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このページは「おれバカだから言うっちまうけどよぉ…」スレに投稿されたSSをまとめるページ(スレpart516~520)です。
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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part516【TSトレ】
≫79二次元好きの匿名さん21/12/01(水) 08:19:35
『当たらなければどうということはない』
「あの、一つよいでしょうかバントレ先生」
「はい、なんでしょうか」
こつりこつりと足音響く、トレセン学園の空き教室。ここでは十数人のウマ娘が、バンブーメモリー担当トレーナー主催の勉強会に参加していたのだが……
「先生はなぜ赤い彗星の仮面をかぶっているんですか」
「ふむ?それはですね、最近マルトレさんから頂いたからですよ」
「いえ、取得経緯を聞いてるわけではないです先生」
今日のバントレの仮面は、赤い人のものであった。
「そうですね、では一つ問題と行きましょうか」
「えっ、あっはい。……えっ?」
当惑する生徒たちを余所に、バントレはゆるりと話を続ける。
「なぜ、私はこの仮面を被っているのでしょうか?この仮面の持ち主が誰であったかを知っているあなたであれば、きっと先生が何を言いたいかわかると思いますよ」
「……えーっと、『当たらなければどうということはない』……ですか?」
「正解です!」
口元しかわからない仮面の都合表情は伺いにくいが、それでもこの変な仮面の奥には笑顔が広がっていたことだろう。
「では先ほどまであなたが解いていた問題も見せてもらいましょう」
「あっはい」
「ふむふむ、こちらも正解ですね。公式もしっかりと使えているようです。この後は応用も増えてきますので、基礎はしっかりと覚えておきましょうね」
「あ、ありがとうございます?……えっ、結局どういうことですか?」
「そうですね。言ってしまうのであれば、問題も機体も『当たらなければ(撃墜)点にはならない』ということですかね」
「……先生って結構ロボ物が趣味だったりします?」
「ええまあ、そうかもしれませんねぇ」
くすくすと笑うバントレ。
この仮面さえなければ普通に美人さんなのになあ、と教室にいた生徒の全員が思いながらも、口に出すことはしなかったのであった。
仮面の人から無理に顔を割ろうとする者は、往々にして碌な目に合わないものであるからだ。
≫85二次元好きの匿名さん21/12/01(水) 08:25:26
カタカタカタ…
「…」
「…キタトレ、まだやってるのかい?」
…キタトレのトレーナー室で、ノートパソコンを叩くキタトレにサトトレは声を掛けた。顔を外さないままキタトレは答える。
「そうね、まだプランが作れてないのと提出する書類が多いのよ。」
「もう23時をまわってるのにまだする気かい?」
「平気よ、エナドリとかはまだ使わなくても済んでるしし、睡眠時間も一日4、5時間は最低限確保してるわ。」
「オーバーワークな気がしないでもないけどね。マルチタスク出来るとはいえ、それでも結構抱えてるんだし。」
「トレセンで色々すると決めた時点でこれくらいは覚悟してるわ。そもそも前からこの量ならこなしているわよ。」
「あー、そういえば何件も抱えてたね。なら平気か…。…それで、キタちゃんと僕を擁するチームトレーナーは今後どうする気?」
「勿論このまま続けるわよ、私は私の理想のために心血を注ぐのだから。」
「徹頭徹尾自分のためで、他人のためになることだね。分かりにくいって訳じゃないけど、そこはキタトレらしいというか。」
「貴方はすぐに分かってくれるわね。」
「何年付き合ってると思ってるのさ、貴方の行動原理くらい読めなかったらお話にもならないよ。…大きくなったキタちゃんだから(小声)」
「さらっと私のことを言ってるんじゃないかしら?」
「別に何も言ってないよ?」
「…ふふ、私に対しては遠慮なく振る舞うわね。その調子なら巷でいうクソガキエミュとか出来るんじゃないかしら。」
「え、やだよ。ダイヤにでも頼まれない限りは流石に…」
「あら?なら今度そういう話をダイヤちゃんに振っておくわね。」
「やめて、お願いだから。」
「冗談よ、友人が年下に喰われるのを進める気はないわ。とはいえ手遅れだと思うのだけど。」
