトレ】
≫24二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 22:33:27
7話 消えない残響
「君のトレーナーを、辞める事にする。今の俺は君の隣に立つ事が出来ない。
幸い、この身体になってから他のトレーナーとの繋がりも増えた。だからここから先はその人達に任せる。安心しろ、あの人達は俺よりも…」
「…ッ!」
バチンッ
「ふざけるな…ふざけるなよッ!この…大バ鹿者がッ!」
マーチはそう言って家を出て行った。
「………」
叩かれた頬がジリジリと痛む。
次の日、俺は辞めた後に来るトレーナーの為に、マーチの資料をまとめていた。
マーチが勝てるように出来る限りのことをしておきたかったんだ。
それになんとかひと区切りつけ、今日は家に帰える事にした。
そして帰り道。誰にマーチのトレーナーを頼みに行こうかなんて考えていると、声をかけられた。
「ん?マーチトレさんじゃん、こんな所で何してんだ?」
「…ブラトレさん。」
「てか、頬めちゃくちゃ腫れてるぞ。何かあったのか?」
「いや、これは俺の問題で。」
「そう言うのいいからいいから。話してみろって。」
「…もう終わった話だしな…分かった話すよ。」
俺はこのまでの顛末を話した。
「それは…」
「いろんな人に助けてもらった。だからこそ、マーチに勝って欲しいんだ。でも俺にはそれが出来ない。」
「だから、諦めるのか?」
25二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 22:34:34
「…そうだ。諦めないと言えば見栄えはいい。だけど実際は、ただ怖くて動けないのが嫌だったから、全て忘れて無謀な夢を追いかけていただけなんだよ。
そして俺は…そんな独りよがりに、これ以上マーチを巻き込みたくない。」
「…無理に止めはしない。だけど、今決めるのは少し早計なんじゃないか?」
「…なんでだ?」
「だって、そんなふうには言ってるけど、まだ諦めきれてないだろ。」
「………」
マーチに辞めることを伝えようとした時、言葉が詰まった。そしてその時、確かに俺は思ってしまった。まだマーチの隣に立っていたい。まだ諦めたくないと。
「もしそうなら、一つ試してみないか?自分がどうしたいか、何をしたいのかを確かめる為に。」
「…確かめる?」
「そ、これでさ。」
言ってブラトレさんはポケットから折り畳まれた紙を取り出して広げる。
「それは…」
「第三回トレーナー対抗ステークス。」
「…俺に走れと?」
「ああ、担当と同じ目線に立てばなにか分かる事もあるかもしれないだろ?」
「…走れない俺が出ても意味ないと思うが。」
「走れる走れないなんて、気にする必要ない。出走する他のトレーナーもみんながみんな走れる訳じゃないからな。だからとりあえず、出るだけ出てみないか?
それでも何も分からなかったり変わらなかったりしたら、そん時辞めればいいってだけだ。」
36二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 22:35:29
今更言ったことを変えるつもりは毛頭ない。
…だけど、もしこの未練に少しでもケリがつけられるのなら。
「…分かったよ。出る。出走する。」
「そう来なくっちゃ!それじゃ出走登録はこっちでやっとくから、少しぐらい鍛えとけよ。」
「ああ…ありがとう、ブラトレさん。…あんたにはいつも迷惑をかける。」
「…いいって事よ。」
そうして俺は家に帰った。
「………」
プルルル。プルルル。
「もしもし?マーチトレさん、出てくれるって。」
『それは良かった。』
「でもなんで俺にやらせたんだ?そのくらい、オグトレさんがやれば…」
『それは出来ない。なんたって彼と私は、ライバルだからな。』
『それにお前さんだって、彼の事は知っていたのだろう?なら私が頼むのが先か、お前さんが自分で行くのが先かって話なだけだったと思うが。』
「それはそうだけど…あいつ、大丈夫なのか?」
『確かに、この先どうなるかはマーチトレ次第。だけど、それこそ私のライバルなんだ。こんな所で終わるようなトレーナーじゃない。だから大丈夫だ。』
「…そっか。んじゃ、俺はこれで。」
『ああ。ありがとうな、ブラトレ。』
「このくらい、お安い御用だ。それじゃ。」
ピッ
「…ここが正念場だ。頑張れよ、マーチトレさん。」
≫36二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 22:50:27
姉→猫 ライトレ
ライスはお兄さまをトレーナー室で待っていました。いつものようにトレーナー室のソファーにかけ、お兄さまが置いてくれている絵本を読みながらお兄さまを待つはずでした。いつもの時間になってもお兄さまは来ないのです。お兄さまが何も連絡せず、遅れてくるとも思えませんでした。
「お兄さま…?なにかあったのかな……」
ライスは不安になり、お兄さまのスマホへ連絡をとってみましたが繋がることはありませんでした。部屋で倒れていたらどうしよう、ライスはトレーナー室を出て急いでトレーナー寮のお兄さまの部屋へ向かいました。
───コンコン。
ドアをノックしても反応がありません。本当に倒れてしまっているのでは、一抹の不安が現実味を帯びてしまいます。
「…ごめんなさい」
ライスは無理矢理ドアを開けようとすると、鍵はかかってなく、そのままキィーとドアが開きました。
「お姉さま!お姉さま!」
声をかけても反応がありません。部屋の奥へと行くと───。
「みゃぁ」
ベッドの上に一匹の猫さんがいました。少し青っぽい灰色の毛の長い大きな猫さんでした。くるくるとした毛はライスやお兄さまによく似ています。猫さんはライスを見るとふわりとベッドから降りて、ライスの足元にきました。可愛らしい猫さんだと思い、目線を合わせるようにしゃがみ声をかけてみました。
「どこから来たの?」
「みゃっ」
ライスはお兄さまが猫さんを飼い始めたというお話をした記憶がありません。
「お姉さま…えっと、ここのお部屋にいた人を知っている?」
「みゃぁ!みゃぁ!!」
猫さんはまるで自身がお兄さまだと、言わんばかりに前足で起用にもふもふな胸元をたたきました。お兄さまは人間の、男の人でしたが、ある日突然ライスと同じウマ娘になってしまっていたのです。不思議なことが多い今のトレセン学園、お兄さまが猫になってしまっても不思議ではないのかもしれません。
37二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 22:51:05
「もしかして、お姉さまなの?」
そうライスが言うと、お兄さまと思しき猫さんは嬉しそうに頷きました。ライスよりもいつも背が高いお兄さまが大きめの猫さんとはいえ、ライスよりも小さくなってしまいした。ライスは胸がきゅーっとするものを感じました。お兄さまが可愛らしいと思ったのです。お兄さまを抱っこすると、少しびっくりした様子をしましたが、すぐにリラックスしてくれました。もふもふでとても柔らかい。ベッドを見ると、お兄さまの服が脱いでそのままのように置かれていました。お兄さまが脱いでそのままにするとも思えなかったので、もしかしたら寝ている間に猫さんになってしまったのではと思いました。ライスは一度、お兄さまをおろして、服をたたみました。すこしあたたかいので読み通りかもしれない、と思いました。
「お姉さま、戻ったら裸なのかな…」
「みゃ……」
「でも、今はお姉さまだから大丈夫だよ」
お兄さまのデスクの椅子に座ると、お兄さまはぴょいとライスの膝の上に乗りました。とても可愛らしくて、ライスはつい顎の下を指で撫でました。ぐるぐると喉を鳴らして、嬉しそうです。
「お姉さま、戻れるよね?」
「みゃあっ!」
「うん、きっと戻れる。ライス信じてるね」
でも、どうしたらいいのかな。こういうのは初めて、誰かに聞いてればいいのかな。
───♪~~~~~。
お兄さまのスマホの着信音です。ライスの歌、少しだけ恥ずかしい。
「お姉さま、ライスが電話に出てもいい?」
そう聞くと、お兄さまは頷いたので、ライスはお兄さまのスマホを手に取り電話に出ました。電話の相手は理事長秘書のたづなさんでした。お話を聞くと、他のトレーナーさんたちも猫さんになっているようでした。その確認の電話だったのですが、ライスが出たことでたづなさんは察したようでした。時間が経つと猫さんになってしまったトレーナーさんはみんな戻っている、とたづなさんから聞いてよかった、お兄さまも戻ると安堵しました。たづなさんに戻るまでそばにいてあげてくださいねと言われました。もちろん、はいと返事しました。お兄さまが困っているときはライスがお兄さまを支えたいからです。
