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このページは「おれバカだから言うっちまうけどよぉ…」スレに投稿されたSSをまとめるページ(スレpart51~55)です。
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目次
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part51【TSトレ】
≫10ガンマギリ頭スズトレ21/09/26(日) 21:27:34『映ろう空模様、陰る朝日』
「…女性らしく、かぁ。」
窓から外を眺めながら、そう呟く。
────兄ちゃん、前より女性っぽくなってない?
妹との電話で言われた言葉だった。
…正直、自覚はあった。
最初から一人称が俺から私に変化してたり、何も感じなかった走ることが楽しくなってたり異変はあった。だけどそれはウマ娘化した影響だろう、で片付けられた、というか片付けた。
男の時より感情の起伏が小さくなったのも、男性から女性へと変化したからだろうと納得した。
でも、着飾った自分を見ても違和感がなくなったのは、いつ頃からだっただろうか。
自分の匂いが気になるようになったのは?
女性らしい柔らかな言葉遣いが増えたのは?
…スズカ以外の走りを見て羨ましく感じるようになってしまったのは?
答えは全部分からない。私が単純に気にしてなかったのもあるけど、最初の変化ほど大きな違和感もなかったのは確かだった。
「…ウマソウル。」
明らかに距離ミスっただろうという3200mレースの後、アグネスタキオンに言われた言葉だ。
曰く、ウマ娘化したトレーナーには何かしらのウマソウルが宿っており、私の変化はそれが人より強い影響ではないか、という話だ。
そして、私は強力なウマソウルが時間をかけてウマ娘化したトレーナーを蝕んだ前例を知っている。
「…私のウマソウルの中にスズカがいるのは少し嬉しいけど…」
作戦はもちろん距離適性まで一致した脚質に、彼女そっくりな整った顔立ち。スズカがウマソウルの要素として大きい場所に存在するのはほぼ断言していいだろう。
もちろん、マクトレと違って毛色が違うので他のウマ娘も絡んでるんだろうけれど。
≫12ガンマギリ頭スズトレ21/09/26(日) 21:28:27≫10
「…っていうか、我ながららしくないなこれ。」
1番の長所は表には出さないポジティブシンキング、私は自分のことをそう考えている。
特にすぐに切りかえて明日を見る力はトップクラスだとも。
なのに、さっきからずっと過去の事を振り返って悲しげに黄昏てるばかり。多分過去の自分に話したら信じて貰えない。
「…もしかして、変わったって分かってしまったから…?」
うちの家族には定期的に電話で近況などを話す「定例会議」なるものがある。
そのため、家を離れたあとも家族は私という人を誰よりも知っている存在だと言える。
…その家族でさえ、私のことを変わったと。ウマ娘に近づき続けていると感じてしまっている。
その事実を、多分私は無意識に恐れてしまっているのだ。
なるほど、納得。ならあとは前を向くだけだ。
「…すぅー…はぁー…」
部屋中の空気を呑む勢いで息を吸い、吐き出す。
そして…
「…ふん!!!」
思いっきり、左腕を指で振り抜いた。所謂しっぺである。
「…っっっったぁ!!!!」
想像を遥かに超える痛みが左腕を通して全身に伝わり、思わず絶叫が口から零れる。
左腕に2本の指でしっぺをし、痛みで嫌なことを吹っ飛ばす。昔から私のポジティブでも飛ばせない問題に直面した時のお約束だった、だったのだが…
「…痛みへの耐性は、上がってなかったかぁ…」
ウマ娘のパワーをなめすぎたし、耐久力を過信しすぎた。
その代償をその身で実感しつつ、思考はやっとこさ、これからの事へと回り始める。
「…スズカのリハビリはもうほぼ完了。走り方も完全に戻ったし、スタミナも十分。いつでも復帰出来る。」
あとは復帰レースをどうするかだ。走りたがりな彼女のため、直近の重賞を調べようとして、右手に着けたブレスレットが目に入った。
「…うん、そうだ。たとえ私がどれだけ変わっても、私がスズカのトレーナーである事は変わらない。」
変わらない、はずなんだ。
空は変化する。変化して、時に日差しをも遮ってしまう。
────日差しの消えた曇天模様を晴らすため、逃亡者は再び走り出す。
≫27二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 21:43:27俺の世界のトレーナーはそういう事になってんだよ!!いい言葉だ…これもそういうことです
トレーナー達を書きたくて書いた妄想垂れ流すね…2レス分
スライド式のドアを開け、すっかり見慣れた部屋の壁にもたれる。
商業施設のそれに劣らず空調や清掃が施された美しい喫煙所には今、ウマ娘である自分しかおらず閑散としていた。と言っても元々この学園は喫煙者が少ない上にその数少ない者もウマ娘になったため最近はいつもの事なのだが。
ここが作られる前は屋根壁もない野外で雨風に吹かれながら吸ってたんだよ、とベテランのトレーナーの言葉を思い出す。より良い指導のためにと建てられたここでゆっくり煙草を燻らせられる事に感謝しかない。
紙巻きタバコを口に咥え火をつけて一吸い。舌で味と香りを楽しみ、肺が重くなる感覚に目を伏せて紫煙をゆっくりと吐き出したところで入り口のドアが開いた。
「お疲れ様でー…ってやっぱいたか」
「お…どうも」
やって来たのは彼の担当によく似たフクトレ。手振りで隣に来てもいいかと問う彼に頷き二人並んで壁に寄りかかる。
学園外だとめっちゃ見られるから最近外で吸いづらくなってさ、と言いながら彼が取り出したのは加熱式の電子タバコ。目を細めて吐き出したポップコーンのような香りの半透明な煙が紫煙と混じり合い、消えていく。
そんな景色を見つめながらぽつりぽつりとたわいも無い話をする。愛バの近況に意見を交わし、また値上がりする銘柄にため息を吐き、最近の学園で起きたクソボケに笑い合うそんな雑談を。
自分は正直、人と話すのは苦手なんだけどフクトレと話しているとその事を忘れそうになる。そう感じるのは口調こそ変わらない彼の隠し切れない姉のような優しさのせいだろう。それを伝えると彼はきっと悲しそうに微笑むから口には出さないが。
そんな事を考えて黙った俺に合わせてフクトレも口を閉じる。無言でありながらも心地よく感じる沈黙。
それに浸りながらもう一服しようとしたその時、静寂を破るようにドアが開いた。
≫28二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 21:44:07「あらやだ奥さん不良がいますわ」
「本当ですわテイトレさん。ワルです、ワルワルです」
開口一番変な言葉遣いでコツコツと杖の音を立てながら入ってきたのはテイトレと、それを気取られないように支えているフラトレ。
「マックイーンのパチモンみたいなの来たな…」
「誰が不良…というか珍しい」
本当に珍しい。テイトレは以前は見かけることもあったが最近は全く見かけず、フラトレなんて吸っていることすら知らなかった。
「いやーなんか久しぶりにキメたくなってですわ」
「そのお付き添いでございまして…」
変な口調を続けながら二人は部屋の中央の灰皿に陣取り、先にフラトレが先にタバコに火をつけて煙を吐く。
仕草の一つ一つが上品な上タバコを取り出すテイトレが転ばない様に腰に手を当ててる。それでいてキザじゃ無いのがすごい。
「ふぅ…どうされました?テイトレさん」
「火ぃ忘れちゃっ…お忘れになりましたわ」
あぁ喫煙者あるある、とフクトレと笑い合いライターを取り出して火をつけてあげようと一歩近づき、固まる。
「フラトレー…ん」
「はい…っと」
目を瞑ったテイトレが咥えた煙草をフラトレに向け、顔を近づけたフラトレが自身の煙草の先端をくっつけた。
俗に言うシガーキス。彫刻のような美しいフラトレと壊れそうな儚さをもつテイトレのそれは洋画のようにインモラルな雰囲気を醸し出していて綺麗で見惚れそうに…じゃない。こいつら何やってんの…?もしかしてそういう関係だったの?担当の脳破壊されるんじゃないの?
「んぅ…ついた。ありがとですわ」
「いえいえ」
「んー久しぶりに吸うとやっぱくるな…どうした二人とも」
違う、こいつら素でやってるんだ。
固まったフクトレと顔を見合わせて同時にため息をつく。きっと間違いなく同じ事を考えていた。
この学園にはもうクソボケと天然しかいないんじゃないかと。
≫47二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 21:55:39
- マーベラスな特訓-
「マーベラスサンデー今の走りはとってもマーベラスだったよっ!!」
「その通り、アタシは昨日も今日もマーベラス☆だものっ!!」
「でもね、今の走りからもっともっとマーベラスにする方法があるんだっ」
「えっ!今の一回の走りだけ見て何かに気づいてしまったのー!!それは驚くべきマーベラス☆!!言い表せないほど奇跡だっ!」
「そう奇跡的な発見をしたんだ。マーベラスな秘訣は第4コーナー!あそこを抜けるとき内側へ入ろうと力んで体制が悪くなってる!。
もっとマーベラスに身を任せて!」
「そっかーっ!!それはマーベラスだ☆ありがとうトレーナー!!」
「「せーの、マーベラスっ!!!」」
他トレ「おい、今の二人を見て言ってることがわかるか?」
「いや全然、見てるだけで疲れる」
マーベラス深度深めでお送りいたしました。
≫58二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 21:59:04見た目は変わっても変わらないもの オグトレ
私がウマ娘になりそれなりに日にちが経った。この長い髪や、耳、尾や女の身体にも慣れてしまったものだ。朝起きて、顔を洗い、この長い髪をクリークに教わった通りに編み、オグリのくれた髪飾りと耳飾りをつける。そして、厨房へ。私が変わっても変わらないのはオグリとの交流、オグリが食べるものの準備だ。最近はウマ娘になったトレーナーたちとの交流もあり、同じように料理のできるブライアンのトレーナーとのレシピの共有で幅も更に広がった。あとは併走トレーニングで付き合いの多いルドルフのトレーナーだ。あの娘はこう母性とか父性を擽られる何かを持っている。つい見かけると抱き締めてしまう。同じ元男とわかっていても小動物のように可愛がってしまう。
「今日も始めましょうか」
食材を取り出し、洗い、刻み、調理する。大量に食べる彼女の胃を完璧に満たせずとも、彼女は私の料理をいつも食べたがる。最低3回朝昼晩。彼女は足りなければ別で食べるから君と同じ量を一緒に食べたいと言った。これは私がウマ娘になる前からしている習慣のようなものだ。最初は私との接し方に戸惑う様子もあったが、今は以前と変わらずに接してくれていると感じている。
≫59二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 21:59:27≫58
「今日のメニューは何だ?トレーナー」
目を輝かせたオグリはテーブルに座り、待っていた。ピンとした耳、大きく動く尾はさながら犬のようである。
「朝だからな、あまり重いのは私が食べれない」
「いつもそれで良いって言ってるぞ」
「ははっ、そうだな。今日はサブマリンサンドイッチだ」
食パンではなく、名前の通り潜水艦のような長い楕円のパンに具材を挟んだサンドイッチだ。
「なんだか強そうな名前だ…」
「昨日の肉の角煮も取っておいて、このパンに刻んで挟んである」
生野菜やその角煮、スクランブルエッグを挟んで特製のドレッシングをかけてある。私の分は食べやすく切ったが、オグリはその必要がないので1本分そのままである。
「あの角煮か!凄く美味しかったから嬉しい…!」
「さぁ召し上がれ」
「いただきます!」
皿の上に鎮座するサブマリンサンドイッチを恵方巻きのように黙々と食べていく。私と食事をす時はゆっくりである。私もその光景に頬を緩ませつつ、食べやすく切った一切れを口にする。
「やっぱり、トレーナーの料理は美味いな…」
「私もそんなに美味そうに食ってくれるなら嬉しいよ」
他愛のない話や美味しかった店や学園内のカフェテリアのメニューの話をオグリとしながら朝食を済ませる。見た目が変わっても変わらないもの、彼女との食事の時間はいつだって違っているが、変わることはないだろう。
≫77TSセイトレ概念提唱者21/09/26(日) 22:07:45それはある日の昼下がり、スカイと遅めの昼食を食べていた頃。
本来は食事を手早く済ませ、気まぐれな担当をターフに導く仕事がある。
──あるのだが、一つ気になる事があってどうしても動きが鈍くなっていた。
「…トレーナーさん?」
「あ…ああ、悪い」
「どうしたんですか、セイちゃんそんなに見つめられたら照れちゃうんですけど」
言われてみて気づく。食事中ずっとスカイを見つめていたらしい。
黙って居るのも心身に悪いかもしれない。
この道の…別に望んだ道じゃないが先達の担当を見かけた後からずっと気になっていた事。
これは良い機会だ。こういう事は当人に聞いた方が良いだろう。
「スカイは尻尾の毛で出来たチョーカー、ミサンガか?…そういうの欲しい?」
「はぇ…?」
「何人か持っているのを見たから。チョーカー付けてるし好きなら作ろうか?」
詳しくは聞けなかったがチョーカーを付けてるスカイの事だ。
幸い今の俺の髪は色素の薄い尾花栗毛だ。
何時戻るかわからない以上こういう形で残せるなら担当の贈り物として残すのも良い事だろう。
≫78TSセイトレ概念提唱者21/09/26(日) 22:07:59「……」
「おーい、スカイー?」
「…トレーナーさん。それ、どういう意味か…知ってる?」
「いいや?」
「そっかー、そうなんだー…へー」
肝心の担当が真っ赤になって考え込んでしまった。
周りが付けているから提案する、というのは安直だったかもしれない。
よく考えなくても自分の体の一部で出来た物、雰囲気に当てられて麻痺していたかもしれない。
何時の間にか俺の夢そのものになっていた担当に渡すとは言え流石に重たかったか。
「…いらないなら」
「いやいや、そんな事言ってませんよ!」
「お、おう…」
「それよりトレーナーさん、私も用意するんで二人とも同じの付けませんか?」
「二つ?」
「ええ、私のとトレーナーさんのでくるくる~っとミサンガみたいに」
「良いじゃないか、見栄えも良いだろうし。切るのは勿体ないけど」
「作り方の例えですよー、長く使っても良いじゃないですか」
「…耳飾りに使ってもいいか?」
「良いですよー、トレーナーさんも楽しみにしてるじゃないですか。このこのー」
≫79TSセイトレ概念提唱者21/09/26(日) 22:08:10真っ赤になっているがスゴい意気込みをスカイから感じる。
アクセサリーが欲しかったのだろうか、それとも──
「なあスカイ、結局これどういう意味が」
「えー、今更そんな細かい事気にしちゃいます?それよりやっぱりやめたはなしですからね!」
「良いよ、俺もスカイのアクセサリー欲しいから」
「っ…!?」
また赤くなった。提案したのはスカイなのに忙しい担当だ。