「…。まあ、もうすぐ0時だし終わらせて寝たらいいと思うよ…」
「そうね…」
結局、それから灯りが消えたのは随分後のことであった。
短文失礼しました
夜遅くに話す二人です。真面目に考えて書いてみるとトレーナー職、ことチーム勢とかがどんどんブラックに…
キタトレの本質というか根っこはキタちゃんと変わらないので、ガワこそ胡散臭いお姉さんですがその実只の甘い人って感じです。
…サトトレからのでかくなったキタちゃん呼ばわりはそういう事です。逆にサトトレもダイヤちゃんの意志の堅さは引き継いでますし。
≫89二次元好きの匿名さん21/12/01(水) 08:54:40
仮面(お面)ネタはいくらでも転がってるからな……パッと思いついたのでも
『デクナッツのお面』
「う……うぅ……うああぁぁ!」「せ、先生ーッ!」
「……まあ何事もないんですが」「ですよね」
「仮面を着けて変身、なんて李徴じゃないんですから」「先生、あれはむしろ着けきれなくなった結果では?」
「お、いいツッコミです。マルをあげましょう」「やったぁ」
『石ころのお面』
「……」「……先生、隅っこでじっとしててもダメです。あと先生だけですよ」
「ダメですか」「はい。早く外してください、写真が撮れませんから」
「うう、恥ずかしい……なぜ素顔を……」「頻繁に変わる仮面じゃ本人確認できないでしょう」
『ムジュラの仮面』
「では、"月がきれいですね"の意味を答えて下さい」「I love youです」
「正解。一般に創作であるとされます」「(……なぜその仮面で月の話を……?)」
さくせん:からだだいじに
競技者でアイドルな生徒たちもそうだけどトレーナーも体が資本だからね
勿論言うっちまうの皆もね! 風邪ひかないようにね!
≫155二次元好きの匿名さん21/12/01(水) 12:07:56
『竹取の話~思いついただけともいう~』
「というわけで、五つの難題ということで世間一般には通っていますね。技術的に発展した現代であれば時間を掛ければ作れたかもしれませんが」
「そりゃ今の時代ならそれっぽいものは作れるかもしれんが、無理なもんは無理だろうな。常に光り輝く鉢とかどうやれと」
「しかしながらよく思いつくものですわね、そういった作り話……というか伝承をポンポンと」
「割とかぐや姫は教養人であったと考えることもできるでしょうね、元々おじいさんとおばあさんがそれなりの身分だった可能性もありますから」
「と、いいますと?」
「原文におけるおじいさんの名前、知ってます?」
「あー、なんだっけ……竹取の翁」
「それはそのまますぎるでしょうに。さぬきのみやつこではございませんでしたか」
「正解ですマクトレさん。では『みやつこ』ってなんでしょうか?」
「……それは知りませんわね」
「なんかの役職か?」
「お、ブラトレさん正解です。みやつこ……『造』と書くのですが、こちら上代の姓、つまるところ為政者のための苗字ですね。まあそもそもそういう部分を詰める場合はっきりとした姓名を持っている、ということ自体が身分のある人物であったという証明ともいえますが」
「あぁ、それもそうですわね。考えればあの時代、為政者以外にははっきりとした性はなかった気がしますわ」
「となると隠居老人のもとに赤子が現れたってわけなのか」
「流れとしてはそうなるでしょう。まあ可愛い可愛い娘のようなもの、教育するにもあの時代であればお付きの人が行うでしょうし、そのための資金も問題なく捻出できました。そう、竹の中の黄金ですね」
「あれ食費のためだけじゃなかったんだな」
「私たち基準じゃありませんことよ」
「……ということはもしかして、男のあしらい方を教え込んだのはその教育をした人か……?」
「そのあたりになると完全に憶測推測の域に入ってしまいますので正確とは言えませんが、まあそうでしょうね」
「だいぶ悪知恵というか機転の利く方だったのですわねぇ」
「にしたって竜の首の玉だの蓬莱の珠の枝だのサラッと海外に飛ばしたり殺しにかかってるの多くない?」
「あの時代で言ってしまえば帝様以外の存在は有象無象程度ですから、一番良い人を選んで欲しいのは親の道理でしょう。それにほら、挑戦自体は自己責任、ですからね」
「コワ~……」
156二次元好きの匿名さん21/12/01(水) 12:08:07
「まあ結局のところ姫は宇宙人だったわけですが」
「結論はそこに行きつきますわよね」