「戻るまでライス、一緒にいるね」
「みゃあ!」
もふもふなお兄さまの身体を撫でるとぐるぐると喉を鳴らしてとても可愛らしいです。しばらく猫さんになったお兄さまと戯れることにしました。
38二次元好きの匿名さん21/11/17(水) 22:51:27
ベッドの上で寝転がり、お兄さまを抱っこしているとボフンっとまるで魔法が解けたように猫からお姉さまに戻りました。裸でライスのことを組み敷いているような状態になってしまいました。お兄さまは少しだけ顔を赤くして何も言わずに毛布にくるまりました。
「お姉さま?」
「す、すまない…ライス」
なんだかいつもよりお兄さまが小さく見えて、ライスはお兄さまを抱き締めてしまいました。
「お姉さま、ライスは気にしてないよ」
「ライスが良くてもだね…」
珍しくお兄さまが言葉を濁しました。なんだかそんなお兄さまが新鮮でライスはもっと強く抱き締めてしまいました。今日のお兄さまがとても可愛らしくて、いつもライスが見てるお兄さまと違って、でもそんなお兄さまも好きであたたかい気持ちでいっぱいになりました。
≫47ガンギマリ頭スズトレ21/11/17(水) 23:10:17
それは、とある大騒動が終わった1週間くらい後のこと。
「ごめんなさい。」
「どゆこと……?」
俺ことダイワスカーレット担当トレーナーはなぜか頭を下げられていた。
相手はスズトレさん。2ヶ月ほど前から担当のサイレンススズカちゃんと海外遠征に出ていて、つい昨日帰ってきたばかり。
お土産を渡しに行くからトレーナー室にいてくれると助かる、とはグループLINEにメッセージが来てたから迎える準備はしていた。でも来てすぐ垂直になるまで頭下げられるなんて予想できる人いる?
とりあえずこのままじゃ埒が明かないので、椅子に座ってもらって詳しく話を聞く。
「えーっと、それでなんで俺は謝られたの?スズトレさんになんかされた記憶特にないんだけど……」
「うーん、なんかしたってよりはなにもしてないからこそというか……」
「んん?」
「ダストレとキンチェムのレース、結局私はなんにもできなかったから……」
ああ、点と点が線で繋がるってこういう感覚なんだなぁと理解できた気がする。
俺と、俺のウマソウルである"ハンガリーの奇跡"キンチェムの体を巡った一連の事態。
最終的に約1ヶ月の準備期間を経たレースにて、数え切れないほどの人達の力を借りた事による俺の勝利で決着がついたソレの終結から、ざっと1週間が経っている。つまり事の始まりであるキンチェムが現れたのは1ヶ月と1週間前。
スズトレさんがヨーロッパの方で頑張っている真っ只中であり、おそらく彼女はそのせいで力になれなかった事を悔いているのだ。
48ガンギマリ頭スズトレ21/11/17(水) 23:10:41
「……気にしすぎじゃない??」
「えっ。」
「いやだって仕方ないじゃん。スズトレさん初の外国だったんだし。
仮に立場逆だったとして、俺がスカーレットよりもスズトレさん優先したら嫌でしょ?」
「それは……うん…… 」
「結局本番ではあまり使わなかったってだけで、何回か乗ってもらった走りの相談も無駄じゃなかった。俺は十分すぎるくらい助けてもらったと思ってるよ。」
渋々と頷くスズトレさんに向けて続けて言う。真っ向からじゃ勝ち目がない。そう判断したからあまり走らなかっただけであって一切走らなかった、というわけではない。特にスタートに関してはスズトレさんのアドバイスはなかなかに役立った。
そして、スズトレさんが成してくれたことがもう1つ。
「それに、フランキーさんの墓見つけてくれたでしょ?」
フランキー・キンチェムの墓石。俺たちがトレセンで調べあげた情報を元に、休日を返済し、わざわざ手続きしてまで国境を跨ぎ、現在の彼の墓の写真をスズトレさんは送ってくれていた。
「過去の記録を探すことはできても、今なおアレが残っていることを示すことができたのはあの時、スズトレさんしかいなかった。
だから謝罪はなしで。久しぶりに顔合わせたわけだしもっと気楽に、ね?」
「……分かった。じゃあ最後に一つだけいい?」
「んー?」
「無事でいてくれてありがとう、ダストレ。」
その言葉と共に、俺は2ヶ月ぶりにスズトレさんの太陽のような笑顔を見た。
49ガンギマリ頭スズトレ21/11/17(水) 23:10:56
さて、暗い感じもひと段落したところで話は本題へ。
「じゃあダストレへのお土産なんだけど……」
そう、お土産である。正直に言っていい?ずっと待ってた。だってスズトレさんお土産選び上手いんだもん。
「えーっと、まずこれ。Pottyos Turo Rudi、ハンガリーで人気のチョコレートなんだって。
でこっちはSTUHMER、チョコだけどレトロアートとかも楽しめるらしいよ。最後にこっちがSzamosのチョコ。本当はマジパンがよかったけど流石にもちそうになかったから……」
簡単な解説とともにスズトレさんのカバンから次々と俺宛の品が出てくる。
なるほど、チョコにチョコにチョコ。
「……チョコ多いってかチョコしかなくない!?」
「絞りきれなかったんだよね……まあスカーレットと分けて食べて。」
後日、賞味期限がギリギリなのが判明し、ダストレはスカーレットが食べなかった分を1人で食し無事体重が微増した。
≫9319:05:0221/11/18(木) 00:13:53
「トレーニング終了を確認、お疲れさまですマスター」
「お疲れ様でーす、へにゃーん…」
日も傾いて空が暗くなるおおよそ19時頃、温水プールを閉める時間が近くなる。今日はブルトレさんに頼んでミホノブルボンとプール訓練を行う事にしていた。
流石鬼と呼ばれるミホノブルボンのトレーニング。スカイにはだいぶ堪えたらしい、明日は早めに切り上げてマッサージに連れて行こう。
「お疲れさまですブルボン、私はこの後片付けがあるので先に帰っていてください」
「了解しました。マスターのより早い帰還を望みます」
「すぐに終わりますから安心してください」
「スカイもお疲れ様。明日は軽くするけど今日はゆっくり休むように」
「えーっ!?セイちゃんもうクタクタですよ、明日もトレーニングなんてトレーナーさんの鬼!」
「明日は軽く走ってもらうけどその後はゆっくりマッサージの予定。予約も入れてるから」
「明日は良く晴れて良い風向きらしいですよ!猫ちゃんと一緒にお昼寝したーい!」
「奮発して良いとこ頼んだから頑張ってくれ、猫捕まえやすいようにチュールも買っておくから」
「ほんとですか?全国お昼寝マップに加えて何時でもトレーナーさんが連れて行ってくれるんですか!」
「そこまで約束は出来ない……。極力頑張るから今日は早めに休んでくれ」
ゴネるスカイを宥め先に二人に着替える用促す。最近にしては珍しい位だ、余程ブルトレさんのメニューがキツかったのだろう。
隣ではミホノブルボンを見送ったブルトレさんも笑っている。
「すみません。合同トレーニングをお願いした側なのに此方が時間を取って」
「問題ありません。むしろよく付いてきてくれましたね」
「中長距離を見据えてる以上ある程度スタミナは重要視してるつもりでした。それでも驚きましたね…」
「三冠バは伊達じゃありません。鬼と呼ばれる程のトレーニングをブルボンがこなしてくれてこそですから」
目標を決めてトレーニングを重ねた結果ですけどね、と誇らしそうに笑うブルトレさん。
二人を待つ間(担当と一緒に着替えはないだろう)に備品を確認する時間にこんな話が聞けるとは思わなかった。
簡単に見て回った後、二人が着替え終わったという声が聞こえてくる。お先にどうぞ、とブルトレさんを促して少しした頃、
──気づいたら俺はプールの中に引きずり込まれていた。
9419:16:1221/11/18(木) 00:14:17
プールの中に引きずり込まれた後、何をしていたか自分で思い返す。
ブルトレさんに先に着替えて貰うよう言って待ってる間、
屋内だと少し暑いし今は一人だと上に着ていたジャージを脱いで(下が学園指定水着なのは気になるが)手を団扇代わりに扇ごうとしていたはず。
右の袖から右手を出した頃、プール内のパネルミラーをチラと見た辺りで左が宙を滑りプールの中に落ちていた。
左足が?何時もの事とは違うらしい。ゆっくりとパネルミラーの方に引き寄せられる体に嫌な予感を感じプールサイドに手を伸ばし顔を上げる。
軽く咳き込み深呼吸。そうだ、確か時計がチラと映っていた。顔をあげ時計を見ると7時16分、特別な時間じゃないはずだけどなんで?