顔だけなら幾ら忙しくても歓迎だがスケジュールは多少余裕があったほうが良い。
今日は釣りか猫か、それとも昼寝か。昼食を喉に流し込み、席を立つ。
「そろそろトレーニング行こうか?」
「良いですねえ。今日はセイちゃん張り切っちゃいますよー!あ、そうそうトレーナーさん」
「何?」
「ちゃーんと尻尾のケアしてキレイにしててくださいね?」
「…がんばります」
≫106ロブトレヒロイン概念21/09/26(日) 22:27:29有馬記念前のクリスマス
(時系列的にウマ娘化してから1年以上たって、シニア前の有馬記念。戦績は原作と同じ感じ)
「やああああ!!」
「ふむ……」
天皇賞秋で念願のG1を制し、続くジャパンカップでも勝ち、誰もが彼女を英雄と認めている。
そして、今年最後のレースである有馬記念、それに挑むために日々トレーニングを行っている。
調子は天皇賞秋以降からずっとよく、本格化されたのもしっかりと伝わる。
この調子で有れば問題ない、はずなのだが……
「はあ、はあ、トレーナーさん、坂路終わりました」
「ええ、お疲れさまです。とても調子がいいですね。この調子なら大丈夫ですよ」
そう、安心させるように声をかけるが……
「いえ、もう少し、走らせてください」
強い熱意と同時に焦っているような思いが伝わってくる。
ジャパンカップ以降、彼女はずっと焦り続けている。
普段以上にトレーニングを数多くこなしている。私の方で無理になるものはさせないようにしているが、それでも精神的には人く追い詰められているようにも感じられた。
≫107ロブトレヒロイン概念21/09/26(日) 22:27:53≫106
「はあ、はあ、みんなが、期待している……頑張らないと、頑張って、英雄として応えないと……」
……無理もないかもしれない。今、彼女はずっと望み続けていた物語の主役、英雄として周りから認められてきているのだ。
今までずっと、善戦はする、いい勝負はするけど勝ちきれない、そう言われ続けてきた。
その度に彼女は「勝ちたい……英雄は最後に、勝利するものだから……」「入着じゃダメ、私だって、物語の主役に……」と言い続けていた。
そんな彼女がついに、周りの人々から認められたのだ。彼女は英雄足りえるウマ娘だ、と。
だが、それは同時に、彼女に強いプレッシャーを与える。
今まで感じたことのなかった、強い、強い重責が……。
きっと勝てるという期待に満ちた瞳、走りに期待する声、同じウマ娘からの負けないという熱……。
その重圧を彼女はずっと感じているはずだ。それに応えるために彼女は普段以上に頑張り続けている。
英雄として、彼らに応えるように……。
だが、それではだめだ。
私自身知っているからこそ、このままではだめなんだ。
今のままでは彼女はつぶれてしまう。この有馬で走りきれたとしても、その剣は最後の戦いの終わりに折れてしまうかのように……。
その戦いは、彼女一人だけではいけない。今の彼女は一緒にいるはずなのに、まるで真っ暗な闇の中、一人戦い続けているようだ。
一人で戦い続けた勇者が世界を救う、でもその結末に待つものは……。
「……あ」
ひんやりとしたものが舞ってくる。
真っ白で、ふんわりとした妖精がグラウンドの上で踊っている。
どうやら雪が降ってきたようである。しんしんと降り続け、少し肌寒く感じられる。
……そのおかげか、私自身の頭も落ち着いてきたようだ。
同じように雪が降っていることで落ち着いてきた彼女に優しく、その手をとる。
……まるで、ようやくその剣を止めてくれた勇者の体を労わるように
≫108ロブトレヒロイン概念21/09/26(日) 22:28:36≫107
「ロブロイ、今日のトレーニングはここまでです。この後は少し、一緒に過ごしましょう」
「は、はい、わかりました、トレーナーさん……」
――――――――――――――――
トレーニングを終え、お互いにシャワーで体を温めた後、二人でトレーナー室に戻ってきました。
今日はなぜか、何時も聞こえるウマ娘やトレーナーさんの声は聞こえず、トレセン学園は静まり返っていました。
まるで、この世界には私達しかいないように、まるでこの世界の時間が止まってしまったかのように……。
「はい、ロブロイ、ホットミルクですよ」
「あ、ありがとうございます、トレーナーさん……フフ、とても、温かいです」
トレーナーさんが私にホットミルクを渡してくれます。
先程までトレーニングで疲れた体に暖かなミルクが私の身体をポカポカさせてくれます。
まるでその温かさは、トレーナーさんの心がこもっているかのようにも感じられて、とてもうれしく感じられます。
その何気ない日常が、今はとても暖かく感じられる。なぜか、忘れていたものが、戻ってくるかのようにも……
「ロブロイ、今日はクリスマスですね」
「え……、あ……」
≫109ロブトレヒロイン概念21/09/26(日) 22:29:13≫108
その一言で、思いだしました。今日はクリスマスでした。
ずっと有馬記念のことで頭がいっぱいになっていて、そのことを忘れてしまっていました。
そして今トレセン学園が静まり返っているわけにも納得がいきました。皆さん、クリスマスで外に出かけているのでしょう。
一部のトレーナー室ではクリスマスパーティを開いているようですが、近くのトレーナー室はどこも暗くなっており、今はいないようです。
そして、クリスマスであることに気付き、自分の失態もわかってしまいました。
「あ、ああ、す、すみません、トレーナーさん、私、すっかり忘れてしまっていて、プレゼント、用意してなかったです、後、ごめんなさい……」
「ふふ、大丈夫ですよ。それほどまでに集中していた、ということですから。折角ですので一緒にクリスマスケーキを食べましょう」
「は、はい、ありがとうございます、いただきます、ね」
そう言ってトレーナーさんが二人分のケーキを出してくれました。
トレーナーさんは忘れずにこうして用意していてくれたようです。
二つともイチゴのショートケーキのようですが、少し不格好なように感じられます。
一口食べると甘い味とイチゴの酸味が口の中で交わって、とてもおいしい……
ですがこれは、もしかして……
「あ、あの、もしかしてこれ、トレーナーさんの手作り、ですか?」
「ええ、その、ヒシアケボノのトレーナーに教えてもらいまして、初めてでしたが、どうでしょうか?」
「とてもおいしいです!手作りだなんて、とっても驚きました。フフ、ありがとうございます」
トレーナーさんの手作り!それだけで心の中が温かくなってきます。
それと同時にこんなふうに用意してくれたのに私には何も返せるものがない……。
「トレーナーさん、こんなにも素敵なものを用意してくれたのに、私、何も返せなくて、す、すみません……」
「そんなこと言わないでください、あなたはずっと頑張り続けていたのですから。今は私に任せてゆっくりと楽しんでくださいね」
「は、はい……」
≫110ロブトレヒロイン概念21/09/26(日) 22:29:34≫109
その後は一緒に本について語ったり、最近のウマ娘化したトレーナーさんたちに次は何を着せようかと話したり……
何気ない、ただの会話も、何故でしょうか……すごく、久しく感じられます。
そしてこの何気ない会話、何気ない日常の、なんと愛おしいものであったのかも感じられてきます。
そして、夜も更けてきたとき……
「ロブロイ、君にプレゼントがあります。どうか、受け取ってくれませんか?」
「クリスマスプレゼントまで、フフっ、トレーナーさんのものを受け取らないわけないじゃないですか、あの、見てもいいですか?」
「ええ、ぜひここで見てほしいです」
そして受け取った小さな、可愛らしい包みをほどくと
「え……これって……」
「ええ、私の尻尾の毛を使ったミサンガです」
そこには、濡羽色の綺麗なミサンガがありました。
ですが、ウマ娘の毛を使ったアクセサリーというのは……
「あ、あの、トレーナーさん……」
「大丈夫、私も知っていますよ。ウマ娘の毛を使ったアクセサリーは情愛を示すものであること、理解していますよ」
その瞳には、深い慈愛と暖かな恋慕が感じられました。
≫111ロブトレヒロイン概念21/09/26(日) 22:30:41≫110
――――――――――――――――――
彼女へのプレゼント、それは毎日少しずつ作ってきた私自身の尻尾の毛を使ったミサンガです。
自信で調べ、エイシンフラッシュのトレーナーに教えてもらいながら自分で作ったもの。
余り物を作ることに慣れていなくて、上手くできなかったが、それでも何とか形になりました。
「ロブロイ、指摘するのはあまりよくないかもしれませんが、言わせていただきますね。今のあなたは皆からの期待で焦ってしまっているのでしょう?」
「あ、そ、それは……」
その指摘に彼女の耳はシュン、と項垂れます。
彼女自身もわかっているのでしょう。それでも、その期待に応えようと頑張り続けてしまう。
だけど、私はそんな彼女だからこそ……
「皆の期待に応えようと焦る気持ち、わかります。貴方は英雄ですからね」
「……はい、私は、物語の主役、英雄になりたくて、走ってきて……ようやく認められて、嬉しいのに、なんで……」
「大丈夫です。今、あなたが抱いている気持ちは、正しいのですから……」
「トレーナーさん……」
泣き出しそうな彼女を抱きしめる。
彼女に涙は似合わない。キラキラと輝く決意に秘めた表情、嬉しそうに語る笑顔、そんな顔が彼女にはふさわしいのだから。
「だから、忘れないでください。貴方は皆さんの期待に応えようと戦う英雄ですが、その傍で支える、あなたの冒険譚を歩む仲間、いいえ、パートナーがいることを」
「ともに歩む、パートナー……」
「あなたの傍で支えさせてください、あなたの帰りを待たせてください、どうか、どうか、私と、ずっと一緒に歩ませてください、私の英雄……」
本当はもっと気の利いた言葉を言いたかった。でももう無理でした。
これほどまでに彼女のことを思い続けてしまう。
これほどまでに彼女への想いが溢れてしまう。
その想いを止めるなんて、できない。
トレーナーとしてあるまじきことだとしても、それでも……
≫112ロブトレヒロイン概念21/09/26(日) 22:31:05≫111
「あなたのことを、愛しています。どうか、一人にならないで、ずっと、ずっと一緒にいさせて……」
「……トレーナーさん……」
いつの間にか、私の瞳からは涙がこぼれてしまう。
本当は彼女が焦る気持ちに私も一緒にいることを伝えるだけであったはずなのに……。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい
元々は男だと彼女は知っているのに、こんなこと言われたって嬉しいはずがない。
でも、止められない、止められないのです。彼女を支えたいのに、彼女の重りになってしまうようなことを言ってしまう。
重責を解放させようといったのに、逆に重荷になってしまう。
ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……
チュッ……
ふと、唇に暖かな感触を感じる。
眼を開けると、そこにはキラキラと輝いた、私の英雄がいました。
≫113ロブトレヒロイン概念21/09/26(日) 22:31:24≫112
――――――――――――――――――
チュッ……
私の唇が、トレーナーさんの柔らかな唇にそっと触れる。
彼女の熱を感じるように、彼女に熱を与えるように……。
ああ、なんでこんなことを忘れていたのでしょうか。
私には、こんなにも愛しいトレーナーさんがいるのに……。
一人で見えなくなって、彼女を一人、置いていってしまっていました。
「トレーナーさん、すみませんでした。私にはこんなに大切な、パートナーがいるのに、一人になってしまっていました」
「ロブ、ロイ……」
「ですが、もう大丈夫です。トレーナーさん、一緒に歩んでいきましょう。これまでも、そしてこれからも」
「……はい、ずっと、ずっとあなたとともに歩みます……私の英雄《ロブロイ》」
その言葉に応えるように再びその唇に口づけを……。
もう絶対にはなれないというかのように、ずっとずっと一緒にいると誓うように……。
そして、二人が溶けて一つになるように……。
もう大丈夫、私は一人ではありません。
支えてくれる人がいます。帰りを待ってくれる人がいます。
それだけで、どこまでも勇気が湧いてきます。
物語の英雄には守るべきものが必要、その通りなのかもしれませんね。
今の私には守るべき、愛する人がいるのですから……。
もしかしたら、本当の意味で英雄となったのは、この時なのかもしれませんね。
≫114ロブトレヒロイン概念21/09/26(日) 22:31:55≫113
――――――――――――――――――
有馬記念当日。会場は熱気にあふれている。
観客席からはロブロイへの応援が溢れかえっている。
それもそのはずである。なにせ秋古馬三冠の英雄が今、生まれるかもしれないのですから。
そして、その歓声と熱意溢れる舞台へと彼女は歩みを進める。
その瞳にはもう焦りはなく、堂々としたものとなっていた。
だからあとはその姿を信じるだけ
「ロブロイ、行ってらっしゃい」
「はい、トレーナーさん、行ってきますね」
その短い言葉かけだけで問題ない。もうその心の中には私がいる。私の心の中には彼女がいる。
ターフの上でも彼女は一人ではない。もう、怖がることは何もない。
そして英雄は舞台へと駆けだす。
その英雄の足には、濡羽色と淡い黒色の毛でできたミサンガが結ばれていました。
私はどれだけ離れても貴方の傍にいます。
私は貴方とともにこの戦場を駆け抜けます。
これは、二人の物語なのだから……。
...fin
≫132二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 22:41:45ええい!ままよ
「あっ」
明日のレースに備え二人でミーティングしていた時のこと。ペンを落としてしまった
「うちが拾うで」
「ごめん、ありがとうテイオ――っ!?」
息を呑む。椅子から降りたテイオーは何と四つん這いでキャップを拾おうとしていたのだ。しかも俺にお尻を向ける体勢で。生唾飲んだ。
――尻尾だ。
この学園の制服は尻尾がちゃんと出るように仕立て上げられているので、尻尾のせいでスカートが捲れることはない。尻尾がユラユラと揺れている。なぜかその動きが妙に胸を高鳴らせ、背徳的な衝動を駆り立てようとする。しかしテイオーはペンを拾うとデスクに置いて、「取れたよ」と椅子に座ったので我に返った。
危ない危ない。危うく理性がフライアウェイするところだった
≫133二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 22:44:14その後再び作戦会議に戻り、20分ほどで終了。テイオーを寮まで送ろうと意識を手放したのがまずかった。
「あっ」
またペンを落とした、しかもベッドの下まで転がってしまう。
「もう、しょうがないなー」
しかしテイオーは迷うことなく再び四つん這いになり、ベッドの下に手を入れてペンを取ろうとする。するとやはり尻尾がゆらり。
カチッ、俺の中で何かのスイッチが入った
テイオーはベッド下に顔を入れてペンを拾おうと手を伸ばしており完全に俺の姿が見えていない。そっと椅子を降り、テイオーの後ろに座り、そして――。
ぎゅっ!