「あの時代で月から人がやってくる!ってわかってるの凄くない?」
「月に大地がある、月は単なる目に見えるだけの存在ではない……そういった考え方に至っているのは中国の仙人という存在も大きいでしょう」
「え、そこでなんで仙人ですの?」
「宝貝!」
「それは歴史小説ではありませんわよブラトレ」
「私は哮天犬が好きですね。まあ脱線はほどほどにしておいて……月には何がいるといわれてましたでしょうか」
「ウサギだな。まあこれは国によって違うらしいが」
「そうですね、うさぎがいるとされています。ですが中国においては仙女がいたという伝説があります」
「……ほう?」
「名を嫦娥、不老不死の薬を飲んだ後に月に隠れ住んだ仙女です。そしてその月には月宮殿なるものが存在しています」
「あぁ、不老不死、だから月の使者が持ってきたのは不老不死の薬でしたのね」
「おそらくはそういうことでしょうね。これも私の勝手な憶測交じりなのであまり言いふらされても困りますが」
「まあ解釈違いなんていくらでも転がってるだろうからな」
「昔の文献ですから、失伝せずにでこれだけ残っているというのも浪漫というものでしょうね」
「解釈違い……いや、このワードで思い出すのもどうかとは思いますがバントレはあの割合碌でもない本の話は知ってますの?」
「ああ、知っていますよ。執行部の仕事ですから」
「……もしやあのすごい厳ついマスク用意したのって」
「私とロブトレさんで一緒に作っていましたね。人数分作るのはなかなか大変でした」
「いやあれ怖いんだが?のそのそ歩きまわってた姿を見てマルトレが腰ぬかしかけてたけど」
「それぐらい威圧感を与えるのが目的ですから」
「……やっぱコワ~……」
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part517【TSトレ】
≫99キントレの人21/12/01(水) 16:37:53
キングヘイローとトレーナーはその日、シニア有マ記念を勝利し、足の具合を確認しつつも休みにもかかわらず並走をしていた。
- トレーナーと並走するという字面がおかしいと思うかもしれないが、ここトレセン学園ではもはや日常茶飯事だ。
ここ中央トレセン学園ではもはやトレーナーがウマ娘化する珍事件は珍しくもないというのが現状である
理事長が頭に乗せた帽子を猫ごと抱えながら
「諦念!!もはやここに就職するトレーナーはウマ娘化する危険アリとの警告を出すべきなのだろうか!?」
などと言って猫とともに「うなー!」しているのをたづなさんが必死こいてなだめつつもなんだかんだ適応能力が高いトレーナーの面々は担当ウマ娘との日常を過ごしている。
一部やべえ関係の方々がいるがここでは省略するとして、キングヘイローのトレーナーもまたキングヘイローがクラシックの時点でウマ娘化しつつもキングヘイローを一流にすべく自らのウマ娘化すら利用し、ウマ娘化するとありがちな走りたい欲求すらもキングとのトレーニングによって発散する一石二鳥で解消している。
尚他のまだウマ娘化していない新人トレーナーがスカウトしようとして撃沈した悲しい事件があったのもご愛嬌
閑話休題、とにかく全距離G1制覇でありシニアの有馬記念を勝利し、誰もが認める王者に多くの記者がキングヘイローにインタビューを求めながらも悪意ある記者は学園側が弾いているため問題はないが、休養が休養にならないと気晴らしに並走をしていたわけだ。
「もうすぐ年が明けて、新しい子達がここに入ってくるわね。」
「そうだな、振り返ってみれば激動の3年だったよ。」
並走が終わり互いにストレッチをする、他愛ない雑談であるが、奇妙な出来事からはや半年、既に適応したこの体は十分に使いこなしていると言えるだろう。
それでも、大した努力もなしにある程度下地のできているウマ娘に転じるのはいささか卑怯な気もしなくはないが、まあ本番レースに出なければいいだけの話だとトレーナーは勝手に自己完結させる
「そういやさキング、さっき思い出したんだけどさ。」
「あら、どうしたのかしら?」
100キントレの人21/12/01(水) 16:38:04
「いや、大した用じゃないんだけども、キングの母さんに娘の面倒を見てもらったお礼がしたいってキング連れて来てって家に呼ばれてるんだけど?」
「ん゛ン゛!?」
とんでもない奇声を上げるキングだが無理もない、以前の有馬記念で一応の親子関係に決着こそつけたものの、かと言ってほぼ昨日の今日で顔を合わせるのは少しばかり気まずいものが・・・いやいやその前にだ。