答えが出る前に水中に引きずり込まれる。両足が何かに掴まれてる、何なのかはなーんにも見えないからわからない。
プールサイドへ手を伸ばそうとするがもう届かない、さっきより力が強いのかすぐに鏡に映ってるものが見えた。
針の形が4時44分、駄目な奴だこれ。
慌てて両足で水底キック。飛び込み台へしがみつき顔を上げる。深呼吸をして水から出ようとするがその前に足に何か張り付くような感触があった。
水から出るどころかこれじゃあ間に合わない、咄嗟に左手に残っていたジャージを飛び込み台へ回す。
次の瞬間にガクンッ!と両足が引っ張られ強い力で水に引き込まれる。
「ん、ぎ、ぎ、ぎ、ぎ、ぎぃ……!」
飛び込み台に回したジャージを右手で掴み踏ん張る。
思い切りジャンプして距離が取れる場所じゃない水中だ、息も続かないしあんまり何度も連れて行かれたくない。
とりあえず今使える物を改めて考えてみる。
[持ち物]
- ジャージ
上から羽織っていたジャージ。現在ロープとして活用中。
- 学園指定の水着
プールサイドで濡れる事への対策で着用を言い渡された水着、バカじゃないの?と思ったけど今はちょっとありがたい。
やっぱり無理な気がしてきた。どうして私はこういう時役に立ちそうなものを何一つ持ってないんだ。
この状況で水着を脱ぐ暇もないしこの時間に水着まで脱いだらそれこそ気が触れてると思われそうで目眩がする。
9519:16:3821/11/18(木) 00:14:33
「あっ…」
ガクンッ、と体のバランスが崩れ一気に水の中に全身が浸かる。
なんで!?と上を見ると左手にジャージがない。……もしかしてすっぽぬけた?考え事してる間に。
右手を見るとジャージを掴んだままだ。一体何をやってるんだろう、思わず頭を抱える。
あっ、ジャージ離しちゃった。……鏡に吸い込まれるようにジャージが消えていった気がする。これ本当に不味い奴じゃ?
水没してる時点で危ない気がするが体に寒気が走る。
取り敢えずプールサイドに捕まる為に水底を左足で蹴る。
ちょっと近づいたがすぐに引き戻されるように引っ張られる、手がまだ届かない。
もう一度左足で地面を蹴る、さっきより強い力でグイと引き戻される。学習能力高くない?
さっきから力は強くなり続けてるし躊躇する余裕はない、もう一度両足で思い切り水底を蹴る。
「ぷはっ、ゴホッゴホッ、ぁ……!」
水面から顔を出し思い切り手をのばす。伸ばした手がプールサイドを掠める。
やっぱりちょっとブレた。足を伸ばして早く左足だけでもう一度水底を蹴られないと……厚底がないと足が短い!
プールサイドとの距離が離れすぎないよう必至に左足で水を蹴り続ける。もう右足に力は入りそうにない、不味い!
プールサイドと水底との距離を確認しようと交互に視線を向けていたら急に水面から手が生えてきた。
勢いのままに右手で手を掴む。もう息を止めるのもキツイんだ、後先考えてる余裕なんてない。
グイッ、と水底と水面から引っ張られる、待って腰から裂ける!腰から体が半分になる!
痛みで口を開けてしまい水が流れ込んできた。左手をガムシャラに動かすと何かを掠めた感覚がある。
もう一度伸ばしてみると何かを掴めた、思い切り腕の力で体を引っ張る。
「ゲホッ、ぇ…ゴホッ、うぇ…ぁ、ブルトレさん…?」
「大丈夫ですか、水飲んだりしてませんか!?」
「いや、そこまでは……ありがとうござ」
9619:16:5221/11/18(木) 00:15:13
御礼の言葉を切る。時計が見えた、19時16分。つまり──
「危ないッ!」
「わっ…セイトレさん!?」
ブルトレさんを突き飛ばし左足で飛び込み台目がけて跳ぶ。後で謝れますように!
飛び込み台へ手が届く前にプールへ体が引っ張られる。さっきまでより強い力で。
ゴンッ!
「カッ、は…ぁ…ぅぇ…」
結果、思い切りお腹に飛び込み台が打ち付けられる。体に残っていた空気は吐き出され酸素を求めて喉が動く。
今はそれより大事な事が、痛む体に鞭を打ち視線を時計に向ける。
19:16:56
足が何かに掴まれズ…と体が引きずられた後プールに投げ込まれる。
体は宙に浮くが目は時計から離さない。
19:16:58
着水。水も勢いのまま打ち付ければ痛いというのは本当だと知る。忘れたままで良かったのに。
口を閉じようとして酸素を求め口を開けてしまう、仕方なく強引に手で止める。
時間、今の時間は。
19:16:59
体がグイと引っ張られる。もがけ、抗え、何とか後数秒逃げ切れ!