「きゃーっ!?」
右手を伸ばし尻尾の根元を握る。意外と硬い。毛の感触はふわっとしており、よくよく手入れされているのがわかる最高の手触りだ。尻尾は上に行けば行くほど毛の柔らかさが大きくなり、もふもふを味わうことができる。
「ちょ、トレーナー!? ど、どこ触ってるの!?」
何より、テイオーの声がたまらなくいい。ウマ娘にとって尻尾はデリケートな部分だ。気性が荒く手がつけられない子も尻尾をうまくコントロールすれば大人しくできることも可能だと習ったこともある。もちろんその後の反撃には要注意というのもあり危険なことに変わりは無いが。
「あっ……だ、だめっ……らぁっ……!」
テイオーがお尻を突き上げ、太ももを震わせている。ベッド下のためどんな顔をしているのかは見えないが、きっと刺激的な表情なのは想像に難しくない。
俺は空いた左手で根元を握る。右手は変わらず上の毛並みを撫でて楽しむ。
「んっ! あぁぁっ……ぁぁーっ……」
スカートが捲れ、視線を下に落とせば中身が見えるかもしれない状態に。しかしテイオーは気づいていない、いや、気づく余裕がないのだ。
「おね……ひゃま……ひっぽ、りゃめえ……らめなのぉ……」
親指と人差し指で尻尾の根元を摘まみ、擦る。
「あふぅぅぅ! あっ……!」
ビクン、ビクンとテイオーの小さな身体は大きく痙攣し、ようやく俺は我に返った。
「テイオー!」
慌ててベッドから引っ張り出す。
「うぁ……はぁ……ぁっ……」
顔を紅潮させ、虚ろな目を浮かべたテイオー。口元には涎が垂れていて、その……お労しい姿になっていた。させたの俺なんだけどね。
≫134二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 22:44:52その後
「トレーナー、どう?気持ちいい?」
テイオーが俺の尻尾の根元を触る
「んふぁ...めぇ...」
俺の口から女のような喘ぎ声がでる...今女だけど
テイオーは仕返しとばかりに俺の尻尾を撫で摘み擦る
俺はその度に叫声を上げる...
自分でもあられもない姿に成っているのが分かる
「しゅごかった」
もう戻れないかも...
≫161二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 22:58:59『恩師』
「ブラトレ…ブラトレ…あっブラットレイ、ブラッドレイ」
「おい、何をアホなことを呟いている。この駅で降りるぞ」
今日はとある目的で電車に乗っている。目的は一つ。お見舞いである。
時間は少し遡って…
「おい、トレーナー。明日予定は空いているか?」
「んんー?空いてるけどどうした?」
「私たちも“恩師”に見舞いに行くぞ」
「…なるほど。だいぶ落ち着いてきたしそろそろ行き時だな」
そうと決まれば、まずはお土産だということで少し早めにトレーニングを切り上げ、彼らは商店街へと向かった。
最近はだいぶ涼しくなりつつあるため、冷たいものは控えて少しつまめるものを。
それと、長持ちするプリザーブドフラワー。味気ない病室を少しでも彩るために。
あとは、にんじんプリン。こちらはまあ、言うまでもないだろう。明日、それらを携えて赴くのみ。
病院はトレセンのある都市部の郊外にある。少々離れているため、電車を使って移動した。
今の二人であればトレセンから普通に走って到達もできるが、さすがに汗だくで病院に行くのは看護師さんたちからキレられる。一度キレられたのは内緒だ。
受付で見舞いの申請をして、病室へと向かう。消毒液のような、スッとした香りが漂っている。
よく考えたら病院に来たのはだいぶ久しぶりな気がする。健康優良たる生活をしていたからというのもあるが、態々赴くこともなかったのも事実。
テイオーのトレーナーが入院した時に一度見舞いに行ったことはあるが、その時はまだウマではなかったし…
ともあれ鼻の効きが変わってから来た病院はなんだか新鮮である。
適当なことを思いながらついに目的地へと到着した。今のところ恩師以外に別の人は入室していないようである。好都合。
「失礼します、先生」
「おや…その呼び方はブライアンのトレーナー君です…ね…?おや?」
「…あれ?」
「…貴方もですか、その耳」
「………ああっ!連絡!」
「あれ程連絡はしっかりとするように、と言っていましたがね。20点減点!」
「ウワーッそりゃないですよ先生!」
懐かしいやり取りをする。そう、ブラトレにとってハルウララのトレーナーは恩師である。
≫165二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 22:59:45≫161
言ってしまえばそこまで年齢が離れているわけではない…はずだ。
今公式に出回っている年齢が正確であるとするならば、多くてもブラトレよりも1回りほど年が離れているくらいである。
ならばなぜ先生と呼ばれているのか?それは彼らのトレーナーとしての関わりがある。
トレーナー資格を得る際の試験、その最後には現役のトレーナーの下でしばらくの研修を行うことが義務付けられており、ブラトレの対応になっていたのがウラトレ女史であった。
ことあるごとにアホをやり、そのたびに減点を食らい、何とか頑張り、加点をもらう。
そんなことを繰り返しながら、最終的にはある程度良い成績を収めて資格を得ることができた。
その後はなかなか直接の関りがなかったため、時たま連絡を取り合うくらいの関係であったが、ブラトレにとって恩師であることに間違いはない。
ちなみに一番やったミスは、連絡ミス。治ってない。
「お前はそのころから変わらんのだな…まあいい。お久しぶりです」
「ブライアンさんも、お久しぶり。元気にしていたかしら?」
「ええ、お陰様で。こいつも思ったより変わらなかったので」
「目上の人を「お前」や「こいつ」呼ばわりはよろしくありませんよ?」
ニコリと微笑む。微笑みが強い。ほほえみで人をボコボコにできる人はこの人しか知らない。
「…ええ、私のトレーナーも、思ったより変わらなかったので」
ブライアンも勝てない。強い。
ブライアンにとっては、少々荒れていた時期に関わったトレーナーらしい。
ハヤヒデにトレセンへと誘われ、その後満足のいく走りができなかった頃に少しだけ関わっていたとか。
結局その段階ではウラトレ女史も担当を持っていたため担当になることはなく、ブラトレが現れるまでは孤高の一匹狼であった。
「まあ、連絡を寄越さなかったことに関しては申し訳ありません先生。なので…こちらを…」
スススッと賄賂を渡すかのようにお土産を手渡す。美しい所作だ。我ながら惚れ惚れする。
尚この渡し方もウラトレ女史直伝である。教えられたときはいったいどこで使えというのかと思ったが、こういう時に使ってほしかったのだろうか。
「あら、商店街の限定サブレですね?それに色の良いプリザーブドフラワー。よい選択をしました、20点加点!」
「よしっ!」
またも懐かしいやり取り。点数一つで一喜一憂したものである。
≫166二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 23:00:05≫165
「あー、ブライちゃんとブラトレさんがいる!」
後ろから声が聞こえる。ハルウララが部屋に入ってきたようだ。
あちらもたまたまオフだったようで、病院に遊びに来ていたようだ。
「ウララか、ちょうどウララにも土産がある。にんじんプリンだ」と、ブライアンが紙袋からプリンを取り出す。
「わー、ありがとう!あっちのスペースでいっしょにたべよ!」
と、大変ご機嫌な様子であった。
「…ああ」と、ブライアンもそれについていった。
「しかしまあ、貴方も大変ですね…未だに治る見込みはないのでしょう?」と、ウラトレ女史は聞いてくる。
「そうですね、先生…まあこれでも私はましなほうなんですよ。精神的な影響はほぼなし、肉体も早々に慣れましたし…なにより」
「なにより?」
「ブライアンのトレーニングが効率よくなったんですよ!」
それを聞くと、また柔らかい笑みを浮かべる。
「貴方は本当に、トレーニングについて熱心ですね」
「ウマ娘を子供のころに見た時から、憧れでしたからね。彼女らとともに素晴らしい舞台に上りたいと。まあウマ娘そのものになっちまうとは全くどうして!」
「ええほんとにそれはもう…」
笑顔がだいぶひきつってしまった。そりゃあそうでしょうよ。
「まあだいぶ落ち着いたようではありますがね。一時期ほどどんどこどんどこ増えてるわけではないので…」
ため息交じりに告げる。まあ、まだマシにはなった。直近で数人また増えたけど。
「…戻ってくる頃には落ち着いてたらいいですね、本当に…」
「ええまあ本当にもう…先生まで巻き込まれたらどうしようという話ですよ」
そろそろ女神像は吹っ飛ばすべきでは?という話も紛糾しつつある。さすがにそれはダメじゃろという話も出て議論は平行線まっしぐら。
仮にそうであるならばさっさと女神さまが落ち着いてくれれば問題ないはずなんだが…
「まあ、なるようになるでしょう。その時に先生は心置きなく戻ってくればいいんですよ」
ブラトレはニコリと笑う。ウラトレ女史はその表情の先に、元の顔を見たようだ。
「そうですね。落ち着いて帰れるまで、ゆっくりと羽を伸ばさせてもらいましょう」
≫167二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 23:00:31≫166
「ねーねー、ブラトレさんブラトレさん。耳を触ってもいーい?」
ブライアンとウララが戻ってきた。なんだかウララはブラトレの耳に興味津々のようだ。
「いいけど優しく頼むぞー」
「よーし!わしゃわしゃ!」
「うひっ!はははは!くすぐったいくすぐったい!」
「やっぱりウマ娘なんだねー!不思議ー!」
ウララとひとしきり遊んだ後、そろそろいい時間だということで帰ることにした。
「では先生、また。今度は何かあったときはしっかりと連絡を入れてからくることにします…」
「ええ、連絡は大事ですからね。またいつか。…ああ、トレーナー君とブライアンさんに一つだけ」
「なんです?」
「…なんだ?」
呼び止められる。言葉が紡がれる。
「ブライアンさんとこれからも仲良くね」
「ええ、勿論です」
「ああ」
病室の扉がゆっくりと閉まる。
「ねーねー、私がいないときどんな話してたのー?」
「そうね、ちょっとした思い出話をね」
「そうなんだ!あのね、トレーナー!」
「なに?」
「ブラトレさん、変わってもブラトレさんだった!」
「…そうね。見た目は変わっても、彼は彼のままだったわね」
その事実に一安心したように表情を緩くする。
現象の解決は一向に目途が立たないが、それでも前を向いて進む者たちがいる。
それだけでも、ウラトレ女史にとっては良い事実であったともいえよう。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part52【TSトレ】
≫22二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 23:34:25では、リファインやし、拙文だろうけど
楽しんでいただけると幸いです。
「えっあっ・・これどうしよう・・?」
俺の新しい人生は、朝の不安そうな聞きなれない高い声としおれた耳から始まった。
─時間は遡って昨日
「シチー、そういや、この先どうするんだ?」
俺は、麗しの担当バに話しかける。
「もちろん、これまで通りやってくつもり。」
書類処理を済ませている俺にそう答えたウマ娘、ゴールドシチーは気怠そうだ。
彼女は俺の自慢の愛バで・・世間の人気者だ。
今や、最近の若者でシチーを知らないものはモグリと言えるだろう。
様々な雑誌に引っ張りだこの彼女は、彼らにとって
憧れるインフルエンサーの一人である。
もちろん、彼女の魅力はそれだけではない。
彼女の競技者の実力もトップクラスで、
URAファイナル優勝者であることも
未だ風化していない事柄だ。
そんな彼女が、俺に問いかける。
「で、アンタはどうするつもり?」
≫23二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 23:35:13かく言う俺は平凡なトレーナー。
更に言うなら、俺の経歴はトレーナー一筋というわけではない。
どちらかというとドラマーを目指していた時期の方が長い。
- まあ挫折して地元のトレセンでトレーナーしていたんだが・・
彼女のトレーナーに就けたのは、本当に偶然だった。
たまたま、東京に遠征に来た時にシチーを見た時に魅入られた。
正確には彼女の執念に燃える瞳を。
そこからは、俺のストッパーは外れてしまって。
「彼女のサポートをしたい。」そう思うようになった。