「何故あなたがお母さまに呼ばれるのよ!?」
「いやー深い意味はないんじゃないか?それにいい機会だと思うぞ?顔合わせてしっかりと来年の方針も話し合って、ドリームトロフィーに行くか、海外に行くか、どっちを決めるにもまず親には一言言っておかないといけないしな。」
海外挑戦ならば未だに学生のキングヘイローは流石に親に許可なく出発しますは不義理すぎるし、ドリームトロフィーに行くにしたってトゥインクルシリーズの卒業の報告にも行かなければならない。
「まあ、俺も親御さんに面と向かって挨拶するのは今回が初めてだしな、話はしたけど全部電話越しだし。」
「そういえばそうね、本当に、濃い3年だったわ。」
「ま、これからどうなろうが、俺はキングの側で一流のトレーナーを続けていくさ。」
「ええ、存分に頼りにしてあげるわよ。」
因みに、後から振り返って実家に挨拶しに行くことはつまりそういうことなのだろうかと妄想のし過ぎでやっぱりキングの自信以外の何かが壊れたし
何ならいざ親に会いに行ったらトレーナーのあまりにも逸材ぶりに母親が「それで、この娘のデビューはいつなのかしら」と当然のように勝負服のデザインを考え始めた母親にキングはそれを来たトレーナーの姿を考えて再び自信以外の何かを粉砕させつつも生まれてはじめて母親をどこから出したかも覚えていないハリセンでひっぱたいた
≫129二次元好きの匿名さん21/12/01(水) 18:27:08
某日、どこかの温泉にて
「ふぅ…」
少し熱く感じる湯の中に体を沈め、じっくりと休めているのは、くせっ毛を濡らし傷のついた肢体を晒すファイトレ。
「…やはり温泉はいい、人が産み出した文化の中でもトップクラスに素晴らしいものだ。」
いつもキリッとした顔を緩め、柔らかな声で呟く彼女のいる所に入ってくる影。
「いやあー…ってあれ、先客がいるなぁ。」
…ウマ娘になったことで、立派なスリーサイズを手に入れたタイキトレの姿だった。そんな彼女にかかる声。
「タイキトレか…」
「そっちが先にいたんだねー、…自分も入らせてもらっても?」
「構わないとも…」
いつもより蕩けた顔で湯を満喫するファイトレの横に腰を下ろすタイキトレ。熱さも丁度よくすぐに顔をとろけさせた。
「やー、いいよね…」
「最高だな…。ついでに酒の一つでもあれば更に良いが」
「…前も聞いたけどあてつけじゃないよね?」
「ふふ、そんな訳ないとも、こういうときこその風物詩のようなものだからな…」
「ならいいんだけどさ。でも、ここの源泉掛け流しは良いよねぇ。温度も少し熱いけどいいくらいだしさ。」
「そうだろうタイキトレ。源泉掛け流しは自然の恵みを直接味わえるようなものだ。人の手で温かくするのも悪くないが、やはり温泉といえば天然、それもこういう掛け流しが正義だとも。…ああ、本当に温かいな…」
ファイトレの珍しくよく喋る姿に、タイキトレは少し不思議に感じながらも返事をした。
「にしてもさ、そっちもえらく饒舌だね。そこまでなのかい?」
「…温泉は良いぞタイキトレ。ただ湯に浸かるだけのことじゃない。体の傷や疲労、いや精神すらも癒やしてくれる。」
「お、おぉう?」
「しかも体も洗えるだけじゃない。リラックスすることで健康にもいいし、湯に含まれる成分は美容にすら良い。」
「なんかいつもと違わないそちら?」
「かくいう私だがファインと先程入ってからずっと入っている。長風呂というのは存外良いものだよ…」
「…それ、のぼせない?」
「…ふっ、私がのぼせることはないよ。とはいえ、もっと浸かっていたいとはよくよく思うのだがな…」
「ならいいか…っていや、なかなかだね…」
(まあでも、面白い一面も見れたし私が別にどうってことでもないからいいや。)
「「ふぅ…」」
…結局、その後大分長いこと入っていた二人であった。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part518【TSトレ】
≫79二次元好きの匿名さん21/12/01(水) 20:46:11
「あ、はいはい! ウマ娘になってから不器用になりました! 折り紙が綺麗に折れません!」
「そんなズルしようとして、女神様にまたイタズラされても知らないよトレーナーさん」
「だってネイチャ。もうこんなの呪いだよ……なんで何度も経験してるのにちゃんと作れないの?」