あ、やめろ髪引っ張るな痛い!左手を口で抑えたままプールサイドに何か掠める事もないか、少しでも時間を稼ぐ。
9719:17:0121/11/18(木) 00:15:31
一際大きい力でグイと引っ張られる。
パネルミラーに映る数字は不吉な数字を刺していたが所詮は一分間だ。
パネルミラーへ引きずり込もうとする力がなくなる。
頭が鏡にぶつかる。反転して映る時計の針も4時43分を映していた。
──逃げ切った。そう安心したからだろうか、体から力が抜け意識が暗転し──
「私も泳げませんからもう勘弁してくださいね……」
「……本当にごめんなさい、ありがとうございます」
気づいたらプールサイドで寝かされていた。
ブルトレさんが助けてくれたらしい、泳げないと聞いてたのに本当にありがたい。
「終わった事ですし良いですよ。ただ、今のは一体?私からはセイトレさんがプールに急に飛び込んでる様にも見えましたが…」
「……そういう風に、見えてるんですね。実はたまに不思議と色んなモノに追いかけ回される事があって」
「詳しく聞かない方が良い事でしょうか?」
「そうですね。実は俺も何一つ何で起きてるかわかりませんから。……後々何が起きていたか見てた分聞かれると思うのでそれだけお願いします」
「わかりました。セイトレさん、立てますか?」
「もう少し休めば何とか……また痣が増えてそう……」
「わかりました、手を貸しますから一緒に行きましょう」
「……いや、ちょっと気まずいというか」
「貴方自分の事男って公言してたじゃないですか。それに一人にしてまた何か出たらどうするんですか」
──反論できなかった。
≫137二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 06:34:25
トレセンの廊下にて、一人の車椅子の少女は、前にいた二人に気づくと声をかけた。
「…あ、おはようスズトレ、シチトレ。」
「おはようサトトレ。」
「おはようサトトレ、えっと、体はどう?」
「大丈夫だよシチトレ。回復はしてきてるしね、この調子なら問題ないよ。」
「あの時は本当に焦ったんだよ?」
「そうだよ、事故で亡くなるのはみたくないから…」
「ごめん、二人共。」
ぺこりと頭を下げて謝るサトトレ。そんな彼女にスズトレは問いかけた、
「…そういえば、サトトレは完治したら走れるようにはならないの?」
「走るなってドクターストップ入ってるからね。それに、仮に走れたとしても僕はもう二人にはついていけないよ。」
そう言ってサトトレが懐から取り出してきたのは一冊の論文が書かれた本。
「『骨折と走行能力の低下に関わる研究』ってこれ…」
「この本に詳しくは載ってるんだけど、ウマ娘は足を故障すると走りも悪くなるんだ。僕も例外じゃない。」
「そっか…でも、これであの約束ももう果たせなくなっちゃうね…」
スズトレが少し憂いな表情を見せる。いつかの三人での模擬レースの時に結んだ、三人で何度でも競い合おうという約束。
「…そうだね」
シチトレも残念そうな顔を見せる。それを見たサトトレは…
138二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 06:35:07
「…ねえ二人とも、これを見て」
そんな落ち込む二人に声をかけたサトトレは数冊のノートを取り出した。日記と表紙に書かれたそのノートの中には…
「菊花賞、朝日杯、天皇賞秋…」
「私達の走ったレース…」
…メイクデビューしたトレーナー達が走ってきたレース、その全てが詳しく記されていたのだ。
「僕が皆の研究と今までの軌跡を綴るために書いていたんだ。これを上げるよ。」
「えっ、いいの?大事なものなんじゃ…」
「ううん、だからだよ。これからも僕が書いてもいいんだけど、できればこれからは二人に綴ってほしいんだ。」
「…ならアサヒ、貴方がもらって。私はいいかな。」
「分かったよティリ。…ありがとうジャッジ。」
「いいよ、代わりに定期的にそれを見せて。僕はスズトレが書いたそれが読みたいんだ」
「勿論だよ。」
穏やかな顔で笑いかけてくるサトトレに、スズトレも笑顔でそう答えた。
「…ところでサトトレ、一緒に昼食べにいかない?」
「いいね、なら行かせてもらおうかな…」
ーーー三人はまだまだ歩んでいく。
短文失礼しました。
メイクデビュー組三人での、果たせなくなった約束と、代わりに結んだもののお話です。大分古いネタ引っ張ってきたな私…
皆の軌跡を辿ったそれはきっと大事な一冊でしょう。ちなみにその約束はこちらのです。https://bbs.animanch.com/board/98649/?res=162
≫164『独りでいると』1/421/11/18(木) 08:27:31
『独りでいると』
いつもより一回り大きくなった胸は着ていた寝間着を押し上げて存在感をまざまざと主張している。尻と腹回りに大きな変化は無かったが、自分の目に映る視界は以前より格段にその高さを低くしていた。
この身長では服もおちおち着ていられないだろう。というかブラジャーのホックも膨らんだ胸で外れていたのだから、少なくとも今日一日は外に出れないと考えても差し支えは無い。
タキオンに『ごめん、身長が変わって今日は学園には行けそうにない。今日一日は自由時間にして良いよ』とメールを打ってベッドに寝転ぶ。返信を返さないけど内容は読んでいる彼女のことだから、彼女からの返信に気を配らなくて良いのは気が楽だ。
部屋に響く時計の音を聞きながら考える。この事件もきっとまた三女神様とやらの仕業なのだろう。牛柄のビキニを着せられたり、猫になったり、下着が紐の物に替えられたりとヒマばかりなのではないかと思わずにはいられない。そんなことをしている暇があるなら怪我するウマ娘を1人でもいいから減らすのがウマ娘を導く三女神のするべき仕事のはずだろうに。
そんな益体も無い考えを巡らせている内に今の時間が気になって壁を見やると、壁掛け時計の針は朝の8時を指していた。
タキオンは何をしているだろうか。そう思わずにはいられない。寝坊しないで朝起きれているだろうか、朝ご飯は食べただろうか、同室のデジタルに迷惑をかけていないだろうか。いつもなら彼女との時間を過ごしているはずなのに、今自分は部屋に1人だ。
165『独りでいると』2/421/11/18(木) 08:28:07
心の中に発生した雑念を頭を振って振り払う。彼女だってちゃんとした学生なのだからこのぐらいしてできる筈だ。むしろ今までが少し甘すぎただけだと思い直してテレビのリモコンに手を伸ばす。最近撮り溜めるだけになっていた料理番組の録画を消費するには良い機会だ。メモとペンを取ってテレビの前に座り、料理のレパートリーを増やそうと意気込んでメモを取ることにした。
──なんだか楽しくない。
見始めた最初は良かった。知らない料理や調理器具、自分では到底思いつかない調理方法などを学んでいくのは楽しいし、事実番組で見かけた幾つかの料理は試してみようと思ったぐらいだ。だがそれも見続ける間に飽きてしまった。振舞う相手も今は居ないし、食材を買いにも行けないのだから今日試すこともできない。料理番組も連続で見続けるとここまでつまらなくなるものかと思ってテレビを消すと、リモコンを投げ出してベッドに横になる。