その当時の無気力な俺は、とりあえず取れるという理由で
中央のライセンスを取っておいたため、
それが功を奏したのか、シチーのトレーナーになることが出来た。
だが。
「アンタ、ドラマーも両立したいんでしょ?なら、色々と考えとかないと。」
そう、これが目下の問題だ。
彼女を見ている内に、出来ないとしまい込んでいた感情が
知らぬ間に再び湧き出してきたのである。
(もう一度ドラマーとして活動したい。)
これ以上ない贅沢な悩みで、無理だと思われるだろう。
まぁ俺自身も無理だと思っていたが。
だがしかし、先日シチーにばれてしまった時に、
『アンタがアタシに「どちらの道も走ろう」って言ったんだ。アンタだけ諦めるなんて許さない。』と言われてしまった。
≫24二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 23:35:50俺としては上手に隠してたつもりだったが、彼女の瞳にはバレバレだったらしい。
「でもなあ・・」
「またスキャンダルの話?それとこれとは別でしょ。」
「でも、俺の活動でシチーの仕事の邪魔はしたくないよ。」
俺がそう言うと、シチーは、色んな感情がないまぜになった顔を
一瞬見せたあと、そっぽ向いた。
俺は、冗談半分で呟いた。
「あ~あ、せめて俺が女だったらなぁ。」
─そして今に至る。
明らかにバランス感覚が変わっており、ふらついてこけそうになる。
身体はスレンダーだがそれなりにしっかりしており、流石ウマ娘であることが感じられる。
でも、身体の疲労感は尋常ではなくて。
「これは、ちょっとまずいかも・・」
とりあえず、学園に連絡を入れておくことにした・・
─
「はい、はい、ではすいません。遅刻に・・えっ今日は来なくていい?
とりあえず、身体が落ち着くまで休みにしてもいい?わっ・・分かりました。」
えらく強い口調のたずなさんに言われて、俺は電話を切る。
たずなさんにこう言われては仕方ないが・・これじゃシチーのサポートが出来ない。
そうこうしているうちに、噂の人から連絡が来た。
時間を見て、朝のトレーニングの時間を過ぎていることを悟った。
電話の着信音で気付いた時点でどうしようか悩んだ。
(上手いこと声を低くしたらバレないか?それともメールで送るか?)
そう考えた時、俺は自分自身でそれを否定した。
「やっぱ噓つきたくねえな・・」
というかどうやったってバレそう。
意を決して俺はラインの受話器ボタンを押した。
≫25二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 23:36:20─しばらく経って
「ふぅん、そんなことになってるんだ、アンタ。」
「うん、だからしばらくトレセン学園には顔出せないかも・・」
「あっそ、じゃあ今からアンタの家行くわ。」
「えっ」
「だって、アンタ着る服ないじゃん。どうすんのそれ。」
「あっ・・」そう言われたらそうだ。
「けど、俺の家来るのは・・」
「じゃあ、アンタまともな服あるの?少なくとも下着類はないでしょ。そんなので外歩けると思っているワケ?」
「それは・・」
「じゃ、それで決まり。たずなさんに話通してくる。」
「えっちょ・・」
電話が切れた。確かに、今着れそうな服はない。
スーツはクリーニングに出したばかりだった。
「でもなあ・・」
やっぱまずい気がしてきた。
そう思ったが疲れ切った頭ではそれ以上考えることが出来なかった。
不思議と、不安はなかった。
≫26二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 23:37:14─1時間経過
チャイムの音で目が覚めた。どうやらシチーが来たらしい。
「ごめん、今出る。」
開けると、いつもより焦ったシチーが出てきた。
「ちょっと!大丈夫!? 無事!?」
「ごめん、心配かけちゃって・・」
「電話ぐらいでろよ!バカ!」
「ほんとごめん・・」
「・・まあ、無事ならいいけど・・入るよ。」「う、うん。」
─更に一時間経過
「こんなに・・ありがとう。」
「とりあえず、私のお古だけど、それ着て生活して。」
「分かった、けど・・」
ちょっと露出多くないか?
あれもこれも大抵肩だったり、へそだったりが見えている。
「アンタ、ちょっと露出多いって思ってるでしょ。」
図星である。
「性別が変わってもアンタはアタシのトレーナー。
ダサいカッコしたら許さないから。」
「それに、今のアンタなら似合うでしょ。」
それが余計に恥ずかしいのだ。
今の私は結構な美人だ。
客観視出来るうちに判断したのだから間違いない。
スレンダーな手足は、目を惹くことだろう。
「まあ、アタシの気分味わうのも、悪くないんじゃない?」
「えぇ~・・」
「ええじゃない、とりあえずアタシ、飲み物とってくるから。アンタは?」「じゃあ、ブルーハワイソーダで・・」
「何それ・・」「・・まあ、都合いいか・・」
「ん?なんて~?」「何でもないよ。じゃ。」
≫27二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 23:37:50─
「はいこれ。」
「ありがとう。」
それを飲んだ瞬間、俺の意識は暗転した。
(あれ?おかしいな・・シチーが・・)
意識が消える直前に、俺はこんな事を思った。
(あれ?このジュースこんなに深い藍だったっけ・・?)
─
起きた俺は、随分と涼しい格好をしていた。
というか・・これは・・
「・・ネグ・・リジェ・・?」
そう。おもっきし下着だった。
黒の、大抵の人が見たら、羞恥を覚えるような・・
「し、しちぃ?・・これはいったい・・」
「うるさい。」
瞬間俺の口内は彼女に侵略された。
彼女にキスをされた。それも、深い方を。
「んんっ!ちょっ・・まって・・」
「待たない。」
俺の口内が蹂躙される。
シチーは、俺をまるで子どもを甘やかしながら、おもちゃを取り上げるような
やり方で俺をひたすら、じっくりと弄んだ。
まるで、お姫様のように。まるで慰み者のように。
≫28二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 23:38:21─
アタマの中のしきりがあいまいになるぐらいにとろかされた。
そうなって、ようやく、はなしてくれた。
そして、そのにぶったアタマでシチーにたずねた。
「なんで・・こんな・・こと・・・・」
「決まってるじゃん、アンタをこっちにオトすため。」
こっちとはなんだろうか、精一杯彼女の素振りを思い起こそうとして、遮られた。
「知ってると思うけど、アタシは諦めが悪いし、チャンスは絶対ものにする。レースだって、モデルだって、そして、アンタだって・・」
そっか、そっち側か。それなら、シチーしかいないし、いいかも。
「でも、こんなやり方で・・・・」
「仕方ないじゃん!!もうこれを逃したら、どうしたらいいかわからないの!
モデルもレースも諦めずに、アンタを離さない方法なんて思いつかない!!」
「今の関係だっていつ崩れるか分からない!アンタが隣から離される可能性だって大いにある!ううん、多分確実に離される。マネージャーは頑張ってくれるだろうけど、それだって限界がある・・でもアタシは、アンタを諦められないくらい、アンタを応援したい。アタシのワガママで、アンタの夢を潰したくない・・」
彼女は大粒の涙を流していた。
そっか、彼女はここまで追い詰められてたか・・
なら、だからこそ。
≫29二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 23:38:41「だから、お願い・・黙ってアタシの言うことを・・」
「・・でも、ダメ。」
「えっ?」「だって・・」
「“私”だって、我慢してたんだよ?」
そう、ダメだ。
「私にも立場があるし、何より、シチーとは教え子の関係でしょ?」
身体を翻す。あっけに取られたシチーは私の下で、驚いた顔をしている。
「でも、もうダメ。」
そうだ、これ以上彼女だけの責任にはできない。
彼女にだけ、私を背負わせてはダメだ。
残った、微かな“俺”を振り絞って語りかける。
「シチーが、悪いんだよ?」
それに、何より。
「もう、我慢しないで、一緒に、堕ちていこう?」
もう、ストッパーは、当の昔に、ダメになっている。
≫39二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 23:43:35貴女とならば美しい世界になる グルトレ
「別に良いじゃん、これやんなくても」
「私がやれと言ったらやれ」
部屋の鏡の前でグルーヴはそう言って俺もとい私の髪を編み込んでいく。ウマ娘の身体になって数日が経った。この身体になって得したと思ったのはグルーヴと同じ身体になり、更に効率的なトレーニングを組めるようになった。それと、グルーヴが以前より優しくなった、気がした。元々厳しいところも多いが優しさもあっての厳しさだが、飴と鞭で言うならば以前より飴が増えた。元男とは言え、今は女同士だからなのだろうか少し距離が近い気もした。急に女の身体になった私を気遣っているだけかもしれないが、そう思えない時もあった。
「何をニヤニヤしている」
「なんでもない」
正直悪い気はしなかった、この身体も悪くない。精神的にもこの身体に染められつつあるのだろう。私がどうなろうと彼女の目指す理想の手伝いができるならそれで良い。同僚のことでまぁ面倒な事もあるが、それもご愛嬌なのだろう。それでも限度があるので勘弁して欲しいが、特に会長サンのところの天然お姉さんには。
「なぁ、グルーヴ」
「なんだ?」
「私は貴女に相応しいトレーナーで在り続けるよ」
そう言うと彼女は嬉しそうな顔をして編み込んだ髪を留めた。彼女の隣りでトレーナーとして立て続けられるなら、この身体のままでも私は構わない。
「当然だ、貴様は私のトレーナーだ。その為に努力し続けろ」
言葉は厳しいが、とても優しい声色だった。私は貴女の隣りで、貴女の理想を見たい。
≫41二次元好きの匿名さん21/09/26(日) 23:44:01≫39
「ああ、頑張るよ」
「今の姿で貴様はいる以上、教え込んだことはやってもらうからな」
耳が痛い。癖というのはすぐに抜けるものではない、無意識でしてしまう事も減りつつはあるが男の時癖は時々してしまう。
「うっ……頑張る」
「まぁ、なんだ…急に男から女の身体になったんだ苦労も多いと思っている」
「やっぱり、グルーヴは優しいな」
「う、うるさい」
頬を赤くして照れ隠しをするのは変わらずだが、可愛らしいものだ。
「照れてるー!」
「たわけ、頑張るなら編み込みもいい加減覚えろ」
「自分じゃできないよ」
彼女の髪で練習した事があるが、いざ自分でとなるとなかなか思うようにならないのでやらない。彼女はいつもこうやってなんだかんだ言いながら、私の髪を編み込んでくれる。
「甘えるな、トレーニングの休憩時間に叩き込んでやるから覚悟しろ」
「えーー!」
そうは言っても私はそれでも良かった。どうなろうと私が私でいる限り、私が彼女のトレーナーで居られる限り、未熟な私でも彼女と見られる世界は美しいままだ。
≫96小さきものたち(1)21/09/27(月) 00:11:28ウマ娘出ない&口調やら解釈違うかもだけどよろしく
タイトレ「第1回!ちっちゃくなったトレーナーの会!」
ロブトレ「どうしたんですか急に」
タイ「おう!ウマ娘になったトレーナーも増えてきたけど、その中でも特に小さいのが俺達だ」
マベトレ「まあ、背丈だけでみればそうですね。……一部そうでない部分もありますが」
クリトレ「そう、ですね。僕なんか色々感覚がおかしくなっちゃって、今でもクリークに助けられてます」
タイ「そこでだ!俺やロブトレはこうなって日が長く、何ならレースに出たことだってある」
ロブ「ありましたね……成程、つまり最近ウマ娘になったお二人に諸々のアドバイスをしよう、ということですか」
タイ「そういうこと。担当が傍にいないことも今後あるだろう。それにこの会のメンバーが増えることも考えられる」
クリ「先輩方のお話が聞けて、後続たちの助けにもなる……素晴らしいです!」
マベ「ウチの担当を真似るならまさに"マーベラス☆"ですね。いいと思います……ところで」
タイ「うん?」
ロブ「どうかしましたか?」
マベ「あっちでこっち……というかテーブル上のお菓子を見ながらぐぬぬしてるボノトレさんは」
タイ「ああ、もう誰も気にしてないが、あいつはウマ娘どころか女性ですらないからな。この会には入れない」
ボノトレ「(涙目でショックを受けている表情)」
クリ「そうなんですか……クリークと焼いたクッキー、あとで差し入れしますね」
ボノ「(目を輝かせて退場)」
タイ「よし、じゃあ改めて──」