「いよいよ三女神様関係ないよねそのちゃっちい呪い」
「ちゃっちいって言わないで! もう勝ってもトロフィー折ってあげないよ!」
「……意外と効くなあその脅し文句……!!」
ネイトレさんは割と真面目にタキオン頼みだと思います。影響は強く受ける割に神様関係ないので
≫91二次元好きの匿名さん21/12/01(水) 20:51:46
トレセン学園の一角にて
「あ、どうもキタトレさん…」
「あら、こんにちはイナリトレ。最近ウマ娘になったみたいだけど、大丈夫かしら?」
…狐の仮面を被って和やかな声をかけるイナリトレと、優しい笑みのまま返すキタトレ。
「…ボクは大丈夫だよ。耳とか尻尾の感覚は勿論、体の一部の重量感にはまだ慣れないんだけどぉ…」
「ふふ、まあそうなるわね。…大丈夫よイナリトレ、こうやって過ごしてたら勝手に慣れるわ。」
「そんなものなのかなぁ…」
「そういうものよ。私が断言するわ。」
「…まあキタトレがそこまで言うならそうなんだろうねぇ…」
イナリトレはキタトレの豊満な胸をちらりと見た後、そう返した。キタトレは変わらずニコニコしたまま、ふと口を開いた。
「そういえば、新しい茶菓子店が出来たらしいのだけど知ってるかしら?」
「あ〜、あの店かなぁ?そこならもう行ったのだけどぉ…」
「貴方ならそういうと思ったわ。でも、そこの栗最中は食べたかしら?」
「…確かに食べてないねぇ。」
「おやつ代わりに買って来たのよ、イナリトレも一つ食べない?」
「う〜ん、なら食べてみようかなぁ。ありがとうキタトレ…」
近くにあったベンチに二人して座ると、キタトレは持っていたバッグから最中を取り出すとイナリトレに手渡した。
器用に仮面をずらし、口元だけを見せて食べるイナリトレ。横で食べているキタトレは
(器用よね…。それはそれとして、イナリトレの素顔は気になるにはなるけど…)
「…?」
キタトレからの視線に気づき、少し首をかしげるイナリトレ。キタトレは軽口を喋る。
「ああ、気にしなくていいのよ。器用に食べるのねって思っただけだから。」
「あ〜、こうやって食べることの方がしっくりくるくらいだから…」
…そう言いながらも食べ終わった二人は、立ち上がると目を合わせた。わずかにキタトレが見上げ形で
「それじゃあ、ボクは用があるから…じゃあね。」
「そうね、また後で会いましょう。」
お互いに微笑みながら別れる。立ち去っていく中でキタトレはつぶやく。
「いつか、彼の素顔を見せてほしいわね。」
…栗最中は試食して思っていたより美味しいと感じたのだった。
≫105後編(下) 1/421/12/01(水) 21:08:02
────3200m走から3日後の昼。
「……おい」
「……おいってば」
呑気にテレビを見ているアイツに声を掛ける。アイツは不機嫌そうにこちらを見た。
一方で俺、カフェトレ(黒)も機嫌が悪かった。なぜかというと……
「なんだよ、僕は今テレビ見てるんだよ。邪魔しないでヨネ」
「確かに上手い話だとは思った、だいたいのことは許そうと思ってたよ……」
「でもさ……3日間筋肉痛で動けなくなるのは聞いてねぇぞ……俺の貴重な有休を返せよテメェ……」
「ケツ、それ言うの何回目?どんだけ根に持ってるのさ。それにケツがやる分の家事や食事の準備、なんなら有休の電話も僕が掛けたんだから感謝してヨネ」
「いや、まぁそれはありがたいけど……でも電話越しにネイトレさんを脅かすなよお前は……」
「あは、それは幽霊のサガってヤツだね。許してちょんマゲ」
あの時とは比べ物にならないぐらい飄々としている、いつも通りのアイツだ。なんだかあれだけ苦労して3200mを走りきったのが嘘みたいに感じる。だが完走していなかったら、こんな酷い筋肉痛には今頃なっていないだろう。この痛みこそが俺が走りきった証拠なのだ。
……そういえば1つ、こいつに聞きたいことがあったのを思い出した。
106後編(下) 2/421/12/01(水) 21:08:43
「そういえばさ、お前……あの時確かに“3時間はもつ”って言ったよな?間違いなく10分も経ってないぞ?どういうことだ?」
「あー、いや。ヤマカンが外れちゃったねー。ケツの空いてる因子は僕のが入る予定だったんじゃないかな?と思ってやってみたんだケド」
どうやらコイツも俺と同じことを考えていたらしい。三女神像で見た幻影、カフェと一緒に走っていったあの青い影。間違いなくコイツだと思ったが……違うのか。じゃあ一体?