なんで今こんなにもつまらないと感じているかについて自分の心は答えを既に出していた。
することが無いのだ。いつもなら平日のこの時間はトレーナー室にいてトレーナーとしての雑事をするか、保健室にいていつ訪れるかわからない来客に備えている。休日であっても何かしらの家事をしているだろう。しかし、今は何もすることができない。頭一つ分視界が変化してさらに体重のバランスが崩れた状態で家事をするのは危険だし、こうも身長が変化してしまうと着る服が無くて外出することもできない。マルトレからこの前借りたゲームをしてみても、一緒に遊んだ時ほど楽しくなくてすぐに投げ出してしまった。
166『独りでいると』3/421/11/18(木) 08:28:30
「寂しいな……」
何をすればいいのかわからなくなってしまって、心の中か溢れる心情を口に出しながら枕に顔を埋める。どうせならこのまま寝てしまおう。こうして眠ってしまえば一人だけの辛さも、タキオンに会えない寂しさもすぐに紛らわせるはずだ。
枕に顔を押し付けて漏れ出てしまう声を押し殺す。いつもならすぐに寝られるはずなのに、眠気は不思議とこなかった。
「タキオン……」
愛しい人の名前を呼ぶ。思考がぐるぐるとまわって答えがでない。
そんなことをしたって寂しさが増すだけなのに不思議と声にでてしまう。
願望と現実に板挟みにされて、どうしようもなくなってしまっていると──
「どうしたんだいトレーナー君」
──声がした。
愛しい人の声がする。今ここにいない筈の声がする。
あり得ないというという理性と、もしかしたらという願望に突き動かされて顔を上げてみるとそこにはいつも見慣れた彼女の顔があった。
「タキオン、なの?」
「キミの知り合いにこんな顔をしている人間は私ぐらいしか居ないと思うけどね。少なくとも、キミの目の前に居るのは正真正銘君の担当さ」
「妄想とかじゃなくて?」
「妄想って何だい。キミ、人が折角心配してきてやったというのに失礼じゃないか?いや、現実と空想の認識について今度実験してみるのかも良いのかもしれないね。新しい研究のアイディアをくれてありがとうモルモット君」
「ああ、本当のタキオンだ……」
167『独りでいると』4/421/11/18(木) 08:28:59
ベッドに腰かけて自分は本物だというタキオン。自分の返答に少し不機嫌になりながらも新しい実験を考え付くその姿は紛れもなくアグネスタキオンその人だった。
体を起こして彼女の隣に腰かける形になる。隣り合って密着した彼女の身体から感じる温かな体温と匂いは彼女が確かにそこに存在していることを教えてくれていた。
「でも、今は授業中でしょ?」
「授業はサボったよ。そこは既に学んだ範囲だからね。あれぐらいなら授業を受けなくても全部できるとも。それに」
「それに?」
「今日は私の好きにして良いんだろう? なら私はキミの傍で今日一日を過ごすことにするよ」
そっと、ベッドの上の手を握られて瞳を覗き込まれる。薄く笑みを浮かべたその顔を向けられて、これまで感じていた倦怠感や飽きとか不安とか言ったものは全て消え去ってしまった。……正直、少しズルいと思う。いつもはわがままで自分に迷惑をかけたりする癖に、こんな時には寄り添って自分のことを想って行動してくれる。彼女の好きな所がどんどん増えていく。
「……うん、タキオンがそうしたいならそれで良いよ。それで、今日は何をしようか?実験でもする?」
「そうだねぇ。一先ず昼ごはんを作ってくれないかい?朝から何も食べていなくてお腹ペコペコでね。早くキミの作ってくれたご飯が食べたいよ」
「じゃあそうしようか。冷蔵庫には何があったかな……」
時計を見てみると、短針は11の数字を指していた。もうこんな時間かとベッドから立ち上がって冷蔵庫へと向かう。さっきはあれほどやる気が起きなかった料理だというのに、今は不思議と何だろうが作れるような気がした。
彼女と一緒にいる時間はこれほどまでに楽しいのかと、そう考えずにはいられなかった。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part464【TSトレ】
≫40二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 10:13:08
グルトレ「あ~いたいた!お姫様見~つけた!ダメだよ、みんな心配してるよ。ん?恥ずかしい?大丈夫だよ、お姫様のこと悪く言うヒトなんていないよ。私のお姫様だもん堂々としよ!ね?私がついてるから、一緒に行こ?」
オグトレ「なんだ?不思議そうな顔だな。まぁ料理を作るのが好きな王子も居ていいだろう。城の料理人よりも良いとお墨付きだ。私も───いや、俺もお前さんが俺の作った料理で喜んだ顔が見たいんだ。さぁ召し上がれ、お姫様」
ライトレ「お姫様、今日はどの絵本がいいかな。僕はこのお姫様と王子様が結ばれるものが良いと思うんだ。君と僕が幸せになれる、そんな物語さ。アップルパイと紅茶を口にしながら、語り合おう。近い将来のことを」
リウトレ「な、何よ…しょうがないでしょ。歩けないのだから……お姫様にお姫様抱っこされる王子様って可愛い?う、うるさいっ!あたしだって、本当はお姫様を…べ、別に何でもないわよ!ニヤニヤしないでくれる!」
≫53二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 10:36:01
多分タイキトレは一見するとのんびりダウナー系王子。これでもタイキ越えの174cmなので中々映える立ち居振る舞い
(指名?入るもんだね意外と)
「……お嬢。自分との約束、覚えてますか?
ども、貴女の王子です」
ただ喋り始めると見た目とのギャップがしっかりあるのでそこにもやられてもらう
「得意なこと?口動かすよりかは割と手を動かすのが好きなんよね。……お手玉がここに5個。ほーーれこの通り片手で投げ回せる」
「もっと多くって言われても、天井が狭いと中々ねー。ここ抜け出してもっと広いとこ行く?……ふたりだけで(耳元ささやき)」
≫62二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 11:48:28
「やあこんにちは。今日は僕のために来てくれたんだね?それは嬉しいな……あ、メニューはこれだね。……オススメ?そうだなぁ……僕はコーヒー派だからコーヒーとサンドウィッチなんだけど……紅茶とスコーンやワッフルなんてのもいいと思うよ。勿論、僕の意見だけど。……ふむふむ……アフタヌーンティーセットだね。ありがとう。それじゃあ、少し待っててくれるかな?」
────
「はい。紅茶、淹れてあげるね。……はい。火傷しないようにね?……え?僕と一緒に食べたい?……少し待っててね、今執事に聞いてくるか……あ、大丈夫?わかったよ。……大丈夫だって。なら、二人で食べようか……といっても、僕はそこまで食べないけどね。……いいのか、って?だって、君のその笑顔を見てるだけで僕はお腹いっぱいだもの」
────
「……何あれ、本当にルドトレ先輩?」