『第1回!ちっちゃくなったトレーナーの会!~ボノトレはいないよ!~』
タイ「──始めるか!」
≫97小さきものたち(2)21/09/27(月) 00:13:05タイ「最初は……まあ身長だな。この会は150cm未満を集めた集まりだし、以前とはだいぶ感覚が違うだろう」
クリ「ですね。腕も足も短いし、なのに力は強くなってて。はじめは怖くて動けませんでした」
ロブ「私も同じく。とはいえ担当のロブロイとあまり身長は変わりませんでしたから」
マベ「あー……確かに。思考の混乱が酷くて立ち直った頃には気にしなくなってたけど、担当と目線は同じです」
タイ「目線が同じだと向こうもサポートしやすいんだろうな。……いや待て、クリークの身長って」
クリ「記録では168cmです。今の僕と21cm差ですね。元は僕の方が7cm高かったんですが」
マベ「えらく違うな……まあでも、言っちゃ何だけどあのスーパークリークだしな」
ロブ「母性の塊、走る小児用品店、etc. 彼女のことです、問題なかったのでは?」
クリ「はい!思わず抱き着いちゃった僕が落ち着くまであやしてくれて」
タイ「はは、完全に子ども扱いだな。……それでその後は?」
クリ「その後は抱っこしたまま添い寝してくれて、昼頃起きて服を借りてきてもらって……」
マベ「いや待て、今なんて言った?添い寝?トレーナーと担当ウマ娘が?割とマーベラス☆な事件では?」
クリ「ちょっと泣き疲れちゃって、つい。で、でもやましいことは何もなかったですよ!誓って!」
≫98小さきものたち(3)21/09/27(月) 00:13:33ロブ「まあ、問題があったなら私たちの耳にも入っているでしょう。他に4人中3人に共通することと言えば……」
タイ「ん?何かあったか?」
ロブ「……担当ウマ娘との、身長を除いた体型の違い、でしょうか」(身長差1cm、胸囲差1cm)
マベ「成程、一理ありますね」(身長差2cm、胸囲差4cm)
クリ「まぁ、僕とクリークとは比としては大きな差異はないですね」(身長差21cm、胸囲差15cm)
タイ「……言われてみれば確かにそうだな!」(身長差5cm、胸囲差21cm)
ロブ「この違いはかなり大変です。担当ウマ娘からの助けや、そもそもの交流にも問題が生じかねません」
クリ「服、特に下着は女性じゃないと難しいですし、女性でもサイズが違うと色々大変だと聞きますね」
マベ「その点ではマーベラスには大いに助けられたな。いや、他にも色々助けてもらってはいるが」
タイ「いやー、その節はゼンノロブロイさんには大変お世話になりまして」
ロブ「いえ、誰かの助けになれたことを、きっと彼女も喜んでいましたので」
タイ「服類の問題は先達に聞くのが一番だ、ってことで。担当との交流もこの4人なら問題ないだろうさ!」
(*1))
≫99小さきものたち(4)21/09/27(月) 00:14:19マベ「1人を除いた共通事項、と言えば。……やっぱり変化直後のゴタゴタですかね」
ロブ「ああ……あなたのときは確か……」
マベ「さっきも少し言いましたが、最初は酷かったです。自分が自分でない、別の誰かになったみたいで」
タイ「あれは大変だったなー……テイトレのときもひと悶着あったが。ウマソウルの暴走、って誰かが言ってたな」
クリ「大抵のトレーナーさんは直ぐに混乱は収まったそうですし、中にはそれまでと変わらない方もいましたね」
マベ「……あの時は様々な方へ迷惑をかけてしまいました……マーベラスにも」
タイ「まー、雨降って地固まるってやつでさ。担当の子とはうまくやれてるんだろ?」
マベ「ええ。ウマ娘になってから、以前より親密になれた気がします」
ロブ「ならば、問題ありませんね。仲良きことは美しき哉、とはよく言ったものです」
クリ「うん、本当にそう思います!……あまりに良すぎるのも、それはそれで問題ですが」
マベ「何にせよ、同じ轍を踏まないようにしなくちゃいけない。そう強く思います」
タイ「そうだな。これはこの会だけじゃなく、学園全体の問題だ。もっと人を集めて議論するべきだろう」
≫100小さきものたち(5)21/09/27(月) 00:14:48クリ「えと、まとめるとこんな感じでしょうか」
1.身長や体型の変化に伴う身の回りの助けは躊躇わず先達に頼むこと
2.これら変化によって担当ウマ娘との交流にも問題が生じる恐れがある為注意すること
3.変化直後は大小あれど混乱が生じるが周囲の助けを借りて前を向くこと
タイ「うん、いいんじゃないかな!」
ロブ「ええ。概ね網羅できているかと」
マベ「右に同じく。……いい時間ですし、今回はここらで」
タイ「おう!それじゃ、第1回!……えーと、なんだっけ」
ロブ「ちっちゃくなったトレーナーの会、です」
タイ「ちっちゃくなったトレーナーの会!これにて終了!お疲れ様ー!」
クリ「お疲れ様ですー!」
マベ「お疲れ様でーす」
ロブ「お疲れ様です」
≫101小さきものたち(6)21/09/27(月) 00:15:14タイ「いやはや、急に開催した割にはいい感じだったんじゃないか」
ロブ「はい。あまり助言は出来ませんでしたが、それでも楽しい時間でした」
タイ「担当ウマ娘同士で繋がりがあるならともかく、そうじゃないと中々話さないヤツもいるからなー」
ロブ「ははは。おっしゃる通りです。それに」
タイ「それに?」
ロブ「見上げるばかりになった私たちでも、同じ目線で話が出来る。これ、大事なことだと思うんです」
タイ「おー、おー!そうだな!せっかく似た者同士なんだ、沢山話さなくちゃ損だな!」
ロブ「ふふ。……片付けも終わりましたし、私たちも行きましょうか」
タイ「おう!今日はありがとうなー!」
ロブ「ええ。こちらこそ、素晴らしい時間をありがとうございました。それでは」
明かりが落とされた会議室。
つい先ほどまでの姦しさはどこへやら、いまは静謐が場を満たす。
あの賑やかな会合へ、次はどんな色が加わるのだろうか。
眠る椅子も、畳まれたテーブルも、もちろん出席者も、今はそれを知ることはない。
もしそれを知るものがあれば、それはきっと、微笑みを湛えた三女神だけ。
(了)
≫142二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 00:44:54≫139
ありがとうございます。
朝になって、シチーを眺めた。
光に照らされて、輝く彼女の髪の毛は金の糸と遜色ないだろう。
「とれぇなぁ・・・・もうちょい、寝かせて・・・・」
「ふふっ」
昨日、あんなことがあったのにもうシチーはいつも通り夢を見ている。
それにしても、昨日は凄かった・・・・
二人とも初めてだったからか、
歯止めがきかずに延々とお互いを貪り食うような行為だった。
受けと攻めを繰り返し、まさに絶頂ともいえる悦楽を、
シチーと共に味わうことが出来て、私は何度も三女神様に感謝したものだ。
- とはいえ、これからが問題だ。
たづなさんからはメールで、
「今後は戸籍を変えて生活して頂きます。貴方ならそれが出来るので。」と言われた。
正直言って滅茶苦茶怖い。私が施設で育ったたからっていうのもあったが、
その程度のことはごり押しできると言われた気分になり、背筋が凍った。
何なんだホント・・・・ありがたいけど。
≫143二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 00:46:21というか、今更ながらに罪悪感が湧いてきた。担当の子と朝までって・・・・
でもまあ正直に言うと、彼女が昨日行くって言った時、
確かにその瞬間、「私」は生まれた。その時に、私の性自認は身体に引っ張られた。
その時に嫌悪感がなかったわけではなかったが、それよりも解放感があった。
なので、実は私の方から断る理由は最初からなかった。
それよりも、シチーのことである。
彼女がここまで思い悩んでいるとは分からなかった。本当にパートナー失格である。
でも、こうやってお互いの気持ちをぶつけ合えたのは本当に奇跡に思う。
そう考えていると心の底から愛しさのが溢れてきて止まらなくなってきてしまった。
「シチー♡」たまらずシチーに抱きつき、再び眠った。
お目汚し失礼しました。
≫171二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 01:12:17≫167
わかる。というわけで最近タイシンの出番がないと聞いての急遽のおまけ
ボノトレ「……ってことで。追い出されちゃったのさ」
ロブロイ「まあ、そうだったんですね。トレーナー同士の会合、とだけ聞いていましたが……」
マベサン「とってもとってもマーベラス☆な時間になりそう!」
クリーク「そういうことなら私も行きたかったです……今からでも入れないでしょうか~」
タイシン「いや、どこも小さくないし。無理に決まってんじゃん」
タイシン「(……にしても、ちっちゃくなったトレーナー、か)」
タイシン「(最初は下着のサイズが合わないだのナンパされかけたりだの、色々あったけど)」
タイシン「(最近はあいつもアタシも慣れて、なんていうか、平和だし)」
タイシン「いいこと、なんだよね」
クリーク「あら~?タイシンちゃん、どうしたんですか~?」
ロブロイ「何かお悩み事でも……?」
タイシン「いやいや!何でもない!つーか近いんだけど!」
マベサン「(あの二人に同時に迫られてもさほど動じない……)」
マベサン「(でも自分のトレーナーに迫られると動揺する……)」
マベサン「(……これは……)」
マベサン「……マーベラス☆」
ボノトレ「?」
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part53【TSトレ】
≫11二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 01:40:05デジトレSS
『デジタル、たすけて』
事の始まりは、トレーナーさんから届いた一通のメールだった。
短い文章だが、非常事態である事を感じ取ったアタシは直ぐに部屋を飛び出してトレーナーさんの元へ向かう。
廊下を駆け抜け、合鍵でトレーナーさんの部屋のドアを開けると…………ウマ娘ちゃんがいた。
トレセン学園でも滅多に見ない希少な青毛と凛々しい三白眼。スレンダーだがどこか色気のある見目麗しいウマ娘ちゃんがぶかぶかのシャツとズボンを着てその場に座り込んでいた。
不安げな顔で耳を垂らしている彼女を見てアタシは気付く。
(トレーナーさんだコレ…………)
最近このトレセン学園で起こっているトレーナーさんのウマ娘化と言う不可思議な現象。
ウマソウルの暴走とも、三女神の仕業とも色々と説が唱えられているこの現象は、デジたんを何度も死なせていた。
だって、トレーナーさん達がウマ娘ちゃんになってから担当とのスキンシップに遠慮が無くなってて尊みが天元突破グ…………って違う、違う。
今は目の前のアタシのトレーナーさんの事が重要だ。
彼の前に座り、目線を合わせて問いかける。
「トレーナーさん、で合ってますよね?」
「うん、合ってる」
「体におかしな所はありますか?」
「…………この身体?」
「いえ、そうじゃなくて。何処か痛かったり苦しかったりしませんか?」
これまでウマ娘ちゃん化したトレーナーさん達に不調を訴える人はおらずみんな健康的な身体だったが、何事にも例外はあり、アタシのトレーナーさんも安心とは限らない。
「とりあえず保健室で身体を診て貰った方がいいですかね……今は歩けますか?」
「大丈夫…………だと思う」
ふらふらと立ち上がった瞬間、彼のサイズが合わなくなったズボンがずり落ちる。
慌ててズボンを抑えたトレーナーさんはベルトをきつめに絞めて固定した。
大事なところをさらけ出す心配はなくなったが、まだ足取りに不安を感じる。
≫13二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 01:41:58≫11
デジトレSS2
「わっ!?」
「ヒョエッ!?」
バランスを崩して倒れこんできたトレーナーさんを抱き留める。
トレーナーさんの細身の身体がデジたんのちっぽけな身体に覆いかぶさってその体温や香りをデジたんの脊髄にまで浸透させて…………だからそんな事してる場合じゃないっての。
「ゆっくり行きましょう。アタシが手を繋いであげますから」
「…………うん」
アタシがウマ娘ちゃんに触れるなんて冒涜的にも程があるが今は躊躇している場合じゃない。
トレーナーさんが差し出されてアタシの手を握ると、そこから強烈な痛みが走る。
力の加減が出来ていないのかかなり強くアタシの手を握っていた。
そして痛みと同時にトレーナーさんの震えも伝わってきた。
(不安なんだろうな…………アタシがなんとかしないと)