……まぁもうどうでもいい、慣れた。どうせ俺は俺なんだ、例えウマ娘の因子が半分しかなくても生きてればそれでいいんだ。
「あぁ……そうか、まぁいいよ。お前のおかげで走りきれたところはあったからな。こんな酷い筋肉痛になるのは聞いてないが」
「僕もまさか3日間も動けなくなるなんて思わなかったって。頑張ったんだね、改めてお疲れサマ」
「ん、せんきゅ……少し眠くなってきたからテレビの音量を下げてくれ」
「おっけ!!折角の有休なんだししっかり休ミナ!!」
久々の強い眠気に襲われた俺は、それに身を任せてゆっくりと目を閉じた。
107後編(下) 3/421/12/01(水) 21:09:24
────────
「……トレーナーさん、居ますか?」
「アレ、カフェじゃん。心配になっタノ?」
「はい……あの、トレーナーさんはどうですか?」
「今ぐっすりだよー、ケツがこんな長時間寝るのは珍しイネ」
「そうですか……今、上がってもいいでしょうか?」
「いいよっ!!今椅子持ってくルネ!!」
「……トレーナーさんの寝顔、初めて見ました……」
「はいっ!!椅子だよっ!!じゃあ僕は散歩して来るカラ!!」
「えっ?あの、あっ……行ってしまいました……」
「………………」
108後編(下) 4/421/12/01(水) 21:10:05
…………トレーナーさん。
私の事を……全部わかってくれる人。
姿かたちが変わっても……ずっと、ずっと。
あの時……私のことを見て、決心した表情になった時……。私は…………世界で1番幸せでした。
……トレーナーさん。優しくて、頑張り屋で、そして……大事な私のトレーナーさん。
「…………これからも、よろしくお願いしますね」
カフェトレ(黒)の3200m走・IF
終わり
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part519【TSトレ】
≫21クリ目チヨタボ赤パルSS21/12/01(水) 23:07:32
日本のトレセン学園におけるトレーナーのウマ娘化は世界に大きな驚愕をもたらした。ある種の一大ムーブメントと呼ぶべきそれは、国内外において様々な影響を発生させた。そして、その中でも特筆すべきなのは、その話題がウマ娘研究者の耳にも入ったことだろう。未だに多くの謎に包まれているウマ娘という種族の根源に迫れる可能性のある話題は、世界中の研究者に火をつけたのだ。程なくして、世界中の研究機関から莫大な物理的・経済的援助をちらつかせた情報開示・研究希望が寄せられることとなる。更に、幸か不幸か盛り上がった世論もこれを後押しする。こうなってはURA・トレセン学園も、首を縦に振らざるを得なかった。
そして今日、国立研究開発法人の主導で開かれることになったのが、ウマ娘化トレーナーの能力試験である。数多のトレーナーがターフを走る中、とある四人のトレーナーに順番が回ってきた。
「緊張してきた…」
「大丈夫、いつも通りなら」
「アレもあるし、走りたくないな…」
「やるからには一着…やるのよ私」
クリトレ眼鏡、チヨトレ、タボトレ赤、パルトレである。それぞれが思い思いの準備をしながら発走の時を待っている。今回のコースは京都レース場芝3200メートル。G1天皇賞春と同じコースである。
『それでは、第○○回の計測を始めます』
機械的な音声が流れた後、ゲートが開いた。遅延なく飛び出した四人は得意な戦法に沿った位置取りをとっていく。
先頭はタボトレ。それを伺うようにクリトレ。少し離れてチヨトレ。そして後方にパルトレ。
レース前半は特に動きはなく、それぞれのペースで走っていた。先ずは様子見と走りの感覚の確認といった所だろう
(うぅ…皆速いなぁ…)
(ここまでは想定通り)
(やっぱり日本の芝は走りやすいわね)
が、レースが折り返し地点に差し掛かった頃、それまで平坦だったレース展開に異変が起こる。先頭を走っていたタボトレの様子が明らかに変わった。今までの冷静さが嘘のようにキョロキョロしている。他の3人が疑問を抱いている中、その瞬間はやってきた。
22クリ目チヨタボ赤パルSS21/12/01(水) 23:08:42
「こ、こ…」
(こ?)