「……本物のルドトレ先輩だよ、アレ」
「マジ?本当に……いや、男の頃の雰囲気と今の雰囲気で混じって見てるだけで死」
「おーい?おーい!」
≫134二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 14:18:57
テイトレ
「足が痛まないかって?ん…正直傷跡が痛む時はある…だけど、貴女と話している間はそんな事忘れるんだ…もしよかったら、こんな俺でいいならこの後も一緒にいてくれないか…?」
サトトレ
「…僕なんかでよかったの?…そっか、そんな風に思ってくれてるなんて嬉しいな…君に楽しんでもらえるように精一杯頑張るから…どうか、僕を信じてくれるかな?お嬢様…」
カフェトレ(義)
「こうやって誰かに車椅子を押してもらうのは久しぶりだなぁ…実は僕ね、怪奇現象に好かれやすいんだけど今そうなったらどうする?…ははっ守ってくれるの?ありがとう…じゃあお姫様のことは僕が守るよ」
≫163テイトレはえっちなのでは?21/11/18(木) 14:48:13
お…お待たせ、選んでくれてありがと…テイトレです。
この衣装?フジキセキの勝負服…格好いい衣装だって言われたのに…いや格好いいけどさ…その…む、胸元が…
…そんなガッツリ見んなよ!恥ずかし…い。見んなって…み、見ないでよ…
ほ、ほら!メニュー何頼む!?料理上手い組が作ってくれるから全部美味しいぞ!俺のおすすめはこのアフタヌーンティーセットでさ!フラトレが監督してるやつで凄いちゃんとしたやつで…
え?な、何も隠してないぞ!メニューはそれだけで…う、うぅ…分かったよ…はいこれ…
別にいらないだろ?俺にコスプレさせたり…あ、あーんのサービスとか膝の上に乗るとか…ほら!めっちゃ高いしさ!早く食べる物選んで…
…えっ?サ、サービスの方上から全部…?や、止めといた方がいいって!高いしそんなん全然面白くもなんとも…ま…待って…お願い…頼まないで…やめてよぉ…
≫171王子様になれない教官ちゃん21/11/18(木) 15:02:10
王子様喫茶なるものをやっているらしい。前提として身麗しいウマ娘の中でも特に風体の良いウマ娘が、それぞれ王子を名乗り来客したお姫様を接待するという催しであり、昨今ウマ娘化したトレーナーも王子様側で多く参加していることもあって盛況なのだとか。
実際お昼を回り練習の時間になっても現れる生徒の数はかなり少なく、なるほど競争バと言えども年頃の乙女、そういった欲求はあるのだなあと教官ちゃんはしみじみ思ったのである。
しかしそれは裏を返せば、そういった欲求を抑え貴重な機会を返上してまでターフに現れる生徒もいるという訳で、そんな彼女等の面倒を見るために教官ちゃんはこの場にいるのであった。
しかしまあ、と。
誰にも見られない所で、教官ちゃんは物憂げに瞳を薄める。
王子様喫茶。良し悪しで語るのなら間違いなく『良い』催しである。王子様の接待によるストレス解消はもちろん、多くのウマ娘の憧れである優駿達、並びに中央の優秀なトレーナーと触れ合える数少ない機会であり、今後のモチベーションに繋がったり、新たな人脈を築ける可能性すらある。トレーナーのいないウマ娘にとって良い機会で間違いない。
───だからこそ、この場にいるようなウマ娘にこそ、行って貰いたいのだが。
この場にいるウマ娘の大半は『もう余裕のない』競争バだ。王子様喫茶で楽しめるような生徒達とは違い遊んでいる暇がない。ひとつでも多くの勝利を、少しでも速い脚を得なければ中央トレセンにいられない者達だ。
ターフを駆ける横顔は必死で、張り詰めていて、沈痛としている。それに対して教官ちゃんは何も出来ない。教官ちゃんは教官であってトレーナーではない。教官ちゃんはあくまでみんなの教官ちゃんである。あちらから頼られない限り、教官ちゃんは教官の範囲でしか行動できない。
また既にトレーナーを得ているウマ娘に助言する訳にもいかない。それはそのトレーナーを選んだウマ娘への侮辱に等しい。
何より、
(───『どうせ勝てないのだからさっさと諦めて、別の夢を探せばいいじゃないか』なんて。言える訳……)
思春期の一時をレースへの情熱で燃やすウマ娘達。報われない努力と時間がもたらす虚無を知るものとして、教官ちゃんはしかし、何も言うことは出来ない。
ただ、どうか彼女達の未来に幸あれと、笑顔で祈るしかない。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part465【TSトレ】
≫24二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 15:59:53
マルゼンスキー「月が綺麗ね……」
マルトレ「まんまるで手が届きそうなくらいだ」
マルゼンスキー「……やっぱり冬は空気が澄んでるから綺麗に見れるわよねぇ」ガタガタ
マルトレ「それもあるし、やっぱ一人より二人で見た方が綺麗に見えるんじゃないかな」
マルゼンスキー「………また見たいわねぇ」ガタガタガタガタガタガタガタガタ
マルトレ「いつでも見れるよ」
マルゼンスキー「………わぁいうれぴー♪」ガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタガタ
マルトレ「ん、寒い? ちっちゃくて悪いけど俺のコートでも羽織ってくれ」
マルゼンスキー「……私死んでもいいわ」
マルトレ「どうしたんだ!?」
≫40星を観る教官ちゃん21/11/18(木) 16:33:51
これまでの生涯で刻んできた皺は取り上げられ、たまごのような瑞々しい肌に張り替えられて。かつての私を思わせるモノはほとんど残っていない。だからこそ中央のトレーナーから『お前は○○だろう』と言い当てられることなく教官ウマ娘『ハルイカヅチ』として活動出来ているのだが。
しかしそれでも、たったひとつだけ、私が私であることを証明する器官が残っている。
黒い瞳。暗い瞳。光を映さない瞳。
それこそが私の証明で、私の愚かさの現れである。
才は光だ。
走るにしても、導くにしても、優れたそれらは星に等しい。目映いばかりに輝く星は多くの希望を背に乗せて、流星のように迸る。
太陽がいたのだ。
放射される陽光。遍くに降り注ぐ暖気。あまりに大きく、偉大な星が。
それに手を伸ばした。愚かにも蝋細工の羽で飛翔した。地上でただその光を甘受するには、私と太陽には因縁がありすぎた。かの理想は、トレーナーの完成形の一種は、私にとって理想であると同時に一方的な◾️◾️◾️だった。
そうして、見詰めて、見詰めて、焼かれて、爛れて、溶けて、墜ちて、潰れた。
それだけの話だ。そうして黒くなった。それだけが今の私が私であることを証明する。
今日も私は星を観る。
無敗三冠、遅咲きの英雄、トリプルティアラ。素晴らしい! なんと目映いことだろう。太陽の下で、超新星はさらにその輝きを増すのだ。
彼等の栄進を祈らずにはいられない。どうか中央の門戸を叩くウマ娘に善き道を示す星でありますように。
まあ、光のない私では導けないのだから、祈るしかないという話なのだが。
何かお手伝いできることがあれば、何でも教官にお申し付けくださいであります!