そう決意したアタシは、トレーナーさんを連れてゆっくりと歩き出した。
それから、保険に着いたトレーナーさんは様々な検査や診断を受け現状は特に問題は無はしと言われた。
「とりあえず病気とかは無いようでよかったです」
「うん、連れて来てくれてありがとうデジタル」
「いえいえ、トレーナーさんの為なら地獄の果てでも連れていきますよ」
「それは置いて行って欲しいかな」
落ち着いて来たのか普通に会話出来るようになって来たトレーナーさんと話しているとカツン、カツンと床に何かを打ち付ける音が近づいてくる。
振り返ると杖を突いた葦毛のウマ娘ちゃん______テイトレさんが居た。
恐らくリハビリ中の脚の状態を見て貰いに来たのだろう。
アタシとトレーナーさんを見て納得したような表情をした。
「デジトレ君にも来ちゃったか…………大丈夫かい?」
「はい先輩、健康的には問題ないようです」
「それは良かった。何かあったら言ってね、トレーナーとしても、ウマ娘化の先輩としても色々話聞くから」
「すみません、ありがとうございます先輩」
「ん、じゃあ気を付けて」
テイトレさんに見送られて保健室を後にする。
≫14二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 01:42:50≫13
デジトレSS3
「テイトレさんも最近は安定している様で良かったですよね」
「一時期はかなり危ない状態だったしな」
ウマ娘化現象の最初の被害者であるテイトレさんは当初はなれない身体に戸惑いつつも担当のトーカイテイオー先輩の育成に尽力していたが、ある日精神に限界が来てしまったのか、自分で自分の脚を折ってしまう。
それからは休養やテイオー先輩のサポートあって少しずつ回復はしているが、怪我の後遺症でまだ杖が無いと上手く歩く事が出来ず、定期的なカウンセリングも受けているらしい。
ふとトレーナーさんを見ると、グラウンドで運動しているウマ娘ちゃん達を窓から見下ろしていた。
いつもと変わらぬ…………いや、例の現象のおかげで以前よりウマ娘ちゃんの姿増えている光景を、心ここにあらずと言った表情で。
「……トレーナーさん?」
「……あっ、ごめん。俺達も練習行こうか」
そう言って歩き出すトレーナーさん。
今はもうアタシの手を借りずとも歩けている。
この様子ならウマ娘としての日常生活の仕方は早く身に着くかもしれない。
なんて事を考えていると、目の前に階段が現れる。
特に何も思わず降りようとすると___隣でトレーナーさんが脚を踏み外した。
咄嗟に彼の服を掴み、一緒に後ろに倒れる。
再びウマ娘化したトレーナーさんの温もりを感じて意識が飛びそうになるが、理性さんが引き戻してくれた。
トレーナーさんは何が起こったか理解出来てない様だ。
「怪我は無いですか?」
「……ごめん、考え事してた」
「とりあえず、前はしっかり見て歩きましょうね」
「ごめんなさい……」
落ち込んで耳を下げるトレーナーさん。
そんな彼を見て、アタシは思わず頭を撫でてしまう。
……いや待て、何をしているんだアグネスデジタル。
相手は大人だぞ、失礼じゃないか。
邪念を振り払いながら立ち上がる。
(犬みたいで可愛い)なんて思っちゃいけないんだ。
頭を撫でられたトレーナーさんが凄く嬉しそうな顔をしていたのも気のせいなんだ。
≫15二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 01:44:45≫14
デジトレSS4
それからはジャージに着替えていつも通りトレーナーさんと決めた練習メニューをこなして行った。
掛けられる声が女性の物になった事には少し違和感を覚えるが、むしろウマ娘オタクのアタシには燃料となり、いつも以上に充実したトレーニングとなった。
「タイムも安定して来たし、次回からはレベルを上げても良いかもしれないね」
「そうですね、もうちょいキツくても行けると思います……それに、フヒッ」
「どうした?」
「いえ、なんでも」
あぶねぇ、ウマ娘化したトレーナーさんの声に興奮して絶好調になっていたなんて言えないよ。
「そろそろ寮の戻る時間ですけど、トレーナーさんは大丈夫ですか?」
「ああ、他のウマ娘化した人達が色々アドバイスするって言ってくれたからね」
「それならよかったです。……ではアタシはここで失礼しますね」
「うん、また明日」
トレーナーさんと別れて寮に帰る。
今の所は落ち着いているし、他の人達も居るから大丈夫。
大丈夫な筈なのだが、どうしても心配になってしまう。
いや、アタシは、アタシの出来る範囲でサポートすればいいんだ。
きっと問題ない筈だから。
≫16二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 01:45:25≫15
デジトレSS
「アグネスデジタルだよな?ちょっと時間いいか?」
トレーナーさんがウマ娘化してから数日後、アタシは一人のウマ娘ちゃん、タイトレさんに声を掛けられた。
「はひっ!?なんでしょうか!」
ウマ娘ちゃんは皆推しをモットーのアタシは推しであるタイトレさんに話し掛けられて奇妙な声を出してしまう。
そんなアタシの気色悪い反応をスルーしてタイトレさんは話を続ける。
「君のトレーナーの事だけどさ、なんか違和感あるって言うのかな」
「違和感……ですか?」
「ああ。基本的には普通に過ごしているが……時々幼く見える事があるんだよな」
「幼く、ですか?」
「デジタルも、何か気付いた事は無いか?」
そう聞かれて、アタシはここ数日のトレーナーさんの様子を思い出す。
確かに、以前と比べると反応が子供っぽくなった様な気がする。
元は落ち着いた性格の男性だったのに、今はかなり不安定な感じがする。
「なんて言うかさ、ちょっと前のテイトレみたいなんだよ」
「…………それって」
「まだそうと決まった訳ではないが……気を付けた方がいいかもしれない」
「わかりました、教えてくれてありがとうございます」
「ああ、俺や他のトレーナーも注意しておくよ」
タイトレさんと別れたアタシの脳内には、何処か嫌な予感がしていた。
______そして、その予感は直ぐに的中した。
≫17二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 01:46:12≫16
デジトレSS6
アタシのトレーナーさんがグラウンドでジョギングしていた。
ウマ娘ちゃん化したトレーナーさん達が変化した身体の使い方になれる為に運動をしている事は珍しくない。
問題は、その走り方だ。
トレーナーさんのその姿を見たアタシは全速力で彼の所へ駆け寄る。
アタシに気付かずに走り続けるトレーナーさんだったが、脚を滑らせてしまう。
地面に打ち付けられる直前で、彼の身体を受け止めた。
「何をしてるんですか!?」
「……デジタル?」
「ウマ娘ちゃんの身体は人間とは違います!基本的には同じでいいかもしれないけど、使い方を間違えたら取返しのつかない大怪我をするかもしれないんですよ!?」
怒りにまかせて、トレーナーさんを𠮟りつける。
怯えた様な表情でアタシを見つめている。
「今も危なかったですし……心配させないでくださいよ。貴方になにかあったら耐えられないですから」
「…………」
「トレーナーさん?」
「ふぇっ、うえええっ」
「ちょ、どうしたんですか」
「ごめんな……ごめんなしゃ……」
「ホント、どうしたんですか……?」
おかしい。
完全にトレーナーさんの様子がおかしくなっている。
幼子の様に泣いているトレーナーさんの事を落ち着かせる為に抱きしめて頭を撫でてあげる。
アタシに縋り付いて泣きじゃくるその姿からは、かつての彼の面影は無かった。
それからトレーナーさんはカウンセリングを受けた。
結果は、突発的な幼児退行。
基本的には平常通り過ごせるが、感情が不安定になると精神が幼くなってしまう。
テイトレさんの様に、定期的なカウンセリングが必要だと。
≫18二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 01:47:37≫17
デジトレSS7
それから、アタシはトレーナーさんに対して過保護になっていた。
ぼうっと歩いていて自転車に引かれそうになったり、見知らぬ男性に声を掛けられたり、何かあるたびにアタシは彼を守っていた。
アタシのトレーナーだと知らしめるために、お揃いのリボンをあげた。
そのため、気が付いたらアタシ達は「勇者と姫君」と呼ばれている。
トレーナーさんは、凄く不本意そうだった。
≫19二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 01:48:50≫18
デジトレSS8
数日後、トレーナーさんの部屋で一緒に過ごしているとトレーナーさんが口を開いた。
「俺はさ、デジタルにとってどんな存在なんだ?」
そう言ってアタシを見るトレーナーさん。
「デジタルは生粋のウマ娘オタクだ。それは元人間のウマ娘でも例外ではない……でも、俺にだけは冷静だよな」
「……」
「デジタルにとって、俺は取るに足らない存在なのか?」
また、泣き出してしまう。
確かに、トレーナーさんにだけは落ち着いた反応をしている。
けどそれはトレーナーさんの事を守るのに集中する為で、トレーナーさんに対しても勿論興奮している。
じゃなきゃ、こんな物を買ったりしない。
「あなたが言う通り、アタシは生粋のウマ娘オタクです。……だから、アタシの欲望で汚したくないんですよ」
アタシは、近くに置いてあったカバンから___首輪を取り出した。
それは、ウマ娘ちゃん化して以来ずっと犬みたいに見えるトレーナーさんに似合うと思って、衝動買いしてしまった物だ。
アタシがずっとトレーナーさんに抱いていた独占欲を象徴するかの様な代物。
「でも、トレーナーさんはそれじゃあダメなんですね」
トレーナーさんに近づき首輪をはめようとする。
(ダメ、アタシがウマ娘ちゃんにこんな物を着けるなんてどうかしてる)
理性が、アタシの愚行を止めようと必死に叫んでいるが、物欲しそうな顔をしているトレーナーさんを見ると、どうしても幸せにしてあげたくなってしまう。
首輪を着け終わった時には、トレーナーさんは四つん這いになって舌を垂らしていた。
まるで、大きな犬の様に。
そんな姿を見ていたずら心が芽生えてしまったアタシの口から、とんでもない言葉が飛び出す。
「アタシだけの、ペットになってくれますか?」
言った瞬間後悔と罪悪感と自分に対する殺意に襲われたがもう遅い。
どんな返事が来るか戦々恐々アタシに対してトレーナーさんは
「……はい、ご主人様」
理性がどっか行っちゃうレベルの爆弾をぶん投げて来た。
≫20二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 01:49:40≫19
デジトレSS9
トレーナーさんは完全にMとして覚醒した。
頭を踏んで欲しいとか、首を絞めて欲しいとか、挙句には本物の犬みたいに扱って欲しいとお願いされる事もある。
一応言っておくが、アタシはそこまでSって訳ではない。
彼を虐めている時は罪悪感に襲われる事が多く、何度も躊躇してしまう。
けれど、虐めてあげたら彼が……彼女が喜ぶんだ。
彼女幸せな顔が見られるなら、なんでもしてあげたくなっちゃう。
だから、アタシはトレーナーさんを人間扱いしないであげているのだ。
≫21二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 01:50:27≫20
デジトレSS10
ほぼ壊れてしまったトレーナーさんの事を、プレイとかの事は伏せてテイトレさんに相談すると
「……彼は壊れる事で自分を保っているのかもね」
「保つ……です」
「俺も同じ事をしたから分かるんだ。壊れてしまえばもう苦しい思いをしないで済むし、何も考えなくてよくなるから」
そう言いながら治りかけの脚を撫でるテイトレさん
「無理して治そうとしなくていい。ただ、彼の話を聞いて寄り添ってやってくれ」
ウマ娘ちゃん達が運動しているグラウンドを見る。
彼の瞳には、彼に寄り添っていた担当ウマ娘ちゃんが映っているのだろう。
アタシはウマ娘ちゃん、そしてトレーナーさんの為に生きる。
なんでもしてあげるし、何をさせられたって構わない。
ただ、トレーナーさんを他の誰かに渡すのは我慢出来ない。
彼女を守るのはアタシだ。
彼女を壊すのもアタシだ。
______ずっと、一緒に居てあげますからね。トレーナーさん。
≫42二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 02:02:32ありがとうございます!