「来ないでぇえええええええええ!!!!」
突如としてタボトレは速度を上げる。それも単なるスパートではなく、全身全霊をつぎ込んだような猛烈な走りだ。みるみると3人との距離を話していく。
(ちょっと正気!?後1200mはあるわよ!?)
(しかもあの速度、無理に追うと潰れちゃう…!)
(これが、タボトレさんの破滅逃げ…生では初めて見ます)
タボトレよわよわモード。強い相手と全力で競った際にウマソウルの性質が強く発現して非常に臆病になった状態だ。この状態でのタボトレは狂気の逃げウマの異名を持ち、彼女と競り合って潰れた相手は多いという。故に3人は競り合いをさけ、自らのペース配分を保っている。
最終コーナーに差し掛かるころには既に10バ身以上の差が開いていた。一見するとセーフティリードのように見えるが、残り3人は脚を使っていない。勝負は最終直線。ここで後方の3人が動き出す
「大分離れたわね…でも、こちとらゴールドカップやカドラン賞を想定してトレーニングしたんだから、体力は十分よ!」
先ず仕掛けたのはパルトレだ。脚の回転数を上げ、前方を猛追し始めた
「クリークと練習したんだ…どうやるかは頭に入ってる!」
パルトレの仕掛けを察知したクリトレも速度を上げて追随する
「このペース…皆さんの位置…しかけるならここ!!」
最後のチヨトレが地面を踏みしめ前に上がっていった
残り400m。この段階でタボトレと3人の差は5バ身を切り、じわじわと距離を詰めている
23クリ目チヨタボ赤パルSS21/12/01(水) 23:09:28
「やああああああ!!!!」
タボトレが後方の3人が迫ってきているのに気付き、ビクッと跳ねながら速度を更に上げた。
「うっそ、まだいけるわけ!?」
だが、それも長くは続かない。流石に飛ばしすぎたのかタボトレの速度が落ち始め、じりじりと後退を始めた。既にトップスピードに到達した3人はこれを追い抜き最後の競り合いを始める。
「くぅ…脚が…」
クリトレが苦悶の表情を浮かべている。事前にトレーニングをしてきたとはいえ、余り走らない方針の彼女ではトップスピードを維持するのは難しく、先頭争いから脱落する。勝負の行方は残り二人に託された
「諦めるもんですか!!」
「_____ッ!!」
競り合うチヨトレとパルトレ。その差は僅か数バ身。終始自分のペースで走っていたチヨトレが先頭に立ち、それをパルトレが追う形だ。
残り、200m。ここで、パルトレの脚が鈍り始める。
「駄目…まだ…!!」
これはある意味予想できた展開である。彼女は本来マイルと中距離を得意とするウマ娘であり、今回のコースは適性の範囲外であった。それがここにきて表面化した形だ。トレーニングですんなりと解消できる程、距離適性の壁は低くない。パルトレは悔しそうな表情を浮かべる。そんな彼女を横目に見ながら、チヨトレが一番にゴールを通過した。
レース結果、チヨトレの勝利
24クリ目チヨタボ赤パルSS21/12/01(水) 23:11:07
第○○回能力試験 京都芝3200m
1:チヨトレ 3:13.8
2:パルトレ 1 ¾
3:クリトレ 4
4:タボトレ 3
その後、互いの健闘を称えあった結果、意気投合し飲み会にいったとかなんとか
~~~~~~~~~~
以上です。どうにかして自作トレ達に接点を持たせようとした男、ス〇イダーマッ!!!