≫49二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 16:49:02
『今日は綺麗な星空が見える』──そう、同室のアドマイヤベガに教えてもらったカレンチャンは、お兄ちゃんを連れてトレセン学園近くの公園に来ていました。
「うわぁ……。本当に、雲一つない満天の星空だね、お姉ちゃん」
「そうだね、お兄ちゃん♪」
季節はもうすぐ冬、流石に寒さが堪えるのか身を寄せ合いながら、二人は公園の椅子に座り夜空を眺めています。
「あれがアルタイルで、あれがデネブ、それで、あの一番綺麗な星が……」
『アヤベさんから教えて貰ったの♪』、夜空に指を指しながら、少し得意に語るカレンチャン。
お兄ちゃんは、その話をじっと、柔らかな笑顔で聞いていましたが、ふと遠い目で星空を見ると、ぽつりと呟きました。
「……お姉ちゃんも、あんな風に、空からカワイイで皆を照らすのかな?」
「えっ?」
お兄ちゃんにしてはロマンチックな例えに、カレンチャンは思わずお兄ちゃんみたいな反応を返してしまいます。
でも、考えてみればお兄ちゃんには、そういうところがある気がする。そうでもなかったらあの日、『夢はお姫様かな?』なんて聞かないだろうし。
そう考えたカレンチャンは、少し嬉しくなりました。お兄ちゃんは昔と変わらずここにいる。それが分かったからです。
「ふふっ、そうだね、お兄ちゃん。カレンは宇宙一カワイイカレンになるからね?」
お兄ちゃんと一緒なら、そうなれるから。カレンチャンはどこか楽しげに、そう言葉を返します。
「うん……だから私も──カレンの傍にいれる存在に、お姉ちゃんに釣り合う"星"にならないと……」
「お兄ちゃん……?」
しかし、変わらずカレンチャンの方ではなく、ただ星空だけを見つめるお兄ちゃん。そこから返ってきた言葉を聞いたカレンチャンは、少し身を震わせます。
……この震えはきっと、夜の寒さのせい。そう言って、カレンチャンはただじっとお兄ちゃんに寄り添いました。門限の時間が来るその時まで、ずっと。
うまぴょいうまぴょい
≫56二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 17:13:22
☆←これの話
「星ねぇ。自分は年中見てるんだよね」
「オゥ、ウソはダメでーす!トレーナーさん、そんなロマンチックな人じゃありマセーン!」
失礼が過ぎる担当、もといマイシスターである。
「これでも嘘なんかついてないんよ?タイキ」
「でもでも!『月を見るより花を見るより。酒をさかなに酒を飲む』ってトレーナーさん言ってまシタ!」
「懐かしい我が格言。でも星は別なんだって」
「……もしかして、リドルですか?」
「まぁそれに近いね。じゃあヒント、むしろ日中の方がよく見てる」
「ハハ~ン?トレーナーさん!さては太陽のことデスネ?」
「……ファイナルアンサー?」
「イエス!ファイナル・アンサー!!」
「違う」
「ホワッツ!?」
「……タイキ。その頭につけてるのと髪留めの緑色のはなにか言ってみ」
「……ワオ☆」
了
多分タイキの左耳にある耳飾りは✨こういう形の星か、もしくはコンパスローズの形をしている
≫67二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 17:24:49
「…天体観測?」
「はい、トレーナーさんと行きたいなって思いましたので」
ーーーダイヤとサトトレの二人は夜、天体観測をしないかと話しあっていた。
「いいけど…なんでかなダイヤ?」
サトトレは彼女が誘ってきた理由が分からず、思わず聞き返してしまう。
「もう、トレーナーさん、今日が何の日か分かんないですか?」
少し頬を膨らませたダイヤに、慌てながら考えたサトトレは少ししてから思い至った。
「…ああ、ニュースで流星群が降るって言ってたね。忘れてた。」
「そうです、気づくのが遅れたトレーナーさんには、後で罰として着せ替えに付き合ってもらいますね。」
「う…ダイヤ、ほどほどにしてね…」
あの後、午後は着せ替え人形にされて顔を赤くしたサトトレは、日も暮れた夜、ダイヤと二人で遠くにきていた。
「…ダイヤ、もう少しこう…手加減して…」
「いやです。トレーナーさんがかわいいのが悪いんですよ?」
…そんな今のサトトレだが、何故か十二単のような服を着せられており、織姫のような姿をさせられてたのだった。
隣には合わせたのか彦星のように和装を着こなしたダイヤの姿が。自己主張の激しい胸を除いてよく似合っている。
「七夕ではありませんけど、星を見るとのことなので折角だからこうしてみたいんです。」「ダイヤがいいならいいけど…。それより、そろそろ見える頃合いかな。」
敷いてあるシートに二人で座ると、星の輝く夜空を見上げる。光のない地上から眺める星々はいつもよりも綺麗に輝いていた。
「都市では絶対に見れない光景だね。」
「そうですね、きれいです…。あっ!」
ダイヤが声を上げた同時に僕も気づく。夜空を一筋の光が駆け抜けていた。
「流れ星だ。」
「お願い事しましょう!」
流星は、最初はポツポツと、徐々に数が増えながら流れていく。二人は手を合わせると祈るように星に願いを捧げた。
「…ダイヤ」
「…トレーナーさん、綺麗ですね…」
二人で目を開き、手を繋ぐと光る天球を眺める。輝く恒星も、流れる流星もよく見える。音のない静かな時間を過ごす。
(少しでも多くの人に、光が届きますように。…って、ちょっと恥ずかしいかな。)
ーーー織姫と彦星は二人夜空を眺めていた。
≫87二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 19:07:36
「ねぇトレーナー!空を見て!とってもマーベラスな星空だよ☆」
「わぁーほんとだー雲ひとつない満天の星空ー、マーベラスな光景だー」
「こんなにも暗いて広いのに!こおんなにも光が未知満ちてる!世界はマーベラス★だね」
「こんな風にして見れるのもそれはもうマーベラスなことなんだねー☆」
「そして闇夜の中明るく輝くお月様もマーベラス☆まるでトレーナーみたい★」
「え!?へへへー、それじゃあマベは太陽だねー☆明るくみんなを照らしてくれるー」
「「マーベラス」」
――マベが太陽なら私は月だ自分だけでは光り輝けないけどマベのおかげで暗い夜空を彩れる
≫90二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 19:12:42
「あっあれ!」
「うわっマジだ」
「ブラトレ、どんな願い事した?」
「そうだなー、『ブライアンの渇きがいつか満たされるように』って感じだな」
「ふーん、いつも通りだね。俺は、『いつまでもテイオーが前向きに走れるように』って感じ!」
「テイトレも担当のことじゃねえか。まあ、トレーナーってそういうもんだろうな」
「みんな、担当と一緒に同じ夢を目指して駆け抜けたんだもんね」
「おぉ、お前らも流れ星見たのか」
「フクトレにマクトレか。……まあお前らも同じだろうな」
「そうですわね、マックイーンのことに関して願っていましたわ」
「……まあ、俺もそうだな」
「あー!微妙に照れてる!めずらしー!」
「写真撮ってフクキタルに送りつけたろ」
「おいアホどもやめろ!結託するな!マクトレも止め……」
ピピッカシャッ
バシッ
カシャシャシャシャシャシャシャ
「お前らァ!テイトレは連写してんじゃねえ!」
≫94二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 19:24:47
星を見るグラトレ(独)とグラスワンダー
「……良い星空ですね〜」
「そうだね~、ちょっとした遠出だけど……出掛けて正解だったよ」
「ですが、トレーナーさんは何処でこんな場所を知ったんですか?」
「…………道に迷って」
「……あ、はい」
以前道に迷った時に見付けた、天体観測に良さそうな山の広場、そこでグラスと二人っきりで天体観測と洒落込んでいる。
……だけどそれとは別に、二人っきりになってグラスに確認したい事が有った。
「グラス……ちょっと聞きたい事が有るんだけど良いかな?」
「聞きたい事……ですか?」
「うん……俺はこんなに姿が変わってもさ……それでも俺はグラスの星で居られているのかな……って思ってね」
「…………私の星で居られているか……ですか?」
「うん、ちょっとした確認……俺はちゃんとグラスの星として振る舞えているのかなって」
「不安なんですか?」
「……そうだね、ちょっと不安なのかも」