「ほんと、昨日は大変だった。」
お互いに箍の外れたアタシ達の夜は、トレーナーのキスから始まった。
直前にアタシのシたのより、より濃厚で、暴力的なキス。その瞬間にアタシは悟った。
(あっ、これは戻ってこれないかも。)
その予想通り、私は何度も吸われ、撫でられ、そして……
その何度目かの繰り返しで、アタシのストッパーも外れてしまったようで彼女を強く抱き締めながら、蛇の交尾のようなキスをした。
…もうそれからは全くもって記憶が無い
。ただ覚えてるのは悦楽と圧倒的な充足だった。
まるで、もともとひとつだったふたつが綺麗に元に戻ったような、そんな感触。
≫43二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 02:03:42そんなことを思い出していると、彼女が起きた。
「んっ…おはよう。」
「おはよう。」
寝ぼけ眼で起きる彼女は、女のアタシから見ても可愛かった。寝癖のついた栗毛さえ可愛いと思ってしまうほどである。そっか、そういやアタシももう"オンナ"だったか。
そういえば、完全に忘れてた事を思い出した。
「今何時!?」「11時だね…」
「あっちゃぁ…大遅刻じゃん…」
「大丈夫、たづなさんが今日から1週間休んでも良いって。」
「え?何それ。」「あと、マネさんからも大丈夫だって。終わったあとちょっと忙しくなるらしいけど。」
「マネージャーまで…」
どうやら不可解なことが起きてるみたいだったが、それはそれとして。
「じゃあ、昼からは出掛けるよ。」
「えぇっ、何で?」
「決まってる、アンタに似合う服選ぶため!」
≫44二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 02:05:28も1個続きます。
勝手に裏設定
「良かったのですか?理事長。」
「愚問!というより他に選択肢はなかった。」
「怪奇!今回のトレーナーたちの騒動は非常に危険なことばかり起こっている。正直にいってこのまま業務をしてもらっても困る!」
「テイトレさんみたいなことになってしまったら一大事ですしね。」
「奇策!であれば、最初から現象が確認された当人たちを1週間休みにして、心身ともに健康になってもらってから臨んでもらうに限る!」
「でも、それだと重賞レースに挑む子たちは…」
「当然!そこの意思は汲む。だが、原則的に休みにしなければ恐らくは…」
「…その通りかもしれませんね…」「それにな、たづな。」
「はい?」
「禁言!彼女たちは学園内でも割と厄ネタカップルと言える!」
「ああ…砲でも打たれたら…」
「恐怖!考えるだけでも恐ろしい!!!」
以上、駄文失礼しました。
≫66寝た人がいる直後で申し訳ないね21/09/27(月) 02:32:26「フクキタル」
ああ、今日もお姉ちゃんの日だ。私はいつも通りいつもと様子が違うトレーナーさんを前にして、私は固まってしまう
「貴方、この人のことが好きなのですよね?」
そう言ってお姉ちゃん「が」トレーナーさんを指さす
その表情は如何にも神妙だったから、私から言葉はなくなってしまう。
「トレーナーさんのカバンの中に、またこんなものがありました」
それは、ミサンガ、それもトレーナーさんの尻尾で編まれている。これでもう5回目くらいだったっけ
「この人は、まだこのプレゼントの意味を知りません」
空気が乾いている。なのに喉の奥がジメジメして止まらない
「このままだと、他の担当の子にあげてしまう可能性もあります、そうなった場合……最悪、どうなるか分かりますね?」
分からない、分かりたくないです
「あなたがするべきことは二つのどちらか」
そういってお姉ちゃんは2本指を立てる。
「一つ、正直にぶちまけること」
無理です、夢を壊したくないから
「二つ、本当の意味を」
無理です、夢をまだ見ていたいから
「だんまり、ですか。まあそうなるかな、とは思いましたが。」
はあ、とお姉ちゃんがため息をつき、最後に口を開く
「別に、当分は大丈夫だと思います。ただ……私の姿を言い訳にはしないように」
「あれ、今俺、どうしてたっけ?」
そうしてトレーナーさんは目を覚ます。
「あ、ダメじゃないですかー、うたた寝しちゃってたんですよまたー」
その言葉にそ、そうか?と戸惑うトレーナーさん。言いたいことは言えないのに、隠し事ばかり増えて行ってしまう
「あ、そうそうまたお前が開運グッズだとか言ってたから、ってなんで俺の手にあるんだ?」
目をぱちくりさせるトレーナーさんの横で、私の目の奥が痛む
あなたに本当の意味を教えたら、貴方は軽蔑の目で見るでしょうか
それとも、言わないでいたらまだ夢(ソレ)を私にくれますか?
≫74二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 04:01:16夜の帳も降りきった薄暗い部屋の中で、私とトレーナーさんは二人静かに向かい合います
ある日ウマ娘となったトレーナーさんはまるで私の姉妹の様な姿となりました
こうして髪を降ろし対峙すれば鏡に姿を映したかの如く……
しかし、私との僅かな違いと何よりもトレーナーさんの持つ夜に溶け込むような黒髪が鏡では無いと告げてくれます
そしてお互いが近付き合って鏡に映る己とする様な感覚を感じつつ口づけました
……唇に感じる熱はやはり鏡では無いと再認識させてくれますね
こうして今夜の逢瀬は始まります
最初の内からトレーナーさんは深い口づけを求めて来ます
それに応じて口を少し開くと無遠慮にトレーナーさんの舌が私の口に入って来ました、そして私の舌を舌先で軽く叩いてこちらに伸ばす様に促します
……けれど私は口に入って来ていたトレーナーさんの舌に噛み付いて返答とします
急な痛みに驚いたトレーナーさんは顔を離しますが直ぐに情念と喜悦に満ちた笑みを浮かべます……きっと私も同じ様な顔をしているのでしょう……
再びトレーナーさんと深い口づけを行います
鉄の匂いが口内に広がる中でトレーナーさんは軽く血の滲む舌を私の舌に擦り付けて、私はその舌に絡める様に舌を動かします
存分に絡ませ合ったらトレーナーさんは唇を離してしまいました……私の気持ちの如く名残惜しそうに互いの口を繋ぐ糸が引き月明かりに輝きますが、直ぐに切れてしまいます
顔を離したトレーナーさんは私の服を脱がしていき、以前付けた噛み痕を舐め始め……一拍置いた後に鈍い痛みと共に噛み付いて痕を残しに来ました
私の勝負服が露出の少ない事を良い事に全身様々な所に付けられた噛み痕はトレーナーさんの独占力の強さを物語っています
……だから私も噛み付き返してトレーナーさんの身体に噛み痕を残します、私だってトレーナーさんへの独占力を見せたいのだから
暫くしてからお互いの身体を眺め合い満足します
己のモノだと主張する様に身体に付け合った赤い印はそれぞれ少しずつ違う場所に付いており、やはり鏡では無いと雄弁に告げてくれました
お互いに満足し合ったので再度唇を合わせます
自分のモノだと刻み込んだので次は自分のモノを愛でる番……
夜はいつか明けるものだから
せめて今はこの甘美な夜を存分に愉しみましょう
≫128二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 08:08:14「さてトレーナー君。行こうか」
そう私は勝負服に身を包んだ姿で言いながら、彼女の手を取る。
「ああ、行こう。ルドルフ」
そう返すトレーナー君の口調の違和感は即座にわかった。"前の口調"だ。
「……ふふっ、ちゃんとエスコートしてくれるんだな?」
「勿論。たまには良いでしょ?こういうのも」
そう言いながら二人は踊り出す。
乱れなきそれの奇妙な点はただ一つ、普段と主導権が逆になっているように見受けられるくらいである。
が、当人らのそれは完全に息があっており、その違和感は観測しにくい。
(────完璧だ。運斤成風というべきか?ともあれここまで仕上げてくるとは……相手を探して"お仕置き"すべきか?)
そう私はいくらか余分すぎる考えに意識を取られ────過ぎた。
足が滑る。倒れるのではないかと考える。
だが、すっと腰に手が当てられる。
耳元で、彼女がそっと囁く。
「大丈夫だったかい?ルドルフ。それっぽく誤魔化してはみたけども」
────たまには、こういうのもアリだ。
シンボリルドルフの性癖はまた一つ壊れた。
≫173二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 08:38:42≫165
TS、低身長、巨乳、この世の全てを手に入れた男"海賊王、頭サイゲ"
彼の死に際に放った一言は人々を海へ駆り立てた。
「タイトレの身長は140cmくらいでスリーサイズ90-55-80くらいになって欲しい……」
男達はグランドライン(意味深)を目指し、夢を追い続ける・・・!
世はまさに大性癖時代!!
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part54【TSトレ】
≫21二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 09:06:07若干乗り遅れた感あるけど前スレのと合わせてTVsizeの作ってみた
ありったけの性癖をかき集め
捜し物(TSトレ概念)を探しに行くのさ
バルンバルンなんてトレシコの元
熱に浮かされ怪文書書くのさ
ホコリ被ってた 新概念も
定着したなら 伝説じゃない
個人的な 解釈は誰かの
性癖刺さって 定着さ
思い過ごせばいい!
ありったけの性癖をかき集め
捜し物(TSトレ概念)を探しに行くのさ
トレーナーの幻覚(イメージ)
それとYou wanna be horse girl?
We are, We are on the Trans!
ウィーアー!
≫74二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 09:48:46「さあ、踊ろうか! トレーナー君!」
毎年恒例、生徒会主催の社交ダンス体験会。
トレセン学園は実質的な女子校であるため、男性トレーナーというものはペアからあぶれた生徒をエスコートするのが専らであった。
(専属トレーナーで愛バに誘われた栄えあるトレーナーは、後で在籍中の生徒にしてはいけないことを改めて講習されるのがお約束だ)
だというのに、私がテイエムオペラオーの専属トレーナーになってからというもの、私があぶれた生徒を相手したことはない(講習は自主的に受けている)。
全てこのじゃじゃウマ娘をエスコートする時間に費やされるのだ。楽しいものである。
「他の人に合わせて、ワルツにしようか」
「いいね! アドリブに任せるかい?」
「いや、ここは覇王自ら手本を見せて差し上げよう」
「いいとも! 皆、ボクの華麗な3/4拍子に見惚れるがいい!」
我らが世紀末覇王は、意外とこの「お手本」という響きに弱い。
型破りな彼女ではあるが、その実一番型を熱心に学ぶのも彼女だ。
そんなオペラオーがお手本通りを披露できる数少ないチャンスに、私も少なからず気合が入る。
「以前と背格好が違うが、問題ないね?」
「君が教えたダンスだ。問題はないよ!」
私とオペラオーは人バ一体の動きで踊りだす。
積み重ねた基礎の数だけ、打ち立てた偉業を語るように。
私達の歩みを手本にしてもらうべく、ステップを踏んだ。
≫81二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 10:02:32『夏差し掛かる食堂にて』
「ライトレお前もか…」
夏に差し掛かるあたりの、気温が少しずつ高くなってきたトレセンの学食。
数日前にまともだった友人には、見事に耳と尻尾が生えていた。
「ええ…まあ…そうですね…」
へなりと耳が寝る。もともとわかりやすかった表情がさらにわかりやすくなってしまった。今や立派な芦毛のウマ娘だ。
友人がどんどん耳尻尾付きになっていく。なのにもうどうしようもないな!という認識になってしまっているのは大丈夫だろうか。
いや大丈夫ではない。今も理事長は解決の糸口を探るために世界中を飛び回ってるし、たづなさんは死にそうになりながら書類仕事をする。
さらには理事長代理もトレーナーであるというのに仕事をさらに増やしている。トップ陣営のデスマーチがひどい。
「大丈夫だったかー?その、変わったすぐのあたり」
「ちょっとだけ心が揺れそうになりましたが、今は問題ありません」
「そうか、そいつはよかった」
ふぅと息を吐く。今でこそ対処に慣れたトップ陣営が走り回ってくれるおかげでマシにはなったものだが、初期の時期ではもう地獄そのものだった。
証明書や免許証は使えないのも当然、お金を引き出せない、定期券が使えない、いきつけのバーでいつものが頼めないなどなど様々な混乱があった。
スムーズに事が運ぶのも初期に死ぬほど走り回った理事長のおかげである。拝み倒すしかない。
≫83二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 10:02:58≫81
俺はというと、逆になんもなさ過ぎたがゆえにアドバイスができない悲しみを背負った立場にいる。
ひとこと言えそうなことといえば「服は担当に用意してもらおう!」ということくらい。
あとは…なるようになるさ?