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part520【TSトレ】
≫14二次元好きの匿名さん21/12/02(木) 01:20:48
イナリトレ二人の身長を見て思いついた小話
「……それにしてもだ。ついに私たち全員のトレーナーがウマ娘になったのか」
「まあなるべくしてなった、ちゅうことかも知れんけどな……せや、イナリ、あんた大丈夫かいな」
「んー? タマ、大丈夫ってなぁ何のこったい」
「あんたんとこのトレーナー、二人とも背ぇ高いやろ? 首、疲れたりしとらんか思て」
「そうですね~……タマちゃんのトレーナーさんより背が高いはずですし、大変そうです~」
「てやんでい! それくらい何てこたぁ……あー、無いたぁ言えねぇや」
「どうしましょうか~……いっそ、イナリちゃんの背も伸びればいいんですけど」
「んな簡単に背なんか伸びるかってんだぃクリークよぅ」
「うーん、厚底の靴を履くのはどうだろう? トレーナーの誰かがやってたのを見たんだが」
「いや、あのトレーナーしょっちゅうこけとるやないか。厚底の靴履くんは却って危ないで」
「反対に、トレーナーたちの目線の方を下げる方法を考えてみよか。オグリ、こっちで何か思いつくもんあらへんか」
「……すまないタマ。すぐには思いつかな……ああ、そうだ! 蹄鉄を用意してくれるあの、小さな職人さん!」
「おう、あの御仁かい! 確かにあの乗り物が用意できりゃ、目線を下げながら移動も出来らあな!」
「でも……大人二人が乗って移動する車となると、普通の車になっちゃいませんか~?」
「むむむ……だーっ! もう出ぇへん、今のウチらじゃ対策思いつかへんわ」
「いいってことよぅ。色々考えてくれただけでも、あたしは嬉しいってもんさ!」
「本当にすまない……何かあったら言ってくれイナリ。きっと次は力になってみせる」
「おう、嬉しいこと言ってくれるじゃねえかいオグリ! なぁにきっと大丈夫、心配ご無用ってな!」
「姿形の変わろうったって、このあたし、イナリワンのトレーナーに違いねぇのさ! だから何とかならぁね!」
「……ふふふっ。はい! その気持ちがあれば、確かにきっと大丈夫ですね~!」
(了)
≫42二次元好きの匿名さん21/12/02(木) 08:24:21
トレセン学園、屋上にて
「良い絵が…ってあれ、ファイトレさんかな?」
「!…イナリトレ(画)か、こんにちは。また題材を探しているのかい?」
「おっとこんにちは。…なに、この学園はネタの宝庫だからな。描きたいものには困らんよ。」
「ふむ…まあ色々とある場所だからな。しかし絵か…」
「そういや気になるんだが、ファイトレは絵を描けるくちかな?」
「む、私か。描けない訳ではないって所だ。こと風景画とかは私の中では一番描きやすいものではあるね。」
「ほぉ~、こいつはちょっと気になるな。ちなみに描いた絵って今もあったりするかい?」
「ファインが気に入って家に飾ってたりするのはあるな。確か…」
ファイトレはそういってウマホをいじる。手早くフォトアプリから目的の写真を探し出すと、その端末をイナリトレに見せた。
「…おお!?こいつは凄いな。黒線だけでここまで描けるのか…」
「精々目の前の景色をコピーするだけが私の限界だよ。これでも本物にはかなり劣るさ。」
「いやはや、全然凄いな。昔からやってれば画家を目指す道もあったかもしれんよ…」
「生憎私は既に生き方を決めてあるんだ。…まあ、私があの時、あの場所から飛び出さなければ有り得たかもしれんが。」
「そうかねぇ…」
そこまで会話してから一旦打ち切る二人。もう一度屋上からの景色を眺めた後、ファイトレは提案した。
「所でイナリトレ、昼はまだ食べてないだろう?…良かったら私の行きつけの店に行かないか?私が奢るよ。」
「…いいのか!?そんな義理もないだろうに…」
「ふふ、私がしたいと思っただけさ。美味しいものを食べることは悪いことでもないし、むしろ積極的に共有すべきことだよ。」
「ありがてえ…!」
「おっと、泣くには早いさ。食べてからでもいいくらいだよ…」
その後、ファイトレの奢りで満足するまで食べたイナリトレは滂沱の涙を流しながら美味しいと言っていたらしい。
≫46二次元好きの匿名さん21/12/02(木) 08:31:35
「あれ、先生じゃん何で食堂に?」(塩麹炒め定食)
「病院の食事ですと少し物足りなくて」(秋刀魚定食)
「成る程。そう言う時にちょうどいい漢方があるんでどうぞ」
「?」
つ防已黄耆湯
「マルゼンスキー担当トレーナー?」
「すいませんでした」
≫61二次元好きの匿名さん21/12/02(木) 08:58:32
「先生意外とパワーが、っていうかくすぐったいですって!ギャン!」
「本当に変な声を出す人がありますか。ああ本当に……あの時のウララよりこうも細かったなんて」
「そういえばウララちゃんに抱き上げられたこともありましたね……ところで本当に下ろしてくれません?」
「……そうしないと?」
「晴れ、ところにより塩麹の模様です」
「トレセンは今日も大荒れですね……はい。ランディング」