「大丈夫ですよ、私のお星様は私の横でちゃんと見守ってくれています」
「……そっか」
「トレーナーさんの方こそ、私はトレーナーさんのお星様になれていますか?」
「大丈夫だよ、俺のお星様は俺の横でちゃんと歩いてくれているよ」
「……ふふっ」
「ごめんね、ちょっと確認したかったんだ」
「この様な事態ですからね不安になるのも仕方無いですよ」
「でも良かった、まだちゃんとグラスの星になれてるんだって分かって」
「ええ、大丈夫ですよ……どれだけ姿形が変わっても、私のトレーナーさんはお星様で居てくれています」
「…………うん、ありがとうグラス」
「こちらこそです、トレーナーさん」
そこで会話は終わりましたが、静かだけど暖かな天体観測を二人は寄り添いながら続けましたとさ……
≫100二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 19:38:26
義カフェトレ「黒カフェ!」
黒カフェトレ「義? そんなに慌ててどうしたんですか?」
義「カフェに高タンパク食べさせたい!」
黒「え? ま、まぁ義くらいの料理上手が言うことなら従うよ」
義「違う! カフェの走りは末脚だけじゃなくて!四六時中見ていたい!」
黒「???」
義「あとカフェの生足もたまには見たい!」
黒「本当どうしたの!?」
怪異「ククク俺は怪異・担当への欲望しか喋れなくなるオバケ! これは宣戦布告だ……学園を混乱に陥れてやる……ちなみに欲望ビームを担当ウマ娘に当てるとトレーナーへの欲望しか喋れなくなるぞ」
黒「んな!? お前みたいなのケツパンチでって……足速!?」
怪異「フハハハハー! ケツパンチも除霊キックも天敵だからな! 逃げさせてもらうぜ!!」
≫108二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 19:44:36
『起きてるか』
ヒシアマにチャットを打つ。
『こんな時間にどうしたんだい?』
『さっきテレビで言ってたんだけど、流星群が見られるって。この時間なら窓からでも見えるかもって』
俺はウマ娘になっておかしくなったのかもしれない。以前なら……、そこまで星に興味はないし、たまに見上げる程度だった。ましてや人と見ようだなんて。……綺麗なものはヒシアマと一緒に見たいなんて。
『一緒に見ないか?』
通話に切り替える。
「そろそろ頃合いだけど、ヒシアマは見える?」
「まだ流れない星しか見えないね。──あっ!」
ヒシアマの声と同時に気づく。
「流れ星だ!」
2人で見つけた流星を皮切りに、星は次々に流れていく。
「きれいだねぇ」
「きれいだなぁ」
しんと静まり返る中、感嘆のため息が漏れる。
「ヒシアマは何を祈った?」
「そりゃ、もちろん、いつも通り大切な奴らの健康さ!そういうアンタは何を祈ったんだい?」
「俺はヒシアマの健康を祈ったよ。ヒシアマは自分のことは祈らないだろうから」
「……へぇ、見抜かれてたってことかい」
「ヒシアマの活躍も考えたけどさ。これは祈るまでもないだろ、俺たちでつかみ取れるんだから」
星が降らなくなるまで、共に夜空を眺めていた。
「くしゅん!」
「トレ公?今日は冷えるから、温かくして寝なよ。せっかく健康を祈ったんだから、風邪ひくんじゃないよ!」
「はーい」
≫121二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 20:08:56
怪「喰らえ!欲望ビーム」
タマトレ「グワァァァァ!!!」
怪「さぁ!貴様の担当に対する欲望を解き放つんだ!」
タマ「トレーナー!しっかりするんや!」
タマトレ「いや、タマに欲情とかピーーーーーーーーピーーーーーーーピーーーーーーーーーーーーー」
≫123二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 20:11:19
[ニシトレと夜空]
「いやぁ星が綺麗だね。ニシノ。」
ニシトレがニシノフラワーに話しかける。
「はい。綺麗ですね!」
二人は星を眺める。
「いつ見てもこの夜空は変わらないなあ。綺麗な物はいつまでも見ていたくなるね。」
「そうですね。私もずっと見ていられます!」
その時、流れ星が流れる。
「あ、流れ星ですよ!お願い事しないと!」
「あ、ホントだ。」
ニシノフラワーが急いでお願い事をする。
「…やっぱり流れ星はあっという間に消えちゃうね…。ところで何をお願いしたんだい?」
「レースの事だったり、皆さんの事とか……」
「なるほど。いいお願い事だね。」
「ところでトレーナーさんは何かお願い事しましたか?」
「ん?俺?俺はね、ニシノフラワーをしっかり支えられますようにってお願いしたよ。」
「私の事を?」
「うん。俺はトレーナーとしてニシノを支えながら二人三脚で頑張っていきたいから。」
「えへへ…なんか私の事を祈られると照れちゃいますね…。」
ニシトレとニシノフラワーはお互いに顔を合わせて微笑んだ
「さて、そろそろ戻るかい?」
「もう少しだけ…いいですか…?」
「うん、いいよ。時間だけには気をつけてね。」
そうして二人は夜空の下、空に輝き続ける星を眺めていた。
≫127二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 20:14:11
「おーいブラトレ、大丈夫ですか!?」
「おっと黒カフェか!俺はブライアンの激烈な差し足が最高に最高だと思うんだが!」
「ああああああああもう被害にあってる!」
「なんだ、カフェのトレーナーか」
「ブ、ブライアン……あなたは大丈夫なんですか?」
「ああ、私はこいつの今の頭の高さが手を置きやすくて助かる」
「んんんんんんんんこっちも駄目だった!せめてどっちに行ったか分かりますか!?」
「でも俺は野菜を頑張って食べるブライアンも最高だと思う!」ビッ
「こいつの料理は最高だぞ」ビッ
「人間の言語能力の敗北を感じる!でも指さしありがとうございますね!」
≫179二次元好きの匿名さん21/11/18(木) 20:53:14
「マルトレ! ぜぇ、ぜぇ」
「黒カフェトレどうしたん? そんな息切らして。あ、スポドリあるけど飲むか?」
「ありがとう……変なの来なかった?」
「いや? マルゼンスキーとトレーニングしてたけど見てないな」
「その、怪……不審者が彷徨いてるみたいな話が出てるから気をつけて欲しいんです」
「それは危ないな。おーいマルゼンスキー!」
マルゼンスキーがコースから戻ってくる。
「不審者が出たらしい。安全の為に今日のトレーニングは終わりだ。一旦トレーナー室に避難してクールダウンしよう」
「わかったわ。いやねぇ変なのがで」
「油断したなヴァカメ! 欲望ビーム!!」
三人に向けビームが放たれる。避けようとしてすっ転び結果的に黒カフェトレはビームを回避した。
「きゃっ!?」
「うおっ!?」
「ふ、二人とも!?」
「マルゼンスキーに尻尾の毛編んでもらうの好き」(何だあの光は何が起きた?)
「トレーナーちゃんを食────ガリッ」(びっくらぽ)
「えっそれ編んでもらってたの!? じゃない! 待てこの迷惑不審者!!」
「……マルゼンスキーは最強」(何だこれマジで)
「……………」
「マルゼンスキーのくちびるつやつや」(口噛んだみたいだけど大丈夫か?)
「………」(うなづく)
≫185海岸って何?って人は育成してね21/11/18(木) 20:55:38
「綺麗だねー」
「そうだね、トレーナーさん。街の中だとここまでのものはまず見えない」
「グラトレちゃんにいいとこ教えてもらって良かったよ」
「本当に、……ふふっ」
「フジ、今何か余計なこと思い出したでしょ」
「大したことじゃないよ……星で海岸のことを思い出しただけ」
「あーっ!やめてって!」
「と、トレーナーさんマフラー一緒に使ってるから、いきなり立つと、く、首が」
「あっ、ご、ゴメン」
「大丈夫だよトレーナーさん……ここまで慌てる貴方を見られたのはちょっと役得かな?」
「もう……あれは赤っ恥なんだから掘り返さないで……おじさんなのに年甲斐もなく張り切っちゃって空回りした挙句盛大に失敗するって……ああもう……」
「トレーナーさんの気持ちの方が大事だから、成否に関しては重要じゃない。私にとってはとても大事な思い出だよ」
「まーたそういう歯が浮くことを簡単に言う……そりゃフジにとってはそうかもだけどさ……」
「それにすぐ赤くなるトレーナーさんも可愛くて素敵だから問題なし、ってね」
「ちょっとぉ!」
シャーッ(背をすっと伸ばしながら)
「カムちゃんもそうだって」
「カムちゃん!?」