「むしろブラトレさんは何で何ともないんですか?」
「うーん、それを言われると俺も困る」
「いやまあ、その…非常に明るい方だから何も問題なかったとは言い切れませんし?」
というと、ライトレはどうもテイオーのトレーナーのことを思い出しているようだ。
ぶっちゃけ最初にウマになってしまったテイトレは完全に心が折れる可能性があってもおかしくはなかった。
周囲の協力、本人の気力、そして何より担当との信頼関係によって漸く立ち直れたといえるだろう。
「大荒れだったしな…今はだいぶマシになってきて、リハビリも順調なようで」
「ええ、一歩間違えればぼくもああなってたと思うと少々、ですね」
「んー、いややっぱ怖いな!さっさと沈静化してもらわんと困る」
「きっと誰でもそう思ってますでしょうね…」
自分にとってはメリットが割と大きかったのでサクッと受け入れたのだが、本来デメリットのほうが上回る事例だ。
心折れて戻れなくなる人が出てもおかしい話ではない。
何なら今まで変わってしまったやつらもどこかぶっ飛んでるところがあるからこそ立ち直れているともいえよう。
一部率先して戻れなくなるように振舞ってる俺以上にアホなんじゃと思える生徒会長殿や戻れるのに戻ろうともせず我が道を突っ走るボーノ☆もいるのだが、例外処理。
≫84二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 10:03:14≫83
「やめたやめた!俺なんかが難しいこと考えるなんて性に合わねえや。それより今日はうちのブライアンと合同練習でもするか!」
「そうですね、トレーニングでもしましょうか」
とりあえずはうちも次のレースに向けて調整を始めないといけないわけだ。ならこんなことで頭を悩ませる時間はそんなにいらない。
「今日こそそちらのライスちゃんのカーブ時のスタミナ温存のコツを教えてもらうぜ…」
「ふふふ、貴方に習得できるでしょうか?」
「やあってやらあよ!」
「…ところでなんでブライアンさんじゃなくてあなたが習得しようとしてるんですか?」
「いやほら、スタミナあったほうがずっと並走トレーニングできるし?」
「…たくましいですね…」
あきれ顔を向けられた。なんでだ。
うまぴょいうまぴょい。
おれバカだから言うっちまうけどよぉ…part55【TSトレ】
≫43二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 11:03:53ひだまりのなかで ショートライストレ
あるところに、ひとりのウマ娘とひとりの青年がいました。ふたりは二人三脚、日々を重ねていました。ふたりはさながら兄妹のように仲が良く、トレーニングはもちろん、青年がウマ娘にだいすきな絵本を読み聞かせたり、お菓子を一緒に作ったり食べたりしていました。ウマ娘はこんな日がずっと続けばいい、お兄さまと一緒にずっと居られたらいいなと思っていました。ところが、最近多発しているトレーナーのウマ娘化現象がそのお兄さまにも起きてしまったのです。
「お兄さま…なの?」
目の前の髪の短いウマ娘を目の前にその妹は言いました。
「そうだよ、ライス。こんな身体になってしまったが、僕はお前のお兄さまだ」
お兄さまを名乗る髪の短いウマ娘は妹、ライスにそう言いました。ライスは小さくうずくまってしまいます。
「どうしよう…またライスのせいだ、ライスのせいで…お兄さまに迷惑をかけて、ううっ……」
ライスは自分はまわりを不幸にしてしまう、祝福の名前なのにと気にしていました。そのため、お兄さまがこうなってしまったのもライスのせいと悲しんでしまいました。お兄さまと名乗るウマ娘はそっとライスに近付いて、肩を抱いてやさしく頭を撫でました。
「確かに僕はウマ娘になってしまったけれど、僕はライスのせいと思っていないよ」
「あぁ………」
ライスは頭を撫でてくれるこの手のぬくもりとことばに覚えがありました。お兄さまのしてくれるそれと全く同じなのです。ライスが、自分のせいとうずくまってしまうとお兄さまはこうして肩を抱いて、やさしく頭を撫でてくれていました。
「僕はウマ娘になっても僕だ。大丈夫、今まで通りお前のトレーナーだ。お姉さまになってしまったかもしれない。でも僕は君を今まで通り大事な担当ウマ娘、そして可愛い妹と思ってそばにいるよ」
「お兄…お姉さま……」
ライスはお兄さまもとい、お姉さまの服をぎゅっと握りしめて大きな粒の涙を流しました。お兄さまはお姉さまになってしまったけど、別人になった訳じゃないのに、ライスは見た目で判断してしまった。後悔の涙でした。
「泣かないで、ライス」
ライスが泣き止むまで、やさしく抱き締め、やさしくライスの頭を撫で続けました。窓からはあたたかい太陽のひかりがふたりを包んでいました。
≫79二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 11:20:05「ねえマルゼンスキー」
「なぁにトレーナーちゃん」シカタナカッタンダ!
「峠攻めるって聞いてたけどなんでボンネットに会長縛りつける作業がされてるの?」マテハナセバワカル!
「ルドルフちゃんが先日トレーナーちゃん含めみんなにドイヒーしちゃったからね」
「あー」
「さっ、アクセル全開で行くわよ!」
「あーい」
「さっこのカーブが!!タイムを縮めるポイントよ!インベタのさらにインに!!レッツラゴーー!!」
「サス壊れそう」
≫90二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 11:24:09ある夕方のこと。
僕はトレーナー室でライスに絵本を読み聞かせていた。
ウマ娘になってから、ライスに今の声で試しに絵本を読んでほしいといわれ試したところいたく気に入ったようで、こうしてライスを膝に乗せて絵本を読み聞かせることが日課になっている。
「いばらをふんで、がれきのやまをのりこえて、おひめさまをみつけたはくばのこうじょさまは、そのふるえるてをそっととりました。」
「さあ、そとにでましょう。あなたのゆくみちをふさぐものは、わたしがふみこえます」
今回の絵本は、定番とされる”白バの皇女様”もの。様々な物語が語られるけれど、大体において共通しているのは白毛のウマ娘の男装の皇女が、姫を守りながら様々な困難を乗り越える、というもの。
「───こうして、おそろしいやまをのりこえたこうじょさまとおひめさまはくにでおおいにかんげいされて、しあわせにくらしました。」
絵本は結末を迎える。皇女様とお姫様は困難を乗り越え、その先で祝福される。
ふと、ライスがこちらを見ていることに気付いた。
≫91二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 11:24:28≫90
「どうかした?ライス」
「あっ、えと……お姉さま、って"白バの皇女様"みたいだなって……」
確かに僕の髪は真っ白だ。量も凄くて手入れも大変だけど、ライスが時々嬉しそうに後ろから抱き着いてくるので全く苦ではない。
ふむ。少し考えてから、ライスを横に座らせなおして立ち上がる。ライスは不思議そうにこちらを見ている。かわいい。そうじゃない。
ライスの前で跪いて、渾身の微笑みを湛えながら、手を差し出す。動作一つ一つに全神経を集中させて、しかしそのすべてが流れるように。
「さぁ、お手をどうぞ。私がいかなる困難もあなたのために踏み越えて見せましょう。」
みるみる内に赤くなっていくライス。かわいい。そうだね。
無限に縮こまっていくんじゃないかと思われたライスは意を決したようにこちらを真っ直ぐな目で見る。きれいだね。ちがうちゃんと聞かないと。
「皇女様。私はあなたを信じています。あなたが傷つき膝をついても、私はあなたのそばを離れません。」
正直魂抜けるかと思った。が。ライスの前でそんな醜態を晒すわけいはいかない。今僕が"白バの皇女様"ならなおさら。
最大限の敬意を払いながら手を取り、ゆっくりとライスを立ち上がらせる。この後考えてないや。
そういえば寮の門限が近いことに気づき、優しくライスに微笑むと、ライスは頷く。伝わったのかな。伝わってなくてもそのときはまたライスのために何かしよう。
トレーナー室を出る。寮への道はきっと驚くほど平和だろうけど、ずっと輝いて見えた。
≫92二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 11:24:46≫90
ある夕方のこと。
ライスはトレーナー室でお兄さま……もといお姉さまに絵本を読み聞かせてもらってたの。
お兄さまはある日ウマ娘になってお姉さまになっちゃった。でもお姉さまはちゃんとライスの大好きなお兄さまで。けれど、お姉さまになって声がとってもきれいになったから。……ちがうちがう、前もとてもきれいだったけど、今はまた違って、この声で絵本を読んでもらったら気になったから。試しにやってみてもらったの。
……とってもすごかった。ハスキーボイスなのに透明感があって、でも感情豊かに物語が乗せられて。
それに、前と身長差は変わらないけどやってもらったことが無かったから気が付かなかったことで、ちょうどライスのお耳の真後ろでその声が奏でられるの。すごいの。
それで、その後も何度も絵本を読んでもらって。今ではお姉さまのお膝に座って絵本を読んでもらうことが日課になってるの。
「いばらをふんで、がれきのやまをのりこえて、おひめさまをみつけたはくばのこうじょさまは、そのふるえるてをそっととりました。」
「さあ、そとにでましょう。あなたのゆくみちをふさぐものは、わたしがふみこえます」
今回のお話は、"白バの皇女様"のお話。いろんなところにいろんなお話があるけど、白毛のウマ娘の男装の皇女が、お姫さまを守りながらいろんな困難に立ち向かうのはおんなじ。そういえば、お姉さまも白毛だな。とっても長くて。
「───こうして、おそろしいやまをのりこえたこうじょさまとおひめさまはくにでおおいにかんげいされて、しあわせにくらしました。」
思わずお姉さまを見ていたら、目が合っちゃった。きれいな目。ちがうちがう。
≫93二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 11:25:02≫92
「どうかした?ライス」
「あっ、えと……お姉さま、って"白バの皇女様"みたいだなって……」
お姉さまは口元に手を添えて、なにか考えて。ライスを膝の上から移動させて、立ち上がる。
それから、ライスの前で静かに跪いて、とってもやわらかく笑って、流れるように手を差し伸べて。きれい。そうだね。
「さぁ、お手をどうぞ。私がいかなる困難もあなたのために踏み越えて見せましょう。」
ひえぇ。すごい。今目の前にいるのはまさに白バの皇女様で。頭から湯気が出ちゃうんじゃないかってぐらいあっつくなる。
でも。お姉さまがこうしてライスのためにしてくれるから、ライスもお返ししなきゃ。そうだよね。うん。それなら。
お姉さまの目を見る。吸い込まれそう。ちがうちゃんと言わないと。
「皇女様。私はあなたを信じています。あなたが傷つき膝をついても、私はあなたのそばを離れません。」
お姉さまはもっとやさしく笑って手を取ってくれる。その手の感触一瞬一瞬がライスのがんばりに答えてくれているようで。
ゆっくりと立ち上がる。この後どうするんだろう。そういえばもうすぐ寮の門限だったな。
お姉さまがにこりと笑ったので、ライスも頷く。伝わったのかな。伝わってなくてもそのときこそ今度はライスがお姉さまのために何かしよう。
お姉さまのお部屋を出る。寮への道はきっといつもと変わらないけど、ずっと輝いて見えた。
≫116二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 11:38:27こんにちは!私は高知からトレセン学園に就職した新人トレーナーです!
あのハルウララちゃんの活躍を見て地元は大盛り上がり!
私もあんな風な子を育てられる様なトレーナー目指して頑張るぞ〜!
早速ウマ娘さん達のスカウトに行ってみよう!
的な冒頭から始まるウマ娘をスカウトしようとしたら毎回TSウマ娘化したトレーナー達を勧誘してしまい困惑する新人トレーナーの話みたいなの外伝でやって欲しいね(丸投げ)
≫137二次元好きの匿名さん21/09/27(月) 11:49:29『新人ちゃん(仮名)奮闘記!』
すごい。あの芦毛のウマ娘、あのナリタブライアンさんとすごい勢いで並走トレーニングしてる…
でも一切レースでも見たことないし、もしかしてだれも担当がついていないのかな?
よし、一旦トレーニングが終わったら話しかけてみよう!
~~~~~~~~~~~~~~~
ど、どうして…どうしてもう夕方になっているの…?まだ一人も話しかけられてないのに!
あの子めちゃくちゃにスタミナあるわ…絶対スカウトして見せる…!
勇気を出して!がんばれ私!
「あ、あの!すみません!」
「…おい、ファンのようだぞ」
「えーまたか!?また「俺がぶっ倒れた姿見隊」のファン…?」
「え?いや、私は最近ここに赴任してきたトレーナーで…」
なんだかよくわからない単語が聞こえてきた。いやファンにはなりたいけど…
「ほほー?そりゃ素晴らしい。いや素晴らしくないな…今ここは地獄のような場所になっている!」
「じ、地獄!?」
突然ぶちまけられた。そんなにトレセンって怖いところなの!?
「なんせな…トレーナーがどんどこどんどこウマ娘になってるんだ…まあ慣れたやつばっかりなんだけど」
「ははー…えっ?えっ????????」
えっ?????????????
「かくいう俺ももとは人間だったわけよ。自己紹介が遅かったが、俺はブライアンのトレーナーだ」
「??????????????」
たぶん私の意識はそこで途切れたんだと思います。情報許容オーバーです。むり。
その後ブライアンさんとブライアンのトレーナーさんに助けてもらったようでした。
優しみ…あと連絡先までもらいました。
明日は…明日はちゃんとスカウトしてみせる!
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